JP5907483B2 - 脱分化または再分化が促進されるように改変された植物体の生産方法、形質転換体、ならびにその方法に用いられる、キメラタンパク質、キメラ遺伝子、dna、組換え発現ベクタおよびキット - Google Patents

脱分化または再分化が促進されるように改変された植物体の生産方法、形質転換体、ならびにその方法に用いられる、キメラタンパク質、キメラ遺伝子、dna、組換え発現ベクタおよびキット Download PDF

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本発明は、脱分化または再分化が促進されるように改変された植物体の生産方法、形質転換体、ならびにその方法に用いられるタンパク質、キメラタンパク質、遺伝子、キメラ遺伝子、DNA、組換え発現ベクタおよびキットに関する。
花き園芸植物の多くは遺伝的に固定(純化)されていないため、研究用材料や商品等としてこれらを用いる場合には、培養等によってクローンを増殖する技術が求められる。また、この培養技術は、遺伝子組換えにより形質転換された植物体を作製する過程でも使用される重要な技術である。
培養増殖の一つの方法として、葉片等の組織片からのカルス増殖(脱分化)と、そこからの不定芽形成(再分化)を経る方法があるが、それぞれの段階への移行しやすさは、植物種ごとに大きく異なり、この移行をいかに効率化するかが、培養増殖や形質転換の効率を上げる最も重要なポイントとなっている。
例えば、花き園芸植物の一つであるトレニア(Torenia fournieri Lind.)の形質転換、不定芽形成では、通常、不定芽が出始めるまでに60日程度を要し、100日経過時でも使用組織片数に対して5%程度の数の不定芽形成にとどまり、非常に効率が悪かった。
また、植物体の形質転換体の取得には、植物種によって期間が異なるが、例えば、トレニア等では最短4ヶ月程度、タバコ、キク等で半年程度、バラ、カーネーション等で1年程度、リンドウ、トルコキキョウ等では1年半〜2年程度開花までに要し、材料となる植物の状態や導入遺伝子の性質等によっては、遺伝子組換え体が数系統しか得られない場合があった。
例えば、特許文献1には、脱分化に関与する転写因子をコードする遺伝子を含む組換え発現ベクタを植物細胞に導入して、上記転写因子を植物細胞内で生産させることにより脱分化が促進されるように改変された植物体を生産することが記載されている。
特開2006−325588号公報
本発明の目的は、脱分化または再分化が促進されるように改変された植物体の生産方法、形質転換体、ならびにその方法に用いられるタンパク質、キメラタンパク質、遺伝子、キメラ遺伝子、DNA、組換え発現ベクタおよびキットを提供することにある。
本発明は、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質を、植物体で生産させることにより、植物体の脱分化または再分化を促進する植物体の生産方法である。
前記植物体の生産方法において、前記転写因子が、以下の(a)のタンパク質であることが好ましい。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するタンパク
前記植物体の生産方法において、前記転写因子が、配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有し、かつ、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する機能を有するタンパク質であることが好ましい。
前記植物体の生産方法において、前記転写因子をコードする遺伝子として、以下の(c)または(d)の遺伝子が用いられることが好ましい。
(c)配列番号2に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム領域として有する遺伝子
(d)配列番号2に示される塩基配列を含む遺伝子と相補的な塩基配列を含む遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子をコードする遺伝子
前記植物体の生産方法において、前記機能性ペプチドが、以下の式(1)〜(4)のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドであることが好ましい。
(1)X1−Leu−Asp−Leu−X2−Leu−X3
(ここで、式(1)中、X1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、X2はAsnまたはGluを示し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(2)Y1−Phe−Asp−Leu−Asn−Y2−Y3
(ここで、式(2)中、Y1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、Y2はPheまたはIleを示し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(3)Z1−Asp−Leu−Z2−Leu−Arg−Leu−Z3
(ここで、式(3)中、Z1はLeu、Asp−LeuまたはLeu−Asp−Leuを示し、Z2はGlu、GlnまたはAspを示し、Z3は0〜10個のアミノ酸残基を示す。)
(4)Asp−Leu−Z4−Leu−Arg−Leu
(ここで、式(4)中、Z4はGlu、GlnまたはAspを示す。)
前記植物体の生産方法において、前記機能性ペプチドが、配列番号3〜19のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するペプチドであることが好ましい。
前記植物体の生産方法において、前記機能性ペプチドが、以下の(e)または(f)のペプチドであることが好ましい。
(e)配列番号20または21に示されるアミノ酸配列を有するペプチド
(f)配列番号20または21に示されるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するペプチド
前記植物体の生産方法において、前記機能性ペプチドが、以下の式(5)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドであることが好ましい。
(5)α1−Leu−β1−Leu−γ1−Leu
(ここで、式(5)中、α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、ThrまたはSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、SerまたはHisを示し、γ1は、Arg、Gln、Asn、Thr、Ser、His、LysまたはAspを示す。)
前記植物体の生産方法において、前記機能性ペプチドが、以下の式(6)〜(8)のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドであることが好ましい。
(6)α1−Leu−β1−Leu−γ2−Leu
(7)α1−Leu−β2−Leu−Arg−Leu
(8)α2−Leu−β1−Leu−Arg−Leu
(ここで、各式(6)〜(8)中、α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、ThrまたはSerを示し、α2は、Asn、Glu、Gln、ThrまたはSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、SerまたはHisを示し、β2は、Asn、Arg、Thr、SerまたはHisを示し、γ2は、Gln、Asn、Thr、Ser、His、LysまたはAspを示す。)
前記植物体の生産方法において、前記機能性ペプチドが、配列番号22〜37、133、59、60のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するペプチドであることが好ましい。
前記植物体の生産方法において、前記機能性ペプチドが、配列番号38または39に示されるアミノ酸配列を有するペプチドであることが好ましい。
前記植物体の生産方法において、前記転写因子をコードする遺伝子と前記機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとを有するキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクタを、植物細胞に導入する形質転換工程を含むことが好ましい。
前記植物体の生産方法において、さらに、前記組換え発現ベクタを構築する発現ベクタ構築工程を含むことが好ましい。
本発明は、前記植物体の生産方法により生産された、脱分化または再分化が促進されるように改変された植物体である。
本発明は、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質である。
本発明は、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子をコードする遺伝子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとを有するキメラ遺伝子である。
本発明は、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子をコードする部分と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードする部分とを含むDNAである。
本発明は、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子をコードする遺伝子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとを有するキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクタである。
