JP4632167B2 - X線分光器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子線マイクロアナライザー等のX線分光を用いた分析装置に適用するX線分光器に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線分光器は、電子線マイクロアナライザー等の分析装置に用い、試料上のX線発生点から放出されるX線を分光素子で分光して所定波長のX線を取出し、検出器に入射させる。
X線分光器として、湾曲型の結晶の回折現象を用いて、X線を分光する波長分散型分光器が知られている。この湾曲結晶を用いたX線分光器では、X線検出位置が満足すべき分光条件として、X線発生源及びX線検出位置が常に結晶面に接するローランド円上にあるという条件と、X線発生源及びX線検出位置の配置位置がそれぞれ結晶位置から互いに等しい距離であるという条件があり、この2つの条件を満足することによって分光したX線をX線検出器に集光させることができる。
【0003】
従来のX線分光器において、X線検出位置を常に結晶面に接するローランド円上とする条件を満たすための機構として、ローランド円に相当する円弧状のガイドを設け、このガイド上においてX線検出器を移動させる機構、あるいは、ローランド円の中心とX線検出位置の間にアームを設け、このアームによってローランド円の中心とX線検出位置の間の距離をローランド円の半径と等しく保持する機構が用いられている。
また、X線発生源及びX線検出位置の配置位置がそれぞれ結晶位置から互いに等しい距離であるという条件を満たすために、分光結晶とX線検出器との間、及び分光結晶とX線発生源との間を等距離とする距離制御、あるいは、分光結晶とX線検出位置がローランド円上で与える円周角、及びX線発生源と分光結晶がローランド円上で与える円周角を等角度とする角度制御が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のX線分光器は、ガイドあるいはアーム等のX線検出器のスリット位置を常にローランド円上で移動させる機構の他、分光結晶とX線検出器の間の距離を制御する機構、あるいは分光結晶とX線検出器がなす円周角を制御する機構によって、ローランド円上におけるX線検出器のスリット位置を定めている。
従来のX線分光器は、上記各機構について以下(1),(2),(3)に示すような問題点がある。
【0005】
(1)ガイドあるいはアームを用いてX線検出器のスリット位置をローランド円上で移動させる機構では、分光結晶の位置に応じてX線検出器のスリット位置を調節している。そのため、分光結晶位置における角度に誤差が生じると、この角度誤差はX線検出器のスリット位置に大きく影響することになる。特に、分光結晶がX線発生源から離れた位置にある場合には、分光結晶とX線検出器との距離も長くなるため、X線検出器のスリット位置の位置誤差も大きくなる。
【0006】
(2)分光結晶とX線検出器の間の距離を制御する機構として、従来、ワイヤ機構によって結晶の移動量に応じて結晶とX線検出器のスリット位置との間の距離が変化させる構成が用いられている。従来用いられているワイヤ機構では、結晶とX線検出器の間の距離が長い場合には、距離の誤差に対する検出器の角度誤差が大きくなるため、距離調整に高い精度が求められる。
【0007】
また、ワイヤの張力を一定に保つために、結晶が最もX線発生源に近づく位置でクランプされたワイヤによって、結晶位置及びX線検出器が移動するX線検出位置移動軸の端部にそれぞれ滑車を配置し、この滑車を介して検出器を後方から引っ張る機構が必要となる。一つの分析装置に分光波長が異なる複数の分光器を設置する構成では、このワイヤ機構を各分光器毎に設ける必要があり、X線発生源の近傍に多数のクランプ部分が密接して配置されることになる。X線発生源の近傍は、この他に種々の検出機構が設けられる場所であるため、互いの干渉を避けるために、X線発生源の周囲に配置できる分光器の台数が制限され、十分な分析波長範囲を満足する個数の分光器を配置することは困難である。
【0008】
