JP4625376B2 - 電子ビームによる検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置や液晶等微細な回路パターンを有する基板製造方法及び装置に係わり、特に、半導体装置やフォトマスクのパターン検査技術に係わり、半導体装置製造過程での未完成な半導体ウエハ上の任意の部分における欠陥検査のための、荷電粒子ビームを使用した検査方法および装置に関する。
例えば、半導体装置は、半導体ウエハ上にホトマスクで形成されたパターンをリソグラフィー処理およびエッチング処理により転写する工程を繰り返すことにより製造される。半導体装置の製造過程において、リソグラフィー処理やエッチング処理、その他の良否は、半導体装置の歩留まりに大きく影響を及ぼすため、異常や不良発生を早期にあるいは事前に検知することは重要である。特に、製造工程の初期の段階における、部分的に完成した半導体ウエハのコンタクトホールおよび配線の電気抵抗や電気容量を測定しておくことは、歩留まり向上のために重要なことである。これら電気的欠陥を検出する検査を行う従来の技術は以下のものがある。
一つは、先鋭化させたタングステン(W)針(先端の曲率半径:約0.1μm)を直接測定部に接触させるナノプローブ装置(特開平8−160109号公報)である。これは、電気抵抗の測定を行うものである。しかし、近年のパターン微細化に伴い、測定したい部分の大きさがW針と同程度もしくは小さくなり、測定は非常に困難なものとなっている。これに対応する手段として、W針の先端曲率半径を小さくすることが考えられる。しかし、その場合、先端が非常に柔らかくなるため、測定部への接触と同時に先端が変形してしまい、現実的な方法とはいえない。また、それ以外にも問題点として、接触抵抗があげられる。針と測定部が異種の物質、特に少なくとも一方が半導体の場合、ショットキー接合が生じ、その部分で電圧に依存した電気抵抗が生じるため正確な測定が出来なかった。
もう一つは、SEM(走査型電子顕微鏡:Scanning Electron Microscope)を用いたものである。これは、特開平5−258703号公報、特開平11−121561号公報、特開平6−326165号公報に開示されている。
特開平5−258703号公報は、検査画像と隣接するパターンの画像を比較して、電位コントラスト(明るさ)の異なる箇所を欠陥と判断し、欠陥を検出するものである。しかし、電気的特性(電気抵抗および電気容量)を求め、表示する手段がなかったため、その箇所が致命であるか非致命であるかを判断することが不可能であった。
特開平11−121561号公報は、ウエハ上方にある制御電極によって、二次電子の放出の程度を制御し、ウエハ表面を正もしくは負に帯電させ、そのときの電位コントラスト像から正常部、低抵抗欠陥部、および高抵抗欠陥部を判別するものである。
この制御電極による二次電子の放出の制御は、特開昭59−155941号公報に開示されている。例えば、正に帯電するように制御電極を調整した場合の電位コントラスト像は、低抵抗欠陥部(例えば、数百Ω以下の低抵抗)は明部、高抵抗欠陥部(電気抵抗:∞)は暗部、そして正常部は、低抵抗欠陥部よりも抵抗は大きいため、画像は明部であるが若干暗いものとなる。この画像の明暗から抵抗の大小を決定することが可能であるが、絶対値の算出はできない。また、リーク電流を測定することによって、電気抵抗の算出を行うことができたが、検査に時間を要し、高速に測定できなかった。
特開平6−326165号公報は、基板上の配線に電子ビームを照射させて生ずる帯電により、基板とアース間に誘導電流を発生させ、その時間変化を測定するものである。これにより、電気容量の大小を測定できるが、絶対値の測定は不可能であった。
また、このようなSEMの電位コントラスト像を用いた検査では、ウエハの構造によっては正常部と欠陥部の電位コントラストの差が少なく、欠陥検出が困難となる場合もあった。例えば、回路にpn接合をもつ場合、電子ビーム照射に伴う帯電がpn接合に対して逆バイアスであれば、この部分は高抵抗となる。そのため、高抵抗な導通不良欠陥と判別が困難であった。
特開平8−160109号公報 特開平5−258703号公報 特開平11−121561号公報 特開平6−326165号公報 特開昭59−155941号公報
上述したように、ナノプローブ装置では、針の先端よりも測定対象のほうが小さい場合もあるという問題や、針と試料の接触抵抗の問題があるため、試料によっては正確な電気抵抗を見積もれなかった。また、ウエハ全面検査には膨大な時間を必要とし、実質上不可能であった。SEMを用いた装置では、電位コントラスト像から電気抵抗や電気容量の大小を決定することは可能であったが、絶対値を見積もることは不可能であった。また、リーク電流測定によって抵抗値の算出が可能であったが、検査に時間を要し高速検査が不可能であり、ウエハの全面検査に非常に長い時間が必要であった。さらに、ウエハの構造によっては(例えば、pn接合を加工してある場合)、電位コントラスト像で正常部と欠陥部の判別が困難であった。
本発明の目的は、電位コントラスト像を取得するだけで電気抵抗および電気容量の値を高速に自動的に算出したり、ウエハ等の基板表面の電気抵抗および電気容量の分布や傾向を短時間に求められる検査方法および検査装置を提供することにある。また、ウエハの構造に対応した適切な検査条件を提供することにある。
上記課題を解決するために、試料に荷電粒子ビームを照射した際に得られる荷電粒子ビーム画像(電位コントラスト像)が、照射領域とアース間の電気抵抗、電気容量、および照射時間に依存することを利用すればよい、ということを見出した。
