JP5845306B2 - 種子のタンパク質含量を増産させる遺伝子及びその利用方法 - Google Patents

種子のタンパク質含量を増産させる遺伝子及びその利用方法 Download PDF

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種子中のタンパク質量を変化させるために、従来までに(1)栽培法の改良、(2)特にイネなどの穀類では収穫後の種子を酸や菌で処理する方法、(3)マーカーを用いた分子育種、(4)突然変異体のスクリーニング、(5)遺伝子組換えなどの方法が用いられてきた。
以下に、それぞれの方法に関する問題点と、本発明が解決する課題を述べる。
(1)の方法では、タンパク質量を変化させることができるが、増減量が僅かである。また、(2)の方法ではタンパク質量を減少させるのに一定の効果を有するものの、収穫後の種子を処理するための手間と時間がかかる。また、(2)の方法ではタンパク質量を増加させるといった結果を達成していない。(3)の方法では、タンパク質量は量的形質であり、従来育種法でこれを改変するにはQTL解析により寄与度の高い遺伝子座を複数同定し、各遺伝子座から原因遺伝子を特定後、各遺伝子座をそれぞれ目的品種へ交配により導入する必要がある。したがって、(3)の方法もまた手間と時間がかかる。(4)の方法では、例えばLGC-1などの低グルテリンイネ系統が育種されているが、原品種の30〜50%に及ぶグルテリンが残っている。また低グルテリンイネ系統に共通する問題点として、確かに易消化性タンパク質であるグルテリンは原品種より大きく減少しているが、その反動として難消化性タンパク質であるプロラミンの著しい増大が見られる。したがって種子全体のタンパク含量を減少させる方法としては評価することはできない。(5)の方法では、プロラミン多重遺伝子群の発現全体を顕著に減少させその結果として、イネ種子のタンパク質含量を減少させた例が報告されているが(特許文献1:WO2004/056993)、プロラミン自体は50%以下に減少するものの、全タンパク質含量の減少は最大で15%にとどまっている。また、(5)の方法としては、AT1G04550、AT1G66390、AT5G13330及びAt2g30420で特定される転写因子を過剰発現したシロイヌナズナの種子で、タンパク質がそれぞれ25%、14%、39%及び17%増加し、At2g47460で特定される転写因子の過剰発現により種子の貯蔵タンパク質含量が13%減少したと報告している(特許文献2:WO 01/35727)。
しかしながら、種々の形質の改良を目的とした上述した分子育種法が開発されているにもかかわらず、種子のタンパク質含量を向上若しくは低下を達成するような技術は実用の域に達していない。
この理由として、真に優れた遺伝子が未発見であること、試験段階で効果のある組換え新品種が実用段階では多様な自然環境下で期待通りの効果を発揮できないことにあると考えられる。また、種子におけるタンパク質含量といった量的形質は制御系から代謝系に亘る様々なステップで多数の遺伝子が関わっており、量的形質を改善する真に優れた有用遺伝子を発見、開発することは困難であった。これらの問題を解決するためには、効果が劇的に高い新たな遺伝子を見出すこと、効果レベルは同等であっても実用環境条件で効果を発揮する遺伝子を開発することが課題である。
WO2004/056993 WO 01/35727
そこで、上述したような実情に鑑み、種子におけるタンパク質含量を増加或いは減少させることができる新規な機能を有する遺伝子を探索し、植物体におけるこれらの特性を向上できる技術を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、特定の転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチド(以下、リプレッサードメインと称する場合もある)とを融合したキメラタンパク質を発現させるか、特定の転写因子を過剰発現させることによって、様々な量的形質を改善させることができ、特に、種子におけるタンパク質含量を増加或いは減少させることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明に係る植物体は、以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質からなる転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質を発現させた、又は以下の(d)〜(f)のいずれかのタンパク質からなる転写因子を過剰発現させたものである。
(a)配列番号1〜76のうちいずれか1つの偶数番号に示すアミノ酸配列を含むタンパク質
(b)配列番号1〜76のうちいずれか1つの偶数番号に示すアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列を含み、転写促進活性を有するタンパク質
(c)配列番号1〜76のうちいずれか1つの奇数番号に示す塩基配列の相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下においてハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされ転写促進活性を有するタンパク質
(d)配列番号77〜84のうちいずれか1つの偶数番号に示すアミノ酸配列を含むタンパク質
(e)配列番号77〜84のうちいずれか1つの偶数番号に示すアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列を含み、転写促進活性を有するタンパク質
(f)配列番号77〜84のうちいずれか1つの奇数番号に示す塩基配列の相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下においてハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされ転写促進活性を有するタンパク質
本発明に係る植物体においては、機能性ペプチドを融合することによって、所定の転写因子における転写制御活性、特に転写促進活性が抑制されていることが好ましい。ここで上記機能性ペプチドとしては、次に示す式(1)〜(8)を挙げることができる。
(1)X1−Leu−Asp−Leu−X2−Leu−X3
(但し、式中、X1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、X2はAsn又はGluを示し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(2)Y1−Phe−Asp−Leu−Asn−Y2−Y3
(但し、式中、Y1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、Y2はPhe又はIleを示し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(3)Z1−Asp−Leu−Z2−Leu−Arg−Leu−Z3
(但し、式中、Z1はLeu、Asp−Leu又はLeu−Asp−Leuを示し、Z2はGlu、Gln又はAspを示し、Z3は0〜10個のアミノ酸残基を示す。)
(4)Asp−Leu−Z4−Leu−Arg−Leu
(但し、式中、Z4はGlu、Gln又はAspを示す。)
(5)α1−Leu−β1−Leu−γ1−Leu
(6)α1−Leu−β1−Leu−γ2−Leu
(7)α1−Leu−β2−Leu−Arg−Leu
(8)α2−Leu−β1−Leu−Arg−Leu