(3)また、分光結晶とX線検出器がなす円周角を制御する機構として、従来、複数のガイドが交叉する位置によってX線検出位置を設定しているため、これらガイド部分の摩擦が大きくなり、円滑に駆動させるために比較的に強固な構造が必要となる。また、結晶位置がX線発生源から離れるほど円周角を等しくするための機構がX線発生源に近づくため、試料との干渉を防ぐために試料の大きさが制限されることになる。
【0009】
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、簡易な構成でX線検出器の高い位置精度を得ることができるX線分光器を提供することを目的とする。また、分光器間の干渉が少なく、大きな試料の分析が可能なX線分光器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のX線分光装置は、湾曲型結晶による回折現象によってX線を分光する波長分散型分光器であって、X線発生源及びX線検出位置が常に結晶面に接するローランド円上にあるという条件を、分光結晶面の角度を制御する第1の機構と、X線検出器が移動するX線検出位置移動軸の角度を制御する第2の機構とによって満たす。また、X線発生源及びX線検出位置の配置位置がそれぞれ結晶位置から互いに等しい距離であるという条件を、分光結晶とX線検出位置との間の距離が分光結晶の移動に応じて常にX線発生源と分光結晶との距離に等しく制御する第3の機構によって満たす。本発明は第1の機構、第2の機構、及び第3の機構によって、分光したX線をX線検出器に集光させるための2つの条件を満足させることができる。
【0011】
本発明の第1の機構は、分光結晶面に接するローランド円上の一点に設けた分光結晶を分光結晶移動軸上に沿って移動させ、分光結晶とX線発生源との間の距離に応じて常に回折条件を満たすように分光結晶移動軸に対する分光結晶面の角度を制御する機構である。
第1の機構は結晶支持板と直線ガイドとを備える。結晶支持板はローランド円上において分光結晶を固定すると共に、該分光結晶と異なる位置に固定点を備え、直線ガイドはX線発生源を通り分光結晶移動軸に対して所定の角度方向に固定点を案内する。
【0012】
結晶支持板は、常に分光結晶と固定点がローランド円上となるよう位置決めしている。また、直線ガイドはX線発生源を通り分光結晶移動軸に対して、分光結晶の結晶面がローランド円の接線方向となるような所定の角度方向を案内方向として設ける。したがって、分光結晶を分光結晶移動軸に沿って移動させるとき、固定点を直線ガイドに沿って移動させると、結晶支持板によって固定点は常に分光結晶面と接するローランド円上に位置し、分光結晶とX線発生源との距離が変化してもローランド円に関する角度関係は結晶支持板によって保たれるため、分光結晶移動軸に対する分光結晶の結晶面の角度は、常にローランド円の接線方向に設定されることになり、回折条件が満たされることになる。
【0013】
第2の機構はアーム機構で構成することができる。アーム機構は、長さの等しいアームの各々の一端を、分光結晶移動軸上及びX線検出位置移動軸上においてそれぞれ分光結晶位置から等距離の位置を回転中心として回転自在に固定し、アームの各他端を連結部で互いに連結し、この連結部を分光結晶位置においてローランド円と接する接線上で移動自在とし、分光結晶面に対するX線検出位置移動軸の角度を常に分光結晶移動軸に対する分光結晶面の角度と等しくなるよう制御する。
【0014】
連結部を、分光結晶位置においてローランド円と接する接線上で移動させると、分光結晶移動軸上のアーム端部及びX線検出位置移動軸上のアーム端部は、各対となるアーム長が等しいため、分光結晶面に対するX線検出位置移動軸の角度と分光結晶移動軸に対する分光結晶面の角度は等しくなる。なお、連結部を、分光結晶位置においてローランド円と接する接線上で移動させる構成として、結晶支持板に分光結晶位置でローランド円に接する接線上に沿ってガイドを設け、このガイドに沿って連結部を案内する構成とすることができる。
【0015】
分光結晶面の角度を制御する第1の機構により、X線発生源と分光結晶との間の距離に応じて分光結晶移動軸に対する分光結晶面の角度を正常に分光条件を満たすように制御することができ、X線検出器が移動するX線検出位置移動軸の角度を制御する第2の機構により、分光結晶面に対するX線検出位置の角度を常に分光条件を満たすように制御することができる。
【0016】
また、第3の機構は、分光結晶とX線検出位置との間の距離を分光結晶の移動に応じて常にX線発生源と分光結晶との間の距離と等しくなるよう制御する構成である。
