以下、本発明に係る座標入力/検出装置およびそれを用いた電子黒板システムの実施の形態について、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1は、実施の形態1に係る座標入力/検出装置の概略構成を示す正面図である。実施の形態1に係る座標入力/検出装置1は、パーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータに接続されると共に、コンピュータのディスプレイの前面に装着して使用可能なものである。図1において、dはコンピュータのディスプレイを示している。図1に示すように、座標入力/検出装置1は、ディスプレイdのサイズに対応させて、手書きにより文字や図形を入力する等の座標入力を行うための入力領域2の範囲を規定する筐体1aと、筐体1aの下方両端部に設けられ、入力領域2の全域に行き渡るような例えば扇形状の光を出射すると共に、筐体1aの下部を除く周辺部に設けられた再帰性反射部材4によって反射された光を受光する受発光装置3Lおよび3Rと、受発光装置3Lおよび3Rで受光した光に基づいて、入力領域2の光が遮られた場合に、その位置を特定する処理を実行する図示しないコントローラ(図4および図5参照)と、を備えている。なお、ここでは受発光装置3Lおよび3Rから扇形状の光を出射することにするが、入力領域2の全域に行き渡るような光であれば扇形状でなくても良い。
図1に示す受発光装置3Lおよび3Rは、それぞれカバー3a内に設けられ、互いに距離Wの間隔を空けて筐体1aに配置されている。以下の説明においては、説明の便宜上、受発光装置3Lから出射される扇形状の光がL1,L2,L3,・・・,Lmからなる光の束で構成されているものと仮定する。同様に、受発光装置3Rから出射される扇形状の光がR1,R2,R3,・・・,Rmからなる光の束で構成されているものと仮定する。また、以下では、L1,L2,L3,・・・,LmおよびR1,R2,R3,・・・,Rmの光をそれぞれプローブ光と呼ぶことにする。このように、受発光装置3Lおよび3Rは、これらのプローブ光の束からなる扇形状の光をディスプレイdの表面に沿って平行に出射するものとする。
再帰性反射部材4は、筐体1aの内側であって、筐体1aの下部を除く周辺部に設けられている。この再帰性反射部材4は、例えば円錐形状のコーナーキューブを多数配列して形成されたものであり、入射したプローブ光を同一光路に向けて反射する特性を有している。例えば、受発光装置3Lから出射されたプローブ光L3は、再帰性反射部材4によって反射される結果、再び同一光路を通って左側受発光装置3Lに向かう再帰反射光L3’となる。
つぎに、受発光装置3Lおよび3Rの構成について具体的に説明する。図2は受発光装置3Lおよび3Rのいずれか一方を示す概略構成図である。なお、図2はX−Z方向を主体にして受発光装置3Lおよび3Rを示す図であるが、図中の二点鎖線で示す部分は同一の構成要素を別方向(X−Y方向またはY−Z方向)から見た図である。
図2に示すように、受発光装置3Lおよび3Rは、それぞれ発光部5と受光部6とを備えている。発光部5は、スポットをある程度絞ることの可能なLD,LED等の光源7を備えている。この光源7からディスプレイdに対して垂直に出射された光は、一方向の倍率のみを変更可能なシリンドリカルレンズ8によってX方向にコリメートされる。シリンドリカルレンズ8によってX方向にコリメートされた光は、シリンドリカルレンズ8とは曲率の分布が直交する2枚のシリンドリカルレンズ9および10によりY方向に対して集光される。そして、シリンドリカルレンズ群(シリンドリカルレンズ8,9および10)を通過した光は、スリット板11に設けられたY方向に狭くX方向に細長いスリットに入射される。このスリットは、二次光源12を形成するものである。二次光源12から出射された光は、ハーフミラー13で反射され、ディスプレイdの表面に対して平行かつ二次光源12を中心とした扇形状の光となって、入力領域2を進行する。換言すれば、扇形状の光が入力領域2を形成する。なお、シリンドリカルレンズ群(シリンドリカルレンズ8,9および10)とスリット板11は、扇形状の光を形成する集光光学系を構成する。
扇形状となって入力領域2を進行した光は、再帰性反射部材4で再帰的に反射され、再び同一光路を辿ってハーフミラー13に戻ることになる。ハーフミラー13に戻った再起反射光は、ハーフミラー13を透過して受光部6に入射する。受光部6に入射した再帰反射光は、集光レンズであるシリンドリカルレンズ14を通って線状にされた後、シリンドリカルレンズ14から距離f(fはシリンドリカルレンズ14の焦点距離)の間隔を空けて設けられた受光素子15において、プローブ光毎に異なる位置で受光される。
そして、受光素子15は、再帰反射光(プローブ光)の光強度分布に基づいた電気信号を生成し、後述するコントローラ16(図4および図5参照)に入力する。なお、図2に示すように、二次光源12とハーフミラー13との距離Dと、シリンドリカルレンズ14とハーフミラー13との距離Dとが等しくなるように光学系が構成されている。この構成において、再帰性反射部材4で反射された再帰反射光は、Z軸方向ではシリンドリカルレンズ14の作用を受けず、コリメートされたまま受光素子15に到達する。また、再帰反射光は、ディスプレイ面と平行方向では、シリンドリカルレンズ14の中心に集光するように伝搬し、その結果、シリンドリカルレンズ14の作用を受けてシリンドリカルレンズ14の焦点面に設置された受光素子15上に結像する。これにより、受光素子15上に、再帰反射光の有無に応じて光強度の分布が形成される。すなわち、再帰反射光を指やペン等の指示物体で遮った場合、受光素子15上の遮られた再帰反射光に相当する位置に光強度が弱い点(後述するピーク点)が生じる。
また、図2で示したシリンドリカルレンズ14に代えて、同心円上に同じ曲率を持つ通常のレンズを用いることにしても良い。この場合の構成例を図3に示す。この構成において、再帰性反射部材4で反射された再起反射光は、Z軸方向では集光レンズ14aの作用を受けて、コリメートされた状態から集光されて受光素子15に到達する。また、再帰反射光は、ディスプレイ面と平行方向では集光レンズ14aの中心に集光するように伝搬し、その結果、集光レンズ14aの作用を受けて集光レンズ14aの焦点面に設置された受光素子15上に結像する。これにより、受光素子15上に、Y軸に平行な細い線状の光強度の分布が、再帰反射光の有無に応じて形成される。すなわち、再帰反射光を指やペン等の指示物体で遮った場合、受光素子15上の遮られた再帰反射光に相当する位置に光強度が弱い点(後述するピーク点)が生じる。
図4は、受光素子15から再帰反射光の光強度分布に基づいた電気信号が入力され、入力領域2を進行する光が遮られた位置の座標を特定する処理を実行するコントローラのブロック構成図である。図4において、受発光装置3Lおよび3R以外の各ブロックでコントローラ16が構成される。図4に示すコントローラ16は、各部を集中的に制御するCPU22と、制御プログラム等の固定的データを格納するROM23と、可変的なデータを格納するRAM24と、受発光装置3Lおよび3Rに設けられた光源7の発光時間間隔を制御するタイマ25と、ピーク検出器18と、xy演算器19と、コントローラ16をコンピュータに接続するためのインターフェース(I/F)20と、上記各部を接続するバス21と、を備えている。なお、RAM24には、可変的なデータを書換え自在に格納する機能を利用して、波形メモリ17が設けられている。
続いて、コントローラ16において実行される処理について説明する。図5は、コントローラ16によって実行される処理の説明図である。受光素子15から電気信号として出力された光強度分布を表す波形データは、RAM24の波形メモリ17Lおよび17Rに格納される。ピーク検出器18Lおよび18Rは、波形メモリ17Lおよび17Rに格納された波形データのピーク点の位置を検出する処理を実行する。
図6は、ピーク点の説明図である。例えば、受発光装置3Lから出射されたプローブ光L1,L2,L3,・・・,Ln−1,Ln,Ln+1,・・・,Lmの束で構成される扇形状の光において、n番目のプローブ光Lnがユーザの指やペン等の指示物体Aによって遮られると、そのプローブ光Lnは再帰性反射部材4に到達することはない。したがって、プローブ光Lnは受発光装置3Lの受光素子15によって受光されることはないため、プローブ光Lnに対応する受光素子15上の位置DnLが光強度の弱い領域(暗点)となる。その結果、受光素子15から出力される光強度の波形にピーク点が出現することになる。ピーク検出器18Lおよび18Rは、例えば平滑化微分等の波形処理演算手法を用いることにより、光強度の波形のピーク点となった暗点の位置Dn(受発光装置3Lの受光素子15上ではDnL、受発光装置3Rの受光素子15上ではDnR)をそれぞれ検出する。
ピーク検出器18Lおよび18Rによって波形データからピーク点が検出された場合、xy演算器19は、波形データにピーク点を出現させた指示物体Aの位置座標(x,y)を算出する。
続いて、xy演算器19において、指示物体Aの位置座標(x,y)を算出する処理について具体的に説明する。図6に示したように、指示物体Aによって遮られた受発光装置3Lからのプローブ光の出射/入射角θnL(受発光装置3Rからのプローブ光ではθnR)を、以下の式を用いて算出することができる。
θnL= arctan (DnL/f) ・・・・・(1)
θnR= arctan (DnR/f) ・・・・・(2)
ただし、DnLはピーク検出器18Lで検出された受発光装置3Lにおける受光素子15上の暗点の位置、DnRはピーク検出器18Rで検出された受発光装置3Rにおける受光素子15上の暗点の位置、fはシリンドリカルレンズ14(図2)または集光レンズ14a(図3)と受光素子15の間の距離で、それぞれのレンズの焦点距離に相当する。
また、(1)式で得たθnLを用いることにより、指示物体Aと受発光装置3Lとの角度θL(図7参照)を以下の式で算出することができる。
θL = g (θnL) ・・・・・(3)
ただし、gは指示物体Aと受発光装置3Lとの幾何学的な相対位置関係の変換係数である。
さらに、(2)式で得たθnRを用いることにより、指示物体Aと受発光装置3Rとの角度θR(図7参照)を以下の式で算出することができる。
θR = h (θnR) ・・・・・(4)
ただし、hは指示物体Aと受発光装置3Rとの幾何学的な相対位置関係の変換係数である。
一方、指示物体Aの位置座標(x,y)は、三角測量の原理により、以下の式を用いて算出される。
x = WtanθR / (tanθL + tanθR) ・・・・・(5)
y = WtanθL・tanθR / (tanθL + tanθR) ・・・・・(6)
ただし、Wは受発光装置3Lおよび3R間の距離である(図1および図7参照)。
上記(1),(2),(3),(4),(5)および(6)式により、指示物体Aの位置座標(x,y)は、DnL,DnRの関数として算出される。すなわち、受発光装置3Lにおける受光素子15上の暗点の位置DnL,受発光装置3Rにおける受光素子15上の暗点の位置DnRを検出すれば、指示物体Aの位置座標(x,y)が検出されることになる。なお、(1),(2),(3),(4),(5)および(6)式は制御プログラムの一部として予めROM23に格納しておくことが可能である。
コントローラ16において、前述したような処理で求めた指示物体Aの位置座標(x,y)は、I/F20を介してコンピュータに入力される。
以上の構成を有する座標入力/検出装置1全体の動作について、図7を参照しつつ具体的に説明する。まず、図7に示すように、座標入力/検出装置1の入力領域2を介してディスプレイd上の適当な位置(x,y)をユーザが指やペン等の指示物体Aで指し示したものとする。その結果、受発光装置3Lおよび3Rからそれぞれ出射されたプローブ光LnおよびRnが指示物体Aによって遮られることになる。したがって、指示物体Aによって遮られたプローブ光LnおよびRnは、再帰性反射部材4に到達することはなく、また、プローブ光Ln,Rnの再帰反射光は受発光装置3Lおよび3Rの各受光素子15によって受光されることはない。これに応じて、各受光素子15上の所定の位置(DnL,DnR)に光強度の弱い領域(暗点)が発生することになる(図6参照)。各受光素子15から出力された光強度に応じた波形データは、波形メモリ17Lおよび17Rに格納される。
ピーク検出器18Lおよび18Rは、波形メモリ17Lおよび17R中の波形データに基づいて、各受光素子15上の暗点(DnL,DnR)を波形データ中のピーク点として検出する。そして、xy演算器19は、ピーク検出器18Lおよび18Rによって検出された各受光素子15上の暗点(DnL,DnR)に基づいて、指示物体Aで指し示された位置座標(x,y)を算出する。こうして得られた位置座標(x,y)は、I/F20を介してコンピュータに入力され、指示物体Aによるユーザの指示に応じた処理が実行される。
このように、実施の形態1に係る座標入力/検出装置1によれば、入力領域中の光の一部を指やペン等の任意の指示物体Aで遮るだけで、所望の入力操作を行うことができるため、反射部材が設けられた特殊なペンを用いる必要をなくすことができる。
また、発光部5が光源7の光から扇形状の光を形成して筐体1a内部に向けて出射することにしたことにより、装置に振動が発生することはないため、指示物体Aで指示された位置の座標を高い精度で検出することが可能となる。
なお、図2に示したように、受発光装置3Lおよび3Rにはそれぞれ光源7が設けられているが、例えば、光源を一つにすることも可能である。図8は、光源を一つにした場合の座標入力/検出装置1の概略構成図である。図8に示すように、光源34から出射された光は、ハーフミラー35で受発光装置3L方向と受発光装置3R方向に分けられる。受発光装置3L側では、ミラー36Lで光源34からの光を反射して集光光学系37Lに入射する。その結果、集光光学系37Lから扇状に形成された光が筐体1a内部に出射される。一方、受発光装置3R側においても、受発光装置3L側と同様に、ミラー36Rおよび集光光学系37Rを介して扇状に形成された光が出射される。なお、図9は、集光光学系37Lおよび37Rの構成図である。
また、受光部6において、再帰性反射部材4で反射された各プローブ光を集光するためにシリンドリカルレンズ14を用いることにしているが、このシリンドリカルレンズ14に代えて、各プローブ光を受光素子15上に線状に導くスリットを用いることにしても良い。
また、座標入力/検出装置1に二つの受発光装置3Lおよび3Rを設けることにしているが、受発光装置を3つ以上設けることにしても良い。加えて、図1には、受発光装置3Lおよび3Rを筐体1aの下方に設けた様子が示されているが、例えば、受発光装置3Lおよび3Rを筐体1aの上方に設けることも可能であり、必要に応じてそれらの取り付け位置の設計変更を行うことができる。
また、座標入力/検出装置1をコンピュータのディスプレイの前面に装着した例を示したが、コンピュータのディスプレイ以外の表示装置にも座標入力/検出装置1を装着することができる。ここで、実施の形態1に係る座標入力/検出装置1は、小型のものから大型のものまで、いかなるサイズの表示装置に対しても適用することができる。加えて、電子黒板等の筆記面に座標入力/検出装置1を装着することも可能である。その際には、筆記面のサイズにあった入力領域2を形成するようにすることが望ましい。
さらに、受発光装置3Lおよび3Rならびに再帰性反射部材4を筐体1aと一体的に構成するようにすれば、例えば表示装置に座標入力/検出装置1を取り付ける際の作業性の向上を図ることができる。また、筐体1aを介して表示装置や電子黒板の筆記面等に座標入力/検出装置1を取り付けるのではなく、表示装置や電子黒板の筆記面等を座標入力/検出装置1の筐体として利用し、座標入力/検出装置1を表示装置や電子黒板の筆記面等と一体的に構成することも可能である。
〔実施の形態2〕
つぎに、実施の形態2に係る座標入力/検出装置について説明する。ただし、ここでは図1および図2(または図3)に示した構成を有する座標入力/検出装置1を前提としたコントローラを主に説明する。すなわち、以下に説明するコントローラは、実施の形態1に係る座標入力/検出装置1のコントローラ16として使用可能なものである。したがって、実施の形態2に係る座標入力/検出装置において、コントローラ以外の構成については実施の形態1に係る座標入力/検出装置1と同一であるものとする。
図10は、実施の形態2に係る座標入力/検出装置のコントローラのブロック構成図である。図10において、受発光装置3Lおよび3R以外の各ブロックでコントローラ31が構成される。図10に示すコントローラ31は、各部を集中的に制御するCPU22と、制御プログラム等の固定的データを予め格納するROM23,可変的なデータを格納するRAM24と、受発光装置3Lおよび3Rに設けられた光源7の発光時間間隔を制御するタイマ25と、ピーク検出器18と、アドレスエンコーダ32と、コンピュータにコントローラ31を接続するためのI/F20と、上記各部を接続するバス21と、を備えている。なお、RAM24には、受発光装置3Lおよび3Rの受光素子15から出力される波形データを格納するための波形メモリ17が設けられている。また、ROM23には、制御プログラムと共に、後述するメモリテーブル33が格納されている。
続いて、コントローラ31において実行される処理について説明する。図11は、コントローラ31によって実行される処理の説明図である。受光素子15から電気信号として入力された波形データは、RAM24の波形メモリ17Lおよび17Rに格納される。ピーク検出器18Lおよび18Rは、波形メモリ17Lおよび17Rに格納された波形データのピーク点の位置を検出する処理を実行する。ピーク検出器18Lおよび18Rによる処理については図6を用いて説明した通りであり、ここでは、暗点の位置Dn(受発光装置3Lの受光素子15上ではDnL,受発光装置3Rの受光素子15上ではDnR)が検出される。
