JP4626734B2 - オルガノポリシロキサンの測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オルガノポリシロキサン組成物に含まれる片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンの測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機樹脂に耐候性、表面撥水性、潤滑性、生体適合性、およびガス透過性などを付与する目的で有用な片末端2価水酸基変性オルガノポリシロキサンは、例えばリビング重合反応により末端にSi―H基を有するジメチルポリシロキサンを製造し、これと2価の水酸基を有するオレフィンを有機金属触媒下でヒドロシリル化反応により付加する方法等で製造されている。
【0003】
その製造の際には片末端2価水酸基変性オルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンが未反応成分として生成される。該未反応成分としては、同じ分子量をもつ水酸基をもたないオルガノポリシロキサンおよび水酸基をもたず2倍の分子量を持つオルガノポリシロキサン、および両末端に2価の水酸基を有するオルガノポリシロキサンなどを挙げることができる。
【0004】
該未反応成分である片末端2価水酸基変性オルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンの存在は、前述の片末端2価水酸基変性オルガノポリシロキサンの有用性を損なうことが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまで、片末端2価水酸基変性オルガノポリシロキサン中のこれらの未反応成分量を測定する方法は知られておらず、よって製品の品質を判断する方法はこれまでなかった。
【0006】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、前述の課題を解決するべく鋭意研究した。その結果、片末端2価水酸基変性オルガノポリシロキサンと特定の化学構造のポリイソシアネートを反応させて得られるポリウレタン樹脂反応物が、比較的分散度が小さいポリマーであり、これをGPC分析することにより片末端2価水酸基変性オルガノポリシロキサンの未反応成分などをポリウレタン樹脂反応物から分離できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
即ち、本発明の目的は、オルガノポリシロキサン組成物に含まれる片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンの測定方法を提供することである。
【0007】
本発明は下記の構成を有する。
(1)片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンと片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンとを含有する組成物(以下「オルガノポリシロキサン組成物」と記述する。)と、分子中に3個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン樹脂反応物を、ゲル浸透クロマトグラフィーにて分析することを特徴とするオルガノポリシロキサン組成物に含まれる片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンの測定方法。
【0008】
(2)オルガノポリシロキサン組成物と3個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートとの比率が、オルガノポリシロキサン組成物に含まれる片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンの水酸基と該ポリイソシアネートのイソシアネート基とのモル比で1:1〜1:2の範囲であることを特徴とする前記第1項記載のオルガノポリシロキサン組成物に含まれる片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンの測定方法。
【0009】
(3)片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンが、下記一般式(1)で表わされるオルガノポリシロキサンである前記第1項または第2項記載のオルガノポリシロキサン組成物に含まれる片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンの測定方法。
一般式(1)[式中R1、R2、R3、R4、およびR5は炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であってそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、nは0または1以上の整数であり、mは0もしくは1以上の整数であり、Xは炭素数が2〜20の2価のアルキレン基であり、Yは−OCH2−、−OCH(CH3)−、−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−、または−OCH2CH(CH3)−であり、pは1以上の整数であり、Zは2個の水酸基を有する置換基である。]