第3の機構は、分光結晶位置及びX線検出器に固定した滑車と、分光結晶移動軸上において分光結晶位置に対してX線発生源と反対側に設けたクランプとを備えた構成とすることができ、滑車を通りクランプを始点及び終点とするワイヤによって、分光結晶移動軸上の分光結晶からのX線検出器の位置を、X線発生源と分光結晶との間の距離と等しい位置とする。
【0017】
また、第3の機構はモータとボールネジを用いてX線検出器を直接移動させる構成とし、結晶移動軸上において結晶を移動させるモータ動作と同期して制御することで、分光結晶移動軸上の分光結晶からのX線検出器の位置を、X線発生源と分光結晶との間の距離と等しい位置とすることもできる。
【0018】
本発明によれば、分析試料の周辺に大きく張り出す構造物がないため、分析試料、または試料ステージの通過領域と分光器との干渉を最小限に抑えることができ、試料の分析可能な範囲、試料ステージの可動範囲を広げることができる。
【0019】
また、本発明によれば、結晶位置とX線検出器との間の距離をワイヤ機構で制御する場合であっても、距離の誤差が結晶面に対するX線検出器の角度に影響を与えないので、距離の制御に特に精度を要することなくX線検出器の角度を高精度で制御することができる。したがって、従来のワイヤの張力を一定に保持するための機構が不要となる。これによって、隣り合う分光器どうしの干渉が少なくなるため、より多くの分光器を分析位置の周辺に配置することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明のX線分光器の構成を説明するための概略図である。
X線分光器は、試料S上の分析位置A及びX線検出器10のX線検出器のスリット位置Dが、分光結晶14上の結晶位置Cにおいて結晶面に接するローランド円上となるように位置制御を行う。
【0021】
結晶支持板1は、分光結晶14と共に移動する支持部材であり、分光結晶14の結晶面に接するローランド円上の点Bに軸9を備える。点Bの位置は、ローランド円の中心点における点Bの位置と結晶位置Cの成す角2φに対して、分析位置Aにおける点Bの位置と結晶位置Cの成す角がφとなるよう設定される。また、結晶支持板1は、結晶位置Cでローランド円に接する接線上に直線ガイド16を備える。
【0022】
結晶支持板1はベース板2に対して結晶移動軸3によって移動可能に支持される。結晶移動軸3は、ボールネジ18に固定されたシャフト4を備え、該シャフト4の回転に伴って分析位置Aを通る直線AH上で移動させる。また、分析位置Aにおいて結晶位置Cと成す角がφとなる直線方向Iに沿って直線ガイド7を備える。結晶支持板1の軸9をこの直線ガイド7に沿って移動させることにより、分析位置Aにおける点Bの位置と結晶位置Cの成す角は常にφに角度調整される。
【0023】
結晶位置Cにおいて、結晶移動軸3は結晶支持板1とX線検出移動軸8に連結される。結晶移動軸3とX線検出移動軸8とは、一端が結晶位置Cで連結されるとともに、直性ガイド16を介してアーム5及びアーム6によって連結される。アーム5の一端は点Eにおいて結晶移動軸3に連結され、アーム5の他端は連結点Gにおいてアーム6の一端に連結される。また、アーム6の他端は点Fにおいて検出器移動軸8上に連結される。連結点Gは、結晶支持板1の直線ガイド16に沿って移動する。
【0024】
ここで、CE=CF、EG=FGとなるようにアーム長及び連結点の位置を定める。このアーム機構によって、結晶移動軸3と直線ガイド16とが成す角(ECGの成す角)と、検出器移動軸8と直線ガイド16とが成す角(FCGの成す角)は常に等角に角度調整される。したがって、直線ガイド16は、結晶支持板1に対して結晶位置Cでローランド円に接する接線上に配置されているため、分析位置Aと結晶位置Cを結ぶ線と、結晶位置CとX線検出器10を結ぶ線は、結晶位置Cでローランド円に接する接線に対して等角に角度調整される。
【0025】
また、分析位置Aと結晶位置Cの間の距離と、結晶位置CとX線検出器10の間の距離を等距離とする機構としてワイヤ機構を備える。ワイヤ13は、結晶位置Cに固定された2つの滑車11a,11b、及びX線検出器10に固定された滑車12を通り、クランプ17a,17bで両端が固定される。ワイヤ13の長さは、結晶位置CからX線検出器のスリット位置Dまでの距離が、分析位置Aと結晶位置Cまでの距離と等距離となるように長さ調整されている。
