JP4631284B2 - 動力伝達チェーン及びその製造方法 - Google Patents

動力伝達チェーン及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4631284B2
JP4631284B2 JP2004022776A JP2004022776A JP4631284B2 JP 4631284 B2 JP4631284 B2 JP 4631284B2 JP 2004022776 A JP2004022776 A JP 2004022776A JP 2004022776 A JP2004022776 A JP 2004022776A JP 4631284 B2 JP4631284 B2 JP 4631284B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chain
link plates
pin
press
pin hole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004022776A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005214323A (ja
Inventor
正典 奥本
賢 布施
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JTEKT Corp
Original Assignee
JTEKT Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2004022776A priority Critical patent/JP4631284B2/ja
Application filed by JTEKT Corp filed Critical JTEKT Corp
Priority to PCT/JP2005/001260 priority patent/WO2005073594A1/ja
Priority to US10/587,511 priority patent/US20070149331A1/en
Priority to KR1020067016845A priority patent/KR20070005601A/ko
Priority to CN2008101829153A priority patent/CN101440860B/zh
Priority to KR1020067016839A priority patent/KR20060126786A/ko
Priority to CN2005800034581A priority patent/CN1914437B/zh
Priority to EP05704258A priority patent/EP1719933A4/en
Publication of JP2005214323A publication Critical patent/JP2005214323A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4631284B2 publication Critical patent/JP4631284B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Automatic Assembly (AREA)