【0010】
(4)Zが一般式(2)で表される置換基である前記第3項記載のオルガノポリシロキサン組成物に含まれる片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンの測定方法。
一般式(2)
[式中R6は水素または炭素数1〜5のアルキル基もしくは炭素数6〜10のアリール基であり、R7は水酸基もしくはヒドロキシメチル基である。]
【0011】
(5)Zが一般式(3)で表される置換基である前記第3項記載のオルガノポリシロキサン組成物に含まれる片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンの測定方法。
一般式(3)
[式中Sは炭素数が1〜20の2価アルキレン基または炭素数10以下のアリール基であり、Tは炭素数が1〜20の2価アルキレン基または炭素数10以下のアリール基であり、Uは炭素数が1〜20の2価アルキレン基または炭素数10以下のアリール基である。]
【0012】
【発明実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においてオルガノポリシロキサン組成物とは、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンと片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンとを含有するものである。具体的には工業原料用または試薬用として市販されている片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンを挙げることができ、より具体的にはチッソ(株)製品のFM−DA11、FM−DA21、およびFM−DA26などをあげることができる。
【0013】
片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンとしては、片末端2価水酸基変性オルガノポリシロキサンの製造過程において発生する、水酸基をもたないオルガノポリシロキサンおよび両末端に2価の水酸基を有するオルガノポリシロキサンなどを挙げることができる。
【0014】
通常、片末端2価水酸基変性オルガノポリシロキサンは、例えばリビング重合反応により末端にSi―H基を有するジメチルポリシロキサンを製造し、これと2価の水酸基を有するオレフィンを有機金属触媒下でヒドロシリル化反応により付加する方法等で製造されているが、その製造過程において、片末端2価水酸基変性オルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンが未反応成分として生成される。
【0015】
該未反応成分としては、同じ分子量をもつ水酸基をもたないオルガノポリシロキサンおよび水酸基をもたず2倍の分子量を持つオルガノポリシロキサン、および両末端に2価の水酸基を有するオルガノポリシロキサンなどを挙げることができる。
【0016】
本発明において片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンは特に限定されるものではないが、下記一般式(1)で表されるものであることが好ましい。
【0017】
一般式(1)
[式中R1、R2、R3、R4、およびR5は炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であってそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、nは0または1以上の整であり、mは0もしくは1以上の整数であり、Xは炭素数が2〜20の2価のアルキレン基であり、Yは−OCH2−、−OCH(CH3)−、−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−、または−OCH2CH(CH3)−であり、pは1以上の整数であり、Zは2個の水酸基を有する置換基である。]
【0018】
前記一般式(1)において、R1、R2、R3、R4、およびR5で示される炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖アルキル基であっても分岐鎖アルキル基であってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、およびフェネチル基などを挙げることができる。
【0019】
また、炭素数6〜10のアリール基としてはフェニル基、トルイル基、キシリル基、およびエチルフェニル基などを挙げることができる。
【0020】
一般式(1)において、R1、R2、R3、R4、およびR5は、特に限定されるものではないが、前述の基のうちR1、R3、R4、およびR5はメチル基、R2はメチル基もしくはブチル基であることが好ましい。
【0021】
一般式(1)において、Xで示される炭素数が2〜20の2価のアルキレン基としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、テトラデカメチレン、2−メチルエチレン、2−メチルトリメチレン、2−メチルテトラメチレン、2−メチルペンタメチレン、2−メチルヘキサメチレン、2−メチルヘプタメチレン、2−メチルオクタメチレン、2−メチルノナメチレン、2−メチルデカメチレン、および2−メチルウンデカメチレンなどを挙げることができる。