【0026】
なお、X線検出器10は、X線検出器移動軸8の後端側のクランプ20で一端が固定されたバネ15によって結晶位置Cから離れる方向に引っ張る構成とし、これによってワイヤ13の弛みを防いでいる。
なお、ベース板2は、シャフト4、ボールネジ18、クランプ17a,17b、及び直線ガイド7を保持する。ベース板2に一部には、アーム5,6の連結点Gと干渉を避けるために抜き穴19が形成されている。
【0027】
なお、X線検出器移動軸上でX線検出器を駆動する構成として、ワイヤと滑車を用いた構成の他、モータとボールネジを用いてX線検出器を直接移動させる構成とすることもできる。この構成では、結晶移動軸上において結晶を移動させるモータ動作と同期して制御することで、分光結晶移動軸上の分光結晶からのX線検出器の位置を、X線発生源と分光結晶との間の距離と等しい位置とするに検出する。
【0028】
次に、本発明のX線分光器の各機構について説明する。
分光したX線をX線検出器に集光させるためにX線検出位置が満足すべき分光条件として、X線発生源及びX線検出位置が常に結晶面に接するローランド円上にあるという条件と、X線発生源及びX線検出位置の配置位置がそれぞれ結晶位置から互いに等しい距離であるという条件がある。
【0029】
本発明のX線分光器は、X線発生源が常に結晶面に接するローランド円上にあるという条件を、分光結晶面の角度を制御する第1の機構によって実現し、X線検出位置の分光結晶面に対する方向が常にX線発生源の分光結晶に対する方向と等しいという条件を、X線検出器が移動するX線検出位置移動軸の角度を制御する第2の機構によって実現し、X線発生源及びX線検出位置の配置位置がそれぞれ結晶位置から互いに等しい距離であるという条件を、分光結晶とX線検出位置との間の距離が分光結晶の移動に応じて常にX線発生源と分光結晶との距離に等しく制御する第3の機構によって実現する。
【0030】
図2は第1,2,3の各機構を説明するための概略機構図であり、図3,4は第1の機構を説明するための概略図であり、図5,6は第2の機構を説明するための概略図であり、図7,8は第3の機構を説明するための概略図である。
図2において、第1の機構は結晶支持板1と直線ガイド7とを備える。結晶支持板1はローランド円上において分光結晶14を固定し、直線ガイド7は結晶支持板1上の軸9をAI方向に案内する。
【0031】
第2の機構はアーム機構で構成することができ、アーム機構は、長さの等しいアーム5,6の各々の一端を、分光結晶移動軸3上及びX線検出位置移動軸8上においてそれぞれ分光結晶位置から等距離の位置E,Fを回転中心として回転自在に固定し、アーム5,6の各他端を連結点Gで連結し、この連結点Gを、分光結晶位置においてローランド円と接する接線上に設けた直線ガイド16に沿って移動する。
また、第3の機構は、結晶位置C及びX線検出器10に固定した滑車11,12と、分光結晶移動軸3上において結晶位置Cに対して分析位置A(X線発生源)と反対側に設けたクランプ17とを備える。
【0032】
第1の機構の動作を図3,4を用いて説明する。図3において、結晶支持板1の軸9(点B)を、分析位置Aにおいて分光結晶移動軸3(直線AH)に対して角度φの直線AI上で移動させると、分析位置Aと結晶位置Cとの距離にかかわらず、分析位置A,結晶位置C,及び点Bは、分析結晶14を基準としたローランド円上に存在することになる。
【0033】
図4(a)は分光結晶14が分析位置Aに近い位置にある状態を示し、図4(b)は分光結晶14が分析位置Aから遠い位置にある状態を示している。
図4(a)において、分光結晶14を分光結晶位置軸3(直線AH)に沿って分析位置Aに近づけると共に、結晶支持板1上の点Bを直線ガイド7に沿って移動させると、点Bは結晶支持板1によって角度関係が保持されているため、結晶位置Cから円周角2φの角度が維持される。また、図4(b)において、分光結晶14を分光結晶位置軸3(直線AH)に沿って分析位置Aから遠ざけると共に、結晶支持板1上の点Bを直線ガイド7に沿って移動させた場合においても、点Bは結晶支持板1によって角度関係が保持されているため、結晶位置Cから円周角2φの角度が維持される。