Description

本発明は、車両などに採用されるいわゆるチェーン式無段変速機などに用いられる動力伝達チェーン及びその製造方法に関する。
自動車の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)としては、例えば、エンジン側に設けられたドライブプーリと、駆動輪側に設けられたドリブンプーリと、両者間に架け渡された複数のリンクプレートとこれらを相互に連結する複数のピンとを有する無端状の動力伝達チェーンとを備えたものがある。このような、いわゆるチェーン式無段変速機では、各プーリの円錐面状のシーブ面と、チェーンのピン端面等のチェーン構成部材の一部とがシーブ面の周方向に若干の滑り接触をすることによりトラクションを発生させ、このトラクションによって動力を伝達する。そして、ドライブプーリ及びドリブンプーリのうちの少なくとも一方の溝幅(シーブ面間距離)を連続的に変えることにより、従来のギア式とは異なるスムーズな動きで、無段の変速を行うことができる。
このようなチェーン式無段変速機に用いられる動力伝達チェーンは、リンクプレートがその厚み方向および長手方向に重ね合わされて配置され、当該リンクプレートのピン孔にピンとストリップを圧入することで連結されている(例えば特許文献1参照)。
特開平8−312725号公報(第4頁)
上記のような動力伝達チェーンにおいては、当該チェーンを構成するリンクプレートにはピンとストリップが圧入されているので、隣接するリンクプレート同士の間で容易にピンの軸方向に移動ができない。よって、その厚み方向に重ね合わされるとともに屈曲自在に連結されるリンクプレート同士が、高い面圧で重ね合わされた状態で組み立てられた場合、この屈曲自在に連結されるリンクプレート同士は、チェーンとして組み立てられた後においても高い面圧で重ね合わされた状態で保持されてしまう。このような状態で組み立てられたチェーンは、当該リンクプレート同士が重ね合わされ接触している面で発生する摩擦力のため、当該チェーンを屈曲させるための曲げトルクが大きくなってしまい、当該チェーンの動力伝達効率が低下する場合があった。
このようなことから、当該チェーンを組み立てる場合、隣接するリンクプレート同士の面圧が高くならないようにする必要があるため、例えば当該チェーンのピッチ幅を空けて立てられたピンにリンクプレートを1枚ずつプレス機等により圧入し、それを複数回繰り返すことでリンクプレートを積層するような方法をとっていた。このような方法によれば、圧入する時のプレス機の圧力やストロークを調整することでリンクプレートのピンに対する位置を決めることができるので、隣接するリンクプレート同士の面圧が高くならないように調整することができた。
しかしながら、上記のような方法では、リンクプレートを一枚づつしか圧入できないので、チェーンの組み立てとして効率が悪く、また、プレス機の圧力やストローク等の調整を行わなければならず、組み立て作業自体を困難なものにしていた。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、屈曲時の曲げトルクを低減するとともに、容易かつ効率よく組み立てることができる動力伝達チェーンおよびその製造方法の提供をその目的とする。
本発明の動力伝達チェーンは、ピン孔を有するとともに厚み方向にその側面を重ね合わせて配置される複数のリンクプレートと、前記ピン孔内に圧入され前記複数のリンクプレートを連結する複数のピン及び複数のストリップと、を備え、前記複数のピン及び前記複数のストリップは、1つのピン孔にそれぞれ1本ずつ挿通されており、1つのピン孔に挿通されたピン及びストリップの内、いずれか一方がこのピン孔に対して圧入され、他方が一方側の側面と転がり接触しつつ回動可能に挿通されており、さらに、この他方は、前記1つのピン孔が形成されたリンクプレートとその側面の一部を重ね合わせて隣接している他のリンクプレートのピン孔に対しては圧入されており、前記一方が前記他のリンクプレートのピン孔に対しては回動可能に挿通されていることで、隣接して配置される前記リンクプレート同士は屈曲自在に連結されている動力伝達チェーンにおいて、前記リンクプレートの前記側面は、隣接するリンクプレートとの接触面圧が適正な面圧よりも高面圧で重ね合わされて前記動力チェーンとして組み立てられたに、当該チェーンの試運転によってその表面を摩耗させて前記接触面圧を適正な状態に低下させる被覆材により被覆されていることを特徴としている。
上記のように構成された動力伝達チェーンによれば、前記リンクプレートの側面がチェーンの使用により摩滅または剥離しうる被覆材により被覆されているので、厚み方向にその側面を重ね合わせて配置されるとともに屈曲自在に連結されるリンクプレート同士の接触面に、前記被覆材を介在させることができる。従って、高い面圧で重ね合わされた状態で動力伝達チェーンとして組み立てられた場合にも、当該動力伝達チェーンが屈曲して前記リンクプレートの側面同士が擦れ合うことで、前記被覆材が摩滅または剥離を起こすので、前記リンクプレート同士間の接触面圧を下げることができる。
