JP4631602B2 - 光学フィルム重畳体の包装体および包装方法 - Google Patents
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しかしながら、この方法は手間がかかるという問題を有しており、より簡単で、光学フィルム重畳体の型崩れを起こすことなく、更にはホコリなどの異物が混入したり、接着層が包装フィルムに付着して接着層が欠けたり、という不具合を起こさない光学フィルム重畳体の包装体が望まれている。
該包装フィルムが、(1)帯電防止剤を含有するか、少なくとも片面が帯電防止処理されており、さらに光学フィルム重畳体と接触する内側が離型処理されているフィルム、または(2)帯電防止剤を含有するか、少なくとも片面が帯電防止処理されており、さらにアンチブロッキング剤を含有するフィルムであり、
該包装フィルムの外側と粘着テープとの接着強さが、つかみ移動速度300mm/分における180度剥離接着強さで1.0N/24mm以上であることを特徴とする光学フィルム重畳体の包装体である。
光学フィルムが、偏光フィルム、偏光分離フィルム及び位相差フィルムからなる群より選ばれた少なくとも一種のフィルムである上記の光学フィルム重畳体の包装体である。
また、光学フィルムが、偏光フィルム、偏光分離フィルム及び位相差フィルムからなる群より選ばれた少なくとも二種のフィルムの積層体である上記の光学フィルム重畳体の包装体である。
更に、光学フィルムを複数枚積み重ねた光学フィルム重畳体を包装フィルムで包装し、該包装フィルムを重ね合わせた縁端部を粘着テープで接着止めする光学フィルム重畳体の包装方法であって、
該包装フィルムが、(1)帯電防止剤を含有するか、少なくとも片面が帯電防止処理されており、さらに光学フィルム重畳体と接触する内側が離型処理されているフィルム、または(2)帯電防止剤を含有するか、少なくとも片面が帯電防止処理されており、さらにアンチブロッキング剤を含有しているフィルムであり、
該包装フィルムの外側と粘着テープとの接着強さが、つかみ移動速度300mm/分における180度剥離接着強さで1.0N/24mm以上となる包装フィルムと粘着テープを用いて包装することを特徴とする光学フィルム重畳体の包装方法である。
位相差フィルムは、例えばポリカーボネート系樹脂フィルムを延伸することで得られる一軸配向フィルムなどが使用され、その厚みは通常30〜100μm程度である。
また、特定の角度からの入射光は散乱し、それ以外の角度からの入射光はそのまま透過する性質を有する光制御フィルムなどのような方向性を有するフィルムも挙げられる。このような光制御フィルムとしては、住友化学株式会社製の“ルミスティー(登録商標)”が例示される。
さらに、光学フィルムは光制御フィルムと偏光板、位相差板との積層フィルムであってもよい。かかる光学フィルムの形状は、目的とする液晶表示装置の画面サイズに対応する大きさの矩形に加工されることが多い。
帯電防止処理する方法は既知の手法が採用される。例えば、帯電防止剤を包装フィルムにコーティングする方法などが例示される。コーティングする場合は、包装フィルムの片面もしくは両面にコーティングする場合があるが、片面にコーティングするだけでも実効性のあるホコリ付着防止能が発現されれば、その方が経済的に有利なので片面にコーティングする方を好ましく採用してもよい。
帯電防止剤を包装フィルムに含有させる方法は、例えば、包装フィルムの基材に帯電防止剤を混練して、包装フィルムに成形する方法などが例示される。
帯電防止剤としては、陰イオン性界面活性剤(例えば、アルキルベンゼンスルホネート、高級アルコール硫酸エステルなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物、及びアルキルアミンのエチレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、アルキルアミドのエチレンオキサイド付加物など)、陽イオン性界面活性剤(例えば、脂肪族アミン塩、4級アンモニウム塩など)、両性界面活性剤(例えばイミダゾリン型、ベタイン型など)を用いることができる。中でも、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物、アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル、アルキルアミドのエチレンオキサイド付加物、およびベタイン型両性界面活性剤などが好ましい。
