JP4624214B2 - 粉末冶金における粉末成形方法および焼結部品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、粉末冶金における粉末成形方法および焼結部品の製造方法に関し、より具体的には、粉末冶金の分野における成形時の潤滑方法の改良に関するものであり、それにより複雑形状で、表面性状が良好で、かつ高密度の焼結部の成型を容易にするものである。
金型内で金属粉末を圧縮する工程において、金型壁面と粉末粒子との界面、また粉末粒子間に摩擦が生じることで高密度の成形体を得るためには、大きな成形圧力が必要となり、さらに金型壁面と粉末粒子界面との摩擦力が大きくなると成形体の表面性状が悪くなったり、金型の摩耗が促進され、金型寿命が短くなるという問題が生じる。
従って、金型と粉末粒子との間の摩擦を抑える必要がある。
金型と粉末粒子との間の摩擦を低減させる方法として、「混入潤滑法」と「押型潤滑法」とがある。粉末冶金用語に関する日本工業規格(JIS Z2500−1960)では押型に塗る潤滑剤を押型潤滑剤、原料粉末に混合する潤滑剤を粉末潤滑剤と呼んでいるが、潤滑剤として使う材料自体に違いはなく、ステアリン酸およびその金属石鹸、ワックス類などが一般的に用いられている。
混入潤滑法は原料中に前もって潤滑剤を添加しておく方法であり、金型との充分な潤滑性を発揮させるためには潤滑剤を0.5質量%以上添加する必要がある。これは、潤滑剤が固体であるため、粉末と金型との界面に存在するものだけが潤滑に寄与するためである。この粉末潤滑剤を増やせば摩擦や押し出し力は低下するが、圧粉体の密度が低下してしまう。
また押型潤滑法は粉末状の潤滑剤を静電的に金型内壁に付着させ、粉末と金型との摩擦を低減させる方法であるため、効率的に粉末と金型との潤滑性を向上させることができ、さらに、粉末中に過度の潤滑剤を添加しなくてもいいため、高密度の圧粉体が成形可能となる。しかし、製品の複雑形状化、径に対する深さ方向の高さが大きい成形体を作製する際、金型内壁に粉末状の潤滑剤を均一に付着させることが困難となり、潤滑剤の付着されていない個所での焼きつき・かじりが発生し、また潤滑剤が過度に付着された個所での潤滑剤の巻き込みが起こり、密度の不安定化・表面性状の悪化を引き起こすという課題がある。
これらの課題を克服する方法として、特表2003−509582号公報や、特表平10−501270号公報にはアミド系潤滑剤を使用することで、潤滑剤が圧力および剪断力を受けた時変形し、粉末組成物の粒子間に塑性変形することで抜き出し力を低減させる方法が紹介されている。
特表2003−509582号公報 特表平10−501270号公報
しかし、上記公報のようにアミド系潤滑剤を使用した場合、アミド結合の結合が強いため、金型温度が比較的低温の場合には、潤滑剤を成形体と金型との間に十分に染み出させることができず、成形体の表面性状を十分に良好にすることができないという課題があった。
本発明は、樹脂・ワックスの塑性変形による抜き出し力低減と表面性状を良化させるのに必要な動摩擦力の低減に、さらに効果を発揮する手法を提供する。
それゆえ本発明の目的は、複雑形状で、表面性状が良好で、かつ高密度の焼結部の成型を容易とする粉末冶金における粉末成形方法および焼結部品の製造方法を提供することである。
本発明の一の粉末冶金における粉末成形方法は、粉末冶金用鉄基粉末に少なくとも一種類の固体状のエステルワックスを添加して混合粉末を得る工程と、混合粉末を成形する工程とを備え、エステルワックスの融点が100℃以下であり、エステルワックスの添加量が0.02質量%以上0.6質量%以下の範囲であり、成形時の金型の温度を(前記エステルワックスの融点+10℃)以上200℃以下に設定し成形することを特徴とするものである。
粉末冶金における成形工程において、摩擦には、圧粉体押し出しの初期段階(動き出すまでの段階)での静止摩擦力と、圧粉体が動き出してからの動摩擦力とがあり、静止摩擦力の低減には固体潤滑が適し、動摩擦力の低減には液体潤滑の方が優れ、さらに圧粉体の表面性状には動摩擦力の低減が効果的である。
そこで、本発明者らは複雑形状でも金型と粉末との界面に均一に液体潤滑剤を存在させる方法を検討し、最初に原料に潤滑剤を添加しておき、プレス成形時に金型温度、もしくは粉末同士の摩擦熱により潤滑剤が溶解し、成形圧力を上げると共に金型との境界部に押し出され、液体潤滑剤として機能することで、動摩擦力を低減させる方法、具体的には成形時に金型の表面にエステルワックスを液化させて染み出させる方法を見出した。