各受光素子15上の暗点(DnL,DnR)が検出された場合、アドレスエンコーダ32Lおよび32Rは、暗点(DnL,DnR)をアドレス値に変換する処理を実行する。すなわち、アドレスエンコーダ32Lおよびアドレスエンコーダ32Rは、暗点(DnL,DnR)の位置を所定のアドレス値に変換する機能を有するものである。暗点(DnL,DnR)が所定のアドレスに変換されると、メモリテーブル33を用いて、光強度の波形データにピーク点を出現させた指示物体Aの位置座標(x,y)を求める処理が実行される。
続いて、メモリテーブル33を用いて指示物体Aの位置座標(x,y)を求める処理について具体的に説明する。図12は、ROM23に格納されたメモリテーブル33の説明図である。メモリテーブル33は、図12に示すように、指示物体Aによってプローブ光が遮られることによって生じる受発光装置3Lの受光素子15上の暗点DnLの値に基づくアドレスLnおよび受発光装置3Rの受光素子15上の暗点DnRの値に基づくアドレスRnが、それぞれマトリックス状に組み合わせられ、それぞれの組み合わせに対応する位置座標(x,y)が格納されたものである。なお、図12に示すメモリテーブル33において、アドレスLnとプローブ光Lnとが対応しており、アドレスRnとプローブ光Rnとが対応しているものとする。
したがって、アドレスエンコーダ32で各受光素子15上の暗点(DnL,DnR)を所定のアドレス(Ln,Rn)に変換し、そのアドレスに基づいてメモリテーブル33を検索することにより、該当する位置座標が指示物体Aの位置座標(x,y)として選択される。
このようにして検出された指示物体Aの位置座標(x,y)は、I/F20を介してコンピュータに入力される。
以上のようなコントローラ31を実施の形態1に係る座標入力/検出装置1に適用した場合の座標入力/検出装置1の動作について、図7を参照しつつ具体的に説明する。まず、図7に示すように、座標入力/検出装置1の入力領域2を介してディスプレイd上の適当な位置(x,y)をユーザが指やペン等の指示物体Aで指し示したものとする。その結果、受発光装置3Lおよび3Rから出射されたプローブ光Ln,Rnが遮られることになる。したがって、指示物体Aによって遮られたプローブ光LnおよびRnは、再帰性反射部材4に到達することはなく、また、プローブ光LnおよびRnの再帰反射光は受発光装置3Lおよび3Rの各受光素子15に受光されることはない。これに応じて、各受光素子15上の所定の位置(DnL,DnR)に光強度の弱い領域(暗点)が発生することになる(図6参照)。各受光素子から出力された光強度に応じた波形データは、波形メモリ17Lおよび17Rに格納される。
ピーク検出器18Lおよび18Rは、波形メモリ17Lおよび17R中の波形データに基づいて、各受光素子15上の暗点(DnL,DnR)を光強度の波形データからピーク点として検出する。そして、アドレスエンコーダ32Lおよび32Rは、ピーク検出器18Lおよび18Rによって検出された各受光素子15上の暗点(DnL,DnR)の値を所定のアドレス(Rn,Ln)に変換する。例えば、アドレスエンコーダ32Lおよび32Rによって変換されたアドレスが(L3,R2)である場合、メモリテーブル33を検索し、位置座標(x2,y3)を指示物体Aによって指し示された位置座標として選択することができる(図12参照)。こうして得られた位置座標(x,y)は、I/F20を介してコンピュータに入力され、指示物体Aによるユーザの指示に応じた処理が実行される。
このように、実施の形態2に係る座標入力/検出装置のコントローラ31によれば、各受光素子15上の暗点を求めた後、求めた暗点を利用して、メモリテーブル33から該当する位置座標を指示物体Aで指し示された位置座標として選択することにしたことにより、位置座標を演算により求める必要をなくすことができるため、簡単な処理で指示物体Aで指し示された位置座標を求めることができる。
〔実施の形態3〕
つぎに、実施の形態3に係る座標入力/検出装置について説明する。ここでも実施の形態2と同様に、図1および図2に示した構成を有する座標入力/検出装置1を前提としたコントローラを主に説明する。すなわち、以下に説明するコントローラは、実施の形態1に係る座標入力/検出装置1のコントローラ16として使用可能なものである。したがって、実施の形態3に係る座標入力/検出装置において、コントローラ以外の構成については実施の形態1に係る座標入力/検出装置1と同一であるものとする。
ところで、前述した実施の形態1に係る座標入力/検出装置1の入力領域2は、受発光装置3Lおよび3Rから出射された扇形状の光で形成されることになる。加えて、扇形状の光で形成される入力領域2には、光の深さ(例えば、図1に示したディスプレイd上に形成される光の層の厚み:通常、5mm〜10mm)が存在することから(図14参照)、入力領域2が指し示されたと判定可能な領域がディスプレイdに対して垂直方向にも存在することになる。
そのため、例えば、指示物体Aによってあるプローブ光が完全に遮蔽された状態をユーザが入力領域2のある位置を指し示した状態(マウスでクリックした状態:以下「指示状態」と記述する)と判定するか、指示物体Aによってあるプローブ光が若干遮蔽された状態を指示状態と判定するかによって、座標入力/検出装置1を介した入力作業に大きな影響が発生する。例えば、図1に示すようにディスプレイdの前面に配置された座標入力/検出装置1を介して直線を描く場合について考えると、ユーザはディスプレイdの面をなぞるようにして指先やペンで直線を描くものと考えられる。ところが、大きな入力領域2に長い直線を描く場合、ディスプレイdの面に指先やペンを常に接触させた状態で直線を描くことは困難であり、直線を描く過程において指先やペンがディスプレイdから若干離れてしまうことが考えられる。ここで、プローブ光が完全に遮蔽された状態を指示状態とする場合は、指先やペンがディスプレイdから若干離れてしまうことによってプローブ光を完全に遮蔽することができなくなることから、連続した線が途切れてしまう虞がある。一方、プローブ光が若干遮蔽された状態を指示状態とする場合は、連続した線が途切れてしまう可能性は減少するが、ユーザがまだ入力操作を行っていないと考えている場合でもプローブ光を少し遮蔽してしまうと入力が行われたことになってしまう。
そのため、実施の形態3で説明するコントローラは、指先やペンの微妙な動きに影響されることなく、ユーザが行っている操作内容を特定することを可能にするものである。
図13は、実施の形態1で説明した受発光装置3Lおよび3Rの各受光素子15から出力された波形データに基づいて、各種の演算処理を実行するコントローラのブロック構成図である。コントローラ41は、各受光素子15から入力された波形データをそれぞれ記憶するラインメモリ42Lおよび42Rと、対応するラインメモリ42Lおよび42Rから波形データをそれぞれ読み出し、読み出した波形データから各受光素子15上の暗点の位置をそれぞれ求め、求めた暗点の光強度値、即ち光強度分布の極小値をそれぞれ求める極小値演算器43Lおよび43Rと、受発光装置3Lおよび3Rが設けられている位置および極小値演算器43Lおよび43Rでそれぞれ求めた各暗点の位置に基づいて、指示物体Aが挿入された入力領域2の位置座標を求める座標演算器44と、座標演算器44で求めた位置座標について時間微分演算を行い、位置座標の時間微分値を求める微分器45と、を備えている。
加えて、コントローラ41は、対応する極小値演算器43Lおよび43Rで求められた極小値(光強度値)をそれぞれ記憶する極小値メモリ46Lおよび46Rと、座標演算器44で求められた位置座標を記憶する座標値メモリ47と、微分器45で求められた時間微分値を記憶する微分値メモリ48とを備えている。なお、各メモリに記憶される値は他のメモリに記憶される値と関連付けられる。
さらに、コントローラ41は、後に詳細に説明するように、上記各メモリ中の値およびあらかじめ用意されたルールに基づいて、ユーザが指示物体Aを用いてどのような操作を行っているかを特定する状態判断器49を備えている。状態判断器49は、上記各メモリ中の値およびあらかじめ用意されたルールに基づいて、例えば、ユーザが指示物体Aを用いて入力領域2の任意の位置を指示する操作を行っているか(指示状態か、または非指示状態か)、入力領域2において指示物体Aで何かを描いているのか(描画状態か)を判定する。
なお、図13には、コントローラ41の構成として極小値演算器43Lおよび43R,座標演算器44,微分器45および状態判断器49が示されているが、これらの機能は、同様の機能を有したソフトウエアをCPUが実行することによっても実現することが可能である。
続いて、図13に示した状態判断器49による指示物体Aの状態を特定する処理について説明する。図14(a)〜図14(c)は、指示物体A(例えばペン)で入力領域2の任意の位置を指示した際における指示物体Aのz軸方向の位置と指示物体Aによって遮蔽されるプローブ光との関係,および指示物体Aのz軸方向の位置と各受光素子15で得られる強度分布情報を示す説明図である。
受発光装置3Lおよび3Rから出射されるプローブ光の束からなる扇形状の光には、通常図14(a)〜図14(c)に示すような厚みがある。この厚みは5mm〜10mm程度であるものとする。図14(a)〜図14(c)から明らかなように、指示物体Aを入力領域2のz軸方向に挿入していくにつれ、指示物体Aによって遮蔽されるプローブ光の光量が増加していく。すなわち、図14(a)〜図14(c)の左側の図に示すように、入力領域2中に挿入された指示物体Aの位置がz軸方向に深くなればなるほど、受発光装置3Rおよび3Lの各受光素子15で受光した光の強度分布において、指示物体Aの位置に対応する部分の光強度が比例して減少する。
そこで、実施の形態3においては、図14(a)〜図14(c)の左側の図に示すように、再帰光の光強度に対して二つの閾値を設定し、この二つの閾値と光強度の関係により、入力領域2に対する指示物体Aの操作状態を特定するためのルールを決定することにした。図15は、入力領域2に対する指示物体Aの操作状態を特定するためのルールの説明図である。ここでは、このルールのことを「状態遷移ルール」と記述することにする。
図15に示す状態遷移ルールは、一例として、ユーザが入力領域2に対して何らかの入力操作を行なった結果である指示物体Aの状態に対し、マウスのボタンを押下した状態およびボタンを開放した状態のいずれかを割り当てるためのルールである。このようにするのは、座標入力/検出装置1が、例えばコンピュータに接続され、マウスようなデバイスとして利用されるため、どの状態をクリックとみなすのか、またどの状態をダブルクリックとみなすのかという点が重要となるからである。図15において、横軸は入力領域2に指示物体Aを挿入する深さd(z軸方向)を示し、縦軸は深さdに応じて指示物体Aに割り当てる状態を示している。
具体的に、この状態遷移ルールによれば、入力領域2に対し指示物体Aを深さd方向に挿入し、プローブ光を遮蔽した結果の光強度が閾値1を下回り、閾値2まで低下した場合にマウスボタンを押下した状態とみなされる(図14参照)。一方、一旦光強度が閾値2まで低下すると、指示物体Aを入力領域2から引き抜く操作を行なっても、光強度が閾値1を越えるまではマウスボタンを押下した状態とみなす。そして、光強度が閾値1を越えた時点で、指示物体Aの状態がマウスボタンを開放した状態にあるとみなされる。すなわち、閾値1および閾値2の間は、入力領域2に指示物体Aを挿入する際にあってはマウスボタンを開放している状態とみなされる領域であるが、一旦マウスボタンを押下した状態とみなされた後に指示物体Aを引き抜く際にあっては、マウスボタンを押下した状態とみなされる領域となる。
つぎに、図7を参照しつつ、状態遷移ルールに基づいた指示物体Aの状態決定方法を具体的に説明する。受発光装置3Lおよび3Rは、プローブ光の束からなる扇形状の光を出射する。この際、ユーザが指示物体Aを用いて入力領域2の任意の位置を指し示したものとする。指示物体Aによって入力領域2の任意の位置が指し示された結果、再帰性反射部材4によって反射されたプローブ光(再帰光)のうち、指示物体Aによって遮蔽された位置・時間に当たるプローブ光の光強度は低下することになる。受発光装置3Lおよび3Rの各受光素子15は、再帰性反射部材4によって反射された光を受光して、受光した光の強度分布を検出する。
ラインメモリ42Lおよび42Rは、それぞれ対応する受光素子15から強度分布に応じた波形データを入力して記憶する。そして、極小値演算器43Lおよび43Rは、対応するラインメモリ42Lおよび42Rから波形データをそれぞれ読み出し、読み出した波形データに基づいて、指示物体Aによってプローブ光が遮蔽されることによって生じた各受光素子15上の暗点の位置をそれぞれ求める。各暗点の位置を求めた後、極小値演算器43Lおよび43Rは、求めた各暗点の光強度値(強度分布中の極小値)をそれぞれ求める。
座標演算器44は、極小値演算器43Lおよび43Rから各暗点の位置に関する情報を入力し、入力した各暗点の位置および受発光装置3Lおよび3Rが設けられている位置に基づいて、指示物体Aが挿入された入力領域2の位置に該当する位置座標を求める。なお、指示物体Aの位置座標を求めるための方法として、実施の形態1で説明した計算式を用いる方法、実施の形態2で説明したテーブルを用いる方法のいずれを用いても良い。
その後、微分器45は、座標演算器44で求めた位置座標を入力し、入力した位置座標について時間微分演算を行い、位置座標の時間微分値を求める。
上記処理の過程において、極小値演算器43Lおよび43Rで求められた光強度値(極小値)は対応する極小値メモリ46Lおよび46Rに(光強度値は少なくとも一つが記憶されれば良い)、座標演算器44で求められた位置座標は座標値メモリ47に、微分器45で求められた時間微分値は微分値メモリ48にそれぞれ関連付けされて記憶される。
そして、状態判断器49は、極小値メモリ46Lおよび46Rのいずれか一方から光強度値(極小値)を、微分値メモリ48から時間微分値を入力し、状態遷移ルールに基づいて決定された条件テーブルを参照し、入力した極小値および時間微分値を用いて指示物体Aの状態を決定する。図16に条件テーブルの一例を示す。
ここで、指示物体Aが指示状態であるか、または非指示状態であるかを判定する処理について説明する。状態判断器49は、図16に示すように、入力した光強度値と図14および図15で説明した閾値1および2との大小関係,ならびに入力した時間微分値の絶対値と所定の閾値との大小関係を判断し、該当する図16中の状態を指示物体Aの状態とする。ここで、非指示状態とは、マウスボタンを開放している状態に該当し、指示状態とはマウスボタンを押下している状態に該当する。例えば、時間微分値の絶対値が閾値より大で、光強度値が閾値1以下で閾値2より大の場合は、指示物体Aの状態は指示状態と判断される。
また、現在の指示状態を次回の判断処理に反映させることが可能な条件テーブルを用いることができる。この条件テーブルの一例を図17に示す。図17に示す条件テーブルを用いる場合には、光強度値のみで指示物体Aの指示状態を判断することができる。
例えば、現在が非指示状態の場合、次回の判断に用いる極小値が閾値1以下で閾値2より大の場合、指示物体Aの状態は非指示状態と判断される。すなわち、この場合は、図15に示したように、たとえ指示物体Aが入力領域2に挿入されたとしても、閾値1および閾値2の間に到達したにすぎず、非指示状態となる。一方、現在が指示状態の場合は次回も指示状態と判定される。この場合は、図15中のボタン押下側で閾値1より低い範囲内での指示物体Aの操作に該当するため、指示状態である。
状態判断器49による判断結果は、指示物体Aの位置座標と共にコントローラ41が接続されたコンピュータに送信され、その結果がアプリケーションプログラムの操作や描画処理等になって現れることになる。
なお、詳細な説明については省略するが、前述した状態判断器49による指示物体Aの状態判断において、位置座標も併せて使用すると、マウスボタンの開放および押下のみならず、指示物体Aを動かして文字や図形を書いている状態(描画状態)であることも判断できる。また、位置座標を用いることにより、同一の位置で指示物体Aが上下に2回動かされた際に、いわゆるダブルクリックの操作であることを確実に判断することができる。
このように、実施の形態3に係る座標入力/検出装置のコントローラ41によれば、図13に示した各メモリに記憶された情報を利用して、指示物体Aがどのような動きをしているかを判定することを可能にしたため、指示物体Aの動き(上下・左右・前後の移動)が大きな場合でも所望の連続した線を入力することができ、ダブルクリックの入力を感度良く行うことができる等、座標入力/検出装置の操作性の向上を図ることができる。
換言すれば、前述した状態遷移ルールを用いることにした結果、例えば指示物体Aで直線を描く際に、指示物体Aが上下にぶれてもコンピュータに表示される線が点線となってしまうということや、多少の上下動でダブルクリックと判断されてしまうことを防止することができる。一方、閾値1および2の値を変更することにより、座標入力/検出装置10が指示物体Aの上下動に敏感に反応するように設定することができる。すなわち、ダブルクリックのために非常に短時間に指示物体Aを上下させた場合でも、確実にダブルクリックと判断することが可能となる。
なお、図14に示したような光強度の変化に基づいて、指示物体Aが光を遮る面積を求め、この面積変化をダブルクリックの検出に利用することもできる。
また、ここでは、実施の形態1に係る座標入力/検出装置を基本として、指示物体Aの状態判断について説明した。しかし、座標入力/検出装置の基本的構成は、実施の形態1に係る座標入力/検出装置のようなものに限定されるものではなく、以下のような座標入力/検出装置についても実施の形態3で説明したコントローラ41を適用することが可能である。そこで、実施の形態3で説明したコントローラ41を適用することが可能な座標入力/検出装置について簡単に説明する。
第1の例として、図18に示す座標入力/検出装置がある(実公平6−37467号公報参照)。この座標入力/検出装置51は、座標面52に配置される位置指示器53と、対応するレーザ54aおよび54bからの光を用いて、座標面52を走査する光線を出射する一対の回転ミラー55aおよび55bと、位置指示部53で反射された反射光線を受光して、位置指示器53の位置を検出する受光部56aおよび56bと、を備えたものである。なお、実施の形態3においては、受光素子15の各暗点の光強度として強度分布中の極小値を求めることにしているが、この座標入力/検出装置51にコントローラ41を適用する場合には極大値を求めることになる。
