JP4624566B2 - 高密度の細胞を産生および使用するための装置および方法およびそこからの産物 - Google Patents

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Description

【0001】
関連出願
1999年10月29日に出願された米国仮特許出願第60/162,354号、1999年2月5日に出願された米国仮特許出願第60/118,816号、および2000年1月18日に出願された米国特許出願を参照し、本出願はこれらの優先権を主張し、これらはそれぞれここに引用される;およびそれぞれの出願に記載されるそれぞれの文書およびそれらの出願で引用または参照されるそれぞれの文書はここに引用される。
【0002】
それぞれここに引用される、1997年11月7日に出願された米国特許出願第08/965,698号、1998年10月8日に出願された同第09/169,178号、1999年8月11日に出願された同第09/372,734号、1999年1月22日に出願された同第09/235,901号、1998年10月9日に出願された同第09/169,027号、1993年9月13日に出願された同第08/120,601号(許可された)、現在は米国特許第5,858,368号、1998年7月7日に出願された米国特許出願第09/111,169号、および1995年4月28日に出願された同第08/430,971号(許可された;1999年11月2日に公表された米国特許第5,976,552号)を参照;また、これらの出願および特許中にまたはそれらの実施中のそれぞれの文献は(例えば特許の文面でまたはファイルヒストリ中で示されるように)ここに引用される。例えば、本発明は、前記の特許出願のいずれかまたはすべての実施においてまたはそうでなければ前記の出願のいずれかまたはすべてについて外因性DNAの発現または例えば外因性DNAを発現するための細胞の産生に使用してもよい。同様に、この本文に引用されるすべての文献(「ここに引用される文献」)およびここに引用される文献または任意のここに引用される文献の実行中に参照または引用される文献(例えばここに引用される特許文献の場合)は同様にここに引用される。
【0003】
発明の分野
本発明は、都合よく高密度まで細胞を増殖するための方法および装置、および細胞の使用を含むその使用;および該方法からの産物、装置および細胞に関する。本発明は、例えば外因性DNAを含有するウィルス性ベクターによるまたはそのような細胞にトランスフェクションされたおよび/または挿入されそのようなDNAを含有するプラスミドによる感染からの外因性DNAを発現するための、細胞、都合よくは高密度の細胞を増殖する方法および装置、および該細胞の使用を含むその使用;および該方法、装置および細胞からの産物およびそのような産物の使用に関する。
【0004】
本発明はまた、好ましくは高密度で、昆虫細胞を成長および感染する方法および装置、および細胞の使用を含むそれらの使用;およびこの方法、装置、および細胞およびその使用からの産物に関する。さらに、本発明は、野生型および/または遺伝子操作された組換えバキュロウィルスによる感染のための、好ましくは高密度である昆虫細胞の産生および使用のための方法および装置、並びに野生型および/または遺伝子操作された組換えベクター、例えばウィルス、プラスミド、および細胞の使用を含むその使用による感染、トランスフェクション等のための、好ましくは高密度にされた細胞の産生および使用のための方法および装置;および、この方法、装置および細胞およびその使用からの産物に関する。
【0005】
本発明の方法および装置は、少なくとも1つのバイオリアクター、好ましくは少なくとも1つの細胞攪拌バイオリアクター、培養培地の少なくとも1つの供給源(バイオリアクターの外部)、好ましくは攪拌された培養培地の少なくとも1つの供給源(バイオリアクターの外部)、培地および/または細胞培養を循環させるための少なくとも1つの手段、およびバイオリアクターおよび培養培地の外部の供給源中の細胞間の栄養素および老廃物(および/または細胞外発現および/または分泌された)の透析のための少なくとも1つの手段、例えば中空糸フィルタのようなバイオリアクターおよび培養培地中の細胞間の栄養素および老廃物(および/または細胞外発現および/または分泌された)の透析を生ずる少なくとも1つの半透膜を含んでもよい;例えばそれによって培養培地供給源と透析手段との間に第1のループ(培地補充ループ)およびバイオリアクターと透析手段との間に第2のループ(細胞培養ループ)が存在する。
【0006】
本発明の方法および装置は、少なくとも1つのバイオリアクター、好ましくは少なくとも1つの細胞攪拌バイオリアクター、培養培地の少なくとも1つの供給源(バイオリアクターの外部)、好ましくは培養培地の少なくとも1つの攪拌された供給源(バイオリアクターの外部)、培地および/または細胞培養を循環させるための少なくとも1つの手段、および酸素を供給する少なくとも1つの手段、例えば入力および出力ポートを含む少なくとも1つの酸素供給器を含んでもよい。
【0007】
本発明の方法および装置は、少なくとも1つのバイオリアクター、好ましくは少なくとも1つの細胞攪拌バイオリアクター、培養培地の少なくとも1つの供給源(バイオリアクターの外部)、好ましくは攪拌された培養培地の少なくとも1つの供給源(バイオリアクターの外部)、培地および/または細胞培養を循環させるための少なくとも1つの手段、バイオリアクターおよび培養培地の外部の供給源中の細胞間の栄養素および老廃物(および/または細胞外発現および/または分泌された)の透析のための少なくとも1つの手段、例えば中空糸フィルタのようなバイオリアクターおよび培養培地中の細胞間の栄養素および老廃物(および/または細胞外発現および/または分泌された)の透析を生ずる少なくとも1つの半透膜、例えばそれによって培養培地供給源と透析手段との間に第1のループ(培地補充ループ)およびバイオリアクターと透析手段との間に第2のループ(細胞培養ループ)が存在する、および必要に応じてだが好ましくは、酸素の供給のための手段;例えば入力および出力ポートを含む少なくとも1つの酸素供給装置を含んでもよい。好ましくは、細胞密度で特に高い密度で細胞の適切な酸化が維持しされるように酸素を供給する。「培養培地の供給源」または「培養培地供給源」は、培養培地のための容器でもよい。バイオリアクターは、細胞または細胞培養のための容器でもよい。
【0008】
さらに、本発明の方法および装置は、他の気体、例えば空気、および/または窒素、および/または二酸化炭素を供給する手段を含んでもよい。本発明の方法および装置はまた、pHおよび/または導電率および/または温度および/または酸素濃度および/または二酸化炭素濃度および/または窒素濃度および/またはグルコース/栄養素濃度のような化学的および/または物理的パラメーターを観察する手段を含んでもよい。また、本発明の方法および装置は、例えばpHおよび/または温度および/または酸素濃度および/または二酸化炭素濃度のような1つ以上の観察されたパラメーターの機能のような、系の1つ以上の化学的および/または物理的パラメーターを調整する手段を含んでもよい。
【0009】
本発明の方法および装置は、必要に応じて、プローブポートのような系を観察および/または検査する手段;およびさらに必要に応じて、空気および/または窒素および/または二酸化炭素のような少なくとも1つの追加の期待を供給する手段;およびさらに、必要に応じて、pHおよび/または温度のような他のパラメーターを観察および/または調節する手段を含んでもよい。
【0010】
したがって、本発明は、少なくとも1つのバイオリアクター中で培養中の細胞を含む細胞を成長させることにより細胞培養を提供し、少なくとも1つの容器中で培地を供給することにより培養培地を提供し、培養培地および/または細胞培養を循環させることによりバイオリアクターおよび容器を液体連絡し細胞培養および/または培養培地を循環させ、細胞培養および/または培養培地に酸素を供給する方法に関する。
【0011】
また、本発明は、バイオリアクター中で培養中の細胞を含む細胞を成長させることにより細胞培養を提供し、容器中で培養培地を供給することにより培養培地を提供し、透析手段を介して細胞培養を循環させ、透析手段を介して培養培地を循環させる方法であって、透析手段がバイオリアクターおよび容器と液体連絡しており、それによりバイオリアクターと透析手段との間に第1の細胞培養のループ、および容器とバイオリアクターとの間に第2の培地補充のループが存在し、培養培地および細胞培養との間に透析を行う工程を含む方法に関する。
【0012】
本発明の他の態様は、以下の詳細な説明に記載されるまたはそれから明らか(および本発明の範囲内)である。
【0013】
発明の背景
動物細胞培養に由来する生物学的物質は、様々の医学のおよび農業の用途における使用が見出されている。生物学的物質の特定のサブセットである組換えタンパク質の重要性は、ワクチンから癌治療までの多くの新しく出現した治療および診断方法論の基礎となっている。
【0014】
生物学的物質を産生するための細胞培養工程は、単純な手動制御のバッチ操作から複雑なコンピューター制御の連続的な培養バイオリアクターまで複雑に広がる;例えば、単純な50mLの攪拌フラスコから自動制御された複数の測定装置およびフィードバック制御を有する500L以上の複雑な攪拌槽バイオリアクターまで。それぞれの工程の背後の基本原理は、細胞を浸して必要な栄養その供給源および抑制性の廃棄物を除去する手段を提供する培地を使用して、ウィルスまたはタンパク質のような有用な生物学的物質を産生するための触媒動力として細胞を利用する。
【0015】
生物学的物質の産生が研究室生産から商業生産へ動くと、競争市場は生産性向上を必要とする。それぞれの市販用のバイオリアクターからの産生の収率が重要となる。質に関しては、市場は生産高の安定性と一貫性を必要とする。現在の細胞培養工程は、生物学的物質を産生するための制限値に容易に達する。これらの制限は、細胞の栄養素および酸素の必要条件および抑制性の廃棄代謝産物の蓄積が課される;および細胞成長の理論的制限のかなり前に達するまたはタンパク質産生が達する。
【0016】
すべての細胞の種類がすべての生物学的物質を産生できるわけではない。ある細胞中で見られる多くの生物学的物質は、他の細胞の種類と互換性がないまたは毒性でさえある。多くの状況における細胞の種類の選択は、産生される最終的なタンパク質の構造の複雑性に依存する。タンパク質産生レベルは、急成長および付随するタンパク質発現の高いレベルを与えられる原核生物において高いが、常に機能的タンパク質を産生できるわけではなく、グリコシル化、リン酸化および複雑な複数ユニットマクロ集合(macro-assembly)のような翻訳後および/または同時翻訳修飾を行わないまたは不完全にあるいは異なって行う。
【0017】
動物細胞は、グリコシル化、リン酸化およびマクロ集合を含む必要な複雑な翻訳後修飾を行う。しかしながら、いくつかの動物細胞、特に哺乳動物細胞は、成長および維持が困難であり、商業条件下で生物学的物質を高収率で産生させることは容易でない。動物細胞の一部として、昆虫細胞は、グリコシル化、リン酸化および高分子集合が可能である。多くの組換えタンパク質の産生については、昆虫細胞は単純な成長必要条件を有し、昆虫細胞中で生物学的物質を産生するために操作された組換えバキュロウィルスによる感染に非常に感受性であり良好な安全特性を有するので優れた選択である。
【0018】
細胞の種類および所望の成長力学は、バイオリアクターの種類の選択に影響する。基本的なバイオリアクター装置は、培養フラスコ、ローラーボトル、振盪フラスコ、攪拌槽リアクター、エアリフトリアクターおよび最近は、中空糸リアクター装置を含む。それぞれの種類のバイオリアクターには利点および不都合が存在し、これらの利点および不都合は系において培養する細胞の種類およびそれらの細胞の特異的特性に従って変化する。付着した細胞と良好に作用するものは懸濁された細胞と作用しないかもしれない。したがって、改良されたバイオリアクターは適応性があることが必要である。様々の細胞の種類に対応し、培養期間の短いまたは長い持続時間に作用し、10,000リットルまでの範囲のスケールで作用しなければならない。
【0019】
付着した細胞の成長は、利用可能な表面積に制限され、ローラーボトルを使用する場合、生物学的物質の付着細胞産生のスケールアップは大量の空間を必要とするかもしれない。あるいは、付着した細胞については、マイクロキャリアを使用してもよい。しかしながら、これらは細胞に利用可能な栄養素および酸素を制限し、しばしば攪拌槽を必要とするマイクロキャリアの使用に関して追加の剪断力に細胞をさらす。さらに、特定の細胞の種類に適切なマイクロキャリをの種類を適合させることが困難であると分かる。
【0020】
昆虫細胞は、生物学的物質の製造において有用性を示す経済的に重要な細胞の種類である。通常、昆虫細胞は攪拌した細胞バイオリアクター中で懸濁液として培養する。
【0021】
細胞壁で囲まれた細菌と異なり、動物細胞、特に昆虫細胞は、操作中のバイオリアクター中で見られる比較的弱い水力学的剪断力の反対方向に応答する。これらの不利な事象は、脱水ボルテックス形成、液槽壁衝突および気体/液体境界面と関連する大量液体乱流を含む。この気体/液体境界面は、培養培地と攪拌槽に伴う上部空き高の気体との間、および培養培地と酸素添加中に形成される例えば散布する酸素の泡との間の境界面を含む。昆虫細胞は、多くの他の動物細胞よりもこれらの水力学的剪断力に感受性である(ウー(Wu)J、キング(King)G、ダウグリス(Daugulis)A.J.、ファウルナー(Faulkner O)、ボーン(Bone)D.H.、グーセン(Goosen) M.F.A.著、1989年、Applied Microbiology and Biotechnology 32:249)。この感受性を混合すると、昆虫細胞はより高い酸素レベルを必要とする:酸素の導入によりより多くの泡が産生される、すなわちより多くの気体/液体境界面およびより多くの水力学的剪断力の機会が生ずる。
【0022】
したがって、昆虫細胞については、系へ酸素を加えるための機構が重要となる。第一に、この細胞は他の動物細胞よりも剪断力に感受性である。第二に、これらの細胞を成長させるためにたの動物よりも多くの酸素が必要である。この追加の酸素の必要性により、より高い酸素供給からの増加した泡立ちおよび酸素分布を確実にするために必要なより早い攪拌と関連する更なる細胞破壊の可能性が生ずる。第三に、バキュロウィルスで感染させる場合、酸素要求はまたしても増加し、剪断に関する損傷の可能性は第三の因子と共に増加する。
【0023】
細胞死は、膜強度の喪失、細胞溶解、および変化した代謝活性から生ずる過度の剪断力の最終結果である。高い酸素要求に関するこの昆虫細胞の剪断力に対する感受性は、任意のサイズの散布攪拌槽中の培養培地への界面活性剤の添加の必要により証明される(ムルハマー(Murhammer)D.W.、グーチー(Goochee)C.F.著、1990年、バイオテクノロジープログレス(Biotechnology Progress) 6:391)。
【0024】
細胞培養過程中、細胞密度が増加すると酸素要求が増加する。増加した酸素の流量および攪拌により酸素要求が満たされると、剪断力が増加する。したがって、酸素は、剪断に関連する細胞死を制限するために必要であるので高密度の細胞培養中の重要な制限因子の1つのままである。言いかえれば、酸素添加を制限することは、細胞成長を抑制し、高密度の培養を達成できなくする。さらに、酸素供給が乏しいと、昆虫細胞に基づく細胞培養系による組換えタンパク質の産生が直接制限される。
【0025】
したがって、必要な栄養素の供給源および抑制性の廃棄物を除去する手段を提供することおよび/または酸素供給からの剪断に関連する細胞死を減少または制限するという希望に対処する酸素供給を提供するということは、細胞密度および組換えタンパク質の産生を制限するという問題に対処するために当該技術において進歩となるであろう。
【0026】
チャン(Zhang)等著、Biotech.Bioeng. 59(3):351-9(1998)は、使用済みの培地を抽出する間バイオリアクター内に細胞を保持しておく手段として超音波フィルタを使用する高密度昆虫細胞灌流培養過程に関する。組換えタンパク質の細胞ごとの産生量は、通常条件(細胞を低密度に希釈し、遺伝子操作されたバキュロウィルスで感染させた場合)と高密度条件との間で同様であり、したがって、高い細胞密度において組換えタンパク質の産生を実証し、示し、教示しまたは示唆することができなかった。また、灌流培養系において、栄養素および廃棄物は決して平衡に達しない。従って、チャン等のそれぞれまたは任意の組合せによっては本発明は教示または示唆されない。
【0027】
同様に、任意の他のフィルタまたは中空糸または中空糸フィルタ装置あるいはその使用によっては、本発明は教示または示唆されない。例えば、本発明のある実施の形態と対照的に、フィルタまたは中空糸または中空糸フィルタ装置を使用できる:バイオリアクター容器から培地および細胞を除去し、濾過装置を通過させ、所望の生物学的物質を含有する灌流された液体を集め、細胞と共に培地をもとのバイオリアクター容器に戻すことにより;または、灌流した培地を毛細管を通して細胞に通過させる中空糸フィルタ装置の管腔外の空間内における関心のある細胞の収容所として;または固定されたまたは付着された細胞に新しい培地をより直接提供できるように容器に入っていない中空糸を発酵槽中に直接配置することにより。
【0028】
マイクロビーズ被包は、多孔性の中空のマイクロバルーンを含む。培養細胞は、これらの多孔性の中空のマイクロバルーンの内側面に付着する。細胞のサイズに関連してマイクロバルーンの直径およびその孔のサイズを調節することにより、細胞層の厚さを調節して、栄養素を十分に供給し廃棄代謝産物を除去できる。マイクロビーズ被包では本発明を教示または示唆できない。
【0029】
スパルディング(Spaulding)等の米国特許第5,637,477号は、水平回転培養容器中で剪断を減少させる昆虫細胞培養の過程に関する。スパルディング等のそれぞれまたは任意の組合せでは、本発明を教示または示唆できない。
【0030】
ゴフ(Goffe)の米国特許第5,882,918号は、細胞培養インキュベーターに関する。細胞は循環されない。ゴフのそれぞれまたは任意の組合せでは、本発明を教示または示唆できない。
【0031】
ポートナー(Portner)等著、Appl Micro Biot. 403-414(1998)は、細胞の透析に関し、高い細胞密度に達する手段として廃棄物の灌流および栄養濃縮物の付加と組み合わせた複雑な透析過程を含み、廃棄物の除去は半透膜および2つの追加の容器(1つは透析溶液の追加およびもう1つは廃棄物の除去のため)と連結された透析容器中で行われる。結果として、いくつかの栄養素も透析容器中に透析し消費されなければならない。さらに、1つ以上の濃縮物を培養容器に直接加え、栄養素を加え細胞の成長を支持し、バイオリアクターの透析区画中で失われるものを置換する。
【0032】