この方法によると、添加する潤滑剤は成形時に金型との境界部に押し出されることから、成形体内部に残存する潤滑剤量を低減させることができ、表面性状が良好かつ、高密度(実質的には相対密度95%以上)の成形体を得ることが可能である。
また、潤滑剤は成形体の全表面に染み出すため、複雑形状の金型でも潤滑剤のムラが無く、摩擦力の低減により表面性状の良好な高密度の成形体を得ることが可能になる。特に、ステンレス系・合金系に効果的である。
潤滑剤にはエステルワックスが含まれる。ワックスにはアミド系ワックス(ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド)や炭化水素系ワックス(パラフィンワックス、ポリエチレンワックス)などがあるが、エステルワックスの場合、他のワックスに比べて高純度にすることにより融解温度域が非常に狭いものを合成可能である。このエステルワックスを使用することで、圧縮成形の短いサイクルタイムの中で、ワックスを効率的に溶解でき、金型との界面に染み出させることが可能となる。
上記に記載されるエステルワックスの望ましい例としては、特開2002−212142号公報や特開2004−059744号公報に記載されているものが挙げられる。具体的には、a.炭素数14〜30の直鎖飽和モノカルボン酸と、b.炭素数14〜30の直鎖飽和1価アルコールあるいは炭素数2〜30の2〜6価の多価アルコールとの縮合反応より得られるものが挙げられる。これらのエステルワックスは、融点範囲が狭いシャープメルトタイプのワックスである。
通常のエステルワックスでは上記a成分として分岐脂肪酸や多価カルボン酸も使われるが、エステルの粘度が高くなるため、成形時に融解しても抜き出し時に金型と成形体の境界部に均質に広がらないため、焼き付き、成形体の筋等の外観不良の原因となる。
また、上記a成分として分岐脂肪酸や多価カルボン酸を用いたワックスでは、上記a成分として炭素数14〜30の直鎖飽和モノカルボン酸を用いたワックスに比べて、熱処理時に分解しにくくなるため、残渣が発生する問題もある。
したがって、上記a成分として炭素数14〜30の直鎖飽和モノカルボン酸を用いたワックスを用いることにより、安定して潤滑効果を得ることができ、また、熱処理後にも残渣のない良好な製品を得ることができる。
融点や粘性の低いワックスとしては、アミドワックスの他にも、炭化水素系ワックス(パラフィンワックス、ポリエチレンワックス)があるが、エステルワックスはこれらのワックスに比べて融点温度域を狭くしたものを合成することができる。これにより、短い時間でワックスを効率的に溶融することができ、金型と成形体の境界部を効果的に潤滑することができる。
さらに、ワックスの融点は100℃以下である。金型の温度を上げることで内部に添加したワックスが溶解するシステムであるので、金型温度はワックスの融点よりも10℃以上高くすると効果的である。金型温度を上げると粉末同士の変形は促されるため高密度化が可能であるが、粉末の流動性が悪くなるため密度分布が悪くなる傾向がある。したがって、ワックスの融点を100℃以下にして金型温度を200℃以下にするのが最適である。
またこの場合、金型の温度を上げるが金型へ導入する前の粉末の温度は常温である必要がある。つまり本発明の手法は、温間成形のように粉末も金型も温める手法ではない。
エステルワックスの添加量は0.02質量%以上0.6質量%以下である。0.02質量%未満であると金型界面への溶解ワックスの染み出し量が充分ではなく、焼付き・かじりが発生する。また、0.6質量%より多いとワックスの染み出し量が多くなるため良好な液体潤滑性が得られるが、内部に残存するワックス量が増加し、期待する高密度成形体を得ることが出来ない。高密度とは相対密度95%以上である。従って、エステルワックスの添加量は0.02質量%以上0.6質量%以下であるが、望ましくは0.05質量%以上0.3質量%以下である。
また本発明の他の粉末冶金における粉末成形方法は、粉末冶金用鉄基粉末に少なくとも一種類の固体状のエステルワックスを添加して混合粉末を得る工程と、混合粉末を成形する工程とを備え、エステルワックスの融点が60℃以下であり、エステルワックスの添加量が0.02質量%以上0.6質量%以下の範囲であり、冷間成形することを特徴とするものである。
エステルワックスの融点を60℃以下にすることで、上記一の粉末冶金における粉末成形方法で示したように、金型温度を上げる必要をなくすことが可能となる。鉄基粉末を圧縮成形すると粉末同士の摩擦力により圧粉体は約60℃に加熱されることを見出したことにより、エステルワックスの融点を60℃以下にすることにより、金型の温度を上げなくても、粉末同士の摩擦熱を利用することでワックスの融解を促し、エステルワックスを液体として金型との界面へ染み出させることができる。このように、成形時に金型の表面にエステルワックスを液化させて染み出させ、成形体と金型との動摩擦力を低減することができる。ワックスの添加量は、上記一の粉末冶金における粉末成形方法と同様である。