(但し、式(5)〜(8)中、α1はAsp、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、α2はAsn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、β1はAsp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、Ser又はHisを示し、β2はAsn、Arg、Thr、Ser又はHisを示し、γ1はArg、Gln、Asn、Thr、Ser、His、Lys又はAspを示し、γ2はGln、Asn、Thr、Ser、His、Lys又はAspを示す。)
また、本発明に係る植物体においては、種子に含まれるタンパク質の生産性が有意に向上又は減少することとなる。ここで有意とは、上記キメラタンパク質を発現しない植物体における物質生産性と比較したときに統計的に有意差をもって種子におけるタンパク質含量が増加又は減少していることを意味する。
一方、本発明によれば、上述したキメラタンパク質、当該キメラタンパク質をコードする遺伝子、当該遺伝子を含む発現ベクター及び当該遺伝子を含む形質転換体を提供することができる。
本発明に係る植物体は、種子に含まれるタンパク質含量が向上又は減少したものとなる。したがって、本発明に係る植物体を用いることによって、植物体の種子内で目的とするタンパク質を大量に生産することができる、若しくは、不純物、アレルゲンとしてのタンパク質が大幅に低減された種子を製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る植物体は、所定の転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質を発現するもの、又は所定の転写因子を過剰発現するものであり、野生型の植物体と比較して、種子に含まれるタンパク質の生産性が有意に向上又は減少したものである。すなわち、本発明に係る植物体は、所望の植物を対象として、当該植物の種子におけるタンパク質含量を有意に向上又は減少させるように、転写因子を上記機能性ペプチドとのキメラタンパク質として発現させるか、所定の転写因子を過剰発現させた植物体である。ここで、過剰発現とは、植物体に導入された転写因子をコードする遺伝子が転写され、転写産物として確認できる発現量を意味する。
特に、本発明に係る植物体においては、上記機能性ペプチドと融合することによって、転写因子における転写促進活性が抑制していることが好ましい。換言すると、本発明に係る植物体においては、転写因子に上記機能性ペプチドを融合させたキメラタンパク質を発現させた結果、上記機能性ペプチドに起因する転写抑制効果が優性の形質として現れるといった特徴を有していることが好ましい。
ここで、植物に含まれるタンパク質とは、種子に本来的に蓄積されるタンパク質及び外来的に導入された遺伝子によりコードされるタンパク質のいずれであっても良い。なお、外来的に導入する遺伝子は、例えば公知の種子特的発現プロモーターの制御下に導入することで種子内において効率的に発現することができる。
特に、種子のタンパク質含量が高くなれば、精製コストや運搬コストを低減できるため産業上有用性が高い。一方、種子の用途によっては、種子に含まれるタンパク質が不純物となったり、種子に含まれるタンパク質がアレルゲンとなったりする。したがって、種子に含まれるタンパク質の生産性が低くなれば、不純物含量やアレルゲン含量が低減することとなり産業上有用性が高い。
ここで、植物体としては、特に限定されず、如何なる植物をも対象とすることができる。対象とする植物としては、例えば、大豆、ごま、オリーブ油、椰子、イネ、綿花、ひまわり、トウモロコシ、サトウキビ、ジャトロファ、パームヤシ、タバコ、べに花及びナタネ等を挙げることができる。また、植物の遺伝子解析におけるモデル生物として広く利用されており、遺伝子発現解析の方法が確立しているシロイヌナズナを対象の植物とすることもできる。
また、転写因子のキメラタンパク質が活性として有する転写抑制とは、当該転写因子が認識するcis配列や、そのcis配列と類似する他の転写因子におけるcis配列を認識し、下流の遺伝子発現を積極的に抑制する活性であり、転写抑制因子とも呼べるものである。転写因子のキメラタンパク質が活性として有する転写抑制する手法は、特に限定されないが、特に、リプレッサードメイン配列やSRDX配列を付加したキメラタンパク質(融合タンパク質)を構築する方法が最も好ましい。
この手法においてリプレッサードメイン配列とは、任意の転写因子を転写抑制因子に転換するペプチドを構成するアミノ酸配列であり本発明者らによって種々見出された配列である。リプレッサードメイン配列を使用した方法については、例えば、特開2001−269177公報、特開2001−269178公報、特開2001−292776公報、特開2001−292777公報、特開2001−269176公報、特開2001−269179公報、国際公開第WO03/055903号パンフレット、Ohta, M., Matsui, K., Hiratsu, K., Shinshi, H. and Ohme-Takagi, M., The Plant Cell, Vol.13,1959-1968,August,2001及びHiratsu, K., Ohta, M., Matsui, K., Ohme-Takagi, M., FEBS Letters 514(2002)351-354を参照することができる。リプレッサードメイン配列は、Class II ERF(Ethylene Responsive Element Binding Factor)タンパク質や植物のジンクフィンガータンパク質(Zinc Finger Protein、例えばシロイヌナズナSUPERMANタンパク質等)から切り出されたもので、極めて単純な構造を有している。
キメラタンパク質として発現する転写因子としては、表1及び表2に示すように、シロイヌナズナにおけるAGIコードで特定される転写因子を挙げることができる。なお、表1に示した転写因子は、リプレッサードメインとのキメラタンパク質として植物体において発現すると、種子におけるタンパク質含量を有意に向上させるものである。一方、表2に示した転写因子は、リプレッサードメインとのキメラタンパク質として植物体において発現すると、種子におけるタンパク質含量を有意に減少させるものである。
Figure 0005845306
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一方、植物体において過剰発現させる転写因子としては、表3及び4に示すようにシロイヌナズナにおけるAGIコードで特定される転写因子を挙げることができる。なお、表3に示した転写因子は、植物体において過剰発現すると、種子におけるタンパク質含量を有意に向上させるものである。一方、表4に示した転写因子は、植物体において過剰発現すると、種子におけるタンパク質含量を有意に減少させるものである。
Figure 0005845306