ポートナー等は、攪拌槽中で使用する場合、設計の制限は透析ループにおける酸素の制限であると述べている(p.409)。さらに、哺乳動物細胞(p.410、ハイブリドーマ細胞)による1つの実施の形態において、ポートナー等は、細胞が実際に高密度に成長したことのデータまたは表示を与えていない;また実際、培養の850時間後(35.4日後)に報告されたモノクローナル抗体の収率は相対的に低かった(478mg/lまたは13.8mg/l/日)。さらに、ポートナーは結論において(p.412)、かれらの透析バイオリアクターは静止した動物細胞と共に使用でき、懸濁細胞のラージスケールの培養については、外部のループは「主にループ中の酸素の制限により大きな問題を生じ得る」と述べている。
【0033】
したがって、ポートナー等は、細胞を循環させる細胞の外部のループを有するバイオリアクターは作用しないという直接の教示により本発明から離れて教示する。さらに、ポートナーは、透析室へ透析溶液をおよびバイオリアクターへ栄養素濃縮物を持続的に添加することを必要とする開放バイオリアクター系の使用について述べる。透析室の連続的な灌流は、栄養素および廃棄物が決して平衡に達しない灌流系における変化である。また、ポートナー等は、ライン散布または他の手段による酸素の添加を教示または示唆せず、細胞の外部の循環は酸素の腐敗により制限されることを示唆している。
【0034】
ガーニアー(Garnier)等著、Cytotechnology 22:53-63 (1996)は、バキュロウィルス感染したSf-9細胞によるTGFβレセプターのラージスケールおよび高密度産生における溶解二酸化炭素の蓄積に関する。曝気は、明らかに、タンパク質産生を抑制する溶解二酸化炭素の蓄積に関連する;酸素は、二酸化炭素を脱着するためのキャリアガスとして役立つかもしれない。ガーニアーは、低流速の40%の溶解酸素含有量の純粋な酸素を使用し、当該技術に問題があること、特に酸素添加の速度が高くなると培養に有害な水力学的剪断が生じ得ることを示す。ガーニアーは、本発明のライン散布および他の手段による酸素の添加、並びに特に本発明の装置および方法を教示または示唆できない。
【0035】
カーメン(Karmen)等著、バイオテクノロジーおよびバイオエンジニアリング(Biotechnology and Bioengineering) 50:36-48(1996)は、組換えバキュロウィルスで感染されたおよび感染されていない細胞バイオリアクター培養中の呼吸作用のネットワーク上の観察を指示する。溶解酸素(DO)レベルは通常約40%であり、DOに関して、著者は、バキュロウィルス感染した昆虫細胞におけるDOの効果を明らかにするためにはさらなる研究が必要であると主張する。カーメン等は、昆虫細胞培養中の呼吸作用はO2制御系またはIR O2検出器からのデータによりネットワーク上で連続的に観察できることを提供するが、本発明の系および装置、特に本発明のライン散布または他の手段の付加(単独でまたは透析手段と組み合わせて)本発明におけるような透析手段(単独でまたは酸素添加手段と組み合わせて)並びに本発明の装置および方法、例えば、特にpH変化に対応するCO2の使用または調節を教示または示唆できない(実際に、カーメンは、聞くところでは昆虫細胞培養はHCO3 /CO2緩衝を必要としないと報告することによりそのようなものと離れて教示する)。
【0036】
ナカノ(Nakano)等著、Appl Microbiol Biotechnol 48(5):597-601(1997)は、異なる炭素供給源(グルコースおよびグリセロール)を有する溶解酸素のレベルが調節された透析リアクター中の高い細胞密度の培養中の大腸菌の成長における酢酸の影響を述べるが、本発明の方法および装置を教示または示唆できない。
【0037】
ゲヒン(Gehin)等著、Lett Appl Microbiol 23(4):208-12(1996)は、透析および共培養条件下でクロストリジウムセルロリチカム(Clostridium cellulolyticum)ATCC 35319の研究に関する。これはpH調節をするまたはしない溶液中であった。H2、CO2アセテート、エタノールおよびラクテートが最終産物であった。相乗作用は見られなかった。本発明の方法および装置は、ゲヒンによって教示または示唆されない。
【0038】
スカンプ(Schumpp)等著、J Cell Sci 97(Pt4):639-47(1990)は、HL-60ヒト骨髄性白血球細胞の高密度増殖のための培養条件を述べる。栄養供給および代謝最終産物蓄積は成長制限因子となり得るが、スカンプは灌流方法を支持する。したがって、本発明の方法および装置はスカンプによって教示または示唆されない。
【0039】
ラルッパ(Laluppa)等著、「移植のための造血幹細胞および前駆細胞の半ビボ発現(Ex vivo expansion of hematopoietic stem and progenitor cells for transplantation)」in Jane N. Winter (ed.)、血液幹細胞移植(Blood Stem Cell Transplantation)、1997年は、造血幹細胞および前駆細胞の拡大のための様々の系を説明するが、本発明の方法および装置を教示または示唆できない。
【0040】
ベダード(Bedard)等著、バイオテクノロジーレターズ(Biotechnology Letters),19(7):629-632(1997年7月)は、報告によると1mlごとに3×107の細胞を支持しバキュロウィルスにより発現される組換えタンパク質収率を改善するSf-9細胞の給仕されたバッチ培養に関し、Sf-900II培地および栄養添加剤および栄養濃縮物に関連する。培地、添加剤および栄養濃縮物が本発明の実施において使用されるが、バダード等は、本発明の方法および装置を教示および示唆できない。実際は、より一般には、ここに引用される文献のような文献中に見られる成分および/または細胞を本発明で使用してもよいが、本発明の方法および装置は教示または示唆されないとこれまで考えられている。
【0041】
したがって、例えば、バイオリアクター中の栄養素および廃棄産物および透析液が平衡にあり連続的な灌流を必要としない(透析液は廃棄物の除去だけでなく栄養素の添加にも使用する)および/または例えば細胞を循環させるために直接酸素を添加することにより酸素枯渇の問題および対処される酸素添加からの剪断力の減少または制限または除去による酸素供給器による剪断関連細胞死を減少または制限する問題に対処する、本発明におけるような、例えば閉鎖系のような単純な系は教示または示唆されないとこれまで考えられている。また、ここに記載され請求されるような高密度細胞培養のための新しいバイオリアクター系および装置、その使用、そこからの産物、並びにそのような高密度の細胞およびそこからの産物を産生および使用する方法は、当該分野において開示または示唆されていない。
【0042】
発明の目的および概要
本発明の目的は、例えば高密度まで、細胞および/または細胞産物を増殖させるための装置および/または方法を提供することにある。
【0043】
本発明の装置および方法は、培養された細胞の成長中の廃棄産物の同時除去および栄養素の置換のための透析過程の使用を含んでもよい。透析過程は、中空糸フィルタのような半透膜を介した成長中の細胞の循環を使用してもよく、細胞培地と追加の培地の外部供給源との間で小分子の交換が行われ、「再生」培地と称される。半透膜は、水および小分子および小さいタンパク質の通過を可能とするが細胞は通過させない。膜の片側で小分子の濃度が増加または減少すると、濃度勾配により半透膜を通して分子の交換が行われる。これにより、濃度勾配に沿った細胞画分からの廃棄分子の除去および濃度勾配に沿った細胞画分中への置換栄養素の侵入が行われる。中空糸フィルタのように膜が実質的に不活性の場合、動きは膜を介した分子の拡散により促進され、膜を介して分子を動かすのに特定の加圧は必要でない。
【0044】
本発明の装置および方法は、互換性のある成分のモジュラーセットを提供してもよい。この互換性により、性能を改良するために行われる異なる段階中に最適化し、細胞培養実行を中止せずに機能不全成分をすぐに交換することができる。
【0045】
中空糸フィルタの相対的に小さい直径の管による細胞の循環により、任意の凝集した細胞を分裂させる追加の利点が提供される。凝集の内部の細胞は外部の細胞と同様に栄養素および酸素を容易に吸収し廃棄産物を除去できないので、凝集した細胞は、産物の産生においては有効ではない。
【0046】
本発明の別の目的は、酸素の添加がバイオリアクターの外部でおよび細胞の循環ループ内へ行われる新しい方法を使用する成長中の細胞へ酸素を添加する装置および方法を提供することでもよい。この方法は、「イン−ライン」酸素供給と称される。酸素ガスを導入する手段は、UniSyn Technologies Oxy1のような、液体に酸素を添加するために設計された中空糸フィルタを介して細胞を循環させることである。あるいはおよび/またはさらに、酸素供給は、細胞の循環ループの直接の散布によりおよび/または酸素交換専用の培地交換において使用される中空糸フィルタ内で分離されるフィルタおよび/または「補充」培地の散布および/または溶解酸素を放出する少なくとも1つの酸素含有化合物および/またはこれらの酸素供給手段の任意の組合せにより達成できる。
【0047】
本発明の実施の形態は、高密度に成長させる方法における昆虫細胞の使用である;しかしながら、本発明は、任意の細胞、例えば発現系において通常使用される細胞に適用可能である(以下参照)。
【0048】
本発明のさらなる目的は、以下の特徴のいずれかまたはすべて、および好ましくはほとんどまたはすべてを有する高密度の細胞、例えば昆虫細胞または発現系において使用される細胞を使用することでもよい:単一の細胞として懸濁液中で連続的に複製し、ラージスケールの製薬バイオリアクター中での使用のために理想的になる;低コストで無血清培地中で高度の生存可能性を有する高密度への成長;高い力価までバキュロウィルスのようなベクターの複製を支持する;遺伝子操作された組換えベクター、例えばバキュロウィルスで感染された場合の遺伝子;高レベルで産物を産生し、多くの経過で一貫してそれらの産物を産生する;同一性および安全性についてのすべての法的要求条件を満たす;医薬品の製造のためにラージスケールのバイオリアクターに容易に拡大する;および無血清培地中で保存および培養する。
【0049】
本発明のさらに別の目的は、前記のバイオリアクターおよび方法の少なくとも1つ以上の問題、例えば前記の高密度バイオリアクター工程で同定される問題を克服し対処するバイオリアクターおよび方法を提供することでもよい。
【0050】
本発明の装置および方法は、昆虫細胞または発現系において使用される細胞のような細胞を高密度に増殖させ、これらをヒトおよび動物の健康に使用するための遺伝子産物のラージスケールの産生において使用するために最適化する。高い細胞密度では、細胞は、市販の無血清培地中で単一の細胞懸濁液として連続的に増殖し、急速に分裂し生存可能性の高いレベルを維持し、高いウィルス力価および高レベルの組換え遺伝子産物を産生するバキュロウィルスのようなベクターによる感染またはトランスフェクションを非常に受けやすい。さらに、本発明のバイオリアクターおよび方法は、米国の現在の優良製造規範(cGMP)の規格(連邦規定のコード21、パート211、完成した医薬品についての優良製造規範(Current Good Manufacturing Practice for Finished Pharmaceuticals)、1995年4月1日)下での組換えDNA遺伝子産物の製造について推奨される同一性および安全性についての必要条件を満たすSf900+昆虫細胞と共に使用してもよい。Sf900+細胞はまた、米連邦食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration)医薬品の産生において使用する細胞株についての考慮点(Points to Consider for Cell Lines used in the Production of Pharmaceutical Products)(生物学的製剤を産生するために使用される細胞株の特徴付けにおける考慮点(Points to Consider in the Characterization of Cell Lines Used to Produce Biologicals)、1993年5月17日公布、米連邦食品医薬品局、Rockville、MD)。
【0051】
したがって、本発明のある実施の形態は、細胞、例えば昆虫細胞Sf900+を高い細胞密度まで増殖する方法でもよい。
【0052】
本発明の別の目的は、細胞培養の過程中に異なる培地を提供することでもよい。この目的は、栄養利用を最適化するために細胞培養の異なる段階中に培地組成物を変化させることである。例えば、「増殖」培地は高密度に細胞を増殖させるのに最適化されるのに対し、「発現」培地は細胞中の生物学的物質の発現について最適化される。本発明のさらなる目的は、「発現」培地が炭水化物および有機および無機塩からなる低コストの形成であるということである。したがってこの培地は、生物学的物質の産生のコストを減少させる。さらに、より複雑な培地はしばしば所望の産物からの分離が困難である物質を含有するので、単純な「発現」培地によってより容易な精製が可能となり、再びコストが減少する。
【0053】
本発明の別の実施の形態は、野生型および遺伝子操作された組換えベクター、例えばバキュロウィルスの高力価を産生するために高密度の細胞を使用する方法を提供することでもよい。
【0054】
本発明のさらに別の実施の形態は、例えばバキュロウィルス発現ベクターのような発現ベクター等のベクターを作製するために高密度の細胞を産生し、組換え遺伝子産物の産生における使用に適切な組換えウィルスまたはベクターの高力価のストックを産生するためのバイオリアクターの使用および方法を提供することでもよい。
【0055】
本発明のさらに別の実施の形態は、同一性および安定性についての標準テストを確かめる細胞株を産生するバイオリアクターおよび方法を提供し、それによって細胞を医薬品の商業生産において使用できることでもよい。
【0056】
また、本発明の別の実施の形態は、バキュロウィルス発現ベクターのような発現ベクターからの組換え遺伝子産物のラージスケールの商業生産のために昆虫細胞のような細胞を産生するためのバイオリアクターおよび方法を提供することでもよい。
【0057】
高い細胞密度のための本発明のバイオリアクターおよび方法は、「関連出願」の下で言及される出願および特許の技術を実施するために特に適切である;これによりさらに本発明の実施の形態が提供される。
【0058】
したがって、ある態様において、本発明は、細胞の高密度を産生するための装置および方法を伴ってもよい。本発明は、ある態様において、栄養補充された無血清昆虫培地中で鱗翅目、夜蛾科、スポドプテラフルギペルダ(Spodoptera frugiperda)Sf900+(ATCC:CRL 12579)から確立された昆虫細胞株のような昆虫細胞株についての高密度過程の使用を含んでもよい。本発明は、ある態様において、外因性コードDNAを含む、バキュロウィルス等の組換えウィルスまたはベクターを含むバキュロウィルス発現系のような発現系であって、本発明の装置および方法からの高密度における昆虫細胞のような細胞が例えばバキュロウィルスのような組換えベクターまたはウィルスで感染またはトランスフェクションされる発現系を含んでもよい。
【0059】
さらに、本発明は、細胞培養のための少なくとも1つのバイオリアクター、培養培地のための少なくとも1つの容器、培養培地および/または細胞培養を循環させる手段であってそれによりバイオリアクターおよび容器を液体連絡させる手段、酸素の供給のための少なくとも1つの手段を含む細胞を増殖するための装置を提供する。本発明はさらに、細胞培養ためのバイオリアクター、培養培地のための容器、細胞培養を循環させる手段、培養培地を循環させる手段、バイオリアクターおよび容器の液体連絡中の透析手段であってそれによりバイオリアクターと透析手段との間の第1の細胞培養のループおよび容器とバイオリアクターとの間の第2の培地補充のループが存在する手段、および培養培地と細胞培養との間の実施中の透析を含む装置を提供する;この装置はさらに、細胞培養ループ中に酸素を供給する少なくとも1つの手段を含んでもよい。
【0060】
酸素を供給する手段は、中空糸フィルタ酸素供給器および/またはインライン散布のための手段を含む酸素供給手段および/または細胞培養中へ溶解酸素を放出する少なくとも1つの酸素含有化合物の供給手段を含む酸素供給手段を含む。酸素を供給する手段は、バイオリアクターに返送する循環している細胞培養の投入口の上流に位置してもよい。バイオリアクターおよび/または容器、および好ましくはバイオリアクターおよび容器は攪拌される。酸素を供給する手段は、約60%および/または60%または65%を越える平均溶解酸素濃度を提供し得る;および/または酸素を供給する手段は、約40%を越える平均溶解酸素濃度を提供し得るおよび/または酸素を供給する手段は、約30%から90%までまたは約40%から約80%までまたは約50%から70%までの平均溶解酸素濃度を提供し得る。
【0061】
本発明の装置はさらに、細胞培養および/または培養培地の物理的および/または化学的パラメーターを測定する手段を含んでもよい;例えば細胞培養ループおよび/または培地補充ループ中、例えばバイオリアクターまたは容器あるいはループ中の任意の適切な点におけるプローブまたはセンサー(例えばサンプリングのようなループからの回収)。測定の手段は、溶解酸素濃度を測定する手段を含んでもよい;例えば細胞培養または細胞培養ループ中、例えば細胞培養中の溶解酸素を検出するためのバイオリアクター中のプローブまたはセンサー。測定の手段は、pHを測定する手段を含んでもよい;例えば細胞培養または細胞培養ループ中、例えばpHを検出するためのバイオリアクター中のプローブまたはセンサー。測定の手段は、温度を測定する手段を含んでもよい;例えば細胞培養または細胞培養ループ中、例えば温度を検出するためのバイオリアクター中のプローブまたはセンサー。測定手段は、pHを測定する手段および溶解酸素を測定する手段を含んでもよい;例えば細胞培養または細胞培養ループ中、例えばpHおよび溶解酸素のいずれかを検出するリアクター中のプローブまたはセンサー。測定手段は、細胞密度または細胞を測定および/または計数する手段を含んでもよい。
【0062】
本発明の装置はさらに、測定手段からのデータに応じて細胞培養および/または培養培地の物理的および/または化学的パラメーターを調整する手段を含んでもよい。調整手段は、所望のレベルと異なる温度測定に対応して加熱および/または冷却するためにジャケットにシグナルを提供する、コンピューター、マイクロプロセッサまたはプロセッサに連結された容器および/またはバイオリアクターと関連付けた加熱および/または冷却ジャケットのような温度を調整する手段を含んでもよい。調整手段は、pHを調整する手段を含んでもよい;例えば、所望のレベルと異なるpH測定に対応して化学物質を添加するために調整手段にシグナルを提供する、コンピューター、マイクロプロセッサまたはプロセッサに連結された、pHを変化させる細胞培養および/または培地に化学物質を添加する手段。したがって、調整手段は、溶解二酸化炭素濃度を調整する手段を含んでもよい。さらに、調整手段は、溶解酸素濃度を調整する手段を含んでもよい;例えば、所望のレベル(例えば30%から90%まで、40%から80%まで、50%から70%まで、例えば約60%)と異なる酸素測定に対応して酸素および/または空気(あるいは両方)を添加する手段。さらにおよび/またはあるいは、調整手段は、細胞密度および/または細胞数測定に対応した条件の調整および/または変化を必要としてもよい;例えば、特定の細胞および/または細胞数において、培地を変化させてもよいおよび/またはベクター(例えばバキュロウィルスのような組換えウィルス)を感染のために加えてもよい。