本発明は、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子をコードする遺伝子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとを有するキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクタを含む形質転換体である。
また、前記形質転換体が植物体であることが好ましい。
本発明は、植物体の生産を行うためのキットであって、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子をコードする遺伝子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとを有するキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクタを含むキットである。
本発明では、植物細胞の脱分化または再分化を抑制する遺伝子の働きを抑制することにより、脱分化または再分化が促進されるように改変された植物体を生産することができる。
実施例において用いる組換え発現ベクタを構築するための構築用ベクタの構築方法を示す工程図である。 実施例において用いる構築用ベクタp35SGに、転写抑制転換ペプチドSRDXをコードする遺伝子とMYB106遺伝子とを組み込む工程図である。 形質転換用ベクタpBCKHの構築方法を示す工程図である。 本発明の実施例1および比較例1〜3における感染後の日数(日)とシュート出現カルス数との関係を示すグラフである。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明者らは、植物自身の持つ遺伝子の働きを抑制することで植物の性質を変える遺伝子組換えの手法(CRES−T法)を用いて、モデル植物であるシロイヌナズナの多数の遺伝子を花き園芸植物のモデルであるトレニアに導入し、有用な形質を選抜する過程で、特定の遺伝子を導入した際に、他の遺伝子を導入したものよりも遺伝子組換え体が多数得られることを見出した。この植物細胞の脱分化または再分化を抑制する遺伝子を新たに同定し、これを用いることにより、脱分化または再分化が促進されるように改変された植物体を生産することができる。これにより、植物体の培養と形質転換の効率を向上することができる。
例えば、従来の2/3程度の期間(形質転換体の選抜に使用する薬剤としてハイグロマイシンを使用したトレニアの場合は約40日)で不定芽が形成され、従来の不定芽形成期間(前記トレニアの場合は約60日)で従来の2倍程度の不定芽が得られる。
本実施形態に係る植物体の生産方法は、脱分化または再分化を促進することにより一定の効果がある分野に有用性がある。例えば、本実施形態に係る植物体の生産方法により、形質転換体の作出の期間が短縮し、作出数が増大するため、培養増殖や形質転換等における作業効率が大幅に向上する。形質転換体が例えば従来の2/3程度の短期間で得られ、必要な系統数を容易に確保することができる。また、培養により栄養増殖する必要のある花き園芸植物等の培養において、省力化、低コスト化が可能となる。
本実施形態に係る植物体の生産方法は、植物細胞の脱分化または再分化を抑制する遺伝子の機能を抑制する技術であって、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質を、植物体で生産させる。これによって、植物細胞の脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写が抑制され、植物細胞の脱分化または再分化が誘導、促進される。
ここで、植物細胞の脱分化または再分化は次のように促進される。すなわち、上記キメラタンパク質における上記転写因子由来のDNA結合ドメインが、脱分化または再分化を抑制すると推定される標的遺伝子に結合する。上記転写因子は転写抑制因子に転換され、標的遺伝子の転写が抑制される。これにより脱分化または再分化を抑制すると推定されるタンパク質の生成が減少し、その結果、植物細胞の脱分化または再分化を促進することができる。
<キメラタンパク質>
本実施形態に係る植物体の生産方法で用いられるキメラタンパク質は、上述したように、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたものである。
また、本実施形態に係る植物体の生産方法で用いられるキメラタンパク質は、内在性の遺伝子に対して、優性に作用するものであるため、植物が二倍体や複二倍体であったり、あるいは植物に機能重複遺伝子が存在したりしても、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の発現を抑制することができる。それゆえ、遺伝子導入可能なあらゆる植物について、植物細胞の脱分化または再分化が促進される。
[転写因子]
脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子は、植物細胞の脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子であれば特に限定されるものではない。このような転写因子には、種々の植物が有する同様の機能を有する転写因子が含まれる。
このような転写因子の代表的な一例としては、例えば、MYB106タンパク質が挙げられる。MYB106タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質であり、シロイヌナズナのMYBファミリータンパク質の1つである。本実施形態では、例えば、このMYB106タンパク質に後述する機能性ペプチドを融合させることにより、転写因子であるMYB106タンパク質を転写抑制因子に転換させる。
本実施形態で用いられる転写因子としては、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するMYB106タンパク質に限定されるものではなく、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子であればよい。具体的には、配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1個または複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であっても、上記機能を有していれば用いることができる。なお、上記の「配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1個または複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列」における「1個または複数個」の範囲は特に限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1個から3個を意味する。
また上記転写因子としては、配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して、例えば、20%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上の相同性を有するタンパク質であって、かつ、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する機能を有するタンパク質も含まれる。なお、ここで「相同性」とは、アミノ酸配列中に占める同じ配列の割合であり、この値が高いほど両者は近縁であるといえる。
本実施形態で用いられるキメラタンパク質を生産させる際には、後述するように、公知の遺伝子組換え技術を好適に用いることができる。そこで、本実施形態に係る植物体の生産方法には、上記転写因子をコードする遺伝子も好適に用いることができる。
上記転写因子をコードする遺伝子としては特に限定されるものではなく、遺伝暗号に基づいて、上記転写因子のアミノ酸配列に対応するものであればよい。具体的な一例としては、例えば、転写因子としてMYB106タンパク質を用いる場合には、このMYB106タンパク質をコードする遺伝子(以下、「MYB106遺伝子」と称する場合がある)が挙げられる。MYB106遺伝子の具体的な一例としては、例えば、配列番号2(アクセッションNo.AY519581、AGI code At3g01140)に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム(ORF)として含むポリヌクレオチドが挙げられる。
もちろん、本実施形態で用いられるMYB106遺伝子、または、転写因子をコードする遺伝子としては、上記の例に限定されるものではなく、配列番号2に示される塩基配列と相同性を有する遺伝子であってもよい。具体的には、例えば、配列番号2に示される塩基配列を有する遺伝子と相補的な塩基配列を有する遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、上記転写因子をコードする遺伝子等が挙げられる
上記ハイブリダイゼーションは、J. Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている方法等の従来公知の方法で行うことができる。通常、温度が高いほど、塩濃度が低いほどストリンジェンシは高くなる(ハイブリダイズしにくくなる)。
上記転写因子をコードする遺伝子を取得する方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法により、多くの植物から単離することができる。例えば、既知の転写因子の塩基配列に基づき作製したプライマ対を用いることができる。このプライマ対を用いて、植物のcDNAまたはゲノミックDNAを鋳型としてPCRを行う方法等により、上記遺伝子を得ることができる。また、上記転写因子をコードする遺伝子は、従来公知の方法により化学合成して得ることもできる。
[機能性ペプチド]