第2の例として、図19に示す座標入力/検出装置がある(特開平9-91094号公報参照)。この座標入力/検出装置61は、タッチパネル62の異なる位置に配置され、タッチパネル62にほぼ平行に、かつ、設置位置を中心に回転しつつ光線を出射すると共に、タッチパネル62に設けられた反射部材63で再帰的に反射された光線を受光するライトスキャナ64aおよび64bと、タッチパネル62上の光線が遮られた場合に、ライトスキャナ64aおよび64bにおける受光結果に基づいて遮光点の座標を演算する演算部65と、を備えたものである。この座標入力/検出装置51に実施の形態3で説明したコントローラ41を適用することにより、指示物体Aの状態を容易に判断することができる。
第3の例として、図20に示す座標入力/検出装置がある(特許第2678231号公報参照)。この座標入力/検出装置71は、タッチパネル72の外周に配列された複数対の発光素子73,74および受光素子75,76を備え、指示物体Aでタッチパネル72の任意の位置が指し示された場合に、受光素子75,76の受光結果に基づいて、指示物体Aの位置座標を求めるというものである。実施の形態3における受光素子上の暗点の位置は、座標入力/検出装置71においては個々の受光素子に対応することになる。
以上説明した座標入力/検出装置は一例を示すものであって、他の光学式の座標入力/検出装置に対しても、実施の形態3に係るコントローラ41を適用することが可能である。
〔実施の形態4〕
本発明の実施の形態4として、実施の形態1〜3で説明した座標入力/検出装置を用いた電子黒板システムについて説明する。以下では、
1.システム構成
2.動作
3.効果
の順で、実施の形態4に係る電子黒板システムについて詳細に説明する。
1.システム構成
図21は、実施の形態4に係る電子黒板システムのブロック構成図である。図21に示す電子黒板システム100は、主として、画像を表示するプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」と記述する)101と、PDP101の前面に配置され、入力領域(図1参照)をタッチ面(書き込み面)とし、指先やペンで書いた文字や図形等をタッチ面を介して入力する座標入力装置102(実施の形態1〜3で説明した座標入力/検出装置に該当する)と、指先またはペンでタッチされたタッチ面上の座標位置の演算等を行う座標入力装置用コントローラ103(実施の形態1のコントローラ16,実施の形態2のコントローラ31および実施の形態3のコントローラ41に該当する)と、コントローラ103から座標位置情報を入力し、座標入力装置102を介して入力された文字・図形等をPDP101に描画する処理等、システム全体を制御するコンピュータ104(パーソナルコンピュータ)と、を備えている。
また、電子黒板システム100のコンピュータ104には各種の周辺機器を接続することができる。図21においては、一例として、原稿の画像を読み取るためのスキャナ105や画像データを記録紙に出力するプリンタ106がコンピュータ104に接続された様子が示されている。また、コンピュータ104を介して電子黒板システム100をネットワーク107に接続することができ、ネットワーク107上に接続された他のコンピュータで作成したデータをPDP101に表示したり、電子黒板システム100で作成したデータを他のコンピュータに転送することも可能となる。
さらに、図示することは省略するが、PDP101にはビデオ入力端子やスピーカーが設けられており、ビデオプレイヤー108をはじめ、その他レーザディスクプレイヤー,DVDプレイヤー,ビデオカメラ等の各種情報機器やAV機器を接続し、PDP101を大画面モニタとして利用することができる。
ここで、PDP101としては、40インチ,50インチ等、電子黒板として利用可能な大画面タイプのものが用いられる。プラズマディスプレイには、大型化が可能であり、輝度が高くプロジェクターを用いた場合のように部屋を暗くする必要がなく、液晶ディスプレイと異なり視野角が広く、さらに、動画もスムーズに再生できるという特徴があることから、実施の形態4ではディスプレイとしてプラズマディスプレイを採用することにしている。このようにプラズマディスプレイを用いるため、実施の形態4における表示装置の薄型化(小型化)を図ることができる。ただし、ここではPDP101を用いることにするが、PDP101に代えて、CRT,液晶ディスプレイ等の他の表示装置を用いることが可能であることはいうまでもない。
座標入力装置102としては、既に説明した通り、実施の形態1〜3で説明した座標入力/検出装置が用いられる。したがって、実施の形態4においては、座標入力装置102についての説明は省略する。なお、コントローラ103は、座標入力装置102のタッチ面で行なわれた操作を座標位置情報としてコンピュータに入力し、コンピュータ104は入力した座標位置情報に基づいて、ユーザがタッチ面をタッチした位置にマウスカーソルを一致させてPDP101に表示する等、後に説明する各種の処理を実行する。
続いて、図21に示すコンピュータ104の概略構成を説明する。図22は、コンピュータ104のブロック構成図である。図22に示すコンピュータ104は、パーソナルコンピュータであって、システム全体を制御するCPU500と、ブートプログラム等を記憶したROM501と、CPU500のワークエリアとして使用されるRAM502と、文字,数値,各種指示等の入力を行うためのキーボード503と、カーソルの移動や範囲選択等を行うためのマウス504と、オペレーティング・システム(OS)505,電子黒板システム100を電子黒板として機能させる電子黒板ソフト506,座標入力装置102およびコントローラ103をコンピュータ104上で動作させるデバイスドライバ507およびワードプロセッサ・表計算ソフト等の各種アプリケーションプログラム508等を記憶したハードディスク509と、PDP101と接続され、PDP101に対する画像の表示を制御するグラフィックス・ボード510と、電子黒板システム100をコンピュータ104を介してネットワーク107に接続するネットワーク・カード511(またはモデムでも良い)と、コントローラ103,スキャナ105,プリンタ106等を接続するためのインターフェイス(I/F)512と、上記各部を接続するためのバス513と、を備えている。
図22においては、説明の便宜上、コンピュータ104に周辺機器を接続するためのインターフェイスをI/F512という一つのブロックで示すことにしたが、具体的にI/F512は、例えばコントローラ103を接続するためのRS−232Cのようなシリアル・インターフェイス,プリンタ106を接続するためのセントロニクスのようなパラレル・インターフェイス,スキャナ105を接続するためのSCSI等で構成される。
なお、図21に示したように、コントローラ103をコンピュータ104から独立させた構成としているが、コンピュータ104中にコントローラ103を内蔵することにしても良いし、コンピュータ104自体にコントローラ103の機能を持たせるようにしても良い。また、図22に図示することは省略するが、コンピュータ104にはフロッピー(登録商標)ディスクドライブ装置,CD−ROMドライブ装置,MOドライブ装置等を搭載することが可能である。
以上説明した電子黒板システム100を構成する各装置は、筐体ユニットに収納されて一体化され、システム全体の小型化・操作性・取扱性・利便性の向上が図られる。このように筐体ユニットに電子黒板システム100を収納するのは、電子黒板システム100が、図21に示したような複数の装置で構成されるため、これらを別々に管理することにすると広い設置スペースが必要であり、かつ、移動に手間がかかるという問題が発生するからである。
図23は電子黒板システム100を収納した筐体ユニットを前方側から見た斜視図であり、図24は後方側から見た斜視図である。図23および図24に示す筐体ユニット600は、PDP101および座標入力装置102を収納したパネル部601と、コントローラ103を収納したコントローラ収納部602と、パネル部601およびコントローラ収納部602を所定の高さで支持するスタンド603を有すると共に、コンピュータ104,スキャナ105,プリンタ106,ビデオプレイヤー108等を収納する機器収納部604と、から構成される。
PDP101および座標入力装置102は、PDP101の前面に座標入力装置102が位置するようにして一体化され、図23に示すように、パネル部601前面に座標入力装置102のタッチ面201が位置するようにしてパネル部601に収納される。このように、パネル部601はPDP101および座標入力装置102を収納して、電子黒板の表示面および書き込み面(タッチ面201)を構成する。
また、コントローラ103は、図24に示すように、パネル部601の背面に設けられたコントローラ収納部602に収納される。そして、パネル部601は、PDP101の画像表示面および座標入力装置102のタッチ面201が所定の高さに位置するように、ステー605を介して機器収納部604のスタンド603に取り付けられて支持される。また、コントローラ収納部602も同様に、スタンド603に取り付けられる。
なお、図23に示すパネル部601の前面側において、606はスピーカを、607はPDP101の電源ランプをそれぞれ示している。また、詳細な説明については省略するが、実施の形態4に係る電子黒板システム100においては、コンピュータ104,ビデオプレイヤー108等のPDP101に対する画像出力元の切り換え、ボリューム調整等をリモコンで操作することも可能であり、608はリモコンからの光を受光するリモコン受光部に該当する。
また、図24に示すパネル部601の背面側において、609は電子黒板システム100の移動用取っ手を、610はPDP101の輝度,コントラスト等を設定するための操作パネルを、611は後述するパネル部601の角度を調整するための角度調整レバーをそれぞれ示している。さらに、図示を省略するが、コントローラ収納部602の底面には、コンピュータ104,ビデオプレイヤー108等をPDP101,コントローラ103等に接続するためのコネクタパネルが設けられている。
すなわち、コンピュータ104の画像出力ケーブルおよび音声出力用ケーブルは、このコネクタパネルを介してPDP101に接続され、また、コンピュータ104およびコントローラ103はこのコネクタパネルを介して接続される。さらに、ビデオプレイヤー108等の各種情報機器やAV機器についても、このコネクタパネルを介してPDP101に接続される。
筐体ユニット600の機器収納部604は、鉛直方向に向かって下からコンピュータ104を収納するためのコンピュータ収納部612と、ビデオプレイヤー108やその他レーザディスクプレイヤー,DVDプレイヤーのような各種情報機器やAV機器を収納するためのビデオ収納部613と、プリンタ106を収納するためのプリンタ収納部614と、を備えている。このように、鉛直方向に向かって下から重量のある機器を配置することにより、上方にPDP101および座標入力装置102を有するボード部601が存在する場合であっても、移動時および設置時における筐体ユニット600の安定性を確保することができる。なお、機器収納部604には、図21に示したスキャナ105を収納する収納部分が設けられていないが、鉛直方向に向かって下から重量のある機器を配置するという条件が守られる限り、スキャナ105用の収納部分を設けることにしても良い。
コンピュータ収納部612の両側面は扉になっており、フロッピーディスクやCD−ROMの抜き差しを行うことができるようになっている。また、ビデオ収納部613の前面は扉になっており、ビデオテープ,レーザディスク等の抜き差しを行うことができるようになっている。さらに、プリンタ収納部614の前面も扉になっており、プリンタ106の操作を行うことができ、また、この扉には座標入力装置102のタッチ面201にタッチするためのペン(図示せず)が収納できるようになっている。加えて、プリンタ収納部614の背面は筐体によって覆われておらず、給紙トレイが筐体ユニット600外部に位置するようにプリンタ106を収納でき(図25参照)、操作性の向上が図られている。
なお、図23に示す機器収納部604の前面側において、615はコンピュータ104のキーボード503を常に使用可能な状態で載置できるキーボード台を、616は電子黒板システム100を筐体ユニット600ごと移動させるためのキャスターをそれぞれ示している。また、図24に示す機器収納部604の背面側において、617はPDP101,コントローラ103,コンピュータ104等に電源を供給する電源タップを、618は各種ケーブルを配線するためのケーブルガイドを、619は電子黒板システム100の主電源スイッチをそれぞれ示している。
このように、電子黒板システム100を筐体ユニット600に収納することにより、筐体ユニット600を移動させるだけで電子黒板システム100を容易に移動・設置することができる。また、筐体ユニット600の機器収納部604には、重力方向(鉛直方向)の下から順に重量の大きな装置を配置するため、移動時および設定時における筐体ユニット600の安定性を確保することができる。
さらに、前述した筐体ユニット600には、PDP101の表示面に例えば蛍光灯の光が直接入り込み、PDP101上に表示された画像が見にくくなる可能性があることを考慮して、ボード部601(電子黒板の表示面および書き込み面)の角度を調整する角度調整機構部が設けられている。そこで、この角度調整機構部の構成例を説明する。
図25は、右側面から見た筐体ユニット600の側面図である。図25において800は回動支点を、801は回動ガイドをそれぞれ示し、ボード部601は、ステー605を介して筐体ユニット600の左右に存在するスタント603に回動支点800を支点として回動自在に取り付けられている。つまり、首を上下に振るように、回動支点800を中心にして図25中の矢印で示す方向にボード部601を回動させることができ、蛍光灯の光がPDP101に写り込まない角度に調整できるようになっている。ここで、回動ガイド801は、回動支点800を中心にして回動するボード部601の角度を規制するものであり、また、角度調整レバー611は、後述する機構を介してボード部601を回動させて角度調整を行うものである。
実施の形態4においては、一例として、角度調整レバー611の操作によりボード部601の角度を0度(ボード部601が垂直に立った状態)から5度(ボード部601を斜め下に向けた状態)の範囲で調整できるものとする。また、上記回動支点800,回動ガイド801,角度調整レバー611および以下に説明する各構成部材により、角度調整機構部802が構成されるものとする。
なお、図25において、803はプリンタ収納部614に収納されたプリンタ106のトレイを示している。図25に示すように、ボード部601の角度調整を行うための角度調整レバー611は、トレイ803に記録紙を給紙する際に邪魔にならないような位置に設けられる。
図26および図27は、上方から見た角度調整機構部802の構成図であり、図26はボード部601の角度を5度にした状態を、図27は角度を0度にした状態を示している。また、図28は、図26および図27に示す角度調整機構部802を側面から見た構成図であり、図27に示したようにボード部601の角度を0度にした状態に対応している。
図26〜図28において、900はステー605の間にPDP支点901によって回動自在に取り付けられたPDPアングルを、902はスタンド603の間にスタンド支点903によって回動自在に取り付けられ、角度調整レバー611と共にボード部601の角度調整時に利用されるレバー受台904が取り付けられたスタントステーをそれぞれ示している。
角度調整レバー611は、PDPアングル900およびスタンドステー902を挟み込むような形状を有し、PDPアングル900側のレバー支点905に回動自在に取り付けられている。加えて、角度調整レバー611には、スタンドステー902に取り付けられたレバー受台904の平面部906および斜面部907に接触し、角度調整レバー611の回動に伴って回転するベアリング908が設けられている。
ここで、角度調整機構部802の状態は図26に示す状態にあり、ボード部601の角度は5度で傾いている状態にあるものとする。ユーザが角度調整レバー611を左方向(図中の矢印方向)に操作すると、角度調整レバー611がレバー支点905を中心にして回動し、これに伴って角度調整レバー611のベアリング908がレバー受台904の平面部906を移動すると共に斜面部907の斜面を登る結果、PDPアングル900を前方に押し出す力が発生する。すなわち、レバー受台904はスタンドステー902を介してスタンド603に固定されており、PDPアングル900は回動支点800および回動ガイド801においてボード部601を回動自在に支持するステー605に取り付けられているため、角度調整レバー611の操作により、PDPアングル900と共にボード部601を回動させることができる(ボード部601の下端部を前方に押し出すことができる)。
このような角度調整レバー611の操作により、角度調整機構部802は図26から図27に示す状態に変化することになり、ボード部601の角度を5度から0度に変化させることができる。つまり、図26および図27に示すように、PDPアングル900およびスタンドステー902の間隔をL1からL2のように広げることにより、ボード部601の角度を5度から0度に変化させることができる。
また、同様に、図27に示す状態からユーザが角度調整レバー611を右方向(図中の矢印方向)に操作することにより、ボード部601の角度を0度から5度に変化させることができる。
なお、図示することは省略するが、ボード部601の角度を変化させることに伴って図28に示す角度調整レバー611の角度も変化することになる。ところが、PDPアングル900およびスタンドステー902はそれぞれ回動自在に固定されているため、ボード部601の角度変化の影響を受けないようになっている。