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また、キメラタンパク質の対象となる転写因子、過剰発現の対象となる転写因子は、表1〜4に示したアミノ酸配列(配列番号1〜84のうちの偶数番号)からなるものに限定されず、当該アミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸配列が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列を含み、且つ、転写促進活性を有するものであっても良い。ここで、複数個のアミノ酸としては、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1個から5個、特に好ましくは1個から3個を意味する。なお、アミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、上記転写因子をコードする塩基配列を、当該技術分野で公知の手法によって改変することによって行うことができる。塩基配列に変異を導入するには、Kunkel法またはGapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法により行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-KやMutant-G(何れも商品名、TAKARA Bio社製))等を用いて、あるいはLA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキット(商品名、TAKARA Bio社製)を用いて変異が導入される。また、変異導入方法としては、EMS(エチルメタンスルホン酸)、5-ブロモウラシル、2-アミノプリン、ヒドロキシルアミン、N-メチル-N’-ニトロ-Nニトロソグアニジン、その他の発ガン性化合物に代表されるような化学的変異剤を使用する方法でも良いし、X線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、イオンビームに代表されるような放射線処理や紫外線処理による方法でも良い。
さらに、キメラタンパク質の対象となる転写因子、過剰発現の対象となる転写因子は、表1〜4に示したシロイヌナズナにおける転写因子に限定されず、シロイヌナズナ以外の植物(例えば上述した植物)において同機能を有する転写因子(以下、相同転写因子と称す)が含まれる。これら相同転写因子は、植物ゲノム情報が明らかになっていれば、表1〜4に示したアミノ酸配列或いは各遺伝子の塩基配列に基づいて、検索対象の植物ゲノム情報から検索することができる。このとき、相同転写因子としては、表1〜4に示したアミノ酸配列に対して、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列として検索される。ここで、相同性の値は、blastアルゴリズムを実装したコンピュータプログラム及び遺伝子配列情報を格納したデータベースを用いてデフォルトの設定で求められる値を意味する。
また、植物ゲノム情報が明らかとなっていない場合には、対象となる植物からゲノムを抽出するか或いは対象となる植物のcDNAライブラリーを構築し、表1〜4に示した転写因子をコードする遺伝子の少なくとも一部に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするゲノム領域或いはcDNAを単離することで相同遺伝子を同定することができる。ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。ハイブリダイゼーションは、J. Sambrook et al. Molecular Cloning, A Laboratory Manual,2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている方法等、従来公知の方法で行うことができる。
本発明に係る植物体は、上述したような転写因子と機能性ペプチドとのキメラタンパク質を発現させる、又は上述したような転写因子を過剰発現させることで、種子におけるタンパク質含量が有意に変動(向上又は減少)するといった特徴を示す。
特に、対象となる転写因子をキメラタンパク質とすることで、転写促進活性を抑制した状態で発現させること、さらに、対象となる転写因子が認識するcis配列と相同性のあるcis配列を認識する転写抑制活性として発現させること、対象となる転写因子が持つ他因子や核酸や脂質や糖質との親和特異性を変化させることで、種子におけるタンパク質含量が有意に変動(向上又は減少)するといった特徴を示す。このとき、上記植物体においては、内因性の転写因子を改変してそのキメラタンパク質を作製してもよいが、キメラタンパク質をコードする遺伝子を導入し、当該遺伝子を発現させても良い。一例としては、上述したような転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質(融合タンパク質)をコードする遺伝子を対象の植物に導入し、当該キメラタンパク質(融合タンパク質)を植物内で発現させる手法が好ましい。
本明細書中で記載する「転写促進活性が抑制された転写因子」とは、特に限定されるものではなく、当該転写因子が本来的に有している転写促進活性が有意に低減した転写因子であることを意味する。また、「任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチド」とは、任意の転写因子と融合してキメラタンパク質となったときに、当該転写因子が本来的に有している転写促進活性が有意に低減した転写因子となる機能を有するペプチドであることを意味する(転写抑制転換ペプチドと称する場合もある)。このような「任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチド」、特に限定されないが、なかでもリプレッサードメイン配列やSRDX配列として知られたアミノ酸配列からなるペプチドであることが好ましい。この転写抑制転換ペプチドについては、特開2005−204657号公報に詳述されており、当該公報に開示されたものを全て使用することができる。
転写抑制転換ペプチドは、例えば次に示す式(1)〜(8)のいずれかで表されるアミノ酸配列を挙げることができる。
(1)X1−Leu−Asp−Leu−X2−Leu−X3
(但し、式中、X1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、X2はAsn又はGluを示し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(2)Y1−Phe−Asp−Leu−Asn−Y2−Y3
(但し、式中、Y1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、Y2はPhe又はIleを示し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(3)Z1−Asp−Leu−Z2−Leu−Arg−Leu−Z3
(但し、式中、Z1はLeu、Asp−Leu又はLeu−Asp−Leuを示し、Z2はGlu、Gln又はAspを示し、Z3は0〜10個のアミノ酸残基を示す。)
(4)Asp−Leu−Z4−Leu−Arg−Leu
(但し、式中、Z4はGlu、Gln又はAspを示す。)
(5)α1−Leu−β1−Leu−γ1−Leu
(6)α1−Leu−β1−Leu−γ2−Leu
(7)α1−Leu−β2−Leu−Arg−Leu
(8)α2−Leu−β1−Leu−Arg−Leu
(但し、式(5)〜(8)中、α1はAsp、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、α2はAsn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、β1はAsp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、Ser又はHisを示し、β2はAsn、Arg、Thr、Ser又はHisを示し、γ1はArg、Gln、Asn、Thr、Ser、His、Lys又はAspを示し、γ2はGln、Asn、Thr、Ser、His、Lys又はAspを示す。)
式(1)の転写抑制転換ペプチド
上記式(1)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記X1で表されるアミノ酸残基の数は0〜10個の範囲内であればよい。また、X1で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。このX1で表されるアミノ酸残基は、式(1)の転写抑制転換ペプチドを合成するときの容易さからみれば、できるだけ短いほうがよい。具体的にX1で表されるアミノ酸残基は、5個以下であることが好ましい。