本実施形態で用いられる、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチド(以下、「転写抑制転換ペプチド」と称する場合がある)としては、特に限定されるものではなく、転写因子と融合させたキメラタンパク質を形成させることにより、当該転写因子により制御される標的遺伝子の転写を抑制することができるペプチドであればよい。具体的には、例えば、本発明者らによって見出された転写抑制転換ペプチド(特開2001−269177号公報、特開2001−269178号公報、特開2001−292776号公報、特開2001−292777号公報、特開2001−269176号公報、特開2001−269179号公報、国際公開第03/055903号パンフレット、Ohta,M., Matsui,K., Hiratsu,K., Shinshi,H. and Ohme−Takagi,M., The Plant Cell, Vol.13, pp.1959−1968, August,2001、Hiratsu,K., Ohta,M., Matsui,K., Ohme−Takagi,M., FEBS Letters, 514(2002), pp.351−354等を参照)が挙げられる。
本発明者らは、Class II ERF遺伝子群の一つであるシロイヌナズナ由来のAtERF3タンパク質、AtERF4タンパク質、AtERF7タンパク質、AtERF8タンパク質を転写因子に結合させたタンパク質が、遺伝子の転写を顕著に抑制するとの知見を得ていた。そこで、上記タンパク質をそれぞれコードする遺伝子およびこれから切り出したDNAを含むエフェクタープラスミドを構築し、これを植物細胞に導入することにより、実際に遺伝子の転写を抑制することに成功していた(例えば、上記特開2001−269177号公報、特開2001−269178号公報、特開2001−292776号公報、特開2001−292777号公報参照)。また、Class II ERF遺伝子群の一つであるタバコERF3タンパク質(例えば、上記特開2001−269176号公報参照)、イネOsERF3タンパク質(例えば、上記特開2001−269179号公報参照)をコードする遺伝子、および、ジンクフィンガータンパク質の遺伝子群の一つであるシロイヌナズナZAT10、同ZAT11をコードする遺伝子についても上記と同様な試験を行ったところ、遺伝子の転写を抑制することを見出している。さらに、本発明者らは、これらタンパク質は、カルボキシル基末端領域に、アスパラギン酸−ロイシン−アスパラギン(DLN)を含む共通のモチーフを有することを明らかにしている。そして、この共通モチーフを有するタンパク質について検討した結果、遺伝子の転写を抑制するタンパク質は極めて単純な構造のペプチドであってもよく、これら単純な構造を有するペプチドが、任意の転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有することを見出している。
また、本発明者らは、シロイヌナズナSUPERMANタンパク質は、上記の共通のモチーフと一致しないモチーフを有するが、任意の転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有すること、また上記SUPERMANタンパク質をコードする遺伝子を、転写因子のDNA結合ドメインまたは転写因子をコードする遺伝子に結合させたキメラ遺伝子は、強力な転写抑制能を有するタンパク質を産生することも見出している。
したがって、本実施形態において用いられる転写抑制転換ペプチドの一例として、Class II ERFタンパク質であるシロイヌナズナ由来のAtERF3タンパク質、同AtERF4タンパク質、同AtERF7タンパク質、同AtERF8タンパク質、タバコERF3タンパク質、イネOsERF3タンパク質、ジンクフィンガータンパク質の一つであるシロイヌナズナZAT10タンパク質、同ZAT11タンパク質等のタンパク質、同SUPERMANタンパク質、これらから切り出したペプチドや、上記機能を有する合成ペプチド等が挙げられる。
上記転写抑制転換ペプチドの一例の具体的な構造は、以下の式(1)〜(4)のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドである。
(1)X1−Leu−Asp−Leu−X2−Leu−X3
(ここで、式(1)中、X1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、X2はAsnまたはGluを示し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(2)Y1−Phe−Asp−Leu−Asn−Y2−Y3
(ここで、式(2)中、Y1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、Y2はPheまたはIleを示し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(3)Z1−Asp−Leu−Z2−Leu−Arg−Leu−Z3
(ここで、式(3)中、Z1はLeu、Asp−LeuまたはLeu−Asp−Leuを示し、Z2はGlu、GlnまたはAspを示し、Z3は0〜10個のアミノ酸残基を示す。)
(4)Asp−Leu−Z4−Leu−Arg−Leu
(ここで、式(4)中、Z4はGlu、GlnまたはAspを示す。)
(式(1)の転写抑制転換ペプチド)
上記式(1)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記X1で表されるアミノ酸残基の数は0〜10個の範囲内であればよい。また、X1で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。すなわち、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドにおいては、N末端側には、1個の任意のアミノ酸または2〜10個の任意のアミノ酸残基を含むオリゴマが付加されていてもよいし、アミノ酸が何も付加されていなくてもよい。
このX1で表されるアミノ酸残基は、式(1)の転写抑制転換ペプチドを合成するときの容易さからみれば、できるだけ短いほうがよい。具体的には、10個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましい。
同様に、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記X3で表されるアミノ酸残基の数は少なくとも6個であればよい。また、X3で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。すなわち、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドにおいては、C末端側には、6個以上の任意のアミノ酸残基を含むオリゴマが付加されていればよい。上記X3で表されるアミノ酸残基は、最低6個あれば上記機能を示すことができる。
上記式(1)の転写抑制転換ペプチドにおいて、X1およびX3を除いた5個のアミノ酸残基を含むペンタマ(5mer)の具体的な配列を、配列番号40、41に示す。なお、上記X2がAsnの場合のアミノ酸配列が配列番号40に示すアミノ酸配列であり、上記X2がGluの場合のアミノ酸配列が配列番号41に示すアミノ酸配列である。
(式(2)の転写抑制転換ペプチド)
上記式(2)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドのX1と同様、上記Y1で表されるアミノ酸残基の数は0〜10個の範囲内であればよい。また、Y1で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。すなわち、上記式(2)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドと同様、N末端側には、1個の任意のアミノ酸または2〜10個の任意のアミノ酸残基を含むオリゴマが付加されていてもよいし、アミノ酸が何も付加されていなくてもよい。
このY1で表されるアミノ酸残基は、式(2)の転写抑制転換ペプチドを合成するときの容易さからみれば、できるだけ短いほうがよい。具体的には、10個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましい。
同様に、上記式(2)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドのX3と同様、上記Y3で表されるアミノ酸残基の数は少なくとも6個であればよい。また、Y3で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではく、どのようなものであってもよい。すなわち、上記式(2)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドと同様、C末端側には、6個以上の任意のアミノ酸残基を含むオリゴマが付加されていればよい。上記Y3で表されるアミノ酸残基は、最低6個あれば上記機能を示すことができる。
上記式(2)の転写抑制転換ペプチドにおいて、Y1およびY3を除いた5個のアミノ酸残基を含むペンタマ(5mer)の具体的な配列は、42、43に示す。なお、上記Y2がPheの場合のアミノ酸配列が配列番号42に示すアミノ酸配列であり、上記Y2がIleの場合のアミノ酸配列が配列番号43に示すアミノ酸配列である。また、Y2を除いた4個のアミノ酸残基を含むテトラマ(4mer)の具体的な配列は、配列番号44に示す。
(式(3)の転写抑制転換ペプチド)
上記式(3)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記Z1で表されるアミノ酸残基は、1〜3個の範囲内でLeuを含むものとなっている。アミノ酸1個の場合は、Leuであり、アミノ酸2個の場合は、Asp−Leuとなっており、アミノ酸3個の場合はLeu−Asp−Leuとなっている。
一方、上記式(3)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドのX1等と同様、上記Z3で表されるアミノ酸残基の数は0〜10個の範囲内であればよい。また、Z3で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。すなわち、上記式(3)の転写抑制転換ペプチドにおいては、C末端側には、1個の任意のアミノ酸または2〜10個の任意のアミノ酸残基を含むオリゴマが付加されていてもよいし、アミノ酸が何も付加されていなくてもよい。