【0022】
一般式(1)においてXは、特に限定されるものではないが、前述の基のうちトリメチレンもしくは2―メチルエチレン(炭素数が3)であることが好ましい。
【0023】
一般式(1)においてYは、特に限定されるものではないが、前述の基のうち−OCH2−もしくは−OCH2CH2−であることが好ましい。
【0024】
一般式(1)においてpは1以上の整数であれば特に限定されるものではないが、pは1から460であることが好ましい。
【0025】
一般式(1)においてnは0または1以上の整数、mは0または1以上の整数であれば特に限定されるものではないが、好ましくはn+mが4〜1100の範囲である。
【0026】
一般式(1)においてZは、2個の水酸基を有する置換基であれば特に限定されるものではないが、具体的には下記一般式(2)で示される置換基を挙げることができる。
【0027】
一般式(2)
[式中R6は水素または炭素数1〜5のアルキル基もしくは炭素数6〜10のアリール基であり、R7は水酸基もしくはヒドロキシメチル基である]
【0028】
一般式(2)において、R6で示される炭素数1〜5のアルキル基は、直鎖アルキル基であっても分岐鎖アルキル基であってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、およびネオペンチル基などを挙げることができる。
【0029】
また炭素数6〜10のアリール基としてはフェニル基、トルイル基、キシリル基、エチルフェニル基、およびカルボキシフェニル基などが挙げられる。
一般式(2)においてR6は、特に限定されるものではないが、前述の基のうち水素、メチル基もしくはエチル基であることが好ましい。
【0030】
更に、一般式(1)のZとして、一般式(3)で示される置換基を挙げることができる。
一般式(3)
[式中Sは炭素数が1〜20の2価のアルキレン基または炭素数10以下のアリール基であり、Tは炭素数が1〜20の2価のアルキレン基または炭素数10以下のアリール基であり、Uは炭素数が1〜20の2価のアルキレン基または炭素数10以下のアリール基である]
【0031】
一般式(3)において、Sで示される炭素数が1〜20の2価のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、テトラデカメチレン、2−メチルエチレン、2−メチルトリメチレン、2−メチルテトラメチレン、2−メチルペンタメチレン、2−メチルヘキサメチレン、2−メチルヘプタメチレン、2−メチルオクタメチレン、2−メチルノナメチレン、2−メチルデカメチレン、および2−メチルウンデカメチレンなどを挙げることができる。
【0032】
一般式(3)において、Tで示される炭素数が2〜20の2価のアルキレン基としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、テトラデカメチレン、2−メチルエチレン、2−メチルトリメチレン、2−メチルテトラメチレン、2−メチルペンタメチレン、2−メチルヘキサメチレン、2−メチルヘプタメチレン、2−メチルオクタメチレン、2−メチルノナメチレン、2−メチルデカメチレン、および2−メチルウンデカメチレンなどを挙げることができる。
【0033】
一般式(3)において、Uで示される炭素数が2〜20の2価のアルキレン基としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、テトラデカメチレン、2−メチルエチレン、2−メチルトリメチレン、2−メチルテトラメチレン、2−メチルペンタメチレン、2−メチルヘキサメチレン、2−メチルヘプタメチレン、2−メチルオクタメチレン、2−メチルノナメチレン、2−メチルデカメチレン、および2−メチルウンデカメチレンなどを挙げることができる。
【0034】
片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンの分子量は特に限定されるものではないが、数平均分子量で500〜100,000の範囲であることが好ましい。
【0035】
本発明において分子中に3個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートとしては、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートなどの単量体型イソシアネート、もしくはプレポリマー型イソシアネートなど、一般的に入手できるものが利用できる。
【0036】
このうち、プレポリマー型イソシアネートの代表的なものとして下記一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)で示されるものを挙げることができる。
【0037】
一般式(4)[式中、R8はジイソシアネートのイソシアネート基を除いた残基である。]
【0038】
一般式(5)[式中、R8はジイソシアネートのイソシアネート基を除いた残基である。]
【0039】
一般式(6)[式中、R8はジイソシアネートのイソシアネート基を除いた残基である。]
【0040】
前記一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)において、R8のジイソシアネートのイソシアネート基を除いた残基としては、−(CH2)6−または
【0041】
などを挙げることができる。
【0042】
