JP4631003B2 - タンパク質複合体検出方法、およびタンパク質複合体検出キット - Google Patents

タンパク質複合体検出方法、およびタンパク質複合体検出キット Download PDF

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Description

本発明は、2つのタンパク質による複合体形成を検出する技術に関するものであり、より詳しくは、転写因子によって転写を活性化されるレポーター遺伝子の転写をトランスに抑制するトランス転写抑制を指標として、複合体形成を検出するタンパク質複合体検出方法、およびタンパク質複合体検出キットに関するものである。
2つの異なるタンパク質による複合体形成を検出する方法として、従来知られたものに、いわゆるツーハイブリッドシステムを利用したものがある。この方法では、酵母の転写因子であるGAL4の機能的な再構成を通じて、レポーター遺伝子の転写を活性化する。そして、この転写活性化を検出することによって、2つ異なるタンパク質による複合体形成を検出する。以下では、その仕組みを、図6(a)、図6(b)および図7を参照して説明する。
ツーハイブリッドシステムでは、まず、図6(a)に示すように、GAL4を、DNAに結合する性質を有するDNA結合ドメイン(DBDと略す)112と、転写活性化能力を有する転写活性化ドメイン(ADと略す)122とに分離する。次に、GAL4のDBD112にXタンパク質111を連結させた、キメラタンパク質110を設計する。これに加えて、GAL4のAD122にYタンパク質121を連結させた、キメラタンパク質120aも設計する。
そして、キメラタンパク質110・120aをそれぞれコードする遺伝子を、プラスミドに繋げ、二種類のプラスミドを構築する。このとき、これらのプラスミドは、DBD112が結合可能なCISエレメント(CISと略す)132を有しており、レポーター遺伝子131(図中 Reporterと記載)のGAL4依存的な転写活性化が起こるように改変されている。そして、これらのプラスミドを、レポーター遺伝子131を有する酵母に導入する。
すると、キメラタンパク質110および120aが、遺伝子発現によって、酵母内に導入したプラスミドから合成される。
ここで、もしXタンパク質111およびYタンパク質121が、相互作用して複合体を形成すれば、図6(b)に示すように、この複合体形成を通じて、キメラタンパク質110およびキメラタンパク質120aが、複合体140を形成する。すると、DBD112およびAD122が複合体を形成して、転写因子GAL4を機能的に再構成する。
その結果、再構成されたGAL4は、レポーター遺伝子131の転写を促進(活性化)する。この転写活性化を検出することにより、従来方法では、Xタンパク質111とYタンパク質121とが、複合体を形成したことを決定できる。
一方、図7に示すように、従来方法において、キメラタンパク質120aの代わりに、Xタンパク質111とは複合体を形成しないZタンパク質123と、AD122とが連結したキメラタンパク質120bを用いた場合、複合体140は形成されない。したがって、DBD112およびAD122による、GAL4の機能的な再構成も起こらないため、レポーター遺伝子131の転写は促進されない。この場合、レポーター遺伝子131の転写活性化を検出できないため、Xタンパク質111とZタンパク質123とは、複合体を形成しないと決定できる。
以上のような特徴を有するツーハイブリッドシステムは、例えば、非特許文献1に開示されている。
ところで、本発明者は、任意の転写因子を転写抑制因子に転換するペプチドを種々見出している(例えば、特許文献1〜7、非特許文献2、3参照)。このペプチドは、Class II ERF(Ethylene Responsive Element Binding Factor)タンパク質や植物のジンクフィンガータンパク質(Zinc Finger Protein、例えばシロイヌナズナSUPERMANタンパク質等)から切り出されたもので、極めて単純な構造を有している。
[特許文献1]
日本国公開特許公報「特開2001−269177公報」(公開日:平成13年(2001)10月2日)
[特許文献2]
日本国公開特許公報「特開2001−269178公報」(公開日:平成13年(2001)10月2日)
[特許文献3]
日本国公開特許公報「特開2001−292776公報」(公開日:平成13年(2001)10月2日)
[特許文献4]
日本国公開特許公報「特開2001−292777公報」(公開日:平成13年(2001)10月23日)
[特許文献5]
日本国公開特許公報「特開2001−269176公報」(公開日:平成13年(2001)10月2日)
[特許文献6]
日本国公開特許公報「特開2001−269179公報」(公開日:平成13年(2001)10月23日)
[特許文献7]
日本国公開特許公報「特開2001−269176公報」(公開日:平成13年(2001)10月2日)
[非特許文献1]
遺伝子工学キーワードブック、緒方宣邦・野島博著、羊土社、254〜255頁、2000年
[非特許文献2]
Ohta,M., Matsui,K., Hiratsu,K., Shinshi,H. and Ohme-Takagi,M., The Plant Cell, Vol.13, 1959-1968, August, 2001
[非特許文献3]
Hiratsu,K., Ohta,M., Matsui,K., Ohme-Takagi,M., FEBS Letters 514(2002)351-354
ところが、上記ツーハイブリッドシステムでは、実際には複合体を形成しているにも関わらず複合体形成を検出できない場合があるという問題点を有している。
この問題の原因は、このシステムを使用して2つの異なるタンパク質の複合体形成を検出する際に、再構成した転写因子(GAL4)によるレポーター遺伝子131の転写活性化を指標としていることにある。
すなわち、ツーハイブリッドシステムでは、レポーター遺伝子131の転写活性化を指標として、複合体の形成を確認する。そのため、例えば、図6(a)・図6(b)に示すXタンパク質111や、あるいはYタンパク質121が、レポーター遺伝子131の転写を単独で促進できる性質を有する場合、これらのタンパク質が複合体を形成するまでもなく、レポーター遺伝子131の転写は促進される。一方、Xタンパク質111とYタンパク質121とが、複合体を形成する場合であっても、再構成されたGAL4によって、レポーター遺伝子131の転写が促進される。
したがって、いずれにせよ、レポーター遺伝子131の転写が促進されることになる。そのため、レポーター遺伝子131の転写活性化を検出できたとしても、その結果を元に、Xタンパク質111とYタンパク質121とが、複合体を形成したのか否かを決定できない。
このため、従来のツーハイブリッドシステムを利用したタンパク質複合体検出方法では、複合体形成を検出したいタンパク質として、遺伝子の転写を活性化する機能を有するタンパク質(数多くの転写因子)を選択できない。すなわち、この従来方法には、転写因子と他のタンパク質との複合体形成を検出できないという問題点がある。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、一般的なタンパク質に加えて、転写因子と転写因子以外のタンパク質とによる複合体形成をも検出できる、タンパク質複合体検出方法およびタンパク質複合体検出キットを提供することにある。
本願発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドが結合されたタンパク質が、転写因子に結合すると、この転写因子をトランスに転写抑制因子に転換することを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係るタンパク質複合体検出方法は、上記の課題を解決するために、第1タンパク質および第2タンパク質が複合体を形成するか否かを検出するために、遺伝子発現によりタンパク質を生産できるタンパク質合成系中にて、第1タンパク質を含む第1キメラタンパク質をコードする第1キメラ遺伝子と、第2タンパク質を含む第2キメラタンパク質をコードする第2キメラ遺伝子とを発現させるキメラ遺伝子発現工程と、第1タンパク質および第2タンパク質との複合体形成を検出する複合体確認工程とを含んでおり、上記第1キメラ遺伝子がコードする第1キメラタンパク質が、レポーター遺伝子のプロモーター配列を特異的に認識するDNA結合ペプチドと上記第1タンパク質とを結合したものであるタンパク質複合体検出方法において、上記第2キメラ遺伝子がコードする第2キメラタンパク質が、任意の転写因子を転写抑制因子に変換する機能性ペプチドと上記第2タンパク質とを結合したものであり、上記第1キメラタンパク質の第1タンパク質部分と、第2キメラタンパク質の第2タンパク質部分とが結合して複合体を形成した場合に、上記レポーター遺伝子の転写が抑制されるようになっているとともに、上記複合体確認工程では、上記レポーター遺伝子の転写が抑制されたか否かを確認することにより、複合体形成を検出するようになっていることを特徴としている。
本発明に係るタンパク質複合体検出方法の好ましい例としては、以下の方法が挙げられる。
第1タンパク質および第2タンパク質が複合体を形成するか否かを検出するために、遺伝子発現によりタンパク質を生産できる植物細胞を用いたタンパク質合成系中にて、第1タンパク質を含む第1キメラタンパク質をコードする第1キメラ遺伝子と、第2タンパク質を含む第2キメラタンパク質をコードする第2キメラ遺伝子とを発現させるキメラ遺伝子発現工程と、第1タンパク質および第2タンパク質との複合体形成を検出する複合体確認工程とを含んでおり、上記第1キメラ遺伝子がコードする第1キメラタンパク質が、レポーター遺伝子のプロモーター配列を特異的に認識するDNA結合ペプチドと上記第1タンパク質とを結合したものであるタンパク質複合体検出方法において、上記第2キメラ遺伝子がコードする第2キメラタンパク質が、任意の転写因子を転写抑制因子に変換する機能性ペプチドと上記第2タンパク質とを結合したものであり、上記第1キメラタンパク質の第1タンパク質部分と、第2キメラタンパク質の第2タンパク質部分とが結合して複合体を形成した場合に、上記レポーター遺伝子の転写が抑制されるようになっているとともに、上記複合体確認工程では、上記レポーター遺伝子の転写が抑制されたか否かを確認することにより、複合体形成を検出するようになっていることを特徴とするタンパク質複合体検出方法。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出方法では、さらに、上記第1キメラ遺伝子および第2キメラ遺伝子は、何れも発現ベクターに組み込まれて植物細胞に導入されることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出方法では、上記レポーター遺伝子は、発現ベクターに組み込まれて植物細胞に導入されることが好ましい。
本発明に係るタンパク質複合体検出方法の他の好ましい例としては、以下の方法が挙げられる。
第1タンパク質および第2タンパク質が複合体を形成するか否かを検出するために、遺伝子発現によりタンパク質を生産できる無細胞タンパク質合成系中にて、第1タンパク質を含む第1キメラタンパク質をコードする第1キメラ遺伝子と、第2タンパク質を含む第2キメラタンパク質をコードする第2キメラ遺伝子とを発現させるキメラ遺伝子発現工程と、第1タンパク質および第2タンパク質との複合体形成を検出する複合体確認工程とを含んでおり、上記第1キメラ遺伝子がコードする第1キメラタンパク質が、レポーター遺伝子のプロモーター配列を特異的に認識するDNA結合ペプチドと上記第1タンパク質とを結合したものであるタンパク質複合体検出方法において、上記第2キメラ遺伝子がコードする第2キメラタンパク質が、任意の転写因子を転写抑制因子に変換する機能性ペプチドと上記第2タンパク質とを結合したものであり、上記第1キメラタンパク質の第1タンパク質部分と、第2キメラタンパク質の第2タンパク質部分とが結合して複合体を形成した場合に、上記レポーター遺伝子の転写が抑制されるようになっているとともに、上記複合体確認工程では、上記レポーター遺伝子の転写が抑制されたか否かを確認することにより、複合体形成を検出するようになっていることを特徴とするタンパク質複合体検出方法。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出方法では、上記機能性ペプチドが、次に示す式(1)〜(4)
(1)X1−Leu−Asp−Leu−X2−Leu−X3
(但し、式中、X1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、X2はAsn又はGluを示し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(2)Y1−Phe−Asp−Leu−Asn−Y2−Y3
(但し、式中、Y1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、Y2はPhe又はIleを示し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(3)Z1−Asp−Leu−Z2−Leu−Arg−Leu−Z3
(但し、式中、Z1はLeu、Asp−Leu又はLeu−Asp−Leuを示し、Z2はGlu、Gln又はAspを示し、Z3は0〜10個のアミノ酸残基を示す。)
(4)Asp−Leu−Z4−Leu−Arg−Leu
(但し、式中、Z4はGlu、Gln又はAspを示す。)
の何れかで表されるアミノ酸配列を有するものであることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出方法では、上記機能性ペプチドが、次に示す式(5)
(5)α1−Leu−β1−Leu−γ1−Leu
(但し、式中α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、Ser又はHisを示し、γ1は、Arg、Gln、Asn、Thr、Ser、His、又はLysを示す。)
で表されるアミノ酸配列を有するものであることが好ましい。
本発明に係るタンパク質複合体検出方法の好ましい例としては、以下の方法が挙げられる。
