JP4624573B2 - 発酵不適物に由来する炭化品の資源化方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発酵不適物に由来する炭化品の資源化方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
し尿、家畜糞尿、生ごみ等の有機性廃棄物には、紙製品、布製品、合成樹脂系製品等の夾雑物が含まれており、このような夾雑物は、発酵不適物としてスクリーニングにより除去している。し尿等に含まれる発酵不適物は、特にし渣と呼ばれている。
このような発酵不適物は、従来、焼却処理し、その灰は、し尿等に含まれ除去された沈砂と共に、廃棄物として最終処分場で処理されているのが一般的である。また、沈砂は,そのままでは非衛生的で有る為,、し渣と混合し、焼却処理を行うことで熱による殺菌等を行なう場合も有った。
【0003】
しかし、このように焼却処理するのみでは、資源としての有効利用を図ることができない。そこで、このような発酵不適物を資源として有効に活用するための解決策が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に対してなされたものであり、発酵不適物を有効に資源として利用することを可能とする発酵不適物に由来する炭化品の資源化方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る発酵不適物に由来する炭化品の資源化方法は、発酵処理では分解が困難な夾雑物である発酵不適物に沈砂を混合し、沈砂を発酵不適物の炭化条件に置き熱による殺菌を行い、上記発酵不適物の炭化後に、炭化物のうち沈砂を除去して得られる炭化品を被処理汚泥に混合し、発酵処理を行うことを含む。
【0006】
さらに、本発明は、発酵不適物もしくは沈砂、又は発酵不適物及び沈砂を発酵不適物の炭化条件下で処理する炭化炉と、該炭化炉で得られる発酵不適物の炭化品を被処理汚泥に混合したものを発酵処理するための発酵装置とを含む装置で実施される
上記発酵装置は、一次発酵槽と二次発酵槽とを含む発酵装置として実施することが好適である。
【0007】
ここで、本明細書中で用いられる用語の意味について、明らかにする。
「有機性廃棄物」とは、し尿、浄化槽汚泥、家庭生ごみ、家畜・ペット糞尿、飲食店の残飯、魚類販売店のあら等をいう。
「発酵不適物」とは、紙製品、布製品、合成樹脂系製品等の発酵処理では分解が困難な夾雑物をいう。
「し渣」とは、し尿に含まれる発酵不適物をいう。
「沈砂」とは、収集したし尿等の中に含まれる土砂、石、金属片等の無機系の夾雑物をいう。
「発酵装置」は、一般的には堆肥化装置をいう。
「被処理汚泥」とは、乾燥汚泥、脱水汚泥、乾燥も脱水も行わない汚泥を含む。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面に示した実施の形態を参照しながら、本発明に係る発酵不適物に由来する炭化品の資源化方法を説明する。
図1に、本発明に係る発酵不適物に由来する炭化品の資源化方法について、その一実施の形態を概括して示す。この実施の形態では、し渣、し渣以外の有機性廃棄物発酵不適物又は沈砂をその処理対象としている。
【0009】
まず、この実施の形態における処理フローをし渣について説明する。
し渣は、前述したように、し尿中に含まれる夾雑物であり、炭化炉101に導入される前にし尿からスクリーニング処理によって除去される。
このようにして得られたし渣を、炭化炉101に導入する。炭化炉101では、し渣を炭化する。し渣の炭化は、450℃以上の温度かつ600℃以下の温度で行うことが好適である。また、処理雰囲気の酸素濃度は、5%以下とする。これは、炭化が進んで完全燃焼に至ってしまわないようにするためである。
【0010】
炭化炉は、内熱式ロータリーキルン型、内熱式流動層式、内熱式縦型、外熱式ロータリーキルン型、外熱式ロータリーキルン型等のものを採用することができる。