そのメカニズムを、図2を用いて説明する。照射粒子として、電子を例にとり、その入射エネルギーEPEを二次電子と後方散乱電子との和の放出効率σが1より大きい500eV程度とする。通常、50eV以下のエネルギーを持つものを二次電子、それ以上のエネルギーを持つものを後方散乱電子とすることが多い。絶縁体60に、電子ビームを照射すると照射された領域61は正に帯電し(ここでは、例として、4Vに帯電した場合を示す。)、表面にUs[eV]のポテンシャル障壁が形成される。
そのため、図3の二次電子および後方散乱電子数の和NSEのエネルギーESE分布に示すように、これよりも低いエネルギーの二次電子および後方散乱電子は放出されず、二次電子および後方散乱電子は放出しても絶縁体側へ引き戻される。引き戻される電子数をN1とし、放出電子数をN2として、引き戻されずに放出する二次電子および後方散乱電子の割合をσSEとすれば、σSE=N2/(N1+N2)であり、実質上の放出効率σeffは、σeff=σSE×σであらわされる。電子ビーム照射と共に帯電電圧は上昇し、引き戻される二次電子および後方散乱電子の割合は増加していく。そのため、σeffは徐々に減少し、最終的には、σeffが1になる帯電電圧で安定することとなる。
一方、導電体で十分に電気抵抗が小さい場合、電子の供給が可能であるため帯電は緩和され、σとσeffはほぼ等しい。そのため、絶縁体は暗く、導電体は明るく見える。
このことを利用して、電気抵抗の測定が可能であることを見出した例について述べる。用いた試料は、例えば、図4に示すようなシリコン(Si)407上にSiO2膜402が形成されたウエハに、タングステン(W)プラグ400(直径0.25μm)を埋め込んだコンタクトホール401の加工を行ったものである。各プラグは、プラグ底部のSiO2(402)の残膜403に起因する電気抵抗を持っており、残膜があるものは高抵抗なオープン欠陥404、プラグ同士がつながっているものは低抵抗なショート欠陥405である。
電子輸送経路の電気抵抗R、電気容量Cを含む等価回路としては、図5を仮定した。電気容量Cはプラグの形状から10-17F(ファラッド)とした。電子ビーム照射条件は、図23を仮定した。電子銃10から放出される電子ビーム19の初期エネルギーは10keV、リターディング電極63は接地、被検査基板9(ウエハ)にはリターディング電圧−9.5kVを印加してある。そのため、電子ビームのウエハへの入射エネルギーEPEは、500eVである。
その結果、検出される二次電子および後方散乱電子の数の和NSEの経時変化まは、図6のようになることを見出した。縦軸は検出されるNSEを電子ビーム電流IP[A]で割ったもの、横軸は電子ビームの照射時間Te(もしくは走査電子ビームがプラグを横切る時間)とIPの積である。さらに、十分な時間が経過し、NSEが安定した状態での、NSEと電気抵抗Rの関係は図7のようになることを見出した。ただし、縦軸はNSEをIPでわったもの、横軸はRとIPの積である。電気抵抗Rを算出するためにはNSEに変化が必要である。
このようなことから、このグラフから電気抵抗Rを算出するための電子ビームの電流IPの条件は、0<log(R・IP)<3であることを、本発明者らは、初めて見出した。図7のグラフは物質および試料形状に依存するが、変化分は僅かである。また、リターディング電圧VRを変化させたり、検査前に電子ビーム照射を行いプラグ周りを帯電(電圧VB)させることにより、図8、9のようにNSEを変えることができるため、高感度な検査条件が存在する。この計算予測を確認するために、各プラグに電子ビームを照射させ、各プラグからの二次電子および後方散乱電子の数の検出を行った。
その後、各プラグの電気抵抗をナノプローバにより測定した。プラグ最上層はWであるため、ナノプローバのW針との接触抵抗は十分小さく出来る。その結果得られたNSEの電気抵抗R依存性を、図10に示した。ただし、縦軸はNSEとビーム電流IPの商であり、横軸は電気抵抗Rとビーム電流IPの積である。図中、実線は計算値、○印は実験値である。このように計算値と実験値は一致することを見出すことができた。すなわち、このような二次電子および後方散乱電子の数の和の抵抗依存性計算によって、電位コントラスト像から抵抗値を算出可能であることを見出した。
次に、この半導体ウエハを用いて、電気容量の測定も可能であることを見出したので、そのことについて述べる。ビーム電流IPは100nAとした。用いたプラグは、上記ナノプローブ法により確認した抵抗1012Ω(オーム)以上のものを用いた。電子ビームの照射時間(もしくは電子ビームがプラグを横切る時間)を変化させることによって得られる検出されるNSEの変化を計算結果と比較し、比較結果により電気容量を見積もる。実験結果と計算結果を図11に示すように、計算結果において電気容量を10-17F(ファラッド)としたときのNSEの経時変化は、実験結果をほぼ忠実に再現した。この値はプラグ形状等から算出した値とほぼ等しい。
さらに、ウエハの構造に対応した適切な検査条件を提供する方法について述べる。図8では、リターディング電圧VRを変化させることによってNSEが変わることを示した。このとき、電子ビーム照射域の帯電電圧US(V)も、図24のように変化する。ここでは、検査のためにこの現象を利用した。例えば、pn接合を持つ回路パターンに電子ビームを照射してpn接合が逆バイアス状態に帯電した場合、接合は高抵抗になるため、導通不良欠陥と判別が困難である。しかし、リターディング電圧を変化させることにより帯電電圧を増加させ、pn接合にブレークダウンを生じさせることによって抵抗値を減少可能である。この状態で検査を行えば、正常部と欠陥部の抵抗値の差が大きくなり、それら電位コントラスト像に差が生じ、検査が可能になる。