このZ3で表されるアミノ酸残基は、式(3)の転写抑制転換ペプチドを合成するときの容易さからみれば、できるだけ短いほうがよい。具体的には、10個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましい。Z3で表されるアミノ酸残基の具体的な例としては、Gly、Gly−Phe−Phe、Gly−Phe−Ala、Gly−Tyr−Tyr、Ala−Ala−Ala等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
また、この式(3)で表される転写抑制転換ペプチド全体のアミノ酸残基の数は、特に限定されるものではないが、合成するときの容易さからみれば、20アミノ酸以下であることが好ましい。
上記式(3)の転写抑制転換ペプチドにおいて、Z3を除いた7〜10個のアミノ酸残基を含むオリゴマの具体的な配列を、配列番号45〜53に示す。なお、上記Z1がLeuかつZ2がGlu、GlnまたはAspの場合のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号45、46または47に示すアミノ酸配列であり、上記Z1がAsp−LeuかつZ2がGlu、GlnまたはAspの場合のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号48、49または50に示すアミノ酸配列であり、上記Z1がLeu−Asp−LeuかつZ2がGlu、GlnまたはAspの場合のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号51、52または53に示すアミノ酸配列である。
(式(4)の転写抑制転換ペプチド)
上記式(4)の転写抑制転換ペプチドは、6個のアミノ酸残基を含むヘキサマ(6mer)であり、その具体的な配列は、配列番号7、16、54に示す。なお、上記Z4がGluの場合のアミノ酸配列が配列番号7に示すアミノ酸配列であり、上記Z4がAspの場合のアミノ酸配列が配列番号16に示すアミノ酸配列であり、上記Z4がGlnの場合のアミノ酸配列が配列番号54に示すアミノ酸配列である。
特に、本実施形態において用いられる転写抑制転換ペプチドは、上記式(4)で表されるヘキサマのような最小配列を有するペプチドであってもよい。例えば、配列番号7に示すアミノ酸配列は、シロイヌナズナSUPERMENタンパク質(SUPタンパク質)の196〜201番目のアミノ酸配列に相当し、上述したように、本発明者らが新たに上記転写抑制転換ペプチドとして見出したものである。
(転写抑制転換ペプチドのより具体的な例)
上述した各式で表される転写抑制転換ペプチドのより具体的な例としては、例えば、配列番号3〜19のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するペプチドが挙げられる。これらオリゴペプチドは、本発明者らが上記転写抑制転換ペプチドであることを見出したものである(例えば、上記国際公開第03/055903号パンフレット参照)。
さらに、上記転写抑制転換ペプチドの他の具体的な例として、次に示す(e)または(f)記載のオリゴペプチドが挙げられる。
(e)配列番号20または21に示されるアミノ酸配列を有するペプチド
(f)配列番号20または21に示されるアミノ酸配列において、1個または複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を有するペプチド
上記配列番号20に示されるアミノ酸配列を含むペプチドは、SUPタンパク質である。また、上記の「配列番号20または21に示されるいずれかのアミノ酸配列において、1個または複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列」における「1個または複数個」の範囲は特に限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1個から3個を意味する。
上記アミノ酸の欠失、置換もしくは付加は、上記ペプチドをコードする塩基配列を、当該技術分野で公知の手法によって改変することによって行うことができる。塩基配列に変異を導入するには、Kunkel法またはGappend duplex法等の公知手法またはこれに準ずる方法により行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant−KやMutant−G(いずれも商品名、TAKARA社製))等を用いて、あるいはLA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキット(商品名、TAKARA社製)を用いて変異が導入される。
また、上記機能性ペプチドは、配列番号20に示されるアミノ酸配列の全長配列を有するペプチドに限られず、その部分配列を有するペプチドであってもよい。
その部分配列を有するペプチドとしては、例えば、配列番号21に示されるアミノ酸配列(SUPタンパク質の175から204番目のアミノ酸配列)を有するペプチドが挙げられ、その部分配列を有するペプチドとしては、上記式(3)で表されるペプチドが挙げられる。
(転写抑制転換ペプチドの他の例)
本発明者らは、さらに、上記モチーフの構造について検討し、新たに6つのアミノ酸を含むモチーフを見出している。このモチーフは、具体的には、次に示す一般式(5)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである。これらのペプチドも、上記転写抑制転換ペプチドに含まれる。
(5)α1−Leu−β1−Leu−γ1−Leu
(ここで、式(5)中、α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、ThrまたはSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、SerまたはHisを示し、γ1は、Arg、Gln、Asn、Thr、Ser、His、LysまたはAspを示す。)
なお、上記一般式(5)で表されるペプチドを、便宜上、次に示す一般式(6)、(7)、(8)または(9)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドに分類する。
(6)α1−Leu−β1−Leu−γ2−Leu
(7)α1−Leu−β2−Leu−Arg−Leu
(8)α2−Leu−β1−Leu−Arg−Leu
(9)Asp−Leu−β3−Leu−Arg−Leu
(ここで、各式(6)〜(9)中、α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、ThrまたはSerを示し、α2は、Asn、Glu、Gln、ThrまたはSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、SerまたはHisを示し、β2は、Asn、Arg、Thr、SerまたはHisを示し、β3は、Glu、AspまたはGlnを示し、γ2は、Gln、Asn、Thr、Ser、His、LysまたはAspを示す。)
上記式(5)〜(9)で表されるアミノ酸配列を有する転写抑制転換ペプチドのより具体的な例としては、配列番号22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、133、59または60で表されるアミノ酸配列を有するペプチドが挙げられる。このうち、配列番号29、30、32、34、133、59または60のペプチドは、一般式(6)に示されるペプチドに相当し、配列番号22、25、35、36または37のペプチドは、一般式(7)に示されるペプチドに相当し、配列番号26、27、28、31または33のペプチドは、一般式(8)に示されるペプチドに相当し、配列番号23または24のペプチドは、一般式(9)に示されるペプチドに相当する。
また、上記式(5)〜(9)に示されるペプチド以外にも配列番号38または39で表されるアミノ酸配列を有する転写抑制転換ペプチドを用いることもできる。
(キメラタンパク質の生産方法)
上記で説明した各種転写抑制転換ペプチドは、上記で説明した転写因子と融合してキメラタンパク質とすることにより、当該転写因子を転写抑制因子とすることができる。したがって、本実施形態では、上記転写抑制転換ペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて、転写因子をコードする遺伝子とのキメラ遺伝子を得れば、キメラタンパク質を生産させることができる。
具体的には、上記転写抑制転換ペプチドをコードするポリヌクレオチド(以下、「転写抑制転換ポリヌクレオチド」と称する場合がある)と上記転写因子をコードする遺伝子とを連結することによりキメラ遺伝子を構築して、植物細胞に導入する。これによりキメラタンパク質を生産させることができる。なお、キメラ遺伝子を植物細胞に導入する具体的な方法については、後述する。
上記転写抑制転換ポリヌクレオチドの具体的な塩基配列は特に限定されるものではなく、遺伝暗号に基づいて、上記転写抑制転換ペプチドのアミノ酸配列に対応する塩基配列を含んでいればよい。また、必要に応じて、上記転写抑制転換ポリヌクレオチドは、転写因子遺伝子と連結するための連結部位となる塩基配列を含んでいてもよい。さらに、上記転写抑制転換ポリヌクレオチドのアミノ酸読み枠と転写因子遺伝子の読み枠とが一致しないような場合に、これらを一致させるための付加的な塩基配列を含んでいてもよい。
上記転写抑制転換ポリヌクレオチドの具体例としては、例えば、配列番号61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、134、55、57に示される塩基配列を有するポリヌクレオチドが挙げられる。また、配列番号62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、135、56、58に示されるポリヌクレオチドは、それぞれ、上記例示されたポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチドである。また、上記転写抑制転換ポリヌクレオチドの他の具体例としては、例えば、配列番号95、96に示されるポリヌクレオチドが挙げられる。これらのポリヌクレオチドは、以下の表1に示すように配列番号3〜39、133、59、60に示されるアミノ酸配列に対応するものである。