同様に、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記X3で表されるアミノ酸残基の数は少なくとも6個であればよい。また、X3で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。
式(2)の転写抑制転換ペプチド
上記式(2)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドのX1と同様、上記Y1で表されるアミノ酸残基の数は0〜10個の範囲内であればよい。また、Y1で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。具体的にY1で表されるアミノ酸残基は、5個以下であることが好ましい。
同様に、上記式(2)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドのX3と同様、上記Y3で表されるアミノ酸残基の数は少なくとも6個であればよい。また、Y3で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。
式(3)の転写抑制転換ペプチド
上記式(3)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記Z1で表されるアミノ酸残基は、1〜3個の範囲内でLeuを含むものとなっている。アミノ酸1個の場合は、Leuであり、アミノ酸2個の場合は、Asp−Leuとなっており、アミノ酸3個の場合はLeu−Asp−Leuとなっている。
一方、上記式(3)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記Z3で表されるアミノ酸残基の数は0〜10個の範囲内であればよい。また、Z3で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。具体的にZ3で表されるアミノ酸残基は、5個以下であることがより好ましい。Z3で表されるアミノ酸残基の具体的な例としては、Gly、Gly−Phe−Phe、Gly−Phe−Ala、Gly−Tyr−Tyr、Ala−Ala−Ala等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
また、この式(3)で表される転写抑制転換ペプチド全体のアミノ酸残基の数は、特に限定されるものではないが、合成するときの容易さからみれば、20アミノ酸以下であることが好ましい。
式(4)の転写抑制転換ペプチド
上記式(4)の転写抑制転換ペプチドは、6個のアミノ酸残基からなるヘキサマー(6mer)である。なお、上記式(4)の転写抑制転換ペプチドにおいてZ4で表されるアミノ酸残基がGluの場合のアミノ酸配列は、シロイヌナズナSUPERMANタンパク質(SUPタンパク質)の196〜201番目のアミノ酸配列に相当している。
以上で説明した各種転写抑制転換ペプチドは、上述した転写因子と融合してキメラタンパク質(融合タンパク質)とすることにより、当該転写因子の特性を改変することができる。具体的には、上述した転写因子と融合してキメラタンパク質(融合タンパク質)とすることにより、転写因子を転写抑制因子や負の転写共役因子に改変することができる。さらには、ドミナントでない転写抑制因子をドミナント型転写抑制因子にすることも可能である。
また、上記転写抑制転換ペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて、転写因子をコードする遺伝子との融合遺伝子を得れば、キメラタンパク質(融合タンパク質)を生産させることができる。具体的には、上記転写抑制転換ペプチドをコードするポリヌクレオチド(転写抑制転換ポリヌクレオチドと称す)と上記転写因子をコードする遺伝子とを連結することにより融合遺伝子を構築して、植物細胞に導入する。これによりキメラタンパク質(融合タンパク質)を生産させることができる。上記転写抑制転換ポリヌクレオチドの具体的な塩基配列は特に限定されるものではなく、遺伝暗号に基づいて、上記転写抑制転換ペプチドのアミノ酸配列に対応する塩基配列を含んでいればよい。また、必要に応じて、上記転写抑制転換ポリヌクレオチドは、転写因子遺伝子と連結するための連結部位となる塩基配列を含んでいてもよい。さらに、上記転写抑制転換ポリヌクレオチドのアミノ酸読み枠と、転写因子の遺伝子の読み枠とが一致しないような場合に、これらを一致させるための付加的な塩基配列を含んでいてもよい。さらにまた、転写因子と転写抑制転換ペプチドとの間をつなぐためのリンカー機能を有するポリペプチドや、HisやMyc、Flag等のようにキメラタンパク質(融合タンパク質)をエピトープ標識するためのポリペプチド等、各種の付加的なポリペプチドが含まれていてもよい。さらに上記キメラタンパク質(融合タンパク質)には、必要に応じて、ポリペプチド以外の構造、例えば、糖鎖やイソプレノイド基等が含まれていてもよい。
また、上述したような転写因子を植物内で過剰発現させる際には、従来公知の発現ベクター等を使用することができる。また、転写因子を過剰発現させる手法としては、内因性の転写因子をコードする遺伝子の発現制御領域(例えばプロモーター領域)を改変して、当該遺伝子の発現を亢進するといった手法を採用しても良い。
植物体を製造する方法は、上述した転写因子と転写抑制転換ペプチドとのキメラタンパク質を植物体で生産させる過程、又は上述した転写因子を過剰発現させる過程を含んでいれば特に限定されるものではないが、例えば、発現ベクター構築工程、形質転換工程、選抜工程等の工程を含む製造法方法として挙げることができる。以下、各工程について具体的に説明する。
発現ベクター構築工程
発現ベクター構築工程は、上述した転写因子をコードする遺伝子と転写抑制転換ポリヌクレオチドと、プロモーターとを含む組換え発現ベクターを構築する工程であれば特に限定されるものではない。また、発現ベクター構築工程は、上述した過剰発現させる転写因子をコードする遺伝子と、プロモーターとを含む組換え発現ベクターを構築する工程であれば特に限定されるものではない。組換え発現ベクターの母体となるベクターとしては、従来公知の種々のベクターを用いることができる。例えば、プラスミド、ファージ、またはコスミド等を用いることができ、導入される植物細胞や導入方法に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、pBR322、pBR325、pUC19、pUC119、pBluescript、pBluescriptSK、pBI系のベクター等を挙げることができる。特に、植物体へのベクターの導入法がアグロバクテリウムを用いる方法である場合には、pBI系のバイナリーベクターを用いることが好ましい。pBI系のバイナリーベクターとしては、具体的には、例えば、pBIG、pBIN19、pBI101、pBI121、pBI221等を挙げることができる。