第1タンパク質および第2タンパク質が複合体を形成するか否かを検出するために、遺伝子発現によりタンパク質を生産できるタンパク質合成系中にて、第1タンパク質を含む第1キメラタンパク質をコードする第1キメラ遺伝子と、第2タンパク質を含む第2キメラタンパク質をコードする第2キメラ遺伝子とを発現させるキメラ遺伝子発現工程と、第1タンパク質および第2タンパク質との複合体形成を検出する複合体確認工程とを含んでおり、上記第1キメラ遺伝子がコードする第1キメラタンパク質が、レポーター遺伝子のプロモーター配列を特異的に認識するDNA結合ペプチドと上記第1タンパク質とを結合したものであるタンパク質複合体検出方法において、上記第2キメラ遺伝子がコードする第2キメラタンパク質が、任意の転写因子を転写抑制因子に変換する上述の式(1)〜(5)の何れかで表されるアミノ酸配列を有する機能性ペプチドと上記第2タンパク質とを結合したものであり、上記第1キメラタンパク質の第1タンパク質部分と、第2キメラタンパク質の第2タンパク質部分とが結合して複合体を形成した場合に、上記レポーター遺伝子の転写が抑制されるようになっているとともに、上記複合体確認工程では、上記レポーター遺伝子の転写が抑制されたか否かを確認することにより、複合体形成を検出するようになっていることを特徴とするタンパク質複合体検出方法。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出方法では、さらに、上記タンパク質合成系として、植物細胞を用いることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出方法では、さらに、上記第1キメラ遺伝子および第2キメラ遺伝子は、何れも発現ベクターに組み込まれて植物細胞に導入されることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出方法では、上記レポーター遺伝子は、発現ベクターに組み込まれて植物細胞に導入されることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出方法では、上記タンパク質合成系として、無細胞タンパク質合成系を用いることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出方法では、上記DNA結合ペプチドとして、転写因子または転写因子に含まれるDNA結合ドメインを用いることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出方法では、上記レポーター遺伝子として、外観上その増減を相対的に確認することが可能なタンパク質をコードする遺伝子を用いることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出方法では、上記第1キメラ遺伝子、第2キメラ遺伝子、およびレポーター遺伝子は、それぞれ発現ベクターとして構築された上で、タンパク質合成系中に導入されることが好ましい。
本発明に係るタンパク質複合体検出キットは、上記の課題を解決するために、上述したタンパク質複合体検出方法を行うためのキットであることを特徴としている。
本発明に係る他のタンパク質複合体検出キットは、上記の課題を解決するために、レポーター遺伝子のプロモーター配列を特異的に認識するDNA結合ペプチドと第1タンパク質とを結合した第1キメラタンパク質を生産可能とする第1キメラ遺伝子発現ベクターと、任意の転写因子を転写抑制因子に変換する機能性ペプチドと第2タンパク質とを結合した第2キメラタンパク質を生産可能とする第2キメラ遺伝子発現ベクターとを含むことを特徴としている。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出キットでは、さらに、上記第1キメラ遺伝子発現ベクターは、少なくとも、(a)上記DNA結合ドメイン(DBD)をコードするポリヌクレオチドであるDBDセグメントと、(b)当該DBDセグメントに隣接し、少なくとも1種の制限酵素(RE)により認識される塩基配列を有するポリヌクレオチドである第1RE認識セグメントとを有しているとともに、上記第2キメラ遺伝子発現ベクターは、少なくとも、(c)上記機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドである機能性ペプチドセグメントと、(d)当該機能性ペプチドセグメントに隣接し、少なくとも1種の制限酵素(RE)により認識される塩基配列を有するポリヌクレオチドである第2RE認識セグメントとを有しており、上記第1キメラ遺伝子発現ベクターは、上記(b)第1RE認識セグメントに第1タンパク質をコードする遺伝子を組み込むことで、上記第1キメラタンパク質を生産可能とするとともに、上記第2キメラ遺伝子発現ベクターは、上記(d)第2RE認識セグメントに第2タンパク質をコードする遺伝子を組み込むことで、上記第2キメラタンパク質を生産可能とすることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出キットは、さらに、レポーター遺伝子を発現するレポーター遺伝子発現ベクターを含むことが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出キットでは、さらに、上記第1キメラ遺伝子発現ベクター、第2キメラ遺伝子発現ベクター、およびレポーター遺伝子発現ベクターのうち少なくとも何れかには、プロモーターとして、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターが含まれていることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出方法は、上昇している転写活性を抑制することによって、タンパク質相互作用を検出する方法であることから、エフェクターを入れていない状態で、ある程度レポーターの活性があった方が検出しやすい。したがって、レポーター遺伝子発現ベクターにはカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターなどのエンハンサーを含むことが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出キットでは、さらに、上記第1キメラ遺伝子発現ベクター、第2キメラ遺伝子発現ベクター、およびレポーター遺伝子発現ベクターのうち少なくとも何れかには、ターミネーターとして、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーターが含まれていることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出キットでは、さらに、上記DNA結合ペプチドとして、転写因子または転写因子に含まれるDNA結合ドメインが用いられることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出キットでは、さらに、上記DNA結合ペプチドとして、酵母GAL4タンパク質のDNA結合ドメインが用いられることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出キットでは、さらに、上記レポーター遺伝子として、外観上その増減を相対的に確認することが可能なタンパク質をコードする遺伝子が用いられることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出キットでは、さらに、上記レポーター遺伝子として、ルシフェラーゼ遺伝子が用いられることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出キットでは、さらに、上記機能性ペプチドが、次に示す式(1)〜(4)(1)X1−Leu−Asp−Leu−X2−Leu−X3
(但し、式中、X1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、X2はAsn又はGluを示し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(2)Y1−Phe−Asp−Leu−Asn−Y2−Y3
(但し、式中、Y1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、Y2はPhe又はIleを示し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(3)Z1−Asp−Leu−Z2−Leu−Arg−Leu−Z3
(但し、式中、Z1はLeu、Asp−Leu又はLeu−Asp−Leuを示し、Z2はGlu、Gln又はAspを示し、Z3は0〜10個のアミノ酸残基を示す。)
(4)Asp−Leu−Z4−Leu−Arg−Leu
(但し、式中、Z4はGlu、Gln又はAspを示す。)
の何れかで表されるアミノ酸配列を有するものであることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出キットでは、さらに、上記機能性ペプチドが、次に示す式(5)
(5)α1−Leu−β1−Leu−γ1−Leu
(但し、式中α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、Ser又はHisを示し、γ1は、Arg、Gln、Asn、Thr、Ser、His、又はLysを示す。)
で表されるアミノ酸配列を有するものであることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出キットでは、さらに、上記機能性ペプチドが、次に示す式(6)〜(8)
(6)α1−Leu−β1−Leu−γ2−Leu
(7)α1−Leu−β2−Leu−Arg−Leu
(8)α2−Leu−β1−Leu−Arg−Leu
(但し、各式中α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、α2は、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、Ser又はHisを示し、β2はAsn、Arg、Thr、Ser又はHisを示し、γ2はGln、Asn、Thr、Ser、His、又はLysを示す。)
の何れかで表されるアミノ酸配列を有するものであることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出キットでは、上記機能性ペプチドが、配列番号1〜38のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するペプチドであることが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質複合体検出キットでは、さらに、(a)植物細胞に発現ベクターを導入するための試薬群、(b)第1キメラ遺伝子発現ベクターまたは第2キメラ遺伝子発現ベクターに、第1タンパク質をコードする遺伝子または第2タンパク質をコードする遺伝子を組み込むための試薬群、および、(c)レポーター遺伝子の発現量の変化を確認するための試薬群のうち、少なくとも一つの試薬群を含むことが好ましい。
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
本発明に係るタンパク質複合体検出方法の仕組みを模式的に表した図であり、複合体を形成する前の状態を表す図である。 本発明に係るタンパク質複合体検出方法の仕組みを模式的に表した図であり、複合体を形成した状態を表す図である。 本発明に係るタンパク質複合体検出方法において、2つの異なるタンパク質が複合体を形成しない場合の状態を模式的に表す図である。 本発明の一実施例において、JUNタンパク質とFOSタンパク質との複合体形成を検出した実験結果を表す図である。 本発明の他の実施例において、JUNタンパク質とFOSタンパク質との複合体形成を検出した実験結果を表す図である。 本発明の他の実施例において、PIタンパク質とAP3タンパク質との複合体形成を検出した実験結果を表す図である。 ツーハイブリッドシステムを利用した従来のタンパク質複合体検出方法の仕組みを模式的に表した図であり、複合体を形成する前の状態を表す図である。 ツーハイブリッドシステムを利用した従来のタンパク質複合体検出方法の仕組みを模式的に表した図であり、複合体を形成した状態を表す図である。 ツーハイブリッドシステムを利用した従来のタンパク質複合体検出方法において、2つの異なるタンパク質が複合体を形成しない場合の状態を模式的に表す図である。 野生型のシロイヌナズナの種子を示す図である。 TTG1遺伝子にSRDXを付加した遺伝子で形質転換したシロイヌナズナの種子を示す図である。 リプレッションドメイン(SRDX)に変異を入れたドメインであるSRDXmを付加したTTG1遺伝子で形質転換したシロイヌナズナの種子を示す図である。 トリコームが形成されている野生型のシロイヌナズナの葉を示す図である。 TTG1遺伝子にSRDXを付加した遺伝子で形質転換したシロイヌナズナの葉においてトリコームの形成が抑制されている様子を示す図である。 SRDXmを付加したTTG1遺伝子で形質転換したシロイヌナズナの葉において野生型と同様にトリコームが形成されている様子を示す図である。 アントシアニンが蓄積されている野生型のシロイヌナズナの植物体を示す図である。 TTG1遺伝子にSRDXを付加した遺伝子で形質転換したシロイヌナズナの植物体においてアントシアニンの蓄積が抑制されている様子を示す図である。 SRDXmを付加したTTG1遺伝子で形質転換したシロイヌナズナの植物体において野生型と同様にアントシアニンが蓄積されている様子を示す図である。 野生型のシロイヌナズナの根を示す図である。 TTG1遺伝子にSRDXを付加した遺伝子で形質転換したシロイヌナズナの根において根毛が過剰形成されている様子を示す図である。 SRDXmを付加したTTG1遺伝子で形質転換したシロイヌナズナの根が野生型と同様の表現型を示すことを表す図である。 野生型のシロイヌナズナの種子表面においてコルメラが形成されていることを示す図である。 TTG1遺伝子にSRDXを付加した遺伝子で形質転換したシロイヌナズナの種子表面においてコルメラの形成が抑制されていることを示す図である。 SRDXmを付加したTTG1遺伝子で形質転換したシロイヌナズナの種子表面において野生型同様にコルメラが形成されていることを示す図である。 実施例において用いる組換え発現ベクターを構築するための構築用ベクターの構築方法を示す工程図である。 実施例において用いる構築用ベクターp35SGに、転写抑制転換ペプチドSRDXをコードする遺伝子とTTG1遺伝子とを組み込む工程図である。 形質転換用ベクターpBIGCKHの構築方法を示す工程図である。
以下、本発明の実施の一形態について、図1(a)〜図15に基づいて説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
(I)本発明に係るタンパク質複合体検出方法
本発明に係るタンパク質複合体検出方法(本方法)は、少なくとも、キメラ遺伝子発現工程と複合体確認工程とを含む方法である。
<本方法の概要>
まず、本発明の概要について、図1(a)・図1(b)を例に挙げて説明する。本発明では、第1タンパク質および第2タンパク質が複合体を形成するか否かを検出することを目的とする。そこで、図1(a)に示すように、まず、第1タンパク質をXタンパク質11とし、第2タンパク質をYタンパク質21とする。上記キメラ遺伝子発現工程では、タンパク質合成系にて、Xタンパク質11を含むキメラタンパク質10(第1キメラタンパク質)をコードする第1キメラ遺伝子と、Yタンパク質21を含むキメラタンパク質20a(第2キメラタンパク質)をコードする第2キメラ遺伝子とを発現させる。
ここで、上記第1キメラ遺伝子がコードするキメラタンパク質10は、DNA結合ペプチド(DBD)12とXタンパク質11とを結合したものである。DBD12は後述するように、レポーター遺伝子31に含まれるCISエレメント(CIS)32を特異的に認識するペプチドである。CIS32の上流域にはカリフラワーモザイクウイルス35Sのプロモーターなどを含むエンハンサー33が存在している。また、第2キメラ遺伝子がコードするキメラタンパク質20aは、任意の転写因子を転写抑制因子に変換する機能性ペプチド22とYタンパク質21とを結合したものである。レポーター遺伝子31は35Sプロモーターなどのエンハンサー33により、DNA結合ペプチド(DBD)12の転写活性能にかかわらず、転写が活性化されている。
次に、上記複合体確認工程では、Xタンパク質11およびYタンパク質21との複合体形成を検出する。具体的には、図1(b)に示すように、上記第1キメラタンパク質10のXタンパク質11部分と、第2キメラタンパク質20aのYタンパク質21部分とが結合して複合体40を形成した場合に、上記レポーター遺伝子31の転写が抑制されるようになっているので、レポーター遺伝子31の転写が抑制されたか否かを確認することにより、複合体形成を検出することになる。
すなわち、上記複合体40には機能性ペプチド22が含まれているが、この機能性ペプチド22の作用によって、DBD12が、レポーター遺伝子31の転写をトランスに(間接的に)抑制する。本方法では、この転写抑制化を複合体確認工程にて確認することによって、Xタンパク質11およびYタンパク質21が複合体を形成することを検出することができる。
一方、図2に示すように、第2タンパク質が、Xタンパク質11と複合体40を形成するYタンパク質21ではなく、複合体40を形成し得ないZタンパク質であるとする。この場合、タンパク質合成系中で生産される第2キメラタンパク質20bは、機能性ペプチド22とZタンパク質23とを結合したものとなる。そのため、第1キメラタンパク質10のXタンパク質11部分と、第2キメラタンパク質20bのZタンパク質23部分とは結合できず複合体40を形成しない。したがって、レポーター遺伝子31の転写は、キメラタンパク質10のDBD12部分の働きまたは自身のエンハンサー33によって活性化したままで、抑制されることがない。それゆえ、この転写抑制が起こらないことを確認することによって、Xタンパク質11およびZタンパク質23が複合体を形成しないことを検出することができる。
次に、本方法について、(1)キメラ遺伝子発現工程、(2)複合体確認工程の順に、より詳細に説明する。
(1)キメラ遺伝子発現工程
この工程では、キメラタンパク質10をコードする第1キメラ遺伝子と、キメラタンパク質20aをコードする第2キメラ遺伝子とを、レポーター遺伝子31を含んだタンパク質合成系において発現させる。
そこで、以下では、キメラタンパク質10に含まれるXタンパク質11およびDBD12と、キメラタンパク質20aに含まれるYタンパク質21および機能性ペプチド22とについて、詳細に説明する。さらに、レポーター遺伝子31およびタンパク質合成系についても、併せて詳細に説明する。
<Xタンパク質11>
Xタンパク質11は、後述するYタンパク質21と相互作用することにより、複合体を形成するかを決定したいタンパク質であり、原則として、任意のタンパク質とすることができる。ただし、Xタンパク質11には、後述するレポーター遺伝子31の転写を単独で抑制するタンパク質が含まれないものとする。このようなタンパク質は、本発明において、複合体を形成するか否かを決定できないからである。
その理由を、以下に説明する。Xタンパク質11が、レポーター遺伝子31の転写を単独で抑制できる場合、Yタンパク質21と複合体を形成するまでもなく、レポーター遺伝子31の転写を抑制する。一方、Xタンパク質11およびYタンパク質21が、複合体を形成する場合でも、やはり、レポーター遺伝子31の転写を抑制する。したがって、何れにせよ、複合体確認工程にて転写抑制が確認されるため、Xタンパク質11とYタンパク質21とが、複合体を形成したか、決定できない。
Xタンパク質11は、任意の長さのポリペプチドからなるものであればよい。さらに、ツーハイブリッドシステムを利用した従来のタンパク質複合体検出方法とは異なり、本方法では、Xタンパク質11を、任意の転写因子や、あるいは転写因子に結合する性質を有するタンパク質とすることもできる。これは、後述するキメラタンパク質複合体40によるレポーター遺伝子31の転写抑制は、転写因子であるXタンパク質11が存在する環境下において、優性に行われるからである。
<DBD12>
本方法で使用するDBD12は、後述するレポーター遺伝子31に含まれるCIS32(シスエレメント)へ結合することによって、レポーター遺伝子31の転写を活性化する能力を持つ、または転写活性を持たない、いわゆるDNA結合ペプチドである。
このDBD12は、転写因子そのもの、または転写因子内のDNA結合ドメインであればよい。例えば、DBD12は、GAL4、PAP1,EIN3,CUC1,CUC2,AtMYB23等の転写因子や、あるいはそれらに含まれるDNA結合ドメインとすることができるが、これらに限定されるものではない。なお、本方法では、DBD12として、酵母由来のGAL4のDNA結合ドメインを使用することが好ましい。
また、DBD12は、転写因子または転写因子に含まれるDNA結合ドメインを構成するアミノ酸配列のうち、必ずしも全てからなる必要は無い。すなわち、DBD12は、転写因子やそのDNA結合ドメインの全アミノ酸配列のうち、一部分からなるものあってもよい。
<Yタンパク質21>
Yタンパク質21は、上述したXタンパク質11と相互作用することによって、複合体を形成するか決定したいタンパク質であり、原則として、任意のタンパク質とすることができる。ただし、Yタンパク質21には、後述するレポーター遺伝子31の転写を単独で抑制するタンパク質が含まれないものとする。このようなタンパク質は、本発明において、複合体を形成するか否か決定できないからである。
その理由を、以下に説明する。Yタンパク質21が、レポーター遺伝子31の転写を単独で抑制できる場合、Xタンパク質11と複合体を形成するまでもなく、レポーター遺伝子31の転写を抑制する。一方、Yタンパク質21とXタンパク質11とが、複合体を形成した場合でも、やはり、レポーター遺伝子31の転写を抑制する。したがって、何れにせよ、複合体確認工程で転写抑制が確認されるため、Yタンパク質21とXタンパク質11とが複合体を形成したか、区別できない。
Yタンパク質21は、任意の長さのポリペプチドからなるものであってよい。さらに、ツーハイブリッドシステムを利用した従来のタンパク質複合体検出方法とは異なり、本方法では、Yタンパク質21を、任意の転写因子や、あるいは転写因子に結合する性質を有するタンパク質とすることもできる。これは、後述するキメラタンパク質複合体40によるレポーター遺伝子31の転写抑制は、転写因子であるYタンパク質21が存在する環境下において、優性に行われるからである。
<機能性ペプチド22>
本発明で用いられる、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチド22は、特に限定されるものではなく、転写因子と融合させたキメラタンパク質を形成させることにより、当該転写因子により制御される標的遺伝子の転写を抑制することができるペプチド(特許文献1〜7、非特許文献2,3等参照)であればよい。このペプチドは、Class II ERF(Ethylene Responsive Element Binding Factor)タンパク質や植物のジンクフィンガータンパク質(Zinc Finger Protein、例えばシロイヌナズナSUPERMANタンパク質等)から切り出されたもので、極めて単純な構造を有している。
機能性ペプチド22の一例の具体的な構造は、下記式(1)〜(4)の何れかで表されるアミノ酸配列となっている。
(1)X1−Leu−Asp−Leu−X2−Leu−X3
(但し、式中、X1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、X2はAsn又はGluを示し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(2)Y1−Phe−Asp−Leu−Asn−Y2−Y3
(但し、式中、Y1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、Y2はPheまたはIleを示し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(3)Z1−Asp−Leu−Z2−Leu−Arg−Leu−Z3
(但し、式中、Z1はLeu、Asp−LeuまたはLeu−Asp−Leuを示し、Z2はGlu、GlnまたはAspを示し、Z3は0〜10個のアミノ酸残基を示す。)
(4)Asp−Leu−Z4−Leu−Arg−Leu
(但し、式中、Z4はGlu、GlnまたはAspを示す。)
〔式(1)の機能性ペプチド22〕
上記式(1)の機能性ペプチド22においては、上記X1で表されるアミノ酸残基の数は0〜10個の範囲内であればよい。また、X1で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。換言すれば、上記式(1)の機能性ペプチド22においては、N末端側には、1個の任意のアミノ酸または2〜10個の任意のアミノ酸残基からなるオリゴマーが付加されていてもよいし、アミノ酸が何も付加されていなくてもよい。
このX1で表されるアミノ酸残基は、できるだけ短いほうがよい。具体的には、10個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましい。
同様に、上記式(1)の機能性ペプチド22においては、上記X3で表されるアミノ酸残基の数は少なくとも6個であればよい。また、X3で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。換言すれば、上記式(1)の機能性ペプチド22においては、C末端側には、6個以上の任意のアミノ酸残基からなるオリゴマーが付加されていればよい。上記X3で表されるアミノ酸残基は、最低6個あれば上記機能を示すことができる。
上記式(1)の機能性ペプチド22において、X1およびX3を除いた5個のアミノ酸残基からなるペンタマー(5mer)の具体的な配列は、配列番号39、40に示す。なお、上記X2がAsnの場合のアミノ酸配列が配列番号39に示すアミノ酸配列であり、上記X2がGluの場合のアミノ酸配列が配列番号40に示すアミノ酸配列である。
〔式(2)の機能性ペプチド22〕
上記式(2)の機能性ペプチド22においては、上記式(1)の機能性ペプチド22のX1と同様、上記Y1で表されるアミノ酸残基の数は0〜10個の範囲内であればよい。また、Y1で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。換言すれば、上記式(2)の機能性ペプチド22においては、上記式(1)の機能性ペプチド22と同様、N末端側には、1個の任意のアミノ酸または2〜10個の任意のアミノ酸残基からなるオリゴマーが付加されていてもよいし、アミノ酸が何も付加されていなくてもよい。
このY1で表されるアミノ酸残基は、できるだけ短いほうがよい。具体的には、10個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましい。
同様に、上記式(2)の機能性ペプチド22においては、上記式(1)の機能性ペプチド22のX3と同様、上記Y3で表されるアミノ酸残基の数は少なくとも6個であればよい。また、Y3で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。換言すれば、上記式(2)の機能性ペプチド22においては、上記式(1)の機能性ペプチド22と同様、C末端側には、6個以上の任意のアミノ酸残基からなるオリゴマーが付加されていればよい。上記Y3で表されるアミノ酸残基は、最低6個あれば上記機能を示すことができる。
上記式(2)の機能性ペプチド22において、Y1およびY3を除いた5個のアミノ酸残基からなるペンタマー(5mer)の具体的な配列は、配列番号41、42に示す。なお、上記Y2がPheの場合のアミノ酸配列が配列番号41に示すアミノ酸配列であり、上記Y2がIleの場合のアミノ酸配列が配列番号42に示すアミノ酸配列である。また、Y2を除いた4個のアミノ酸残基からなるテトラマー(4mer)の具体的な配列は、配列番号43に示す。
〔式(3)の機能性ペプチド22〕
上記式(3)の機能性ペプチド22においては、上記Z1で表されるアミノ酸残基は、1〜3個の範囲内でLeuを含むものとなっている。アミノ酸1個の場合は、Leuであり、アミノ酸2個の場合は、Asp−Leuとなっており、アミノ酸3個の場合はLeu−Asp−Leuとなっている。
一方、上記式(3)の機能性ペプチド22においては、上記式(1)の機能性ペプチド22のX1等と同様、上記Z3で表されるアミノ酸残基の数は0〜10個の範囲内であればよい。また、Z3で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。換言すれば、上記式(3)の機能性ペプチド22においては、C末端側には、1個の任意のアミノ酸または2〜10個の任意のアミノ酸残基からなるオリゴマーが付加されていてもよいし、アミノ酸が何も付加されていなくてもよい。
このZ3で表されるアミノ酸残基は、できるだけ短いほうがよい。具体的には、10個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましい。Z3で表されるアミノ酸残基の具体的な例としては、Gly、Gly−Phe−Phe、Gly−Phe−Ala、Gly−Tyr−Tyr、Ala−Ala−Ala等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
また、この式(3)で表される機能性ペプチド22全体のアミノ酸残基の数は、特に限定されるものではないが、合成するときの容易さからみれば、20アミノ酸以下であることが好ましい。
上記式(3)の機能性ペプチド22において、Z3を除いた7〜10個のアミノ酸残基からなるオリゴマーの具体的な配列は、配列番号44〜52に示す。なお、上記Z1がLeuかつZ2がGlu、GlnまたはAspの場合のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号44、45または46に示すアミノ酸配列であり、上記Z1がAsp−LeuかつZ2がGlu、GlnまたはAspの場合のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号47、48または49に示すアミノ酸配列であり、上記Z1がLeu−Asp−LeuかつZ2がGlu、GlnまたはAspの場合のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号50、51または52に示すアミノ酸配列である。
〔式(4)の機能性ペプチド22〕
上記式(4)の機能性ペプチド22は、6個のアミノ酸残基からなるヘキサマー(6mer)であり、その具体的な配列は、配列番号5、14、53に示す。なお、上記Z4がGluの場合のアミノ酸配列が配列番号5に示すアミノ酸配列であり、上記Z4がAspの場合のアミノ酸配列が配列番号14に示すアミノ酸配列であり、上記Z4がGlnの場合のアミノ酸配列が配列番号53に示すアミノ酸配列である。
特に、本発明において用いられる機能性ペプチド22は、上記式(4)で表されるヘキサマーのような最小配列を有するペプチドであってもよい。例えば、配列番号5に示すアミノ酸配列は、シロイヌナズナSUPERMANタンパク質(SUPタンパク質)の196〜201番目のアミノ酸配列に相当し、上述したように、本発明者が新たに上記転写抑制転換ペプチドとして見出したものである。
〔機能性ペプチド22のより具体的な例〕
上述した各式で表される機能性ペプチド22のより具体的な例として、例えば、配列番号1〜17のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するペプチドを挙げることができる。これらオリゴペプチドは、本発明者が上記転写抑制転換ペプチドであることを見出したものである(例えば、特許文献7参照)。
〔機能性ペプチド22の他の例〕
本発明者は、さらに、上記モチーフの構造について検討した結果、新たに6つのアミノ酸からなるモチーフを見出した。このモチーフは、具体的には、次に示す一般式(5)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである。これらのペプチドも、上記転写抑制転換ペプチドに含まれる。
(5)α1−Leu−β1−Leu−γ1−Leu
但し、上記式(5)中α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、Ser又はHisを示し、γ1は、Arg、Gln、Asn、Thr、Ser、His、またはLysを示す。
なお、上記一般式(5)で表される機能性ペプチド22を、便宜上、次に示す一般式(6)、(7)、(8)又は(9)で表されるアミノ酸配列を有しているペプチドに分類する。
(6)α1−Leu−β1−Leu−γ2−Leu
(7)α1−Leu−β2−Leu−Arg−Leu
(8)α2−Leu−β1−Leu−Arg−Leu
(9)Asp−Leu−β3−Leu−Arg−Leu
但し、上記各式中、α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、α2は、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示す。また、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、Ser又はHisを示し、β2はAsn、Arg、Thr、Ser又はHisを示し、β3は、Glu、Asp又はGlnを示す。さらに、γ2は、Gln、Asn、Thr、Ser、His、またはLysを示す。
上記式(5)〜(9)で表されるアミノ酸配列を有する機能性ペプチド22のより具体的な例としては、配列番号18〜36で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを挙げることができる。このうち、配列番号25、26、28又は30のペプチドは、一般式(6)に示されるペプチドに相当し、配列番号18、21、31、32又は33のペプチドは、一般式(7)に示されるペプチドに相当し、配列番号22、23、24、27、又は29のペプチドは、一般式(8)に示されるペプチドに相当し、配列番号19又は20のペプチドは、一般式(9)に示されるペプチドに相当する。
また、上記一般式(5)〜(9)に示されるペプチド以外にも、配列番号37または38で表されるアミノ酸配列を有する機能性ペプチド22を用いることもできる。
<レポーター遺伝子>
本発明で利用できるレポーター遺伝子31は、DBD12が結合することができるものである必要はあるが、必ずしもDBD12によって転写が活性化される遺伝子である必要はない。例えば、リポーター遺伝子31がエンハンサー33をプロモーター領域に備えていれば、必ずしもDBD12によって転写が活性化される必要はない。このレポーター遺伝子31には、DBD12が結合するプロモーター配列やエフェクター領域が結合していていることが好ましい。
さらに、このレポーター遺伝子31は、遺伝子の転写が抑制されているか否かを、何らかの手段によって確認できる遺伝子であることが好ましい。具体的には、レポーター遺伝子31は、外観上その増減を相対的に確認することが可能なタンパク質をコードする遺伝子であることが好ましい。
このような条件に該当する遺伝子の例を挙げると、ルシフェラーゼ遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子、β−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子、およびβ−ガラクトシダーゼ(lacZ)遺伝子等があるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、ルシフェラーゼ遺伝子を用いることが好ましい。
レポーター遺伝子31を取得するためには、公知の技術を用いればよい。例えば、生体内のDNAからレポーター遺伝子31を制限酵素で切断した後、電気泳動等で単離すれば、レポーター遺伝子31を調製できる。または、ポリヌクレオチド合成機を使用して、レポーター遺伝子31を化学的に合成してもよい。あるいは、レポーター遺伝子31の塩基配列を鋳型にして、PCR等のDNA増幅技術を用いて大量に調製してもよい。
<タンパク質合成系>
本方法では、上述のキメラ遺伝子およびレポーター遺伝子31を、遺伝子発現によりタンパク質を生産できるタンパク質合成系中にて発現させる。このようなタンパク質合成系として、後述するように、植物や動物の細胞を使用することが好ましいが、無細胞タンパク質合成系を使用することもできる。
例えば、遺伝子のDNAからメッセンジャーRNAを転写するために必要なDNA依存性RNAポリメラーゼ、およびメッセンジャーRNAの材料となるヌクレオチド、mRNAからタンパク質を翻訳するために必要なリボソームRNA、翻訳されるタンパク質の材料となる各種のアミノ酸、などが含まれており、これらの酵素やヌクレオチド、アミノ酸を基に、遺伝子からメッセンジャーRNAへの転写、および転写されたメッセンジャーRNAからタンパク質への翻訳が行われうる環境を、本方法で使用可能な無細胞タンパク質合成系として挙げることができる。
<組換え発現ベクター>
なお、本方法では、以下に説明するように、上記したキメラ遺伝子やレポーター遺伝子31を、それぞれ組換え発現ベクターに組み込んで、タンパク質合成系に導入することが好ましい。そこで、以下では、本方法で使用可能な組換え発現ベクターについて説明する。
〔キメラタンパク質10をコードするキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクター〕
キメラタンパク質10をコードするキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクター(第2キメラ遺伝子発現ベクター)は、DBD12のアミノ酸配列をコードする塩基配列と、Xタンパク質11のアミノ酸配列をコードする塩基配列とが結合した、キメラ塩基配列(第1キメラ遺伝子)を含む構成であればよい。
その際、これらの塩基配列に相当するポリヌクレオチドを取得するためには、上述のレポーター遺伝子31を取得する方法として説明した、公知技術を含む任意の手法を利用すればよい。
また、この組換え発現ベクターに、上記のキメラ塩基配列に相当するポリヌクレオチドを組み込む場合、上記のキメラ塩基配列に相当するポリヌクレオチドそのものを、組換え発現ベクターに直接的に組み込めばよい。あるいは、DBD12またはXタンパク質11のアミノ酸配列をコードする塩基配列に相当するポリヌクレオチドの一方が事前に組み込まれている発現ベクターに、読み枠が一致するように設計した、もう一方のポリヌクレオチドを組み込んでもよい。
なお、この組換え発現ベクターを構築する際には、プラスミド、ファージ、またはコスミドなどに、上記したポリヌクレオチドを組み込めばよい。
〔キメラタンパク質20aをコードするキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクター〕
キメラタンパク質20aをコードするキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクター(第2キメラ遺伝子発現ベクター)は、機能性ペプチド22のアミノ酸配列をコードする塩基配列と、Yタンパク質21のアミノ酸配列をコードする塩基配列が結合した、キメラ塩基配列(第2キメラ遺伝子)を含む構成であればよい。
その際、これらの塩基配列に相当するポリヌクレオチドを取得するためには、上述のレポーター遺伝子31を取得する方法として説明した、公知技術を含む任意の手法を利用すればよい。
また、この組換え発現ベクターに、上記のキメラ塩基配列に相当するポリヌクレオチドを組み込む場合、このポリヌクレオチドそのものを組換え発現ベクターに直接組み込めばよい。あるいは、機能性ペプチド22またはYタンパク質21のアミノ酸配列をコードする塩基配列に相当するポリヌクレオチドの一方が事前に組み込まれている発現ベクターに、読み枠が一致するように設計した、もう一方のポリヌクレオチドを組み込んでもよい。
ここで、機能性ペプチド22のアミノ酸配列をコードする塩基配列は、遺伝暗号表に基づいて、上記の一般式(1)〜(9)に示されるアミノ酸配列、配列番号16、または配列番号17のペプチドをコードする塩基配列を有するものであればよい。
例えば、機能性ペプチド22のアミノ酸配列をコードする塩基配列に相当するポリヌクレオチドの具体例として、配列番号54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、116、118、120、122、124、126、又は128に示される塩基配列を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。
また、配列番号53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、又は129に示されるポリヌクレオチドは、それぞれ、上記例示されたポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチドである。これらのポリヌクレオチドは、以下の表1に示すように、配列番号1〜38に示されるアミノ酸配列に対応するものである。
これらの塩基配列には、必要に応じて、Yタンパク質21をコードする遺伝子と連結するための連結部位となる塩基配列を含めてもよい。さらに、これらの塩基配列の読み枠と、Yタンパク質21のアミノ酸配列をコードする遺伝子の塩基配列の読み枠とが一致しない場合には、これらを一致させるための付加的な塩基配列を含んでいてもよい。
また、この組換え発現ベクターを構築する際には、プラスミド、ファージ、またはコスミドなどに、上記したポリヌクレオチドを組み込めばよい。
〔レポーター遺伝子31を含む組換え発現ベクター〕
レポーター遺伝子31を含む組換え発現ベクター(レポーター遺伝子発現ベクター)は、上述のようにして取得できるレポーター遺伝子31の塩基配列に相当するポリヌクレオチドを、プラスミド、ファージ、またはコスミドなどに組み込んだものであればよい。
〔発現ベクターに組み込み可能な他の領域〕
上述した3種類の組換え発現ベクターには、種々のDNAセグメントを含めてもよい。例えば、これらの組換え発現ベクターの少なくとも何れかには、遺伝子を発現させるための任意のプロモーター配列が含まれていることが好ましい。その際、プロモーターとして、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターを用いることが好ましい。なお、他にも、イネのアクチンプロモーターを用いることもできる。
さらに、これらの組換え発現ベクターの少なくとも何れかには、任意のターミネーター領域が含まれていることが好ましい。その際、ターミネーターとして、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーターを使用することが好ましい。
また、以上の3種類の、本発明で利用できる組換え発現ベクターは、何れも、公知の任意手法を用いて生産(増殖)できる。一般的には、大腸菌をホストとして、当該菌の細胞内で増殖させればよい。このときベクターの種類に応じて、好ましい大腸菌の種類を選択してもよい。
〔形質転換体〕
本発明では、上記した3種類の組換え発現ベクターを、任意の細胞に導入してこれを形質転換体に転換させることによって、この形質転換体内で、遺伝子発現によりキメラタンパク質10および20aを生産させることが好ましい。
ここで、これらの組換え発現ベクターを導入する細胞は、キメラタンパク質10や20aを、遺伝子発現により生産できる細胞であればよい。このような細胞として、植物細胞を挙げることができる。なお、ここでいう植物細胞には、単離された植物細胞のみならず、植物体に含まれた状態の細胞、花・葉・根等の植物器官における各組織に含まれた状態の細胞、カルス内の細胞、および懸濁培養細胞等も含まれる。
また、上記の組換え発現ベクターは、植物細胞以外にも、動物細胞やヒト細胞、あるいはこれらの細胞由来の培養細胞に導入することもできる。
また、本発明では、組換え発現ベクターを、Xタンパク質11やYタンパク質21が本来存在する細胞種以外の細胞に導入してもよい。すなわち、本発明では、様々な細胞種由来のXタンパク質11やYタンパク質21による複合体形成の検証を、異種または同種の一種類の細胞(例えば植物細胞)において行うことができる。言い換えると、本発明では、組換え発現ベクターを導入する細胞において、本来その細胞には存在しないタンパク質の複合体形成をも検証できる。
例えば、本発明では、酵母やヒト由来のXタンパク質11やYタンパク質21をコードする遺伝子を含む組換え発現ベクターを、植物細胞に導入してもよい。この場合であっても、Xタンパク質11およびYタンパク質21による複合体形成の検証を行うことができる。
なお、本発明では、組換え発現ベクターを導入する細胞を、Xタンパク質11やYタンパク質21が本来存在する細胞とすれば、これらのタンパク質の複合体形成を、より本来の条件に近い環境下で検証することができる。例えば、Xタンパク質11やYタンパク質21が植物由来のタンパク質であれば、組換え発現ベクターを植物細胞に導入することによって、動物細胞に導入する場合に比べて、より本来の生体内環境に近い条件でタンパク質複合体の形成を検証できる。
また、組換え発現ベクターは、細胞内に結果的に導入できればよい。すなわち、組換え発現ベクターを、単離された単独の細胞に直接的に導入するだけでなく、各種生物の組織、器官あるいは個体(植物体や動物体等)に対して導入してもよい。この場合、組換え発現ベクターは、組織、器官あるいは個体が有する細胞内に導入されればよい。
ここで、組換え発現ベクターを導入する個体は、植物であっても動物であってもよい。個体が植物であれば、例えばシロイヌナズナ、タバコ、イネ、あるいはペニチュア等に導入できるが、これらに限定されるものではない。動物であれば、マウス、ラット、ショウジョウバエ、線虫等に導入できるが、これらに限定されるものではない。
また、組換え発現ベクターを細胞や個体に導入するためには、任意の遺伝子導入方法を用いればよい。このような方法として、パーティクルガン法、プロトプラスト/スフェロプラスト法、アグロバクテリウム法、エレクトロポレーション法(電気穿孔法)、リン酸カルシウム法、リボソーム、DEAEデキストラン法等があるが、これらに限定されるものではない。
また、組換え発現ベクターが細胞に導入され、なおかつ導入された細胞内で遺伝子を確実に発現しているか否かを確認するために、各種のマーカーを用いてもよい。例えば、導入した細胞内で欠失している遺伝子をマーカーとして用い、このマーカーと本発明の遺伝子とを含むプラスミド等を発現ベクターとして、細胞に導入する。これにより、マーカー遺伝子の発現を指標として、本発明の遺伝子が導入されたか否か確認できる。
また、組換え発現ベクターには、形質転換体における発現部位を可視化してモニターするための遺伝子を導入することもできる。このような遺伝子の一例として、β−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子があるが、この遺伝子に限定されるものではない。
(2)複合体確認工程
この工程では、レポーター遺伝子31の転写が抑制されたか否かを確認することにより、Xタンパク質11およびYタンパク質21による複合体形成を検出する。
具体的には、レポーター遺伝子31の転写活性が、コントロールの条件下に比べて顕著に抑制されているか否かを基準として、Xタンパク質11およびYタンパク質21による複合体が形成された否かを決定する。
ここで、レポーター遺伝子31の転写活性を測定する際には、公知手法を含む任意の手法を利用すればよい。具体的には、レポーター遺伝子31がコードするタンパク質の発現量、あるいは、その活性度を測定すればよい。
例えば、レポーター遺伝子31がCAT遺伝子である場合には、CATタンパク質の酵素活性を測定する。また、レポーター遺伝子31がルシフェラーゼ遺伝子である場合には、ルシフェラーゼタンパク質によって引き起こされる、ルシフェリンの発光を測定する。
他にも、レポーター遺伝子31の転写産物が、植物や動物の形態に顕著な変化をもたらす性質のものである場合、タンパク質合成系として、植物や動物(に含まれる細胞)を用いれば、そのような形態変化の度合いを指標として、レポーター遺伝子31の転写活性度を測定できる。
(II)タンパク質複合体検出キット
本発明に係るタンパク質複合体検出キット(本キット)として、まず、上述したタンパク質複合体検出方法を行うためのキットを挙げることができる
また、本キットとして、レポーター遺伝子31のプロモーター配列を特異的に認識するDBD12(DNA結合ペプチド)とXタンパク質11(第1タンパク質)とを結合したキメラタンパク質10(第1キメラタンパク質)を生産可能とする第1キメラ遺伝子発現ベクターと、任意の転写因子を転写抑制因子に変換する機能性ペプチド22とYタンパク質21(第2タンパク質)とを結合したキメラタンパク質20a(第2キメラタンパク質)を生産可能とする第2キメラ遺伝子発現ベクターとを含むことを特徴したキットを挙げることもできる。
また、本キットでは、上記第1キメラ遺伝子発現ベクターは、少なくとも、(a)DBD21をコードするポリヌクレオチドであるDBDセグメントと、(b)当該DBDセグメントに隣接し、少なくとも1種の制限酵素(RE)により認識される塩基配列を有するポリヌクレオチドである第1RE認識セグメントとを有しているとともに、上記第2キメラ遺伝子発現ベクターは、少なくとも、(c)機能性ペプチド22をコードするポリヌクレオチドである機能性ペプチドセグメントと、(d)当該機能性ペプチドセグメントに隣接し、少なくとも1種の制限酵素(RE)により認識される塩基配列を有するポリヌクレオチドである第2RE認識セグメントを有しており、上記第1キメラ遺伝子発現ベクターは、上記(b)第1RE認識セグメントにXタンパク質11をコードする遺伝子を組み込むことで、キメラタンパク質10を生産可能とするとともに、上記第2キメラ遺伝子発現ベクターは、上記(d)第2RE認識セグメントにYタンパク質21をコードする遺伝子を組み込むことで、キメラタンパク質20aを生産可能とすることが好ましい。
また、本キットには、レポーター遺伝子31を発現するレポーター遺伝子発現ベクターを含むことが好ましい。この発現ベクターを含むことによって、本キットを、レポーター遺伝子31が存在しない細胞においても使用できる。
さらに、本キットには、(a)植物細胞に発現ベクターを導入するための試薬群、(b)第1キメラ遺伝子発現ベクターまたは第2キメラ遺伝子発現ベクターに、Xタンパク質11をコードする遺伝子またはYタンパク質21をコードする遺伝子を組み込むための試薬群、および、(c)レポーター遺伝子31の発現量の変化を確認するための試薬群のうち、少なくとも一つの試薬群が含まれることが好ましい。
これらの試薬群を本キットに含むことによって、発現ベクターを植物細胞に確実に導入したり、遺伝子を発現ベクターに確実に組み込めたり、あるいは、レポーター遺伝子31の発現量の変化を確実に確認したりできる。なお、ここでいう「試薬群」には、酵素や塩類等の一般的な試薬の他に、一連の操作に使用される器具等を含んでもよいものとする。
さらに、本キットにおいて使用可能な機能性ペプチド、機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチド、タンパク質合成系、組換え発現ベクター、レポーター遺伝子、形質転換体、プロモーター、およびターミネーターについては、本発明に係るタンパク質複合体検出方法と共通するものである。
したがって、本キットを使用すれば、上述したタンパク質複合体検出方法を使用する場合と同様の効果を得ることができる。
なお本発明は、以上示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる新たな実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、本発明の好ましい態様を実施例においてより詳細に説明するが、以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明がこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。
〔実施例1〕
本実施例では、本発明に係るタンパク質複合体検出方法によって、2つのタンパク質の複合体形成を検出できることを証明するため、すでに複合体を形成することが確かめられている2つのタンパク質を使用して、複合体検出のモデル実験を行った。
具体的には、ヒトJUNおよびFOSタンパク質の相互作用領域を、それぞれ、Xタンパク質11およびYタンパク質21として使用した。なお、これらのタンパク質は、複合体を形成した場合、転写因子として機能することが知られている。ここで、配列表において、ヒトJUNの全アミノ酸配列を配列番号130に示し、そのアミノ酸配列をコードする塩基配列を配列番号131に示す。また、配列表において、ヒトFOSの全アミノ酸配列を配列番号132に示し、そのアミノ酸配列をコードする塩基配列を配列番号133に示す。
<転写因子GAL4とヒトJUNとが連結したキメラタンパク質をコードするキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクターの作製>
〔p35S-NOSの構築〕
pBI221プラスミド(クローンテック社)を、制限酵素XhoIとSacIとで消化した。この消化物をT4ポリメラーゼで平滑末端化処理した後、アガロースゲル電気泳動を行って、消化物からGUS遺伝子を除去した。以上の処理によって、カリフラワーモザイクウイルス35Sのプロモーター(以下、CaMV35Sと略す)およびノパリン合成酵素遺伝子の転写終止領域(NOSターミネーター、以下Nos-terと略す)を含む、p35S-NOSプラスミド断片DNAを得た。
〔p35S-GAL4DBDの構築〕
pAS2-1ベクター(クローンテック社)を制限酵素HindIIIで消化した。この消化物から、アガロースゲル電気泳動を行って、GAL4タンパク質のDNA結合領域(1〜147アミノ酸残基)をコードする748bpのDNA断片(以下、GAL4DBと略す)を単離した。単離したGAL4DBに対して、T4DNAポリメラーゼで平滑末端化処理を行った。このGAL4DBコード領域を含むDNA断片を、p35S-NOSにおける、CaMV35SとNos-terとの間の、平滑末端化処理した部分に挿入した。このようにして得たベクターの中から、CaMV35Sに対して、GAL4タンパク質のDNA結合領域のオープンリーディングフレームが順方向に並んでいるものを選抜して、p35S-GAL4DBDを構築した。
〔pGal4DB-JUNの構築〕
GAL4DBDの読み枠(フレーム)が一致するように設計した、ヒトJUN遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列277〜315番(配列番号134)に相当する領域の、リン酸化した5末端アッパープライマー(配列番号135)と、制限酵素SalIによって認識される部位を有する3末端ローワープライマー(配列番号136)とを化学的に合成した。
これらのプライマーを用いて、JUNタンパク質のアミノ酸配列277〜315番に相当するコード領域を、PCR法によって増幅し、DNA断片を得た。このとき、変性反応を95℃で1分、アニーリングを58℃で30秒、さらに伸長反応を74℃で20秒行った。これらの一連の反応を1サイクルとして、合計で30サイクル行い、DNAを増幅した。このようにして得たDNA断片を、制限酵素SalIで消化した。得られた消化物から、アガロースゲル電気泳動によって目的のDNA断片を単離した。このJUNをコードするDNA断片を、あらかじめ制限酵素SmaIとSalIとで消化しておいたp35S-GAL4DBDに組込み、エフェクタープラスミドpGAL-JUNを構築した。
<機能性ペプチドとヒトFOSとが連結したキメラタンパク質をコードするキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクターの作製>
〔p35s-NLS-NOSの構築〕
まず、SV40 T-antigen nuclear localization sequenceである核移行シグナル配列(配列番号137)をコードする2つのDNAストランド(配列番号138、配列番号139)を化学的に合成した。その際、これらのDNAストランドの5末端をリン酸化し、それからアニーリングして、2本鎖DNAとした。このようにして合成したDNA断片を、p35S-NOSベクターのSmaI部位に挿入した。こうして得たベクターの中から、CaMV35Sに対して上記のDNA断片が順方向に並んでいるものを選抜することによって、核移行シグナル配列をコードするDNAストランドの3末端にSmaI部位を有するp35s-NLS-NOSを構築した。
〔NLS-FOS-SRDXの構築〕
まず、JUNと相互作用するFOSタンパク質のアミノ酸配列133〜215番を含み、かつ、C末端にリプレッションドメインであるSRDX(本発明の機能性ペプチド、配列番号140)が連結されたキメラタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列に相当するDNAを得るために必要な、5’末端アッパープライマー(配列番号141)および3’末端ローワープライマー(配列番号142)をそれぞれ化学的に合成した。
これらのプライマーを用いて、FOSタンパク質のアミノ酸配列133〜215番に上記のSRDXが連結したアミノ酸配列をコードする塩基配列に相当するキメラDNAを、PCR法によって増幅し、DNA断片を得た。このとき、変性反応を95℃で1分、アニーリングを58℃で30秒、および伸長反応を74℃で30秒、それぞれ行った。これらの一連の反応を1サイクルとして、合計30サイクル行い、DNA断片を増幅した。こうして得たDNA断片を制限酵素SalIで消化し、次に、アガロースゲル電気泳動を行って、得られた消化物から目的のDNA断片を単離した。こうして得た目的のDNA断片を、あらかじめ制限酵素SmaIとSalIとで消化しておいたp35S-NLS-NOSに組込み、エフェクタープラスミドpNLS-FOS-SRDXを構築した。
〔NLS-FOSの構築〕
まず、JUNと相互作用するFOSタンパク質のアミノ酸配列133〜215番を含むタンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列に相当するDNA(FOS−DNA)を得るための、5’末端アッパープライマー(配列番号141)および3’末端ローワープライマー(配列番号143)をそれぞれ化学的に合成した。
これらのプライマーを用いて、FOS−DNAをPCR法によって増幅し、DNA断片を得た。このとき、変性反応を94℃で1分、アニーリングを58℃で30秒、および伸長反応を74℃で30秒、それぞれ行った。これらの一連の反応を1サイクルとして、合計30サイクル行い、DNA断片を増幅した。こうして得たDNA断片を制限酵素SalIで消化し、次に、アガロースゲル電気泳動を行って、消化物から目的のDNA断片を単離した。こうして得た目的のDNA断片を、あらかじめ制限酵素SmaIとSalIとで消化しておいたp35S-NLS-NOSに組込み、エフェクタープラスミドpNLS-FOSを構築した。
<レポーター遺伝子を含む組換え発現ベクターの作製>
〔35S-GAL4-LUCレポーター遺伝子の構築〕
まず、pBI221プラスミド(クローンテック社)を制限酵素EcoRIとSstIとで消化して、この消化物からNos-terを含む270bpのDNA断片を、アガロースゲル電気泳動によって単離した。そして、単離したDNA断片を、制限酵素EcoRIとSstIで消化しておいたプラスミドpUC18の、EcoRI-SstI部位に挿入した。
次に、CaMV35SのTATA-Boxを含む相補鎖のDNA1(配列番号144)およびDNA2(配列番号145)を合成した。
合成したDNAを90℃で2分間加熱した後、さらに60℃で1時間、加熱した。その後、室温(25℃)で2時間、静置してアニーリングさせて、2本鎖を形成させた。次に、Nos-terを有するpUC18プラスミドを、制限酵素HindIIIとBamHIとで消化した。このpUC18のHindIII−BamHI部位に、合成した2本鎖DNAを挿入し、TATA-BoxとNos-terとを含むプラスミドを構築した。このプラスミドを制限酵素SstIで消化し、T4DNAポリメラーゼで平滑末端化処理を行った。
〔pTATA-LUCレポーター遺伝子の構築〕
次に、ホタル・ルシフェラーゼ遺伝子(LUC)をもつプラスミドベクターpGV-CS2(商品名、東洋インキ社製)を、制限酵素XbaIとNcoIで消化した。この消化物に対してT4DNAポリメラーゼで平滑末端化処理を行った後、アガロースゲル電気泳動によって、この消化物からルシフェラーゼ遺伝子を含む1.65kbのDNA断片を単離して精製した。精製したDNA断片を、上記のTATA-BoxとNos-terとを含むプラスミドに挿入し、pTATA-LUCレポーター遺伝子を構築した。
〔レポーター遺伝子pGAL4-LUCの構築〕
次に、酵母GAL4タンパク質のDNA結合配列を5コピー持つプラスミドpG5CAT(商品名、クローンテック社製)を、制限酵素SmaIとXbaIとによって消化した。この消化物に対してT4DNAポリメラーゼで平滑末端化処理を行った後、5コピーのGAL4タンパク質のDNA結合配列を含むDNA断片を、この消化物からアガロースゲル電気泳動で単離精製した。さらに、pTATA-LUCベクターを制限酵素BglIIで消化し、得た消化物に対してT4DNAポリメラーゼで平滑末端化処理を行った。この部位に、平滑末端化した5コピーのGAL4タンパク質のDNA結合配列を含むDNA断片を挿入した。このようにして得たプラスミドのうち、GAL4タンパク質のDNA結合配列が順方向に向いているものを選抜し、レポーター遺伝子pGAL4-LUCを構築した。
〔p35S-GAL4-LUCレポーター遺伝子の構築〕
プラスミドpBI121を鋳型としてPCRを行い、CaMV35Sの塩基配列のうち−800〜−46番目の領域を含むDNA断片を得た。このときPCRに用いた5’末端アッパープライマーおよび3’末端ローワープライマーは、それぞれ配列番号146および147に示す通りである。
このDNA断片を、制限酵素HindIIIで消化した後、上記−800〜−46番目の領域を含む760bpのDNA断片を、消化物からアガロースゲル電気泳動によって単離した。このHindIII断片を、あらかじめ制限酵素HindIIIで消化しておいたレポーター遺伝子pGAL4-LUCに挿入した。このようにして得たプラスミドの中から、CaMV35SのDNAが順方向に向いているものを選抜し、p35S-GAL4-LUCレポーター遺伝子を構築した。
<リファレンス遺伝子pPTRLの構築>
ウミシイタケ由来のルシフェラーゼ遺伝子をもつカセットベクターpRL-null(商品名:プロメガ社製)を制限酵素NheIとXbaI制限酵素で切断し、T4DNAポリメラーゼで平滑末端化処理を行った後、アガロースゲル電気泳動でウミシイタケ・ルシフェラーゼ遺伝子を含む948bpのDNA断片を精製した。このDNA断片を、エフェクタープラスミドの構築の際に用いた、GUS遺伝子を除いたpBI221ベクターのGUS遺伝子があった領域に挿入した。こうして得たプラスミドのうち、ウミシイタケ・ルシフェラーゼ遺伝子が順方向に向いているものを選抜し、pPTRLを構築した。
<レポーター遺伝子の活性測定法>
シロイヌナズナに、レポーター遺伝子とエフェクタープラスミドとをパーティクルガン法にて導入し、エフェクターの効果を、レポーター遺伝子の活性を測定することにより調べた。
<パーティクルガン法による遺伝子導入>
pGAL4-LUCレポーター遺伝子1.6μgと、エフェクタープラスミドの総DNAを1.2μgと、リファレンス遺伝子プラスミド0.4μgを直径1μmの金粒子(バイオラッド社製)510μgにコーティングした。生育期間21日目のシロイヌナズナ葉4〜7枚を、水で湿らせた濾紙をおいた9cmシャーレに並べ、この葉に、バイオラッド社製PDS−1000/Heボンバートメント機を用いてDNAを打ち込んだ。
なお、バイオラッド社製PDS−1000/Heボンバートメント機を用いたシロイヌナズナ葉へのDNAの導入は、以下の条件で行った。金粒子を葉に導入するためのガス圧を調節するラプチャーディスクは、1100psi用を用いた。金粒子を打ち込むシロイヌナズナの葉を並べたサンプル台は、ラプチャーディスクの位置より約20cm下の位置にセットするために、器機の高さを調節する段の下から3段目に設置した。それ以外の条件は、器機の操作マニュアルに従った。
金粒子を打ち込んだ葉は22℃、14〜18時間、明所で静置し、それからレポーター遺伝子の活性を測定した。
<ルシフェラーゼ活性測定>
14〜18時間静置したシロイヌナズナ葉を、液体窒素中で粉砕し、Dual-LuciferaseTM Reporter Assay System(プロメガ社製)に添付されているPassive Lysis Buffer200μlに懸濁した後、遠心して上清を回収した。この細胞抽出液20μlをDual-LuciferaseTM Reporter Assay System(プロメガ社製)に添付されている測定バッファー100μlに混合し、ルミノメーター(TD20/20,Turener Design社製)を用いてルシフェラーゼ活性測定を行った。ホタル・ルシフェラーゼおよびウミシイタケ・ルシフェラーゼ活性を、測定キットの説明書にしたがって、10秒間の発光を積分モードでカウントして測定した。リファレンス遺伝子の活性値をレポーター遺伝子の活性値で割り、その相対値であるRelative lucifarase activityを、測定値として求めた。
実験は、エフェクタープラスミドの種類ごとに3回、個別にトランジェントアッセイ実験を行い、平均値と標準偏差とを求めた。各エフェクタープラスミドを入れない場合の、p35S-GAL4-LUCレポーター遺伝子の活性の相対値を100として、エフェクタープラスミドを同時に細胞に導入したときに、レポーター遺伝子の活性値の変動によってエフェクターの効果を調査した。
すなわち、p35S-GAL4-LUCレポーター遺伝子と、上記各エフェクタープラスミドとを同時にシロイヌナズナに導入したときに、レポーター遺伝子の活性値が減少すれば、そのエフェクターは、レポーター遺伝子の活性を抑制する効果(リプレッサー機能)があることを示している。
<実験結果>
シロイヌナズナの細胞内に導入したエフェクター遺伝子の種類別の、レポーター遺伝子の活性の結果を、図3に示す。図3において、CONTOLはエフェクタープラスミドを導入していない結果を示し、それ以外は、それぞれ図に示すエフェクター遺伝子を導入した結果を示している。
なお、以下では、説明の便宜上、FOSタンパク質のアミノ酸配列133〜215番に相当するポリペプチドをFOSタンパク質と略称し、JUNタンパク質のアミノ酸配列277〜315番に相当するポリペプチドをJUNタンパク質と略称する。
図3によると、レポーター遺伝子を含むp35S-GAL4-LUCと同時に、GAL4DB-JUNをシロイヌナズナ葉に導入して、GAL4とJUNとが連結したキメラタンパク質(GAL4−JUN)を発現させた場合、レポーター遺伝子であるルシフェラーゼ活性は105+−10であり、コントロールと比較して大差がなかった。
また、図3によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、NLS-FOS-SRDXをシロイヌナズナ葉に導入して、FOSとSRDX(機能性ペプチド22)とが連結したキメラタンパク質(FOS−SRDX)を発現させた場合、ルシフェラーゼ活性は75+−15であり、コントロールと比較して大差が無かった。
また、図3によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、NLS-FOSをシロイヌナズナ葉に導入して、FOSタンパク質を発現させた場合、ルシフェラーゼ活性は76+−5であり、コントロールと比較して大差が無かった。
また、図3によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、GAL4DB-JUNとNLS-FOSとを何れもシロイヌナズナ葉に導入して、GAL4−JUNとFOSタンパク質とを同時に発現させた場合、ルシフェラーゼ活性は77+−3であり、コントロールと比較して大差が無かった。
一方、図3によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、GAL4DB-JUNとNLS-FOS-SRDXとを何れもシロイヌナズナ葉に導入して、GAL4−JUNとFOS−SRDXとを同時に発現させた場合、ルシフェラーゼ活性は4+−2となり、コントロールの約4%にまで抑制される結果となった。
以上の結果から、レポーター遺伝子であるルシフェラーゼ活性の顕著な抑制は、GAL4−JUNとFOS−SRDXとが同時に存在する環境下でのみ起こることがわかる。すなわち、この結果は、GAL4−JUNとFOS−SRDXとが、JUNとFOSとによる相互作用を介して複合体を形成した結果、GAL4によるルシフェラーゼ遺伝子の転写活性化を、SRDXがトランスに抑制したことを表している。
したがって、以上の結果から、本発明によるタンパク質複合体検出方法を用いて、2つのタンパク質JUNとFOSとの複合体形成を検出できることが証明された。
〔実施例2〕
本実施例では、組換え発現ベクターの構築、およびレポーター遺伝子活性の測定には実施例1と同一の手法を用いたが、GAL4を連結させるタンパク質をJUNではなくFOSにし、かつ、SRDXを連結させるタンパク質をFOSではなくJUNにした。
なお、35S-GAL4-FOSを構築する際には、配列番号148に示す5末端アッパープライマーと、配列番号149に示す3末端ローワープライマーとを用いた。また、NLS-JUNを構築する際には、配列番号150に示す5末端アッパープライマーと、配列番号151に示す3末端ローワープライマーとを用いた。また、NLS-JUN-SRDXを構築する際には、配列番号150に示す5末端アッパープライマーと、配列番号152に示す3末端ローワープライマーとを用いた。
シロイヌナズナの細胞内に導入したエフェクター遺伝子の種類別の、レポーター遺伝子の活性の測定結果を、図4に示す。なお、図4において、CONTOLはエフェクタープラスミドを導入していない結果を示し、それ以外は、それぞれ図に示すエフェクター遺伝子を導入した結果を示すことは、実施例1における図3と同様である。
図4によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、GAL4DBをシロイヌナズナ葉に導入して、GAL4タンパク質を発現させた場合、レポーター遺伝子であるルシフェラーゼ活性は114+−60であり、コントロールと比較して大差が無かった。
また、図4によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、GAL4DB-FOSをシロイヌナズナ葉に導入して、GAL4とFOSとが連結したキメラタンパク質(GAL4−FOS)を発現させた場合、レポーター遺伝子であるルシフェラーゼ活性は174+−60であり、コントロールと比較して顕著に増加した。この結果は、発現されたGAL4−FOSが、p35S-GAL4-LUCのGAL4結合サイトに結合し、レポーター遺伝子の転写を活性化したことを表している。
また、図4によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、NLS-JUNをシロイヌナズナ葉に導入して、JUNタンパク質を発現させた場合、レポーター遺伝子であるルシフェラーゼ活性は85.6+−14であり、コントロールと比較して大差が無かった。
また、図4によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、NLS-JUN-SRDXをシロイヌナズナ葉に導入して、JUNタンパク質とSRDX(機能性ペプチド22)とが連結したキメラタンパク質(JUN−SRDX)を発現させた場合、ルシフェラーゼ活性は98.6+−18であり、コントロールと比較して大差が無かった。
また、図4によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、GAL4DB-FOSとNLS-JUNとを何れもシロイヌナズナ葉に導入して、GAL4−FOSとJUNタンパク質とを同時に発現させた場合、ルシフェラーゼ活性は174.4+−31であり、コントロールと比較して顕著に増加した。この結果は、GAL4DB-FOSのみを導入した場合の結果とほぼ等しい。ここで、FOSとJUNとは細胞内で結合していると考えられるため、この結果は、FOSにJUNが結合しても、GAL4によるレポーター遺伝子の活性化には特に影響が無いことを表している。
また、図4によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、GAL4DBとNLS-JUN-SRDXとを何れもシロイヌナズナ葉に導入して、GAL4タンパク質とJUN−SRDXとを同時に発現させた場合には、ルシフェラーゼ活性は86.4+−13.1となり、コントロールと比較して大差が無かった。この結果は、GAL4とJUNとが互いに相互作用しないことを表している。
一方、図4によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、GAL4DB-FOSとNLS-JUN-SRDXとを何れもシロイヌナズナ葉に導入して、GAL4−FOSとJUN−SRDXとを同時に発現させた場合、ルシフェラーゼ活性は6.2+−2.7となり、コントロールの約6%にまで抑制される結果となった。
以上の結果から、まず、レポーター遺伝子であるルシフェラーゼ活性の顕著な抑制は、GAL4−FOSとJUN−SRDXとが同時に存在する環境下でのみ起こることがわかる。すなわち、このことは、GAL4−FOSとJUN−SRDXとが相互作用して複合体を形成した結果、複合体に含まれるSRDXの作用によって、複合体のGAL4部分が、レポーター遺伝子であるルシフェラーゼ遺伝子の転写をトランスに抑制したことを表している。
ここで、GAL4−FOSとJUN−SRDXとが複合体を形成する際、JUNと結合したのは、GAL4−FOSのGAL4部分またはFOS部分の何れかである。しかし、図4に示すように、GAL4とJUNとの相互作用を否定する結果も得られているため、JUNと結合したのはGAL4ではなくFOSであることがわかる。
したがって、以上の結果から、本発明によるタンパク質複合体検出方法を用いて、2つのタンパク質FOSとJUNとの複合体形成を検出できることが証明された。
〔実施例3〕
本実施例では、シロイヌナズナ由来のタンパク質であり、互いに相互作用することが明らかになっているPIとAP3とを、Xタンパク質11およびYタンパク質21として使用した。ここで、PIの全アミノ酸配列を配列番号153に示し、そのアミノ酸配列をコードする塩基配列を配列番号154に示す。また、AP3の全アミノ酸配列を配列番号155に示し、そのアミノ酸配列をコードする塩基配列を配列番号156に示す。なお、本実施例においても、組換え発現ベクターの構築、およびレポーター遺伝子活性の測定には、実施例1と同一の手法を用いた。
35S-GAL4-PIを構築する際には、配列番号157に示す5末端アッパープライマーと、配列番号158に示す3末端ローワープライマーとを用いた。また、NLS-AP3の構築には、配列番号159に示す5末端アッパープライマーと、配列番号160に示す3末端ローワープライマーとを用いた。また、NLS-AP3-SRDXの構築には、配列番号159に示す5末端アッパープライマーと、配列番号161に示す3末端ローワープライマーとを用いた。
シロイヌナズナの細胞内に導入したエフェクター遺伝子の種類別の、レポーター遺伝子の活性の測定結果を、図5に示す。なお、図5において、CONTOLはエフェクタープラスミドを導入していない結果を示し、それ以外は、それぞれ図に示すエフェクター遺伝子を導入した結果を示すことは、実施例1における図1と同様である。
図5によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、GAL4DB-PIをシロイヌナズナ葉に導I入して、GAL4とPIとが連結したキメラタンパク質(GAL4−P)を発現させた場合、ルシフェラーゼ活性は99.6+−35.2であり、コントロールに比べて大差が無かった。
また、図5によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、NLS-AP3をシロイヌナズナ葉に導入して、AP3タンパク質を発現させた場合、ルシフェラーゼ活性は67.6+−18.2であり、コントロールの約67%に減少した。
また、図5によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、NLS-AP3-SRDXをシロイヌナズナ葉に導入して、AP3タンパク質とSRDX(機能性ペプチド22)が連結したキメラタンパク質(AP3−SRDX)を発現させた場合、レポーター遺伝子であるルシフェラーゼ活性は93.8+−34.9であり、コントロールと比較して大差が無かった。
また、図5によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、GAL4DB-PIとNLS-AP3とを何れもシロイヌナズナ葉に導入して、GAL4−PIとAP3タンパク質とを同時に発現させた場合、ルシフェラーゼ活性は89.3+−25.1であり、コントロールと比較して大差が無かった。
一方、図5によると、p35S-GAL4-LUCと同時に、GAL4DB-PIとNLS-AP3-SRDXとを何れもシロイヌナズナ葉に導入して、GAL4−PIとAP3−SRDXとを同時に発現させた場合、ルシフェラーゼ活性は34.2+−13.4となり、コントロールの約34%にまで抑制される結果となった。
以上の結果から、レポーター遺伝子であるルシフェラーゼ活性の顕著な抑制は、GAL4−PIとAP3−SRDXとが同時に存在する環境下のみで起こることがわかる。すなわち、この結果は、GAL4−PIとAP3−SRDXとが、PIとAP3とによる相互作用を介して複合体を形成した結果、GAL4によるルシフェラーゼ遺伝子の転写活性化をSRDXがトランスに抑制したことを表している。
したがって、以上の結果から、本発明によるタンパク質複合体検出方法を用いて、2つのタンパク質PIとAP3との複合体形成を検出できることが明らかになった。
〔実施例4〕
以下の実施例4においては、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターと、ノパリン合成酵素遺伝子の転写終止領域との間に、転写抑制転換ペプチドのひとつである12アミノ酸ペプチドLDLDLELRLGFA(SRDX)(配列番号140)をコードするポリヌクレオチドまたは上記SRDXのロイシンを変換した変異ペプチドであるSRDXmをコードするポリヌクレオチドを、TTG1遺伝子の下流に結合したポリヌクレオチドを組み込んだ組換え発現ベクターを構築し、これをシロイヌナズナにアグロバクテリウム法を用いて導入することにより、シロイヌナズナを形質転換した。
なお、TTG1タンパク質は、WD40と呼ばれるグループに分類されるタンパク質であり、転写因子と結合することが報告されている。また、TTG1遺伝子の変異体では、トリコームの発生抑制、根毛の過剰形成(表皮細胞の発生、分化)、タンニンの合成制御、アントシアニンの生合成の抑制、種子表面のコルメラの形成抑制が、表現型として現れることが報告されている。
<形質転換用ベクター構築用ベクターの構築>
形質転換用ベクター構築用ベクターであるp35SGを、図13に示すように、以下の工程(1)〜(4)のとおりに構築した。
(1)インビトロジェン社製pENTRベクター上のattL1、attL2のそれぞれの領域をプライマーattL1−F(配列番号162)、attL1−R(配列番号163)、attL2−F(配列番号164)、attL2−R(配列番号165)を用いてPCRにて増幅した。得られたattL1断片を制限酵素HindIII、attL2断片をEcoRIで消化し、精製した。PCR反応の条件は、変性反応94℃1分、アニール反応47℃2分、伸長反応74℃1分を1サイクルとして、25サイクル行った。以下すべてのPCR反応は同じ条件で行った。
(2)クローンテック社製(Clontech社、USA)のプラスミドpBI221を制限酵素XbaIとSacIで切断した後、アガロースゲル電気泳動でGUS遺伝子を除き、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(以下の説明では、便宜上、CaMV35Sと称する)とノパリン合成酵素遺伝子の転写終止領域(以下の説明では、便宜上、Nos−terと称する)を含む35S−Nosプラスミド断片DNAを得た。
(3)以下の配列番号166、167の配列を有するDNA断片を合成し、90℃で2分間加熱した後、60℃で1時間加熱し、その後室温(25℃)で2時間静置してアニーリングさせ2本鎖を形成させた。これを上記35S−Nosプラスミド断片DNAのXbaI−SacI領域にライゲーションし、p35S−Nosプラスミドを完成させた。配列番号166、167の配列を有するDNA断片には、5’末端にBamHI制限酵素部位、翻訳効率を高めるタバコモザイクウイルス由来のomega配列、及び制限酵素部位SmaI、SalI、SstIがこの順に含まれる。
5’−ctagaggatccacaattaccaacaacaacaaacaacaaacaacattacaattacagatcccgggggtaccgtcgacgagctc−3’(配列番号166)
5’−cgtcgacggtacccccgggatctgtaattgtaatgttgtttgttgtttgttgttgttggtaattgtggatcct−3’(配列番号167)
(4)このp35S−Nosプラスミドを制限酵素HindIIIで消化し、上記attL1断片を挿入した。さらにこれをEcoRIで消化し、attL2断片を挿入して、ベクターp35SGを完成させた。
<転写抑制転換ペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込んだ構築用ベクターの構築>
転写抑制転換ペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込んだ構築用ベクターであるp35SSRDXGを、図14に示すように、以下の工程(1)〜(2)のとおりに構築した。
(1)12アミノ酸転写抑制転換ペプチドLDLDLELRLGFA(SRDX)をコードし、3’末端に終止コドンTAAを持つように設計した、以下の配列を有するDNAをそれぞれ合成し、70℃で10分加温した後、自然冷却によりアニールさせて2本鎖DNAとした。
5’−gggcttgatctggatctagaactccgtttgggtttcgcttaag−3’(配列番号168)
5’−tcgacttaagcgaaacccaaacggagttctagatccagatcaagccc−3’(配列番号169)
(2)p35SGを制限酵素SmaI、SalIで消化し、この領域に上記のSRDXをコードする2本鎖DNAを挿入して、p35SSRDXGを構築した。
<形質転換用ベクターの構築>
構築用ベクターのatt部位で挟まれたDNA断片と組換えるための、2つのatt部位を有する植物形質転換用ベクターであるpBIGCKHを、図15に示すように、以下の工程(1)から(3)のとおりに構築した。
(1)米国ミシガン州立大学より譲渡されたpBIG(Becker, D. Nucleic Acids Res. 18:203,1990)を制限酵素HindIII、EcoRIで消化し、GUS、Nos領域を電気泳動で除いた。
(2)インビトロジェン社から購入したGateway(登録商標)ベクターコンバージョンシステムのFragmentAをプラスミドpBluscriptのEcoRVサイトに挿入した。これをHindIII−EcoRIで消化し、FragmentA断片を回収した。
(3)回収したFragmentA断片を上記のpBIGプラスミド断片とライゲーションを行い、pBIGCKHを構築した。これらは大腸菌DB3.1(インビトロジェン社)でのみ増殖可能で、クロラムフェニコール耐性、カナマイシン耐性である。
<構築用ベクターへのTTG1ポリヌクレオチドの組み込み>
上記構築用ベクターp35SSRDXGにシロイヌナズナ由来の転写因子TTG1タンパク質をコードするポリヌクレオチドを以下の工程(1)〜(3)のとおりに組み込んだ。
(1)シロイヌナズナ完全長cDNA pda01673を鋳型として、以下のプライマーを用いて、終止コドンを除くTTG1ポリヌクレオチド(At5g24520)のコード領域のみを含むDNA断片をPCRにて増幅した。
プライマー1 5’−gatggataattcagctccagattcgttatc−3’(配列番号170)
プライマー2 5’−aactctaaggagctgcattttgttagcaaa−3’(配列番号171)
TTG1ポリヌクレオチドのコードするアミノ酸配列およびTTG1ポリヌクレオチドのcDNAをそれぞれ配列番号172および173に示す。
(2)得られたTTG1コード領域のDNA断片を、図14に示すように、予め制限酵素SmaIで消化しておいた構築用ベクターp35SSRDXGのSmaI部位にライゲーションした。
(3)このプラスミドで大腸菌を形質転換し、プラスミドを調整して、塩基配列を決定し、順方向に挿入されたクローンを単離し、SRDXとのキメラ遺伝子となったものを得た。
<TTG1SRDXmコンストラクトの構築>
(1)TTG1とSRDXmとのキメラタンパク質であるTTG1SRDXmをコードするキメラ遺伝子を含むプラスミドDNAを鋳型として、以下のプライマーを用いてPCRを行った。TTG1SRDXmは、TTG1のコード領域を含んでいる。
プライマー1 5’−gatggataattcagctccagattcgttatc−3’(配列番号170)
プライマー2 5’− ttaagcgaaaccgaaacgggcttcttgatccggatcgaacccaac−3’(配列番号174)
TTG1SRDXmポリヌクレオチドのコードするアミノ酸配列を配列番号175に示す。
(2)得られたTTG1SRDXmのDNA断片を精製後、予め制限酵素SmaIで消化しておいたSRDXを含まないエントリーベクター(35S−Nos)のSmaI部位にライゲーションした。
(3)このプラスミドで大腸菌を形質転換し、プラスミドを調整して、塩基配列を決定し、順方向に挿入されたクローンを単離し、SRDXmとのキメラ遺伝子となったものを得た。
<組換え発現ベクターの構築>
上記構築用ベクター上にあるCaMV35Sプロモーター、キメラ遺伝子、Nos−ter等を含むDNA断片を、植物形質転換用ベクターpBIGCKHに組換えることにより、植物を宿主とする発現ベクターを構築した。組換え反応はインビトロジェン社のGateway(登録商標)LR clonase(登録商標)を用いて以下の工程(1)〜(3)のとおりに行った。
(1)まず、上記構築用ベクターにTTG1を組み込んだコンストラクトまたは上記TTG1SRDXmコンストラクト1.5μL(約300ng)とpBIGCKH4.0μL(約600ng)に5倍希釈したLR buffer 4.0μLとTE緩衝液(10mM TrisCl pH7.0、1mM EDTA)5.5μLを加えた。
(2)この溶液にLR clonase4.0μLを加えて25℃で60分間インキュベートした。続いて、proteinaseK2μLを加えて37℃で10分間インキュベートした。
(3)その後、この溶液1〜2μLを大腸菌(DH5a等)に形質転換し、カナマイシンで選択した。
<組換え発現ベクターにより形質転換した植物体の生産および表現型の観察>
次に、以下の工程(1)〜(3)に示すように、上記キメラ遺伝子を含むDNA断片をpBIGCKHに組み込んだプラスミドであるpBIG−TTG1SRDXまたはpBIG−TTG1SRDXmで、シロイヌナズナの形質転換を行い、形質転換植物体を生産した。シロイヌナズナ植物の形質転換は、Transformation of Arabidopsis thaliana by vacuum infiltration(http://www.bch.msu.edu/pamgreen/protocol.htm)に従った。ただし、感染させるのにバキュウムは用いないで、浸すだけにした。
(1)まず得られたプラスミド、pBIG−TTG1SRDXまたはpBIG−TTG1SRDXmを、土壌細菌((Agrobacterium tumefaciens strain GV3101(C58C1Rifr)pMP90(Gmr)(koncz and Sahell 1986))株にエレクトロポレーション法で導入した。導入した菌を1リットルの、抗生物質(カナマイシン(Km)50μg/ml、ゲンタマイシン(Gm)25μg/ml、リファンピシリン(Rif)50μg/ml)を含むYEP培地でOD600が1になるまで培養した。次いで、培養液から菌体を回収し、1リットルの感染用培地(Infiltration medium、下表2)に懸濁した。
(2)この溶液に、14日間育成したシロイヌナズナを1分間浸し感染させた後、再び育成させ結種させた。回収した種子を25%ブリーチ、0.02%Triton X−100溶液で7分間滅菌した後、滅菌水で3回リンスし、滅菌したハイグロマイシン選択培地(下表3)に蒔種した。
(3)蒔種した約5000粒の種子から平均して50個体のハイグロマイシン耐性植物である形質転換植物体を得た。これらの植物から全RNAを調整し、RT−PCRを用いてTTG1SRDXまたはTTG1SRDXmの遺伝子が導入されていることを確認した。
(4)上記形質転換植物体について、表現型を観察した。図8(a)は、野生型のシロイヌナズナの種子を表すものであり、趣旨はタンニンが合成されているため濃い茶色を呈した。図8(b)はTTG1SRDXが発現しているシロイヌナズナの種子を表すものであり、キメラ遺伝子を作製したことによりTTG1に変異が生じていることからタンニンの合成が抑制され、種子は淡い黄色を呈した。図8(c)はTTG1SRDXmが発現しているシロイヌナズナの種子を表すものであり、種子は野生型と同様に濃い茶色を呈した。
図9(a)は野生型のシロイヌナズナの葉を表すものであり、葉にはトリコームが形成されている。図9(b)はTTG1SRDXが発現しているシロイヌナズナの葉を表すものであり、トリコームは形成されていなかった。図9(c)はTTG1SRDXmが発現しているシロイヌナズナの葉を表すものであり、葉には野生型と同様にトリコームが形成されていた。
図10(a)は野生型のシロイヌナズナの植物体を表すものであり、アントシアニンの蓄積が観察された。図10(b)はTTG1SRDXが発現しているシロイヌナズナの植物体を表すものであり、アントシアニンの蓄積は抑制されていた。図10(c)はTTG1SRDXmが発現しているシロイヌナズナの植物体を表すものであり、野生型と同様にアントシアニンの蓄積が観察された。
図11(a)は野生型のシロイヌナズナの根を表すものである。図11(b)はTTG1SRDXが発現しているシロイヌナズナの根を表すものであり、根毛の過剰形成が観察された。図11(c)はTTG1SRDXmが発現しているシロイヌナズナの根を表すものであり、根毛の量は野生型と同様であった。
図12(a)は野生型のシロイヌナズナの種子を表すものであり、種子表面にはコルメラが形成されていた。図12(b)はTTG1SRDXが発現しているシロイヌナズナの種子を表すものであり、コルメラの形成は観察されなかった。図12(c)はTTG1SRDXmが発現しているシロイヌナズナの種子を表すものであり、野生型と同様にコルメラの形成が観察された。
図8(a)〜図12(c)に示した以上の結果は、タンパクの相互作用を介したSRDXによるトランスリプレッションが一過性のものではなく、生体内でも同様にSRDXによる転写因子の転写抑制因子への転換と、それに伴う転写因子の標的遺伝子の転写抑制という現象が生じていることを証明するものである。
なお、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
産業上の利用の可能性
本発明は、以上のように、第2キメラ遺伝子をコードする第2キメラタンパク質が、任意の転写因子を転写抑制因子に変換する機能性ペプチドと上記第2タンパク質とを結合したものであり、第1キメラタンパク質の第1タンパク質部分と、第2キメラタンパク質の第2タンパク質部分とが結合して複合体を形成した場合に、上記レポーター遺伝子の転写が抑制されるようになっている。そして、複合体確認工程では、レポーター遺伝子の転写が抑制されたか否かを確認することにより、複合体形成を検出するようになっている。
この構成により、本発明では、レポーター遺伝子の転写が抑制されたか否かを確認することにより、2つのタンパク質の複合体形成を検出することになる。したがって、本発明は、一般的なタンパク質に加えて、転写因子や、あるいは転写因子に結合可能なタンパク質を含む、広範囲なタンパク質の複合体形成を検知できるという効果を奏する。
本発明に係るタンパク質複合体検出方法およびキットは、転写因子や、あるいは転写因子に結合する性質を有するタンパク質のみならず、これらを含めた各種生物の広範囲なタンパク質における複合体形成を検出できるため、例えば医薬産業で利用可能である。

Claims (17)

  1. 第1タンパク質および第2タンパク質が複合体を形成するか否かを検出するために、遺伝子発現によりタンパク質を生産できるタンパク質合成系中にて、第1タンパク質を含む第1キメラタンパク質をコードする第1キメラ遺伝子と、第2タンパク質を含む第2キメラタンパク質をコードする第2キメラ遺伝子とを発現させるキメラ遺伝子発現工程と、
    第1タンパク質および第2タンパク質との複合体形成を検出する複合体確認工程とを含んでおり、
    上記第1キメラ遺伝子がコードする第1キメラタンパク質が、レポーター遺伝子のプロモーター配列を特異的に認識するDNA結合ペプチドと上記第1タンパク質とを結合したものであるタンパク質複合体検出方法において、
    上記第2キメラ遺伝子がコードする第2キメラタンパク質が、任意の転写因子を転写抑制因子に変換する、以下の(a),(b),(c)または(d)に示すアミノ酸配列を有する機能性ペプチドと上記第2タンパク質とを結合したものであり、
    上記第1キメラタンパク質の第1タンパク質部分と、第2キメラタンパク質の第2タンパク質部分とが結合して複合体を形成した場合に、上記レポーター遺伝子の転写が抑制されるようになっているとともに、
    上記複合体確認工程では、上記レポーター遺伝子の転写が抑制されたか否かを確認することにより、複合体形成を検出するようになっていることを特徴とするタンパク質複合体検出方法:
    (a)配列番号25,26,28もしくは30に示されるアミノ酸配列を有する機能性ペプチド。
    (b)配列番号18,21,31,32もしくは33に示されるアミノ酸配列を有する機能性ペプチド。
    (c)配列番号22,23,24,27もしくは29に示されるアミノ酸配列を有する機能性ペプチド。
    (d)配列番号37もしくは38で表されるアミノ酸配列を有する機能性ペプチド。
  2. 上記タンパク質合成系として、植物細胞を用いることを特徴とする請求項1に記載のタンパク質複合体検出方法。
  3. 上記第1キメラ遺伝子および第2キメラ遺伝子は、何れも発現ベクターに組み込まれて植物細胞に導入されることを特徴とする請求項2に記載のタンパク質複合体検出方法。
  4. 上記レポーター遺伝子は、発現ベクターに組み込まれて植物細胞に導入されることを特徴とする請求項2または3に記載のタンパク質複合体検出方法。
  5. 上記DNA結合ペプチドとして、転写因子または転写因子に含まれるDNA結合ドメインを用いることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のタンパク質複合体検出方法。
  6. 上記レポーター遺伝子として、外観上その増減を相対的に確認することが可能なタンパク質をコードする遺伝子を用いることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のタンパク質複合体検出方法。
  7. 上記第1キメラ遺伝子、第2キメラ遺伝子、およびレポーター遺伝子は、それぞれ発現ベクターとして構築された上で、タンパク質合成系中に導入されることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のタンパク質複合体検出方法。
  8. レポーター遺伝子のプロモーター配列を特異的に認識するDNA結合ペプチドと第1タ
    ンパク質とを結合した第1キメラタンパク質を生産可能とする第1キメラ遺伝子発現ベクターと、
    任意の転写因子を転写抑制因子に変換する機能性ペプチドと第2タンパク質とを結合した第2キメラタンパク質を生産可能とする第2キメラ遺伝子発現ベクターとを含み、
    上記機能性ペプチドが、以下の(a),(b),(c)または(d)に示すアミノ酸配列を有する機能性ペプチドであることを特徴とするタンパク質複合体検出キット:
    (a)配列番号25,26,28もしくは30に示されるアミノ酸配列を有する機能性ペプチド。
    (b)配列番号18,21,31,32もしくは33に示されるアミノ酸配列を有する機能性ペプチド。
    (c)配列番号22,23,24,27もしくは29に示されるアミノ酸配列を有する機能性ペプチド。
    (d)配列番号37もしくは38で表されるアミノ酸配列を有する機能性ペプチド。
  9. 上記第1キメラ遺伝子発現ベクターは、少なくとも、(a)上記DNA結合ドメイン(DBD)をコードするポリヌクレオチドであるDBDセグメントと、(b)当該DBDセグメントに隣接し、少なくとも1種の制限酵素(RE)により認識される塩基配列を有するポリヌクレオチドである第1RE認識セグメントとを有しているとともに、
    上記第2キメラ遺伝子発現ベクターは、少なくとも、(c)上記機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドである機能性ペプチドセグメントと、(d)当該機能性ペプチドセグメントに隣接し、少なくとも1種の制限酵素(RE)により認識される塩基配列を有するポリヌクレオチドである第2RE認識セグメントとを有しており、
    上記第1キメラ遺伝子発現ベクターは、上記(b)第1RE認識セグメントに第1タンパク質をコードする遺伝子を組み込むことで、上記第1キメラタンパク質を生産可能とするとともに、
    上記第2キメラ遺伝子発現ベクターは、上記(d)第2RE認識セグメントに第2タンパク質をコードする遺伝子を組み込むことで、上記第2キメラタンパク質を生産可能とすることを特徴とする請求項8に記載のタンパク質複合体検出キット。
  10. さらに、レポーター遺伝子を発現するレポーター遺伝子発現ベクターを含むことを特徴とする請求項8または9に記載のタンパク質複合体検出キット。
  11. 上記第1キメラ遺伝子発現ベクター、第2キメラ遺伝子発現ベクター、およびレポーター遺伝子発現ベクターのうち少なくとも何れかには、プロモーターとして、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターが含まれていることを特徴とする請求項10に記載のタンパク質複合体検出キット。
  12. 上記第1キメラ遺伝子発現ベクター、第2キメラ遺伝子発現ベクター、およびレポーター遺伝子発現ベクターのうち少なくとも何れかには、ターミネーターとして、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーターが含まれていることを特徴とする請求項10または11に記載のタンパク質複合体検出キット。
  13. 上記DNA結合ペプチドとして、転写因子または転写因子に含まれるDNA結合ドメインが用いられることを特徴とする請求項8から12の何れか1項に記載のタンパク質複合体検出キット。
  14. 上記DNA結合ペプチドとして、酵母GAL4タンパク質のDNA結合ドメインが用いられることを特徴とする請求項13に記載のタンパク質複合体検出キット。
  15. 上記レポーター遺伝子として、外観上その増減を相対的に確認することが可能なタンパク質をコードする遺伝子が用いられることを特徴とする請求項8から14の何れか1項に記載のタンパク質複合体検出キット。
  16. 上記レポーター遺伝子として、ルシフェラーゼ遺伝子が用いられることを特徴とする請求項15に記載のタンパク質複合体検出キット。
  17. さらに、(a)植物細胞に発現ベクターを導入するための試薬群、
    (b)第1キメラ遺伝子発現ベクターまたは第2キメラ遺伝子発現ベクターに、第1タンパク質をコードする遺伝子または第2タンパク質をコードする遺伝子を組み込むための試薬群、および、
    (c)レポーター遺伝子の発現量の変化を確認するための試薬群のうち、少なくとも一つの試薬群を含むことを特徴とする請求項8から16の何れか1項に記載のタンパク質複合体検出キット。
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