一般式(4)で示されるポリイソシアネートは市販品として入手でき、具体的には、日本ポリウレタン工業(株)製コロネートHL、武田薬品工業(株)製タケネートD−160N、旭化成工業(株)製デュラネートP−301(R8は−(CH2)6−である)、日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(R8は下記化(1)である)、および武田薬品工業(株)製タケネートD−140N(R8は下記化(2)である)などを挙げることができる。
化(1)
化(2)
【0043】
一般式(5)で示されるポリイソシアネートは市販品として入手でき、具体的には、住友バイエルウレタン(株)製スミジュールN、武田薬品工業(株)製タケネートD−165N、および旭化成工業(株)製デュラネート24A(R8は−(CH2)6−である)などを挙げることができる。
【0044】
一般式(6)で示されるポリイソシアネートは市販品として入手でき、日本ポリウレタン工業(株)製コロネートEH、武田薬品工業(株)製タケネートD−170N、および旭化成工業(株)製デュラネートTPA(R8は−(CH2)6−である)などを挙げることができる。
【0045】
オルガノポリシロキサン組成物と分子中に3個のイソシアネート基を含有するポリイソシアネートとを反応させ、ポリウレタン樹脂反応物を得る際には溶媒を使用することが好ましい。
使用する溶媒としては、オルガノポリシロキサン組成物および該ポリイソシアネートとを溶解させ、且つ反応を阻害するものでなければ何れの溶媒であっても使用することができる。
【0046】
このような溶媒としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類などを挙げることができる。これらの溶媒は単独で使用しても、その複数を組み合わせて使用してもよい。
【0047】
オルガノポリシロキサン組成物と分子中に3個のイソシアネート基を含有するポリイソシアネートとの反応においては、触媒を使用しても良い。使用する触媒としては、ウレタン樹脂の製造に通常使用されている公知のものを、単独で、または2種類以上併用して用いることができる。具体的には、ジブチル錫ジラウレート、錫ジオクトエートなどの有機錫化合物、トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)などの3級アミンを挙げることができる。
【0048】
該触媒の使用量は、生成されるポリウレタン樹脂反応物に対して0.001〜20wt%、好ましくは0.01〜1.0wt%の範囲になるように調整することが好ましい。
反応温度は、室温〜150℃が好ましく、この中でも50℃〜120℃が好ましい。
【0049】
該反応の開始時におけるオルガノポリシロキサン組成物と該ポリイソシアネートとの比率は、オルガノポリシロキサン組成物に含まれる片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンの水酸基と該ポリイソシアネートのイソシアネート基とのモル比で1:1〜1:2の範囲であることが好ましい。
【0050】
更に該反応においては、反応物に該ポリイソシアネートを追加投入することが好ましい。該ポリイソシアネートの追加量は、オルガノポリシロキサン組成物に含まれる片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンの水酸基に対し0.1〜1.0当量の範囲にすることが好ましく、更に好ましくは0.3〜0.7当量の範囲である。
【0051】
該反応時間は、反応温度、反応スケールにもよるが4時間以上であることが好ましい。また、該ポリイソシアネートを追加投入する場合には、反応温度、反応スケールにもよるが反応開始後1時間から6時間熟成してから行うのが好ましい。
【0052】
該反応終了前に1価あるいは2価のアルコールを加えることは可能である。1価のアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどが挙げられる。2価のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。このときの2価アルコールの量はモル比で片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンの水酸基に対し、0.1〜0.5当量の範囲にすることが好ましい。
【0053】
該反応によって得られるポリウレタン樹脂反応物は、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンのオルガノポリシロキサン9〜10分子前後が、該ポリイソシアネートと反応してできた比較的分散度が小さいポリマーである。
【0054】
このポリウレタン樹脂反応物をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)にて分析すると、該ポリウレタン樹脂反応物によるピーク、オルガノポリシロキサン組成物中に含まれている片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンと同じ分子量をもつ水酸基を有しないオルガノポリシロキサン(分子量1倍シリコーン)によるピーク、およびオルガノポリシロキサン組成物中に含まれている片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンの2倍の分子量を持つ水酸基を有しないオルガノポリシロキサン(分子量2倍シリコーン)によるピークをもつチャートが得られる。
