JP4629283B2 - 芯無しぺーパーロール及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トイレットペーパーロールやキッチンペーパーロール等のペーパーロールにおいて、厚紙で形成した特別の巻芯のないペーパーロール及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のトイレットペーパーロールは、通常、その中心部にペーパーを巻成するための巻芯(コア)を有するものである。この巻芯は、厚紙から形成された円筒体からなるものである。しかし、この巻芯を有するペーパーロールの場合、その巻芯の作製にコストがかかり、製品コストが高くなる等の問題を有するものであった。
一方、これまでにも、厚紙で形成した特別の巻芯を用いない芯無し(コアレス)ペーパーロールも提案されている。
特開2000−189342号公報及び特開2000−229046号公報には、トイレットペーパーロールにおいて、そのペーパーの略巻始め先端個所から所定長さ範囲にわたるペーパー表面に、無機顔料等の微粒子状のてん料を分散させた水分散液を噴霧により付着させ、ロール状に巻成して仮固着部(円筒体)としたものが提案されている。この芯無しペーパーロールは、その仮固着部がペーパーロールの巻芯部と同等の役割を示すものであるが、その固着力を弱くすることにより、その仮固着部を構成する巻成ペーパーを巻戻しにより容易に剥離することができる。従って、その使用に際しては、その仮固着部を形成する巻成ペーパーまでも無駄なく使用することができる。
しかしながら、前記した従来品の場合、そのペーパーの仮固着部の形成に用いる分散液は、比重の大きい無機顔料等の無機微粉末状を水溶液中に分散させて形成した分散液であることから、品質の良い均一分散液の調製が困難である上、その分散液の粘度及び接着力を安定的に調節するのがむつかしい等の問題があった。例えば、前記従来品においては、その仮固着部の固着力を弱くしてその巻成ペーパーを人手による巻戻しにより容易に剥離させることの可能なものとすると、この場合には、その仮固着部は潰れやすくなり、その取扱い性、運搬性及び積み重ね性が悪くなる等の問題を生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、芯無しペーパーロールにおいて、そのペーパーで形成した仮固着部からのペーパーの人手による巻戻しによる剥離が容易であるとともに、その仮固着部が外力によっても容易に潰れることのない高品質の芯無しペーパーロール及びその製造方法を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示す芯無しペーパーロール及びその製造方法が提供される。
(1) 衛生用紙からなるペーパーを巻取った芯無しペーパーロールであって、
その巻成開始部分が、デキストリンを濃度20〜70重量%で含むデキストリン水溶液中に、固形分中の親水性であって水に溶解しない生澱粉微粒子を10〜60重量%の濃度で分散させて形成した澱粉分散液からなる接着剤を噴霧塗布して形成された仮固着部とされ、
芯無しペーパーロールを構成するペーパーが、1プライ又は2プライの衛生薄葉紙からなり、1プライの坪量が1枚当り15〜40g/m 2 、2プライの坪量が1枚当り12〜30g/m 2 であり、前記接着剤の塗布量が乾燥後で5〜15g/m 2 であり、
接着剤の塗布長さが1プライで1.5〜5.0m、2プライで0.75〜2.5mであり、前記仮固着部の剥離強度が50〜500g/114mmであることを特徴とする芯無しペーパーロール。
(2)衛生用紙を巻取った芯無しペーパーロールの製造方法であって、
(i)1プライの坪量が1枚当り15〜40g/m2、2プライの坪量が1枚当り12〜30g/m2である、1プライ又は2プライの衛生用紙からなるペーパーを、吸引孔を有する回転シャフトに、該吸引孔から吸引しながら1回巻成する工程、
(ii)前記回転シャフトにペーパーを1回巻成した後に、デキストリンを濃度20〜70重量%で含むデキストリン水溶液中に、固形分中の親水性であって水に溶解しない生澱粉微粒子を10〜60重量%の濃度で分散させて形成した澱粉分散液からなる粘度(40℃)が、100〜2000cpsの接着剤をシート表面に、塗布量が乾燥後で5〜15g/m2となるように噴霧塗布するとともに、接着剤を塗布した面を回転シャフトの表面側に向けて接着剤の塗布長さが1プライで1.5〜5.0m、2プライで0.75〜2.5mとなるように回転シャフトに所定回数巻成して剥離強度が50〜500g/114mmの仮固着部を形成する工程、