また、図29に示すように、PDPアングル900およびスタンドステー902の間に1または複数のスプリング1200を設けることにより、角度調整レバー611の操作性の向上を図ることができる。これは、ボード部901の重量および角度調整レバー611の長さによっては、角度調整レバー611の操作が重くなってしまうことを考慮したものである。したがって、ボード部601の重量によって、スプリング1200の本数やスプリング力を調整することにより、さらなる操作性の向上を図ることができる。
また、レバー受台904はスタンドステー902に例えばネジ等で固定されることになるが、ネジを通すスタンドステー902の穴(図示せず)を長方形のような長穴としておくことが好ましい。その結果、レバー受台904の固定位置を好みに応じて変更することができるため、調整可能なボード部601の角度範囲を変化させることが可能となる。
さらに、図30に示すようにレバー受台904をPDPステー900に設けると共に、レバー支点905をスタンドステー902に設け、図26〜図29に示した角度調整機構部802とは逆の構成にしても、同様にボード部601の角度調整を行うことができる。
前述した角度調整機構部802の構成はあくまで一例であって、種々の設計・変更を行うことが可能である。例えば、角度調整レバー611の構成部材をボード部601の上の方に設け、回動支点800および回動ガイド801の位置を逆にしても良い。
このように、筐体ユニット600にボード部601の角度を調整する角度調整機構部802を設けることにより、PDP101に対する外乱光の入射、特に天井にある蛍光灯等の照明器具からの光を避けることができる。したがって、画面が見やすくなり、電子黒板システム100の利便性の向上を図ることができる。
2.動作
つぎに、前述した構成を有する電子黒板システム100の動作について、
(1)概要
(2)システムを電子黒板として使用する場合
(3)システムをコンピュータとして使用する場合
(4)座標入力装置の調整
(5)AV機器の利用
(6)ネットワーク接続
の順で説明する。
(1)概要
実施の形態4に係る電子黒板システム100は、大画面のPDP101と座標入力装置102とを融合し、プロジェクターのような大画面で、指先やペンでの画面上への自由な書き込み、コンピュータデータの鮮明な表示を可能にした、会議や打ち合わせ等に利用可能なコミュニケーションツールといえるものである。
具体的には、ユーザが座標入力装置102のタッチ面201に指先やペンで文字や図形を書くことにより、書いた文字や図形をそのままPDP101上に表示することができる。また、ワードプロセッサや表計算ソフトの画面をキャプチャし、キャプチャした画面に文字や図形を書きこんだり、画面の一部をペンツールで強調したりすることができる。
システム上では、PDP101に表示された画面を1ページとし、書き込んだ情報をページ単位で管理するため、全ページの一覧表示・ページの並び替え・ページの追加および削除等の編集処理を行うことができる。作成した各ページをファイルとして保存しておくことができ、何回かに分けて同一の議題の会議を行うような場合には、何度でも呼び出して利用することができる。そして、呼び出したファイルを加工することができ、新たな資料の作成のために再利用することができる。
また、プレゼンテーションソフトを用いて他のコンピュータで作成したファイルをネットワーク107等を介して読み込んで、そのファイルを用いてプレゼンテーションを行うことも可能である。ファイルのデータを用いてプレゼンテーションを行うことができるため、プロジェクタを利用したプレゼンテーションに必要なOHPフィルムは不要である。前述したように、プレゼンテーションを行いつつ、プレゼンテーションソフトで作成したファイルを開いた画面上に座標入力装置102を介してマーキングすることができ、より効果的なプレゼンテーションを行うことが可能となる。
さらに、通常のコンピュータとしても利用可能であり、大画面のPDP101を利用して、コンピュータの操作方法の教育等にも活用することができる。
(2)システムを電子黒板として使用する場合
続いて、電子黒板システム100を電子黒板として使用する場合について、
1)電子黒板ソフト
2)手書きによる文字・図形の書き込み
3)手書き文字・図形の消去
4)図形の描画
5)新たなページの作成
6)以前に作成したファイルを開く
7)ワードプロセッサ・表計算ソフト・プレゼンテーションソフトの画面
を取り込む
8)作成中のページを一覧表示する
9)作成したページを保存する
10)印刷処理
11)その他
の順で説明する。
1)電子黒板ソフト
図22に示した電子黒板ソフト506がCPU500によって実行されることにより、電子黒板システム100を電子黒板として動作させることができる。この電子黒板ソフト506は、ワードプロセッサ・表計算ソフト等の各種アプリケーションプログラム508と同様に、OS505による制御の下で動作するアプリケーションプログラムの一種である。実施の形態4では、図24に示したシステムの主電源スイッチ619をONにすると、OS505の起動に続いて直ちに電子黒板ソフト506が起動されるという設定にしておくと作業性の面において好ましい。ただし、OS505によって提供されるデスクトップ画面がシステムの起動時に表示され、デスクトップ画面上に表示されたアイコンを選択して電子黒板ソフト506を起動することにしても良い。
電子黒板ソフト506が起動されると、図31に示すような電子黒板画面1400がPDP101上に表示される。この電子黒板画面1400は、例えばホワイトボードの書き込み面に相当するものである。この電子黒板画面1400を表示しているPDP101の前面に位置する座標入力装置102のタッチ面201上にユーザが指先やペンで文字や図形を描くと、座標入力装置102・コントローラ103・コンピュータ104を介し、ホワイトボードにペンで文字や図形を書いたように、ユーザがタッチ面201に書いた文字や図形がそのままPDP101上の電子黒板画面1400に描画される。
また、電子黒板ソフト506は、ページ単位で情報を管理するように構成されており、上記電子黒板画面1400は電子黒板ソフト506が管理する1ページ分の情報書き込み領域に相当する。ユーザは電子黒板ソフト506を操作して複数のページを作成することができ、その中の任意のページを電子黒板画面1400として表示することができる。
さらに、電子黒板ソフト506は、図31に示すように、各種の操作を行うための複数のボタンを含むツールバー1401を電子黒板画面1400上に表示する。ここで、ツールバー1401中の各ボタンに割り当てられている機能の概略を説明する。なお、後述するように、電子黒板画面1400に表示されるツールバーには、ツールバー1401の他、拡張ツールバー(図32参照)および図形描画ツールバー(図33参照)が用意されている。
・コンピュータ画面ボタン1402:
PDP101上の表示をコンピュータの画面(デスクトップ画面または他のアプリケーションプログラムの画面)に切り換える。
・ペンボタン1403:
手書きでPDP101上に文字や線を書くことができる(ペンツールの利用を指定)。
・消しゴムボタン1404:
手書きで書いた文字や線を消すことができる。
・前ページボタン1405:
前のページを表示する。
・ページ番号ウインドウ1406:
現在電子黒板画面1400として表示されているページのページ数を表示する。
・次ページボタン1407:
つぎのページを表示する。
・印刷ボタン1408:
現在作成しているファイルのページをプリンタ106で印刷する。
・サムネイルボタン1409:
現在作成しているファイルを構成するページを一覧表示する。
・終了ボタン1410:
電子黒板ソフト506を終了する。
・拡張ボタン1411:
図32に示す拡張ツールバー1500を表示する。拡張ツールバー1500中の拡張ボタン1411にタッチすると、図31に示すツールバー1401に復帰する。
上記拡張ボタン1411にタッチした場合に表示される拡張ツールバー1500中の各ボタンに割り当てられた機能について図32を参照しつつ説明する。なお、図31に示したツールバー1401中のボタンと同一のボタンについては同一の符号を付して説明を省略する。
・ファイルボタン1501:
新しいページを開いたり、以前に作成したファイルを開くことができる。
・保存ボタン1502:
現在作成しているファイルを保存する。
・表示ボタン1503:
サムネイル表示,全体表示およびウィンドウ表示の切り換え、ズーム(拡大)表示の設定を行うことができる。
・図形描画ボタン1504:
図33に示す図形描画ツールバー1600が表示され、線,四角形,楕円を描くことができる(図形描画ツールの利用を指定)。図形描画ツールバー1600中の各ボタンについては後に説明する。
・背景設定ボタン1505:
PDP101に表示する電子黒板画面1400の背景色の設定を行うことができる。
・オプションボタン1506:
電源投入時および終了時の電子黒板ソフト506の表示、後述する他の画面をキャプチャしたときのページ挿入の設定を行うことができる。また、作業フォルダ変更の設定を行うことができる。
・ヘルプボタン1507:
操作や機能説明を記載したヘルプ画面を表示することができる。
さらに、上記図形描画ボタン1504にタッチした場合に表示される図形描画ツールバー1600中の各ボタンに割り当てられた機能について図33を参照しつつ説明する。
・選択ボタン1601:
作成した図形を編集する場合に、編集対象となる図形を選択することができる。
・直線ボタン1602:
直線を引くことができる。
・四角形ボタン1603:
四角形を描くことができる。
・楕円ボタン1604:
楕円を描くことができる。
・編集ボタン1605:
作成した図形を編集する。
なお、電子黒板ソフト506は、コントローラ103から入力される座標位置情報に基づいて、ユーザがいずれのボタンをタッチしたのかを知ることができる。
また、ユーザは、図31〜図33に示した各ツールバーの所定の位置に指先でタッチし、そのまま指先を移動させることにより、ツールバーを好みの場所に移動させることができる。
また、図31に示した電子黒板画面1400は、いわゆる全画面表示と呼ばれる表示形態でPDP101の表示領域全面に表示されている。ユーザは上記拡張ツールバー1500中の表示ボタン1503にタッチし、所定の操作を行うことにより、電子黒板画面1400をウインドウ表示に切り換えることができる。さらに、電子黒板ソフト506は、OS505上で動作するアプリケーションプログラムの一種であるため、後述するように、ツールバー1401(または拡張ツールバー1500)中のコンピュータ画面ボタン1402にタッチすることにより、PDP101の表示を電子黒板画面1400からデスクトップ画面またはワードプロセッサ等の表示画面に簡単に切り換えることができる。
さらに、座標入力装置102の操作(タッチ面201へのタッチ)は、指先やペンの他、光を遮蔽させることができるものであれば、どのようなものを用いて操作を行っても良い。したがって、以下の説明において、例えば「指先でタッチする」という記述があっても、ペンやその他の物でタッチして同様な操作を行うことができる。
2)手書きによる文字・図形の書き込み
続いて、上述した電子黒板ソフト506を用いた各種の操作について順番に説明していくことにする。ここでは、手書きで文字や図形を書き込む方法について説明する。
電子黒板ソフト506には、ユーザの指先を本物のペンのように用い、手書きで電子黒板画面1400上に文字や図形を書き込むためのペンツールが用意されている。このペンツールは、ユーザがツールバー1401(または拡張ツールバー1500)中のペンボタン1403にタッチすることにより利用可能となる。ユーザは、黒板やホワイトボードに手書きで文字を書くようにして、タッチ面201上に指先で文字や線を書くことにより、電子黒板画面1400上に対応する文字や線を表示させることができる。このペンツールでは、ユーザの指先が本物のペンのようになり、指先によって書くことができる文字や図形の色や線の太さを設定することもできる。図34は、手書きで文字や線を書いた結果がPDP101上の電子黒板画面1400に表示された様子を示す説明図である。
ここで、図21および図22を用いて、電子黒板画面1400に文字を表示する処理を簡単に説明する。ユーザがタッチ面201に指先で文字を書いた場合、タッチ面201の光束が遮蔽されることになる。その結果、コントローラ103は、光強度の低下に基づいて指先の軌跡に対応する座標位置情報を求めることができ、求めた座標位置情報を順次コンピュータ104に入力する。コンピュータ104において、電子黒板ソフト506およびOS505は、コントローラ103から座標位置情報を入力すると、あらかじめ設定されている色および太さで線を描画するための描画情報を生成し、該当する座標位置に合わせてグラフィックス・ボード510のビデオメモリ(図示せず)に書き込んでいく。グラフィックス・ボード510は、ビデオメモリの内容に従って画像信号をPDP101に送信し、ユーザがタッチ面201に書いた文字と同一の文字をPDP101に表示する処理を制御する。
簡単に言えば、コンピュータ104は、座標入力装置102およびコントローラ103をマウスのようなポインティングデバイスとして認識しているため、コンピュータ104では、描画ソフト上でマウスを用いて文字を書いた場合と同様な処理が行われることになる。なお、以下に説明する文字の消去や図形の描画等の処理においても、前述したような過程で処理されることになる。
3)手書き文字・図形の消去
消しゴムボタン1404にタッチすることにより、ユーザは、電子黒板画面1400上に手書きで書いた文字や図形を消しゴムで消すようにして消去することができる。消しゴムボタン1404にタッチすると、ユーザの指先やペンを本物の消しゴムのように用いることができ、その消しゴムの大きさ、つまり文字や図形を一度に消すことができる範囲を設定することもできる。図35は、図34に示した手書きの文字や線を消しゴム1800で消去する際の様子を示す説明図である。
また、この手書き文字の消去モードでは、図36に示すように、消去したい手書き文字や線を枠1900で囲い、枠1900中の文字や線を一度に消去することもできる(囲い消し)。
4)図形の描画
電子黒板ソフト506には、直線,四角形,楕円のような図形を描くための図形描画ツールが用意されている。この図形描画ツールは、図33に示した描画ツールバー1600を介して利用可能することができるものである。ユーザは、ツールバー1401(図31参照)の拡張ボタン1411にタッチして拡張ツールバー1500を表示した後(図32参照)、拡張ツールバー1500の描画ボタン1504にタッチすることにより、図33に示す描画ツールバー1600を電子黒板画面1400上に表示させることができる。
▲1▼ 直線の描画
直線を描く場合、ユーザは、描画ツールバー1600中の直線ボタン1602を指先でタッチした後、直線の始点となるタッチ面201の任意の場所を指先でタッチしてそのまま終点となる場所まで指先を移動させ、指先をタッチ面201から離せば良い。その結果、図37に示すように、電子黒板画面1400上に直線が描画される。
▲2▼ 四角形の描画
四角形を描く場合、ユーザは、描画ツールバー1600中の四角形ボタン1603を指先でタッチした後、タッチ面201の任意の場所を指先でタッチし、そのまま任意の方向に指先を移動させ、指先をタッチ面201から離せば良い。その結果、図38に示すように、電子黒板画面1400上に四角形が描画される。
また、電子黒板ソフト506においては、上述したようにして描画される四角形を使って簡単に表を作成できる機能が用意されている。まず、拡張ツールバー1500中の背景設定ボタン1505にタッチして設定画面(図示せず)を表示させ、電子黒板画面1400の背景にグリッドを表示させるという設定を行う。この際、グリッドの縦および横の間隔,左開始位置および上開始位置を指定することができる。加えて、グリッドを使って表を作成する際の便宜を図るため、描画した四角形がグリッドに一致するように表示するという設定も用意されている。
グリッドに関する設定を行うと、図39に示すように電子黒板画面1400にグリッドが表示される。そして、上述したようにして四角形を繰り返し描画することにより、図40に示すような表を作成することができる。なお、グリッドの設定を行う際に、描画した四角形がグリッドに一致するように表示するという設定を行っておくと、電子黒板ソフト506はグリッドに沿って四角形を描画する処理を実行する。
▲3▼ 楕円の描画
楕円を描く場合、ユーザは、描画ツールバー1600中の楕円ボタン1604を指先でタッチした後、タッチ面201の任意の場所を指先でタッチし、そのまま任意の方向に指先を移動させ、指先をタッチ面201から離せば良い。その結果、図41に示すように、電子黒板画面1400上に楕円が描画される。
▲4▼ 描画した図形の変形
描画した図形を変形する場合、ユーザは、描画ツールバー1600中の選択ボタン1601を指先でタッチした後、変形したい図形の線の上をタッチして図形を選択する。その結果、図42(a)に示すように、選択された図形の上下左右斜めに四角いマーク(ハンドル)2500が表示される。
そして、ユーザが指先でいずれか一つのハンドル2500にタッチし、そのまま指先を移動すると、その動きに合わせて図形の大きさや形状を変化させることができる。図42(b)は、図42(a)に示すハンドル2500のうち、右下のハンドル2500を移動して図形を拡大した様子を示している。
▲5▼ 描画した図形の移動
描画した図形を移動する場合、ユーザは、描画ツールバー1600中の選択ボタン1601を指先でタッチした後、移動したい図形の線の上をタッチして図形を選択する。その結果、図43(a)に示すように、選択された図形の上下左右斜めにハンドル2500が表示される。
そして、ユーザが指先で図形の線をタッチし、そのまま指先を移動すると、その動きに合わせて図形を移動させることができる。図43(b)は、図43(a)に示す図形を右方向に移動した様子を示している。
▲6▼ 描画した図形の編集
描画した図形の編集とは、図形の切り取りやコピー等を意味する。まず、描画した図形を切り取って任意の位置に貼り付ける場合、ユーザは、描画ツールバー1600中の選択ボタン1601を指先でタッチした後、切り取りたい図形の線の上をタッチして図形を選択する。そして、描画ツールバー1600中の編集ボタン1605に指先でタッチすると、図44に示す編集メニュー2700が電子黒板画面1400上に表示される。その後、ユーザが編集メニュー2700中の「切り取り」にタッチすると、選択された図形が切り取られる。
