JP4632898B2 - 電気音響変換器およびその振動子 - Google Patents
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Description
図9において、超磁歪振動子900は、振動子本体910と、コイル920とから構成されている。
上記振動子本体910は、磁歪材料から構成されており、断面が円形の棒状に形成されている。
上記コイル920は、上記振動子本体910の外周面に沿って配置され、所定数巻回されることにより構成されている。
そして、上記駆動電流を変化させて、上記振動子本体910に加えられる磁界を変化させることにより、上記振動子本体910がその軸方向に関して振動するようになっている。
図10において、電気音響変換器930は、上述した超磁歪振動子900に対して、永久磁石940およびヨーク950と、フロントマス960およびバネ970と、ケース980と、から構成されている。
さらに、上記フロントマス960は、適宜の質量を有することによって、上記振動子本体910に過大な力が加わったときに上記振動子本体910の割れを防止するようになっている。
この振動子本体910の振動が、上記フロントマス960を介して外部に出力されることになる。
また、上記振動子900に関して、振動子本体910を軸方向に上下に振動させるためには、外付け部品としてのコイル920が必要であると共に、このコイル920を固定するための固定要素が必要となり、構造が複雑化してしまう。
さらに、外付け部品が比較的多いことから、コイル920で発生する磁束が、上記振動子本体910以外の部分を通過する漏洩磁束が多くなってしまい、入力電力に対して、振動の発生効率が低くなってしまう。
この磁歪素子においては、中空円筒状の磁歪材の内部にコイルを収容すると共に、コイル内を貫通する強磁性体と磁歪材とにより磁気回路を構成するようになっている。
即ち、永久磁石およびヨークによる閉ループの磁気回路が必要であると共に、外付け部品としてのコイルが必要であるので、コイルを固定するための固定要素が必要となり、構造が複雑化してしまう。
また、外付け部品が比較的多いことから、同様に漏洩磁束が多くなってしまい、入力電力に対する振動の発生効率が低くなってしまう。
また、振動子本体の両端に配置される永久磁石およびフロントマス,リアマスが、振動子本体内を貫通するボルトにより互いに結合され、固定保持されるので、全体に細型に、そして簡単に構成される。
その際、振動子本体内を貫通するボルトは、磁気回路を構成する必要がないことから、比較的小さな断面積で済むので、コイルそして振動子本体が比較的小径に構成され得ることになる。
電気音響変換器をこのような構成とすると、振動子本体に設けられた切欠部を通して、振動子本体内に配置されたコイルへのリード線を外部に引き出すことができる。
電気音響変換器をこのような構成とすると、リアマスおよびこれに隣接する永久磁石に設けられた貫通孔を通して、振動子本体内に配置されたコイルへのリード線を外部に引き出すことができる。これにより、上記リード線が、振動子本体の側面からではなく、リアマス側の端面から引き出されることにより、電気音響変換器の取付の際の配線の自由度が大きくなる。
電気音響変換器をこのような構成とすると、例えば水中等の液体中の環境でも電気音響変換器を使用することができる。
電気音響変換器をこのような構成とすると、外部に露出している表面が腐蝕防止コーティングにより覆われているので、腐蝕性の液体中の環境でも電気音響変換器を使用することができる。
本発明の電気音響変換器の振動子は、上記振動子本体が、その円筒状の側壁部に、コイルへのリード線を引き出すための切欠部を備えている構成としてある。
本発明の電気音響変換器の振動子は、上記コイルへのリード線を引き出すための切欠部が、密閉されている構成としてある。
本発明の電気音響変換器の振動子は、上記振動子本体の外部に露出している表面が、腐蝕防止コーティングを施されている構成としてある。
本発明は、このように電気音響変換器の振動子としても実現化することができる。
さらに、振動子本体内を貫通するボルトは、磁気回路を構成する必要がないことから、比較的小さな断面積で形成され得るので、コイルそして振動子本体が比較的小径に構成され得ることになる。
本発明の電気音響変換器の第一の実施形態について、図1を参照して説明する。
図1において、電気音響変換器10は、振動子100と、一対の永久磁石200,210と、フロントマス300と、リアマス400と、を設けてある。
上記コイル120は、上記振動子本体110の内部に収容され、その中心軸の周りに所定数巻回されるように配置されている。これにより、上記コイル120に駆動用電気信号が印加されたとき、上記振動子本体110の中心軸方向に沿った磁束が発生されるようになっている。
これにより、各永久磁石200,210は、それぞれ上記振動子本体110に対して静的な磁気バイアスを付与するようになっている。
この場合、上記振動子本体110の最適な振動が発生するように、上記永久磁石200,210は、その厚さや磁気強度が選定されるようになっている。
これらのフロントマス300およびリアマス400は、適宜の質量を有することにより、上記振動子本体110に過大な力が加わったときに、上記振動子本体110に作用する引張り応力を吸収し、上記振動子本体110の割れを防止するようになっている。
ここで、フロントマス300は、外部の媒質に対して振動を付与するための振動面として作用すると共に、リアマス400は、上記振動子本体110の共振周波数および背面への振動伝達を調整する重りとして作用する。
そして、上記フロントマス300およびリアマス400が、それぞれ永久磁石200,210を介して振動子本体110に対して所定の締付力で締め付けられることにより、上記振動子本体110に対して機械的なバイアス応力が付与され、上述した引張り応力が確実に抑制されるようになっている。
外部から駆動用の電気信号がリード線121,122を介して振動子100のコイル120に加えられると、コイル120により上記振動子本体110の中心軸方向の磁束が発生し、この磁束による磁界が上記振動子本体110に作用することによって、上記振動子本体110が中心軸方向に振動する。
そして、この振動が永久磁石200,210を介してフロントマス300およびリアマス400に伝達され、フロントマス300およびリアマス400の質量に基づいて振動周波数が調整されて、フロントマス300から外部に振動が伝達される。
この場合、上記ボルト500は、コイル120で発生する磁束のための磁気回路を構成しないので、その断面積が制限されるようなことはないので、振動子本体110がより小径に構成され得ることになる。
したがって、同じ振動を発生させるためには、電気音響変換器10はより小型に構成され得ることになる。
図2〜図4は、本発明による電気音響変換器の第二の実施形態を示している。
図2〜図4において、電気音響変換器20は、図1に示した電気音響変換器10とほぼ同様の構成であって、フロントマス300が、振動子本体110の下端と比較して、その中心軸に対して垂直に大きく張り出して、ほぼ正方形のフランジ部を構成している。また、振動子本体110の側面に、軸方向に延びる切欠部113を備えている点で異なる構成になっている。
この比較においては、フロントマス下面の変位率(ppm)およびコイルへの入力電力(W)に関して、変位率/入力電圧を各周波数について求めた。
周波数は振動子の共振周波数を1として規格化(計測周波数/共振周波数)して、フロントマス下面の振動をレーザドップラ振動計により速度として計測して変位に換算して、元の長さとの比として算出した。
この結果、図5を参照すると、共振周波数付近においては、同じ入力電力で、コイルが振動子本体の内側に配置されている電気音響変換器20で、より大きな変位が得られることが分かる。
また、電気音響変換器20では、振動子本体110が肉薄に形成されていることにより、高周波での変位率が高くなり、使用可能な帯域幅が広いことが分かる。
図6は、本発明による電気音響変換器の第三の実施形態を示している。
図6において、電気音響変換器30は、図2に示した電気音響変換器20とほぼ同様の構成であって、上記振動子本体110の上端に配置される永久磁石210およびリアマス400が、軸方向に延びる貫通孔211,410を備えている点で異なる構成になっている。
そして、上記振動子100のコイル120へのリード線121,122が、振動子本体110の内側からこれらの貫通孔211,410を介して、上端面から外部に引き出されるようになっている。
図7は、本発明による電気音響変換器の第四の実施形態を示している。
図7において、電気音響変換器40は、図6に示した電気音響変換器30とほぼ同様の構成であって、上記永久磁石210およびリアマス400に設けられた貫通孔211,410が、リード線121,122を挿通した状態で、密閉手段220,420により密閉されている点で異なる構成になっている。
この場合、上記密閉手段220,420は、例えばエポキシ樹脂やコーキング材等が使用され、硬化した状態にて、振動子本体110の内部を密閉するようになっている。
図8は、本発明による電気音響変換器の第五の実施形態を示している。
図8において、電気音響変換器50は、図7に示した電気音響変換器40とほぼ同様の構成であって、上記振動子本体110,永久磁石200,210,フロントマス300およびリアマス400の外部に露出している表面が、腐蝕防止コーティング600を施されている点で異なる構成になっている。
この場合、上記腐蝕防止コーティング600は、電気音響変換器50の使用環境に応じて、適宜の腐蝕防止材が使用される。
例えば、上述した実施形態においては、フロントマス300は、振動子本体110の開放した端部とほぼ同径の円形、または張り出した正方形に形成されているが、これに限らず、例えば三角形,五角形以上の多角形あるいは円錐形等の任意の形状を有していてもよい。
また、上述した実施形態においては、コイル120に駆動用電気信号を印加して、振動子本体110を軸方向に振動させて、フロントマス300から外部に振動を付与するようになっているが、これに限らず、例えば外部からの振動をフロントマス300で受けて、フロントマス300から振動子本体110に伝達される振動によりコイル120に発生する電流を計測することにより、電気音響変換器10〜50を振動計として使用することも可能である。
100 振動子
110 振動子本体
111,112 貫通孔
113 切欠部
120 コイル
121,122 リード線
200,210 永久磁石
211 貫通孔
220 密閉手段
300 フロントマス
310 ネジ孔
400 リアマス
410 貫通孔
420 密閉手段
500 ボルト
600 腐蝕防止コーティング
Claims (7)
- 中空円筒状の振動子本体およびこの振動子本体内に配置されるコイルから成る振動子と、上記振動子本体の開放した両端をそれぞれ塞ぐように配置される磁気バイアス付加のための一対の円板状の永久磁石と、上記振動子本体の両端に対してそれぞれ上記永久磁石を介して配置されるフロントマスおよびリアマスと、上記フロントマスおよびリアマスの間に振動子本体および永久磁石を挟持し結合するために、これらの中心付近に挿通され締め付けられるボルトと、を設け、
上記振動子本体が、その円筒状の側壁部の軸方向に、コイルへのリード線を引き出すための切欠部を備えたことを特徴とする電気音響変換器。 - 中空円筒状の振動子本体およびこの振動子本体内に配置されるコイルから成る振動子と、上記振動子本体の開放した両端をそれぞれ塞ぐように配置される磁気バイアス付加のための一対の円板状の永久磁石と、上記振動子本体の両端に対してそれぞれ上記永久磁石を介して配置されるフロントマスおよびリアマスと、上記フロントマスおよびリアマスの間に振動子本体および永久磁石を挟持し結合するために、これらの中心付近に挿通され締め付けられるボルトと、を設け、
上記リアマスおよびこれに隣接する永久磁石が、コイルへのリード線を引き出すための貫通孔を備えたことを特徴とする電気音響変換器。 - 上記コイルへのリード線を引き出すための切欠部または貫通孔が、密閉されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気音響変換器。
- 上記振動子本体,永久磁石,フロントマスおよびリアマスの外部に露出している表面が、腐蝕防止コーティングを施されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電気音響変換器。
- 中空円筒状の振動子本体およびこの振動子本体内に配置されるコイルから構成されており、上記振動子本体の開放した両端をそれぞれ塞ぐように磁気バイアス付加のための一対の円板状の永久磁石と、その外側にフロントマスおよびリアマスが配置され、上記フロントマスおよびリアマスの間に振動子本体および永久磁石を挟持し結合するためにボルトが挿通され、
上記振動子本体が、その円筒状の側壁部の軸方向に、コイルへのリード線を引き出すための切欠部を備えていることを特徴とする電気音響変換器用の振動子。 - 上記コイルへのリード線を引き出すための切欠部が、密閉されていることを特徴とする請求項5に記載の電気音響変換器用の振動子。
- 上記振動子本体の外部に露出している表面が、腐蝕防止コーティングを施されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の電気音響変換器用の振動子。
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