離型処理する方法は既知の手法が採用される。例えば、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン系、ふっ素系や長鎖アルキル系等の適宜な離型剤をコーティングする方法が例示される。コーティングの方法としてはバーコート法、ドクターブレード法、リバースロールコート法、グラビアロールコート法、スピンコート法など、従来から知られている方法が利用できる。これら離型剤は、熱硬化、紫外線硬化や電子線硬化などで基材に固定化することができる。
アンチブロッキング剤は公知のものが制限なく採用できる。アンチブロッキング剤の粒径は0.1〜50μm程度が好ましく、素材はケイ酸アルミニウム、珪藻上、熱的に調製した二酸化ケイ素、コロイド状シリカゲル、マイクロシリカ、軽長石、カオリン、タルク、セメント、炭酸カルシウムおよびヒドロケイ酸マグネシウムなどの無機粒子、アクリル系モノマーおよび/またはスチレン系モノマーを主体とする架橋ポリマービーズなどが例示される。
樹脂中にアンチブロッキング剤を分散させる方法も公知の方法が制限なく採用できる。例えば、ミル、ニーダー、乳鉢、アトライタ、ローラー、押出機などの混練手段を用い、室温又は加熱下でシェアをかけながら混練する方法によって、アンチブロッキング剤を樹脂中に分散させることができる。また、樹脂を溶媒に溶解し、この溶液に粒子を分散させた後、溶媒を除去する方法も採用可能である。このアンチブロッキング剤が分散した樹脂組成物は、通常、厚み5〜200μm程度のフィルムに成形される。成形にあたっては、公知の各種方法が制限なく採用できる。例えば、室温又は加熱下で、プレス成形、延伸、ローラー圧延、インフレーション成形などによって成形することができる。また、アンチブロッキング剤が分散した樹脂組成物を溶媒に溶解し、支持体に流延後、溶媒を除去する方法も採用できる。
アンチブロッキング剤を含有するフィルムとして、特開平8−225655号公報に記載の架橋ポリマービーズを含有する延伸ポリオレフィン系樹脂フィルムが好ましく用いられる。
剥離接着強さは、包装フィルムに24mm幅の粘着テープを接着し、これを300mm/分のつかみ移動速度で180度剥離方向に引っ張ったときに要する力で表され、粘着テープの接着力、包装フィルムの種類、その表面状態によって変わる。
包装フィルムが重なり合った縁端部を上記の粘着テープで接着止めする。通常、重なり合った縁端部の全てを粘着テープで接着止めするが、必ずしも全てを接着止めする必要はない。
このようにして得られる光学フィルム重畳体の包装体は、場合によりポリオレフィン製の外袋に入れ、ダンボール等の箱に入れて梱包される。このとき、ダンボール等の箱の隙間には緩衝材を挿入される。光学フィルム重畳体の包装体は、ダンボール等の箱に入れられた梱包体で運搬される
本発明の、重なり合った縁端部を粘着テープで接着止めするという簡単な方法で得られる包装体は、運搬中に、光学フィルム重畳体が型崩れし、接着層を有する光学フィルム同士、また包装フィルムと擦れ合って、剥離フィルムの剥離を招くことがなく、さらにホコリなどの異物が混入したり、接着層が包装フィルムに付着して接着層が欠けたり、という不具合を起こすことがない。
つかみ移動速度300mm/分における180度剥離接着強さは、JIS K 6854−2に準じて測定した。測定装置として、引っ張り試験機AUTO GRAPH AGS-100D(株式会社島津製作所製)を使用した。
トリアセチルセルロース(TAC)フィルムであるフジタック(登録商標)TD40UZ(富士写真フィルム株式会社製)の片面に、帯電防止処理液SB-8(ショーワ株式会社製)を塗布、風乾して帯電防止処理したTACフィルムを得た。このTACフィルムの帯電防止処理した面と反対面にスプレー式離型処理剤PANDO39D(株式会社スリーボンド製)を噴霧し、風乾して、包装フィルムとして片面に帯電防止処理、反対面に離型処理してあるTACフィルムを得た。
帯電防止処理してある面に包装用セロハン粘着テープCT405A(ニチバン株式会社製)を貼り付け、その剥離接着強さを測定した結果は、4.3N/24mmであった。
一方、光学フィルム重畳体として、偏光フィルムSRW862AP7-S/3(住友化学株式会社製)を100mm×80mmに切断し、50枚重ねたものを準備した。