切り取った図形を貼り付けるには、再度編集メニュー2700を表示させて「貼り付け」にタッチした後、電子黒板画面1400上の任意の場所にタッチすると、切り取った図形がタッチした場所に貼り付けられる。
なお、現在表示されているページではなく、他のページに切り取った図形を貼り付けたい場合には、拡張ツールバー1500中の前ページボタン1405または次ページボタン1407にタッチして所望のページを表示させた後、上述した貼り付け操作を行えば良い。
また、描画した図形をコピーして任意の場所に貼り付ける場合には、編集メニュー2700の「コピー」にタッチする以外は上述した切り取りの場合と同様の操作を行えば良い。
つぎに、描画した図形を削除する場合について説明する。図形の切り取り操作で説明したように、削除したい図形を選択して編集メニュー2700を表示させる。そして、編集メニュー2700の「削除」にタッチすると、選択された図形が削除される。
なお、描画した図形を全て選択して切り取り・コピー・削除を行いたい場合は、編集メニュー2700の「すべて選択」にタッチすると、描画した図形の全てが選択され、全ての図形を対象とした切り取り・コピー・削除の操作を行うことができる。なお、「すべて選択」にタッチすると、全ての図形にハンドルが表示されるため、全ての図形を指先で移動させることができる。
5)新たなページの作成
電子黒板画面1400として現在表示されているページ以外に新たなページを作成する場合、ユーザはツールバー1401(または拡張ツールバー1500)の次ページボタン1407にタッチすれば良い。電子黒板ソフト506は、次ページボタン1407がタッチされると、新たなページを生成して電子黒板画面1400として表示する。
なお、現在複数のページが作成されている場合には、次ページボタン1407をタッチして最終ページを表示した後、再度次ページボタン1407をタッチすれば、新たなページを作成することができる。
また、前のページを開きたい場合、ユーザはツールバー1401(または拡張ツールバー1500)の前ページボタン1405にタッチすれば良い。電子黒板ソフト506は、前ページボタン1405がタッチされると、該当するページを電子黒板画面1400として表示する。
6)以前に作成したファイルを開く
以前に作成したファイルを開くには、拡張ツールバー1500のファイルボタン1501をタッチしてファイルメニュー(図示せず)を表示させ、ファイルメニュー中の「開く」にタッチして図45に示すダイアログボックス2800を表示させる。そして、所望のファイル名をタッチして選択し、「開く」ボタン2801をタッチすることにより、該当するファイルのページが電子黒板画面1400として表示される。なお、いわゆる「ダブルクリック」のように、ファイル名を続けて2回タッチ(以下、「ダブルタッチ」と記述する)することによってもファイルを開くことができる。
また、以前に作成したファイルの内容がわからなくなってしまったような場合、ファイルサムネイル機能を使用してファイルの一覧を表示し、内容を確認し、目的のファイルを開くという操作を行うことができる。ファイルサムネイル機能を利用するには、ダイアログボックス2800中の「サムネイル」ボタン2802をタッチすることにより、図46に示すようにサムネイルダイアログボックス2900が表示され、その中にファイルの一覧がサムネイル表示される。ここで表示されるサムネイル画像は、各ファイルの先頭ページである。そして、所望のサムネイルをタッチして選択し、「開く」ボタン2901をタッチすることにより、または所望のサムネイル画像をダブルタッチすることにより、該当するファイルのページが電子黒板画面1400として表示される。
なお、新規ファイルを作成するには、拡張ツールバー1500のファイルボタン1501をタッチしてファイルメニュー(図示せず)を表示させ、ファイルメニュー中の「新規作成」にタッチすれば新規ページが電子黒板画面1400に表示される。
7)ワードプロセッサ・表計算ソフト・プレゼンテーションソフトの画面を取り込む(キャプチャ機能)
電子黒板ソフト506は、ワードプロセッサ・表計算ソフト・プレゼンテーションソフト等で作成したファイルの内容を電子黒板画面1400の背景として取り込むための「キャプチャ」機能を有している。以下に、このキャプチャ機能を用いてワードプロセッサや表計算ソフト、プレゼンテーションソフトの画面を取り込む処理を説明する。
まず、ユーザがツールバー1401(または拡張ツールバー1500)のコンピュータ画面ボタン1402をタッチすることにより、図47に示すように、PDP101の表示が電子黒板画面1400からコンピュータ画面3000に切り換えられる。図47において、3001は、コンピュータ画面3000に切り換えられた際に表示されるキャプチャツールバーである。キャプチャツールバー3001中の各ボタンの機能は以下の通りである。
・電子黒板画面ボタン3002:
コンピュータ画面3000から電子黒板画面1400に切り換わる。
・キャプチャボタン3003:
コンピュータ画面3000上に表示された画面をキャプチャする。
・マウスボタン3004:
2ボタン式のマウスの右ボタンを利用できるような環境(例えば、マイクロソフト社のWindows(登録商標)をOSとして利用している場合など)において、マウスの右ボタンに割り当てられた機能を利用可能にする。
そして、ユーザは、図47に示すコンピュータ画面3000において、所望のアプリケーション・プログラムのアイコンまたは所望のファイルのアイコンにタッチ(ダブルタッチ)して該当するアプリケーション・プログラムを起動させると共に、目的のファイルをPDP101に表示させた後、キャプチャボタン3003にタッチする。その結果、電子黒板ソフト506は、現在表示されている画面をキャプチャし、図48に示すように、PDP101の表示を電子黒板画面1400に切り換えると共に、キャプチャした画面を電子黒板画面1400の背景として表示する。
そして、図49に示すように、ユーザは前述した方法で文字や図形を電子黒板画面1400上に書き込むことができる。このように、ワードプロセッサ・表計算ソフト・プレゼンテーションソフト等の画面を電子黒板画面1400の背景として簡単に取り込むことができるため、電子黒板システム100を用いて効果的なプレゼンテーションを行うことが可能となる。
つまり、電子黒板システム100でプレゼンテーションソフトを用いてプレゼンテーションを行っている際、画面上に何か書き込んで説明したい場合にキャプチャボタン3003をタッチすれば、直ちに現在の画面がキャプチャされ、図48に示すような電子黒板画面1400に切り換わり、画面上に所望の事項を書きこむことができるようになる。また、プレゼンテーションソフトに戻りたい場合、コンピュータ画面ボタン1402をタッチすることにより、直ちにプレゼンテーションソフトの画面(コンピュータ画面3000)に切り換わる。キャプチャして文字等を書き込んだ画面は後述するように保存することが可能である。
なお、ここでは、一旦コンピュータ画面3000を表示させ、アプリケーションプログラムを起動させた後に所望の画面をキャプチャするという方法について説明したが、電子黒板ソフト506から直接ワードプロセッサや表計算ソフトのファイルを指定することにより、電子黒板画面1400から直接該当するアプリケーション・プログラムを起動させて指定したファイルを開くこともできる。そして、そのアプリケーション・プログラムの画面をキャプチャしたい場合は、前述した操作と同様の操作を行えば良い。さらに、そのアプリケーション・プログラムの他の画面をキャプチャした場合は、次ページボタン1407にタッチすることにより、再びそのアプリケーション・プログラムの画面をPDP101上に表示させることができる。
8)作成中のページを一覧表示する
電子黒板ソフト506においては、現在作成している全てのページをサムネイルで表示することができる。サムネイル表示によるページ一覧を表示する場合、ユーザはツールバー1401(または拡張ツールバー1500)のサムネイルボタン1409をタッチする。電子黒板ソフト506は、サムネイルボタン1409がタッチされると、図50に示すように、作成中のページをサムネイル表示したサムネイル表示ダイアログボックス3300を電子黒板画面1400上に表示する。
このサムネイル表示ダイアログボックス3300において、3301は開くボタンを、3302は閉じるボタンを、3303は前に移動ボタンを、3304は次に移動ボタンを、3305は前に挿入ボタンを、3306は次に挿入ボタンを、3307は削除ボタンを、3308は印刷ボタンをそれぞれ示している。
サムネイル表示ダイアログボックス3300が表示されると、ユーザは以下のような操作を行うことができる。
▲1▼ ページを指定して開く
サムネイル表示ダイアログボックス3300中の所望のサムネイル(ページ)をタッチして選択し、開くボタン3301をタッチすることにより選択したページを電子黒板画面1400として表示することができる。また、所望のページをダブルタッチすることにより、同様にそのページを電子黒板画面1400として表示することができる。
▲2▼ ページの移動
サムネイル表示ダイアログボックス3300中の移動させたいページをタッチして選択し、現在のページより前に移動する場合には前に移動ボタン3303をタッチし、現在のページより後ろに移動する場合には次に移動ボタン3304をタッチする。このようにページを移動させることにより、ページの入れ替え操作を行うことができる。
▲3▼ 新たなページを挿入する
サムネイル表示ダイアログボックス3300において新たに挿入するページの前ページまたは次ページとなるページをタッチして選択し、選択したページより前に挿入する場合には前に挿入ボタン3305をタッチし、選択したページより後ろに挿入する場合には次に挿入ボタン3306をタッチする。このような操作により、所望の位置に新たなページを挿入することができる。
なお、最終ページを選択し、次に挿入ボタン3306をタッチすることにより、前述した次ページボタン1407をタッチして新たなページを作成する操作と同様の操作を行うことができる。
▲4▼ ページを削除する
サムネイル表示ダイアログボックス3300中の削除したいページをタッチして選択し、削除ボタン3307をタッチすることにより、選択したページを削除することができる。
▲5▼ ページを印刷する
サムネイル表示ダイアログボックス3300中の印刷したいページをタッチして選択し、印刷ボタン3308をタッチすることにより、選択したページを印刷することができる。なお、印刷を実行する際には種々の設定を行うことができる。印刷設定については後述する。
9)作成したページを保存する
前述したようにして、電子黒板ソフト506上で作成したページをファイルとして保存することができる。保存する場合、拡張ツールバー1500の保存ボタン1502をタッチし、上書き保存および名前を付けて保存のいずれかを選択する。名前を付けて保存が選択されるた場合、電子黒板ソフト506はデフォルトとして現在の年月日および当日の通し番号からなるファイル名を提示する。ユーザは必要に応じてファイル名の入力およびフォルダの指定を行い、保存を指示することにより、作成したページをファイルとして保存することができる。なお、ファイル名はキーボード503(図22参照)を用いて入力することができる。
一方、上書き保存が選択された場合、電子黒板ソフト506は該当するファイルに上書きして保存する。
なお、電子黒板ソフト506は、電子黒板画面1400を複数のレイヤに分けて管理している。例えば、電子黒板画面1400の背景(キャプチャした画面を含む:ビットマップデータ)を管理する背景レイヤ,グリッド線(ベクトルデータ)を管理するグリッドレイヤ,図形描画ツールで描画した図形(ベクトルデータ)を管理する図形レイヤ,手書き文字や図形(ベクトルデータ)を管理する手書きレイヤ等である。そして、前述した保存が指定された場合、電子黒板ソフト506はこれらのレイヤを維持したまま一つのファイルを生成する。したがって、再度読み出した際に、各ページの内容を簡単に加工することができる。また、設定によっては、複数のレイヤのデータを一つのビットマップデータにし、ビットマップファイルとして保存することも可能である。
10)印刷処理
現在作成中のページを印刷する場合、ユーザはツールバー1401(または拡張ツールバー1500)の印刷ボタン1408をタッチし、印刷メニュー(図示せず)の「印刷」にタッチする。電子黒板ソフト506は、ユーザの操作に応じて図51に示す印刷ダイアログボックス3400を表示する。ユーザは、この印刷ダイアログボックス3400中のプリンタ設定欄3401,印刷範囲設定欄3402および印刷部数設定欄3403において印刷範囲や印刷部数を指定し、OKボタン3404をタッチすると、設定されているプリンタ(プリンタ106)によって印刷が実行される。なお、印刷を中止する場合はキャンセルボタン3405にタッチする。
ここで、電子黒板画面1400の背景色を白地に設定して印刷することもできる。このような印刷処理を実行する場合、ユーザは「背景色を白で印刷」チェックボックス3406にタッチして選択した後、OKボタン3404にタッチすれば良い。電子黒板ソフト506は、「背景色を白で印刷」チェックボックス3406が選択された場合、電子黒板画面1400の背景色が白地であるとみなして印刷処理を実行する。このような設定を設けておくことにより、プリンタのインクまたはトナーの消費量を減少させることが可能となる。
また、手書きで書いた線を黒にして印刷することもできる。このような印刷処理を実行する場合、ユーザは、「フリーハンド線を黒で印刷」チェックボックス3407にタッチして選択した後、OKボタン3404にタッチすれば良い。電子黒板ソフト506は、「フリーハンド線を黒で印刷」チェックボックス3407が選択された場合、手書きで書かれた線が黒であるとみなして印刷処理を実行する。
なお、詳細な説明については省略するが、印刷する記録紙のサイズ,余白等の設定を行ったり、印刷イメージを表示することもできる。
11)その他
拡張ツールバー1500の表示ボタン1503にタッチしてメニューを開くことにより、電子黒板画面1400に表示されている文字等の表示倍率やウインドウ表示した際の電子黒板画面1400の表示方法の設定を行うことができる。
また、拡張ツールバー1500の背景設定ボタン1505にタッチしてメニューを開くことにより、カラーパレットを用いて電子黒板画面1400の背景色を設定することができる。
さらに、拡張ツールバー1500のオプションボタン1506にタッチしてメニューを開くことにより、電子黒板ソフト506で使用するファイルをまとめて格納しておく作業フォルダの設定を行うことができる。
(3)システムをコンピュータとして使用する場合
電子黒板システム100をコンピュータとして使用するには、前述したキャプチャ機能を利用する場合のように、電子黒板画面1400においてコンピュータ画面ボタン1401にタッチし、または電子黒板ソフト506を終了させる等によって図47に示したようなコンピュータ画面3000に切り換える。PDP101の表示をコンピュータ画面3000に切り換えることにより、電子黒板システム100をコンピュータとして利用することができる。電子黒板システム100は、大画面のPDP101を有しているため、コンピュータの操作の教育等にも有効に活用することが可能である。
また、座標入力装置102をマウスのようなポインティングデバイスとして利用できるため、画面上で各種アプリケーションプログラムを操作することができる。さらに、図47に示したマウスボタン3004にタッチすることにより、2ボタン式のマウスの右ボタンを利用できるような環境において、マウスの右ボタンに割り当てられた機能を指先やペンで利用することが可能になる。
(4)座標入力装置の調整
図22に示したデバイスドライバ507には、PDP101上のマウスカーソルの表示位置と、タッチ面201に指先やペンでタッチしたタッチ位置とを一致させるためツールが用意されている。以下では、マウスカーソルの表示位置とタッチ位置とを一致させる位置補正操作について説明する。
図52は、座標入力装置102の設定画面の一例を示す説明図である。図52に示す設定画面3500中のキャリブレイトボタン3501にタッチすると、PDP101上にPDP101の表示画面と座標入力装置102におけるタッチ面201の座標を調整する補正画面が表示される。この表示画面は、例えば、PDP101の左上・右上・右下等に3つの補正点を表示するものである。ユーザは、PDP101上の3つの点に指先やペンでタッチすれば良い。
デバイスドライバ507は、ユーザによって3つの補正点がタッチされると、タッチされた位置に基づいてマウスカーソルの表示位置とタッチ位置とを一致させる位置補正処理を実行し、位置補正した結果を所定のファイルに保存する。
ただし、前述した位置補正操作は、実際に電子黒板システム100を製品として出荷する際にあらかじめ行われることになるため、PDP101の解像度等を変更しない限り、ユーザが位置補正操作を行う必要はない。
なお、設定画面3500中の他の設定項目の概略について説明しておく。3502は、マウスボタン・エミュレーション・モード設定欄であり、指先やペンでタッチ面201がタッチされた際にどのような処理を行うかを設定するものである。マウスボタン・エミュレーション・モード設定欄3502では、例えば、
▲1▼ 指先やペンでタッチ面201をタッチしたときにクリックとみなす設定,
▲2▼ 指先やペンでタッチ面201をタッチして離した時にクリックとみなす設定,
▲3▼ タッチ面201を指先やペンでタッチしたまま動かしたときをドラッグとみなす設定,
▲4▼ 指先やペンでタッチ面201を2回連続的にタッチ(ダブルタッチ)した場合にダブルクリックとみなすと共に、タッチ面201を指先やペンでタッチしたまま動かしたときをドラッグとみなす設定(電子黒板ソフト506を使用する際にはこの設定にする)
等を行うことができる。
また、3503は、タッチ音の出力設定チェックボックスを示し、このチェックボックス3503をチェックしておくと、タッチ面201をタッチする毎にビープ音が出力されるようになる。3504は、設定ボタンであり、設定ボタン3504にタッチするとコントローラ103の接続方法を設定する画面が表示される。さらに、3505はコントローラ103およびデバイスドライバ507に関する情報を表示する情報ボタンを、3506はヘルプ画面を表示するヘルプボタンを、3507は設定画面3500で設定した事項を有効にするOKボタンを、3508は設定画面3500で設定した事項を無効にするキャンセルボタンをそれぞれ示している。