内熱式ロータリーキルン型の炭化炉では、投入した材料を低酸素雰囲気でガス化し、炭化品を炉の回転により排出部へ移動する。炉内での材料と気化ガスの接触は向流式で、気化ガスの燃焼熱を利用して材料の炭化を行う。
外熱式ロータリーキルン型の炭化炉では、回転する円筒の一端より原料を供給し、内部を回転キルンの外熱部で加熱する。
【0011】
本実施の形態では、炭化炉で得られる炭化品を、実線104で示すように、堆肥化装置102に導入する。堆肥化装置102は、脱水汚泥又は乾燥汚泥を堆肥化するための発酵装置である。処理対象となる脱水汚泥又は乾燥汚泥は、し尿処理施設から発生する余剰汚泥である。
【0012】
このような発酵装置としては、当業者にとって公知の各種装置を用いることができる。好適なものとしては、図2について後に説明するように、高速発酵槽(一次発酵槽)と、二次発酵槽(熟成発酵槽)とを組み合わせたものを挙げることができる。
堆肥化装置102入口部の含水率は50〜65重量%となるように,炭化品,脱水汚泥,乾燥汚泥を混合する。堆肥化装置102で得た堆肥は、農地等に還元される。
【0013】
本実施の形態によれば、し渣等を炭化して得られる炭化品を資源として利用することができる。すなわち、従来単に焼却・廃棄されていたし渣を資源として活用することができる。また、炭化品を脱水汚泥又は乾燥汚泥に配合することにより、堆肥化(発酵処理)中に発生する臭気成分を除去することができる。さらに、炭化品が混在することにより、発酵環境の通気状態を良好に保つことができる。そして、炭化品の水分は、約10重量%であり、水分調整材として機能する。加えて、C/N(炭素/窒素)比の改善も図ることができる等のことが期待できる。
し渣以外の発酵不適物、発酵不適物を含む沈砂もし渣と同様に処理することができる。また、し渣、し渣以外の発酵不適物及び沈砂を同時に炭化炉101に送って炭化処理することもできる。
【0014】
沈砂の場合には、炭化炉において、沈砂に含まれる発酵不適物を炭化炉で炭化処理する。沈砂は、し渣と混合して炭化炉で同時に処理することができる。
沈砂を炭化炉101で処理する場合には、炭化品を篩分け装置103に導入する。該装置103で炭化品中の沈砂を除去する。この沈砂は熱処理沈砂であり、衛生処理がなされているので、最終処分場で適切に埋め立て処理する。
炭化品は、し渣について説明したと同様に、堆肥化装置102での発酵処理後、堆肥化装置102で得た堆肥は、農地等に還元する。
【0015】
次に、発酵不適物に由来する炭化品の資源化装置の一実施の形態を図2について説明し、さらに該装置を用いた炭化品の資源化方法について説明する。
本実施の形態に係る装置は、炭化炉201、コンベア202、混合機203、高速発酵槽204、熟成発酵槽205及び袋詰装置206を含む。炭化炉201は、し渣又は沈砂を炭化するための装置であり、この実施の形態では、内熱式ロータリーキルン型の炭化炉である。
【0016】
コンベア202は、炭化炉201からの炭化品を炭化品ホッパ207に送り、又は処理済みの沈砂を熱処理ホッパ208に送るための搬送装置である。
混合機203は、乾燥汚泥ホッパ209からの乾燥汚泥と炭化品ホッパ207からの炭化品を混合するための混合装置である。
【0017】
高速発酵槽204は、混合機203からの乾燥汚泥を一次発酵するための装置である。乾燥汚泥は、不安定な有機物であり、これを一次発酵により、悪臭の少ない、安定な物質に変換する。易分解成分は、ほとんど分解される。この高速発酵槽204は、ロータリーキルン式で、内部に材料攪拌及び搬送用のリフタ、均一な通気性を維持するための分散板と通気パイプを備えている。さらに、発酵の各段階での最適条件を維持するために各ゾーンごとに通気量、温度を変えられる構造になっており、最適な高速発酵条件を維持できる。
【0018】
熟成発酵槽205は、高速発酵槽204からの乾燥汚泥を二次発酵するための装置である。すなわち、製品を農作物等の植物に施用した時にその生育に全く阻害作用を及ぼさない物質にまで完熟させるための装置である。