また、上記の動力伝達チェーンにおいて、前記被覆材は、リン酸塩皮膜であることが好ましい。この場合、リン酸塩皮膜は、摺動摩擦に対してその表面が容易に摩滅するという特性を有している。従って、前記リンクプレート同士の屈曲において、少ない屈曲回数でも前記被覆材は摩滅するので、当該チェーンを試運転させることで速やかにリンクプレート間の接触面圧を下げることができる。
また、本発明の動力伝達チェーンの製造方法は、ピン孔を有するとともに厚み方向にその側面を重ね合わせて配置される複数のリンクプレートと、前記ピン孔内に圧入され前記複数のリンクプレートを連結する複数のピン及び複数のストリップと、を備え、前記複数のピン及び前記複数のストリップは、1つのピン孔にそれぞれ1本ずつ挿通されており、1つのピン孔に挿通されたピン及びストリップの内、いずれか一方がこのピン孔に対して圧入され、他方が一方側の側面と転がり接触しつつ回動可能に挿通されており、さらに、この他方は、前記1つのピン孔が形成されたリンクプレートとその側面の一部を重ね合わせて隣接している他のリンクプレートのピン孔に対しては圧入されており、前記一方が前記他のリンクプレートのピン孔に対しては回動可能に挿通されていることで、隣接して配置される前記リンクプレート同士は屈曲自在に連結されている動力伝達チェーンの製造方法において、前記リンクプレートの前記側面を、隣接するリンクプレートとの接触面圧が適正な面圧よりも高面圧で重ね合わされて前記動力チェーンとして組み立てられたに、当該チェーンの試運転によってその表面を摩耗させて前記接触面圧を適正な状態に低下させる被覆材により被覆した後、前記ピン孔に前記ピンを圧入することを特徴としている。
上記のように構成された動力伝達チェーンの製造方法によれば、前記リンクプレートの側面をチェーンの使用により摩滅または剥離しうる被覆材により被覆した後、前記ピン孔に前記ピンが圧入されるので、重ね合わされるとともに屈曲自在に連結されるリンクプレート同士間の接触面に前記被覆材を介在させることができる。よって、高い面圧で重ね合わされた状態で動力伝達チェーンとして組み立てられた場合にも、当該動力伝達チェーンが屈曲して前記リンクプレートの側面同士が擦れ合うことで、前記被覆材が摩滅または剥離を起こすので、前記リンクプレート同士間の接触面圧を下げることができる。従って、チェーンの曲げトルクを低減することができるので、前記リンクプレート間の面圧を調整しながらピン孔にピンを圧入する必要がない。
また、上記の動力伝達チェーンの製造方法において、複数の前記リンクプレートを厚み方向に重ね合わせて配置した後、これら重ね合わされた複数のリンクプレートのピン孔に前記ピン及び複数のストリップを圧入することが好ましい。上記に示した従来の製造方法では、重ね合わされるリンクプレート同士の面圧を調整しながら組み立てるため、当該リンクプレートを一枚ずつ圧入する必要があった。しかし、本製造方法の場合、リンクプレート間の面圧を調整しながらピン孔にピンを圧入する必要がないので、一つのピンを複数枚の重ねられた状態のリンクプレートに対して同時に圧入できる。従って、一つのピンを圧入することで同時に複数枚のリンクプレートを連結することができるので、当該動力伝達チェーンを効率よく組み立てることができる。
以上のように、本発明に係る動力伝達チェーンは、厚み方向にその側面を重ね合わせて配置されるリンクプレート同士がピンに圧入される際に、当該リンクプレート同士間における接触面圧を調整せずとも当該接触面圧のコントロールが可能となり、その接触面の摩擦力を低減できるので、屈曲時の曲げトルクを低減することができる。また、本発明に係る動力伝達チェーンの製造方法は、当該動力伝達チェーンを組み立てる際にも前記リンクプレート間の面圧を調整する必要がなく、一つのピンを複数枚の重ねられた状態のリンクプレートに対して同時に圧入できる。従って、一つのピンを圧入することで同時に複数のリンクプレートを連結することができ、容易かつ効率よく組み立てることができる。
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の動力伝達チェーンの実施形態に係るいわゆるチェーン式無段変速機用のチェーン(以下、単に「チェーン」ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。図中、本実施形態であるチェーン1は、無端状であって、チェーン構成部材としての複数の金属(炭素鋼等)製のリンクプレート20と、このリンクプレート20を相互に連結するための複数の金属(軸受鋼等)製ピン30と、これらピン30よりも若干短いストリップ40とから構成されている。なお図1では、チェーン1の幅方向中央部の記載を一部省略している。