【0055】
この分子量1倍シリコーンによるピーク、および分子量2倍シリコーンによるピークは、実際の含有率に比例して現れるため、これらの含有率を算出することが可能である。
簡便的には、得られたチャートから各ピークの面積比を求めてオルガノポリシロキサン組成物に含まれている、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンの含有率を計算すればよい。
【0056】
正確に片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンの含有率を求める場合には、GPC分析の際にサンプル濃度をあらかじめ求めておいた分析サンプルを調製し、次いで分析後得られたチャートの分子量1倍シリコーン、分子量2倍シリコーンのピーク高さを求め、あらかじめ作成しておいた検量線から分子量1倍シリコーン、分子量2倍シリコーンの量を計算し、これより該含有率を計算するという方法で行なえばよい。
【0057】
この分析方法では、両末端に2価の水酸基を有するオルガノポリシロキサン(両末端成分)の含有率を直接算出することはできないが、両末端成分の量が増えるとポリウレタン樹脂反応物の分子量が増加することにより含有率を定性的に確認することは可能である。また、両末端成分を10重量%以上含有する場合にはポリウレタン樹脂反応物の反応液がゲル状に固化する。
【0058】
【実施例】
以下に実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例においてトルエンはキシダ化学(株)製の試薬を用いた。ジブチル錫ジラウレートは東京化成(株)製の試薬を用いた。3価のイソシアネート化合物は武田薬品工業(株)製のタケネートD−160Nを用いた。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析にて使用したカラムは、ショーデックス(Shodex)KF−804×2、カラム温度は40℃、検出器は示差屈折検出器(RI)、移動相はトルエンである。
【0059】
実施例1
タケネートD−160Nをあらかじめトルエンで重量比4倍に希釈した(タケネートD−160Nトルエン溶液)。
窒素置換した50mlサンプリング口付きナスフラスコに、FM−DA15(チッソ株式会社製、分子量3000、水酸基当量1257)5g、タケネートD−160Nトルエン溶液5.4g(NCO/OH=1)、トルエン6g、ジブチル錫ジラウレート1wt%トルエン溶液0.064gを入れ、オイルバス温80℃にて加熱攪拌を行なった。
2時間後、シリンジにてタケネートD−160Nトルエン溶液を2.7g追加した。さらに4時間加熱攪拌を継続し、エチレングリコール28μlを入れ、そのまま1時間加熱攪拌を行い、反応を終了した。
反応液のGPC分析を行った。GPCチャートを図1に示した。分子量1倍シリコーンのピークは認められず、分子量2倍シリコーンは3%であった。
【0060】
実施例2
タケネートD−160Nをあらかじめトルエンで重量比4倍に希釈した。(タケネートD−160Nトルエン溶液)
窒素置換した25mlサンプリング口付きナスフラスコに、FM−DA21(チッソ株式会社製、分子量5000、水酸基当量2389)5g、タケネートD−160Nトルエン溶液2.9g(NCO/OH=1)、トルエン10g、ジブチル錫ジラウレート1wt%トルエン溶液0.057gを入れ、オイルバス温80℃にて加熱攪拌を行なった。
2時間後、シリンジにてタケネートD−160Nトルエン溶液を1.4g追加した。さらに6時間加熱攪拌を継続し、エチレングリコール15μlを入れ、そのまま1時間加熱攪拌を行い、反応を終了した。
反応液のGPC分析を行った。GPCチャートを図2に示した。分子量1倍シリコーンは3%、分子量2倍シリコーンは4%であった。
【0061】
実施例3
タケネートD−160Nを、あらかじめトルエンで重量比4倍に希釈した。(タケネートD−160Nトルエン溶液)
窒素置換した25mlサンプリング口付きナスフラスコに、FM−DA26(チッソ株式会社製、分子量15000、水酸基当量7680)5g、タケネートD−160Nトルエン溶液0.9g(NCO/OH=1)、トルエン10g、ジブチル錫ジラウレート1wt%トルエン溶液0.052gを入れ、オイルバス温80℃にて加熱攪拌を行なった。
2時間後、シリンジにてタケネートD−160Nトルエン溶液を0.45g追加した。終夜加熱攪拌を継続し、翌朝エチレングリコール5μlを入れ、そのまま1時間加熱攪拌を行い、反応を終了した。
反応液のGPC分析を行った。GPCチャートを図3に示した。分子量1倍シリコーンは5%、分子量2倍シリコーンは5%であった。
【0062】
実施例4
FM−DA15 5gの代わりにFM−DA15 4.75gとジメチルポリシロキサン(分子量6000、分子量2倍)0.25gを混合したサンプル(計5g、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノシロキサン5wt)を用いた以外は実施例1に準拠して反応を行った。
反応液のGPCチャートを図4に示した。実施例1と比較して分子量2倍シリコーンは8%に増加した。
【0063】
実施例5