これらの両発酵槽204,204で発酵装置を構成する。このように分けることにより、高速で発酵を行いかつ、製品の安定・信頼性を高めることができる。
【0019】
以上の機器を含む本実施の形態に係る装置を用いた発酵不適物に由来する炭化品の資源化方法について次に説明する。
本実施の形態では、し渣を1週間あたり、4日処理し、装置を切り換えて沈砂を1週間あたり1日処理することとしている。し渣、沈砂のいずれの場合も、炭化炉201によって、発酵不適物が炭化される。炭化炉201での炭化方式、条件は、図1の炭化炉101について説明したと同様である。炭化炉201から排出される高温ガス210は、排ガス処理工程に送られ、汚泥を乾燥するために用いられる。
【0020】
炭化されたし渣は、コンベア202で炭化品ホッパ207へ搬送される。沈砂を処理した場合には、沈砂を熱処理ホッパ208に送る。熱処理ホッパ208では、沈砂の貯留を行う。
沈砂に含まれる炭化品は、図示しない篩い分け装置によって篩い分けられて、炭化品ホッパ207に搬送される。
【0021】
炭化品は、炭化品ホッパ207から混合機203に導入され、乾燥汚泥ホッパ209からの乾燥汚泥又は脱水汚泥と混合される。
混合機203から高速発酵槽204に送られた乾燥乾燥、又は脱水汚泥は、一次発酵処理される。一次発酵に要する時間は、汚泥の性状にもよるが、一般的に5日から2週間である。
高速発酵槽204で一次発酵の後、熟成発酵槽205で二次発酵が行われる。
完熟した製品は、製品ホッパ211に送られ、最終的に袋詰装置206によって袋詰され出荷される。
【0022】
【実施例】
本発明に係る発酵不適物に由来する炭化品の資源化方法を実施し、し尿、浄化槽汚泥、生ごみを処理した。
処理対象量:
し尿:50kL/日、浄化槽汚泥:50kL/日、生ごみ1t/日
この処理量で推定される発酵不適物の量等は以下の通りである。
し尿からのし渣及び汚泥の発生量:
し渣:8kg−DS/kL
汚泥:10kg−DS/kL
浄化槽汚泥からのし渣及び汚泥の発生量:
し渣:3kg−DS/kL
汚泥:8kg−DS/kL
生ゴミからの発酵不適物(残渣)発生量10%
【0023】
この条件で、発酵不適物の発生量は、650kg−DS/日と算出される。
炭化品率を63%とすると、炭化品は410kg−DS/日得られる。
汚泥は、900kg−DS/日得られる。
炭化品を図2の炭化炉201で得て、得られる炭化品と汚泥を混合し、図2の高速発酵槽204及び熟成発酵槽205を用いて発酵処理を行ったところ、良好な堆肥化を行うことができた。
【0024】
【発明の効果】
上記したところから明かなように、本発明によれば、発酵不適物を有効に資源として利用することを可能とする発酵不適物に由来する炭化品の資源化方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る発酵不適物に由来する炭化品の資源化方法の実施の形態を概括して示すブロック図である。
【図2】 発酵不適物に由来する炭化品の資源化装置の一実施の形態を説明する概念図である。

Claims (2)

  1. 発酵処理では分解が困難な夾雑物である発酵不適物に沈砂を混合し、沈砂を発酵不適物の炭化条件に置き熱による殺菌を行い、上記発酵不適物の炭化後に、炭化物のうち沈砂を除去して得られる炭化品を被処理汚泥に混合し、発酵処理を行うことを含むことを特徴とする発酵不適物に由来する炭化品の資源化方法。
  2. 上記発酵不適物の炭化を、450℃以上の温度かつ600℃以下の温度で、処理雰囲気の酸素濃度を5%以下で行うことを特徴とする請求項1の発酵不適物に由来する炭化品の資源化方法。
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JPH02265606A (ja) * 1989-04-04 1990-10-30 Hitachi Metals Ltd し渣の処理方法
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