また、pn接合自身に欠陥があり逆バイアス方向の抵抗値が小さい場合、リターディング電圧を調整し、欠陥部のpn接合のみをブレークダウンさせる帯電状態にする。このとき、正常部と欠陥部の抵抗値の差は増大され、それら電位コントラスト像に差が生じ、検査可能となる。ここでは、リターディング電圧を利用したが、それ以外の電子照射条件、例えば電子ビーム電流、電子ビームの試料への入射エネルギー、照射時間や照射回数を変化させることによっても、同様な効果を得ることができる。
以上のような手法により、電気抵抗および電気容量を見積もることが可能であることや、ウエハの構造に対応した適切な欠陥検出条件が提供できることを見出した。ここでは、電子ビームを用いたが、それ以外でもプラスイオン、マイナスイオン等のような荷電粒子ビームであれば同様のことは可能である。
実際の検査装置では、上記のような電気抵抗や電気容量の決定を次のように自動的に行う。
まず、半導体ウエハに荷電粒子ビームを一回もしくは数回走査させる。このとき、各走査時間を変化させてもよい。そして、発生した二次電子や後方散乱電子を検出器に取りこみ、取りこんだ電子数に比例した信号を発生させ、その信号をもとに各走査に対応した検査画像を形成させる。
次に、ワークステーションやパーソナルコンピュータ等の計算機で、荷電粒子ビームの電流値、照射エネルギー、走査時間、および走査回数、半導体ウエハ表面での電場、および二次電子や後方散乱電子の放出効率等を考慮し、電気抵抗や電気容量をパラメータとして画像を形成させる。そして、その画像が検査画像と一致するように電気抵抗や電気容量を決定する。
なお、この検査で、荷電粒子ビームの電流値を変化させることによって、電気抵抗の測定範囲を変化させることが可能である。さらに、画像取得の前の処理として、荷電粒子ビームをあらかじめ一定量照射させておくことや、半導体ウエハにリターディング電圧を加えることによって、測定感度を変えることができる。 また、ウエハの構造に対応した適切な検査条件も提供することができる。
以上のように、本発明の検査方法および装置によれば、回路パターンを有する半導体装置、等の部分的に完成した基板の検査において、従来の検査装置では不可能であった、微小部分の電気抵抗および電気容量の測定に実現することができた。本発明を基板製造プロセスへ適用することにより、電気抵抗や電気容量を見積もることができるため、基板製造プロセスにいち早く異常対策処理を講ずることができ、その結果、半導体装置その他の基板の不良率を低減し生産性を高めることができる。
また、上記測定により、異常発生をいち早く検知することができるので、多量の不良発生を未然に防止することができ、さらにその結果、不良の発生そのものを低減させることができるので、半導体装置等の信頼性を高めることができ、新製品等の開発効率が向上し、且つ製造コストが削減できる。
(実施例1)
本発明の第1の実施例になる検査装置の構成を図1に示す。検査装置1は、室内が真空排気される検査室2と、検査室2内に被検査基板9を搬送するための予備室(本実施例では図示せず)を備えており、この予備室は検査室2とは独立して真空排気できるように構成されている。また、検査装置1は上記検査室2と予備室の他に制御部6、画像処理部5から構成されている。検査室2内は大別して、電子光学系3、検出部7、試料室8、光学顕微鏡部4から構成されている。
電子光学系3は、電子銃10、電子ビーム引き出し電極11、コンデンサレンズ12、ブランキング用偏向器13、走査偏向器15、絞り14、対物レンズ16、反射板17、E×B偏向器18から構成されている。検出部7のうち、検出器20が検査室2内の対物レンズ16の上方に配置されている。検出器20の出力信号は、検査室2の外に設置されたプリアンプ21で増幅され、AD変換機22によりデジタルデータとなる。試料室8は、試料台30、Xステージ31、Yステージ32、回転ステージ33、位置モニタ用測長器34、被検査基板高さ測定器35から構成されている。
光学顕微鏡部4は、検査室2の室内における電子光学系3の近傍であって、互いに影響を及ぼさない程度離れた位置に設備されており、電子光学系3と光学顕微鏡部4の間の距離は既知である。そして、Xステージ31またはYステージ32が電子光学系3と光学顕微鏡部4の間の既知の距離を往復移動するようになっている。光学顕微鏡部4は光源40、光学レンズ41、CCDカメラ42により構成されている。画像処理部5は、画像記憶部46、計算機48より構成されている。取り込まれた電子ビーム画像あるいは光学画像、測定した電気抵抗および電気容量はモニタ50に表示される。
装置各部の動作命令および動作条件は、制御部6から入出力される。制御部6には、あらかじめ電子ビーム発生時の加速電圧、電子ビーム偏向幅、偏向速度、検出装置の信号取り込みタイミング、試料台移動速度等々の条件が、目的に応じて任意にあるいは選択して設定できるよう入力されている。制御部6は、補正制御回路43を用いて、位置モニタ用測長器34、被検査基板高さ測定器35の信号から位置や高さのずれをモニタし、その結果より補正信号を生成し、電子ビームが常に正しい位置に照射されるよう対物レンズ電源45や走査偏向器44に補正信号を送る。被検査基板9の画像を取得するためには、細く絞った電子ビーム19を該被検査基板9に照射し、二次電子および後方散乱電子51を発生させ、これらを電子ビーム19の走査およびステージ31、32の移動と同期して検出することで被検査基板9表面の画像を得る。
電子銃10には拡散補給型の熱電界放出電子源が使用されている。この電子銃10を用いることにより、従来の、例えばタングステン(W)フィラメント電子源や、冷電界放出型電子源に比べて安定した電子ビーム電流を確保することができるため、明るさ変動の少ない電位コントラスト像が得られる。電子ビーム19は、電子銃10と引き出し電極11との間に電圧を印加することで電子銃10から引き出される。電子ビーム19の加速は、電子銃10に高電圧の負の電位を印加することでなされる。