(iii)前記仮固着部の形成後に、接着剤の噴霧を停止するとともに、ペーパーを仮固着部の周面にさらに巻成してペーパーロールを形成する工程、
(iv)前記ペーパーロールを回転シャフトから脱離させる工程、
(v)ペーパーロールを切断して所定幅のペーパーロールを形成する工程、
を有することを特徴とする芯無しペーパーロールの製造方法。
(3)接着剤の噴霧塗布を、巻成速度を一定とした状態で2〜20秒毎に間欠的に行ない、噴霧塗布時に時間当りの接着剤塗布量を一定とすることにより、巻き流れ方向で均一に塗布する請求項2に記載の芯無しペーパーロールの製造方法。
(4)仮固着部の周面にペーパーを巻成する速度が、400m/分以上である請求項2又は3記載の芯無しペーパーロールの製造方法。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明においては、芯無しペーパーロールの仮固着部を形成する場合に用いる液状接着剤として、デキストリン水溶液中に澱粉微粒子を分散させた分散液を用いる。この場合のデキストリン水溶液において、そのデキストリンの割合は、固形分濃度で、20〜70重量%、好ましくは20〜50重量%である。本発明においては、このデキストリン水溶液の粘度40℃は、100〜800cps、好ましくは100〜400cpsの範囲に規定するのがよい。また、デキストリン水溶液中に澱粉微粒子を分散させた分散液において、その澱粉微粒子の割合は、デキストリン水溶液中、10〜60重量%、好ましくは15〜50重量%である。このデキストリン水溶液に澱粉微粒子を分散させた分散液において、その粘度(40℃)は、100〜2000cps、好ましくは1000〜2000cpsに規定するのがよい。
【0006】
前記デキストリン水溶液において、そのデキストリン濃度が高くなりすぎると、その液の粘度が高くなり、水溶液の噴霧性が悪くなるので好ましくない。一方、余りにも低くなりすぎると、噴霧された接着剤の微粒子が細かくなり、紙へ到達し難くなり、所定の付着量が得られなくなったり、ペーパーに塗布後の乾燥に時間がかかりすぎるので好ましくない。
前記デキストリン水溶液に澱粉微粒子を分散させた分散液において、その澱粉微粒子の濃度が高くなりすぎると、得られる分散液(接着剤)の接着力が弱くなりすぎるので、仮固着部の圧縮強度が小さくなるので好ましくない。一方、澱粉微粒子の濃度が低くなりすぎると、仮固着部の剥離強度が高くなりすぎて、その仮固着部からその巻成ペーパーを巻戻すことができなくなるので好ましくない。
【0007】
本発明で用いるデキストリンは、澱粉を加水分解して水溶性のものに変性したもので、その重量平均分子量は、1000〜20000である。このようなデキストリンとしては、従来公知の各種のものを用いることができる。
【0008】
本発明で用いる澱粉微粒子は、親水性ではあるが、常温では実質上水に溶解しないものである。この場合の澱粉は、コーンスターチや、じゃがいも澱粉、タピオカ澱粉等であることができる。また、澱粉は、生澱粉である。
【0009】
本発明で用いる液状接着剤は、前記のように、デキストリンを比較的高濃度で含むデキストリン水溶液中に、親水性の澱粉微粒子を分散させた分散液からなるものであることから、ペーパーの仮の固着体を形成するための液状接着剤として好適のもので、以下に示すような各種の利点を得ることができる。
(1)澱粉微粒子の比重は水の比重に近い上に、親水性のものであるから、デキストリン水溶液中に安定して分散させることができ、均一性の良い、噴霧性にすぐれた高品質の分散液を得ることができる。
(2)分散液中に含まれるデキストリンと澱粉微粒子の合計固形分濃度を調節して、その分散液中の含水量を30〜80重量%、好ましくは30〜50重量%に保持することができる。このような含水量の低い分散液は、ペーパーに塗布した後の乾燥が速く、ペーパーロールの作製完了時までにその実質的乾燥を達成することができる。
(3)デキストリンと澱粉微粒子との比率を変化させることにより、分散液の接着力を容易に調節することができる。本発明の場合、澱粉微粒子の割合は、澱粉微粒子とデキストリンとの合計換算固形分に対し、10〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲に規定するのがよい。
【0010】