FM−DA15 5gの代わりにFM−DA15 4.5gとジメチルポリシロキサン(分子量6000、分子量2倍)0.5gを混合したサンプル(計5g、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノシロキサン10wt%)を用いた以外は実施例1に準拠して反応を行った。
反応液のGPCチャートを図5に示した。実施例1と比較して分子量2倍シリコーンは13%に増加した。
【0064】
実施例6
FM−DA21 5gの代わりにFM−DA21 4.75gとジメチルポリシロキサン(分子量5000、分子量1倍)0.25gを混合したサンプル(計5g、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノシロキサン5wt%)を用いた以外は実施例2に準拠して反応を行った。
反応液のGPCチャートを図6に示した。実施例2と比較して分子量1倍シリコーンは8%に増加した。
【0065】
実施例7
FM−DA21 5gの代わりにFM−DA21 4.5gとジメチルポリシロキサン(分子量5000、分子量1倍)0.5gを混合したサンプル(計5g、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノシロキサン10wt%)を用いた以外は実施例2に準拠して反応を行った。
反応液のGPCチャートを図7に示した。実施例2と比較して分子量1倍シリコーンは13%に増加した。
【0066】
実施例8
FM−DA21 5gの代わりにFM−DA21 4.5gとジメチルポリシロキサン(分子量10000、分子量2倍)0.5gを混合したサンプル(計5g、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノシロキサン10wt%)を用いた以外は実施例2に準拠して反応を行った。
反応液のGPCチャートを図8に示した。実施例2と比較して分子量2倍シリコーンは14%に増加した。
【0067】
実施例9
FM−DA26 5gの代わりにFM−DA26 4.75gとジメチルポリシロキサン(分子量15000、分子量1倍)0.25gを混合したサンプル(計5g、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノシロキサン5wt%)を用いた以外は実施例3に準拠して反応を行った。
反応液のGPCチャートを図9に示した。実施例3と比較して分子量1倍シリコーンは10%に増加した。
【0068】
実施例10
FM−DA26 5gの代わりにFM−DA26 4.5gとジメチルポリシロキサン(分子量15000、分子量1倍)0.5gを混合したサンプル(計5g、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノシロキサン10wt%)を用いた以外は実施例3に準拠して反応を行った。
反応液のGPCチャートを図10に示した。実施例3と比較して分子量1倍シリコーンは15%に増加した。
【0069】
実施例11
FM−DA21 5gの代わりにFM−DA21 4.75gと両末端2価水酸基含有ジメチルポリシロキサン(分子量5000)0.25gを混合したサンプル(計5g、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノシロキサン5wt%)を用いた以外は実施例2に準拠して反応を行った。
反応液のGPCチャートを図11に示した。実施例2と比較してポリウレタン樹脂反応物が高分子化していることが定性的に判断できる。
【0070】
実施例12
FM−DA21 5gの代わりにFM−DA21 4.5gと両末端2価水酸基含有ジメチルポリシロキサン(分子量5000)0.5gを混合したサンプル(計5g、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノシロキサン10wt%)を用いた以外は実施例2に準拠して反応を行った。
タケネートD−160Nトルエン溶液を追加後、反応液の粘度が上昇、ゲル化した。
【0071】
実施例13
FM−DA26 5gの代わりにFM−DA26 4.75gと両末端2価水酸基含有ジメチルポリシロキサン(分子量5000)0.25gを混合したサンプル(計5g、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノシロキサン5wt%)5gを用いた以外は実施例3に準拠して反応を行った。
反応液のGPCチャートを図12に示した。実施例3と比較してポリウレタン樹脂反応物が高分子化していることが定性的に判断できる。
【0072】
実施例14
FM−DA26 5gの代わりにFM−DA26 4.5gと両末端2価水酸基含有ジメチルポリシロキサン(分子量5000)0.5gを混合したサンプル(計5g、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノシロキサン10wt%)5gを用いた以外は実施例3に準拠して反応を行った。
タケネートD−160Nトルエン溶液を追加、終夜攪拌後、反応液の粘度が上昇、ゲル化した。
【0073】
比較例
窒素置換した25mlサンプリング口付きナスフラスコに、FM−DA21(数平均分子量5000、水酸基当量2389)5g、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI、2個のイソシアネート基を有する化合物)0.18g(NCO/OH=1)、トルエン10g、ジブチル錫ジラウレート1wt%トルエン溶液0.052gを入れ、オイルバス温80℃にて加熱攪拌を行なった。