プロモーターは、植物体内で遺伝子を発現させることが可能なプロモーターであれば特に限定されるものではなく、公知のプロモーターを好適に用いることができる。かかるプロモーターとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(CaMV35S)、各種アクチン遺伝子プロモーター、各種ユビキチン遺伝子プロモーター、ノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター、タバコのPR1a遺伝子プロモーター、トマトのリブロース1,5−二リン酸カルボキシラーゼ・オキシダーゼ小サブユニット遺伝子プロモーター、ナピン遺伝子プロモーター、オレオシン遺伝子プロモーター等を挙げることができる。この中でも、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター、アクチン遺伝子プロモーター又はユビキチン遺伝子プロモーターをより好ましく用いることができる。上記各プロモーターを用いれば、植物細胞内に導入されたときに任意の遺伝子を強く発現させることが可能となる。プロモーターは、転写因子をコードする遺伝子と転写抑制転換ポリヌクレオチドとを連結した融合遺伝子を発現しうるように連結され、ベクター内に導入されていればよく、組換え発現ベクターとしての具体的な構造は特に限定されるものではない。また、プロモーターは、過剰発現させる転写因子をコードする遺伝子を発現しうるように連結され、ベクター内に導入されていればよく、組換え発現ベクターとしての具体的な構造は特に限定されるものではない。
なお、組換え発現ベクターは、プロモーター及び上記融合遺伝子若しくは転写因子をコードする遺伝子に加えて、さらに他のDNAセグメントを含んでいてもよい。当該他のDNAセグメントは特に限定されるものではないが、ターミネーター、選別マーカー、エンハンサー、翻訳効率を高めるための塩基配列等を挙げることができる。また、上記組換え発現ベクターは、さらにT−DNA領域を有していてもよい。T−DNA領域は特にアグロバクテリウムを用いて上記組換え発現ベクターを植物体に導入する場合に遺伝子導入の効率を高めることができる。
転写ターミネーターは転写終結部位としての機能を有していれば特に限定されるものではなく、公知のものであってもよい。例えば、具体的には、ノパリン合成酵素遺伝子の転写終結領域(Nosターミネーター)、カリフラワーモザイクウイルス35Sの転写終結領域(CaMV35Sターミネーター)等を好ましく用いることができる。この中でもNosターミネーターをより好ましく用いることできる。上記組換えベクターにおいては、転写ターミネーターを適当な位置に配置することにより、植物細胞に導入された後に、不必要に長い転写物を合成したり、強力なプロモーターがプラスミドのコピー数を減少させたりするような現象の発生を防止することができる。
形質転換体選別マーカーとしては、例えば薬剤耐性遺伝子を用いることができる。かかる薬剤耐性遺伝子の具体的な一例としては、例えば、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、クロラムフェニコール等に対する薬剤耐性遺伝子を挙げることができる。これにより、上記抗生物質を含む培地中で生育する植物体を選択することによって、形質転換された植物体を容易に選別することができる。
翻訳効率を高めるための塩基配列としては、例えばタバコモザイクウイルス由来のomega配列を挙げることができる。このomega配列をプロモーターの非翻訳領域(5’UTR)に配置させることによって、上記融合遺伝子の翻訳効率を高めることができる。このように、上記組換え発現ベクターには、その目的に応じて、さまざまなDNAセグメントを含ませることができる。
組換え発現ベクターの構築方法についても特に限定されるものではなく、適宜選択された母体となるベクターに、上記プロモーター、転写因子をコードする遺伝子及び転写抑制転換ポリヌクレオチドからなる融合遺伝子若しくは過剰発現対象の転写因子をコードする遺伝子、並びに必要に応じて上記他のDNAセグメントを所定の順序となるように導入すればよい。例えば、転写因子をコードする遺伝子と転写抑制転換ポリヌクレオチドとを連結して融合遺伝子を構築し、次に、この融合遺伝子とプロモーターと(必要に応じて転写ターミネーター等)とを連結して発現カセットを構築し、これをベクターに導入すればよい。
キメラ遺伝子(融合遺伝子)の構築および発現カセットの構築では、例えば、各DNAセグメントの切断部位を互いに相補的な突出末端としておき、ライゲーション酵素で反応させることで、当該DNAセグメントの順序を規定することが可能となる。なお、発現カセットにターミネーターが含まれる場合には、上流から、プロモーター、上記融合遺伝子若しくは転写因子をコードする遺伝子、ターミネーターの順となっていればよい。また、組換え発現ベクターを構築するための試薬類、すなわち制限酵素やライゲーション酵素等の種類についても特に限定されるものではなく、市販のものを適宜選択して用いればよい。
また、上記組換え発現ベクターの増殖方法(生産方法)も特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。一般的には大腸菌をホストとして当該大腸菌内で増殖させればよい。このとき、ベクターの種類に応じて、好ましい大腸菌の種類を選択してもよい。
形質転換工程
本発明において行われる形質転換工程は、上述した融合遺伝子若しくは上記転写因子をコードする遺伝子を発現させるように、上述した組換え発現ベクターを用いて植物細胞に導入する工程である。組換え発現ベクターを用いて植物細胞に導入する方法(形質転換方法)は特に限定されるものではなく、植物細胞に応じた適切な従来公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、アグロバクテリウムを用いる方法や直接植物細胞に導入する方法を用いることができる。アグロバクテリウムを用いる方法としては、例えば、Bechtold, E., Ellis, J. and Pelletier, G. (1993) In Planta Agrobacterium-mediated gene transfer by infiltration of adult Arabidopsis plants. C.R. Acad. Sci. Paris Sci. Vie, 316, 1194-1199. あるいは、Zyprian E, Kado Cl, Agrobacterium-mediated plant transformation by novel mini-T vectors in conjunction with a high-copy vir region helper plasmid. Plant Molecular Biology, 1990, 15(2), 245-256.に記載された方法を用いることができる。
組換え発現ベクターと対象となる遺伝子を含んだDNAを直接植物細胞に導入する方法としては、例えば、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法(電気穿孔法)、ポリエチレングリコール法、パーティクルガン法、プロトプラスト融合法、リン酸カルシウム法等を用いることができる。
また、DNAを直接植物細胞に導入する方法を採るなら、対象とする遺伝子の発現に必要な転写ユニット、例えプロモーターや転写ターミネーターと、対象とする遺伝子を含んだDNAあれば十分であり、ベクター機能が必須ではない。さらに、転写ユニットを有さない対象とする遺伝子のタンパク質コード領域のみを含むDNAであっても、宿主の転写ユニット内にインテグレートし、対象となる遺伝子を発現することができればよい。
上記組換え発現ベクターと対象となる遺伝子を含んだDNAや、発現ベクターを含まず対象となる遺伝子DNAを含んだDNAが導入される植物細胞としては、例えば、花、葉、根等の植物器官における各組織の細胞、カルス、懸濁培養細胞等を挙げることができる。ここで、本発明にかかる植物体の生産方法においては、上記組換え発現ベクターは、生産しようとする種類の植物体に合わせて適切なものを適宜構築してもよいが、汎用的な組換え発現ベクターを予め構築しておき、それを植物細胞に導入してもよい。すなわち、本発明に係る植物体の製造方法においては、上述した組換え発現ベクターを用いた形質転換用DNAの構築工程が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
その他の工程、その他の方法