(5)AV機器の利用
図21に示したように、電子黒板システム100のPDP101にはビデオプレイヤー108をはじめ、レーザディスクプレイヤー,DVDプレイヤー,ビデオカメラ等の各種情報機器やAV機器を接続し、映像・音声を再生することができる。また、PDP101には、アンプを介して外部スピーカーも接続することができ、大画面のディスプレイで迫力ある音声も楽しむことが可能である。上記情報機器やAV機器またはコンピュータ104からPDP101に対して入力する入力信号は、図示しないリモコン等を用いて簡単に切り換えることができる。
このように、コンピュータ104を介さずに各種情報機器やAV機器をPDP101に接続して操作でき、PDP101を大画面モニタとして利用することができるため、他にテレビ等を用意する必要がなく、電子黒板システム100の操作性・取扱性・利便性の向上を図ることができる。
(6)ネットワーク接続
さらに、図53に示すように、電子黒板システム100をLANやインターネットのようなネットワークに接続することができる。したがって、電子黒板ソフト506で作成した会議の資料等を他のコンピュータに送信すること、他のコンピュータで作成したデータを読み込んで会議に利用すること、複数の電子黒板システム100を接続して遠隔会議を行うこと、テレビ会議システムに応用すること等、電子黒板システム100の応用範囲を拡大することができる。また、PHSを用いて無線により電子黒板システム100をネットワークに接続することもできる。
3.効果
このように、実施の形態4に係る電子黒板システムによれば、実施の形態1〜3で説明した座標入力装置を利用することにしたため、電子黒板システムに対して入力を行う際の操作性や信頼性の向上を図ることができる。
また、PDP101および座標入力装置102を用いて電子黒板の表示面および書き込み面を構成するボード部601と、鉛直方向の下からコンピュータ104,ビデオプレイヤー108,プリンタ106を順に収納する機器収納部604とを備えた筐体ユニット600を用いて電子黒板システム100を構成したため、筐体ユニット600を移動させるだけで、システムの移動・設置を容易に行うことができる。また、重力方向(鉛直方向)の下から順に、重量の大きな装置を配置しているため、移動時および設置時の筐体ユニット600の安定を確保することができる。すなわち、実施の形態4に係る電子黒板システム100によれば、電子黒板システム100全体の小型化・一体化を図ると共に、操作性・取扱性・利便性の向上を図ることができる。
また、PDP101および座標入力装置102を収納したボード部601の角度を調整する角度調整機構部802を備えたため、PDP101の表示面に対する外乱光の入射、特に、天井にある蛍光灯等の照明器具からの光を避けることができ、画面が見やすくなり、利便性の向上を図ることができる。
さらに、デジタルカメラ、DVDプレイヤー、ビデオ機器等の各種情報機器や、AV機器を接続するための複数の接続端子を用いて、PDP101を大画面モニタとして使用可能であるため、コンピュータ104を介さずに、各種情報機器、AV機器の接続および操作が行える電子黒板システム100を提供することができる。
〔実施の形態5〕
続いて、実施の形態5として、前述した実施の形態4に係る電子黒板システム100に適用可能な他の電子黒板システムについて説明する。
実施の形態4に係るPDP101のような表示装置の画面の大きさが、例えば対角で100インチ程度の大きさの場合、画面に向かって左端に立った発表者が右端上方の表示点を直接ポイント(タッチ面201にタッチ)するのは困難となる。そこで、実施の形態5おいては、発表者が聴衆側を向いた状態で、大画面に表示された画像を自然な姿勢で指し示すことが可能な電子黒板システムについて説明する。
実施の形態5の電子黒板システムは、表示画面の隅に例えば押しボタン等のアイコンでポイント操作領域作成を選択するためのアイコンを表示する。このアイコンを用いて発表者がポイント操作領域の作成を選択し、ポイント操作領域を作成する位置を指定すると、ポインタ領域作成部は、画像表示装置の指示された位置に矩形のポイント操作領域を作成して表示する。発表者は、表示されたポイント操作領域を確認し、表示画面上の表示点を直接ポイントする代わりにポイント操作領域内の表示画面上の表示点に対応する位置をポイントする。発表者がポイント操作領域内の表示画面上の表示点に対応する位置をポイントすると、ポインタ移動部は表示画面上のポインタ(マウスカーソル)を表示点に移動して表示点を指示する。このようにして大画面上の発表者が手の届かない表示点を簡単かつ正確にポイントすることができる。
図54は、実施の形態5に係る電子黒板システムを構成する表示装置の構成図である。図54に示す画像表示装置3700は、画像表示部3701(実施の形態4のPDP101に対応する),および画像表示部3701の表面に設けられた座標入力装置3702(実施の形態4の座標入力装置102に対応する)を有する大画面ディスプレイ装置からなる。なお、図54において、3706は、実施の形態4のコントローラ103に該当する(図21参照)。
図55は、実施の形態5に係る電子黒板システムの主制御部のブロック構成図である。主制御部3800は、CPU3801,ROM3802,RAM3803,画像表示装置3700および座標入力装置3702が接続されるI/F3804,ポインタ領域作成部3809,ポインタ移動部3810およびポイント指示部3811を有する。なお、この主制御部3800は、実施の形態4のコンピュータ104に該当する。
上記のように構成を有する電子黒板システムにおいて、例えば図54に示すように、画像表示部3701の表示画面上の点Aを指示する場合の動作を図56の表示図と図57のフローチャートを参照しつつ説明する。通常の動作状態では、画像表示装置3700を使用している発表者が指先で表示画面3703上の点Aを指し示したときに、発表者が点Aを指示したとみなしてポインタ3704を点Aに移動する処理が行われる。ところが、この画像表示部3701の表示画面の大きさが、例えば対角で100インチ程度の大きさの場合、画面の向かって左端に立った発表者が右端上方の点Aを直接指し示すことは困難である。そこで、CPU3801は画像表示部3701の画面の隅に例えば押しボタン等のアイコンでポイント操作領域作成を選択するアイコンを表示しておく。このアイコンにより発表者がポイント操作領域の作成を選択し、ポイント操作領域を作成する位置を指示すると(S4201,S4202)、ポインタ領域作成部3809は、図56に示すように画像表示部3701および座標入力装置3702を指示された大きさに縮小し、矩形のポイント操作領域4100を作成して画像表示部3701に表示する(ステップS4203)。
このポイント操作領域4100を確認した発表者は、表示画面3703上の点Aを直接ポイントする代わりにポイント操作領域4100内の点Aに対応する点Bをポイントする(ステップS4204)。これに応じて、ポインタ移動部3810はポインタ3704を表示画面3703上の点Aに移動して点Aを指示する(ステップS4205)。このようにして大画面上の手の届かない点Aを間接的にポイントすることができる。
続いて、画像表示部3701にポイント操作領域4100を表示する場合および表示されたポイント操作領域4100を消去する場合の動作を図58の処理工程図と図59のフローチャートを参照して詳細に説明する。図58(a)に示すように、通常の動作状態の画像表示部3701の表示画面3703において、発表者があらかじめ定義されている幾何学的特徴を持つループ状の軌跡、例えば長方形に近い軌跡4300を描くと、CPU3801はコントローラ3706を介して発表者の指先3705が座標入力装置3702の入力領域を指し示したと判断し、その時点から指先3705が座標入力装置3702から離れるまでの座標と時刻をRAM3803に連続的に記録する(S4401〜S4403)。
ポインタ領域作成部3809は、RAM3803に記録された座標と時刻のデータ列から発表者が線画を描画したのか、座標入力装置3702においてある位置を指し示したのかを判断する(S4404)。
ポインタ領域作成部3809は、図58(a)に示すように線画を描画したものと判断すると、描かれた線画4300による描画パターンの重心計算を行い(S4405)、パターンの種別を識別する(S4406)。そして、識別したパターンが例えば長方形であると判断した場合、描画パターンの重心位置を基準にして、図58(b)に示すようにポイント操作領域4100を作成して表示画面3703に表示する(S4407)。
この状態で発表者が座標入力装置3702に触って表示画面3703上の点Aに対応する点Bをポイント指示すると、ポインタ領域作成部3809はポイント指示されたと判定する(S4401〜S4404)。ポインタ移動部3810はポインタ領域作成部3809でポイント指示がされたと判定すると、表示画面3703上のポインタ3704をポイント指示された点Bと対応する表示画面3703の点Aに移動して表示する(S4408)。
この状態で発表者により、図58(c)に示すように非ループ状の軌跡4301がポイント操作領域4100に描画され、軌跡4301の座標と時刻がRAM3803に記憶されると、ポインタ領域作成部3809は描画された軌跡4301を抹消図形と判断して表示画面3703からポイント操作領域4100を消去する(S4409,S4410)。このポイント操作領域4100を消去するときに、ポイント操作領域4100の重心に対して軌跡4301の重心があらかじめ設定された値より近い距離にあった場合、軌跡4301を抹消図形と判断することにより動作の冗長性を抑えることができる。
つぎに、上記のようにポイント操作領域4100内の点Bをポイント指示したときに、指示された点Bの座標を表示画面3703の点Aの座標に座標変換する場合の処理を説明する。図56に示すように、ポイント操作領域4100として、画像表示部3701および座標入力装置3702が一定の縮小率で縮小されて表示されているものとする。そして、図56に示すように、表示画面3703の例えば左下端部を原点O1として表示画面3703の各点をX−Y座標で表わし、原点O1と対角の点C1の座標を(x1e,y1e)とし、原点O1に対応するポイント操作領域7の左下端部をポイント操作領域4100の原点O2とし、点C1に対応するポイント操作領域4100の点C2の座標を(x2e,y2e)とする。その結果、ポイント操作領域4100の各点の座標(x2,y2)は、表示画面3703の各点の座標(x1,y1)に対し、座標(x1e,y1e)と座標(x2e,y2e)で定まる係数kを介して一対一で対応する。したがって、ポインタ移動部3810は、ポイント操作領域4100でポイントされた点Bの座標(x2b,y2b)から表示画面3703の点Aの座標(x1a,y1a)に変換することにより、ポインタ3704を確実に点Aに移動することができる。
このように、ポイント操作領域4100内の各点が表示画面3703上の各点に一対一で対応するため、ポイント操作領域4100は利用者に対して表示画面3703全体の縮小画面と等価に認識される。そこで、ポイント操作領域4100を表示する際に、図60に示すように、表示画面3703全体に表示されている文字や図形などのオブジェクト4500を縮小した相似の縮小オブジェクト4501をポイント操作領域4100上に表示することもできる。
上記指示された点Bの座標を表示画面3703の点Aの座標に座標変換する処理として、ポイント操作領域4100でポイントされた点Bの座標(x2b,y2b)から表示画面3703の点Aの座標(x1a,y1a)に変換する場合について示したが、表示画面3703上のポインタ3704を直接移動することもできる。この場合の処理について図61を参照しつつ説明する。
ポイント操作領域4100内の座標移動の相対値は、表示画面3703上のポインタ3704の移動の相対値に対して上記係数kを介して対応する。したがって、発表者がポイント操作領域4100内の座標入力装置3702上の任意の点D(x21,y21)を指し示しつつ点E(x22,y22)に移動して表示画面3703上のポインタ3704の表示位置F(x11,y11)の移動を指示すると、ポイント操作領域4100内で指示された座標データ列がX2−Y2座標で入力される。この入力された座標データ列を微分または差分演算することにより、入力された座標の変化(dx2,dy2)が適当な時間間隔で演算される。このポイント操作領域4100内での座標の時間変化と上記係数kとを乗算した座標の変化(dx1,dy1)により、表示画面3703上のポインタ3704の座標F(x11,y11)を変化させて表示することができる。この場合、ポイント操作領域4100内の点Dは、表示画面3703のポインタ3704の表示位置Fに一対一で対応しなくても良いが、座標の変化分(dx2,dy2)を係数kを介して表示画面3703上の点Fの座標変化に対応させることにより、マウスを操作するのと同じ感覚で表示画面3703上のポインタ3704を操作することができる。
このマウスを操作するのと同じ感覚で表示画面3703上のポインタ3704を操作する処理とポイント操作領域4100でポイントされた点Bの座標を使用した処理を利用者が必要に応じて切り換えて使用すると、マウスエミュレーションと絶対座標によるポイント指示動作とをそのときの状況に応じて使い分けることができる。
上記画像表示装置3700は、コンピュータによって生成された画像を表示することを前提としている。表示された画像中のオブジェクトを移動したり、オペレーティングシステムのアイコンやウィンドウを移動させる際に、通常のマウス操作ではポインタをオブジェクトの上に移動させ、ボタンを押し下げ(ポイント動作)そのまま希望の位置まで移動させる動作が行われる。これは通常、ドラッグという動作として知られている。そこで、ポイント操作領域4100の内部の座標をポイントすることにより、表示画面3703全体にわたってポインタを動かすためのドラッグ動作について説明する。
実施の形態5に係る電子黒板システムは、座標入力装置3702を利用することから、通常のマウスに設けられているようなボタン機構は用意されていない。そこで、通常のマウスに代わる動作を実現する方法として、ポイント操作領域4100内で目的の座標までカーソルを持って行き、その場所で指先やペン等により、オブジェクト表示面を瞬間的に指示する動作を行うことにする。
図62は、座標入力装置3702の入力領域に対する指先3705の指示状態の時間変化の一例を示している。時間T1で座標入力装置3702のポイント操作領域4100を指先3705で指示した状態で指先3705を移動し、表示画面3703の所望のオブジェクトまでポインタ3704を移動する。時間T2で所望のオブジェクトまでポインタ3704を移動したら、指先3705を座標入力装置3702から一旦離し、時間T3でその場所のオブジェクトを指先で瞬間的に指示する。この動作が終了した時点T4から、ポイント指示部3811は所望のオブジェクトを選択し、マウスボタンを押し下げた状態(ポイント状態)に移行する。この判断は、例えば適当な時間間隔以内で座標入力装置3702のポイント操作領域4100に対する指示と非指示状態が切り替わったことによって判断できる。また、ポイント指示部3811は、ポイント操作領域4100の表示色を非ポイント状態での第一色から第二色に変える。この表示色の変化により、機械的なボタンがない場合でも、利用者はポイント状態に変わったことを確実に認識することができる。この状態で、ポイント操作領域4100を指先3705で再度指示し、ポイントしたオブジェクトを移動して時間T5で離すことにより、オブジェクトの移動が完了すると共に、オブジェクトのポイント状態が解除される。
ここでは、時間T3でポイント操作領域4100を瞬間的に指示する動作が行われると、ポイント状態に移行する例について説明したが、瞬間的な指示の回数によって、ポイント指示部3811でいくつかの状態を選択的に指定できるようにしても良い。さらに、ポイント状態に移行するための状態遷移過程の際に、ポイント操作領域4100の表示色を第三色に切り替えることにより、利用者は現在の状態が状態遷移過程にあることを認識でき、誤操作をなくすことができる。
このように、実施の形態5に係る電子黒板システムによれば、表示された画像の表示点をポイントするためのポイント操作領域4100を使用者の指示により所望の位置に表示し、ポイント操作領域4100において表示画面3703上のポインタ3704を操作できるようにしたため、大画面の表示装置であっても、発表者の手が届かない場所を簡単かつ正確にポイントすることができる。
また、座標入力装置3702でポイント操作領域4100の位置や大きさを指示することにしたため、簡単な操作で任意の位置にポイント操作領域4100を表示することができ、表示画面3703上の表示点に対するポイントを容易に行うことができる。
また、ポイント操作領域4100内の各座標を画像表示面全体の座標に一対一で対応させて表示することにより、ポイント操作領域4100でポイントする位置を簡単に定めることができる。
また、ポイント操作領域4100内でポイントされた座標の変化分を画像表示面上のポインタの座標移動に対応させることによってポインタ3704を移動することにしたため、マウスを操作するのと同じ感覚で表示画面3703上のポインタ3704を操作することができる。
また、絶対座標によるポイント指示動作と座標の変化分によるポイント指示動作を利用者が必要に応じて切り換えて使用するため、マウスエミュレーションと絶対座標によるポイント指示動作をそのときの状況に応じて使い分けることができる。
また、ポイント操作領域4100に表示画面全体における表示内容のレイアウト情報を表示することにより、ポイント操作領域4100で表示内容を確認することができ、大型画面のポイント操作を容易にすることができる。
さらに、ポイント操作領域4100内を1回または複数回瞬間的に指示する操作を行うことにより、指示の回数に応じた複数のポイント状態を得ることができるため、大型画面のポイント動作を簡単に行うことができる。このような複数のポイント状態に応じてポイント操作領域4100の表示色を変えることにより、ポイント動作時の誤動作や誤操作をなくすことができる。
