JP4628352B2 - 清掃シート - Google Patents

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本発明は、清掃具の清掃部に装着されて使用される清掃シート、特に床面の清掃に適した清掃シートに関する。
板状の清掃部に不織布等からなる清掃シートを取り付け、床等を拭いて該清掃シートでちりやほこり等を捕集して清掃を行う清掃具が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1に記載の技術は、板状の清掃部にクリップ手段によってシート状清掃材(清掃シート)を挟んで取り付けるものであり、シート状清掃材の前後の側縁部に複数条の切り込みを形成し、当該切り込みを形成した部分の剛性を低くすることによって、クリップ手段によるシート状清掃材の清掃部への取り付け操作を行い易くしたものである。特許文献2に記載の技術は、清掃シートをベースシート部とその前後に溶着した補強シートとで構成し、シートの引き裂き強度を高めたものである。また、特許文献3に記載の技術は、清掃シートに、清掃時の床面との摩擦によって開口する孔を形成し、塵埃の捕集性を高めたものである。
特許第3706433号公報 特開2000−296084号公報 特開2002−165738号公報
ところで、このような清掃シートを使用した清掃具においては、清掃時に清掃シートの清掃領域が、板状体と十分に密着されていないと、板状体の進行方向前後でのみ清掃シートが密着したり、被清掃面との摩擦によるシート密度の偏りが生じ、板状体の前後縁部でのみゴミを集めてしまう、いわゆるラッセル状態が生じ、清掃性が悪くなる課題を有している。しかし上述の従来技術は、このような清掃シートの使用時における清掃性を改善し得るものではない。
従って、本発明の目的は、前述した従来の清掃シートにおける清掃時の清掃性の課題を解決した清掃シートを提供することにある。
本発明は、清掃具の清掃部を形成する板状体に、該板状体の清掃面である下面を覆って装着されるシートで、該下面に密着される清掃領域部と該清掃領域部の両側の一対の外側領域部とを有し、一対の該外側領域部それぞれの一部が、前記板状体の上面に設けられたシート係止部に伸張状態で係止される清掃シートであって、前記外側領域部それぞれに、前記伸張方向に交わる方向に沿って切り込み条を設け、シート装着時に前記切り込み条を拡開させることにより、一対の前記外側領域部の幅をそれぞれ伸張させて、該外側領域部を前記シート係止部に係止するようにした清掃シートを提供することにより、前記目的を達成したものである。
本発明の清掃シートは、清掃具の清掃部である板状体へ装着したときの密着性が高められるので、清掃時に、シートの板状体からの脱落を防止できるほか、シートのずれ、しわ、偏りの発生を防ぐことができ、清掃性に優れる。また、切り込み条を入れるだけで容易に製造できるほか、従来品に比して外側領域部の幅を著しく狭くできるので、安価に製造可能である。
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づいて図1〜図3を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の清掃シート10は、清掃具1の清掃部を形成する板状体2に、板状体2の清掃面である下面20を覆って装着されるシートである。清掃具1を構成する板状体2には、その前後の縁である長手方向の両側に沿って所定間隔おきにシート係止部22がそれぞれ一対(合計四つ)設けられている。なお、本実施形態の板状体2は下面が矩形形状であって、清掃シート10は、板状体2の下面よりも面積が広い矩形形状である。
清掃シート10は、板状体2の下面20に密着される清掃領域部10Aと清掃領域部10Aの長辺側両側の一対の外側領域部10Bとを有し、外側領域部10Bのそれぞれの一部が、板状体2の上面21に設けられたシート係止部22に伸張状態で係止されて使用される。
図1及び図2に示すように、清掃シート10は、その板状体2への装着時における外側領域部10Bの幅が、それぞれ外側領域部10Bがシート係止部22に到達可能な長さとされている。清掃シート10は、板状体2の係止部22に装着する前の状態、即ち外側領域部10Bを伸張させる前では、図3に示すように、外側領域部10Bがシート係止部22に係止できない寸法とされている。外側領域部10Bの幅は、板状体2の厚さ、シート係止部22の位置に応じて設定される。