本発明に係る植物体の製造方法においては、上記形質転換工程が含まれていればよく、さらに上記組換え発現ベクターを用いた形質転換用DNAの構築工程が含まれていてもよいが、さらに他の工程が含まれていてもよい。具体的には、形質転換後の植物体から適切な形質転換体を選抜する選抜工程等を挙げることができる。
選抜の方法は特に限定されるものではなく、例えば、ハイグロマイシン耐性等の薬剤耐性を基準として選抜してもよいし、形質転換体を育成した後に、植物体の種子を採取し、種子におけるタンパク質含量に基づいて選抜してもよい。例えば、タンパク質含量に基づいて選抜する例としては、植物体の種子を採取し、その後、定法に従って種子におけるタンパク質含量を測定し、形質転換していない植物体の種子におけるタンパク質含量と比較する方法を挙げることができる(後述の実施例参照)。
本発明に係る植物体の製造方法では、上記融合遺伝子若しくは転写因子をコードする遺伝子を植物体に導入するため、該植物体から、有性生殖または無性生殖によりタンパク質含量が有意に向上若しくは減少した子孫を得ることが可能となる。また、該植物体やその子孫から植物細胞や、種子、果実、株、カルス、塊茎、切穂、塊等の繁殖材料を得て、これらを基に該植物体を量産することも可能となる。したがって、本発明に係る植物体の製造方法では、選抜後の植物体を繁殖させる繁殖工程(量産工程)が含まれていてもよい。
なお、本発明における植物体とは、成育した植物個体、植物細胞、植物組織、カルス、種子の少なくとも何れかが含まれる。つまり、本発明では、最終的に植物個体まで成育させることができる状態のものであれば、全て植物体とみなす。また、上記植物細胞には、種々の形態の植物細胞が含まれる。かかる植物細胞としては、例えば、懸濁培養細胞、プロトプラスト、葉の切片等が含まれる。これらの植物細胞を増殖・分化させることにより植物体を得ることができる。なお、植物細胞からの植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて、従来公知の方法を用いて行うことができる。したがって、本発明に係る植物体の製造方法では、植物細胞等から植物体を再生させる再生工程が含まれていてもよい。
また、本発明に係る植物体の生産方法は、組換え発現ベクターで形質転換する方法に限定されるものではなく、他の方法を用いてもよい。具体的には、例えば、上記キメラタンパク質(融合タンパク質)そのもの若しくは転写因子(タンパク質)を植物体に投与してもよい。この場合、種子におけるいタンパク質含量を向上できるように、若年期の植物体にキメラタンパク質(融合タンパク質)若しくは転写因子(タンパク質)を投与すればよい。またキメラタンパク質(融合タンパク質)若しくは転写因子(タンパク質)の投与方法も特に限定されるものではなく、公知の各種方法を用いればよい。
以上説明したように、本発明によれば、所定の転写因子と上記機能性ペプチドとのキメラタンパク質若しくは所定の転写因子を発現させることで、野生型の植物体と比較して、種子におけるタンパク質含量が変動(向上又は減少)した植物体を提供することができる。植物体に上記キメラタンパク質を発現させると、対象となる転写因子の転写促進活性が抑制される場合もあり、或いは対象となる転写因子が認識するcis配列の相同配列に対する転写抑制効果を示す場合もある。さらに、キメラタンパク質は、対象となる転写因子や転写共役因子に対して親和性を有する他の因子、DNA、RNA、脂質又は糖質に対して当該親和特異性を変化させるように作用する場合もあり、或いは対象となる転写因子に対して親和性の無い物質に対して親和性を向上させるように作用する場合もある。本発明に係る植物体においては、キメラタンパク質の対象となる転写因子、当該転写因子が認識するcis配列と相同性のあるcis配列を認識する転写因子、キメラタンパク質の対象となる転写因子と相同性のある転写因子、キメラタンパク質の対象となる転写因子に対して親和性を有する他の因子等も同様に植物体に発現しているものの、上述したキメラタンパク質の作用効果により、ドミナントネガティブに制御対象の遺伝子発現を抑制することができる。これにより、本発明に係る植物体においては、植植物の生育に関連する遺伝子群の発現レベル、並びに種子におけるタンパク質生産に関連する遺伝子群及び/又は生産されたタンパク質の分解に関連する遺伝子群の発現レベルが変化し、その結果、種子におけるタンパク質含量が有意に変動すると考えられる。
ここで、種子におけるタンパク質含量が有意に変動するとは、野生型と比較して一粒あたりの種子質量に変化はないがタンパク質量が向上した場合と、野生型と比較して一粒あたりの種子質量が有意に大若しくは小となりタンパク質が向上した場合、野性型と比較して種子中のタンパク質が向上又は減少した場合のいずれかを意味する。いずれの場合であっても、植物一個体が生産するタンパク質が変動したこととなる。
より具体的に、表1に示した転写因子のキメラタンパク質を発現させた場合、植物体は、種子におけるタンパク質含量が野生型と比較して約20%以上向上することとなる。また、表3に示した転写因子を過剰発現させた場合、植物体は、種子におけるタンパク質含量が野生型と比較して約20%以上向上することとなる。本発明に係る植物体のなかで、タンパク質含量が増加するものについては、植物由来のタンパク質の製造方法に利用することができる。例えば、本発明に係る植物体を成長させて種子を採取し、採取した種子からタンパク質成分を回収することでタンパク質を製造することができる。特に本発明に係る植物体を利用したタンパク質の製造方法は、種子におけるタンパク質含量が高いため生産性に優れた方法であるといえる。換言すると、単位耕地面積あたりの栽培個体数が一定であり、種子の採取量が一定であると仮定すると、本発明に係る植物体を利用することによって単位耕地面積あたりから製造するタンパク質量が大幅に向上することとなる。したがって、本発明に係る植物体を利用することによってタンパク質生産に要する製造コストを大幅に削減することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
転写因子遺伝子の増幅
シロイヌナズナのcDNAライブラリーより、以下に記載するプライマーを用いて、転写因子At2g23760、At1g18330、At2g02070、At1g12980、At5g62380、At4g23750、At4g32800、At1g24590、At5g07690、At1g71692、At1g52150、At3g25890、At1g09540、At5g22380、At2g44940、At5g41030、At5g60970、At5g35550、At1g60240、At2g23290、At5g14000、At1g19490、At5g58900、At5g07580、At3g04070、At2g42830、At2g22200、At5g25190、At5g54230、At5g67300、At4g28140、At5g23260、At1g69490、At4g18390、At1g15360、At1g27370、At1g78080、At5g25390、At3g04060、At1g44830、At3g49850、At5g06100、At1g74840、At3g04070、At2g46770、At5g35550、At1g71030、At2g44840、At3g23220、At1g18570、At3g01530、At5g51190、At4g34410、At5g22290、At3g04420、At3g45150、At3g29035、At3g02150、At2g41710、At1g49120、At1g64380、At3g23230、At1g01010、At5g53290、At1g36060、At5g66300、At2g46310、At5g47390、At1g71030、At1g17520、At3g23220、At2g18060、At5g08070、At1g80580、At1g34190、At2g47520、At