〔実施の形態6〕
例えば、実施の形態4に係る電子黒板システムにセキュリティ機能を設け、座標入力装置から暗証番号を入力することにすると、入力する暗証番号を他人に見られてしまうことが考えられる。そこで、実施の形態6では、暗証番号を入力する際に、暗証番号を他人に見られないようにする機能を有した電子黒板システムについて説明する。具体的に、実施の形態6係る電子黒板システムは、周囲の人にとって、入力者が影になる位置にテンキーを表示し、暗証番号入力用のテンキーが入力者に隠れて、他人から見えないようするものである。
図63は、実施の形態6に係る電子黒板システムの第1の構成例を示す概略ブロック図である。この電子黒板システムは、入力面(実施の形態4のタッチ面201に該当する)を指し示した指示物体の該入力面における位置を検出する座標入力部(実施の形態4の座標入力装置102に該当する)と、入力面と共通な面上に画像を表示する画像表示部(実施の形態4のPDP101に該当する)と、を有するものであって、入力者を撮像する撮像部4800と、撮像部4800によって撮像された画像に基づいて入力者の位置を検出する位置検出部4801と、位置検出部4801で得た位置に基づいて、画像表示部にテンキーを表示させるテンキー表示位置指定部4802とを有している。
図64は、電子黒板システムの第1の構成例の外観図である。第1の構成例は、電子黒板システム4900に対し、この前に立った入力者を撮像するための撮像部(カメラ)4800を設置したものである。撮像部4800としてのカメラで撮像された画像は、電子黒板システム4900に内蔵された位置検出部4801に送られる。位置検出部4801では、撮像部4800によって撮像された入力者の像からその位置を検出する。
なお、画像からの人物の位置検出方法としては、種々のものを用いることができる。例えば、まず、入力画像全面において、局所的な周波数を算出する。次いで、このように求めた周波数成分について閾値処理を行い、図65のように高周波が含まれる部分(領域5000)と高周波成分が少ない部分(領域5001)とに画像を分離する。なお、この処理は、ピントの合った人物像は高い周波数成分が比較的多いが、ピントの合っていない背景は高い周波数成分が少ないことに着目したものである。ここでは、画像内において高周波が含まれる部分(領域5000)を人物の部分として推測する。その後、人物が撮像されていると推測される領域5000の重心(GX,GY)を求める。以上の処理により、画像上のどの位置に人物がいるのかが算出される。
このようにして、人物の位置が例えば(GX,GY)として検出されると、この位置(GX,GY)から、入力面のどの位置にテンキーを表示させるのかをテンキー表示位置指定部4802で算出する。なお、位置(GX,GY)に対するテンキーの表示位置の決定方法としては、種々のものを用いることができる。例えば、人物がいる場所と同じ位置が確率的に最も他人から見にくいと考えられるので、その位置にテンキー4901を表示する。また、入力者のみならず観察者の位置を画像等から推測し、それも考慮した位置にテンキー4901を表示しても良い。
一例として、図66を使って表示位置の決定方法を説明する。図66は電子黒板システム4900を上から見た図である。図66に示すように、人物6001,6002にとって、入力者6000が影になる位置は太線で示した領域6003であるので、この領域6003内の位置にテンキー4901が表示される。このような処理を経て、図64のようにテンキー4901が表示される。このとき、暗証番号入力用テンキー4901は、入力者6000に隠れて他人から見えないようになる。
図67は、実施の形態6に係る電子黒板システムの第2の構成例を示す概略ブロック図である。この電子黒板システムは、入力面(実施の形態4のタッチ面201に該当する)を指し示した指示物体の該入力面における位置を検出する座標入力部(実施の形態4の座標入力装置102に該当する)と、入力面と共通な面上に画像を表示する画像表示部(実施の形態4のPDP101に該当する)とを有するものであって、入力者の3次元位置を計測する計測部5100と、計測部5100で得た3次元位置に基づいて、画像表示部にテンキーを表示させるテンキー表示位置指定部5101とを有している。
図68は、電子黒板システムの第2の構成例の外観図である。第2の構成例は、電子黒板システム4900に対し、この前に立った入力者の3次元位置を計測する計測部(3次元位置計測装置)5100を設置したものである。なお、3次元位置計測装置としては、種々のものを用いることができる。例えば、2眼カメラによる立体視の原理を用いたものや、参照パターンを投影し、その像のずれを画像から読み取るような光切断法を用いたものなどを用いることができる。
この電子黒板システム4900においては、計測部5100が人物の3次元位置(RX,RY,RZ)を検出し、テンキー表示位置指定部5101が入力面のどの位置にテンキーを表示させるのかを算出する。なお、位置(RX,RY,RZ)に対するテンキーの表示位置の決定方法としては種々のものを用いることができる。例えば、第1の構成例の説明において示した方法を用いることができる。位置(RX,RY,RZ)に対するテンキーの表示位置が決定されると、図68に示したように、決定された表示位置にテンキー4901を表示させる。このとき、図66を用いて説明した同様の原理により、暗証番号入力用のテンキー4901は、入力者6000に隠れて他人から見えないようになる。
図69は、実施の形態6に係る電子黒板システムの第3の構成例を示す概略ブロック図である。この電子黒板システムは、入力面(実施の形態4のタッチ面201に該当する)を指し示した指示物体の該入力面における位置を検出する座標入力部(実施の形態4の座標入力装置102に該当する)と、入力面と共通な面上に画像を表示する画像表示部(実施の形態4のPDP101に該当する)とを有するものであって、入力者が乗るとその位置を検出する位置検出部5300と、位置検出部5300で得た位置に基づいて、画像表示部にテンキーを表示させるテンキー表示位置指定部5301とを有している。
図70は、電子黒板システムの第3の構成例の外観図である。第3の構成例は、電子黒板システム4900の前に立った入力者の位置がわかるようにするため、シート状の位置検出部(位置検出装置)5300を配置したものである。この位置検出部5300による位置検出方法としては、種々のものを用いることができる。例えば、感圧シートのようにシート面において圧力が加わった位置を検出するものを用いることができる。
この電子黒板システム4900においては、位置検出部5300が人物の位置(SX,SY)の検出を行い、テンキー表示位置指定部5301が入力面のどの位置にテンキーを表示させるのかを算出する。なお、位置(SX,SY)に対するテンキーの表示位置の決定方法としては種々のものを用いることができる。例えば第1の構成の説明において示した方法を用いることができる。位置(SX,SY)に対するテンキーの表示位置が決定されると、図70に示したように、決定された表示位置にテンキー4901を表示させる。このとき、図66を用いて説明した原理により、暗証番号入力用のテンキー4901は、入力者6000に隠れて他人から見えないようになる。
図71は、実施の形態6に係る電子黒板システムの第4の構成例を示す概略ブロック図である。この電子黒板システムは、入力面(実施の形態4のタッチ面201に該当する)を指し示した指示物体の該入力面における位置を検出する座標入力部(実施の形態4の座標入力装置102に該当する)と、入力面と共通な面上に画像を表示する画像表示部(実施の形態4のPDP101に該当する)とを有するものであって、アレイ状に配置した複数の測距部5500と、測距部5500の値に基づいて入力者の位置を検出する位置検出部5501と、位置検出部5501で得た位置に基づいて、画像表示部にテンキーを表示させるテンキー表示位置指定部5502とを有している。
図72は、電子黒板システムの第4の構成例の外観図である。第4の構成例は、電子黒板システム4900に対し、1次元方向(入力面に垂直な方向)にある物体の距離を超音波などを利用して計測する測距部(アレイ状に配置した複数の測距センサ)5500をアレイ状に配列したものである。これにより、電子黒板4900の前に立った人物の位置情報(距離情報)を求めることができる。このようにして複数の測距センサからなる測距部5500で得られた距離情報は位置検出部5501に与えられ、位置検出部5501は、測距部5500から得た距離情報に基づいて入力者の位置を特定する。測距部5500から得られる距離情報から入力者の位置を特定する方法としては種々のものを用いることができる。例えば、最も近い距離を示した測距センサの位置を入力者の位置(DX)とすることができる。
このようにして入力者の位置(DX)が求まると、この位置(DX)から入力面のどの位置にテンキーを表示させるのかをテンキー表示位置指定部5502で算出する。位置(DX)に対するテンキーの表示位置の決定方法としては種々のものを用いることができる。例えば第1の構成例の説明において示した方法を用いることができる。位置(DX)に対するテンキーの表示位置が決定されると、図72に示したように、決定された表示位置にテンキー4901を表示させる。このとき、図66を用いて説明した原理により、暗証番号入力用のテンキー4901は、入力者6000に隠れて他人から見えないようになる。
図73は、実施の形態6に係る電子黒板の第5の構成例を示す概略ブロック図である。この電子黒板システムは、入力面(実施の形態4のタッチ面201に該当する)を指し示した指示物体の該入力面における位置を検出する座標入力部(実施の形態4の座標入力装置102に該当する)と、入力面と共通な面上に画像を表示する画像表示部(実施の形態4のPDP101に該当する)とを有するものであって、テンキーの表示位置を指定するテンキー位置指定部5700と、テンキー位置指定部5700で指定された位置にテンキーを表示させるテンキー表示位置指定部5701とを有している。
図74は、電子黒板システムの第5の構成例の外観図である。第5の構成例は、電子黒板システム4900に対し、テンキーを表示させる位置を入力するためのテンキー位置指定部5700を配置したものである。入力者は、このテンキー位置指定部5700を用いて、入力画面のどこにテンキーを表示させるかを指定することができる。テンキー位置指定部5700による指定方法としては、種々のものを用いることができる。例えば、位置座標を手書きで入力したり、サムネイル画像を表示させ所望の位置をタッチ入力するなどの方法を用いることができる。
また、この第5の構成例において、テンキー位置指定部5700を用いずに、ジェスチャなどでテンキー表示位置を指定するための入力窓(テンキー表示指定窓)を入力面上に表示させることにしても良い。
図75は、テンキー表示位置を指定するための入力窓(テンキー表示指定窓)を入力面上に表示させることが可能な電子黒板システムの構成例を示す概略ブロック図である。図75に示す電子黒板システムは、入力面(実施の形態4のタッチ面201に該当する)を指し示した指示物体の該入力面における位置を検出する座標入力部(実施の形態4の座標入力装置102に該当する)と、入力面と共通な面上に画像を表示する画像表示部(実施の形態4のPDP101に該当する)とを有するものであって、テンキーの表示位置を指定するためのテンキー表示指定窓を画像表示部上に表示させるテンキー表示指定窓表示部5900と、テンキー表示指定窓表示部5900によって画像表示部に表示されたテンキー表示指定窓に対してテンキー表示位置を指定する操作が行われると、指定された位置にテンキーを表示させるテンキー表示位置指定部5701とを有している。
図76は、図63,図67,図69,図71,図73または図75に示した電子黒板システムのハードウエア構成例を示すブロック図である。図76に示すように、電子黒板システムにおける各種処理は、例えばマイクロコンピュータまたはDSP(ディジタル信号処理プロセッサ)等とソフトウエアによって実現される。具体的に、電子黒板システムは、全体を制御するCPU6100と、CPU6100の制御プログラム等が記憶されているROM6101と、CPU6100のワークエリア等として使用されるRAM6102と、座標入力部6103と、画像表示部6104とを少なくとも有している。
ここで、CPU6100は、図63の位置検出部4801およびテンキー表示位置指定部4802,図67の計測部5100およびテンキー表示位置指定部5101,図69の位置検出部5300およびテンキー表示位置指定部5301,図71の位置検出部5501およびテンキー表示位置指定部5502,図73のテンキー位置指定部5700およびテンキー表示位置指定部5701,または,図75のテンキー表示指定窓表示部5900およびテンキー表示位置指定部5701の機能を有している。
なお、CPU6100におけるこのような機能は、例えばソフトウエアパッケージ(具体的には、CD−ROM等の情報記録体)の形で提供することが可能なものである。このため、図76の例では、情報記録媒体6105を駆動する媒体駆動装置6106が設けられている。
換言すれば、実施の形態6の電子黒板システムの機能は、内蔵のプロセッサシステムにCD−ROM等の情報記録媒体に記録されたプログラムを読み込ませて、マイクロプロセッサ等にテンキー表示処理などを実行させることによっても実現することが可能である。この場合、実施の形態6で説明した処理を実行するためのプログラム(すなわち、ハードウエアシステムで用いられるプログラム)を、媒体に記録された状態で提供することができる。プログラムなどが記録される情報記録媒体としては、CD−ROMに限られるものではなく、ROM,RAM,フレキシブルディスク,メモリカード等であっても良い。媒体に記憶されたプログラムは、ハードウエアシステムに組み込まれている記憶装置、例えばRAM6102にインストールされることにって実行され、上述した処理機能が実現される。
また、実施の形態6で説明した処理を実現するためのプログラムは、媒体の形で提供されるのみならず、通信によって(例えばサーバから)提供されるものであっても良い。
なお、上述した各構成例の説明においては、表示位置の決定方法として図66のような例を用いたが、観察者が一人の場合、観察者と入力者との延長線上に暗証番号用テンキーを表示するようにしても良い。また、観察者が複数の場合、観察者達と入力者との位置を考慮し、観察者達のブラインドエリアに暗証番号用テンキーを表示するなど、場合に応じて種々の決定方法を用いることができる。
また、ここで説明した処理は、電子黒板システムだけでなく、例えば銀行のATM,ビルの入り口に設けられた装置等、暗証番号の入力が必要な種々の入力装置にも適用することができる。
このように、実施の形態6に係る電子黒板システムによれば、入力者を撮像し、撮像した画像に基づいて入力者の位置を検出し、検出した位置に基づいてテンキーを表示することにより、入力者が影になる位置にテンキーを表示できるため、入力する暗証番号を他人に見られる虞を低減できる。
また、入力者の3次元位置を計測し、計測した3次元位置に基づいてテンキーを表示することにより、より的確にテンキーの表示位置を決定することができる。
また、入力者が乗るとその位置を検出し、検出した位置に基づいてテンキーを表示することにより、例えば入力面の前方の床面に立った入力者の位置を検出できるため、より的確にテンキーの表示位置を決定することができる。
また、物体の距離を計測し、計測した値に基づいて入力者の位置を検出し、検出した位置に基づいてテンキーを表示することにより、より的確にテンキーの表示位置を決定することができる。
また、テンキーの表示位置を指定し、指定された位置にテンキーを表示することにより、例えば、テンキーの表示位置を手動で入力できるため、状況に応じてテンキーの表示位置を決定することができる。
さらに、テンキーの表示位置を指定するためのテンキー表示指定窓を表示し、テンキー表示指定窓に入力された位置にテンキーを表示することにより、テンキーの表示位置を指定する手動入力装置をソフト的に表示させることができるため、装置の低コスト化を図ることができる。
〔実施の形態7〕
実施の形態7に係る電子黒板システムは、実施の形態4に係る電子黒板システムに適用可能なものであって、ソフトキーボードを容易に生成することができるようにすると共に、簡単な操作でセキュリティを確保することができるようにするものである。
実施の形態7に係る電子黒板システムは、画像表示装置(実施の形態4のPDP101に該当する)の表面に設けられた座標入力装置(実施の形態4の座標入力装置102に該当する)と、信号制御部とを有する。信号制御部は、接触面積算出部,接触位置検出部,接触面積判定部,ソフトキーボード生成部および描画部を有する。ここで、実施の形態4で説明したように、画像表示装置および座標入力装置により、電子黒板の表示面およびタッチ面(書き込み面)が構成される。
そして、タッチ面に指先等が接触すると、座標入力装置が接触面積と接触位置に応じた信号を接触面積算出部と接触位置検出部に出力する。接触位置検出部は、座標入力装置から入力した信号から指先等が接触した位置の座標値を検出する。同時に、接触面積算出部は、座標入力装置から入力した信号により指先等がタッチ面に接触した際の接触面積を算出する。接触面積判定部は、接触面積算出部で算出した接触面積とあらかじめ設定されている閾値とを比較し、算出した接触面積が閾値より小さいときはタッチ面に図形等が描画されたと判定する。描画部は、接触面積算出部で算出した接触面積と接触位置検出部で検出した座標値に基づいて、描画処理を行って画像表示装置に画像を表示すると共に、描画処理を行って表示した画像の座標(座標群)をコンピュータに入力する。また、接触面積判定部で接触面積が閾値を越えていると判定された場合、タッチ面に例えば手のひら等が接触されたと判断し、ソフトキーボード生成部はソフトキーボードを生成して画像表示装置の接触位置にあらかじめ定めた大きさで表示する。