本発明の液状接着剤を用いることにより、ペーパーの仮固着部(ペーパーの仮の固着巻成体からなる円筒体)は、そのペーパーの剥離強度を、50〜500gf/114mm、好ましくは100〜250gf/114mmの範囲に規定するとともに、該円筒体の圧縮強度を2.0〜3.5kgf/114mm、好ましくは2.5〜3.5kgf/114mmの範囲に規定することができる。本発明者らの研究によれば、このような剥離強度及び圧縮強度を有するペーパーの仮固着部からペーパーを人手により剥離させて巻戻す(引出す)ときには、その巻戻しを円滑に行うことができる上、その円筒体も十分な圧縮強度を有し、容易につぶれることもなく、得られるペーパーロールは、そのペーパーの仮固着部におけるペーパーの巻戻し性にすぐれるとともに、取扱い性、運搬性、積み重ね性等においてすぐれたものであることが確認された。
【0011】
本発明で用いるペーパーは、トイレットペーパーやキッチンペーパー等として用いられている広幅の衛生用紙である。この衛生用紙において、1プライの場合に、その1枚の紙の坪量は15〜40g/m2、好ましくは18〜25g/m2であり、その1枚の紙で測定するその横強度は32〜60N/m、好ましくは36〜48N/mであり、その縦強度は100〜160N/m、好ましくは116〜140N/mである。2プライの場合その1枚の坪量は12〜30g/m2、好ましくは15〜20g/m2であり、2枚で測定するその横強度は32〜60N/m、好ましくは36〜48N/mであり、その縦強度は100〜160N/m、好ましくは116〜140N/mである。その幅の長さは、トイレットロールで100〜120mm、キッチンロールで200〜240mmである。シートに柔軟性や厚みを持たせるため、エンボス加工等を施した衛生用紙も、本発明には好ましく用いることができる。
【0012】
本発明の芯無しペーパーロール(以下、単にロールとも言う)を製造するためには、ペーパーロールに用いる原料ペーパーの先端から所定の長さまでのペーパーを回転シャフト(芯棒)の周面に巻成するとともに、該ペーパーに液状接着剤を噴霧塗布して仮固着部を形成する。この仮固着部は、ペーパーの仮の固着巻成体からなる円筒体であり、ペーパーロールにおける巻芯としての役割を果たすものである。
前記回転シャフトとしては、その少なくとも表面部がステレンスや他の金属あるいはテフロン等の材料からなる棒状体又は円筒体が用いられる。そのシャフトの外径は、所望するペーパーロールの円筒状仮固着部の円筒内径に対応するもので、トイレットペーパーの場合、30〜50mm程度であり、キッチンペーパーロールの場合、30〜50mm程度である。
本発明で用いる回転シャフトとしては、その内部を密閉中空体とし、そのシャフト壁面に透孔を多数穿設したものであることが好ましい。このようなシャフトは、その中空内部を減圧することにより、そのシャフト表面の透孔を介してその中空内部方向に吸引力が働くようになる。従って、原料ペーパー先端部をそのシャフトに巻成する際には、そのシャフトに吸引力を作用させることにより、そのペーパーの巻成が容易になる。
【0013】
本発明により前記ペーパーの仮固着部を好ましく形成するには、先ず、原料ペーパーの先端部を、そのシャフトに1回だけ巻成し、そのシャフトの外周面にペーパー層を1層形成する。この1層のペーパー層には、液状接着剤は塗布しない。
次に、シャフトの回転をさらに継続して、原料ペーパーの巻成を所定回転数行う。この場合、その巻成するペーパーに対しては、本発明による液状接着剤を噴霧により塗布する。この場合の液状接着剤のペーパーに対する塗布は、シャフトに巻成される以前のペーパーの表面に対してあるいはシャフトに巻成されたペーパーの表面に対して行うことができる。シャフトに巻成される以前のペーパーに対して塗布する場合には、その液状接着剤の塗布面は、そのシャフト表面と対向する面、即ち、シャフト表面に巻成されているペーパーの表面と接触する側の面である。液状接着剤を塗布したペーパーを、このようにしてシャフト表面上の巻成ペーパー上に巻成するときには、そのペーパーに塗布された液状接着剤は、そのシャフト上に巻成されたペーパーの表面に接触し、その下層のペーパー表面にも付着する。これによってペーパーの間の円滑な接着が達成される。
一方、シャフト表面に巻成されたペーパー表面に液状接着剤を塗布する場合、その巻成ペーパーの表面上に塗布された液状接着剤は、その上に巻成されてくるペーパーの下面と接触し、付着する。これにより、ペーパー間の円滑な接着が達成される。
【0014】