5g67000、At4g27950、At5g47230、At3g28910、At3g11280、At5g07680、At1g25470、At1g28520、At1g77450、At5g24590、At5g08790、At1g67260、At4g28530、At5g13910、At5g64530、At2g33710、At1g53230、At1g56010、At5g18560、At5g67580、At5g24520、At4g18390、At1g69690、At5g13330、At5g60970、At3g23220、At1g62700、At5g13330、At1g22985、At5g09330、At1g10200、At1g61110、At1g30210、At5g40330、At5g13180、At1g52880、At4g18450、At5g07580、At1g74930、At4g36160、At3g18550、At5g64750、At2g02450、At2g42400、At5g67300、At1g68800、At1g14510、At1g25580、At5g18270、At2g44840、At3g15500、At4g35580、At4g01550、At4g37750、At1g52890、At2g17040、At2g33480、At5g39610、At1g32770、At5g47220、At1g56650、At1g63910、At3g15510、At2g45680、At2g31230、At1g12260、At3g61910、At5g07310、At3g14230、At1g28160、At1g69120、At3g10490、At5g61600、At1g43160、At3g15210、At4g08150及びAt1g10200の終始コドンを除くコード領域のDNA断片、若しくは終始コドンを含むコード領域のDNA断片をPCRにより増幅した。なお、終始コドンを含むコード領域のDNA断片を増幅したのは、At3g04070、At2g46770、At5g35550、At1g71030、At2g44840、At4g18390、At1g69690、At5g13330、At5g60970、At3g23220、At3g15210、At4g08150及びAt1g10200についてである。PCR条件は94℃1分、47℃2分、伸長反応74℃1分を25サイクル行なった。次にPCR産物をアガロースゲル電気泳動により分離、回収した。
Figure 0005845306
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改良型転写因子の作製
終始コドンを除くコード領域のDNA断片がコードする転写因子遺伝子の3‘末端にリプレッサードメイン配列を付加するために、CaMV35Sプロモーターの下流にSmaIサイトとリプレッサードメイン(アミノ酸配列:GLDLDLELRLGFA(配列番号391))配列を有するベクターであるp35SSXGを用いた。転写因子遺伝子配列とリプレッサードメイン配列を連結するために、本ベクターをSmaIで切断し、上記の転写因子をコードするPCR増幅断片をそれぞれ挿入し、ベクター(p35SSXG(TFs))を作製した。なお、ベクターをp35SSXG(TFs)と表記したが、当該表記においてTFsの部分には転写因子のAGIコードが記述される。例えば、At2g23760で特定される転写因子を有するベクターは、p35SSXG(At2g23760)となる。以下の説明におけるベクター等の表記でも同様にTFsとの表記を使用する。
改良型転写因子発現ベクターの構築
アグロバクテリウムにより植物に遺伝子導入を行なうために、バイナリ-ベクターにはpBCKHを用いた。本ベクターはpBIG(Hygr)(NucleicAcidsRes.18,203(1990))のHindIIIサイトにGatewayベクターコンバージョンシステム(Invitrogen)のカセットを組み込んだものである。このベクターに改良型転写因子遺伝子配列を組み込むために、本ベクターと181種類のp35SSXG(TFs)をそれぞれ混合し、GATEWAY LR clonase (Invitrogen)を用いて組換え反応を行い、ベクター(pBCKH-p35SSXG(TFs))を作製した。
また、終始コドンを含むコード領域のDNA断片がコードする転写因子については、当該転写因子をコードする遺伝子を過剰発現させるため、前述した方法と同様に35Sプロモーターの下流に当該DNA断片を連結したベクターを作製した。
改良型転写因子遺伝子発現ベクター、転写因子発現ベクターの植物への導入
改良型転写因子若しくは転写因子を導入する植物にはシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana, Columbia(Col-0))を用いた。遺伝子導入法は、Transformation of Arabidopsis thaliana by vacuum infiltration (http://www.bch.msu.edu/pamgreen/protocol.htm)に従った。ただし、感染させるのに減圧処理は行なわず、アグロバクテリウム菌液に浸すだけにした。具体的には、改良型転写因子発現ベクターpBCKH-p35SSXG(TFs)若しくは転写因子発現ベクターを、それぞれ土壌細菌Agrobacterium tumefaciens strain GV3101 (C58C1Rifr) pMP90 (Gmr)(koncz and Schell 1986)株にエレクトロポレーション法で導入した。導入した菌をそれぞれ1リットルの、抗生物質(カナマイシン(Km)50μg/ml、ゲンタマイシン(Gm)25μg/ml、リファンピシリン(Rif)50μg/ml)を含むYEP培地でOD600が1になるまで培養した。次いで、培養液から菌体を回収し、1リットルの感染用培地(Infiltration medium、1リッターあたり、2.2gのMS salt、1X B5 vitamins、50gのsucrose、0.5gのMES、0.044μMのbenzylaminopurine、400μlのSilwetを含む。pH5.7)に懸濁した。
この溶液に、14日間生育したシロイヌナズナを1分間浸し、感染させた後、再び栽培を継続し結実させた。採種した種子(T1種子)を50%ブリーチ、0.02%Triton X-100溶液で7分間滅菌した後、滅菌水で3回リンスし、滅菌したハイグロマイシン選択培地(4.3g/lのMS salts、0.5%のsucrose、0.5g/lのMES、pH5.7、0.8%のagar、30mg/lのhygromycin、250mg/lのVancomycin)に播種した。上記ハイグロマイシンプレートで生育する形質転換植物体(T1植物)を各改良型転写遺伝子につき5から10系統を選抜し、バーミキュライト混合土を入れた直径50mmのポットに移植した。これを22℃、16時間明期8時間暗期、光強度約60〜80μE/cm2で栽培し種子(T2種子)を得た。
T2種子の分析
改良型転写因子若しくは転写因子を導入した形質転換体及び野生型シロイヌナズナの種子40粒を秤量後1.5mlのPP製マイクロテストチューブに入れ、さらにTungsten Carbide Beads 3mm(QIAGEN社製)を1粒入れた後、Mixer Mill MM 300(Qiagen社製)を用いてfrequency=1/30で1分間振盪破砕を行った。破砕後50μlのExtraction Buffer(62.5mM Tris-HCl、2% SDS、10% glycerol、5% 2-mercaptethanol)を加えさらに1分間振盪破砕を行った。破砕後氷上で10分間静置し、さらに15000rpmで10分間遠心分離を行い、上澄をタンパク質の定量に用いた。