上記一および他の粉末冶金における粉末成形方法において好ましくは、エステルワックスの酸価が1.0(mgKOH/g)以下で、かつ水酸基価が4.0(mgKOH/g)以下である。
また上記一の粉末冶金における粉末成形方法において好ましくは、混合粉末は、アミドワックス、ポリアミド樹脂および金属石鹸よりなる群から選ばれる1種以上の固体潤滑剤を含み、固体潤滑剤の融点が成形時の金型の温度以上であり、かつ固体潤滑剤の添加量が0よりも多く0.4質量%以下である。
このようにエステルワックスの他に少なくとも一種類のアミドワックス・ポリアミド樹脂・金属石鹸等の固体潤滑剤を含み、これらのワックス・樹脂の融点を設定した金型温度以上にすることにより、金型と粉末との静止摩擦力を低減できる。このため、成形体を金型から抜き出す時に成形体にかかる応力を低減することが可能となり、成形体の表面性状をさらに良くするとともに、金型寿命を長くすることができる。
しかし、固体潤滑剤の添加量を0.4質量%以下に抑える必要があり、固体潤滑剤の添加量が0.4質量%よりも多くなると成形体の密度が低下する。望ましくは、固体潤滑剤の添加量は0.2質量%以下である。
また上記他の粉末冶金における粉末成形方法において好ましくは、混合粉末は、アミドワックス、ポリアミド樹脂および金属石鹸よりなる群から選ばれる1種以上の固体潤滑剤を含み、固体潤滑剤の融点が60℃以上であり、かつ固体潤滑剤の添加量が0よりも多く0.4質量%以下である。
エステルワックスの融点を60℃以下にした場合、融点が60℃以上のワックス・樹脂等の固体(粉末)潤滑剤を添加すると、静止摩擦力を低減することが可能になり、さらなる表面性状の向上・金型摩耗の抑制を達成することができる。
また本発明の焼結部品の製造方法は、上記一および他の粉末冶金における粉末成形方法により成形された成形体を1000℃以上の温度で焼結することを特徴とするものである。
上記一および他の粉末冶金における粉末成形方法により成形された成形体は表面にワックスが固着した状態になっているため、1000℃以上の温度で焼結することが好ましい。1000℃以上で焼結することでワックスが完全に分解し、表面に残渣として残らず、良好な表面性状を得ることが出来る。
以上説明したように本発明の粉末冶金における粉末成形方法および焼結部品の製造方法によれば、複雑形状で、表面性状が良好で、かつ高密度の焼結部の成型を容易とすることができる。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図1〜図4は本発明の一実施の形態における粉末冶金における粉末成形方法を工程順に示す概略図であり、図5は成形体に焼結を行なう様子を示す概略図である。
図1(b)を参照して、粉末冶金用鉄基粉末1に少なくとも一種類の固体状のエステルワックス2を添加して混合粉末3を得る。この際、混合粉末に対するエステルワックス2の割合が0.02質量%以上0.6質量%以下となるように混合する割合を調整する。またエステルワックスとして融点が100℃以下のものを用いる。このエステルワックスは、その酸価が1.0(mgKOH/g)以下で、かつ水酸基価が4.0(mgKOH/g)以下のものであることが好ましい。
また混合粉末3には、アミドワックス、ポリアミド樹脂および金属石鹸よりなる群から選ばれる1種以上の固体潤滑剤が含まれていてもよい。この固体潤滑剤としては、その融点が成形時の金型の温度以上のものを用いることが好ましい。固体潤滑剤の添加量は0よりも多く0.4質量%以下であることが好ましい。
なお、混合方法に特に制限はなく、V型ミキサーを用いた混合が普通であるが、各種ボールミルを用いることも可能であるし、粉末表面を被覆してもよい。
図1(a)を参照して、得られた混合粉末3に対して加圧成形工程を実施する。まず金型装置のバンドヒータ(図示せず)に通電し、ダイ11の内壁をエステルワックス2がダイ11の内壁と混合粉末3との界面に液状で存在する温度以上に加熱する。具体的には、(エステルワックスの融点+10℃)以上200℃以下の温度にダイ11を加熱する。また混合粉末3の温度をエステルワックス2の融点以下の温度に設定する。
次に、ダイ11の内部空間の上方にシュー(図示せず)を位置決めし、シューからその内部空間に向けて、先の工程で得られた混合粉末3を供給する。