【0063】
好ましくは、調整手段は、溶解酸素を調整する手段および溶解二酸化炭素を調整する手段を含んでもよく、それによりpH測定に対応して、溶解二酸化炭素レベルが調整される;また、より好ましくは、調整手段は、溶解酸素測定に対応して溶解酸素を調整する手段を含んでもよい。これらの「調整」は、好ましくは細胞培養ループ中で行われる;例えば、二酸化炭素および酸素の添加は、例えば酸素供給器において細胞培養ループ中で行われる。pHを所望のレベルに設定し、pHが所望のレベルと異なる場合には二酸化炭素を調整することにより、溶解酸素測定は時間の関数として定期的に変化する。例えば、溶解酸素測定は、30%から90%までまたは40%から80%までまたは50%から70%まで変化する;または、溶解酸素測定は平均して約60%であるおよび/または溶解酸素測定は、約10分から約30分までまたは約20分を越えて高い値から低い値へ変化し得るおよび/または時間の関数として溶解酸素測定のプロットは正弦波(sin wave)を含む。
【0064】
本発明はさらに、本発明の装置または類似の装置により行われる本発明の装置または工程を含む方法を含んでもよい。
【0065】
本発明はさらに、少なくとも1つのバイオリアクター中で細胞を培養することにより細胞培養を提供し、少なくとも1つの容器中で培地を供給することにより培養培地を提供し、培養培地および/または細胞培養を循環させることによりバイオリアクターおよび容器を液体連絡させ細胞培養および/または培養培地を循環させ、細胞培養および/または培養培地に酸素を供給する各工程を含む細胞を増殖させる方法を提供する。本発明はまた、バイオリアクター中で細胞を培養することにより細胞培養を提供し、容器中で培養培地を供給することにより培養培地を提供し、透析手段を介して細胞培養を循環させ、透析手段を介して培養培地を循環させる各工程を含む細胞を増殖させる方法であって、透析手段がバイオリアクターおよび容器と液体連絡していることにより、バイオリアクターと透析手段との間に第1の細胞培養のループが存在し、容器とバイオリアクターとの間に第2の培地補充ループが存在する方法を提供し、この方法は培養培地と細胞培養との間で透析を行う工程を含む。
【0066】
酸素の供給は、中空糸フィルタ酸素供給器を含む酸素供給手段によりおよび/またはインライン散布手段によりおよび/または細胞培養中に溶解酸素を放出する少なくとも1つの酸素含有化合物の供給によってもよい;また、酸素は、細胞培養および/または細胞培地、好ましくは細胞培地中に;例えば、バイオリアクターに返送される循環細胞培養のインプットの上流で、バイオリアクターへの細胞培養の返送の直前に細胞培養ループ中に供給されてもよい。
【0067】
本発明の方法はさらに、細胞培養または培養培地、あるいは好ましくは細胞培養および培養培地を攪拌する工程を含んでもよい。
【0068】
酸素の供給は、約60%または約60%を越えるまたは約65%を越える平均溶解酸素濃度;および/または約40%を越える平均溶解酸素濃度を提供してもよい;および/または酸素の供給は、約30%から90%までまたは約40%から約80%までまたは約50%から70%までの平均溶解酸素濃度を提供してもよい。
【0069】
透析手段は、少なくとも1つの半透膜を含んでもよい。半透膜は少なくとも1つの中空糸フィルタを含んでもよい。
【0070】
さらに、本発明の方法は、細胞培養ループ中への酸素の供給を含んでもよい;例えば、中空糸フィルタ酸素供給器を含む酸素供給手段によりおよび/またはインライン散布のための手段を含む酸素供給手段により酸素を供給してもよいおよび/または酸素の供給は、細胞培養中に溶解酸素を放出する少なくとも1つの酸素含有化合物を供給する工程を含んでもよい。酸素供給手段による酸素の供給は、バイオリアクターに返送する循環細胞培養の投入口の上流に位置してもよい。
【0071】
さらに、本発明の方法は、細胞培養および/または培養培地の物理的および/または化学的パラメーターを測定する工程を含んでもよい。測定は、溶解酸素濃度の測定および/またはpHの測定および/または温度の測定;および/またはpHの測定および溶解酸素濃度の測定および/または細胞密度および/または細胞の量の測定を含んでもよい。
【0072】
さらに、本発明の方法は、測定からのデータに応じて細胞培養および/または培養培地(好ましくは細胞培養)の物理的および/または化学的パラメーターを調整する工程を含んでもよい;例えば、本発明の方法は、所望の温度を維持するために温度を調整するおよび/または所望のpHを維持するためにpHを調整するおよび/または所望の溶解酸素濃度を維持するために溶解酸素濃度を調整するおよび/または溶解二酸化炭素濃度を調整する工程を含んでもよい。本発明の方法は、溶解酸素濃度を調整し溶解二酸化炭素濃度を調整する工程を含んでもよく、それによりpH測定に対応して、溶解二酸化炭素レベルを調整する;および/または溶解酸素測定に対応して溶解酸素レベルを調整する。本発明の方法は、pHが所望のレベルと異なる場合に溶解二酸化炭素濃度を調整できるように、溶解二酸化炭素濃度を調整することによりpH測定に対応して所望のレベルにpHを調整する工程を含んでもよく、溶解酸素測定は時間の関数として定期的に変化する。本発明の方法は、溶解酸素測定が30%から90%までまたは40%から80%までまたは50%から70%まで変化するように;または溶解酸素測定が平均して約60%となるように溶解酸素濃度を調整する工程および/または溶解酸素測定が約10分から約30分または約20分を越えて高い値から低い値に変化するようにおよび/または時間の関数として溶解酸素測定のプロットが正弦波を含むように溶解酸素濃度を調整する工程を含んでもよい。さらにまたはあるいは、調整は、細胞密度および/または細胞数測定に対応した条件の調整でもよい;例えば、細胞密度および/または数測定に対応して培地を加えるおよび/または変化させてもよいおよび/またはベクター(例えばバキュロウィルスのような組換えウィルス)を加えてもよい。
【0073】
さらに、本発明の方法は細胞を回収する工程を含んでもよい。したがって本発明は、細胞を産生する方法を含む。本発明においてはさらに、細胞がベクターを含んでもよい。したがって、本発明は、ベクターの複製および/または外因性核酸分子の発現のための方法を含んでもよい。ベクターはウィルスまたは組換えウィルス;例えばバキュロウィルスまたは組換えバキュロウィルスを含んでもよい。本発明はさらに、発現された産物、および/またはウィルスまたはベクター、例えばバキュロウィルスおよび/または細胞、並びに本発明の方法からの発現された産物を回収する工程を含む。
【0074】
したがって本発明は、前記のまたはここで開示される方法の実施を含む、感染されたまたはトランスフェクションされたまたは細胞中に挿入された組換えベクターから発現産物を産生する、または感染されたまたはトランスフェクションされたまたは細胞中に挿入されたベクターを産生する方法を提供し、細胞培養の細胞は、方法の前または間に、組換えベクターまたはベクターで感染またはトランスフェクションされるまたはそれらを挿入される。組換えベクターは、バキュロウィルスのようなウィルス、例えば組換えウィルスでもよく、細胞は、そのようなウィルスに敏感な細胞、例えば昆虫細胞でもよい。前記のおよび/またはここに開示される方法の間に、例えば本発明の装置の使用中および/またはその中で、細胞を感染および/またはトランスフェクションさせるおよび/またはベクターを挿入してもよい;細胞または発現産物または組換えベクターまたはベクターの回収を含んでもよい。
【0075】
したがって、本発明はさらに、診断、治療、抗原、関心のあるエピトープ、ワクチン、免疫学的組成物、治療組成物、診断組成物等の発現産物の使用を含む;また本発明は、抗原および/または関心のあるエピトープおよび/または診断タンパク質および/または治療を含む免疫学的および/またはワクチンおよび/または診断および/または治療組成物の使用からの産物を含み、抗原および/または関心のあるエピトープおよび/または診断タンパク質および/または治療は、ここに記載される方法および/または装置、および/または抗原および/または関心あるエピトープにより(例えば適切な動物への抗原またはエピトープの投与から)誘導される抗体または抗体組成物から得られる、並びにそのような産物を含む方法、例えば免疫学的または免疫応答または感染防御免疫応答または治療応答を誘導する方法は、抗原および/または関心のあるエピトープおよび/または抗体および/または治療を含む組成物を投与する工程を含み、方法は、本発明からの治療タンパク質を含み、例えばサンプルを、本発明から得られる治療タンパク質と接触させ、診断タンパク質に対する抗体の存在または不存在を確かめる。
【0076】
「含む」および「含んでいる」という用語は、米国特許法においてこれらの用語に与えられる意味を有する。
【0077】
本発明のさらなる実施の形態は、以下の説明に記載され、当業者にとっておよび本発明の実施により明らかとなる。
【0078】
図面の簡単な説明
例として与えられるが本発明を記載される特定の実施の形態に限定することをいとしたものでない以下の詳細な説明は、ここに引用される添付の図面と組み合わせて理解される。
【0079】
図1は、インライン酸素供給器を有する高密度透析バイオリアクターの略図を示す。
【0080】
図2は、図1の細胞培養ループの略図を示す。
【0081】
図3は、図1の培地補充ループの略図を示す。
【0082】
図4は、図1の中空糸透析装置の略図を示す。
【0083】
図5は、インライン酸素散布を有する高密度透析リアクター中における昆虫細胞の増殖を示すグラフを示す。
【0084】
図6は、標準および高密度培養におけるAcNPVポリヘドリン(Polyhedrin)タンパク質の収率を比較する棒グラフを示す。
【0085】
図7は、標準および高密度培養におけるウィルス性インフルエンザの3つの株からの組換え血球凝集素の収率を比較する棒グラフを示す。
【0086】
図8は、増殖における酸素供給の効果を比較するグラフを示す。
【0087】
図9は、バイオリアクターの図の符号を説明する。
【0088】
図10は、pH、二酸化炭素、酸素、空気、窒素、温度のようなパラメーターを調節するマイクロプロセッサまたはプロセッサまたはコンピューターに向かうプローブ114a-eからの流出、およびその代わりに以下の図に示されるpH、酸素、二酸化炭素および温度機能を有する接続先の系への投入口(例えば154、130、140;加熱/冷却、例えば培地リザーバについて、バイオリアクターについて)による工程系統図を示す。
【0089】
図11は、本発明による高密度バイオリアクター中での増殖されたCHO細胞対対照フラスコ中で増殖されたCHO細胞を示す。
【0090】
発明の詳細な説明
バイオリアクター/細胞培養方法は、好ましくは高密度までの細胞の急速な増殖、栄養利用および廃棄物除去、好ましくは有効な栄養素および/または廃棄物除去、および関心のある生物学的物質の最適な蓄積の少なくとも一つ以上、および都合よくはすべてを好ましくは提供する。「高密度」とは、例えばここに引用される文献、特許のような当該技術においてこの用語に与えられる意味を有してもよく、ここに例示される細胞密度、および/またはこれらの数値の約±15%または約±10%または約±5%または約±3%または約±1%、より高い細胞密度、例えばここに報告されるより高いおよび/またはここに例示される数値より大きい約10%または約15%以上の細胞密度を意味してもよい。都合よく、「正常な」細胞密度は、本発明によらずに達成される細胞密度、例えば標準状態(細胞または培地を循環させずにバイオリアクター中に直接散布して攪拌したバイオリアクターのような)以下の密度でもよく、高密度とは、20%または50%または100%または150%または200%または300%、400%または500%またはそれ以上の正常を超える細胞の増加でもよい(以下の実施例参照)。
【0091】
本発明の装置および方法は、鱗翅目の昆虫細胞について開発され好ましくはそれに関して使用されるが、多くの異なる細胞の種類に有益な状態を提供する;すなわち、すべての種類の細胞、真核および原核細胞;脊椎動物および無脊椎動物細胞;動物および植物細胞;菌類または酵母および細菌細胞;例えば、陸生植物細胞および海生植物細胞、単子葉植物細胞および双子葉植物細胞、例えばトウモロコシ細胞、トマト細胞、タバコ細胞のような植物細胞;サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharamyces cerevisiae)細胞、サッカロマイセス・パストリアヌス(pastorianus)細胞、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)細胞のような酵母細胞;大腸菌、桿菌(例えば乳酸桿菌)、ブドウ球菌のような細菌細胞;魚細胞(例えばサメ、サケ、ニジマス、ゼブラフィッシュ、ニシン、サバの細胞)、両生類の細胞(例えばカエル、ヒキガエル、サンショウウオの細胞)、鳥または鳥類の細胞(例えばニワトリ、七面鳥、アヒル、ハトの細胞)、爬虫類の細胞(例えばコブラのような蛇)、および哺乳類細胞(VERO、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系、W138、BHK、COS-7、293、MDCK、血液細胞(例えば赤血球および白血球)のような、例えばヒト、ウサギ、ハムスター、マウス、ラット、霊長類の細胞);陸生脊椎動物細胞、例えばスポドプテラ(例えばSf9またはSf900+またはATCC CRL 12579のようなスポドプテラフルギペルダ;1998年10月8日に出願されたUSSN 09/169,178参照)、トリコプルシア(Trichoplusia)(例えばグラナドスの米国特許第5,300,435号、同第5,298,418号の細胞のようなトリコプルシアニ)、カイコ(ボンビクスモリ(Bombyx mori))のような鱗翅目細胞、蚊(例えばクリシダエ(Culicidae))細胞、ハエ細胞(例えばショウジョウバエ)のような双翅類、形質転換された昆虫細胞(例えばアイラー(Ailor)等著、「昆虫細胞における分泌の修飾および翻訳後プロセシング」、Current Opinion in Biotechnology 10:142-145(1999);プフェイファー(Pfeifer)等著、「安定な昆虫細胞培養中の異種タンパク質の発現」;Current Opinion in Biotechnology 9:518-21(1998);マクキャロレット(McCarrollet)等著、「組換えタンパク質産生のための安定な昆虫細胞培養」、Current Opinion in Biotechnology 8:590-94(1997);米国特許第5,637,477号)のような昆虫細胞等、および海生脊椎動物細胞、例えばエビ細胞(ペナエウスモノドン(Penaeus mondon)、P.ジャポニクス(japonicus)およびP.ペニシラタス(penicillatus))のような脊椎動物細胞;例えばS.フルギペルダ細胞、VERO細胞、MRC-5細胞、SCV-1細胞、COS-1細胞、NIH3T3細胞、マウスL細胞、HeLa細胞、CHO細胞等のような真核生物の複製可能な発現ベクターと共に通常使用される細胞。細胞は組換え体でもよい;例えば、細胞はベクターにより感染またはトランスフェクションされてもよいまたはそうでなければベクターを内部に挿入されてもよい(例えば、バイオリアクターにおける細胞の使用および本発明の使用の方法の前、間または後)、およびベクターは特定の核酸分子、例えば異種または外因性核酸分子(細胞またはベクターあるいは両方に関して);例えば、ある核酸(例えばDNA)の再生および/または発現)分子を含有してもよい。
【0092】
細胞を増殖させて、一様にまたは実質的に一様にあるいは一貫してまたは実質的に一貫してあるいは恒常的にまたは実質的に恒常的に栄養素および酸素を供給および維持する、並びに細胞の生存を維持することは、細胞増殖においてもタンパク質合成段階においても有益である。例えば本発明の実施の形態における細胞培養パラメーターの正規変動、または保持あるいは一定または不変の(または実質的に一定または不変の)1つ以上のパラメーターに注意すべきである。
【0093】
昆虫細胞から他の細胞を推定することができ、昆虫細胞は本発明の忠実なテストであるので、本発明の実施の形態により、昆虫細胞に関する設計の問題の対処によって任意の細胞の種類に関して本発明を実施するための教示が提供され、本発明をすべての細胞の種類に適用できることが示される。例えば、昆虫細胞は、多くの動物細胞が必要とするよりも多くおよびそれ以上に酸素を必要とする(マイオレラ(Maiorella)B、インロウ(Inlow)D、シャウガー(Shauger)A、ハラノ(Harano)D著、1998年、Bio/Technology 6:1406)。バキュロウィルスにより感染された場合、酸素要求はさらに増加する(キノウカ(Kinouka)N、ニエノウ(Nienow)AW、エメリー(Emery)AN、アル−ルベアイ(al-Rubeai)M著、1995年、Journal of Biotechnology 38(3):243)。また、酸素の不適当な供給により細胞は損傷を受けることがあり、最終的には剪断力に関連する損傷により細胞死が生じ得る。
【0094】
本発明は多くの利点を提供する。少なくともある実施の形態において、本発明は3つの主成分を含み得るという点で簡単である:細胞培養ループ100。培地補充ループ200。および中空糸透析装置300。他の実施の形態はより簡単である。
【0095】
さらに、生物学的物質の最適な生産に必要なものとして計画的な出来事として、または成分の不足のような計画外の出来事として、培養工程中にそれぞれのモジュールが置換されるように、本発明の成分はモジュール方式でもよい。培養工程を中止することなくモジュールのこの交換が起こり得る。本発明の単純性およびモジュール性により、本発明が細胞の種類のような様々の培養パラメーター、およびスケールあるいはバッチまたは連続のような工程の種類を適応させることができるという点で柔軟になる。
【0096】
さらに、本発明の単純性、モジュール性および柔軟性とは、本発明が系における適切なセンサーの追加を介した自動化に適するということを意味する;例えばここに記載されるように、図10参照。これらは、例えば温度、pH、導電率、溶解酸素、グルコースレベル、細胞密度、二酸化炭素、および窒素の1つ以上または任意の組合せまたはすべてを観察できる。最適な培養条件についてプログラムされたコンピューターにより、センサーのデータを観察でき、センサーのデータに対応するpH(例えば二酸化炭素の添加により)または酸素(例えば酸素の添加により)、または温度のような化学的または物理的特性を調整できる。前記の条件からの偏りが検出されると、コンピューターが自動的に、培養条件が許容範囲内に再び入るまで羽根車の速度、酸素の流速または培地の流速のような適切な培養パラメーターを調整する。したがって、センサーデータとコンピューターとの間のこの「フィードバックループ」により、本発明の自動運転が可能となる。