これにより、電子ビーム19は、その電位に相当するエネルギーで試料台30の方向に進み、コンデンサレンズ12で収束され、さらに対物レンズ16により細く絞られて試料台30上のX−Yステージ31、32の上に搭載された被検査基板9(半導体ウエハ、チップあるいは液晶、マスク等微細回路パターンを有する基板)に照射される。
なお、ブランキング用偏向器13には、走査信号およびブランキング信号を発生する信号発生器44が接続され、コンデンサレンズ12および対物レンズ16には、各々レンズ電源45が接続されている。被検査基板9には、高圧電源36により負の電圧(リターディング電圧)を印加できるようになっている。この高圧電源36の電圧を調節することにより一次電子ビームを減速し、電子銃10の電位を変えずに被検査基板9への電子ビーム照射エネルギーを最適な値に調節することができる。
被検査基板9上に電子ビーム19を照射することによって発生した二次電子および後方散乱電子51は、基板9に印加された負の電圧により加速される。被検査基板9上方に、E×B偏向器18が配置され、これにより加速された二次電子および後方散乱電子51は所定の方向へ偏向される。E×B偏向器18にかける電圧と磁界の強度により、偏向量を調整することができる。また、この電磁界は、試料に印加した負の電圧に連動させて可変させることができる。E×B偏向器18により偏向された二次電子および後方散乱電子51は、所定の条件で反射板17に衝突する。この反射板17に加速された二次電子および後方散乱電子51が衝突すると、反射板17からは第二の二次電子および後方散乱電子52が発生する。
検出部7は、真空排気された検査室2内の検出器20、検査室2の外のプリアンプ21、AD変換器22、光変換手段23、伝送手段24、電気変換手段25、高圧電源26、プリアンプ駆動電源27、AD変換器駆動電源28、逆バイアス電源29から構成されている。既に記述したように、検出部7のうち、検出器20が検査室2内の対物レンズ16の上方に配置されている。検出器20、プリアンプ21、AD変換器22、光変換器23、プリアンプ駆動電源27、AD変換器駆動電源28は、高圧電源26により正の電位にフローティングしている。
上記反射板17に衝突して発生した第二の二次電子および後方散乱電子52は、この吸引電界により検出器20に導かれる。
検出器20は、電子ビーム19が被検査基板9に照射されている間に発生した二次電子および後方散乱電子51がその後加速されて反射板17に衝突して発生した第二の二次電子および後方散乱電子52を、電子ビーム19の走査のタイミングと連動して検出するように構成されている。検出器20の出力信号は、検査室2の外に設置されたプリアンプ21で増幅され、AD変換器22によりデジタルデータとなる。AD変換器22は、検出器20が検出したアナログ信号をプリアンプ21によって増幅された後に直ちにデジタル信号に変換して、画像処理部5に伝送するように構成されている。検出したアナログ信号を検出直後にデジタル化してから伝送するので、高速で且つSN比の高い信号を得ることができる。
なお、ここでの検出器20として、例えば、半導体検出器を用いてもよい。
X−Yステージ31、32上には被検査基板9が搭載されており、検査実行時にはX−Yステージ31、32を静止させて電子ビーム19を二次元に走査する方法と、検査実行時にX−Yステージ31、32をY方向に連続して一定速度で移動されるようにして電子ビーム19をX方向に直線に走査する方法のいずれかを選択できる。ある特定の比較的小さい領域を検査する場合には前者のステージを静止させて検査する方法、比較的広い領域を検査するときは、ステージを連続的に一定速度で移動して検査する方法が有効である。なお、電子ビーム19をブランキングする必要がある時には、ブランキング用偏向器13により電子ビーム19が偏向されて、電子ビームが絞り14を通過しないように制御できる。
位置モニタ用測長器34として、本実施例ではレーザ干渉による測長計を用いた。Xステージ31およびYステージ32の位置が実時間でモニタでき、制御部6に転送されるようになっている。また、Xステージ31、Yステージ32、そして回転ステージ33のモータの回転数等のデータも同様に各々のドライバから制御部6に転送されるように構成されており、制御部6はこれらのデータに基いて電子ビーム19が照射されている領域や位置が正確に把握できるようになっており、必要に応じて実時間で電子ビーム19の照射位置の位置ずれを補正制御回路43より補正するようになっている。また、被検査基板毎に、電子ビームを照射した領域を記憶できるようになっている。
光学式高さ測定器35は、電子ビーム以外の測定方式である光学式測定器、例えばレーザ干渉測定器や反射光の位置で変化を測定する反射光式測定器が使用されており、X−Yステージ上31、32に搭載された被検査基板9の高さを実時間で測定するように構成されている。本実施例では、スリットを通過した細長い白色光を透明な窓越しに被検査基板9に照射し、反射光の位置を位置検出モニタにて検出し、位置の変動から高さの変化量を算出する方式を用いた。この光学式高さ測定器35の測定データに基いて、電子ビーム19を細く絞るための対物レンズ16の焦点距離がダイナミックに補正され、常に非検査領域に焦点が合った電子ビーム19を照射できるようになっている。また、被検査基板9の反りや高さ歪みを電子ビーム照射前に予め測定しており、そのデータをもとに対物レンズ16の検査領域毎の補正条件を設定するように構成することも可能である。
画像処理部5は、画像記憶部46、計算機48、モニタ50により構成されている。上記検出器20で検出された被検査基板9の画像信号は、プリアンプ21で増幅され、AD変換器22でデジタル化された後に光変換器23で光信号に変換され、光ファイバ24によって伝送され、電気変換器25にて再び電気信号に変換された後に画像記憶部46に記憶される。