前記のようにして、シャフト表面上には、ペーパーの仮の固着巻成体が形成される。この固着巻成体は、ペーパーロールの巻芯の役割を果たすものである。この場合、その仮の固着巻成体の形成に要するペーパーの長さは、1プライの場合、1.5〜5m、好ましくは1.5〜3.0mである。2プライの場合、0.75〜2.5m、好ましくは0.75〜1.25mである。
ペーパーに対する液状接着剤の塗布量は、そのペーパーが1プライの場合、5〜15g/m2、好ましくは5〜12g/m2であり、2プライの場合、5〜15g/m2、好ましくは8〜15g/m2である。1枚又は2枚の用紙からなるペーパー面に液状接着剤を塗布する場合、その液状接着剤の接着力や塗布量等により、そのペーパー間の接合界面の剥離強度を調節し、その剥離強度を、人手によりその仮固着部を巻戻したときに、紙の破断を生じることなく、その接合界面で剥離するようにコントロールすることが必要である。即ち、その接合界面の剥離強度をXとし、1枚又は2枚のペーパーの破断強度(縦強度)をYとすると、Y>Xの関係にすることが必要である。このような関係は、液状接着剤の組成や塗布量等により調節することができる。
前記のようにして形成されるペーパーの仮の固着体において、その乾燥後の剥離強度は50〜500gf/114mm、好ましくは100〜250gf/114mmであり、その乾燥後の仮固着部の圧縮強度は2.0〜3.5kgf/114mm、好ましくは2.5〜3.5kgf/114mmである。
【0015】
本発明により巻成する以前のペーパー表面に液状接着剤を噴霧塗布する場合、その塗布は、間欠的に行うことができる。この間の塗布を行う時間間隔は、2〜20秒、好ましくは3〜12秒である。このような間欠的塗布法により、液状接着剤の必要付着量を最小限に抑え、均一で安定した品質の製品を得ることができる。
本発明で用いる塗布装置としては、従来公知の各種のものを用いることができる。この場合の噴霧装置において、そのノズルの先端オリフィスの形状は、猫の目形状であることが好ましいが、もちろん、円形や多角形等の形状のノズルを用いることもできる。そのノズルのオリフィスの長軸の長さは、0.33〜0.79mm、好ましくは0.40〜0.65mmである。そのノズルのオリフィスから、ペーパーの表面に対して液状接着剤を噴出させる角度は、80〜110度、好ましくは100〜110度である。また、その噴霧装置における液状接着剤の噴出圧力は、1000〜2000psi、好ましくは1200〜1800psiである。この場合の噴出圧力が前記範囲より小さくなると、液状接着剤を均一かつ微細に噴霧することが困難になり、一方、前記範囲より大きくなると、液状接着剤の噴霧圧力により、紙切れが発生しやすくなる。
【0016】
前記ペーパーの仮固着部の形成後には、液状接着剤の塗布を停止し、さらにシャフトの回転を継続して、通常のペーパーロール作製の場合と同様に、回転シャフトによるペーパーの巻成を行う。
ペーパーロールを作製するための方法及び装置としては、従来公知のものを用いることができる。このような方法及び装置に関しては、例えば、前記した特開2000−189342号公報に記載の方法及び装置等を用いることができる他、サーフェイスワインディング方式や、好ましくはセンターワインディング方式による方法及び装置を用いることができる。センターワインディング方式の場合には、そのペーパーの巻成を高速で行うことができ、そのペーパーがエンボス加工されているものでも、そのエンボスのしっかり入ったふんわりとした柔らかい芯無しペーパーロールを得ることができる。また、この場合、その巻成速度は、1分間当り400m以上、好ましくは450m以上である。その上限値は、通常、1分間当り1000m程度である。
【0017】
前記のようにして広幅のペーパーロールが得られるが、このペーパーロールにおいて、そのペーパーの巻回数は、該ペーパーが1プライの場合、200〜280回、好ましくは200〜240回であり、2プライの場合には、100〜140回、好ましくは100〜120回である。
この広幅のペーパーロールは、所定幅のペーパーロールに切断し、トイレットペーパーロールやキッチンペーパーロールを得る。トイレットペーパーロールの場合、その幅の長さは100〜120mm、好ましくは110〜116mmである。キッチンロールの場合、その幅の長さは200〜240mm、好ましくは220〜235mmである。