清掃シート10の外側領域部10Bには、板状体2のシート係止部22の位置に対応させて、概ね直線状の切り込み条11が前記伸張方向T(図2参照)に交わる方向に沿ってそれぞれ設けられている。本実施形態では、外側領域部10Bの伸張方向Tに直交する方向であって外側領域部10Bの長辺方向に沿い、外側領域部10Bのそれぞれに複数条(本実施形態では3条)の切り込み条11が断続的に設けられており、各切り込み条11は、千鳥配列とされている。清掃シート10の外側領域部10Bの切り込み条11は、長さ方向及び幅方向に複数本設けられ、各切り込み条11の長辺方向に沿う長さ方向の成分を抽出すると、長辺方向に連続するものであることが好ましく、これにより、清掃シート10の強度を保ちながら、外側領域10Bが所望の伸びを得ることができる。
一つの切り込み条11の長さ、各切り込み条11の列内及び列間(条間)の間隔は、シートの伸縮度合い、シート係止部の形状等に応じて設定される。一つの切り込み条の長さは、10〜30mmが好ましく、各切り込み条の列内の間隔は、5〜20mmが好ましく、各切り込み条の列間(条間)の間隔は、3〜10mmが好ましい。切り込み条11は、後述する清掃シート10を構成する網目状補強シート101の縦の線条を切断するように設けることが好ましい。これにより、清掃シート10の強度は保ちながら、外側領域10Bに所望の伸びを得ることができる。
清掃シート10の基材シートには、切り込み条を設けることによって、伸張性が付与される清掃用シートであれば、従来からこの種の清掃シートに使用されているシートを用いることができるが、特に、一体的なシートとして、シート自体の伸び率は低く、切り込み条が設けられている部分(本実施形態では外側領域部10B)は、通常の力(約1〜2Nの力)で切り込み条の方向に直交する方向に引っ張ったときに、引っ張る前の幅の1.5倍〜2倍まで伸び、切り込み条が設けられていない部分(本実施形態では清掃領域部10A)は、通常の力で引っ張ったときに、引っ張る前の幅の1.1倍以内の伸びる特性のものが好ましい。このような特性を備えているシートを基材シートとすると、清掃シートの強度は保ち、係止部に係止したときにシートにかかる伸びによる反発力は低く抑えることができる。
上述のような特性を備えた基材シートとしては、以下に説明する、本実施形態の図2に示すような網目状補強シート101と繊維集合体102とにより一体的に形成されているシートが好ましい。なお、図3では、便宜上網目状補強シート101が表面に描かれているが、実際には、繊維集合体102と一体的に形成されているため、表面に露出する部分は一部のみである。
上記清掃シート10の網目状補強シート101は、清掃シート1の全面に亘って配されている。網目状補強シート101は、複数の線条103が縦横に格子状に配されて形成されている。これらの線条103は清掃シート10の長辺又は短辺に平行又は直交している。
網目状補強シート101は、合成樹脂製の複数の線条103が縦横に格子状に接合されて形成されている。各線条103の間隔、太さ、材質は、清掃シートの強度、繊維集合体102の交絡度、繊維集合体102との部分的な絡合性等に応じて設定される。各線条の縦横の間隔は、4mm以上、30mm以下が好ましく、さらに8mm以上、20mm以下が好ましく、太さは0.1〜1.0mmが好ましく、さらに0.2〜0.5mmが好ましい。
線条103の材質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン系樹脂、アクリロニトリル系樹脂又はこれらの樹脂の変成物若しくはアロイ、又はこれらの二種以上の混合物等の合成樹脂より適宜選択することができる。
繊維集合体102としては、不織布が好ましい。不織布の構成繊維としては、ポリオレフィン系樹脂繊維、ポリエステル系樹脂繊維、アクリル系樹脂繊維、ビニル系樹脂、ビニリデン系樹脂繊維、ポリアミド系樹脂繊維又はこれらの繊維を組み合わせた複合化繊維等の合成樹脂繊維が挙げられる。繊維集合体102の坪量は、使用する繊維の種類、不織布の製法に応じ、前述の切り込み条の形成によって外側領域部に伸張性が発現される範囲で設定することができる。また、繊維集合体102には、従来からこの種の清掃シートに使用されているシリコーン油、鉱物油、合成油等各種の油剤、界面活性剤等を含ませることができる。
上述の網目状補強シート101と繊維集合体102とから形成される清掃シート10の基材シートは、例えば、網目状補強シート101の片面または両面に繊維ウェブを積層させ、この状態で水流等により網状シートと繊維ウェブとを絡合させる水流交絡によって製造することができる。