【0034】
したがって、分光結晶移動軸3に対する分光結晶14の結晶面の角度は、常にローランド円の接線方向に設定されることになり、回折条件が満たされることになる。
【0035】
次に、第2の機構の動作を図5,6を用いて説明する。図5において、アーム5,6及び分光結晶位置軸3,X線検出位置移動軸8は、CE及びCFの長さをL1とし、GE及びGFの長さをL2とするリンク機構を構成し、分析位置Cが分光結晶位置軸3上にどの位置に移動しても、角ECG及び各FCGを等角θとし、分光結晶面に対するX線検出位置移動軸8の角度と分光結晶移動軸3に対する分光結晶面の角度を等角とする。ここで、CGは分光結晶の結晶面の接線方向CK上にあるため、この接線してACの成す角とCFの成す角は共にθとなる。
【0036】
(a)は分光結晶14が分析位置Aに近い位置にある状態を示し、図(b)は分光結晶14が分析位置Aから遠い位置にある状態を示している。図(a)において、分光結晶14を分光結晶位置軸3(直線AH)に沿って分析位置Aに近づけると、アームによるリンク機構によって連結部Gが直線ガイド16に沿って移動し、分光結晶移動軸3と分光結晶面の接線方向(直線CKの方向)の成す角度と等価となるように、X線検出位置移動軸8との分光結晶面の接線方向(直線CKの方向)の成す角度が変化する。
【0037】
また、図(b)において、分光結晶14を分光結晶位置軸3(直線AH)に沿って分析位置Aから遠ざけると、アームによるリンク機構によって連結部Gが直線ガイド16に沿って移動し、分光結晶移動軸3と分光結晶面の接線方向(直線CKの方向)の成す角度と等価となるように、X線検出位置移動軸8との分光結晶面の接線方向(直線CKの方向)の成す角度が変化する。
【0038】
したがって、第1の機構によって分光結晶面の角度がローランド円の接線方向に制御され、第2の機構によってX線検出器が移動するX線検出位置移動軸の角度が分光結晶面の角度に応じて制御されるため、分析位置A(X線発生源)及びX線検出器のスリット位置Dの方向を常に結晶面に接するローランド円上に位置決めすることができる。
【0039】
次に、第3の機構の動作を図7,8を用いて説明する。図7はワイヤ機構の例を示している。ワイヤ機構は、結晶位置Cに固定した2つの滑車11a,11bとX線検出器10に固定した滑車12を通してワイヤ13を取り付け、ワイヤの13の始点及び終点をクランプ17a,17bで固定する。なお、ワイヤ13の弛みは滑車12を矢印方向に引っ張ることによって防ぐことができる。
【0040】
図8において、分析位置Aからクランプ17までの距離を例えば(a+b+c)とし、分析位置Aから分光結晶Cまでの距離と分光結晶Cからスリット位置Dまでの距離を等しく設定しておく。
図8(a)が、分析位置Aから分光結晶Cまでの距離と分光結晶Cからスリット位置Dまでの距離を共に距離aに設定した位置関係であるとすると、分光結晶Cからクランプ17までの距離は(b+c)となる。この位置関係から、図8(b)に示すように、分光結晶14を分光結晶位置軸3(直線AH)に沿って分析位置Aから距離bだけ遠ざけると、分析位置Aから分光結晶Cまでの距離は(a+b)となり、分光結晶Cからクランプ17までの距離はcとなる。ワイヤ13の全長は一定であるため、距離bに対応するワイヤの分だけ、分光結晶Cとスリット位置D間の距離が長くなり、分光結晶Cからスリット位置Dまでの距離は(a+b)となり、分析位置Aから分光結晶Cまでの距離と等距離となる。
【0041】
したがって、分光結晶Cの位置にかかわらず、分析位置Aから分光結晶Cまでの距離と分光結晶Cからスリット位置Dまでの距離は常に等距離に調整される。
これによって、X線検出器のスリット位置はローランド円上に配置されることになる。
【0042】
本発明のX線分光器の態様によれば、分光結晶の移動と共に移動する結晶支持板は、その端部に軸9(点B)がベース板2に固定された直線ガイド7で可動範囲が制限され、その移動動作も単に直線ガイド7に沿ったスライド移動であるため、試料の周辺に大きく張り出す構造物が存在しない。そのため、試料や試料ステージの通過領域を分光器との干渉を最小限に抑えることができ、分析可能な試料の大きさや、試料ステージの可動範囲を広げることができる。
【0043】