本実施形態で用いられるキメラタンパク質は、転写因子をコードする遺伝子と転写抑制転換ポリヌクレオチドとを連結した上記キメラ遺伝子から得ることができる。したがって、上記キメラタンパク質は、上記転写因子の部位と、上記転写抑制転換ペプチドの部位とが含まれていればよく、その構成は特に限定されるものではない。例えば、転写因子と転写抑制転換ペプチドとの間をつなぐためのリンカ機能を有するポリペプチドや、HisやMyc、Flag等のようにキメラタンパク質をエピトープ標識するためのポリペプチド等、各種の付加的なポリペプチドが含まれていてもよい。さらに上記キメラタンパク質には、必要に応じて、ポリペプチド以外の構造、例えば、糖鎖やイソプレノイド基等が含まれていてもよい。
<植物体の生産方法の一例>
本実施形態に係る植物体の生産方法は、上記で説明したキメラタンパク質を植物体で生産させる過程を含んでいればよく、特に限定されるものではない。本実施形態に係る植物体の生産方法を具体的な工程で示せば、例えば、発現ベクタ構築工程、形質転換工程、選抜工程等の工程を含む生産方法として挙げられる。このうち、本実施形態では、少なくとも形質転換工程が含まれていればよい。以下、各工程について具体的に説明する。
(発現ベクタ構築工程)
本実施形態において行われる発現ベクタ構築工程は、上記で説明した転写因子をコードする遺伝子と、上記で説明した転写抑制転換ポリヌクレオチドとを含む組換え発現ベクタを構築する工程であればよく、特に限定されるものではない。組換え発現ベクタは、さらにプロモータを含んでもよい。
上記組換え発現ベクタの母体となるベクタとしては、従来公知の種々のベクタを用いることができる。例えば、プラスミド、ファージ、またはコスミド等を用いることができ、導入される植物細胞や導入方法に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、pBR322、pBR325、pUC19、pUC119、pBluescript、pBluescriptSK、pBI系のベクタ等が挙げられる。特に、植物体へのベクタの導入法がアグロバクテリウムを用いる方法である場合には、pBI系のバイナリーベクタを用いることが好ましい。pBI系のバイナリーベクタとしては、具体的には、例えば、pBIG、pBIN19、pBI101、pBI121、pBI221等が挙げられる。
上記プロモータは、植物体内で遺伝子を発現させることが可能なプロモータであれば特に限定されるものではなく、公知のプロモータを好適に用いることができる。そのようなプロモータとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモータ(CaMV35S)、アクチンプロモータ、ノパリン合成酵素のプロモータ、タバコのPR1a遺伝子プロモータ、トマトのリブロース1,5−二リン酸カルボキシラーゼ・オキシダーゼ小サブユニットプロモータ等が挙げられる。この中でも、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモータまたはアクチンプロモータをより好ましく用いることができる。これらのプロモータを用いれば、得られる組換え発現ベクタでは、植物細胞内に導入されたときに任意の遺伝子を強く発現させることが可能となる。また、上記プロモータは、脱分化または再分化時に特異的に遺伝子を発現させることができるプロモータであることがさらに好ましい。このようなプロモータを用いることにより、上記キメラタンパク質をコードする遺伝子を脱分化または再分化時にのみ発現させて、他の組織に影響を与えることなく、植物体の脱分化または再分化を促進することが可能となる。
上記プロモータは、転写因子をコードする遺伝子と転写抑制転換ポリヌクレオチドとを連結したキメラ遺伝子を発現しうるように連結され、ベクタ内に導入されていればよく、組換え発現ベクタとしての具体的な構造は特に限定されるものではない。
上記組換え発現ベクタは、上記プロモータおよび上記キメラ遺伝子に加えて、さらに他のDNAセグメントを含んでいてもよい。当該他のDNAセグメントは特に限定されるものではないが、ターミネータ、選別マーカ、エンハンサ、翻訳効率を高めるための塩基配列等が挙げられる。また、上記組換え発現ベクタは、さらにT−DNA領域を有していてもよい。T−DNA領域は特にアグロバクテリウムを用いて上記組換え発現ベクタを植物体に導入する場合に遺伝子導入の効率を高めることができる。
ターミネータは転写終結部位としての機能を有していれば特に限定されるものではなく、公知のものであってもよい。例えば、具体的には、ノパリン合成酵素遺伝子の転写終結領域(Nosターミネータ)、カリフラワーモザイクウイルス35Sの転写終結領域(CaMV35Sターミネータ)等を好ましく用いることができる。この中でもNosターミネータをより好ましく用いることできる。
上記形質転換ベクタにおいては、ターミネータを適当な位置に配置することにより、植物細胞に導入された後に、不必要に長い転写物を合成したり、強力なプロモータがプラスミドのコピー数を減少させたりするような現象の発生を防止することができる。
上記選別マーカとしては、例えば薬剤耐性遺伝子を用いることができる。そのような薬剤耐性遺伝子の具体的な一例としては、例えば、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、クロラムフェニコール等に対する薬剤耐性遺伝子が挙げられる。これにより、上記抗生物質を含む培地中で生育する植物体を選択することによって、形質転換された植物体を容易に選別することができる。
上記翻訳効率を高めるための塩基配列としては、例えばタバコモザイクウイルス由来のomega配列が挙げられる。このomega配列をプロモータの非翻訳領域(5’UTR)に配置させることによって、上記キメラ遺伝子の翻訳効率を高めることができる。このように、上記形質転換ベクタには、その目的に応じて、さまざまなDNAセグメントを含ませることができる。
上記組換え発現ベクタの構築方法についても特に限定されるものではなく、適宜選択された母体となるベクタに、上記プロモータ、転写因子をコードする遺伝子、および転写抑制転換ポリヌクレオチド、ならびに必要に応じて上記他のDNAセグメントを所定の順序となるように導入すればよい。例えば、転写因子をコードする遺伝子と転写抑制転換ポリヌクレオチドとを連結してキメラ遺伝子を構築し、次に、このキメラ遺伝子とプロモータと(必要に応じてターミネータ等)とを連結して発現カセットを構築し、これをベクタに導入すればよい。
キメラ遺伝子の構築および発現カセットの構築では、例えば、各DNAセグメントの切断部位を互いに相補的な突出末端としておき、ライゲーション酵素で反応させることで、当該DNAセグメントの順序を規定することが可能となる。なお、発現カセットにターミネータが含まれる場合には、上流から、プロモータ、上記キメラ遺伝子、ターミネータの順となっていればよい。また、組換え発現ベクタを構築するための試薬類、すなわち制限酵素やライゲーション酵素等の種類についても特に限定されるものではなく、市販のものを適宜選択して用いればよい。
また、上記組換え発現ベクタの増殖方法(生産方法)も特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。一般的には大腸菌をホストとして当該大腸菌内で増殖させればよい。このとき、ベクタの種類に応じて、好ましい大腸菌の種類を選択してもよい。
(形質転換工程)
本実施形態において行われる形質転換工程は、上記で説明した組換え発現ベクタを植物細胞に導入して、上記で説明したキメラタンパク質を生産させるようになっていればよい。
上記組換え発現ベクタを植物細胞に導入する方法(形質転換方法)は特に限定されるものではなく、植物細胞に応じた適切な従来公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、アグロバクテリウムを用いる方法や直接植物細胞に導入する方法を用いることができる。アグロバクテリウムを用いる方法としては、例えば、Aida R, Shibata M (1995) Agrobacterium-mediated transformation of torenia (Torenia fournieri). Breed Sci 45: 71−74; Aida R, Kishimoto, Tanaka Y, Shibata M (2000) Modification of flower color in torenia (Torenia fournieri Lind) by genetic transformation. Plant Sci 153: 33−42を用いることができる。
組換え発現ベクタを直接植物細胞に導入する方法としては、例えば、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法(電気穿孔法)、ポリエチレングリコール法、パーティクルガン法、プロトプラスト融合法、リン酸カルシウム法等を用いることができる。
上記組換え発現ベクタが導入される植物細胞としては、例えば、花、葉、根等の植物器官における各組織の細胞、カルス、懸濁培養細胞等が挙げられる。
ここで、本実施形態に係る植物体の生産方法においては、上記組換え発現ベクタは、生産しようとする種類の植物体に合わせて適切なものを適宜構築してもよいが、汎用的な組換え発現ベクタを予め構築しておき、それを植物細胞に導入してもよい。すなわち、上記で説明した組換え発現ベクタ構築工程が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
(その他の工程、その他の方法)
本実施形態に係る植物体の生産方法においては、上記形質転換工程が含まれていればよく、さらに上記組換え発現ベクタ構築工程が含まれていてもよいが、さらに他の工程が含まれていてもよい。具体的には、形質転換後の植物体から適切な形質転換体を選抜する選抜工程等が挙げられる。