上述の構成の清掃シート10は、図1に示したように、板状体2への装着時に切り込み条11を拡開させることにより、外側領域部10Bの幅をそれぞれ伸張させて、外側領域部10Bをシート係止部22に係止することで板状体2に装着される。このため、清掃領域部10Aが、引張力のかかった状態で、板状体2の清掃面である下面20に密着保持される。よって、清掃時に、清掃シート10の板状体2からの脱落を防止できるのみならず、シートが板状体2の下面20の前後方向(幅方向)に変位しにくくなるので、板状体2の進行方向前後でのみシート10が密着したり、被清掃面との摩擦によるシート密度の偏りを防止でき、板状体2の前後縁部でのみゴミを集めてしまう、ラッセル状態を防止できる。特に、板状体2の下面20が緩やかな凸面形状である場合、清掃領域部10Aの全面での清掃性が向上する。
更に、本発明の清掃シートは、この種の従来のシートの外側領域部に切り込み条を設けた場合には、製造が容易である。また、清掃に寄与しない板状体2の上面に配置させるシートの領域を狭くできるので、従来品に比して外側領域部の幅を最大で3/4程度と著しく狭くでき、無駄がない。さらに、本発明の清掃シートは、清掃領域部から部分的に張り出すように外側領域部を設けて外側領域部を狭くする場合に比べると、生産性が高く安価に製造可能である。
本発明は前記実施形態に制限されない。
例えば、板状体の下面の形状は、矩形形状であることが好ましいが、これに限られず、台形形状や平行四辺形形状等の形状とすることもできる。また、シート係止部は、板状体の形状や寸法に応じて、二つ以上設けることもできる。また、シート係止部は、切り込み条が設けられた清掃シートを外側領域部の一部で伸張状態に係止できる形態であれば、他の形態であってもよい。
また、清掃シートに設ける切り込み条は、シート係止部に対応して一部にのみ設けることもできる。また、切り込み条は、一列でもよい。また、切り込み条は、前記実施形態のように、伸張方向に直交する方向である清掃シートの長辺に対して平行に設けることが好ましいが、外側領域部の伸張方向に交わる方向に沿っていればよく、伸張方向に対して斜めに配してもよいし、V字形状、これらの組み合わせ等の種々の形状を採用することができる。
清掃シートは、板状体の下面の形状に合わせてその形状を選択することができ、前記実施形態のような矩形形状以外に、台形形状や平行四辺形形状等の形状とすることもできる。また、清掃シートを構成する網目状ネットは、線条が清掃シートの長辺又は短辺に平行又は直交して配されていることが好ましいが、該長辺又は該短辺に対して斜めに配されていてもよい。
本発明の清掃シートは、一般住宅における床面の清掃の他、それ以外の建物の床面の清掃にも適用することができる。
図1は、本発明の清掃シートを清掃具の板状体に装着した状態を示すもの斜視図である。 図2は、図1に示す実施形態の清掃用シートの平面図である。 図3は、本発明の清掃シートを清掃具の板状体に装着する際の態様を示すもので、清掃シートの清掃領域を、外側領域の伸張前の状態で板状体の下面に配した状態の側面図である。
符号の説明
1 清掃具
2 板状体
20 下面
21 上面
22 シート係止部
10 清掃シート
10A 清掃領域部
10B 外側領域部
101 網目状補強シート
102 繊維集合体
103 線条
11 切り込み条

Claims (5)

  1. 清掃具の清掃部を形成する板状体に、該板状体の清掃面である下面を覆って装着されるシートで、該下面に密着される清掃領域部と該清掃領域部の両側の一対の外側領域部とを有し、一対の該外側領域部それぞれの一部が、前記板状体の上面に設けられたシート係止部に伸張状態で係止される清掃シートであって、
    前記外側領域部それぞれに、前記伸張方向に交わる方向に沿って切り込み条を設け、
    シート装着時に前記切り込み条を拡開させることにより、一対の前記外側領域部の幅をそれぞれ伸張させて、該外側領域部を前記シート係止部に係止するようにし
    前記外側領域部を伸張させる前では、該外側領域部が前記シート係止部に係止できない寸法とされている清掃シート。
  2. 前記シートの切り込み条が、前記伸張方向に直交する方向に沿って複数形成されている請求項1記載の清掃シート。
  3. 前記シート係止部が、前記板状体の前後の縁に沿って所定間隔おきに設けられており、該シート係止部に対応させて、前記切り込み条が一対の前記外側領域部にそれぞれ設けられている請求項1に記載の清掃シート。
  4. 網目状補強シートと繊維集合体とにより一体的に形成されており、該網目状補強シートが、シートの全面に亘って配されている請求項1〜3の何れかに記載の清掃シート。
  5. 前記シートが矩形形状に形成され、前記網目状補強シートが、線条が縦横に配された格子状で、該線条は前記シートの各辺に平行又は直交していて、前記切り込み条は、縦の該線条のみを切断するように設けられている請求項記載の清掃シート。
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