タッチ面に例えば手のひらを接触させることにより、簡単にソフトキーボードを画像表示装置に表示させることができる。ユーザは、表示されたソフトキーボードをキーボードを操作する場合と同様に操作することにより、電子黒板システムにおいて各種オペレーションを容易に実行することができる。例えば、電子黒板システムは、ソフトキーボードから入力された暗証番号に基づいて、システムの利用許可に関する認証処理を実行することができる。
図77は、実施の形態7に係る電子黒板システムの第1の構成例を示すブロック図である。図77に示すように、電子黒板システムは、座標入力装置7501(実施の形態4の座標入力装置102に該当する)と、画像表示装置7502(実施の形態4のPDP101に該当する)と、信号制御部7503とを有する。信号制御部7503は、接触面積算出部7504,接触位置検出部7505,接触面積判定部7506,ソフトキーボード生成部7507および描画部7508を有する。
指先やペン等がタッチ面に接触すると、座標入力装置7501は、図78に示すように、接触面積と接触位置に応じた信号を出力する。この信号の信号値は、指先等により光が遮蔽された分に応じて変化する。1面分の時系列信号において変化が生じた時間を積分することにより、指先等がタッチ面に接触している面積を算出することができる。そこで、接触面積算出部7504は、座標入力装置7501から出力される1面分の時系列信号に基づいて、指先等がタッチ面に接触して光が遮蔽された部分A1,A2,A3の面積を算出する。また、接触位置検出部7505は、座標入力装置7501から出力される1面分の時系列信号から光が遮蔽された部分A1,A2,A3の各座標値を算出する。接触面積判定部7506は、接触面積算出部7504で算出された接触面積とあらかじめ定められた閾値とを比較する。ソフトキーボード生成部7507は、接触面積判定部7506で接触面積が閾値を越えていると判定された場合に、ソフトキーボードを生成し、接触位置に対応するように画像表示装置7502に表示する。描画部7508は、接触面積判定部7506で接触面積が閾値より小さいと判定された場合に、タッチ面に対する接触面積と接触位置に基づいて描画処理を行って画像表示装置7502に画像を表示すると共に、描画処理を行って表示した画像の座標(座標群)をコンピュータ7509に入力する。
上記のように構成された電子黒板システムのタッチ面に指先等を接触させた場合の動作を図79のフローチャートを参照して説明する。タッチ面に指先等が接触すると、座標入力装置7501は、接触面積と接触位置に応じた信号を接触面積算出部7504および接触位置検出部7505に出力する(S7701)。
接触位置検出部7505は、座標入力装置7501から入力した信号から指先等が接触した位置の座標値を検出する(S7702)。同時に、接触面積算出部7504は、座標入力装置7501から入力した信号に基づいて、指先等の接触面積を算出する(S7703)。
接触面積判定部7506は、接触面積算出部7504で算出した接触面積とあらかじめ設定されている閾値とを比較し(S7704)、算出した接触面積が閾値より小さいときはタッチ面に図形等が描画されたと判定する。これに応じて、描画部7508は、接触面積算出部7504で算出した接触面積と接触位置検出部7505で検出した座標値に基づいて、描画処理を行って画像表示装置7502に画像を表示すると共に、描画処理を行って表示した画像の座標(座標群)をコンピュータ7509に入力する(S7705)。
一方、接触面積判定部7506において接触面積が閾値を越えていると判定された場合、タッチ面に例えば手のひら等が接触したと判定する。これに応じて、ソフトキーボード生成部7507は、ソフトキーボードを生成し、接触位置に対応する画像表示装置7502の位置にあらかじめ定めた大きさで表示する(S7706)。
このように、タッチ面に例えば手のひらを接触させることにより、画像表示装置7502にソフトキーボードを簡単に表示させることができる。キーボードを操作する場合と同様に、表示されたソフトキーボードを操作することによって、各種オペレーションを容易に実行することができる。
上記第1構成例では、ソフトキーボード生成部7507で一定の大きさのソフトキーボードを生成して画像表示装置7502に表示する場合について説明したが、ソフトキーボード生成部7507は、画像表示装置7502に表示するソフトキーボードをオペレータが指定した大きさに応じて表示することもできる。例えば、ユーザが手のひらをタッチ面に接触させた場合、その接触面積に応じた大きさのソフトキーボードをソフトキーボード生成部7507で生成し、画像表示装置7502に表示する。このように、手のひらの大きさのソフトキーボードを表示することにより、最も使いやすい大きさのソフトキーボードを表示することが可能となる。
つぎに、前述したようにして画像表示装置7502に表示させたソフトキーボードを利用したセキュリテイ機能の例について説明する。
図80は、電子黒板システムの第2の構成例を示すブロック図である。図80に示すように、電子黒板システムは、座標入力装置7501,画像表示装置7502,信号制御部7503および比較部7810を有する。信号制御部7503は、接触面積算出部7504,接触位置検出部7505,接触面積判定部7506およびソフトキーボード生成部7507の他に、コード生成部7811,接触面積信号記憶部7812,コード信号記憶部7813および参照信号記憶部7814を有している。
コード生成部7811は、あらかじめ設定されたテーブルに基づいて、接触位置検出部7505で検出されたタッチ面への接触位置の座標信号をコード信号に変換する。接触面積信号記憶部7812は、接触面積算出部7504で算出された接触面積が閾値より小さい場合に、算出された接触面積を逐次記憶する。コード信号記憶部7813は、コード生成部7811で変換されたコード信号を逐次記憶する。参照信号記憶部7814は、あらかじめ電子黒板システムを利用することが許された利用者の一連のコード信号系列と接触面積系列が参照信号として登録されたものである。比較部7810は、接触面積信号記憶部7812に記憶された接触面積信号系列およびコード信号記憶部7813に記憶されたコード信号系列からなる入力信号と、参照信号記憶部7814に登録された参照信号とを比較することによって認証処理を行う。
上記のように構成された電子黒板システムの動作について図81のフローチャートを参照して説明する。第1の構成例で説明したようにして画像表示装置7502にソフトキーボードが表示されると(S7901)、ユーザは、ソフトキーボードに対応するタッチ面に指先等を接触させて暗証番号またはパスワードを入力する(S7902)。ここで、ソフトキーボードとしてテンキーを表示した場合には暗証番号を入力し、フルキーを表示した場合にはパスワードを入力する。
接触位置検出部7505は、座標入力装置7501の各接触位置の座標値を検出してコード生成部7811に送る(S7903)。コード生成部7811は、送られた座標値をコード信号に変換してコード信号記憶部7813に逐次記憶する(S7904)。
一方、接触面積算出部7504は、ユーザがタッチ面に指先等を接触させて暗証番号等を入力した際の接触面積を算出し、接触面積信号記憶部7812に記憶する(S7905)。
暗証番号やパスワードの入力が終了すると(S7906)、比較部7810は、コード信号記憶部7813に記憶されたコード信号系列および接触面積信号記憶部7812に記憶された接触面積信号系列を読み出し、読み出したコード信号系列および接触面積信号系列からなる入力信号と、参照信号記憶部7814にあらかじめ登録したコンピュータシステムを利用することが許された利用者の一連のコード信号系列および接触面積系列からなる参照信号とをそれぞれ比較する(S7907)。この比較方法として、コード信号の比較には単純なテンプレートマッチングを用ることができ、接触面積系列の比較には、時間変動を伴う信号であることに鑑み、DPマッチングや、HMMに基づくビタビデコーディング、ニューラルネット技術などを用いることができる。
この比較の結果、入力信号と一致する参照信号が参照信号記憶部7814に登録されている場合は利用者が登録してあると判定して利用許可をコンピュータ7509に送る(S7908,S7909)。一方、入力信号と一致する参照信号が参照信号記憶部7814に登録されていない場合は、利用不許可をコンピュータ7509に送る。(S7908,S7910)。コンピュータ7509は、受信した結果を画像表示装置7502に表示する。
このように、ソフトキーボードから暗証番号やパスワードを入力した際の接触位置を示すコード信号系列と接触面積信号系列とによって、利用が許された者であるか否を判断するため、自然な動作で信頼性の高い利用許可の認証処理を行うことができる。
上記第2の構成例では、ソフトキーボードから入力した暗証番号やパスワードにより使用許可,不許可の認証処理を行う場合について説明したが、利用者のサインの筆跡により使用許可,不許可の認証処理を行うことにしても良い。
図82は、電子黒板システムの第3の構成例を示すブロック図である。この第3の構成例の電子黒板システムは、利用者の筆跡により使用許可,不許可の認証処理を行うものである。図82に示すように、電子黒板システムの信号制御部7503は、接触面積算出部7504,接触位置検出部7505,接触面積判定部7506,ソフトキーボード生成部7507,接触面積信号記憶部7812,座標信号記憶部8015および参照信号記憶部7814aを有している。
座標信号記憶部8015は、接触位置検出部7505で検出したタッチ面への接触位置の座標値を記憶する。参照信号記憶部7814aは、あらかじめシステムを利用することが許された利用者の筆跡を計測した一連の座標信号系列と接触面積系列が参照信号として登録されたものである。
以上のように構成された電子黒板システムの動作を図83のフローチャートを参照して説明する。ユーザがタッチ面に指先等を接触させると、座標入力装置7501は、接触面積と接触位置に応じた信号を接触面積算出部7504および接触位置検出部7505に出力する(S8101)。
接触位置検出部7505は、座標入力装置7501から入力した信号から指先等が接触した位置の座標値を検出して座標信号記憶部8015に記憶する(S8102)。同時に、接触面積算出部7504は、座標入力装置7501から入力した信号により指先等が接触した接触面積を算出する(S8103)。
接触面積判定部7506は、接触面積算出部7504で算出された接触面積とあらかじめ設定されている閾値とを比較し(S8104)、接触面積が閾値より大きい場合、ユーザがタッチ面に手のひら等を接触させたと判断する。これに応じて、ソフトキーボード生成部7507は、ソフトキーボードを生成し、接触位置に対応する画像表示装置7502の位置に表示する(S8104、S8105)。
一方、算出された接触面積が閾値より小さい場合、接触面積判定部7506は、ユーザがタッチ面に何かを描画したと判定し、接触面積を接触面積信号記憶部7812に逐次記憶する(S8104,S8106)。
タッチ面に対する入力が終了すると、比較部7810は、座標信号記憶部8015に記憶した座標信号系列および接触面積信号記憶部7812に記憶した接触面積信号系列を読み出し、読み出した座標信号系列および接触面積信号系列からなる入力信号と、参照信号記憶部7814aにあらかじめ記憶したコンピュータシステムを利用することが許された利用者のサインの筆跡を示す一連の座標信号系列および接触面積系列からなる参照信号とをそれぞれ比較する(S8107,S8108)。
この比較の結果、入力信号と一致する参照信号が参照信号記憶部7814aに登録されている場合は、利用者が登録されていると判定して利用許可をコンピュータ7509に送る。(S8109,S8110)。一方、入力信号と一致する参照信号が参照信号記憶部7814aに登録されていない場合は、利用不許可をコンピュータ7509に送る。(S8109,S8111)。コンピュータ7509は、受信した結果を画像表示装置7502に表示する。
このように、利用者のサインによって利用が許された者であるか否を判断するため、簡単な操作で信頼性の高い利用許可の認証処理を行うことができる。
この第3の構成例においては、接触位置検出部7505で検出した利用者のサインの筆跡の座標信号系列を座標信号記憶部8015に記憶し、座標信号記憶部8015に記憶した座標信号系列および接触面積信号記憶部7812に記憶した接触面積信号系列からなる入力信号と、参照信号記憶部7814aに登録した参照信号とを比較することにした。しかし、図84のブロック図(第4の構成例)に示すように、座標信号記憶部8015の代わりに、正規化部8216と正規化信号記憶部8217とを設け、接触位置検出部7505で検出した利用者のサインの筆跡の座標信号系列を正規化部8216で正規化して正規化信号記憶部8217に記憶するようにしても良い。
この場合は、正規化信号記憶部8217に記憶した座標信号の正規化信号系列および接触面積信号記憶部7812に記憶した接触面積信号系列からなる入力信号と、参照信号記憶部7814aにあらかじめ記憶したコンピュータシステムを利用することが許された利用者のサインの筆跡を示す一連の座標信号の正規化系列および接触面積系列からなる参照信号とをそれぞれ比較する。このように接触位置検出部7505で検出した利用者によるサインの筆跡の座標信号を正規化することにより、利用者は任意の大ききのサインをすることができ、使い勝手を向上することができる。
また、前述したセキュリティ機能を実現する各構成例において、図85のブロック図(第5の構成例)に示すように、信号制御部7503に入力開始指令を入力する入力開始指示部8318と、比較動作開始指令を入力する比較動作開始指示部8319とを設けることにしても良い。その結果、暗証番号やサインを入力する際に、入力開始指示部8318からの入力開始指令により暗証番号等を入力し、暗証番号等を確認するときに比較動作開始指示部8319から入力された比較動作開始指令により比較動作を開始することができるため、暗証番号等をより正確に確認することができる。入力開始指示部8318および比較動作開始指示部8319としては、物理的なスイッチやソフトキーボードのように画像表示装置7502に表示されたスイッチを使用することができる。
また、暗証番号やパスワードを入力する場合においては、入力開始指示部8318および比較動作開始指示部8319として、接触回数カウンタを使用しても良い。このように接触回数カウンタを使用した場合は、表示されたソフトキーボードに最初に触れた場合に接触回数カウンタを「0」にリセットし、入力開始指令を信号制御部7503に送る。そして、ユーザがソフトキーボードに触れる度にその回数を接触回数カウンタで計数し、接触回数カウンタの計数値があらかじめ暗証番号やパスワードに応じて定められた一定回数に達した場合に、比較動作開始指令を信号制御部7503に送る。このようにして暗証番号やパスワードの入力回数も確認することができる。
また、利用者によるサインの筆跡を入力する場合においては、入力開始指示部8318および比較動作開始指示部8319として、入力時間を計時するタイマを使用しても良い。この場合は、利用者が座標入力装置7501に触れてサインを開始した場合にタイマの計数時間を「0」にリセットして計時を開始すると共に、入力開始指令を信号制御部7503に送り、あらかじめ定めた一定時間経過したときに比較動作開始指令を信号制御部7503に送る。このようにしてサインによる認証のように文字数が不定の場合でも、サインの入力動作と比較動作を安定して行なうことができる。
入力開始指示部8318からの入力開始指令を信号制御部7503に送る前の入力処理待機状態と、入力開始指令を信号制御部7503に送った後の入力処理開始状態と、比較処理開始指示部8319から比較動作開始指令を送り比較動作を行なっているときの比較処理状態および比較処理終了の各状態とを状態表示部8320で確認し、確認した状態を画像表示装置7502に表示することもできる。これにより、ユーザは各処理状態を正確に認識することができ、使い勝手を向上させることができる。
このように、実施の形態7に係る電子黒板システムによれば、画像表示装置および座標入力装置で構成されたタッチ面に対し、ユーザが指先等を接触させた接触面積によってソフトキーボードを生成し、接触位置に対応する画像表示装置の位置に表示するようにしたため、ソフトキーボードを簡単に表示することができる。
また、ユーザがタッチ面に対して指先等を接触させた接触面積の大きさに応じたサイズのソフトキーボードを表示することにより、任意の大きさのソフトキーボードを表示することができ、使い勝手を向上することができる。
また、ユーザが指先等を入力面に接触させた際の接触位置の座標値のコード信号系列および接触面積信号系列をそれぞれ参照信号と比較することにより、ソフトキーボードで入力した暗証番号やパスワードにより利用が許された者であるか否を判断することができ、自然な動作で信頼性の高い利用許可の認証処理を行うことができる。
また、ユーザが指先等をタッチ面に接触させたときの一連の座標信号系列および接触面積系列をそれぞれ参照信号と比較することにより、利用者のサインの筆跡により利用許可を認証することができ、信頼性の高い認証を行うことができる。
また、ユーザが指先等をタッチ面に接触させたときの一連の座標信号系列を正規化することにより、任意の大きさのサインを用いることができ、使い勝手を向上することができる。
また、タッチ面を介して入力を開始したことを指示したり、比較処理の開始を指示することを可能にすることにより、暗証番号等をより正確に確認することができる。この入力開始指示と比較開始指示を、タッチ面に対する接触回数を計測する接触回数計測手段や入力時間を計測する入力時間計測手段で行なうことにより、簡単かつ確実に指示を行うことができる。
さらに、タッチ面に入力している状態や比較処理をしている状態を画像表示装置に表示することにより、ユーザは処理状態を確実に認識することができるため、使い勝手を向上させることができる。
以上説明した実施の形態1〜7における各処理は、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現することが可能である。このプログラムは、ハードディスク,フロッピーディスク,CD−ROM,MO,DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、このプログラムは、上記記録媒体を介して、またはネットワークや放送波等を介して提供することもできる。