目的の遺伝子が導入された植物を選抜する方法は特に限定されるものではなく、植物体における導入遺伝子の発現状況から選抜すればよい。例えば、目的の遺伝子に加え「マーカ遺伝子」を同時に導入する方法が挙げられる。マーカ遺伝子として薬剤耐性遺伝子を用いる場合は、培地に抗生物質等を入れて選抜すればよい。マーカ遺伝子として色素を作る酵素遺伝子(GUS遺伝子等)を用いる場合は、培地に基質を加えて選抜すればよい。マーカ遺伝子としてそれ自身が蛍光を発する蛍光タンパク質(GFP等)を用いる場合は、蛍光顕微鏡での観察等により細胞が発する蛍光を確認し、選抜すればよい。
本実施形態に係る植物体の生産方法では、上記キメラ遺伝子を植物体に導入するため、当該植物体から、有性生殖または無性生殖により子孫を得ることが可能となる。また、当該植物体やその子孫から植物細胞や、種子、果実、株、カルス、塊茎、切穂、塊等の繁殖材料を得て、これらを基に当該植物体を量産することも可能となる。したがって、本実施形態に係る植物体の生産方法では、選抜後の植物体を繁殖させる繁殖工程(量産工程)が含まれていてもよい。
なお、本実施形態における植物体とは、成育した植物個体、植物細胞、植物組織、カルス、種子の少なくともいずれかが含まれる。つまり、本実施形態では、最終的に植物個体まで成育させることができる状態のものであれば、全て植物体と見なす。また、上記植物細胞には、種々の形態の植物細胞が含まれる。そのような植物細胞としては、例えば、懸濁培養細胞、プロトプラスト、葉の切片等が含まれる。これらの植物細胞を増殖、分化させることにより植物体を得ることができる。なお、植物細胞からの植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて、従来公知の方法を用いて行うことができる。したがって、本実施形態に係る植物体の生産方法では、植物細胞から植物体を再生させる再生工程が含まれていてもよい。
また、本実施形態に係る植物体の生産方法は、組換え発現ベクタで形質転換する方法に限定されるものではなく、他の方法を用いてもよい。具体的には、例えば、上記キメラタンパク質そのものを植物体に投与してもよい。この場合、最終的に利用する植物体の部位において脱分化または再分化を促進できるように、若年期の植物体にキメラタンパク質を投与すればよい。またキメラタンパク質の投与方法も特に限定されるものではなく、公知の各種方法を用いればよい。
(本実施形態により得られる植物体とその有用性、ならびにその利用)
本実施形態に係る植物体の生産方法は、上記キメラタンパク質をコードする遺伝子を植物体で発現させることによる。当該キメラタンパク質における転写因子由来のDNA結合ドメインが、脱分化または再分化の促進に関与すると推定される標的遺伝子に結合する。転写因子は転写抑制因子に転換され、標的遺伝子の転写が抑制される。これにより脱分化または再分化を促進することができる。したがって、本実施形態には、上記植物体の生産方法により得られる植物体も含まれる。
(本実施形態に係る植物体の具体例)
ここで、本実施形態に係る脱分化または再分化が促進される植物体の具体的な種類は特に限定されるものではなく、例えば、脱分化または再分化の促進によりその有用性が高まる植物が挙げられる。そのような植物は、被子植物であってもよいし裸子植物であってもよい。裸子植物としては、例えば、スギ目のスギ科、マツ科、ヒノキ科の植物やマキ科の植物等が挙げられる。また、被子植物としては、単子葉植物であってもよいし、双子葉植物であってもよい。双子葉植物としては、例えば、シロイヌナズナ等のアブラナ科、ツバキ科等の植物等が挙げられる。また、単子葉植物としては、イネ、トウモロコシ、ムギ等のイネ科、ホシクサ科等の植物が挙げられる。
また、本実施形態に係る脱分化または再分化が促進された植物体は、果実や種子を商品とする植物、花や植物体そのものを商品とする園芸植物であってもよい。そのような植物体の具体例をさらに挙げると、ナタネ、ジャガイモ、ホウレンソウ、大豆、キャベツ、レタス、トマト、カリフラワ、さやいんげん、かぶ、めかぶ、大根、ブロッコリ、メロン、オレンジ、スイカ、ネギ、ゴボウ等の各種の食用植物、あるいはバラ、キク、あじさい、カーネーション等の園芸植物がある。
本実施形態に係る植物体の生産方法は、特に、遺伝子組換え花き等の遺伝子組換え植物体の培養増殖や形質転換等に好適に適用される。遺伝子組換え植物体の培養物を増殖する場合でも、形質転換体が従来より短期間で得られ、必要な系統数を容易に確保することができ、省力化、低コスト化が可能となる。遺伝子組換え植物としては、例えば、トレニア(Torenia fournieri Lind.)、キク、バラ、カーネーション等の遺伝子組換え花き、イネ、ダイズ、コムギ等が挙げられる。本実施形態に係る植物体の生産方法を適用することにより、より有用な遺伝子組換え植物を作出するための開発を、時間、経費、労力を削減して行うことができる。
トレニアは、インドシナ原産のアゼトウガラシ科の一年草である。トレニアは、草丈を小さく育てられる(例えば、最小7cm程度で開花)、挿し芽で簡単に維持、増殖できる、花が咲くまでの期間が短い、日長に関係なくプラントボックスのような湿度の高い栽培条件でも正常に開花する、2倍体(2n=18)でゲノムサイズが小さい(171Mbp=シロイヌナズナとほぼ同等)、遺伝子組換えの手法が確立されている等の特徴を有し、本実施形態に係る植物体の生産方法が好適に適用される。
(本実施形態に係る形質転換体の具体例)
ここで、本実施形態に係る、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子をコードする遺伝子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとを有するキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクタを含む形質転換体の具体的な種類は特に限定されるものではなく、例えば、上記形質転換された植物体の他に、アグロバクテリウム、大腸菌、酵母、ウイルス等が挙げられる。
(本実施形態に係る植物体の生産方法の利用の一例)
本実施形態に係る植物体の生産方法の利用分野、利用方法は特に限定されるものではないが、一例として、本実施形態に係る植物体の生産方法を行うためのキット、すなわち植物体の脱分化または再分化促進キット等が挙げられる。
この植物体の脱分化または再分化促進キットの具体例としては、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子をコードする遺伝子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとを有するキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクタを少なくとも含んでいればよい。上記組換え発現ベクタを植物細胞に導入するための試薬群を含んでいればより好ましい。上記試薬群としては、形質転換の種類に応じた酵素やバッファ等が挙げられる。その他、必要に応じてマイクロ遠心チューブ等の実験用素材を添付してもよい。
(脱分化または再分化が促進された植物体の生産方法)
本発明者らは、MYB106タンパク質や種々の植物に保存されている同様の転写因子が、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子であることを明らかにし、本発明を完成させるに至った。したがって、そのような転写因子をコードする遺伝子を利用して、脱分化または再分化の促進が制御された植物体を生産する方法も本実施形態に含まれる。
すなわち、本実施形態に係る脱分化または再分化の促進が制御された植物体の生産方法は、以下の(a)または(b)記載のタンパク質をコードする遺伝子を用いるものである。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1個または複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する機能を有するタンパク質
あるいは、本実施形態に係る脱分化または再分化の促進が制御された植物体の生産方法は、以下の(c)または(d)記載の遺伝子を用いるものである。
(c)配列番号2に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム領域として有する遺伝子、
(d)配列番号2に示される塩基配列を含む遺伝子と相補的な塩基配列を含む遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子をコードする遺伝子
この植物体の生産方法は、脱分化または再分化を抑制する上記転写因子をコードする遺伝子の発現を抑制させるか、過剰発現させることにより可能となる。上記遺伝子の発現を抑制する方法としては、例えば、アンチセンス法、ジーンターゲッティング法、RNAi法、コサプレッション法、遺伝子破壊型タギング法等が挙げられる。また、上記遺伝子を過剰発現させる方法としては、例えば、適当なプロモータとその下流に配置された上記遺伝子とを含むベクタを構築し、植物に導入する方法等が挙げられる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例においては、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモータと、ノパリン合成酵素遺伝子の転写終止領域との間に、転写抑制転換ペプチドのひとつである12アミノ酸ペプチドLDLDLELRLGFA(SRDX)(配列番号19)をコードするポリヌクレオチドをMYB106遺伝子の下流に結合したポリヌクレオチドを組み込んだ組換え発現ベクタを構築し、これをトレニアにアグロバクテリウム法を用いて導入することにより、トレニアを形質転換した。
<形質転換用ベクタ構築用ベクタの構築>
形質転換用ベクタ構築用ベクタであるp35SGを、図1に示すように、以下の工程(1)〜(4)の通りに構築した。