前記広幅のペーパーロールを切断する場合、その装置としては、慣用の切断装置が用いられるが、本発明の場合、自転とともに公転する回転ログソーを用いて行うことができる。この場合、ログソーの自転回転数は、1500〜2000rpm及びログソーの公転回転数は20〜30rpmに規定するのがよい。ログソーのブレード厚みは、2.5〜5mm、好ましくは約4mm程度に規定するのがよい。
【0018】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1
(1)液状接着剤の調製
水1リットルにデキストリン(日本NSC社製)300gを30℃で投入し、溶解してデキストリン水溶液Aを得た。この水溶液Aのデキストリン濃度は23%であった。
次に、この水溶液1リットルに、生澱粉微粉末(日本NSC社製)、300gを添加し、攪拌し、均一分散させた。この分散液Bの粘度30℃は、1500cpsであった。
【0019】
(2)ペーパーの仮固着部の形成
巻成用原料ペーパーとして、トイレットペーパー用の1プライ(1枚)の衛生用紙(坪量20.5g/m2、横強度48N/m、縦強度130N/m、幅の長さ114mmを用いた。
このペーパーの先端部分を回転シャフトに巻成するとともに、そのペーパーに対して前記液状接着剤(分散液B)を噴霧塗布して、仮固着部を形成した。
この場合の仮固着部の形成条件は以下の通りである。
(i)シャフト
シャフトとしては、ステンレス製の外径が38mmの中空シャフトを用いた。このシャフトの壁面には、直径約2〜3mmの透孔が多数穿設され、その中空内を減圧にすることにより、シャフト面に接触するペーパーに対して吸引力を発現するものである。
(ii)シャフトに対するペーパーの巻成
先ず、原料ペーパーを、液状接着剤を塗布することなく、前記シャフトの表面に1回巻成した後、液状接着剤を表面に噴霧塗布したペーパーを、その塗布面をシャフト表面側に向けて該シャフトにより38回巻成して、仮固着部を形成した。この場合、そのシャフトに対するペーパーの合計巻回数は115回であり、その際のシャフトの回転数は最速時で1300回転/分であった。
(iii)塗布装置(スプレイングシステム社製)
ノズルのオリフィス形状(塗布パターン):猫の目形状
オリフィス径:長軸径:0.33mm
噴射角度:110度
接着剤の噴射圧力:1500psi
(iv)塗布量
乾燥固形物換算の塗布量:8.3g/m2。
【0020】
(3)ペーパーロールの製造
シャフト上にペーパーの仮固着部(円筒体)を前記のようにして形成した後、液状接着剤の塗布を停止して、シャフトの回転をさらに継続して、その円筒体上にペーパーを所定回巻成した後、次いでペーパーロールをシャフトから脱離させて芯無しペーパーロールとした。このペーパーロールにおいて、その全巻回数は258回であった。
次いで、その巻数の最終端部を、澱粉系の水溶性接着剤(糊)を用いて接着させ、この芯無しペーパーロールを、ログソーを用いて切断して、幅の長さが114mmのトイレットペーパーロールとした。この場合のログソーによる切断条件は以下の通りである。
(i)ログソー(PCMC社製)
(ii)先端ブレード厚さ:(3.0)mm
(iii)ログソー自転回転数:(1600)rpm
(iv)ログソー公転回転数:(20)rpm
【0021】
前記切断により得られたトイレットペーパーロールには、潰れは見られず、その中心部には、円形状の透孔が形成されていた。
また、このトイレットペーパーロールは、そのロールからペーパーを巻戻し、そのペーパーの仮固着部からペーパーを剥離させたところ、人手の力により、紙切れすることなく、円滑に剥離させることができた。
さらに、そのペーパーの仮固着部を強く圧縮して潰しても、人手によりその潰れた円筒形状を容易に復元することができた。
前記のようにして得られたトイレットペーパーロールにおいて、その仮固着部を分解し、その剥離強度を測定したところ、その剥離強度は320gf/114mmであった。
【0022】
実施例2
液状接着剤として、デキストリン水溶液Aに対し、澱粉微粒子を濃度60%で分散させた分散液Bを用いた以外は実施例1と同様にしてトイレットペーパーロールを製造した。
得られた各ペーパーロールの仮固着部に対し、下記に示す引張り試験を行った。その結果を表1に示す。
【0023】
なお、表1に示した評価結果を示すA、B、Cの具体的内容は以下の通りである。
A:最後まで剥離させることができる。
B:ゆっくりとした剥離では最後まで剥離させることができる。ミシン目部分で裂けあり。
C:ミシン目で裂けて破れる。
【0024】
(剥離試験)