リンクプレート20は、外形線がなだらかな曲線形状で、1枚につきピン孔21が2つずつ設けられており、全て実質的に同一の外形となるように形成されている。このリンクプレート20を連結するピン30は、ピン孔21の内周面に沿う側面を有する棒状体であって、全て実質的に同一形状に形成されている。ピン端面31は、所定の曲率に設定された凸曲面をなし、図示しないチェーン式無段変速機のV溝プーリ等と接触し、動力を伝達する。ストリップ40は、ピン30よりも若干短く形成された、ピン孔21内周面に沿う側面を有する棒状体であって、全て実質的に同一形状に形成されたものである。そして、その厚み方向および長手方向にその側面22の一部を重ね合わせて配置された複数のリンクプレート20のピン孔21内に、ピン30とストリップ40とが挿通され、リンクプレート20を連結するように構成されている。つまり、1つのピン孔21にはピン30とストリップ40とが1本づつ挿通されている。
この1つのピン孔21に挿通されているピン30とストリップ40とは、このピン孔21に対していずれか一方が圧入されており、他方が一方側の側面と転がり接触しつつ回動可能に挿通されている。そしてこの他方は、当該リンクプレート20とその側面の一部を重ね合わせて隣接している別のリンクプレート20のピン孔21に対しては圧入されており、また、前記一方は、前記隣接している別のリンクプレート20のピン孔21に対しては、回動可能に挿通されている。このようにピン30とストリップ40とは、一方がピン孔21に対して圧入され、他方がピン孔21に対して回動可能に挿通されているので、リンクプレート20同士は屈曲可能に連結される。
以上のように、重ね合わされるリンクプレート20同士を、上記のようにしてピン30とストリップ40とを圧入することにより屈曲自在に連結し、これらを積層することで、屈曲可能なチェーン1を構成している。
図2は本実施形態に係るチェーンの連結部分を模式的に表した断面図である。図中リンクプレート20は、その隣接するリンクプレート20とその厚み方向(チェーン1幅方向)に重ね合わされており、互いの側面22同士がその一部において接触している。そしてこの隣接するリンクプレート20は、ピン30とストリップ40とにより屈曲自在に連結されている。また、これらリンクプレート20は、ピン孔21(図1参照)にピン30もしくはストリップ40が圧入されているので、チェーン1幅方向に対しては殆ど動くことができない。
また、このリンクプレート20の表面は、リン酸亜鉛処理にて被覆した後ステアリン酸塩による潤滑被覆処理を施すことにより得られる被覆材22aにより被覆されている。この被覆材22aは、以下のような処理方法により形成される。すなわち、素材を所定の形状に成形し所定の熱処理を施したリンクプレート20をまず脱脂する。そして、リン酸亜鉛処理剤の中にこのリンクプレート20を浸漬し、リン酸亜鉛処理の被覆材を形成させる。そして、このリンクプレート20を処理剤の中から引き上げた後、さらにステアリン酸塩による潤滑被覆処理のための処理剤の中に浸漬する。そして、当該リンクプレート20を処理剤から引き上げた後、乾燥させる。このようにすることで当該リンクプレート20表面の略全体に当該被覆材22aが形成される。そして、この被覆材22aの厚みは、本実施形態では約3μmに設定されている。
上記のようにリンクプレート20は、表面の略全体が被覆材22aにより被覆されているので、図2に示すように、隣接するリンクプレート20同士の間(接触面)には、前記被覆材22aが介在する。
上記のように構成された本実施形態に係るチェーン1によれば、リンクプレート20の表面を被覆材22aにより被覆されているので、厚み方向にその側面を重ね合わせて配置されるとともに屈曲自在に連結されるリンクプレート20同士間の接触面には、前記被覆材22aを介在させることができる。これにより、高い面圧で重ね合わされた状態で当該チェーン1として組み立てられた場合にも、当該チェーン1が屈曲して前記リンクプレート20の側面同士における接触面が擦れ合うことで、前記被覆材22aが摩滅あるいは剥離を起こし、前記リンクプレート20同士間の接触面圧を下げることができる。換言すると、当該リンクプレート20同士が高面圧で重ね合わされたとしても接触面圧を適正な状態にコントロールできるのである。従って、当該リンクプレート20同士間の接触面の摩擦力を低減できるので、チェーン1の屈曲時の曲げトルクを低減することができる。