図2(a)を参照して、ダイ11の内部空間の上方に上パンチ13を位置決めする。上パンチ13を下方に移動させ、混合粉末3を加圧成形する。
図2(b)を参照して、この加圧成形の際、エステルワックス2は、金型温度もしくは粉末同士の摩擦熱により溶解して溶融体2aとなり、ダイ11の内壁と混合粉末3との界面に液状として染み出すことにより液体潤滑剤として機能し、動摩擦力を低減させ、ダイ11の内壁と混合粉末3との焼付きを抑制する。また固体潤滑剤を入れた場合には固体潤滑剤は、鉄基粉末1とワックス2との摩擦抵抗を下げる働きを有するため、ワックスの添加により流動性の低下した混合粉末3に良好な潤滑性を発現させ、成形体の密度向上、強度向上、磁気特性向上に寄与する。
この加圧成形により、成形体3aが得られる。
図3(a)、(b)を参照して、加圧成形により得られた成形体3aにおいては、エステルワックス2aが成形体3aの表面に染み出して固化している。
図4を参照して、上パンチ13と下パンチ12とを上方に上げて(もしくはダイ11が下がることで)成形体3aが金型内から取り出される。
図5を参照して、成形体3aに、炉21内でヒータ22により(窒素雰囲気・大気雰囲気等にて)エステルワックス2aの分解温度以上の温度(1000℃以上の温度)で焼結を行なう。これにより、圧縮成形時に成形体3aの表面に染み出し、その後固化したエステルワックス2aの成分が熱分解され、成形体3aの良好な表面状態が得られる。
最後に、熱処理成形体に切削加工などの適当な加工が施される場合もある。
なお、エステルワックスの融点が60℃以下の場合には、冷間成形で成形してその成形時に金型の表面にエステルワックス2を液化させて染み出させるようにしてもよく、この場合には固体潤滑剤の融点は60℃以上であればよい。
本実施の形態によれば、上述したようにエステルワックス2はダイ11の内壁と混合粉末3との界面に液状として染み出すことにより、複雑形状の金型でも潤滑剤のムラが無く、摩擦力の低減により表面性状の良好な高密度の成形体を得ることが可能になる。またエステルワックス2がダイ11の内壁と混合粉末3との界面に液状として染み出すことにより、成形体内部に残存するエステルワックス2の量を低減させることができ、表面性状が良好かつ、高密度(実質的には相対密度95%以上)の成形体を得ることが可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。
ヘガネス社の鉄粉ASC100.29に対して、表1のような種類のワックスを用意し、それぞれ0.2質量%添加し、V型ミキサーで1時間混合し材料(混合粉末)を作製した。
Figure 0004624214
作製した粉末を用いて、φ30mmの円柱金型によりプレス成形を行った。金型温度は120℃とし、成形圧力は800MPaで行った。成形体の表面状態とワックスの染み出し状態について評価した。その結果を表2に示す。
Figure 0004624214
表2のサンプル5を210℃の金型でプレス成形した場合、染み出し状態は良好かつ、表面状態も良好であるが、粉末の流動性が悪くなることがわかった。この表2の結果より、融点が100℃以下のエステルワックスを用い、かつ金型温度を(エステルワックスの融点+10℃)以上とすれば、成形体の表面状態とワックスの染み出し状態との双方が良好となることがわかる。
表1のサンプル2と4のワックスを用いて、添加量を変化させた材料を作製した。その材料を用いて成形圧力800MPaでプレス成形を行い、成形体の表面状態とワックスの染み出し状態、ならびに密度について評価した。その結果を表3に示す。
Figure 0004624214
表3の結果から、エステルワックスの添加量が0.02質量%以上の場合には、成形体の表面状態とワックスの染み出し状態との双方が良好となることがわかる。またエステルワックスの添加量が0.6質量%を超える場合には、成形体の密度が7.40g/cm3未満と小さくなることがわかる。
ヘガネス社の鉄粉ASC100.29に対して、表4および5のような種類のワックスを用意し、それぞれ0.2質量%添加し、V型ミキサーで1時間混合し材料(混合粉末)を作製した。
Figure 0004624214
Figure 0004624214
作製した粉末を用いて、φ30mmの円柱金型によりプレス成形を行った。サンプルA、B、C、Dを添加した原料に関しては金型温度を120℃とし、サンプルE、F、G、Hを添加した原料に関しては金型温度を室温に設定し、成形圧力は800MPaでプレス成形を行った。成形体の表面状態とワックスの染み出し状態について評価した。その結果を表6に示す。
Figure 0004624214