画像形成における電子ビームの照射条件および、検出系の各種検出条件は、あらかじめ検査条件設定時に設定され、ファイル化されてデータベースに登録されている。計算機48は、画像記憶部46に入力された画像信号を読み出し、電子ビーム照射条件をもとに、すでに述べた画像信号レベルと表面帯電電圧の対応を計算し、画像信号レベルに対応する電気抵抗および電気容量を計算する。モニタ50は、計算機48で求めた電気抵抗および電気容量、画像記憶部46に記憶された画像のいずれか、もしくはこれらを同時に表示する。
次に、検査装置1により被検査基板9として、例えば、図12に示す部分的に完成した300mmφの半導体ウエハ(断面構造は図4と同様)について電気抵抗および電気容量を測定した場合の作用について説明する。まず、図1には記載されていないが、被検査基板の搬送手段により半導体ウエハは試料交換室へロードされる。そこでこの被検査半導体ウエハ9は試料ホルダに搭載され、保持固定された後に真空排気され、試料交換室がある程度の真空度に達したら検査のための検査室2に移載される。検査室2では、試料台30、X−Yステージ31、32、回転ステージ33の上に試料ホルダごと載せられ、保持固定される。
セットされた被検査半導体ウエハ9は、予め登録された所定の検査条件に基きX−Yステージ31、32のXおよびY方向の移動により光学顕微鏡部4の下の所定の第一の座標に配置され、モニタ50により被検査半導体ウエハ9上に形成された回路パターンの光学顕微鏡画像が観察され、位置回転補正用に予め記憶された同じ位置の同等の回路パターン画像と比較され、第一の座標の位置補正値が算出される。次に第一の座標から一定距離離れ第一の座標と同等の回路パターンが存在する第二の座標に移動し、同様に光学顕微鏡画像が観察され、位置回転補正用に記憶された回路パターン画像と比較され、第二の座標の位置補正値および第一の座標に対する回転ずれ量が算出される。この算出された回転ずれ量分、回転ステージ33は回転し、その回転量を補正する。
なお、本実施例では回転ステージ33の回転により回転ずれ量を補正しているが、回転ステージ33なしで、算出された回転ずれの量に基き電子ビームの走査偏向位置を補正する方法でも補正できる。この光学顕微鏡画像観察においては、光学顕微鏡画像のみならず電子ビーム画像でも観察可能な回路パターンが選定される。また、今後の位置補正のために、第一の座標、光学顕微鏡画像観察による第一の回路パターンの位置ずれ量、第二の座標、光学顕微鏡画像観察による第二の回路パターンの位置ずれ量が記憶され、制御部6に転送される。
さらに、光学顕微鏡による画像が用いられて、被検査半導体ウエハ9上に形成された回路パターンが観察され、被検査半導体ウエハ9上の回路パターンのチップの位置やチップ間の距離、あるいはメモリセルのような繰り返しパターンの繰り返しピッチ等が予め測定され、制御部6に測定値が入力される。また、被検査半導体ウエハ9上における被検査チップおよびチップ内の被検査領域が光学顕微鏡の画像から設定され、上記と同様に制御部6に入力される。光学顕微鏡の画像は、比較的低い倍率によって観察が可能であり、また、被検査半導体ウエハ9の表面が、例えばシリコン酸化膜等により覆われている場合には下地まで透過して観察可能であるので、チップの配列やチップ内の回路パターンのレイアウトを簡便に観察することができ、検査領域の設定を容易にできるためである。
以上のようにして、光学顕微鏡部4による所定の補正作業や検査領域設定等の準備作業が完了すると、Xステージ31およびYステージ32の移動により、被検査半導体ウエハ9が電子光学系3の下に移動される。被検査半導体ウエハ9が電子光学系3の下に配置されると、上記光学顕微鏡部4により実施された補正作業や検査領域の設定と同様の作業を電子ビーム画像により実施する。この際の電子ビーム画像の取得は、次の方法でなされる。
上記光学顕微鏡画像による位置合せにおいて記憶され補正された座標値に基き、光学顕微鏡部4で観察されたものと同じ回路パターンに、電子ビーム19が走査偏向器44によりXY方向に二次元に走査されて照射される。この電子ビームの二次元走査により、被観察部位から発生する二次電子および後方散乱電子51が、上述した電子検出のための各部の構成および作用によって検出されることにより、電子ビーム画像が取得される。既に光学顕微鏡画像により簡便な検査位置確認や位置合せ、および位置調整が実施され、且つ回転補正も予め実施されているため、光学画像に比べ分解能が高く高倍率で高精度に位置合せや位置補正、回転補正を実施することができる。
なお、電子ビーム19を被検査半導体ウエハ9に照射すると、その箇所が帯電する。この帯電は、時々像を歪ませるため、検査にとって悪い影響を与える。検査の際にその帯電の影響を避けるために、上記位置回転補正あるいは検査領域設定等の検査前準備作業において、電子ビーム19を照射する回路パターンは予め被検査領域外に存在する回路パターンを選択するか、あるいは被検査チップ以外のチップにおける同等の回路パターンを制御部6から自動的に選択できるようにしておく。これにより、検査時に上記検査前準備作業により電子ビーム19を照射した影響が検査画像に及ぶことはない。
次に、被検査ウエハ上の任意の領域について電気抵抗および電気容量の測定が実施される。入射エネルギー500eV、電子ビーム電流100nAで画像を取得した。そのときに得られた画像で、図12に示すような直線に並ぶプラグ400のAB間の二次電子および後方散乱電子の信号を、図13に示す。この図の各グラフは、プラグにビームが照射された時間Teを0.15〜40μsまで変えたものである。電子照射時間Teと共に、いくつかのピークは減少しているが、十分大きなTe(今回の場合は2.5μs以上)においては安定した信号が得られた。