また、本実施形態のチェーン1の被覆材22aには、リン酸亜鉛被覆処理後にステアリン酸塩による潤滑被覆処理を施すことにより得られる被覆材を用いた。このリン酸亜鉛被覆処理後にステアリン酸塩による潤滑被覆処理を施すことにより得られる被覆材は、摺動摩擦を受けると容易に摩滅し、速やかに安定した摺動面を得ることができるという特性を有している。これにより、前記屈曲自在に連結されるリンクプレート20同士間の接触面においても、当該リンクプレート20同士がスムーズに屈曲できるような安定した摺動面を形成するように、被覆材22aは少ない屈曲回数で容易に摩滅される。従って、チェーン1を試運転させることで速やかに当該リンクプレート20同士間の接触面圧を下げることができる。また、この被覆材22aは、ステアリン酸塩による潤滑被覆処理によって潤滑性をも付与されているので、当該リンクプレート20同士間の接触面の摩擦力をさらに低減できる。
尚、本実施形態では被覆材22aには、リン酸亜鉛被覆処理後にステアリン酸塩による潤滑被覆処理を施すことにより得られる被覆材を用いたが、例えば、リン酸マンガン処理を用いてもよい。リン酸マンガン処理により得られる被覆材も本実施形態の被覆材22aと同様に摺動摩擦に対してその摩擦面における初期なじみ性が良好であり、またその表面は容易に摩滅するという特性を有しているからである。
また、上記実施形態では、被覆材22aの厚みは約3μmに設定したが、この厚みの範囲としては2μm〜20μmが好ましい。被覆材22aの厚みが上記範囲より厚すぎると、チェーン1としての幅方向寸法の設計値の許容範囲を超えてしまうためである。また、上記範囲よりも薄すぎると、リンクプレート20同士間の接触面圧を十分に低下させることができない恐れがあるからである。
また、上記実施形態では、リンクプレート20表面の略全体に被覆材22aを施したが、厚み方向に重ね合わされて隣接するリンクプレート20同士の接触面の少なくともいずれか一方に被覆材が被覆されていればよい。この場合においても接触面には被覆材22aを介在させることができるので、上記作用を得ることができるからである。
また、上記以外の被覆材としては、例えば、亜鉛めっき、すずめっき、銅めっき、塗料、樹脂等、リンクプレート20の材質である炭素鋼等よりも摩耗し易く、あるいは被覆材の密着力が弱く剥がれ易いものであって、かつリンクプレート20による面圧を受けたときに所定の厚みを保持できるものが好ましい。また、潤滑性を有する被覆材を適用することにより、重なり合うリンクプレート20同士間の接触面の摩擦力をより低減させ、チェーン1の屈曲トルクをさらに低減できる。
本発明の動力伝達チェーンは、上記実施形態に限定されるものではなく、チェーンの構成やリンクプレートの形状、配列、被覆材の種類・製法等は、本発明の趣旨に基づいて適宜変更することができる。
図3は、本発明の実施形態に係るチェーン式無段変速機用のチェーンの製造時、リンクプレートのピン孔にピンを圧入する際の態様を示した模式図である。
図中、チェーン組み立て用の架台60の上面60aには、複数のリンクプレート20がその厚み方向および長手方向にその側面の一部を重ね合わされるように配置されている。この複数のリンクプレート20表面には、架台60に配置される前に、リン酸亜鉛処理にて被覆した後ステアリン酸塩による潤滑被覆処理を施すことにより得られる被覆材22a(図2参照)により被覆されている。
この架台には、チェーン1におけるピン30のピッチ幅と同じピッチ幅で孔61が複数個設けられている。この孔61内のそれぞれには上下方向に移動可能なガイドピン62が取付けられている。このガイドピン62は架台60の上面60aからチェーン1の幅寸法と略同じ寸法だけ鉛直上方に突出している。そして、ガイドピン62は、鉛直下方の力が作用した場合には孔61の内部に収納されるように構成されている。また、このガイドピン62の断面はピン孔21に挿通された時に確実にピン孔21の位置決めができかつ容易に抜き差し可能なように形成されている。
架台60の上面60aには、リンクプレート20のピン孔21にガイドピン62を挿通することで、リンクプレート20がチェーン1の完成状態と同じ状態で配列されて保持されている。すなわち、これらリンクプレート20は、ピン30とストリップ40とを圧入するのみでチェーン1として完成状態となるように、架台60の上面60aに仮組みされているのである。
このチェーン1と同じ状態に仮組みされているリンクプレート20のピン孔21に対して、上方から一組のピン30とストリップ40とが圧入される。このとき、ガイドピン62は、ピン30とストリップ40とにより下方に押し出されて孔61の内部に序々に収納されていく。詳細には以下の通りである。
図3中、状態X,状態Y1〜Y3,状態Zは、ピン孔21に一組のピン30とストリップ40とを圧入する際におけるピン30,ストリップ40,およびガイドピン62の位置関係の変化を経時的に順次示している。この図3では、前記の経時的な位置関係を説明するために、便宜上、状態X,状態Y1〜Y3,状態Zを同一図面上に併記している。