エステルの酸価・水酸基価はワックスの純度を示す指標となり、酸価・水酸基価が小さいものの方が、溶解温度域が狭いために、良好な染み出し性を示す。表6からもその結果がわかる。つまり表6の結果から、エステルワックスの酸価が1.0(mgKOH/g)以下で、かつ水酸基価が4.0(mgKOH/g)以下であるサンプルAおよびEにおいて、成形体の表面状態とワックスの染み出し状態との双方が良好となることがわかる。
実施例1のサンプル2および4のエステルワックスを0.2質量%添加した場合にさらにエチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸亜鉛を添加して実施例1と同様の条件で成形評価を行った。その結果を表7に示す。
Figure 0004624214
実施例1と比較して、表面状態は良好であり、他の溶解しないワックスを添加することで更なる表面状態の改善が望める。これは、固体潤滑剤を添加することで静止摩擦力を低下させることが可能となるためであると考えられる。他のワックスを添加することで密度の低下を引き起こすため、潤滑性と密度との兼ね合いで、添加量を決める。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、複雑な形状を有し、良好な表面性状および高密度が求められる焼結部の成型に特に有利に適用され得る。
本発明の一実施の形態における粉末冶金における粉末成形方法の第1工程を示す概略図である。 本発明の一実施の形態における粉末冶金における粉末成形方法の第2工程を示す概略図である。 本発明の一実施の形態における粉末冶金における粉末成形方法の第3工程を示す概略図である。 本発明の一実施の形態における粉末冶金における粉末成形方法の第4工程を示す概略図である。 成形体に焼結を行なう様子を示す概略図である。
符号の説明
1 粉末冶金用鉄基粉末、2,2a エステルワックス、3a 成形体、3 混合粉末、11 ダイ、12 下パンチ、13 上パンチ、21 炉、22 ヒータ。

Claims (5)

  1. 粉末冶金用鉄基粉末に少なくとも一種類の固体状のエステルワックスを添加して混合粉末を得る工程と、
    前記混合粉末を成形する工程とを備え、
    前記エステルワックスの融点が100℃以下であり、前記エステルワックスの添加量が0.02質量%以上0.6質量%以下の範囲であり、成形時の金型の温度を(前記エステルワックスの融点+10℃)以上200℃以下に設定し成形することを特徴とし、
    前記エステルワックスの酸価が1.0(mgKOH/g)以下で、かつ水酸基価が4.0(mgKOH/g)以下であることを特徴とし
    前記エステルワックスは、炭素数14〜30の直鎖飽和モノカルボン酸と、炭素数14〜30の直鎖飽和1価アルコールあるいは炭素数2〜30の2〜6価の多価アルコールとの縮合反応より得られるものである、粉末冶金における粉末成形方法。
  2. 前記混合粉末は、アミドワックス、ポリアミド樹脂および金属石鹸よりなる群から選ばれる1種以上の固体潤滑剤を含み、前記固体潤滑剤の融点が成形時の前記金型の温度以上であり、かつ前記固体潤滑剤の添加量が0よりも多く0.4質量%以下であることを特徴とする、請求項に記載の粉末冶金における粉末成形方法。
  3. 粉末冶金用鉄基粉末に少なくとも一種類の固体状のエステルワックスを添加して混合粉末を得る工程と、
    前記混合粉末を成形する工程とを備え、
    前記エステルワックスの融点が60℃以下であり、前記エステルワックスの添加量が0.02質量%以上0.6質量%以下の範囲であり、冷間成形することを特徴とし、
    前記エステルワックスの酸価が1.0(mgKOH/g)以下で、かつ水酸基価が4.0(mgKOH/g)以下であることを特徴とし
    前記エステルワックスは、炭素数14〜30の直鎖飽和モノカルボン酸と、炭素数14〜30の直鎖飽和1価アルコールあるいは炭素数2〜30の2〜6価の多価アルコールとの縮合反応より得られるものである、粉末冶金における粉末成形方法。
  4. 前記混合粉末は、アミドワックス、ポリアミド樹脂および金属石鹸よりなる群から選ばれる1種以上の固体潤滑剤を含み、前記固体潤滑剤の融点が60℃以上であり、かつ前記固体潤滑剤の添加量が0よりも多く0.4質量%以下であることを特徴とする、請求項に記載の粉末冶金における粉末成形方法。
  5. 請求項1〜に記載の粉末成形方法により成形された成形体を1000℃以上の温度で焼結することを特徴とする、焼結部品の製造方法。
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