このような状態において、図7で述べたような計算結果により電気抵抗を求めたところ、図14のような107〜1010Ω(オーム)範囲の値(右縦軸)が得られた。次に、図13に示す矢印のピークの電子照射時間Te変化から電気容量を求めた。図15に示すピークの強度とTeの関係において、計算により電気容量を求めたところ10-17F(ファラッド)という値が得られた。以降、この動作が繰り返されることにより、すべての選択された検査領域について電気抵抗および電気容量の測定が実行されていく。
また、この装置において、リターディング電圧を変化させたり、画像取得前にあらかじめ電子照射を行い絶縁部をある程度帯電させることにより、プラグ正面に形成されるポテンシャルを変化させ、図8、9のように抵抗測定の感度を変更することが可能である。図8によると、リターディング電圧を下げることによって測定範囲を狭めることができる。図9によると、絶縁部の帯電によって測定範囲を狭めることができる。なお、ここでは荷電粒子ビームとして電子ビームを用いたが、その代わりにイオンビームを用いても同様の測定が可能である。
(実施例2)
第2の実施例では、第1の実施例で説明した検査装置を用いて電子ビーム画像を取得し、画像記憶部46に画像を記憶し、隣接する同等の回路パターンの画像同士を計算機48で比較して、差信号レベルが所定の値より大きかった場合に上記電子ビーム画像のある箇所を欠陥部として認識し、その欠陥位置を表示する。
装置の詳細な説明は第1の実施例で述べているので省略する。この欠陥位置の画像信号レベルより計算機48で電気抵抗および容量を計算し、欠陥部が正常部に対してどの程度抵抗あるいは容量が異なるかを求める。該欠陥部の画像取得方法として、3つの方法がある。
第一の方法は、上記画像を比較する検査を実施し、終了後に再度欠陥発生座標へ移動し、検査と同じ条件で画像を取得し、該画像より計算する方法である。
第二の方法は、第一の方法と同様に検査実施後に再度欠陥発生座標に移動し、検査とは異なる電子ビーム条件で画像を取得し、この画像取得条件との画像信号レベルの対応により欠陥部の電気抵抗や容量を計算する方法である。この第二の方法においては、検査と異なる画像取得条件として、ビーム電流や走査速度、照射回数を変える等があり、そのなかの一つの方法で画像を取得し計算しても、複数の条件で画像を取得して計算してもよい。
第三の方法は、検査実施中に欠陥と判定された画像は自動的に保存し、欠陥部の画像信号を読み出して計算する方法である。この場合には、検査終了後に再度欠陥部に移動して画像を再取得する必要はない。
このようにして、第2の実施例で検査を実施し、欠陥部の電気的不良レベルを表示する検査方法の例を示す。図16は、例として、300mmφの半導体ウエハの検査実施後の欠陥部を含む回路パターン(a)と、それに隣接する同等の回路パターン(b)を示す。この中の任意の欠陥を画面から指定すると、図17に示すように、欠陥部の画像が表示され、同時に欠陥部の電気抵抗Rと電気容量C(図中、(1)1010Ω、10-16Fの欠陥部と、(2)108Ω、10-17Fの欠陥部)が表示される。リファレンスとして、正常部の電気抵抗(107Ω)と電気容量(10-17F)も同様に表示させることができる。
また、各電気抵抗Rおよび電気容量Cの値から、各欠陥部の種類が判定できる。例えば、上記(1)のような欠陥部は、リファレンスと比較して、抵抗Rの増加、容量Cの増加からして残膜による完全非導通であり、上記(2)のような欠陥部は、容量Cは変化していないにもかかわらず、抵抗Rが増加していることから、コンタクトホールの埋め込んだプラグ材質の不良と判定できる。
(実施例3)
第3の実施例は、第1の実施例で述べた検査装置を用いて、電子ビーム画像を取得しながら同時に回路パターン位置の画像明るさを所定の明るさと比較することにより、画像明るさより求まる所定の電気抵抗と異なる抵抗の回路パターンを欠陥として検出する検査方法および検査装置である。
まず、図18において、被検査ウエハ181を検査装置内にロードし、あらかじめ登録してある電子ビーム照射条件および信号検出条件を設定する。試料台180には、所定の電子ビーム条件における抵抗があらかじめわかっている標準サンプル182が貼り付けてある。検査を開始する前にこの標準サンプルの画像を取得し、抵抗および容量と電子ビーム画像信号レベルの対応を校正する。
また、被検査ウエハ181の抵抗あるいは容量の設計値に基づき、所定の許容レベル範囲を決めて設定しておく。その後に、被検査ウエハ181の任意の領域について電子ビーム画像を取得し、検査時に取得した画像明るさ信号と設定された許容レベルとを比較して、許容レベルからはずれた回路パターンを欠陥として認識し検出する。
(実施例4)
第4の実施例は、第1の実施例で述べた装置を用い、第3の実施例で述べた方法により電子ビーム画像明るさと電気抵抗および容量の対応を校正し、設定された任意の領域について電子ビーム画像を取得し、抵抗のレベルに応じて色を変えたり、等高線で表示する検査方法および検査装置である。図19に検査結果の例を示す。抵抗レベルに応じて色を変えたり等高線表示をすることにより、抵抗絶対レベルの分布が求まる。
(実施例5)
第5の実施例では、実施例1に記述した装置を用いて、電子ビームを走査させない条件で所定の回路パターン部に照射し、該回路パターンの信号レベルの変化により電気抵抗および電気容量を測定した例を示す。ここでは、被検査基板9の任意の場所から放出され、検出される二次電子および後方散乱電子の数の和NSEの経時変化を測定することにより、電気抵抗および電気容量を見積もる。そのために、まず前工程として細く絞った電子ビーム19を、その場所近傍に走査させることにより、その電位コントラスト像を得る。