ピン30とストリップ40とを圧入する前は、状態Xに示すように、ガイドピン62が重ね合わされて配置された複数のリンクプレート20の複数のピン孔21に挿通され、それぞれを鉛直方向に揃えるように位置決めしている。そして、これらリンクプレート20をチェーン1の完成状態と同じ配列で位置決めしつつ仮組み状態に保持している。また、複数のピン孔21は、鉛直方向に揃えられることで、見かけ上チェーン1を幅方向に貫通する1つの貫通孔Aを形成している。
そして状態Y1〜Y3に示すように、ピン30とストリップ40とが貫通孔Aに上方より序々に圧入されてゆき、同時にガイドピン62は、ピン30とストリップ40との端面により鉛直下方に押し出されて孔61に序々に収納されていく。そして状態Zのように、ピン30とストリップ40とが貫通孔Aを貫通した状態まで圧入される。ガイドピン62は完全に孔61に収納され、貫通孔Aに圧入されたピン30とストリップ40とにより、当該重ね合わされて配置されたリンクプレート20を連結している。
このように一組のピン30とストリップ40とをガイドピン62によって鉛直方向に揃えられた複数のピン孔21(貫通孔A)に対して圧入することで、同時に複数枚のリンクプレート20を連結することができる。そして、同様にして他の貫通孔Aに対してもピン30とストリップ40とを圧入していくことで、チェーン1が組み立てられる。
上述した本実施形態に係るチェーン1の製造方法によれば、リンクプレート20の表面を被覆材22aにより被覆した後、ピン孔21にピン30とストリップ40とを圧入するので、重ね合わされるとともに屈曲自在に連結されるリンクプレート20同士間の接触面に前記被覆材22aを介在させることができる。これによって既に述べたように、当該リンクプレート20同士が高面圧で重ね合わされたとしても接触面圧を適正な状態にコントロールできるので、当該リンクプレート20同士間の接触面の摩擦力を低減でき、チェーン1の屈曲時の曲げトルクを低減することができる。
さらに、上記従来例のようにリンクプレート20間の面圧を調整しながらピン孔21にピン30とストリップ40とを圧入する必要がなくなるので、当該チェーン1の組み立てが容易なものとなる。
また、本実施形態に係るチェーン1の製造方法によれば、ピン圧入時に面圧調整する必要がないので、チェーン1の幅方向に必要な枚数分のリンクプレート20を厚み方向に重ね合わせて配置した後、これら重ね合わされた複数のリンクプレート20のピン孔21(貫通孔A)にピン30とストリップ40とを圧入することができる。従って、一つのピンを圧入することで同時に複数枚のリンクプレート20を連結することができるので、当該チェーン1を効率よく組み立てることができる。従来の製造方法では、重ね合わされるリンクプレート20同士の面圧を調整しながら組み立てるため、当該リンクプレート20を一枚ずつ圧入する必要があった。しかし、本実施形態のチェーン1に係る製造方法の場合、リンクプレート20間の面圧を調整しながらピン孔21にピン30とストリップ40とを圧入する必要がないので、複数のリンクプレート20を重ねた状態でピン30とストリップ40とを圧入できるのである。
上記実施形態では、チェーン1を仮組みする方法として、あらかじめガイドピンをピン孔21に挿通する方法を採ったが、厚み方向に重ね合わせて配置されるリンクプレート20のピン孔21にピン30等を圧入可能に整列させることができるのであれば、本実施形態のチェーン1の製造方法を行う上で、いかなる方法を採ることもできる。また、上記実施形態では、チェーン1全体を構成するリンクプレート20を仮組みし、ピン30およびストリップ40を圧入したが、チェーン1を構成するリンクプレート20の一部のみを仮組みし、ピン30等を圧入してもよい。
また、本発明の動力伝達チェーンの製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、製造されるチェーンの構成やリンクプレートの形状、配列、チェーンの組み立て方法等は、本発明の趣旨に基づいて適宜変更することができる。
本発明の実施形態に係るチェーン式無段変速機用のチェーンの要部構成を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るチェーン式無段変速機用のチェーンの連結部分を模式的に表した断面図である。 本発明の実施形態に係るチェーン式無段変速機用のチェーンの製造時、リンクプレートのピン孔にピンを圧入する際におけるピン,ストリップおよびガイドピンの状態の経時的な位置関係を示した模式図である。
符号の説明
1 動力伝達チェーン
20 リンクプレート
21 ピン孔
22 側面
22a 被覆材(リン酸塩皮膜)
30 ピン