(1)インビトロジェン社製pENTRベクタ上のattL1、attL2のそれぞれの領域をプライマattL1−F(配列番号138)、attL1−R(配列番号139)、attL2−F(配列番号140)、attL2−R(配列番号141)を用いてPCRにて増幅した。得られたattL1断片を制限酵素HindIII、attL2断片をEcoRIで消化し、精製した。PCR反応の条件は、変性反応94℃1分、アニール反応47℃2分、伸長反応74℃1分を1サイクルとして、25サイクル行った。以下すべてのPCR反応は同じ条件で行った。
(2)クローンテック社製(Clontech社、USA)のプラスミドpBI221を制限酵素XbaIとSacIで切断した後、アガロースゲル電気泳動でGUS遺伝子を除き、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモータ(以下、「CaMV35S」と称する場合がある)とノパリン合成酵素遺伝子の転写終止領域(以下、「Nos−ter」と称する場合がある)を含む35S−Nosプラスミド断片DNAを得た。
(3)以下の配列番号142、143の配列を有するDNA断片を合成し、90℃で2分間加熱した後、60℃で1時間加熱し、その後室温(25℃)で2時間静置してアニーリングさせ2本鎖を形成させた。これを上記35S−Nosプラスミド断片DNAのXbal−SacI領域にライゲーションし、p35S−Nosプラスミドを完成させた。配列番号142、143の配列を有するDNA断片には、5’末端にBamHI制限酵素部位、翻訳効率を高めるタバコモザイクウイルス由来のomega配列、および制限酵素部位SmaI、SalI、SstIがこの順に含まれる。
5'-ctagaggatccacaattaccaacaacaacaaacaacaaacaacattacaattacagatcccgggggtaccgtcgacgagctc-3'(配列番号142)
5'-cgtcgacggtacccccgggatctgtaattgtaatgttgtttgttgtttgttgttgttggtaattgtggatcct-3'(配列番号143)
(4)このp35S−Nosプラスミドを制限酵素HindIIIで消化し、上記attL1断片を挿入した。さらにこれをEcoRIで消化し、attL2断片を挿入して、 ベクタp35SGを完成させた。
<転写抑制転換ペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込んだ構築用ベクタの構築>
転写抑制転換ペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込んだ構築用ベクタであるp35SSRDXGを、図2に示すように、以下の工程(1)〜(2)の通りに構築した。
(1)12アミノ酸転写抑制転換ペプチドLDLDLELRLGFA(SRDX)をコードし、3’末端に終止コドンTAAを持つように設計した、以下の配列を有するDNAをそれぞれ合成し、70℃で10分加温した後、自然冷却によりアニールさせて2本鎖DNAとした。
5'-gggcttgatctggatctagaactccgtttgggtttcgcttaag-3'(配列番号144)
5'-tcgacttaagcgaaacccaaacggagttctagatccagatcaagccc-3'(配列番号145)
(2)p35SGを制限酵素SmaI、SalIで消化し、この領域に上記のSRDXをコードする2本鎖DNAを挿入して、p35SSRDXGを構築した。
<形質転換用ベクタの構築>
構築用ベクタのatt部位で挟まれたDNA断片と組換えるための、2つのatt部位を有する植物形質転換用ベクタであるpBCKHを、図3に示すように、以下の工程(1)〜(3)の通りに構築した。
(1)米国ミシガン州立大学より譲渡されたpBIG(Becker, D. Nucleic Acids Res. 18:203, 1990)を制限酵素HindIII、EcoRIで消化し、GUS、Nos領域を電気泳動で除いた。
(2)インビトロジェン社から購入したGateway(登録商標)ベクタコンバージョンシステムのFragmentAをプラスミドpBluscriptのEcoRVサイトに挿入した。これをHindIII−EcoRIで消化し、FragmentA断片を回収した。
(3)回収したFragmentA断片を上記のpBIGプラスミド断片とライゲーションを行い、pBCKHを構築した。これらは大腸菌DB3.1(インビトロジェン社)でのみ増殖可能で、クロラムフェニコール耐性、カナマイシン耐性である。
<構築用ベクタへのMYB106遺伝子の組み込み>
上記構築用ベクタp35SSRDXGにシロイヌナズナ由来の転写因子MYB106タンパク質をコードする遺伝子を以下の工程(1)〜(3)の通りに組み込んだ。
(1)シロイヌナズナ葉から調製したmRNAを用いて作成したcDNAライブラリから、以下のプライマを用いて、終止コドンを除くシロイヌナズナMYB106遺伝子のコード領域のみを含むDNA断片をPCRにて増幅した。
プライマ1 5'-GATGGGCAGATCGCCATGTTGTGATAAGGC-3'(配列番号136)
プライマ2 5'-GAACATCGTCGCGGAATCGGACGGTGAAGA-3'(配列番号137)
MYB106遺伝子のcDNAおよびコードするアミノ酸配列をそれぞれ配列番号2および1に示す。
(2)得られたMYB106コード領域のDNA断片を、図2に示すように、予め制限酵素SmaIで消化しておいた構築用ベクタp35SSRDXGのSmaI部位にライゲーションした。
(3)このプラスミドで大腸菌を形質転換し、プラスミドを調製して、塩基配列を決定し、順方向に挿入されたクローンを単離し、SRDXとのキメラ遺伝子となったものを得た。
<組換え発現ベクタの構築>
上記構築用ベクタ上にあるCaMV35Sプロモータ、キメラ遺伝子、Nos−ter等を含むDNA断片を、植物形質転換用ベクタpBCKHに組換えることにより、植物を宿主とする発現ベクタを構築した。組換え反応はインビトロジェン社のGateway(登録商標)LR clonase(登録商標)を用いて以下の工程(1)〜(3)の通りに行った。
(1)まず、p35SSRDXG 1.5μL(約300ng)とpBCKH 4.0μL(約600ng)に5倍希釈したLR buffer 4.0μLとTE緩衝液(10mM TrisCl pH7.0、1mM EDTA)5.5μLを加えた。
(2)この溶液にLR clonase 4.0μLを加えて25℃で60分間インキュベートした。続いて、proteinaseK 2μLを加えて37℃で10分間インキュベートした。
(3)その後、この溶液1〜2μLを大腸菌(DH5α等)に形質転換し、カナマイシンで選択した。
<組換え発現ベクタにより形質転換した植物体の生産>
アグロバクテリウム法により、MYB106−SRDX遺伝子を用いて、トレニアの葉片800枚の形質転換を行い、不定芽形成時期と不定芽数とを調査した。
以下の工程(1)〜(3)に示すように、上記キメラ遺伝子を含むDNA断片をpBCKHに組み込んだプラスミドであるpBCKH−MYB106−SRDXで、トレニアの形質転換を行い、形質転換植物体を生産した。トレニア植物の形質転換は、Aida R, Shibata M (1995) Agrobacterium-mediated transformation of torenia (Torenia fournieri). Breed Sci 45: 71−74; Aida R, Kishimoto, Tanaka Y, Shibata M (2000) Modification of flower color in torenia (Torenia fournieri Lind) by genetic transformation. Plant Sci 153: 33−42に従った。
(1)まず得られたプラスミド、pBCKH−MYB106−SRDXを、土壌細菌((Agrobacterium tumefaciens strain EHA105株)にエレクトロポレーション法で導入した。導入した菌を抗生物質(カナマイシン(Km)50μg/mL)を含む液体LB培地で1晩培養した。次いで、培養液をLB培地プレートにまき、25℃で3〜5日程度置いた。これを滅菌水に懸濁し、3mm角程度に切った葉片を浸した後、共存培地(表2)においた。1週間後、葉片をハイグロマイシン選抜培地(表3)に移し、以降2週間ごとに新しい選抜培地に移した。
MYB106−SRDX遺伝子の導入により、40日で不定芽を形成し始め、60日で100程度のシュートが得られた。図4は、感染(遺伝子導入)後の日数(日)とシュート出現カルス数との関係を示すグラフである。
[比較例1〜3]
MYB106−SRDX遺伝子の代わりに対照遺伝子としてAt5g58900−SRDX(比較例1:配列番号146、配列番号149のアミノ酸配列に対応)、At3g61120−SRDX遺伝子(比較例2:配列番号147、配列番号150のアミノ酸配列に対応)、At5g03680−ox遺伝子(比較例3:配列番号148、配列番号151のアミノ酸配列に対応)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトレニアの葉片各800枚の形質転換を行い、不定芽形成時期と不定芽数とを比較した。結果を図4に示す。
図4に示すように、遺伝子対照遺伝子では60日目で不定芽を形成し始めた。また、100日経過時でも50以下の不定芽形成にとどまった。
このように、実施例1のようにMYB106−SRDX遺伝子を導入したものでは、比較例1〜3の対照遺伝子を導入したものに比べて、脱分化または再分化が促進され、それにより早期にかつ多数の形質転換不定芽が得られたと考えられる。すなわち、標的遺伝子の働きを抑制するSRDX配列を付加していないMYB106遺伝子は、本来、脱分化または再分化を抑制する働きを有していると推測された。また、MYB106遺伝子にSRDX配列を付加してその機能を抑制することにより、不定芽形成の効率を大幅に向上することができた。MYB106遺伝子の制御により、培養と形質転換の効率が大幅に向上する可能性が高く、ダイズやコムギ等の形質転換効率が非常に低い作物に適用することにより、商業的にも大きな価値を生み出す可能性がある。

Claims (21)

  1. 脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質を、植物体で生産させることにより、植物体の脱分化または再分化を促進することを特徴とする植物体の生産方法。
  2. 請求項1に記載の植物体の生産方法であって、
    前記転写因子が、以下の(a)のタンパク質であることを特徴とする植物体の生産方法。
    (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するタンパク
  3. 請求項1に記載の植物体の生産方法であって、
    前記転写因子が、配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有し、かつ、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する機能を有するタンパク質であることを特徴とする植物体の生産方法。
  4. 請求項1に記載の植物体の生産方法であって、
    前記転写因子をコードする遺伝子として、以下の(c)または(d)の遺伝子が用いられることを特徴とする植物体の生産方法。
    (c)配列番号2に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム領域として有する遺伝子
    (d)配列番号2に示される塩基配列を含む遺伝子と相補的な塩基配列を含む遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子をコードする遺伝子
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の植物体の生産方法であって、
    前記機能性ペプチドが、以下の式(1)〜(4)のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドであることを特徴とする植物体の生産方法。
    (1)X1−Leu−Asp−Leu−X2−Leu−X3
    (ここで、式(1)中、X1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、X2はAsnまたはGluを示し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
    (2)Y1−Phe−Asp−Leu−Asn−Y2−Y3
    (ここで、式(2)中、Y1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、Y2はPheまたはIleを示し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
    (3)Z1−Asp−Leu−Z2−Leu−Arg−Leu−Z3
    (ここで、式(3)中、Z1はLeu、Asp−LeuまたはLeu−Asp−Leuを示し、Z2はGlu、GlnまたはAspを示し、Z3は0〜10個のアミノ酸残基を示す。)
    (4)Asp−Leu−Z4−Leu−Arg−Leu
    (ここで、式(4)中、Z4はGlu、GlnまたはAspを示す。)
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の植物体の生産方法であって、
    前記機能性ペプチドが、配列番号3〜19のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するペプチドであることを特徴とする植物体の生産方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の植物体の生産方法であって、
    前記機能性ペプチドが、以下の(e)または(f)のペプチドであることを特徴とする植物体の生産方法。
    (e)配列番号20または21に示されるアミノ酸配列を有するペプチド
    (f)配列番号20または21に示されるアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するペプチド
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の植物体の生産方法であって、
    前記機能性ペプチドが、以下の式(5)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドであることを特徴とする植物体の生産方法。
    (5)α1−Leu−β1−Leu−γ1−Leu
    (ここで、式(5)中、α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、ThrまたはSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、SerまたはHisを示し、γ1は、Arg、Gln、Asn、Thr、Ser、His、LysまたはAspを示す。)
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の植物体の生産方法であって、
    前記機能性ペプチドが、以下の式(6)〜(8)のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドであることを特徴とする植物体の生産方法。
    (6)α1−Leu−β1−Leu−γ2−Leu
    (7)α1−Leu−β2−Leu−Arg−Leu
    (8)α2−Leu−β1−Leu−Arg−Leu
    (ここで、各式(6)〜(8)中、α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、ThrまたはSerを示し、α2は、Asn、Glu、Gln、ThrまたはSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、SerまたはHisを示し、β2は、Asn、Arg、Thr、SerまたはHisを示し、γ2は、Gln、Asn、Thr、Ser、His、LysまたはAspを示す。)
  10. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の植物体の生産方法であって、
    前記機能性ペプチドが、配列番号22〜37、133、59、60のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するペプチドであることを特徴とする植物体の生産方法。
  11. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の植物体の生産方法であって、
    前記機能性ペプチドが、配列番号38または39に示されるアミノ酸配列を有するペプチドであることを特徴とする植物体の生産方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の植物体の生産方法であって、
    前記転写因子をコードする遺伝子と前記機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとを有するキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクタを、植物細胞に導入する形質転換工程を含むことを特徴とする植物体の生産方法。
  13. 請求項12に記載の植物体の生産方法であって、
    さらに、前記組換え発現ベクタを構築する発現ベクタ構築工程を含むことを特徴とする植物体の生産方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の植物体の生産方法により生産された、脱分化または再分化が促進されるように改変されたことを特徴とする植物体。
  15. 脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたことを特徴とするキメラタンパク質。
  16. 脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子をコードする遺伝子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとを有することを特徴とするキメラ遺伝子。
  17. 脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子をコードする部分と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードする部分とを含むことを特徴とするDNA。
  18. 脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子をコードする遺伝子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとを有するキメラ遺伝子を含むことを特徴とする組換え発現ベクタ。
  19. 脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子をコードする遺伝子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとを有するキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクタを含むことを特徴とする形質転換体。
  20. 請求項19に記載の形質転換体であって、
    前記形質転換体が植物体であることを特徴とする形質転換体。
  21. 植物体の生産を行うためのキットであって、
    脱分化または再分化を抑制する遺伝子の転写を促進する転写因子をコードする遺伝子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとを有するキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクタを含むことを特徴とするキット。
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