【0097】
好ましい実施の形態には、透析の手段が含まれる。この手段は中空糸フィルタでもよい;また、これは細胞培養系の収率の改良に大きく寄与することがわかった。これらの少し柔軟な半透性の毛細管装置は通常、堅い箱の中に収納される。これらは半透性である、すなわち小さい分子サイズの物質は孔を通過させるがずっと大きい完全な細胞を保持するので、特に好ましい実施の形態において、発酵中に所望の生物学的産物を細胞から分離するために使用される。透析のための別の手段は、接線フローフィルタ(tangential flow filter)でもよい、すなわち本発明において透析手段として有用な別の半透膜は接線フローフィルタでもよい。
【0098】
ある好ましい実施の形態において、透析手段が存在し、細胞培養ループと培地補充ループとの間の境界面である。(図1参照:バイオリアクター110からの細胞培養は細胞吸上げライン112からライン112aへ流れ(ポンプ120の作用により)、ライン112bを通って管腔投入口301を介して中空糸透析装置300を通過する。管腔投入口301からの細胞培養は管腔空間310中に流れ、管腔流出口302か細胞返送ライン113aに出る。管腔空間310は中空糸フィルタ300(円柱状の形状を有する)の中空糸フィルタ内に存在する。ライン113aから、細胞培養はライン113bに流れ、管腔投入口152および管腔流出口153を介して必要に応じて、だが好ましくは存在する酸素供給ループ150を通過し(酸素供給ループ150の管腔151aの反対の端で)、ラインおよび細胞返送113を介してバイオリアクター110に戻る。培地リザーバ210からの培地は、培地吸上げ口212を通ってライン250中におよびライン250aに(ポンプ220の作用により)および中空糸透析装置300の外部管腔投入口303中に流れる。外部の管腔投入口303から、培地は外部の管腔空間320中に流れ、これは中空糸透析装置300の中空糸フィルタに外部の周囲の関係を有し、装置の管腔内である。培地は次に、外部の管腔流出口304から出て、ライン260c、260b、260aおよび260を通って培地返送管213を介して培地リザーバ210に戻る。したがって、細胞培養が中空糸フィルタの内側を通って流れるのに対し培地は中空糸フィルタの外側を流れ、液体がフィルタの両側を通過すると透析が起こり、栄養素は中空糸フィルタを解して培地から細胞培養中に流れ、廃棄物は中空糸フィルタを通って細胞培養から培地中に流れる(バイオリアクターおよび血液透析液中の栄養素および廃棄物は平衡にあり、連続的な灌流を必要としない(透析は、廃棄物を除去するためだけでなく栄養素を添加するためにも使用される))−および中空糸透析装置は、細胞培養ループと培地補充ループとの間の境界面である透析手段である。)
透析手段を細胞培養ループと培地補充ループとの間の境界面とすることにより利点が提供される。例えば、本発明の実施の形態の実施において、以下のことをせずに中空糸フィルタを使用できる:バイオリアクター容器から培地および細胞を除去し、培地および細胞を濾過装置に通過させ、その後所望の生物学的物質を含有する灌流された液体を回収し、細胞と共に元のバイオリアクター容器に培地を返送する;または関心のあるハウス細胞を装置自体の外部の管腔空間内の状態にしておき、灌流された培地を細胞まで毛細管を通過させる;または新鮮な培地が固定されたまたは付着された細胞により直接提供されるように、容器に入っていない中空糸を発酵タンク中に直接配置する。
【0099】
本発明のバイオリアクター系および使用方法は、ある好ましい実施の形態において、高密度の増殖および生物学的に重要な物質の産生を一緒に提供できる改良の組合せを含んでもよい。これらの実施の形態において、本発明の方法により、好ましい酸素、および/または栄養素供給および細胞の高密度増殖に必要な剪断力の減少が提供される。これらの実施の形態には、以下のものが含まれてもよい:半透性の中空糸フィルタを介したバイオリアクターからの細胞の連続的な循環、その後のバイオリアクターへの返送;肝臓を介した血液の循環に類似し、肺におけるようなインラインの酸素供給を含む方法で;培地は保存容器から中空糸フィルタに汲み上げられ、その後循環して保存容器に返送される。中空糸フィルタにおいて、補充培地および細胞の循環、廃棄物の除去および細胞の代謝を支持するために使用される栄養素の補充の間に透析を行う。これらの実施の形態における方法は、細胞を培養し、それにより重要な生物学的物質を産生する工程を、3つの別の構成要素に区分する;1つは細胞を含有し、1つは大量の培地を含有し、第三は細胞区画と培地リザーバ区画との間の相互作用を可能とする半透性の装置。したがって、血液細胞の循環と同様に、このバイオリアクター系における細胞は、増殖および細胞産物の産生に適切な条件下で維持される。
【0100】
したがって、本発明は、細胞を含有するためのバイオリアクター、透析手段、培地を含有するための培地リザーバを含み、実施中、細胞培養と培地との間で透析が行われるようにバイオリアクターは透析手段と連結され、培地リザーバは透析手段と連結される;また、細胞培養および培地のそれぞれは、循環および汲上げ手段を介して循環される。
【0101】
したがって、ある好ましい実施の形態において、本発明はさらに、細胞培養ループ内の酸素供給ループとして図中に示されるように、酸素供給手段を含んでもよい。図示される酸素供給手段(図1参照)は、管腔151aを含む酸素供給器151、気体投入口154、気体流出口155、管腔投入口152および管腔流出口153(酸素供給器151の頂部において細胞培養はライン113bから管腔投入口152中に流れ、酸素供給器151の底において管腔流出口153において酸素供給器から出て、細胞返送113を介してバイオリアクター110中に流れる)を含む。もちろん、細胞培養に酸素を提供するために気体投入口は酸素供給源に連結されていてもよい;また他の気体、例えば空気および/または二酸化炭素および/または窒素を投入口154を介して投入してもよい。さらに、代わりに、ライン113bからの投入が投入口154中に流れ、流出口155がライン113に連結され、気体が投入口152において導入され流出口153において流出してもよい;すなわち、ポートは「フリップ(flipped)」でもよい。あるいはまたはさらに、酸素供給手段は、酸素を導入する工程(例えば酸素供給ループの図1における点において)および/または酸素供給源またはペルフルオロカーボン酸素キャリア、ヘモグロビン等のような、細胞培養中へのキャリア(酸素を細胞培養中に拡散する)を、単独でまたは1つ以上の他の気体および/または気体供給源またはキャリアと組み合わせて有してもよい。
【0102】
フルオロカーボンまたはフルオロカーボン酸素キャリアまたは代用血液のような、細胞培養中に酸素を拡散するために使用できる酸素供給源またはキャリアに関しては、Synthetic Blood International社からのフルオロカーボンの液体であり、液体換気(ventiliation)であるフルロベント(Flurovent)、Synthetic Blood International社からのペルフルオロカーボンを有する酸素であるオキサイト(Oxycite)、Alliance Pahrmaceuticalsからのペルフルオロカーボン酸素キャリアであるオキシゲン(Oxygent)に言及する;また、LCクラーク(Clark)、Jr.、Fゴラン(Gollan)著、大気圧における酸素と釣り合った有機液体を呼吸する哺乳類の生存、サイエンス(Science) 152:1755-1756、1966年;THシャファー(Shaffer)、MRウルフソン(Wolfson)、LCクラーク(Clark)、Jr.著、液体換気:State of the Art Review. Ped Pulmon 14:102-109、1992年;REホフマン(Hoffmann)、HKバーガバ(Bhargava)、SLデービス(Davis)、LCクラーク(Clark)、Jr.著、気管内フルオロカーボンそのままの液体の注入後の動脈血気体および脳酸素の有効性、Biomat, Art Cells & Immob Tech 20:1073-1083、1992年;LCクラーク(Clark)、Jr.、REホフマン(Hoffmann)、RBスポケーン(Spokane)、PEウィンストン(Winston)著、ウサギ中のF−デカリンおよび肺感染(pulmonary inflation)に留意したフルオロカーボンエマルジョンの生理的評価、Mat Res Soc Symp Proc 110:129-134、1989年;LCクラーク(Clark)、Jr.、REホフマン(Hoffmann)、SLデービス(Davis)著、フルオロカーボン呼吸および代用血液についての安全性の基準としてのウサギの反応、Biomat、Art Cells & Immob Biotech 20:11085-1099、1992年;RJカウフマン(Kaufman)著、赤い代用血液としてのペルフルオロカーボンを主とするエマルジョンの臨床発生、ウィンスロウ(Winslow)等著、「代用血液:有効性の生理的基準」、Birhauser、ボストン、1995年;Eシャット(Schutt)、Pバーバー(Barber)、Tフィールズ(Fields)等著、静脈内ペルフルオロカーボンエマルジョン投与後の肺内ガス捕捉(PGT)の予測機構、代用血液についての国際シンポジウムにおけるポスター、サンディエゴ、1993年3月16−20日;VVオブラストフ(Obraztsov)、ASカバルノフ(Kabalnov)、KNマカロフ(Makarov)、Uグロス(Gross)、Wラデック(Radeck)、Sルディジガー(Rudigiger)著、ペルフルオロカーボンエマルジョンと肝臓ミクロソーム膜との相互作用、J Fluor Chem 63:101-111、1993年;リエス(Riess)、J.G.著、インビボの酸素供給のためのフルオロカーボン方法における進歩の外観、Biomater Artif Cells Immobilization Biotechnol、1992年;20(2-4):183-202;ビロ(Biro)、G.P.;ブライス(Blais)、P.著、ペルフルオロカーボンの代用血液、Crit Rev Oncol Hematol、1987年;6(4):311-74;ナバリ(Navari)、R.M.;ロセンブラム(Rosenblum)、W.I.;コントス(Kontos)、H.A.;パターソン(Patterson)Jr.、J.L.フルオロカーボン中の気体の物質伝達特性、Res. Exp. Med. 1977;170:169-180;ボウマン(Bowman)、R.J.人工血液としての赤い代用血液細胞、Hum. Pathol、1983年3月14(3):218-220;ロウ(Lowe)、K.C.著、酸素を運搬する液体としてのペルフルオロカーボン、Comp. Biochem.. Physiol. A.、1987年;87(4):825-838;ルドウスキ(Rudowski)、W.著、近代の酸素キャリア;state of the art、1999年、Mater. Med. Pol.、1990年1月−3月;22(1):3-7;メインハート(Meinhert) H.等著、第二世代のペルフルオロカーボンエマルジョン、Biomater. Artif. Cells Immobilization Biotechnol、1992年;20(1):95-113;テレシナ(Tereshina),E.V.等著、ペルフルオロケミカルエマルジョンの血液との相互作用のある態様、Biomater. Artif. Cells Immobilization Biotechnol、1992年;20(2-4):1001-1011;リエス(Riess),J.G.等著、卵黄リン脂質によるペルフルブロンエマルジョンの安定化、Biomater. Artif. Cells Immobilization Biotechnol、1992年;20(2-4):845-848;ロウ(Lowe),K.C.;アームストロング(Armstrong),F.著、ペルフルオロケミカル酸素キャリアによる生体適合性の研究、Biomater. Artif. Cells Immobilization Biotechnol、1992年;20(2-4):993-999;フェイスフル(Faithfull),N.S.著、伝達性および拡散性の輸送のフルオロカーボンエマルジョンの態様からの酸素供給、Biomater. Artif. Cells Immobilization Biotechnol、1992年;20(2-4):797-804;ラテス(Lattes),A.等著、ペルフルオロ化および半フルオロ化化合物のマイクロエマルジョン、Artif. Cells Blood Substit. Immobil. Biotechnol、1994年;22(4):1007-1018;スペンス(Spence),R.K.等著、代用血液としてのペルフルオロカーボン:初期、1980年代のFlusol DA-20%による実験、Artif. Cells Blood Substit. Immobil. Biotechnol、1994年;22(4):955-963;スペンス(Spence),R.K.著、21世紀のペルフルオロカーボン:代替輸液としての臨床投与、Artif. Cells Blood Substit. Immobil. Biotechnol、1995年;23(3):367-380、シャフ(Shah),N.;メラ(Mehra),A.著、ペルフルオロカーボンエマルジョン中に吸収される酸素のモデリング:血液により吸収されるものとの比較、ASAIO Journal、1996年;42;181-189;パテル(Patel),S.等著、血液−ペルフルオロカーボンエマルジョン混合物中における酸素輸送のモデリング、パートII:組織酸化、ASAIO Journal、1998年;44(3):157-165;ホフマン(Hoffman),R.等著、気管内フルオロカーボンのそのままの液体の注入後の動脈血ガスおよび脳酸素の有効性、Biomater. Artif. Cells Immobilization Biotechnol、1992年;20(2-4):1073-1083;フォーマン(Forman),M.B.等著、心筋再灌流障害におけるペルフルオロケミカルエマルジョンの役割、Am. Heart. J、1992年11月;124(5):1347-1357;ヤコブ(Jacobs),H.C.等著、呼吸窮迫症候群の治療におけるペルフルオロカーボン、Semin. Perinatol、1993年8月;17(4):295-302;ホルマン(Holman),W.L.等著、心臓手術における現世代ペルフルオロカーボンエマルジョンの使用、Artif. Cells Blood Substit. Immobil. Biotechnol、1994年;22(4):979-990;ワダ(Wada),S.等著、齧歯類の不整合異種移植における超急性拒絶に対するFC43エマルジョンの効果、J. Heart Lung Transplant、1995年;14:968-972;ツツネウ(Tutuneu),A.S.等著、健康な動物における気管内ペルフルオロカーボン投与後の肺機能の評価、Crit. Care Med1996年、2月;24(2):274-279;モスカ(Mosca),R.S.等著、ペルフルオロカーボン追加および後虚血性心臓機能、Surgery、1996年8月;120(2):197-204:サカス(Sakas),D.E.等著、ペルフルオロカーボン:脳外科についての近年の発達および関係、J.Neurosurg、1996年8月;85(2):248-254;ウエノ(Ueno),T.等著、虚血性ウサギ肺における再灌流に対するペルフルオロトリブチルアミン/プルロニックF-68幹エマルジョン(FC43se)の有効性、Transplant Proc、1997年2月−3月;29(1-2):1349-53;クラーク(Clark),M.C.等著、ペルフルオロカーボン:将来の臨床的可能性、J. Invest. Surg、1997年11月−12月;10(6):357-365;グッドナフ(Goodnaugh)L.T.等著、代用血液としての酸素キャリア、過去、現在、および将来、Clin. Orthop、1998年12月;(357):89-100;チバ(Chiba),T.等著、ペルフルオロカーボンを使用するトランスアブドミナル酸化、J.Pediatr. Surg、1999年3月;34(5):895-900;議論900-901を参照。
【0103】
本発明のバイオリアクターおよび使用の方法の実施の形態における透析手段は、それ自体新しいと考えられる。本発明の実施の形態における酸素供給手段、例えば酸素散布および/または多孔性フィルタを含有する酸化ループによる酸素の提供もまたそれ自体新しいと考えられる。したがって、本発明の実施の形態は、酸素供給手段を有する必要なく、透析手段(または透析工程)を含んでもよい。本発明の実施の形態は、透析手段を有する必要なく、酸素供給手段(または酸素供給工程)を含んでもよい。また、本発明の実施の形態は、透析手段および酸素供給手段(または透析工程および酸素供給工程)を含んでもよい。(実際は、透析工程および酸素供給工程は2工程または1工程でもよい;例えば、透析手段において培地が栄養素だけでなく酸素の供給源またはキャリアを含む場合、栄養素および酸素は細胞培養に移動し、透析工程および酸素供給工程は1工程で行うことができる。)
本発明のバイオリアクター系および使用の方法により、これまで報告された発明者により知られるものよりも高い密度までの細胞、例えば昆虫細胞の増殖が支持される。本発明のバイオリアクター系および使用の方法はまた、非常に高い細胞密度で、ウィルス、例えばバキュロウィルスおよび細胞、例えば昆虫細胞中の組換え遺伝子産物を産生する。さらに、本発明のバイオリアクター系および使用の方法は、ラージスケールで使用でき、培養細胞中における組換えDNA産物の生成に適切である。
【0104】
S.フルギペルダおよび他の鱗翅目の昆虫からの昆虫細胞は、文献中に記載されており、バキュロウィルスおよび組換えバキュロウィルスまたは昆虫細胞ウィルスおよびそこからの組換えタンパク質の産生を支持するためのそれらの使用がよく知られている(例えば、スミス(Smith)等著、米国特許第4,745,051号(組換えバキュロウィルス);リチャードソン(Richardson),C.D.(編集者)著、Methods in Molecular Biology 39、「バキュロウィルス発現プロトコル」Hemana Press Inc. (1995));スミス(Smith)等著、「バキュロウィルス発現ベクターにより感染された昆虫細胞におけるヒトベータインターフェロンの産生」Mol. Cell. Biol/,3(12):2156-2165(1983);ペノック(Pennock)等著、「バキュロウィルスベクターを有する昆虫細胞における大腸菌B−ガラクトシダーゼの強く直接された発現」Mol. Cell. Biol.,4(3):399-406.(1984);EPA 0 370 573、1986年10月16日に出願された米国出願第920,197号、欧州特許出願第265785号;米国特許第5,911,982号;およびここに引用される他の文献を参照)。
【0105】
バキュロウィルス発現系において、挿入された核酸分子、例えば外来遺伝子、異種または外因性の核酸分子、例えばDNAを、DNAを発現させるために、本発明の細胞系の細胞を感染するために使用される昆虫ウィルスベクター、例えばバキュロウィルスベクター中に挿入する。DNAは好ましくは、発現産物をコードする。同様に、本発明のバイオリアクター工程が、組換えバキュロウィルスにより感染された昆虫細胞と共に使用される場合、少なくとも1つの関心のあるポリペプチドが産生される。
【0106】
同様に、外因性DNAの発現のための他のベクター系が知られる;例えば、ポックスウィルス系;例えば米国特許第4,603,112号、同第4,769,330号、同第5,174,993号、同第5,505,941号、同第5,338,683号、同第5,494,807号、同第4,722,848号、国際特許出願第94/16716号、同第96/39491号、パオレッチ(Paoletti)著、「ワクチン接種のためのポックスウィルスベクターの投与:最新」PNAS USA 93:11349-11353、1996年10月、およびモス(Moss)著、「組換え遺伝子発現、ワクチン接種、および安全性についての遺伝子操作されたポックスウィルス」PNAS USA 93:11341-11348、1996年10月。本発明の実施の形態において、本発明のバイオリアクター系および使用の方法における昆虫細胞の代わりに、ポックスウィルスの核酸分子−異種または同種の核酸分子を発現しやすい細胞、例えば、ポックスウィルス感染を受けやすい細胞および/またはウィルスを生産的に複製することなくポックスウィルスが少なくともいくつかの遺伝子産物(異種または同種の遺伝子産物)を発現させることができる細胞を使用できる(例えば、細胞が天然には、鳥類のポックスウィルスにより哺乳類細胞を感染させるような特定のポックスウィルスの宿主ではない);また、これらの細胞は、ポックスウィルスの再生および/またはそこからの発現のためのポックスウィルスまたは組換えポックスウィルスにより感染されてもよい(または、昆虫細胞を使用し、昆虫ポックスウィルスまたは組換え昆虫ポックスウィルスで感染させてもよい−そのような昆虫細胞中での再生および/または発現を有する(例えば昆虫細胞がポックスウィルスの天然の宿主である)またはそのような昆虫細胞中で生産的な複製をしない発現を有する(例えば昆虫細胞がポックスウィルスの天然の宿主でない))。
【0107】
同様に、細菌、および酵母系、小型染色体、レトロウィルスベクター(例えばマウス白血病ウィルスベクター)、レトロトランスポゾンまたはウィルス様粒子、ウシ乳頭腫ウィルスベクター、SV40に基づくベクター、哺乳類細胞系、他のウィルス系例えばヘルペスウィルス系、アデノウィルス系、およびDNAプラスミド系のような他のベクター系もある;例えば、米国特許第4,769,331号(組換えヘルペスウィルス)、ロイズマン(Roizman)著、「ヘルペス単純ウィルス遺伝子の機能:新しいベクターの遺伝子操作のためのプライマー」PNAS USA 93:11307-11312、1996年10月、フロロブ(Frolov)等著、「アルファウィルスに基づく発現系:方法および適用」PNAS USA 93:11371-11377、1996年10月、キトソン(Kitson)等著、J. Virol. 65,3068-3075、1991年;米国特許第5,591,439号、同第5,552,143号(組換えアデノウィルス)、グルンハウス(Grunhaus)等著、1992年、「クローニングベクターとしてのアデノウィルス」、Seminars in Virology(Vol.3)p.237-52、1993年、国際特許出願第98/33510号、バレイ(Ballay)等著、EMBO Journal, vol.4, p.3861-65, Graham, Tibtech 8, 85-87、1990年4月、プレベック(Prevec)等著、J. Gen Virol. 70, 429-434、国際特許出願第91/11525号;ジュ(Ju)等著、Diabetologia, 41:736-739、1998年(レンチウィルス発現系);フェルグナー(Felgner)等著、(1994)、J.Biol. Chem. 269, 2550-2561、サイエンス、259:1745-49、1993年およびマククレメンツ(McClements)等著、「単独でまたは組み合わせて、糖タンパク質Dまたは糖タンパク質BをコードするDNAワクチンによる免疫化により、ヘルペス単純ウィルス−2病気の動物モデルにおいて保護免疫が誘導される」PNAS USA 93:11414-11420、1996年10月、およびDNA発現ベクターに関する米国特許第5,591,639号、同第5,589,466号、および同第5,580,859号、フィッシュバック(Fischbach)等の(Intracel)国際特許出願第90/01543号(細胞のトランスフェクションによる異種タンパク質の遺伝的発現のための方法);およびロビンソン(Robinson)等、seminars in IMMUNOLOGY、vol.9,pp.271-283(1997)(DNAワクチン)参照。そのような他のベクター系で有用な細胞は、本発明のバイオリアクター系およびその使用方法において使用できる;また、そのような細胞は、感染またはトランスフェクションすることができる、またはそこに挿入された外因性DNAを含有するプラスミドを有してもよく、場合に応じて、増殖の前または間または後に細胞またはベクター系に依存し、例えばそれらの細胞および別のベクター系による本発明のバイオリアクターおよび使用方法を使用するタンパク質産生のために本発明のバイオリアクターおよび本発明の使用方法において使用してもよい。
【0108】
用語に関しては、ここに引用される文献、および概して、ケンドリュー(Kendrew)著、The Encyclopedia Of Molecular Biology, Blackwell Science Ltd., 1995およびサンブルック(Sambrook)、フリッシュ(Fritsch)およびマニアティス(Maniatis)著、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1982(“Maniatis et al., 1982”)を参照。
【0109】
本発明のある系:実施可能な本発明の系およびある好ましい実施の形態は、図1から4、9および10に示される。
【0110】
図1に示されるように、系は3つの相互に連結しているモジュール、細胞培養ループ100、培地補充ループ200および中空糸透析装置300を含んでもよい。図2−4はこれらのループおよび装置を示し、図9は本発明のある好ましい実施の形態における構成要素を一覧表にし、図10は本発明の実施の形態におけるプロセッサ、マイクロプロセッサまたはコンピューター機能の工程系統図を示す。
【0111】
細胞培養ループ:細胞培養ループ100は、上部にヘッドプレートアセンブリ111が取り付けられたバイオリアクター110(細胞培養または使用する培養を含有する)、好ましくは攪拌槽バイオリアクターを含んでもよい。このヘッドプレートは、複数のポート112−115を含んでもよく、これを通してバイオリアクター110の内容物が循環され、サンプリングされ観察される。したがって、バイオリアクター110は、バイオリアクター110の上方に位置付けられたモーターを有する機械的攪拌器110aにより図1に示されるように、必要に応じて攪拌手段を含んでもよい;しかし、磁気攪拌器のような他の攪拌手段を使用してもよい(培地リザーバ中のように;しかしながら、攪拌器は、細胞培養内に存在しパラメーターを観察または調節するプローブまたは他の装置と干渉してはならず、動作において磁場として干渉する磁気攪拌器は電場を生成しそのような場は相互作用し得る)。
【0112】
好ましい実施の形態において、ポートは、ポンプ120を使用してバイオリアクターから培養中の細胞を除去する細胞吸上げポート112、および循環後に例えば中空糸透析装置300を通ってバイオリアクター110に細胞を返送する細胞返送ポート113、必要に応じて、培養条件を測定および/または調節する少なくとも1つまたは複数のプローブポート(例えば、プロセッサ、コンピューターまたはマイクロプロセッサを介して観察および/またはコントロールのような観察またはコントロールしたい条件がいくつかに依存して、プローブポート114aから114e−多かれ少なかれプローブポートが提供されてもよい;例えば、以下の任意の1つ、または任意の組合せまたはすべてについてプローブが存在してもよい:pH、導電率、酸素、二酸化炭素、窒素、グルコース(および/または他の栄養素)、アンモニア(および/または他の廃棄物)、温度、細胞密度、細胞数;また、これらのプローブは、順にこれらのパラメーターの任意の1つまたはすべてを供給または変化させるための供給源に連結される1つ以上のマイクロプロセッサ、プロセッサまたはコンピューターに導かれ、それによりパラメーターはプローブからの測定に対応して変化または供給される)、必要に応じて、培養アリコートを除去、例えば滅菌して除去して培養を顕微鏡で調べるまたは例えば細胞代謝を直接測定する少なくとも1つのサンプリングポート115、およびバイオリアクター110中を均圧とする通気管116を含んでもよい。
【0113】
細胞培養ループ100は、必要に応じて、バイオリアクターに直接入ることなく培養成分を滅菌して加えるまたは除去する(例えばライン130aまたは140aを介して)二つの三方向弁130および140として示される少なくとも1つの三方向弁を含んでもよい。培養成分の添加または除去はいずれかの三方向弁において生じ得ることに留意する。さらに、これらの三方向弁は、プロセッサ、マイクロプロセッサまたはコンピューターによりコントロールできることに留意する;例えば、成分の導入または除去のために自動的に開くまたは閉じることができる、例えば、センサー/プローブ114において集められたデータに応じて成分を導入するために自動的に開くことができる。
【0114】
さらに、図示される実施の形態は、酸素および/または他の気体を培養にインライン添加する酸素供給ループ150を必要に応じて含む細胞培養ループ100を有する。この酸素供給ループは、酸素供給装置151を含んでもよく、好ましい実施の形態においてこれは中空糸酸素供給器である。この酸素供給器中には、細胞培養が酸素供給器の管腔に入る際に通る管腔投入ポート152、循環する細胞培養が酸素供給器を出る際に通る管腔流出口153、酸素または酸素含有する気体混合物が酸素供給器に入る際に通る気体投入ポート154、過剰の気体が酸素供給器から出る際に通る気体流出ポート155、および添加される酸素の量を調節するセレノイド156がある。好ましい実施の形態において、中空糸透析装置300における培養培地透析後であるが循環する培養培地がバイオリアクター110に返送される前に酸素が添加されるように酸素供給ループが配置されることに留意する。さらに、例えばプローブ/センサー114からのデータに応じて、気体投入口154が酸素および窒素、空気および二酸化炭素のような他の気体の導入に使用できるように、気体投入口154における投入は自動化、例えばプロセッサ、マイクロプロセッサ、コンピューター等により調節されてもよい。したがって、プローブ/センサー114からのデータは、データに応じて気体投入口154において気体投入を調節するマイクロプロセッサ、プロセッサまたはコンピューターに進んでもよい。また、既述のように、酸素供給装置151以外の酸素供給手段を本発明の実施において使用してもよい。また、ここに記載されるように、酸素供給措置151のポートは「フリップ」でもよい;例えば、ポート152において気体が導入され流出口153において存在し、ライン113bは投入口154に流入してもよく流出口155はライン113に流れてもよい。
【0115】
培地補充ループ:培地補充ループは、リザーバ210、ポンプ(またはポンプ手段または循環手段)220、必要に応じて弁ループ230および必要に応じて個々の弁240を含んでもよい。
【0116】
培地リザーバ210は、閉じた培地容器211(使用に際し培地を含有する)、容器211から培地を循環させる吸上げライン212、培地容器中を均圧にする通気管214、および必要に応じて容器211中で培地を攪拌する攪拌棒215のような攪拌手段を含んでもよい。攪拌棒215の動きは、培地容器211が配置される変速電磁モーター216により供給される;または、培地リザーバの上部のモーターにより動力を提供される機械的攪拌器のような他の攪拌手段が提供されてもよい(攪拌器110a参照)。
【0117】
培地は、培地流出ライン250および250a(ポンプのどちらの側でもよい)を介してポンプ220により容器211から中空糸透析装置300(管腔外投入口303)に循環される。中空糸透析装置300を通過した後、培地は管腔外流出口304を介して装置から出る。流出口304から、培地はライン260c、260b、260aおよび260を通過して培地返送管213に進み、培地容器211に培地が返送される(中空糸透析装置300を通過した後)。
【0118】
培地の返送経路には、1つ以上および好ましくは3つの三方向弁231、232および233を含み得る抽出ループ230を必要に応じて含んでもよい。第1の三方向弁231は、インライン方法で培養代謝について培地を分析するために中空糸透析装置300を通過した後に培地を集める(例えばサンプリングする)ために使用できる三方向弁232へのライン230bに、必要に応じて返送培地の流れを迂回させるために使用してもよい。初期設定位置において、第1の三方向弁231は抽出ループ230を迂回する。第3の三方向弁233は、培地の流れを主な返送ライン260a、260および213に(弁232およびライン230aから)方向付けるのに役立つ、または初期設定位置において、培地による抽出ループ230の迂回を完了させる。培地補充ループ中の別の部材は、ライン260aと260との間の必要に応じたサンプリング三方向弁240であり(抽出ループと培地リザーバとの間で、抽出ループの下流)、例えば、分析のための追加の培地が得られる(ライン240aを介して)。この弁240の初期設定位置は、培地を培地容器211に単純に返送する。
【0119】
あるいはまたはさらに、抽出ループおよび/または弁240は、一連のセンサーまたはプローブ(例えば、グルコース、栄養分、および/またはアンモニア、廃棄成分等)に向かってもよいまたはそれらを備えていてもよい(例えばライン240aを介して);また、これらのプローブまたはセンサーは、情報を集めることができるプロセッサまたはコンピューターまたはマイクロプロセッサに連結されてもよいおよび/またはさらに培地または培地からの成分についての供給ラインに連結されてもよい。
【0120】
例えば、培地は、ライン230cから出て、例えば廃棄物などを除去するために別の透析ループを通過し、栄養素濃度を増加させた後、弁240を介して培地補充ループに返送される。培地のパラメーター、例えばグルコース、栄養素、pH、導電率等をサンプリングするために、所定時間に弁231および230はプロセッサ、マイクロプロセッサまたはコンピューターにより自動的に開くことができ、そのデータに応じて、廃棄物を除去し栄養素濃度を増加させるために培地はライン230cを通って透析ループ(図示せず)に向かい、その後弁240を介して培地補充ループに返送される。
【0121】
あるいはまたはさらに、ライン230cにおけるセンサー、プローブ等は、グルコース/栄養素濃度および/またはアンモニア/廃棄物濃度および/またはpHおよび/または導電率等を検地することができ、ライン230cにおける測定と対応して、弁240およびライン240aを介して追加のグルコース/栄養素および/または培地を希釈するための液体および/または培地の成分を加え、グルコース/栄養素濃度および/またはアンモニア/廃棄物濃度および/またはpHおよび/または導電率等を調整することができる;また、このことはすべて、ライン230cおよび弁240に流れ込む供給ライン240aにおいてセンサー/プローブに連結されるプロセッサ、マイクロプロセッサまたはコンピューターを介して行うことができる。(実際には、本発明の実施において弁231、232、233および240並びにすべての弁は、自動的にコントロールできる、例えばプロセッサ、マイクロプロセッサ、コンピューター等によりコントロールできる;例えば、所定時間においてプロセッサ、マイクロプロセッサ、コンピューターは弁231および232を開き、データサンプリングのために培地のサンプルを弁231からライン230bおよびその後弁232およびセンサー/プローブにつながるライン230cに流す;また、弁240は、センサー/プローブからの読出しに対応して培地を調整するために、ライン240aを介して任意の必要な成分を導入するために自動的に開く。)
したがって、マイクロプロセッサ、プロセッサまたはコンピューターは、時間が培地のサンプリングに適する時間であるかを最初に質問し、イエスであれば、サンプリングのために弁231および230を適切に開く。次にプロセッサーは、pHおよび/またはグルコース/栄養素濃度および/またはアンモニア/廃棄物濃度および/または導電率等に関してデータを集め、データの値が本発明の最適値に合致しない場合、別の透析ループに培地を通過させ、さらに透析された培地をライン240aおよび弁240を介してリザーバに返送するまたはライン240aおよび弁240を介して適切な成分を培地に加えることができる。
【0122】
中空糸透析装置:中空糸透析装置は、管腔空間310および管腔外空間320からなる。好ましい実施の形態において、細胞培養ループ100からの物質は管腔空間310を通って投入され、培地補充ループ200からの培地は細胞外管腔空間320を通って投入される。
【0123】
あるプロセッサ/マイクロプロセッサ/コンピューター機能:図10は、本発明のある実施の形態の実施において自動化できるある機能のフローチャートを提供する。
【0124】
pH、酸素濃度、二酸化炭素濃度、窒素濃度、温度、導電率、グルコース/栄養素レベル、アンモニア/廃棄物レベルの任意の1つまたは組合せまたはすべてのようなプローブ/センサー114または114a-eからのデータを、好ましくはBioFlo3000または等価商品であるプロセッサ、マイクロプロセッサまたはコンピューター100に入力する;また、プロセッサ、マイクロプロセッサまたはコンピューターは、センサー/プローブからのデータに応じて投入口を介して系に成分を加えることができるように、成分の供給源および系の投入口に連結される。
【0125】
工程1001において、細胞培養pH(ccpH)と設定値「A」とが比較される。「A」が約6から約7.4まで、例えば約6から7まで、例えば約6.1から約6.7まで、例えば約6.1から約6.5まで、および好ましくは例えば6.25(例示される実施の形態において使用されるある昆虫細胞についての最適値)のように約6.1から約6.35までの範囲内のpHである。「A」は、本発明のバイオリアクター系およびその使用の方法において使用される特定の細胞について最適なpHに設定される。工程1002において、プロセッサ、マイクロプロセッサまたはコンピューターは、ccpHが設定値「A」と等しくないかどうかを質問し、そうであれば、系における二酸化炭素濃度を調整するように方向付ける;すなわち、pHを調節するために二酸化炭素が使用され、誘因は設定値「A」、例えば約6.25である。
【0126】
工程1011において、細胞培養酸素濃度(ccO2)と設定値「B」とが比較される。「B」が約30%から約90%まで、例えば約40%から約80%まで、例えば約50%から約70%までの範囲内、好ましくは約60%(例示される実施の形態において使用されるある昆虫細胞についての最適値)である。したがって、「B」は例えば40%より大きく、約90%または95%まで高くてもよい;技術の進歩。「B」は、本発明のバイオリアクター系およびその使用の方法において使用される特定の細胞について最適である酸素濃度に設定されてもよい(例えば、細胞がより嫌気的な条件下で最適に機能する傾向がある場合はより酸素が少ない等)。工程1012において、プロセッサ、マイクロプロセッサまたはコンピューターは、ccO2が設定値「B」と等しくないかを質問し、そうであれば系における酸素濃度を調整するように方向付ける。
【0127】
工程1002および1012は、工程1003/1013につながる。工程1003/1013は、以下のように系を方向付ける:ccpH>Aの場合(例えばpHが6.25のような誘因値より高く上昇した場合)、二酸化炭素濃度を増加させる(例えば投入口154において二酸化炭素を加える);ccO2<Bの場合、酸素濃度を増加させる(例えば投入口154において酸素を加える);また、ccO2は時間tの関数として変化してもよい;例えば、ccO2が時間tの関数としてプロットされ、ccO2=yおよびt=xの場合、プロットは正弦波である(例えば、x軸は点Bにおいてy軸と交わる、例えば、酸素濃度は約60%であり、振幅は約20%から30%までである、例えば、x軸の上の波の最高点は約80%から90%であり、x軸の下の波の最低点は約40%から30%であり、酸素濃度は、約10分から約30分まで、好ましくは約20分の時間で、約80−90%から約40%−30%までを循環する、例えば、この場合における「振動数」が約10分から約30分まで、好ましくは約20分を経過する波の数である場合に振動数は2である、または約10分から約30分まで、好ましくは約20分の波長が存在するように、2つの波が−1つはx軸の上および1つはy軸の下−約10分から30分、好ましくは20分ごとに存在する)。
【0128】
したがって、二酸化炭素を使用してpHを調節し、誘因値をpHについての設定値、例えば6.25にしてもよい;また、pHがこの値を越えて上昇する場合、二酸化炭素が出される−系に加えられる。もちろん、二酸化炭素の添加により酸素濃度が減少し、系は酸素濃度を、設定値の上下で比較的一定の量で変動するようにする、または時間をかけて(例えば10−30分、例えば20分)、例えば、60%が設定値であって、約30%から約90%までまたは約40%から約80%まで(すなわち、約10−30分、例えば20分の間に60%より約20−30%高くおよび60%より約20−30%低く)循環させる。したがって、マイクロプロセッサ、プロセッサまたはコンピューターにより調整される変量であるので、二酸化炭素は0から100%に設定できる;二酸化炭素の蓄積が問題であるとする以前の報告と対称的である。さらに、本発明の装置および方法は、特に昆虫細胞培養が報告によるとHCO3 /CO2緩衝を必要としないため驚くべきことである(カーメン(Karmen)等)。
【0129】
系が自動化された場合に観察されたこの正弦波または循環またはリズムまたは周期性は、系内で生ずる機械的または化学的または生物学的工程の機能である。しかしながら、任意の1つの特定の理論に縛られる必要なく、pH変化は細胞活性により起こり、例えばアンモニアおよび乳酸が細胞から廃棄物として放出されるとpHが変化する。pH変化は二酸化炭素添加の誘因となり得る。二酸化炭素の添加により、酸素濃度が低くなる。酸素濃度の低下により、系に酸素が加えられる(または系への他の気体の添加が減少する)。すなわち、pHに基づいて二酸化炭素の調整により酸素が循環する。循環の性質は(例えば、正弦波対コサインのような別の波、波の振幅および振動数等)、設定値、例えば酸素、および/またはpHについての値を変化させることにより調整できる。
【0130】
工程1021において、細胞培養の温度cTと温度についての設定値Tとが比較される。工程1022において、cT<Tであるかが質問され、そうであれば、マイクロプロセッサ、プロセッサまたはコンピューターは、加えられる温度または加熱を減少させるおよび/または冷却を増加させるように方向付ける(加熱/冷却ジャケットは、バイオリアクターおよび/または培地リザーバを囲む関係で供給されてもよい)。例えば、細胞が低温または高温、例えば約15℃から約55℃まで、約20℃から約40℃または35℃まで、好ましくは約25℃から約35℃まで、例えば約26℃から約30℃までまたは約20℃から約28℃まで、例えば24℃から約28℃までで作用するか否かに依存して、Tを細胞に最適な値に設定できる;また例示される実施の形態においては約28℃である(しかし、他のパラメーター、例えばpH、酸素等と同様に、温度は本発明の系において使用される特定の細胞に最適な値に設定される)。
【0131】
したがって、図10に示されるように、マイクロプロセッサ、プロセッサまたはコンピューター1000から、例えば154、130a、140aのような投入口および培地リザーバまたはバイオリアクターのための加熱/冷却のような系に出力される。したがって、本発明の実施の形態において、センサー/プローブ114からのデータは、pH、酸素、温度および二酸化炭素をこれらのパラメーターについての設定値に調整および/または調節するマイクロプロセッサ、プロセッサまたはコンピューター1000に送られる;また、系へ投入される気体は、酸素、二酸化炭素、窒素および空気である。本発明の実施において、好ましくはBOC Air Co.により製造されるTech-Airからの気体が使用される。
【0132】
したがって、本発明の実施の形態において、酸素、二酸化炭素、温度およびpHについてのセンサー/プローブおよび/または対照があってもよい;または酸素、二酸化炭素およびpHについて(例えば、工程1021、1022および1023はマイクロプロセッサ、プロセッサまたはコンピューターにより省略されてもよい;例えば、系は、ほとんど一定の温度で維持される部屋のような室温で実施される)。
【0133】
さらなる実施の形態において、細胞に最適なように窒素を設定および調整してもよい。細胞に最適なようにまたは酸素および二酸化炭素レベルに応じて空気を加えてもよい。さらに、グルコースおよび/または栄養素レベルおよび/またはアンモニアおよび/または廃棄物レベルおよび/または導電率は、センサー/プローブ114により測定でき、マイクロプロセッサ、プロセッサまたはコンピューターは、投入口130a、140aおよび240aのいずれかまたはすべてにおいてグルコース、栄養素等を加える;すなわち、マイクロプロセッサ、プロセッサまたはコンピューターは系のいずれかまたは両方のループに加えてもよい。
【0134】
さらなる実施の形態:既述のように、透析装置の使用は新しいと考えられる。したがって、本発明おいて、図1の酸素供給ループ150が省略される変化が可能である(例えばライン113bが細胞返送113に直接入る)。酸素供給は、これらの実施の形態において省略されてもよいまたは系に加えられる化学的手段のような代わりの手段が提供されてもよい。
【0135】
既述のように、酸素供給ループ150の使用は新しいと考えられる。したがって、本発明において、中空糸透析装置300が省略される変化が可能である(例えばライン112bがライン260cに連結されライン250aがライン113aに連結される)。これらの実施の形態において、廃棄物の除去は、細胞増殖の終わりにまたは代わりの手段により行うことができる。
【0136】
本発明は、組換えタンパク質、ウィルスおよび細胞自体を含む重要な生物学的物質の産生に使用できる。好ましい実施の形態において本発明は、細胞培養装置であるバイオリアクター;補充培地装置である栄養培地のリザーバ;半透膜装置である中空糸フィルタ;および酸素供給装置である酸素および/または他の気体の外部供給源を提供する。
【0137】
本発明は好ましくは、昆虫細胞のような細胞の増殖、およびウィルス、例えばバキュロウィルスのようなベクター、例えば、組換えウィルス、例えば組換えバキュロウィルスのような組換えベクターの産生、およびそこからの組換えタンパク質の発現に適用できる。
【0138】
ウィルス、例えばバキュロウィルスのような組換えベクターの産生および使用が知られている;例えば、ここに引用される特許出願および特許およびそれらの特許出願および特許に引用される文献を含む、ここに引用される文献から。昆虫細胞のような細胞の増殖を制限する条件は、栄養素、酸素、および増殖因子および抑制因子のレベルである。昆虫細胞のような細胞についての栄養要求は広く研究されており、無血清培地を含む様々の非常に濃縮された市販の培養培地が開発されている。本発明の以前の、これらの改良された培地の形成への約20年間の研究の後、昆虫細胞、例えばS.フルギペルダおよび他の鱗翅目の昆虫細胞のような細胞の増殖速度、密度、または発現レベルにおいて大きな改良はなされていない;ウィルス、例えばバキュロウィルスまたはベクターまたはウィルス、例えばバキュロウィルスの遺伝子産物のようなベクターの収率においてわずかな改良がされただけである。
【0139】
S.フルギペルダSf-900+(ここでSf-900とも称される)細胞増殖は、0.5×106細胞/mLから6−9×106細胞/mLまで濃度が急上昇する。興味深いことに、培地が栄養的に十分である場合に昆虫細胞の増殖が停止すると、他の要因、例えば細胞増殖因子または他の因子が細胞増殖を抑制することが考えられる。バキュロウィルスによるSf-900+細胞の感染は、3×106またはそれより高い細胞密度において抑制されるという観察により、培地中に抑制因子があることが示されるということはさらに劇的である。また、感染の約2日後にピークに達する感染の後、酸素要求は細胞増殖中に必要とされる酸素の約2倍増加する。
【0140】
S.フルギペルダ細胞の増殖および組換えタンパク質の産生のための改良されたバイオリアクター系および方法の特に好ましい要素は、図1−4および9、および必要に応じて図10に示される:インライン酸素供給を有する高密度透析バイオリアクター。図2は、バイオリアクターから半透膜、好ましくは中空糸フィルタ300へ細胞を循環させる外側のループを有する攪拌細胞バイオリアクター110を示す。細胞懸濁液は、フィルタ、好ましくは中空糸フィルタの内部区画を通って循環し、その後バイオリアクターに返送される;図中で細胞循環ループを標識した。また、図3に示されるように、容器210が提供され、半透膜300、好ましくは中空糸フィルタを通って培地を循環させる外側のループを有する。培地(再生培地または培地と称される)は、フィルタ、好ましくは中空糸フィルタの外部区画(外部管腔)320を通って循環する;培地循環ループと称する。フィルタは好ましくは半透性であり、直径が約0.60から約0.70まで、例えば約0.65μMの孔を有し、バイオリアクターから再生培地へ細胞を通過させないが、グルコースおよびアミノ酸のようなより小さい分子または乳酸およびアンモニアのような廃棄物を膜を透過して拡散させる。(孔のサイズは、本発明のバイオリアクター系および方法において使用される細胞に依存して異なってもよく、例えば小さい細胞に対しては小さい孔のサイズである。)
このバイオリアクター系および方法における中空糸フィルタ(図3)は、血液が最近吸収された栄養素を獲得する胃腸管を通って循環し、追加の栄養素および代謝廃棄物がそれぞれ加えられるまたは循環する血液から除去される肝臓および腎臓等の器官を通過する血管とそっくりに作用する。
【0141】
好ましい実施の形態において、酸素ガスの交換のために最適化された第2の中空糸装置150をバイオリアクターの細胞返送ポートの前に入れてもよい。返送の直前に細胞循環ループに酸素を加えるのが好ましく、この構成により、バイオリアクターの内部に位置する溶解酸素センサーとバイオリアクター中へのさんか細胞の返送との間の時間の遅れが減少する。これにより系を過剰に酸化する可能性が最小になる。
【0142】
または、さらに別の実施の形態において、酸素ガスの交換のために最適化された第2の中空糸装置は、培地補充のために使用される中空糸フィルタ装置の前または後でもよい。
【0143】
または、別の実施の形態において、中空糸フィルタの直前の細胞循環ループ中の弁(例えばYまたはT弁)を通って直接インライン酸素を加えてもよい(中空糸フィルタは、酸素がフィルタ装置中の中空糸の管腔を通過し、非常に小さい泡としてバイオリアクターに返送されるまたは培養培地中に溶解されるように、培地と細胞培養との間の透析として作用し、酸素を系に溶解させる、例えば酸素を循環している細胞および培地と混合する、)。
【0144】
過剰の気体はバイオリアクター槽の上部空間に拡散し、バイオリアクターのヘッドプレート中の通気口から出る。
【0145】
細胞循環ループ中の細胞の循環の流れおよび培地循環ループ中の再生培地の流れは、好ましくはポンプまたは循環手段により調節され、これらは蠕動ポンプでもよい。2つの流れが、等しく首尾よく同方向または逆方向に流れてもよい。ポンプはまた、例えば、温度、圧力、または他のパラメーター、例えばpH、導電率、系の中のグルコース/栄養素またはアンモニア/廃棄物の量、二酸化炭素、または酸素に応じて、プロセッサ、マイクロプロセッサまたはコンピューターにより調節できる。
【0146】
ここに記載され例示されるある実施の形態において、バイオリアクターは攪拌される2リットル槽のバイオリアクターであり(しかし本発明はこのサイズのバイオリアクターに限定されない)、Sf-900(ここでSf-900+とも称される)のようなS.フルギペルダ昆虫細胞が2リットルの細胞培地中に播種される。細胞の温度は、約20℃から約28℃まで、例えば約24℃から約28℃まで、例えば約27℃から約28℃までに維持され、細胞は約200rpmにおける羽根車の回転により懸濁される。
【0147】
操作中、10リットルのガラス容器に入った補充培地は、適切なポンプ、例えば6.4mmの内径(Masterflex, size 15)の柔らかいシリコン管を有する2つのEasy-Load II Model 77200-62ポンプヘッドを有するMasterflex L/S Model 7520-00により、中空糸透析装置の管腔外区画320の液体注入口303に汲み上げられる。
【0148】
培地は管腔外室を通って進み、最終的に中空糸フィルタ装置304を出て、柔らかいシリコン管を通って培地補充容器210に返送される。管接続への配管は、8mmのポートコネクターである。管接続のためのガラスは、ケーブル・タイによって保護される。補充培地は、SF-900を含むがそれに限定されない任意の数の適切な供給源から選択される。補充培地ループを通る最適の流速は約100ml/分であるが、約10ml/分ほどの低い速度、約3000ml/分ほどの高い速度で工程は十分に作用する。最適の流速は、中空糸膜面積に関連する。
【0149】
滅菌性を維持するために取り付けられたフィルタを有する外部の通気管214は、留め具またはボール弁により必要に応じて調節できる。
【0150】
同時に、懸濁された細胞を有する培地を、6.4mmの内径(Masterflex, size 15)の柔らかいシリコン管を有する2つのEasy-Load II Model 77200-62ポンプヘッドを有するMasterflex L/S Model 7520-00のようなポンプにより、攪拌槽バイオリアクターから連続的に汲み上げる。
【0151】
ループを通る最適の流速は約100ml/分であるが、この速度ではいくつかの細胞はループ中に沈殿し始めるが約13ml/分ほどの低い速度で、およびこれを越えると測定可能な細胞損傷が誘発される点まで剪断力が増加する約3000ml/分ほどの高い速度で、工程は十分に作用する。この細胞懸濁液はまず、ウィルス接種材料を細胞懸濁液に加えることができるYまたはT弁を通過する。次に細胞懸濁液は、栄養に富む補充培地と代謝廃棄物を含有する細胞培地との間で交換が起こる管腔内分枝管301(A/G Technology, Corp; model CFP-6-D-8A, 0.65ミクロンの孔のサイズ、0.41m2の膜表面積)により中空糸フィルタ310の管腔に移動する。透析、限外濾過および精密濾過特性を有する中空糸は、30kDの切断から0.65μMの直径までの範囲の孔のサイズでもよい。0.65μMの直径より大きいものが培地補充ループに細胞を通過させるのに対して30kDより小さい孔のサイズのフィルタは十分な拡散を提供せず、バイオリアクター内の活性を減少させる(これらのパラメーターは、使用される特定の細胞または本発明のバイオリアクター系および方法における細胞のサイズに依存して;例えば、特定の細胞の物理的特徴に依存して当業者により変化させることができる)。膜表面積は、1Lの培養中における補充栄養素と代謝廃棄物とを十分に交換できるように、0.042m2から4.2m2の範囲である。
【0152】
栄養素は、中空糸フィルタの補充培地側から装置の細胞懸濁液側ヘの濃度勾配に沿う。代謝廃棄物は、中空糸フィルタの細胞懸濁液側から装置の補充培地側への濃度勾配に沿う。次に細胞懸濁液は、OXY-1中空糸酸素供給器(UniSyn Technologies)のような酸素供給装置150を通過する。あるいはまたはさらに、酸素はインラインで直接散布されてもよい。例えば、ライン130aにより系に直接酸素を散布することにより、酸素供給ループ150を省略または補充してもよい(セレノイド156のようなセレノイドをライン130aに加えてもよい)。「インライン散布」とは、好ましくはバイオリアクターに循環している細胞を返送する上流または前に、循環している細胞培養に酸素を直接加えることを意味する;また、好ましくは、任意の透析手段の前または上流で循環している細胞に酸素を直接加える。これは、バイオリアクターに酸素を加えることと対照的である。他の実施の形態において、培地循環ループまたは中空糸フィルタユニットを通して酸素を補充してもよい。これらの任意の場合において、酸素は好ましくは、空気に関して飽和の約60%に維持される(ここに記載されるように許容できる一定の変化を伴う)。酸素プローブ114aを、セレノイド156から投入口154への酸素の流れを調節するユニット(マイクロプロセッサ、プロセッサ、コンピューター)に連結してもよい。したがって、簡単な実施の形態は図1−4および9に示される装置を含んでもよく、センサー/プローブ114は、好ましくは酸素が実質的に一定の飽和または濃度で維持されるように投入口154を介して酸素の流れを調節するコントロールユニットに連結されたセンサー/プローブ114aを含む(例えば、pH、二酸化炭素についてのセンサー/プローブ/コントロールは省略できる;例えば好ましくはほとんど一定の温度で維持された部屋において系が室温で行われる場合には、温度についてのセンサー/プローブ/コントロールは存在または省略してもよい)。
【0153】
酸素供給部位に依存して、バイオリアクターと培地容器との間の均圧が必要とされる、すなわち、容器の通気ポートを連結するラインが組み込まれる。
【0154】
中くらいの高さの酸素含有量および栄養素で細胞をバイオリアクターに返送してもよい。
【0155】
補充栄養素の流れは補充栄養容器に返送され、代謝廃棄物が加えられ栄養素が減少する。栄養素の枯渇または廃棄物の蓄積のために、培地循環ループにおける弁の使用により補充培地容器は必要に応じて補充されてもよい。または、増殖最適化培地と発現最適化培地との間の交換のように、培地容器全体を同様の異なる培地に置き換えてもよい。
【0156】
ここに記載されるように、例えばコンピューター、マイクロプロセッサまたはプロセッサの使用により、これらの作用を自動化してもよい。例えば、既述のように、弁231および232および233を自動化してもよく、ライン230cによるサンプリングのための所定の時間に弁231および232を開き、データに基づいて、追加の培地を加え、および/または培地を交換し、および/または培地をさらにライン中で濾過または透析する。また、既述のように、さらなるライン中での濾過または透析および培地の添加は、例えば弁240を使用する自動化工程の一部でもよい。
【0157】
培地の補充もまた自動化してもよい;例えば、「古い」培地は弁232を介して除去してもよく(例えば、流れがライン260bおよび230bを通るまたは230bだけを通る流れのために開く弁231によるライン260aからである、または流れがライン260bヘの弁231およびライン230aおよび260aへ連続的に流れるようにセットされた弁233を通るライン260cを通る)、十分な時間、弁232における除去に関連して同量のまたは十分な量で「新鮮な」または「新しい」または「異なる」培地(既述のように)が弁240を介して加えられる。または、ライン250および260において、第2の培地リザーバに連結するTまたはY弁があってもよく、例えばライン230cにおいて特定の期間が経過するとまたは特定のデータが検地された場合に(例えばグルコース/栄養素および/またはアンモニア/廃棄物濃度)、系が第2の培地リザーバと連絡するように(単独でまたは第1の培地リザーバと組み合わせて)これらの弁が備えられてもよい。したがって、培地リザーバ(2つ以上の培地リザーバ)は連続的に連結され、培地の自動交換のために作動されてもよい。
【0158】
さらに、およびさらにまたはあるいは、培地の交換は「トレーサー」によってもよい。より詳細には、「古い」培地が弁232を介して除去され(例えば、流れがライン260bおよび230bを通るまたは230bだけを通る流れのために開く弁231によるライン260aからである、または流れがライン260bヘの弁231およびライン230aおよび260aへ連続的に流れるようにセットされた弁233を通るライン260cを通る)「新鮮な」または「新しい」または「異なる」培地(所望のように)が弁240を介して加えられる場合、加えられる培地は、栄養素、電解質または系に有害なおよび除去される「古い」培地中には存在しない好ましくは系に有益な他の化学的または物理的成分(例えば細胞または特定の細胞分裂相に有益な栄養素または電解質)を含有してもよい;トレーサー。
【0159】
例えば、トレーサーは、古い培地中にない新しい培地中の特定の栄養素または電解質でもよい。これは、その濃度がまたはpHまたは導電率のようなパラメーターにどのように影響するかが新しい培地の添加の終点についての指標として使用できるため、トレーサーとして機能する。
【0160】
例えば、トレーサーは、細胞培養まで透析手段を通過することができる特定の栄養素または電解質であるということを考慮すべきである。細胞培養中の栄養素の濃度が所望の値に達しおよび/または細胞培養のpHおよび/または導電率が所望の値に変化するので(例えば114において検地される)、そのようなものは、「新しい」培地により十分に置換された「古い」培地の指標となる;例えば、センサー114からデータを得るマイクロプロセッサ、プロセッサまたはコンピューターは、いつ細胞培養培地中のトレーサーの濃度(例えば栄養素および/または電解質)[トレーサー]および/または細胞培養培地のpHおよび/または細胞培養導電率=値「C」(またはトレーサーについてC1および/またはpHについてC2および/または導電率についてC3−例えば新しい培地からの細胞培養中の所望の量の栄養素または電解質の代表値として)になるかを質問する機能F1を有し、その場合は新しい培地の添加を中止するおよび古い培地の除去を中止する(弁240を介しての添加および/または弁232における除去を中止する);また、この機能F1は、より前の機能が新しい培地を加え古い培地を除去する工程を開始した後に作用し始めてもよい(より前の機能は、培地ループ中の古い培地の使用の開始から経過した時間の関数でもよい、または細胞培養中の廃棄物および/または栄養素のような他のパラメーターに対応してもよい、例えば所望のレベルより高い廃棄物および/または所望のレベルより低い栄養素)。(F1:C(および/またはC1および/またはC2および/またはC3)=[トレーサー]および/または設定pHおよび/または設定導電率−そうであれば、除去および/または添加弁を閉じる;そうでなければ、除去および/または添加を続ける。)
「トレーシング」は、培地ループ中だけで行ってもよい。例えば、除去弁におけるセンサーは、トレーサーのレベルを検出でき、コンピューター、プロセッサ、マイクロプロセッサは、その点で検出されたトレーサーのレベルに基づいて新しい培地の添加および/または古い培地の除去を中止する。このようにして、トレーサーは、物理的および/または不活性の構成要素および/または透析フィルタを通過しないまたは通過する必要のないものでもよい。
【0161】
さらに、前記から、本発明は結果的に、少なくとも1つの培地リザーバがあるということ、例えば2つまたは複数の培地リザーバがあってもよいことを含む。同様に、バイオリアクターは、例えば系における細胞を自動的に変化または増加させるために連続的に連結され自動化されてもよい。
【0162】
さらにまたはあるいは、細胞密度または細胞数を、ライン140aまたは130aにおいて測定してもよく、ある細胞密度が達成された場合、マイクロプロセッサ、プロセッサ、またはコンピューターは細胞を感染またはトランスフェクションするためのベクターの導入(例えばライン140aおよび130a以外による)および/または培地の変化および/または培地への成分(新しい成分または追加の成分)の添加(既述のラインによる、例えばライン240aおよび弁240による)を可能にする。例えば、コンピューター、プロセッサまたはマイクロプロセッサは、ある時間においてライン140aまたは130aを介して細胞密度/数を測定できる;速低値が設定値と等しいまたは設定値を越える場合、ベクターを加えて(例えばライン140aおよび130a以外により)、ウィルスまたはベクター、例えば組換えベクターまたはウィルス、たとえばバキュロウィルスにより細胞を感染またはトランスフェクションさせる。したがって、系は、最適な細胞密度/数における自動的な感染/トランスフェクションを可能にする。例えば、約450万以上、例えば約500万または約1000万または約1500万または1600万または約1900万または2200万またはより高い細胞密度/数においてベクターを加えてもよい(例えば昆虫細胞で;例えば以下の実施例参照)。当業者は、過度の実験をせずに、本明細書および当該技術における知識から、使用される細胞およびベクターまたはウィルスの種類のような要因を考慮して、感染/トランスフェクションのための最適な細胞密度/数を設定できる。この点において、Wedgewood Technology Incorporated(Sa Carlos CA; www.wedgewoodtech.com/web/index.htm)により、細胞密度の測定に使用できる(他の商業供給業者がするように)吸光度プローブ(モデルBT65)が作製されることに留意すべきである。Wedgewood Technology BT65は、モデル612単光束方式光度計またはモデル653吸光度モニターとともに使用できる。BT65センサー/653モニターは、過度の実験をすることなく、デジタルインターフェース(コンバータ)へのアナログを介してコンピューター、プロセッサまたはマイクロプロセッサに連結できるアナログ出力を有する。したがって、脂肪密度を測定するための装置は当該技術において知られており(例えば細胞密度測定のための吸光度センサー/モニター)、過度の実験をすることなく本発明と組み合わせて使用できる(例えば、アナログ・デジタルコンバータまたはコンピューター、プロセッサまたはマイクロプロセッサへのインターフェースを介した、そのようなユニットからの出力をれんけつすることにより)。さらに、本発明は、培地の交換または補充と同様に、細胞の感染/トランスフェクションを自動化できるということを含む。
【0163】
さらに、弁140、130、240およびループ230は(それぞれライン140a、130a、240aおよび230cを介して)、発現された産物を系から除去するために使用できる;例えば、1つのポートからの液体の除去およびタンパク質が除去された場合の系への補充または添加または別のポートによる産物除去のために除去されたものを補うための新鮮なまたは新しい液体の添加。例えば、分離手段、例えば透析手段または細胞が液体中に存在する場合に細胞を破壊することなく発現した産物を除去しその後液体を系に返送する(新しいまたは新鮮な液体を加えてまたは加えずに)他の手段に適切なポートを連結してもよい;または、別のポートを介して系に代替物を加えて、発現した産物を単離するために細胞培養を処理する手段(例えば、細胞溶解またはそうでなければ細胞からタンパク質を抽出する手段)および発現した産物を精製および/または単離する手段に適切なポートを連結してもよい。
【0164】
さらに、本発明の装置および方法は、細胞増殖および/または組換え産物発現を増加させる他の手段、例えば細胞増殖を強める栄養培地、栄養素等とともに使用してもよい;強いプロモーターのようなプロモーターまたは発現レベルを増強できる挿入された外因性のコード核酸(例えばDNA)の複数のコピー。
【0165】
本発明およびその多くの利点は、本発明のさらなる説明および例示として与えられる以下の限定されない実施例からより理解されるであろう。
【0166】
実施例
実施例1−整列酸素散布を伴う高密度透析バイオリアクター中のスポドプテラフラジペルダ(Spodoptera frugiperda)(Sf900+)の増殖
2リットルのS.frugiperda Sf900+(本文中でSf900とも称される)昆虫細胞を、1.5×106細胞/mLで接種した(図5参照)。まず60L/hrで酸素を直接散布することにより供給し、酸素の流れを調節するソレノイドに連結されたバイオリアクター中の酸素プローブにより空気に関して60%の飽和を維持した。細胞の温度を28℃に維持し、細胞を200rpmにおける羽根車により懸濁中に維持した。培地のpHは通常6.2である。細胞は約24時間ごとに倍加し、3日目までに8.2×106細胞/mLであった。3日目にバイオリアクターからの細胞を、ホローファイバフィルタ(A/G Technology, Corp; model CFP-6-D-8A, 0.65ミクロンの孔のサイズ、0.41m2の膜表面積)の内腔に連結されるシリコンチューブを通って100ml/分で循環させ、その後蠕動性ポンプ(二重式のEasy-Load II Model 77200-62ポンプヘッドを有するMasterflex L/S Model 7520-00)によりバイオリアクターに戻す。中空糸フィルタを使用して細胞を1リットル16.6×106細胞/mlの密度に濃縮する。9Lの培地を有する外部容器を同じ蠕動性ポンプ上の第2のポンプに連結し、中空糸フィルタの外部区画を通して、容器から100ml/分でシリコン管を通して培地を循環させ、培地容器に返送する。中空糸フィルタの有効な孔のサイズは、0.05μMの下限値から0.65μMの上限値までの範囲であり(30,000 d mol. Wt)、これはフィルタを通る細胞が漏れることなく膜を透過して広がることを可能とする。中空糸フィルタを通る有効な流速は、10mL/分から3000mL/分までの範囲である。10mL/分より遅い細胞は懸濁液から分離して沈殿し、3000mL/分より早いと剪断力が細胞を破壊し始める。4日目に、細胞は26×106細胞/mLであり、60%飽和(空気に関して)に溶解酸素を維持するために酸素速度を90L/時間に増加した。5.1日目に、細胞密度は45.9×106細胞/mlであり、バイオリアクター中への直接の酸素の散布は細胞中の溶解酸素を60%に維持するためにはもはや十分ではなかった。直接の散布を中止し、ポンプの後および中空糸フィルタの前の位置に、Yコネクターにより酸素ラインを循環している細胞に直接連結した。酸素の流速は90L/時間から9L/時間に減少した。このいわゆるインライン散布により、酸素の流速が10分の1に減少しながら溶解酸素のレベルが60%に回復された。酸素の流れの減少により、泡立ちおよび関連する細胞の損傷が減少するという利点が加えられ、これは酸素が高速で流れる直接の散布と比較して最小限である。
【0167】
Sf900+細胞は、97%以上の生存力で約24時間ごとに2倍になり、74.6×106細胞/mlに増殖した(図5)。3Lのバイオリアクター中におけるSf900+細胞の増殖においてインライン散布を使用した同様の実験において、細胞はより高い密度に達し、昆虫細胞について93.4×106細胞/mlおよび97.4%の生存力が報告された。細胞増殖は数値的に調べられ、yが細胞密度、xが時間、cおよびbが定数でありeが自然対数であるy=cebxの形の指数増殖曲線に非常に適合する。指数曲線は図5に示され、透析バイオリアクター中のSf900+細胞の増殖に非常に適合する(R2の統計値は0.9189と等しい)。
【0168】
実施例2−標準および高密度培養におけるAcNPVポリヘドリンタンパク質の収率
1.5×106細胞/mLの標準密度または16.0×106細胞/mLにおいて0.5pfu/細胞のMOIを使用して、1リットルのSf900+細胞をAcNPVバキュロウィルスで感染させた。9L/時間の流速で酸素を連続的にインライン散布することにより実施例1に示すように3リットルの透析バイオリアクター(Applicon)中で高密度培養を維持した。感染の間、高密度バイオリアクター中で空気の60%飽和の設定点に酸素を維持した。4日後、感染した細胞を回収し、細胞タンパク質をSDS−ポリアクリルアミドゲル上で分析した。標準的なタンパク質アッセイ(BCA, Pierce)を使用してポリヘドリンタンパク質のレベルを測定した(図6)。1.5×106細胞/mLにおいて、1リットルの細胞につき800ミリグラムのポリヘドリンタンパク質が産生された。高密度培養において1リットルのポリヘドリンについての産生が10.374mgを越えたのは100gの湿潤細胞からであった。これは、培養された昆虫細胞における産生についてこれまで報告された最高のポリヘドリンタンパク質の収率である。細胞のグラムごとのポリヘドリンタンパク質の相対的な収率は、100ミリグラム/グラムを越え、これは標準密度において産生された感染細胞の62.5ミリグラム/グラムより高く、ポリヘドリンの細胞ごとの収率が標準条件と比較して高密度培養において実際に高いということが示された。
【0169】
実施例3−標準および高密度培養におけるウィルス性インフルエンザの3つの株からの組換え血球凝集素の収率
実施例1および図1で上述されるように、1.5×106細胞/mL の標準密度においてまたは3リットルの高密度透析バイオリアクター中で16.0×106細胞/mLにおいて、A/テキサス/36/91、A/ヨハネスブルク/33/94、またはA/ナンチャン/933/95ウィルス性インフルエンザ血球凝集素についてのAcNPVバキュロウィルス発現ベクターで、0.5のMOIにおいてSf900+細胞を感染させた。感染の3日後に、細胞を回収し、タンパク質をSDS−ポリアクリルアミドゲル上で分析した。高度に精製されたA/テキサス/36/91、A/ヨハネスブルク/33/94、またはA/ナンチャン/933/95組換え血球凝集素の既知の量と比較して、染色したゲルの走査型レーザーデンシトメトリー分析(LKB Instruments)を使用して、全組換え血球凝集素タンパク質の収率を測定した。すべての3つの株からの全組換え血球凝集素の収率は、高密度培養において9.3、10.1、および11.1倍増加し(図7)、それぞれの収率は840mg/L、710mg/L、および780mg/Lであった。ポリヘドリンについて高い細胞密度で観察されたレベルよりも低いが、リットルごとの組換え糖タンパク質のこれらの収率は、任意の発現系についてこれまで報告されたものの中で最高である。湿潤細胞のグラムごとのrHAの収率は(生物量)、標準培養における相対的な収率と比較して高密度培養において同じ高さまたはより高かった。
【0170】
実施例4−高密度培養における組換えバキュロウィルスの産生
本発明の高密度バイオリアクター系および方法を使用して、ウィルス、例えばSf900+中の組換えバキュロウィルスを産生することができる。表1は、実施例1および図1に示されるように本発明のバイオリアクター系および方法を使用して約15×106細胞/mLの密度で感染されたSf900+細胞中の感染性組換えバキュロウィルスの産生の2つの実施例である。
【0171】
【表1】
Figure 0004624566
実施例5−高密度培養におけるSf900+細胞による細胞凝集の欠乏
1つの低い密度の培養において(1.38×106細胞/ml)および実施例1に記載されるように増殖された2つの高い密度の培養において(74.6×106細胞/mlおよび93.4×106細胞/ml)Sf900+細胞の凝集の程度を測定した。血球計算板において標準的な方法を使用してSf900+細胞を計数した。塊になった5つ以上の細胞による凝集の数および生存能力のあるおよび死んだ細胞の数を記録した。低いおよび高い密度の培養において、細胞の生存力は>98%であった。低いおよび2つの高い密度の培養において凝集した細胞は1.5%より少なく、これは、高密度透析バイオリアクター中で無血清培地におけるSf900+細胞の増殖が実質的に単一の細胞の懸濁液としてであったという驚くべき結果を示す。Sf900+細胞が凝集しないという事実により、凝集を防止するために培養に試薬または化学物質を加えることに関係する問題が回避される。栄養素に対する拡散性のバリアまたは副産物によりまたはウィルス感染への可触性の減少により、任意の凝集は細胞の生産性を大きく減少させる。
【0172】
実施例6−対数増殖の長期間持続可能性
実施例1および図1に記載されるような系において図8に記載されるように3.0×106細胞/mLで1リットルのS.フルギペルダSf900+昆虫細胞を播種した(図8の「月日」は、例えば1ヶ月の数で表した日であり、月が1月の場合、図8中の「月日」は1月の8、11、12、13、14、15および16日に読み出すことを示し、時間0は8日に起こる)。酸素は、最初6L/時間で直接散布することにより供給され、酸素の流れを調節するソレノイドに連結されたバイオリアクター中の酸素プローブにより酸素に関して60%飽和で維持した。細胞の温度を28℃に維持し、200rpmにおける羽根車の回転により細胞を懸濁液に維持した。細胞は24時間ごとに約2倍になり、3日目までに19.4×106細胞/mLであった。3日目に、中空糸フィルタ(A/G Technology, Corp;モデルCFP-6-D-8A、0.65ミクロンの孔のサイズ、0.41m2の膜表面積)の管腔に連結されたシリコン管を通して100ml/分でバイオリアクターからの細胞を循環させ、その後蠕動ポンプ(二重式Easy-Load IIモデル77200-62ポンプヘッドを有するMasterflex L/Sモデル7520-00)によりバイオリアクターに返送した。同じ蠕動ポンプじょうの第2のポンプヘッドに9Lの補充培地を有する外部容器を連結し、容器から100ml/分でシリコン管を通して培地を循環させ、、中空糸フィルタの外部区画を通し、培地容器に返送した。6日目に、細胞は35.7×106細胞/mLであり、9Lの補充培地を有する外部容器を9Lの新鮮な補充培地を含有する新しい容器に交換した。6.7日目に、細胞密度は52.2×106細胞/mLであり、バイオリアクター中への直接の酸素の散布はもはや細胞中の溶解酸素を60%に維持するのに十分でなかった。直接の散布を中止し、ポンプの後だが中空糸フィルタの前の位置においてYコネクターを使用して酸素ラインを循環している細胞ラインに直接連結した。酸素の流速は6L/時間から1.2L/時間に減少した。このいわゆるインライン散布により、溶解酸素レベルは60%に維持された。
【0173】
Sf900+細胞は、97%以上の生存力で約24時間ごとに2倍になり、実施例1において報告された記録密度に近い91×106細胞/ml(図8)に増殖した。細胞増殖は数値的に調べられ、yが細胞密度、xが時間、cおよびbが定数でありeが自然対数であるy=cebxの形の指数増殖曲線に非常に適合する。データのプロットおよび計算された指数曲線は図5に示され、透析バイオリアクター中のSf900+細胞の増殖に非常に適合する(R2の統計値は0.9318と等しい)。
【0174】
実施例7−インライン酸素供給
HD培養中の発現におけるインライン散布の効果を測定するために、A/ペキン/262/95ウィルス性インフルエンザノイラミニダーゼ(NA)についてのAcNPVバキュロウィルス発現ベクターにより感染された22×109細胞を含有する2つの培養を設定した。標準的な散布による培養に、培養液中に浸した単一の5mmの管を通して2L/分で酸素を供給した。中空糸透析装置の管腔側を通して試験培養に0.2L/分で散布した。感染の72時間後(hpi)に培養液を回収し、サンプルをSDS−PAGEおよびウェスタンブロット分析にかけた。他のサンプルをNA活性について分析した。
【0175】
A. 標準散布による培養
3LのApplikon発酵器においてPSFM培地中のSf+細胞の2Lの72時間培養は、0.16m2、0.65μmの孔の中空糸フィルタおよび5L瓶のPSFMを含む高密度装置を備えていた。二重ヘッド式蠕動ポンプを使用して、細胞および培地を100mls/分でフィルタを通して循環させた。熱ブランケット(blanket)、温度プローブおよびValley instrumentsコントローラーを使用して温度を28℃に維持した。Ingold DOプローブおよびValley instrumentsコントローラーを使用して溶解酸素を空気の60%に維持した。羽根車の下に直接位置する単一の5mm管を介して酸素を供給した。200rpmで回転する海上羽根車(marine impeller)を使用して攪拌を行った。
【0176】
この培養中の細胞は、24時間で10.8×106細胞/ml(全体で21.6×109)の密度に増殖した。この細胞を、NA接種材料により0.5のM.O.I.で感染させた。感染の72時間後に培養液を回収し、この時18.0×109の全細胞が含有され、41%が生存可能であった。1時間遠心分離することにより培養液を回収した。1Lのダイアフィルトレーションによりフィルタをフラッシュさせ、1時間3000×Gで細胞をペレット化した。ペレットの生物量のデータは以下に示される。
【0177】
【表2】
Figure 0004624566
B. 標準密度の対照培養
1.5×106細胞/mlで500mlのSF+細胞を3Lの回転フラスコ中に配置し、NA接種材料により0.5のM.O.I.で感染させた。感染の72時間後に培養液を回収し、1時間3000×Gで細胞をペレット化した。この培養液からの細胞ペレットは4.0gの重量であった。この培養液からのサンプルを、SDS-PAGEおよびウェスタンブロット分析にかけた。これらをNA活性についてもテストした。
【0178】
C. インライン散布による培養
Applikonの3Lの発酵器においてPSFM培地中におけるSF+細胞の2Lの培養液を、標準散布培養についてと同様にHD培養について構成した。この培養はインライン散布に適するように備えられたことが異なる。単一管を通して酸素が供給される代わりに、細胞循環ポンプヘッドと中空糸フィルタとの間にYコネクターを挿入した。0.2L/分でフィルタを通して酸素を加え、発酵器中のDOプローブを介して観察した。
【0179】
この培養液中の細胞が全体で21.9×109細胞(11.5×106細胞/mlで1.9L)に増殖した時、0.5のM.O.I.でNA接種材料により感染させた。250mlの脱水機中で1.5×105細胞/mlの標準密度においてSF+細胞の100mlの培養液を、0.5のM.O.I.においてNA接種材料により感染させ、対照とした。
【0180】
ゲル分析のためのサンプルを、感染の24、48および72時間後に採取した。感染の72時間後に培養液を回収した。上述のように細胞をペレット化し、重量を測定した。
【0181】
【表3】
Figure 0004624566
生物量の総括表
注記:すべての生物量の数値は、比較のために2Lの培養液に調整されている。
【0182】
【表4】
Figure 0004624566
生物量データが示すように、この実施例において、標準散布の10分の1の速度で酸素を供給した場合でもインライン散布により全細胞生物量が約50%増加した。
【0183】
実施例8−CHO哺乳類細胞の高密度増殖およびヒトM-CSFの発現
本発明が、例えば哺乳類細胞のような、昆虫細胞以外の細胞の高密度増殖を支持する能力を測定するために、およびこれにより組換えタンパク質の発現が改良されることを示すために、以下の実験を行った。ヒトマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF CHO細胞)を発現するように遺伝子操作されたチャイニーズハムスターの細胞系を、HyClone Laboratories Inc(Logan, Utah)から得た(M-CSFをコードするDNAおよびM-CSFを発現するCHO細胞について言及する米国特許第5,650,297号、同第5,567,611号、および同第4,847,201号参照)。5%のCO2に維持した37℃のインキュベーター中で細胞培養シェーカー(135rpm)上のシェーカーフラスコ中に標準状態を使用して細胞を維持し、HyQ PF CHO培地(HyClone Laboratories)中に維持した。Bioflo3000バイオリアクター(New Brunswick Scientific, Edison NJ)中1.5リットルの体積で0.9×106細胞/mlの密度で、0日目にM-CSF CHO細胞を播種し、50rpmの攪拌速度で37℃に維持し、溶解酸素は空気に関して50%に設定し、pHを7.3に設定した。1日目までに、細胞は1.3×106細胞/mlに増殖し、本発明の高密度装置(図1、実施例1)を作製して細胞をこれに導入し、本発明による実験を行った。0.45ミクロン、0.45sq ft A&G中空糸フィルタを通してバイオリアクターからの培養培地を50ml/分で循環させた。HyQ PF CHO培地を5L瓶(透析培地)中に入れ、37℃に維持し、中空糸フィルタを通して50ml/分で循環させた。3日目に、培地の5L瓶を、新鮮なHyQ PF CHO培地と交換し、37℃に維持し、中空糸フィルタを通して50ml/分で循環させた。2、3、4および5日目に、高密度バイオリアクター中の細胞は約24時間ごとに2倍になり、5日目までに13.6×106細胞/mlの密度であった(図11)。対照フラスコにおいて、100mlのM-CSF CHO細胞を0.9×106細胞/mlに設定し、標準状態で4日間維持した。細胞は約24時間ごとに2倍になり、3日目に最大の4.6×106細胞/mlに達した(図11)。
【0184】
したがって、本発明の高密度バイオリアクターおよび方法により、標準の培養条件下で単位体積当たり少なくとも約4倍の数の細胞が産生された。
【0185】
M-CSFを産生するためのヒト遺伝子を発現するようにM-CSF CHO細胞を遺伝子操作した。高密度バイオリアクターおよび対照フラスコ中の0日目および4日目からの培養培地のサンプルを、上述の実験から得て、市販の分析キットを使用してヒトM-CSF(Hu M-CSF)のレベルを測定した。以下の表は、0日目および4日目における高密度2Lバイオリアクター中、3日目における5Lの透析培地中および4日目における5Lの透析培地の第2瓶中、および0日目および4日目における100mlの対照フラスコ中でCHO細胞により産生され培養培地中に分泌されたHu M-CSFのレベルを概略する。対照フラスコ中で産生されたHu M-CSFの全産生量は、3.0mg/Lのレベルであった。高密度バイオリアクター中に対して、全体で11.68mg/Lを越えるHu M-CSFが産生され、これは、標準条件下で維持されたM-CSF CHO細胞中で産生されるHu M-CSFの収率を少なくとも3.9倍越える増加を示す。要約すれば、哺乳類CHO細胞系は、少なくとも約4倍の細胞密度に増殖し、少なくとも約3.9倍のレベルの分泌されたHu M-CSFを産精した。
【0186】
したがって、本発明は、様々の細胞系に適用でき、細胞密度および/またはタンパク質発現を増加できる。
【0187】
【表5】
Figure 0004624566
発現が非常に高かったので、4より大きく、分析のスケール外であった;増加は少なくとも4倍であり、10倍以上とも考えられる。)
本発明の好ましい実施の形態をこのように詳細に記載したので、特許請求の範囲により定められる本発明は上記の記載に示される特定の細部に限定されるべきでなく、本発明の意図および範囲を逸脱せずに多くの見かけの変化が可能であるということを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 インライン酸素供給器を有する高密度透析バイオリアクターの略図
【図2】 図1の細胞培養ループの略図
【図3】 図1の培地補充ループの略図
【図4】 図1の中空糸透析装置の略図
【図5】 インライン酸素散布を有する高密度透析リアクター中における昆虫細胞の増殖を示すグラフ
【図6】 標準および高密度培養におけるAcNPVポリヘドリン(Polyhedrin)タンパク質の収率を比較する棒グラフ
【図7】 標準および高密度培養におけるウィルス性インフルエンザの3つの株からの組換え血球凝集素の収率を比較する棒グラフ
【図8】 増殖における酸素供給の効果を比較するグラフ
【図9】 バイオリアクターの図の符号の説明
【図10】 工程系統図
【図11】 本発明による高密度バイオリアクター中での増殖されたCHO細胞対対照フラスコ中で増殖されたCHO細胞を示す図

Claims (16)

  1. 細胞を増殖させるための装置であって、
    (a)細胞培養のための少なくとも一つのバイオリアクター、
    (b)培養培地のための少なくとも一つの容器、であって、前記バイオリアクターおよび前記容器は液体連絡され、前記バイオリアクターおよび前記容器は必要に応じて攪拌され、
    (c)培養培地および/または細胞培養物を循環させるための透析手段であって、前記バイオリアクタ−と該透析手段との間に第1の細胞培養ループ、および前記容器と前記透析手段との間に第2の培地補充ループが存在する透析手段、
    (d)前記培養培地と細胞培養物との間で透析を行う手段、および
    (e)中空糸フィルタ酸素供給器を含む少なくとも1つの酸素供給手段であって、前記中空糸フィルタ中へ細胞が入る前に細胞の循環ループ中の細胞に直接酸素を供給する手段、
    を有することを特徴とする装置。
  2. 前記酸素供給手段が、以下の少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする請求項1記載の装置:中空糸フィルタ酸素供給器;インライン散布手段;溶解酸素を細胞培養中に放出する少なくとも1つの酸素含有化合物を供給する手段;前記バイオリアクターに返送される前記循環細胞培養の投入口の上流に位置する酸素供給手段;0%の平均溶解酸素濃度を提供する酸素供給手段;0%を超える平均溶解酸素濃度を提供する酸素供給手段;および0%から90%までまたは0%から0%までまたは0%から70%までの平均溶解酸素濃度を提供する酸素供給手段。
  3. 前記透析手段が、少なくとも1つの半透膜および/または少なくとも1つの細胞培養ループ中への酸素供給手段を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
  4. 前記酸素供給手段が、以下の少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする請求項記載の装置:中空糸フィルタ酸素供給器;インライン散布手段;溶解酸素を細胞培養中に放出する少なくとも1つの酸素含有化合物を供給する手段;および前記バイオリアクターに返送される前記循環細胞培養の投入口の上流に位置する酸素供給手段。
  5. さらに以下の1つ以上を含むことを特徴とする請求項1記載の装置:前記細胞培養および/または前記培養培地の物理的および/または化学的パラメーターを測定する手段;溶解酸素濃度を測定する手段;pHを測定する手段;温度を測定する手段;pHを測定する手段および解酸素を測定する手段;細胞密度または細胞の量を測定する手段前記測定する手段からのデータに応じて前記細胞培養および/または前記培養培地の物理的および/または化学的パラメーターを調整する手段;温度を調整する手段;pHを調整する手段;溶解酸素濃度を調整する手段;溶解二酸化炭素濃度を調整する手段;細胞密度または細胞量の測定に応じてベクターを加える手段;および溶解酸素を調整する手段および溶解二酸化炭素を調整する手段であって、pHの測定に応じて溶解二酸化炭素レベルが調整される手段。
  6. 溶解酸素の測定に応じて溶解酸素レベルが調整され;および/またはpHが所望のレベルにセットされ、pHが該所望のレベルと異なる場合に二酸化炭素が調整され、該溶解酸素の測定は時間の関数として周期的に変化し;前記溶解酸素の測定が、30%から90%までまたは40%から80%までまたは50%から70%まで変化する;または、前記溶解酸素の測定が平均して0%であり;および/または前記溶解酸素の測定が、0分から0分を超えてまたは0分を超えて高い数値から低い数値に変化し;および/または時間の関数としての前記溶解酸素の測定のプロットが正弦波をする;ことを特徴とする請求項5記載の装置。
  7. 細胞を増殖させる方法であって、
    (a)少なくとも1つのバイオリアクター中で細胞を培養することにより細胞培養物を提供する工程
    (b)少なくとも1つの容器中培養培地を提供する工程
    前記バイオリアクターおよび前記容器が液体連絡し、該バイオリアクターおよび/または該容器が必要に応じて攪拌され;
    (c)透析手段を通して前記培養培地および/または細胞培養を循環させる工程であって、前記バイオリアクターと前記透析手段との間に第1の細胞培養ループ、および前記培養培地と前記透析手段との間に第2の培地補充ループが存在し、前記培養培地と前記細胞培養との間で透析を行う工程;および
    (d)中空糸フィルタ酸素供給器により酸素を供給する工程であって、前記中空糸フィルタ中へ細胞が入る前に細胞の循環ループ中の細胞に直接酸素を供給する工程
    を含むことを特徴とする方法。
  8. 前記酸素の供給が、以下の少なくとも1つを含む酸素の供給手段によることを特徴とする請求項7記載の方法:
    中空糸フィルタ酸素供給器;
    インライン散布手段;
    溶解酸素を細胞培養中に放出する少なくとも1つの酸素含有化合物を供給する手段;
    前記バイオリアクターに返送される循環細胞培養の投入口の上流に位置する酸素供給手段;
    0%の平均溶解酸素濃度を提供する酸素供給手段;
    0%を超える平均溶解酸素濃度を提供する酸素供給手段;および
    0%から90%までまたは0%から0%までまたは0%から70%までの平均溶解酸素濃度を提供する酸素供給手段。
  9. 前記透析工程が、少なくとも1つの半透膜および/または少なくとも1つの細胞培養ループ中への酸素供給手段を含むことを特徴とする請求項7記載の方法。
  10. 前記酸素の供給が、以下の少なくとも1つ以上を含む酸素供給手段によることを特徴とする請求項記載の方法:
    中空糸フィルタ酸素供給器;
    インライン散布手段;
    溶解酸素を細胞培養中に放出する少なくとも1つの酸素含有化合物を供給する手段;および
    前記バイオリアクターに返送される前記循環細胞培養の投入口の上流に位置する酸素供給手段。
  11. さらに以下の1つ以上の工程を含むことを特徴とする請求項10記載の方法:
    (a)前記細胞培養および/または前記培養培地の物理的および/または化学的パラメーターを測定する工程
    (b)溶解酸素濃度を測定する工程
    (c)pHを測定する工程
    (d)温度を測定する工程
    (e)pHを測定する工程および溶解酸素を測定する工程
    (f)細胞密度または細胞の量を測定する工程
    (g)温度の測定手段、pHの測定手段、溶解酸素濃度の測定手段および溶解二酸化炭素濃度の測定手段からのデータに応じて前記細胞培養および/または前記培養培地の物理的および/または化学的パラメーターを調整する工程;および
    (h)温度の測定値、pHの測定値、溶解酸素濃度の測定値、溶解二酸化炭素濃度の測定値、細胞密度または細胞量の測定に応じベクター添加する工程、および
    (i)溶解酸素を調整する工程および溶解二酸化炭素を調整する工程であって、pHの測定に応じて溶解二酸化炭素のレベルが調整される工程からのデータに応じて前記細胞培養および/または前記培養培地の物理的および/または化学的パラメーターを調整する工程。
  12. 時間の関数としての前記溶解酸素の測定のプロットが正弦波をすることを特徴とする請求項11記載の方法。
  13. さら細胞を回収する工程を含み前記細胞が、組換えベクタおよび/または外来性核酸分子の発現のためのベクターを含むことを特徴とする請求項7記載の方法。
  14. 前記ベクターがウィルスまたは組換えウィルスを含み、組換えウィルスは必要に応じて組換えバキュロウィルスであり;必要に応じてさらに発現した産物、および/またはバキュロウィルスおよび/または細胞を回収する工程を含む、ことを特徴とする請求項13記載の方法。
  15. 感染されたまたはトランスフェクションされたまたは細胞中に挿入された組換えベクターから発現産物を産生する、または感染されたまたはトランスフェクションされたまたは組換えベクターもしくはベクターが細胞中に挿入された細胞を産生する方法であって、請求項7記載の方法を含み、該方法の前または間に、前記細胞培養の細胞が、前記組換えベクターまたは前記ベクターで感染またはトランスフェクションされるまたは前記組換えベクターまたは前記ベクターが細胞中に挿入されたことを特徴とする方法。
  16. 前記組換えベクターが組換えバキュロウィルスであり、前記細胞が昆虫細胞であり;および/または前記細胞が前記方法の間に感染され;および/または前記方法がさらに前記細胞または前記発現産物または前記組換えベクターまたは前記ベクターを回収する工程を含み;および/または前記細胞がCHO細胞であることを特徴とする請求項15記載の方法。
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