Claims (4)

  1. ピン孔を有するとともに厚み方向にその側面を重ね合わせて配置される複数のリンクプレートと、前記ピン孔内に圧入され前記複数のリンクプレートを連結する複数のピン及び複数のストリップと、を備え、
    前記複数のピン及び前記複数のストリップは、1つのピン孔にそれぞれ1本ずつ挿通されており、1つのピン孔に挿通されたピン及びストリップの内、いずれか一方がこのピン孔に対して圧入され、他方が一方側の側面と転がり接触しつつ回動可能に挿通されており、さらに、この他方は、前記1つのピン孔が形成されたリンクプレートとその側面の一部を重ね合わせて隣接している他のリンクプレートのピン孔に対しては圧入されており、前記一方が前記他のリンクプレートのピン孔に対しては回動可能に挿通されていることで、隣接して配置される前記リンクプレート同士は屈曲自在に連結されている動力伝達チェーンにおいて、
    前記リンクプレートの前記側面は、隣接するリンクプレートとの接触面圧が適正な面圧よりも高面圧で重ね合わされて前記動力チェーンとして組み立てられたに、当該チェーンの試運転によってその表面を摩耗させて前記接触面圧を適正な状態に低下させる被覆材により被覆されていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  2. 前記被覆材は、リン酸塩皮膜である請求項1記載の動力伝達チェーン。
  3. ピン孔を有するとともに厚み方向にその側面を重ね合わせて配置される複数のリンクプレートと、前記ピン孔内に圧入され前記複数のリンクプレートを連結する複数のピン及び複数のストリップと、を備え、
    前記複数のピン及び前記複数のストリップは、1つのピン孔にそれぞれ1本ずつ挿通されており、1つのピン孔に挿通されたピン及びストリップの内、いずれか一方がこのピン孔に対して圧入され、他方が一方側の側面と転がり接触しつつ回動可能に挿通されており、さらに、この他方は、前記1つのピン孔が形成されたリンクプレートとその側面の一部を重ね合わせて隣接している他のリンクプレートのピン孔に対しては圧入されており、前記一方が前記他のリンクプレートのピン孔に対しては回動可能に挿通されていることで、隣接して配置される前記リンクプレート同士は屈曲自在に連結されている動力伝達チェーンの製造方法において、
    前記リンクプレートの前記側面を、隣接するリンクプレートとの接触面圧が適正な面圧よりも高面圧で重ね合わされて前記動力チェーンとして組み立てられたに、当該チェーンの試運転によってその表面を摩耗させて前記接触面圧を適正な状態に低下させる被覆材により被覆した後、前記ピン孔に前記ピンを圧入することを特徴とする動力伝達チェーンの製造方法。
  4. 複数の前記リンクプレートを厚み方向に重ね合わせて配置した後、これら重ね合わされた複数のリンクプレートのピン孔に前記ピン及び前記ストリップを圧入する請求項3記載の動力伝達チェーンの製造方法。
JP2004022776A 2004-01-30 2004-01-30 動力伝達チェーン及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4631284B2 (ja)