また、従来のX線分光器では、X線検出器のスリット位置との間の距離の誤差が検出器のスリット位置に対する角度誤差となるのに対して、本発明の態様では、X線検出器のスリット位置との間の距離の誤差は検出器のスリット位置に対して距離誤差となり角度誤差とならないため、距離制御に高い精度を必要としないという利点があり、ワイヤの張力を一定に制御する機構を不要とすることができる。
【0044】
従来必要としているワイヤの張力を一定に制御する機構は、分析位置Aの近傍の空間を狭め、隣接する分光器どうしの干渉を避けるために、少ない台数しか配置することができないが、本発明の態様によれば、ワイヤ機構を用いた場合であっても、分析位置Aの近傍の空間を狭めることなく配置することができるため、多くの台数の分光器を分析位置の周囲に配置することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のX線分光器によれば、簡易な構成でX線検出器の高い位置精度を得ることができ、分光器間の干渉が少なく、大きな試料の分析が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を説明するための概略図である。
【図2】本発明のX線分光器の第1,2,3の各機構を説明するための概略機構図である。
【図3】本発明のX線分光器の第1の機構を説明するための概略図である。
【図4】本発明のX線分光器の第1の機構を説明するための概略図である。
【図5】本発明のX線分光器の第2の機構を説明するための概略図である。
【図6】本発明のX線分光器の第2の機構を説明するための概略図である。
【図7】本発明のX線分光器の第3の機構を説明するための概略図である。
【図8】本発明のX線分光器の第3の機構を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1…結晶支持板、2…ベース板、3…分光結晶移動軸、4…シャフト、5…アーム、6…アーム、7…直線ガイド、8…X線検出位置移動軸、9…軸、10…X線検出器、11,11a,11b,12…滑車、13…ワイヤ、14…分光結晶、15…バネ、16…直線ガイド、17a,17b…クランプ、18…ボールネジ、19…抜き穴、20…クランプ、A…分析位置、C…結晶位置、D…スリット位置、G…連結点。

Claims (2)

  1. 湾曲型結晶による回折現象によってX線を分光する波長分散型分光器であって、
    分光結晶面に接するローランド円上の一点に設けた分光結晶を分光結晶移動軸上に沿って移動させ、前記分光結晶とX線発生源との間の距離に応じて常に回折条件を満たすように分光結晶移動軸に対する分光結晶面の角度を制御する第1の機構と、
    長さの等しいアームの各々の一端を、分光結晶移動軸上及びX線検出位置移動軸上においてそれぞれ分光結晶位置から等距離の位置を回転中心として回転自在に固定し、前記アームの各他端を互いに連結する連結部を分光結晶位置においてローランド円と接する接線上で移動自在とし、前記分光結晶面に対するX線検出位置移動軸の角度を前記第1の機構で制御される分光結晶移動軸に対する分光結晶面の角度と常に等しくなるよう制御する第2の機構と、
    分光結晶とX線検出位置との間の距離を分光結晶の移動に応じて常にX線発生源と分光結晶との間の距離と等しくなるよう制御する第3の機構とを備え、
    前記第1の機構は、ローランド円上において分光結晶を固定し、該ローランド円上に前記分光結晶と異なる位置に固定点を備える結晶支持板と、
    X線発生源を通り分光結晶移動軸に対して所定の角度方向に前記固定点を案内する直線ガイドとを備え、
    前記結晶支持板は、分光結晶位置でローランド円に接する接線上において前記第2の機構の連結部を案内するガイドを備えることを特徴とするX線分光器。
  2. 前記第3の機構は、分光結晶位置及びX線検出器に固定した滑車と、分光結晶移動軸上において分光結晶位置に対してX線発生源と反対側に設けたクランプとを備え、
    前記滑車を通り前記クランプを始点及び終点とするワイヤによって、分光結晶移動軸上の分光結晶からのX線検出器の位置を、X線発生源と分光結晶との間の距離と等しい位置とすることを特徴とする、請求項1記載のX線分光器。
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