次に処理したTACフィルムを作業室内に24時間静置後、帯電防止処理してある面を外側にして図5に示す十字に切ってから包む方法で光学フィルム重畳体を包装した。TACフィルムが重なり合った縁端部の全てを24mm幅の前記包装用セロハン粘着テープCT405Aで接着止めした。
この光学フィルム重畳体の包装体をポリエチレン製の外袋に入れ、さらにダンボール箱に入れて梱包した。このとき、ダンボールの隙間には緩衝材を挿入した。
続いて、この光学フィルム重畳体の包装体の入ったダンボール箱を高さ1mから落とす落下試験を50回繰り返した。試験後、包装体の外観および中身を確認した。その結果、包装体の外観は良好で落下試験前の包装形態を維持できていた。また、異物や光学フィルムの接着層の付着もなく、光学フィルムには特に不具合が見あたらなかった。結果を表1に示す。
帯電防止剤およびアンチブロッキング剤を含有するポリエチレンフィルムF208-3(日泉ポリテック株式会社製)に、実施例1で用いた包装用セロハン粘着テープCT405A(ニチバン株式会社製)を貼り付け、その剥離接着強さを測定した結果は、4.8N/24mmであった。
包装フィルムとしてこのポリエチレンフィルムを用いた以外は実施例1と同様に包装し、落下試験を行った。光学フィルム重畳体は実施例1と同じものを用いた。
その結果、実施例1と同様に、包装体の外観は良好で落下試験前の包装形態を維持できていた。また、異物や光学フィルムの接着層の付着もなく、光学フィルムには特に不具合が見あたらなかった。結果を表1に示す。
光学フィルム重畳体として、偏光フィルムSRF862AP8AG6-S/81(住友化学株式会社製)を347mm×280mmに切断し、30枚重ねたものを準備した。
この光学フィルム重畳体を用いた以外は実施例2と同様に包装し、落下試験を行った。
その結果、実施例1と同様に、包装体の外観は良好で落下試験前の包装形態を維持できていた。また、異物や光学フィルムの接着層の付着もなく、光学フィルムには特に不具合が見あたらなかった。結果を表1に示す。
片面に帯電防止処理、更に離型性能が付与されているPETフィルムNBO-0424(藤森工業株式会社製)の処理されていない面に、実施例1で用いた包装用セロハン粘着テープCT405A(ニチバン株式会社製)を貼り付け、その剥離接着強さを測定した結果は、8.8N/24mmであった。
包装フィルムとしてこのPETフィルムを、何ら処理されていない面を外側にして、用いた以外は実施例1と同様に包装し、落下試験を行った。光学フィルム重畳体は実施例1と同じものを用いた。
その結果、実施例1と同様に、包装体の外観は良好で落下試験前の包装形態を維持できていた。また、異物や光学フィルムの接着層の付着もなく、光学フィルムには特に不具合が見あたらなかった。結果を表1に示す。
包装フィルムとして、実施例1で使用したTACフィルムであるフジタック(登録商標)TD40UZ(富士写真フィルム株式会社製)を帯電防止処理および離型処理をせずにそのまま用いた。
このTACフィルムに実施例1で用いた包装用セロハン粘着テープCT405A(ニチバン株式会社製)を貼り付け、その剥離接着強さを測定した結果は、8.5N/24mmであった。
このTACフィルムを用いた以外は実施例1と同様に包装し、同じ落下試験をした。光学フィルム重畳体は実施例1と同じものを用いた。
その結果、包装体の外観は良好で落下試験前の包装形態を維持できていた。しかしながら、光学フィルムには異物の混入が見られ、一部の光学フィルムの接着層が包装フィルムに付着し、フィルム端面の接着層が一部欠けていた。結果を表1に示す。
包装フィルムとして、実施例1で用いた片面に帯電防止処理、反対面に離型処理してあるTACフィルムを表裏反転して、すなわち離型処理してある面を外側にして用いた以外は実施例1と同様に包装し、落下試験を行った。光学フィルム重畳体は実施例1と同じものを用いた。
なお、離型処理してある面に実施例1で用いた包装用セロハン粘着テープCT405A(ニチバン株式会社製)を貼り付け、その剥離接着強さを測定した結果は、0.4N/24mmであった
落下試験結果は、包装体の外観は不良で落下試験前の包装形態を維持できておらず、粘着テープが剥がれて光学フィルム重畳体がばらばらになっていた。また、光学フィルムには異物の混入が見られなかったが、一部の光学フィルムの接着層が包装フィルムに付着し、フィルム端面の接着層が一部欠けていた。結果を表1に示す。