試験装置として、(株)島津製作所社製の製品名「卓上形精密万能試験機 AGS−500NH」を用いた。
試験は、ペーパーロールの仮固着部からそれに巻成されているペーパーを500mm/分の引張り速度で垂直上方に15秒間引張って巻戻すとともに、その巻戻しに要した張力をチャートに記録させる方法である。その記録のうちから、最大値と最小値を測定した。
【0025】
【表1】
【0026】
実施例3
巻成用原料ペーパーとして、トイレット用の2プライ(2枚)の衛生用紙(坪量16.5g/m2、横強度38N/m、縦強度140N/m、幅の長さ114mm)を用いるとともに、液状接着剤の塗布量を、10.2g/m2とした以外は実施例1と同様にして実験を行った。この場合にも、別離性がよく、圧縮強度の良好な製品ペーパーロールを得ることができた。
【0027】
【発明の効果】
本発明で得られる芯無しペーパーロールは、その仮固着部が、適度の硬さ(圧縮強度)と剥離強度を有するため、その取扱い性、運搬性、さらに積み重ね性等においてすぐれており、しかも、その使用に際しては、その仮固着部の巻成ペーパーまでも無駄無く使用することができる。また、その仮固着部の形成に用いた液状接着剤成分は、人体に無害な生分解性のデキストリンと澱粉であるため、本発明のペーパーロールは、環境汚染を生じることもなく、安全に使用することができる。また、本発明のペーパーロールにおけるその仮固着部は水解性のものであり、水中に投入したときに解繊する。
本発明の芯無しペーパーロールの製造方法は、人体に無害な生分解性を有するデキストリンと澱粉からなる接着剤を用いることから、環境汚染を生じることなく、安全に実施することができる。
Claims (4)
- 衛生用紙からなるペーパーを巻取った芯無しペーパーロールであって、
その巻成開始部分が、デキストリンを濃度20〜70重量%で含むデキストリン水溶液中に、固形分中の親水性であって水に溶解しない生澱粉微粒子を10〜60重量%の濃度で分散させて形成した澱粉分散液からなる接着剤を噴霧塗布して形成された仮固着部とされ、
芯無しペーパーロールを構成するペーパーが、1プライ又は2プライの衛生薄葉紙からなり、1プライの坪量が1枚当り15〜40g/m 2 、2プライの坪量が1枚当り12〜30g/m 2 であり、前記接着剤の塗布量が乾燥後で5〜15g/m 2 であり、
接着剤の塗布長さが1プライで1.5〜5.0m、2プライで0.75〜2.5mであり、前記仮固着部の剥離強度が50〜500g/114mmであることを特徴とする芯無しペーパーロール。 - 衛生用紙を巻取った芯無しペーパーロールの製造方法であって、
(i)1プライの坪量が1枚当り15〜40g/m2、2プライの坪量が1枚当り12〜30g/m2である、1プライ又は2プライの衛生用紙からなるペーパーを、吸引孔を有する回転シャフトに、該吸引孔から吸引しながら1回巻成する工程、
(ii)前記回転シャフトにペーパーを1回巻成した後に、デキストリンを濃度20〜70重量%で含むデキストリン水溶液中に、固形分中の親水性であって水に溶解しない生澱粉微粒子を10〜60重量%の濃度で分散させて形成した澱粉分散液からなる粘度(40℃)が、100〜2000cpsの接着剤をシート表面に、塗布量が乾燥後で5〜15g/m2となるように噴霧塗布するとともに、接着剤を塗布した面を回転シャフトの表面側に向けて接着剤の塗布長さが1プライで1.5〜5.0m、2プライで0.75〜2.5mとなるように回転シャフトに所定回数巻成して剥離強度が50〜500g/114mmの仮固着部を形成する工程、
(iii)前記仮固着部の形成後に、接着剤の噴霧を停止するとともに、ペーパーを仮固着部の周面にさらに巻成してペーパーロールを形成する工程、
(iv)前記ペーパーロールを回転シャフトから脱離させる工程、
(v)ペーパーロールを切断して所定幅のペーパーロールを形成する工程、
を有することを特徴とする芯無しペーパーロールの製造方法。 - 接着剤の噴霧塗布を、巻成速度を一定とした状態で2〜20秒毎に間欠的に行ない、噴霧塗布時に時間当りの接着剤塗布量を一定とすることにより、巻き流れ方向で均一に塗布する請求項2に記載の芯無しペーパーロールの製造方法。
- 仮固着部の周面にペーパーを巻成する速度が、400m/分以上である請求項2又は3記載の芯無しペーパーロールの製造方法。
Priority Applications (1)
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