その後、その画像から、任意の場所に電子ビームを照射させるための偏向条件を設定し、その条件で電子ビームを照射させ検出される二次電子および後方散乱電子の数の和NSEの経時変化を得る。そのときに得られた結果が、図20である。この値は、電気抵抗108Ω、電気容量10-17Fとした計算結果とよく合う。このように、電気抵抗、および電気容量を決定することができた。
(実施例6)
第6の実施例は、実施例1で述べた装置を用い、例えば、半導体ウエハ212のレジスト213の残膜214を検査する方法および装置である。第3の実施例で述べた方法により電子ビーム画像明るさと電気抵抗および容量の対応を校正し、設定された任意の領域について電子ビーム画像を取得し、残膜を抵抗のレベルに置き換えて表示する検査方法および検査装置である。図21に、検査結果の一例として、検査画像210、および検査画像210のA−B間の予測されるウエハ断面構造211を示す。残膜214の程度に応じて色を変えたり等高線表示をすることが可能である。
(実施例7)
第7の実施例は、実施例1で述べた装置を用い、回路が形成された300mmφの半導体ウエハの反完成品を全面検査する方法、装置である。第2の実施例で述べた方法により数時間でウエハ全面検査した結果を、図22に示す。ここでは、108Ω以上の抵抗をもつ部位を欠陥220として表示してある。
(実施例8)
回路パターンの欠陥検査で、このパターンの電気抵抗値が電圧依存性を持った場合(例えば、pn接合部や、ショットキー接合部を持つ場合)の、適切な検査条件を提供した例を示す。
図25は、pn接合(501はp型Si、502はn型Si)をもつコンタクトホールの例を示す断面図である。このようなコンタクトホールの導通不良検査を、入射エネルギー500eVの電子ビーム(IP=100nA)を用いて行った。リターディング電圧0Vのときの電位コントラスト像を図26に示す。コンタクトホールの電位コントラストが小さく、欠陥部との判別が不能であった。
この原因を解明するために、正常なコンタクトホール、残膜をもつコンタクトホールの抵抗値の電圧依存性を測定した。結果を図27の左のグラフに示す。正常なコンタクトホールが503、残膜をもつコンタクトホールが504である。正常な503のグラフは、順バイアス(電圧は負)では抵抗値は小さく、逆バイアス(電圧は正)では抵抗値が大きい。しかし、逆バイアスでも4V以上印加すればブレークダウンが起こり抵抗値は減少することがわかった。この場合、残膜をもつコンタクトホールの抵抗値504は高抵抗であるため、正常部と欠陥部の抵抗値の差は十分大きくなる。
一方、実施例1では、リターディング電圧(もしくはウエハ近傍の電場)を変化させた場合、図8のようにNSEの抵抗依存性が変化し、抵抗値測定感度を変えることが可能であることを示した。このとき、同時に電子ビーム照射域の帯電電圧も変化している。リターディング電圧VRを変化させた場合について、帯電電圧の抵抗依存性を図24に示す。入射エネルギーは500eVであり、全電子放出効率は1より大きく、正に帯電する。リターディング電圧VRの減少(0→−28.5kV)によって、帯電電圧が増加していることがわかる。リターディング電圧が0Vの場合の帯電電圧は、最大でも3V程度である。すなわち、正常なコンタクトホールも抵抗値が十分大きいためリーク電流は発生せず、その程度の電圧まで帯電し、抵抗値が1018Ω程度になる。このとき、図27の右のグラフからわかるように放出電子数は少なく、電位コントラスト像は暗くなり、導通不良部と判別不可能となる。そのため、図26のような電位コントラスト像が得られたものであると考えられる。
検査を可能にするためには、pn接合にブレークダウンを起こさせるほどの帯電電圧を生じさせることによって、pn接合の抵抗値を減少させる方法を用いた。リターディング電圧を−28.5kVにすることによって最大帯電電圧が5V以上になるため(図24)、pn接合にブレークダウンが起こり、抵抗値は十分減少(10Ω以下)することが予測される。そのため、正常部と導通不良部の抵抗値に差が生ずる。また、図27の右のグラフから、それらの電位コントラスト像(NSE)に十分な差がつき、検査が可能になると思われる。そこで、実際に、リターディング電圧を−28.5kVにして、電位コントラスト像を取得した(図28)。その結果、正常部と欠陥部の電位コントラスト像に十分な差が生じ、実施例2のように、欠陥部を「欠陥」と表示することができた。このように、帯電電圧の抵抗値依存性と回路の電気特性から電子ビーム照射条件を決定することができた。
また、pn接合に欠陥を持つもの(残膜無し)の検査も可能である。例えば、pn接合のn拡散層の濃度が十分でないという欠陥を持つため、低い帯電電圧でブレークダウンが生じ、抵抗値が小さいというものについての検査例を示す。その抵抗値は、図27の505のように、正常なものと比較して小さい。この場合、リターディング電圧0Vで、検査可能である。正常なpn接合ではブレークダウンが起こらないため抵抗値が十分大きく、電位コントラスト像は暗い。一方、欠陥のあるpn接合はブレークダウンが起こるため抵抗が小さく、電位コントラスト像は明るくなる。電位コントラスト像は図29のようになった。このように検査条件を決定することができた。
以上の場合、リターディング電圧を変化させたが、これはウエハ近傍の電場を変化させることが目的である。そのため、リターディング電圧を変化させる代わりに、対向する電極もしくは周辺の電極の位置を変位させ、ウエハ近傍の電場を変化させても同等の効果が得られる。
また、ここでは、リターディング電圧をパラメータにした場合について考察したが、他の電子ビーム照射条件(ビーム電流、ビームエネルギー、照射時間等)に関しても同様に、試料の特性に依存した最適な条件が存在する。
以上詳述した、これらの実施例では、荷電粒子ビームとして電子ビームを用いたが、その代わりにイオンビームを用いても同様の測定が可能である。