調製した抽出液のタンパク質の定量は、RC DC Protein Assay Kit(Bio-Rad社製)を使用して添付説明書記載の方法で行った。BSA(bovine serum albmin : ウシ血清アルブミン)を用いた検量線を元にタンパク質濃度を決定した。
なお、野生株(Col-0)については34個体生育しそれぞれ種子を取得し、系統毎にタンパク質含量を分析定量し、平均タンパク質含量を求めた。その後、各遺伝子導入個体の平均タンパク質含量と野生株の平均タンパク質含量を比較し、各遺伝子導入系統のタンパク質含量増加率と、t検定によるP値を求めた。種子におけるタンパク質含量が野生型と比較して約20%以上向上又は減少したもののP値は、全て5%以下であった。
分析の結果、改良型転写因子を導入することで野生型と比較して、種子におけるタンパク質含量が20%以上向上したものを表6に示し、転写因子を過剰発現するよう導入することで野生型と比較して、種子におけるタンパク質含量が20%以上向上したものを表7に示した。
Figure 0005845306
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また、分析の結果、改良型転写因子を導入することで野生型と比較して、種子におけるタンパク質含量が20%以上減少したものを表8に示し、転写因子を過剰発現するよう導入することで野生型と比較して、種子におけるタンパク質含量が20%以上減少したものを表9に示した
Figure 0005845306
Figure 0005845306
また、表6に示した結果において、最もタンパク質の増加量が高かった改良型At2g23760を導入した系統 (HR0530) について、T2種子を栽培し、タンパク質含量について再度評価した。結果を表10に示した。表10に示すように、T3種子においてもタンパク質含量の増加を確認することができた。特に、野生型に比較して、タンパク質含量が最大で43%増していた。なお、図示しないが、SDS-PAGEにより種子中のタンパク質組成に変化がないことを確認した。
Figure 0005845306
以上のように、本解析では141種類の転写因子について、SRDXを付加したキメラタンパク質として発現させた結果、22種類(解析した転写因子の15.6%)のキメラタンパク質の過剰発現では種子の貯蔵タンパク質含量が20%以上増加し、16種類(解析した転写因子の11.3%)キメラタンパク質の過剰発現では種子の貯蔵タンパク質含量が20%以上低下した。すなわち、約27%のキメラタンパク質の発現により種子貯蔵タンパク質の含量が顕著に増加又は低下した。換言すると、今回実験に供した転写因子のうち約73%の転写因子は、リプレッサードメインとのキメラタンパク質として発現させても、或いは過剰発現させても、種子におけるタンパク質含量が顕著に変動しない(例えば、At3g23220、At1g18570、At3g01530、At5g51190、At4g34410、At5g22290及びAt3g04420等)。
以上のように、本実施例により、特定の転写因子をリプレッサードメインと融合して発現させるか、特定の転写因子を過剰発現させることで、種子におけるタンパク質含量を有意に改変することが可能になることが明らかとなった。
また、これらの機能改良型転写因子を利用した種子タンパク質含量の増減については、既知の窒素代謝経路や脂肪酸代謝、または転写因子の改変による種子貯蔵タンパク質の改変方法と、同時に適用する事によりさらなる貯蔵タンパク質含量の大幅な改変が可能になることが期待される。

Claims (8)

  1. 以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質からなる転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質を植物内で発現させることで、野生型植物と比較して、種子におけるタンパク質含量を有意に向上させる方法。
    (a)配列番号4に示すアミノ酸配列を含むタンパク質
    (b)配列番号4に示すアミノ酸配列において1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列を含み、転写促進活性を有するタンパク質
    (c)配列番号3に示す塩基配列の相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下においてハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされ転写促進活性を有するタンパク質
  2. 上記転写因子の転写促進活性が抑制されていることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 上記キメラタンパク質が転写抑制因子活性をもつことを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 上記機能性ペプチドが、次に示す式(1)〜(8)
    (1)X1−Leu−Asp−Leu−X2−Leu−X3
    (但し、式中、X1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、X2はAsn又はGluを示し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
    (2)Y1−Phe−Asp−Leu−Asn−Y2−Y3
    (但し、式中、Y1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、Y2はPhe又はIleを示し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
    (3)Z1−Asp−Leu−Z2−Leu−Arg−Leu−Z3
    (但し、式中、Z1はLeu、Asp−Leu又はLeu−Asp−Leuを示し、Z2はGlu、Gln又はAspを示し、Z3は0〜10個のアミノ酸残基を示す。)
    (4)Asp−Leu−Z4−Leu−Arg−Leu
    (但し、式中、Z4はGlu、Gln又はAspを示す。)
    (5)α1−Leu−β1−Leu−γ1−Leu
    (6)α1−Leu−β1−Leu−γ2−Leu
    (7)α1−Leu−β2−Leu−Arg−Leu
    (8)α2−Leu−β1−Leu−Arg−Leu
    (但し、式(5)〜(8)中、α1はAsp、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、α2はAsn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、β1はAsp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、Ser又はHisを示し、β2はAsn、Arg、Thr、Ser又はHisを示し、γ1はArg、Gln、Asn、Thr、Ser、His、Lys又はAspを示し、γ2はGln、Asn、Thr、Ser、His、Lys又はAspを示す。)
    のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 上記植物が被子植物であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 上記植物が双子葉植物であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 上記植物がアブラナ科植物であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  8. 上記植物がシロイヌナズナであることを特徴とする請求項1記載の方法。
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