包装フィルムとして、実施例4で用いた片面に帯電防止処理、更に離型性能が付与されているPETフィルムNBO-0424(藤森工業株式会社製)を表裏反転して、すなわち処理されている面を外側にして、用いた以外は実施例1と同様に包装し、落下試験を行った。光学フィルム重畳体は実施例1と同じものを用いた。
なお、処理してある面に実施例1で用いた包装用セロハン粘着テープCT405A(ニチバン株式会社製)を貼り付け、その剥離接着強さを測定した結果は、4.7N/24mmであった。
落下試験結果は、包装体の外観は良好で落下試験前の包装形態を維持できていた。また、光学フィルムには異物の混入は見られなかったが、一部の光学フィルムの接着層が包装フィルムに付着し、フィルム端面の接着層が一部欠けていた。結果を表1に示す。
包装フィルムとして、偏光フィルムの接着層を保護する剥離フィルムとして使用される離型処理されている(帯電防止処理はされていない)ポリエチレンテレフタレートフィルムを、離型処理がされている面を内側にして用いた以外は実施例1と同様に包装し、落下試験を行った。光学フィルム重畳体は実施例1と同じものを用いた。
なお、離型処理されていない面に実施例1で用いた包装用セロハン粘着テープCT405A(ニチバン株式会社製)を貼り付け、その剥離接着強さを測定した結果は、6.5N/24mmであった。
落下試験結果は、包装体の外観は良好で落下試験前の包装形態を維持できていた。また、光学フィルムには異物の混入が見られたが、フィルム端面の接着層の欠けはみられなかった。結果を表1に示す。
包装フィルムとして、比較例4で用いた剥離フィルムを表裏反転して、すなわち離型処理されている面を外側にして、用いた以外は実施例1と同様に包装し、落下試験を行った。光学フィルム重畳体は実施例1と同じものを用いた。
なお、離型処理されている面に実施例1で用いた包装用セロハン粘着テープCT405A(ニチバン株式会社製)を貼り付け、その剥離接着強さを測定した結果は、0.3N/24mmであった。
落下試験結果は、包装体の外観は不良で落下試験前の包装形態を維持できておらず、粘着テープが剥がれて光学フィルム重畳体がばらばらになっていた。また、光学フィルムには異物の混入が見られ、一部の光学フィルムの接着層が包装フィルムに付着し、フィルム端面の接着層が一部欠けていた。結果を表1に示す。
2 接着層
3 保護フィルム
4 剥離フィルム
5 接着層を有する光学フィルム
6 光学フィルム重畳体
7 包装フィルム
8 光学フィルム重畳体の包装体
Claims (4)
- 光学フィルムを複数枚積み重ねた光学フィルム重畳体を包装フィルムで包装し、該包装フィルムが重なり合った縁端部を粘着テープで接着止めしてなる光学フィルム重畳体の包装体であって、
該包装フィルムが、(1)帯電防止剤を含有するか、少なくとも片面が帯電防止処理されており、さらに光学フィルム重畳体と接触する内側が離型処理されているフィルム、または(2)帯電防止剤を含有するか、少なくとも片面が帯電防止処理されており、さらにアンチブロッキング剤を含有するフィルムであり、
該包装フィルムの外側と粘着テープとの接着強さが、つかみ移動速度300mm/分における180度剥離接着強さで1.0N/24mm以上であることを特徴とする光学フィルム重畳体の包装体。 - 光学フィルムが、偏光フィルム、偏光分離フィルム及び位相差フィルムからなる群より選ばれた少なくとも一種のフィルムである請求項1記載の光学フィルム重畳体の包装体。
- 光学フィルムが、偏光フィルム、偏光分離フィルム及び位相差フィルムからなる群より選ばれた少なくとも二種のフィルムの積層体である請求項1記載の光学フィルム重畳体の包装体。
- 光学フィルムを複数枚積み重ねた光学フィルム重畳体を包装フィルムで包装し、該包装フィルムを重ね合わせた縁端部を粘着テープで接着止めする光学フィルム重畳体の包装方法であって、
該包装フィルムが、(1)帯電防止剤を含有するか、少なくとも片面が帯電防止処理されており、さらに光学フィルム重畳体と接触する内側が離型処理されているフィルム、または(2)帯電防止剤を含有するか、少なくとも片面が帯電防止処理されており、さらにアンチブロッキング剤を含有しているフィルムであり、
該包装フィルムの外側と粘着テープとの接着強さが、つかみ移動速度300mm/分における180度剥離接着強さで1.0N/24mm以上となる包装フィルムと粘着テープを用いて包装することを特徴とする光学フィルム重畳体の包装方法。
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