JP4625446B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明にかかるスクロール圧縮機は、固定端板の一面に固定渦巻き状ラップが立設される固定スクロール部材と、旋回端板の一面に旋回渦巻き状ラップが立設され、前記固定スクロール部材に対し自転を阻止されつつ公転旋回駆動されるよう組み合わされて圧縮室を形成する旋回スクロール部材と、前記固定渦巻き状ラップおよび前記旋回渦巻き状ラップの各ラップ先端面に設けられるチップシール溝内にその深さ方向に移動可能に嵌合装着されるチップシール部材と、を備えたスクロール圧縮機において、前記固定スクロール部材および前記旋回スクロール部材のいずれか一方または双方の前記チップシール溝内部に、前記チップシール部材よりも融点が低く、前記チップシール溝の深さ方向の厚さが前記チップシール部材よりも薄い低融点材製のバックアップ材が装備され、該バックアップ材の表面側に前記チップシール部材が位置する状態で、該チップシール部材が前記チップシール溝内に嵌合装着されていることを特徴とする。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1および図2を用いて説明する。
図1には、本実施形態に係るスクロール圧縮機1の断面図が示されている。スクロール圧縮機1は、その概略外形を構成するハウジング2を有する。このハウジング2は、アルミ合金製のフロントハウジング3およびリアハウジング4を備え、各々のフランジ部が図示省略のボルトにより一体的に締め付けられた状態で固定される。
なお、メイン軸受6とサブ軸受7との間には、メカニカルシール(リップシール)8が設置されており、ハウジング2内と大気との間を気密にシールしている。
また、ハウジング2の内部には、スクロール圧縮機構11を構成するアルミ合金製の一対の固定スクロール部材12および旋回スクロール部材13が組み込まれる。固定スクロール部材12は、固定端板12Aと該固定端板12Aから立設される固定渦巻き状ラップ12Bとから構成され、一方、旋回スクロール部材13は、旋回端板13Aと該旋回端板13Aから立設される旋回渦巻き状ラップ13Bとから構成される。
また、フロントハウジング3とリアハウジング4との間の接合面には、Oリング等のシール材25が介装され、ハウジング2内に形成される吸入チャンバー23を大気から気密にシールしている。
外部駆動源から図示省略のプーリー、電磁クラッチ等を介して回転駆動力をクランク軸5に伝達し、クランク軸5を回転すると、クランク軸5の偏心ピン5Cにドライブブッシュ9およびドライブ軸受10を介して連結されている旋回スクロール部材13が、自転阻止機構18により自転を阻止されながら、固定スクロール部材12に対して公転旋回駆動される。これによって、半径方向最外方に形成される圧縮室16内に、吸入チャンバー23内の冷媒ガスが吸い込まれる。圧縮室16は、所定の旋回角位置で吸入締め切りされた後、その容積が減少されながら中心側へと移動される。この間に冷媒ガスは圧縮され、圧縮室16が吐出ポート12Dに連通する位置に達すると、吐出リード弁20が押し開かれて圧縮されたガスは吐出チャンバー22内に吐き出され、さらに吐出チャンバー22を経てスクロール圧縮機1外へと吐出される。
従って、スクロール部材12,13の熱膨張によるラップ先端面12E,13E、すなわちチップシール部材14,15の接触による面圧の異常上昇を未然に防止し、それに起因する異常磨耗や摺動摩擦の増大による摺動ロス等を低減することができるとともに、チップシール部材14,15の損傷を防止することができる。
また、熱膨張を考慮して予めチップ隙間を大きめに設定しておく必要がなく、チップ隙間を可及的に小さくして圧縮漏れを低減することができるため、圧縮効率を向上させてスクロール圧縮機1の高性能化を図ることができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図3を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、渦巻き状ラップ12B,13Bの先端面12E,13Eにコーティング材31を被膜している点が異なっている。その他の点については、第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
渦巻き状ラップ12B,13Bの先端面12E,13Eに被膜されるコーティング材31は、図3に示されるように、ラップ先端面12E,13Eのチップシール溝12C,13Cを除く部位のみに設けられる。
なお、コーティング材31とバックアップ材30は、同一材料を用いてもよいが、必ずしも同一材料の組み合わせである必要はない。コーティング材31としては、ナイロン等のように潤滑性の高い材料の方がより好ましい。
従って、固定スクロール部材12および旋回スクロール部材13の異常摩耗や摺動摩擦増大による摺動ロス等を低減することができる。また、コーティング材31によりチップ隙間を更に極小化して圧縮漏れを低減することができるため、圧縮機効率を一段と向上させることができる。
次に、本発明の第3実施形態について、図4および図5を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、チップシール溝12C,13Cのバックアップ材30が装備される部分に、溶融されたバックアップ材30を逃がす空間部32A,32Bが形成されている点が異なっている。その他の点については、第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
空間部32Aは、図4に示すように、バックアップ材30をチップシール溝12C,13Cの溝幅よりも若干幅狭に構成し、その両サイドを空間部32Aとすることにより形成されている。
また、空間部32Bは、図5に示すように、チップシール溝12C,13Cの底面に更に狭くて浅い溝を設け、それを空間部32Bとすることにより形成されている。
従って、溶融したバックアップ材30がチップシール溝12C,13Cから外部に漏出し、それが摺動部に噛み込まれたり、冷媒流動部に目詰まりしたりするのを防止することができる。
次に、本発明の第4実施形態について、図6を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、チップシール部材14,15とバックアップ材30との間に、仕切り板33が介装されている点が異なっている。その他の点については、第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
仕切り板33は、図6に示すように、チップシール溝12C,13Cに装備されるチップシール部材14,15とバックアップ材30との間に介装されるもので、鉄板等の薄板により構成される。
上記チップシール部材14,15とバックアップ材30との間に、仕切り板33を介装しておくことによって、万一バックアップ材30が溶融された場合でも、溶融したバックアップ材30がチップシール部材14,15に溶着することにより、チップシール部材14,15の動きが拘束されるのを防止することができる。
従って、バックアップ材30の装備に拘りなく、常にチップシール部材14,15を正常に機能させることができる。
次に、本発明の第5実施形態について、図7を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、チップシール部材14,15の接触面圧の異常上昇を防止するバックアップ材40を、歯底面12F,13Fとボトムプレート50間に装備している点が異なっている。その他の点については、第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
図7に示されるように、スクロール圧縮機1において、渦巻き状ラップ12B,13Bの歯底面12F,13Fに、相手方スクロール部材12,13に設けられているチップシール部材14,15が摺接されるボトムプレート50を設置する場合がある。このボトムプレート50は、耐摩耗性および摺動性を有する渦巻き状の薄板で、例えば鋼板等によって構成される。
このような構成とすることによっても、スクロール圧縮機1の異常温度上昇によりスクロール部材12,13が熱膨張され、チップシール部材14,15が相手方スクロール部材12,13の歯底面12F,13Fに設置されているボトムプレート50に接触してその面圧が異常上昇するような事態となると、ボトムプレート50の裏面側に装備されているバックアップ材40が溶融される。これによって、ボトムプレート50が僅かに後退されるため、上記面圧の異常上昇を抑制することができる。
従って、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様、スクロール部材12,13の熱膨張によるラップ先端面12E,13Eの接触面圧の異常上昇を未然に防止し、異常摩耗や摺動摩擦の増大による摺動ロス等を低減することができるとともに、チップ隙間を可及的に小さくして圧縮効率を向上させることができる等の効果を奏する。
また、チップシール部材14,15、バックアップ材30,40、およびコーティング材31については、その材料の具体例を幾つか説明したが、それは一例であって上記例に限定されるものではなく、同等の材料により代替可能であることは云うまでもない。
12 固定スクロール部材
12A 固定端板
12B 固定渦巻き状ラップ
12C チップシール溝
12E ラップ先端面
12F ラップ歯底面
13 旋回スクロール部材
13A 旋回端板
13B 旋回渦巻き状ラップ
13C チップシール溝
13E ラップ先端面
13F ラップ歯底面
14,15 チップシール部材
30,40 バックアップ材
31 コーティング材
32A,32B 空間部
33 仕切り板
50 ボトムプレート
Claims (7)
- 固定端板の一面に固定渦巻き状ラップが立設される固定スクロール部材と、旋回端板の一面に旋回渦巻き状ラップが立設され、前記固定スクロール部材に対し自転を阻止されつつ公転旋回駆動されるよう組み合わされて圧縮室を形成する旋回スクロール部材と、前記固定渦巻き状ラップおよび前記旋回渦巻き状ラップの各ラップ先端面に設けられるチップシール溝内にその深さ方向に移動可能に嵌合装着されるチップシール部材と、を備えたスクロール圧縮機において、
前記固定スクロール部材および前記旋回スクロール部材のいずれか一方または双方の前記チップシール溝内部に、前記チップシール部材よりも融点が低く、前記チップシール溝の深さ方向の厚さが前記チップシール部材よりも薄い低融点材製のバックアップ材が装備され、
該バックアップ材の表面側に前記チップシール部材が位置する状態で、該チップシール部材が前記チップシール溝内に嵌合装着されていることを特徴とするスクロール圧縮機。 - 前記バックアップ材の融点は、150〜250℃とされていることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
- 前記ラップ先端面の前記チップシール溝を除く部位に、前記チップシール部材よりも融点の低いコーティング材が被膜されることを特徴とする請求項1または2に記載のスクロール圧縮機。
- 前記コーティング材が、前記バックアップ材と同一材料とされることを特徴とする請求項3に記載のスクロール圧縮機。
- 前記チップシール溝の前記バックアップ材が装備される部分に、溶融された前記バックアップ材を逃がす空間部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
- 前記バックアップ材と前記チップシール部材間に、仕切り板が介装されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のスクロール圧縮機。
- 固定端板の一面に固定渦巻き状ラップが立設される固定スクロール部材と、旋回端板の一面に旋回渦巻き状ラップが立設され、前記固定スクロール部材に対し自転を阻止されつつ公転旋回駆動されるよう組み合わされて圧縮室を形成する旋回スクロール部材と、前記固定渦巻き状ラップおよび前記旋回渦巻き状ラップの各ラップ先端面に設けられるチップシール溝に嵌合装着されるチップシール部材と、を備えたスクロール圧縮機において、
前記固定スクロール部材および前記旋回スクロール部材のいずれか一方または双方の前前記渦巻き状ラップの歯底面に、前記チップシール部材が摺接されるボトムプレートが設置され、
該ボトムプレートの裏面側に、前記チップシール部材よりも融点の低いバックアップ材が装備されることを特徴とするスクロール圧縮機。
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