本発明の検査装置の一実施例を示す構成図。 電子ビーム照射にともなうウエハ表面の帯電およびポテンシャル障壁の形成の様子を示す図。 二次電子および後方散乱電子の数の和NSEのエネルギーESE分布を示す図。 半導体ウエハの断面構造を含んだ模式図。 図4のコンタクトホールの等価回路の例を示す図。 検出される二次電子および後方散乱電子の数の和NSEの経時変化を示す図。 検出される二次電子および後方散乱電子の数の和NSEの電気抵抗R依存性を示す図。 リターディング電圧VRを変えた場合の検出される二次電子および後方散乱電子の数の和NSEの電気抵抗R依存性を示す図。 プラグ周りの帯電電圧VBを変えた場合の検出される二次電子および後方散乱電子の数の和NSEの電気抵抗R依存性を示す図。 検出される二次電子および後方散乱電子の数の和NSEの電気抵抗R依存性の計算値と実験結果の比較を示す図。 検出される二次電子および後方散乱電子の数の和NSEの経時変化の計算値と実験値の比較を示す図。 実施例1で用いた半導体ウエハと電位コントラスト像を示す図。 図12の半導体ウエハの電位コントラスト信号を示す図。 図13の電位コントラスト信号と計算により算出された電気抵抗値を示す図。 図13における矢印のピーク強度のビーム照射時間変化を示す図。 実施例2で得られた検査画像1を示す図。 実施例2で得られた検査画像2を示す図。 実施例3で用いる抵抗標準サンプル付き試料台を示す図。 実施例4で得られた検査画像を示す図。 実施例5で得られた検出される二次電子および後方散乱電子の数の和の経時変化の検査結果および計算値を示す図。 実施例6で得られた検査画像を示す図。 実施例7で得られた検査画像を示す図。 電子ビーム照射条件の一例を示す図。 リターディング電圧を変化させた場合の帯電電圧の抵抗依存性を示す図。 pn接合をもつコンタクトホールを加工したウエハ断面を示す図。 リターディング電圧が適切でない場合の電位コントラスト像を示す図。 pn接合の抵抗値電圧依存性を示す図。 リターディング電圧が適切である場合の電位コントラスト像を示す図。 リターディング電圧が適切である場合の電位コントラスト像を示す図。
符号の説明
1:回路パターン検査装置、2:検査室、3:電子光学系、4:光学顕微鏡部、5:画像処理部、6:制御部、7:検出部、8:試料室、9:被検査基板、10:電子銃、11:引き出し電極、12:コンデンサレンズ、13:ブランキング偏向器、14:絞り、15:走査偏向器、16:対物レンズ、17:反射板、18:E×B偏向器、19:電子ビーム、20:検出器、21:プリアンプ、22:AD変換器、23:光変換器、24:光ファイバ、25:電気変換器、26:高圧電源、27:プリアンプ駆動電源、28:AD変換器駆動電源、29:逆バイアス電源、30:試料台、31:Xステージ、32:Yステージ、33:回転ステージ、34:位置モニタ測長器、35:被検査基板高さ測定器、36:リターディング電源、40:白色光源、41:光学レンズ、42:CCDカメラ、43:補正制御回路、44:走査信号発生器、45:対物レンズ電源、46:画像記憶部、48:計算機、50:モニタ、51:二次電子および後方散乱電子、52:第二の二次電子および後方散乱電子、60:絶縁体、61:電子ビーム照射領域、62:試料交換室、63:リターデイング電極、180:試料台、181:ウエハ、182:抵抗標準サンプル、210:検査画像、211:断面予想図、212:Si、213:レジスト、214:レジストの残部、220:欠陥、400:プラグ、401:コンタクトホール、402:SiO2、403:残膜、404:オープン欠陥、405:ショート欠陥、406:電子ビーム、407:Si、501:p型Si、502:n型Si、503:正常なpn接合の抵抗値の電圧依存性、504:導通不良コンタクトホールの抵抗値の電圧依存性、505:欠陥をもつpn接合の抵抗値の電圧依存性。

Claims (4)

  1. 回路パターンの電気抵抗値が電圧依存性を持つ基板の表面の領域を一次電子ビームで走査する工程と、
    該一次電子ビームの照射により該領域から発生する二次電子及び後方散乱電子の信号を検出する工程と、
    検出された該二次電子及び後方散乱電子の信号から該領域の検査画像を形成する工程と、
    前記一次電子ビームの照射条件及び前記二次電子及び後方散乱電子の検出条件をもとに、前記一次電子ビームの照射箇所の電気抵抗又は電気容量をパラメータとして前記一次電子ビームの走査領域の画像を形成し、当該形成された画像が前記検査画像と一致するように前記電気抵抗又は前記電気容量を計算する工程と、
    前記検査画像中の回路パターンの電気特性の良否を判定する工程と、
    を含んでなることを特徴とする電子ビームによる検査方法。
  2. 請求項1に記載の電子ビームによる検査方法において、
    回路パターンの電気抵抗値が電圧依存性を持つ基板の表面の領域を一次電子ビームで走査する工程で、
    前記基板、あるいは前記基板の近傍に、電圧を印加し、該電圧を調整することにより、前記基板への前記一次電子ビームの照射エネルギーを制御することを特徴とする電子ビームによる検査方法。
  3. 請求項1に記載の電子ビームによる検査方法において、
    計算された前記電気抵抗又は前記電気容量を基に前記検査画像中の回路パターンの電気特性の良否を判定することを特徴とする電子ビームによる検査方法。
  4. 請求項1に記載の電子ビームによる検査方法において、
    前記一次電子ビームは、二次電子および後方散乱電子の放出効率の和が1以上となる入射エネルギーを有することを特徴とする電子ビームによる検査方法。
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