2時間後、シリンジにてHDIを0.041g追加した。1.5時間後、さらに、HDIを0.045g追加、1.5時間後に反応を終了した。
反応液のGPC分析を図13に示した。実施例2では、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノシロキサンは面積%で10%以下であったのに対し、本例では片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノシロキサンが面積%で20%という結果になった。ポリウレタン樹脂反応物の分子量も低くかつ分子量分布も広く、分子量2倍の未反応シリコーン分は全く判別できなかった。
【0074】
【発明の効果】
本発明のオルガノポリシロキサンの測定方法であれば、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンと片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンとを含有する組成物に含まれる、片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンの含有割合を測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のポリウレタン樹脂反応液のGPCチャートである。
【図2】実施例2のポリウレタン樹脂反応液のGPCチャートである。
【図3】実施例3のポリウレタン樹脂反応液のGPCチャートである。
【図4】実施例4のポリウレタン樹脂反応液のGPCチャートである。
【図5】実施例5のポリウレタン樹脂反応液のGPCチャートである。
【図6】実施例6のポリウレタン樹脂反応液のGPCチャートである。
【図7】実施例7のポリウレタン樹脂反応液のGPCチャートである。
【図8】実施例8のポリウレタン樹脂反応液のGPCチャートである。
【図9】実施例9のポリウレタン樹脂反応液のGPCチャートである。
【図10】実施例10のポリウレタン樹脂反応液のGPCチャートである。
【図11】実施例11のポリウレタン樹脂反応液のGPCチャートである。
【図12】実施例13のポリウレタン樹脂反応液のGPCチャートである。
【図13】比較例のポリウレタン樹脂反応液のGPCチャートである。
Claims (5)
- 末端にSi―H基を有するジメチルポリシロキサンと2価の水酸基を有するオレフィンを有機金属触媒下でヒドロシリル化反応により付加する方法により得られる片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンと片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンとを含有する組成物(以下「オルガノポリシロキサン組成物」と記述する。)と、分子中に3個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン樹脂反応物を、ゲル浸透クロマトグラフィーにて分析することを特徴とするオルガノポリシロキサン組成物に含まれる片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンの測定方法。
- オルガノポリシロキサン組成物と3個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートとの比率が、オルガノポリシロキサン組成物に含まれる片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンの水酸基と該ポリイソシアネートのイソシアネート基とのモル比で1:1〜1:2の範囲であることを特徴とする請求項1記載のオルガノポリシロキサン組成物に含まれる片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンの測定方法。
- 片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサンが、下記一般式(1)で表わされるオルガノポリシロキサンである請求項1または2記載のオルガノポリシロキサン組成物に含まれる片末端に2個の水酸基を有するオルガノポリシロキサン以外のオルガノポリシロキサンの測定方法。
一般式(1)
[式中R1、R2、R3、R4、およびR5は炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であってそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、nは0または1以上の整数であり、mは0もしくは1以上の整数であり、n+mが4〜1100の整数であり、Xは炭素数が2〜20の2価のアルキレン基であり、Yは−OCH2−、−OCH(CH3)−、−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−、または−OCH2CH(CH3)−であり、pは1以上の整数であり、Zは2個の水酸基を有する置換基である。]
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