Priority Applications (8)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004022776A JP4631284B2 (ja) 2004-01-30 2004-01-30 動力伝達チェーン及びその製造方法
US10/587,511 US20070149331A1 (en) 2004-01-30 2005-01-28 Power transmission chain, manufacture method thereof and power transmission assembly
KR1020067016845A KR20070005601A (ko) 2004-01-30 2005-01-28 동력전달 체인 및 그 제조방법, 및 동력전달 장치
CN2008101829153A CN101440860B (zh) 2004-01-30 2005-01-28 动力传输链的制造方法
PCT/JP2005/001260 WO2005073594A1 (ja) 2004-01-30 2005-01-28 動力伝達チェーン及びその製造方法、並びに動力伝達装置
KR1020067016839A KR20060126786A (ko) 2004-01-30 2005-01-28 동력전달 체인 및 그 제조방법, 및 동력전달 장치
CN2005800034581A CN1914437B (zh) 2004-01-30 2005-01-28 动力传输链及其制造方法、以及动力传输装置
EP05704258A EP1719933A4 (en) 2004-01-30 2005-01-28 POWER TRANSMISSION CHAIN AND METHOD OF MANUFACTURING THEREOF AND POWER TRANSMISSION DEVICE

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004022776A JP4631284B2 (ja) 2004-01-30 2004-01-30 動力伝達チェーン及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005214323A JP2005214323A (ja) 2005-08-11
JP4631284B2 true JP4631284B2 (ja) 2011-02-16

Family

ID=34906011

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004022776A Expired - Fee Related JP4631284B2 (ja) 2004-01-30 2004-01-30 動力伝達チェーン及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4631284B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4826899B2 (ja) 2006-03-30 2011-11-30 株式会社ジェイテクト 動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6081538A (ja) * 1983-10-12 1985-05-09 Honda Motor Co Ltd チエ−ン
JPS633545U (ja) * 1986-06-24 1988-01-11

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005214323A (ja) 2005-08-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20060126786A (ko) 동력전달 체인 및 그 제조방법, 및 동력전달 장치
JP4923799B2 (ja) 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置
US8038561B2 (en) Power transmission chain, and power transmission system having the same
JP4631284B2 (ja) 動力伝達チェーン及びその製造方法
CN101440860B (zh) 动力传输链的制造方法
JP4910982B2 (ja) 動力伝達チェーンの製造方法
US9308575B2 (en) Power transmission chain pin and manufacture method thereof
JP4946462B2 (ja) 動力伝達装置
JP2004190829A (ja) 動力伝達用チェーンおよび動力伝達装置
JP4572646B2 (ja) 動力伝達チェーンの製造方法
JP2007167931A (ja) 無段変速機用動力伝達チェーンの製造方法
JP2006077802A (ja) 転がり摺動部材およびその製造方法
JP2006095583A5 (ja)
JP4082233B2 (ja) 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置
JP2008190554A (ja) 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置
JP2009097698A (ja) 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置
JP6256756B2 (ja) 動力伝達チェーンの製造方法
JP4507077B2 (ja) 動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置
JP2007113672A (ja) 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置
JP2008185166A (ja) 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置
JP4770317B2 (ja) 無段変速機、動力伝達チェーンおよび動力伝達装置
JP2009222106A (ja) 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置
JP2006002787A (ja) 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置
JP2008169975A (ja) 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置
JP2009079723A (ja) 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100319

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100511

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100708

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100727

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101019

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101101

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131126

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees