JP4624011B2 - ラップホイール用砥粒層構造 - Google Patents
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Description
しかしながら、遊離砥粒のラップ加工では、砥粒が転動しながら被加工物を削るためその加工能率が低く、ダイヤモンド砥粒を結合材で保持した固定砥粒ラップホイールが用いられるようになってきた。
図2において、ラップホイールは上定盤1と下定盤2とからなり、キャリア3に被削材4が収納されている。キャリア3は被削材4を収納できる孔を有するものであり、このキャリア3が上定盤1と下定盤2との間に配置される。上定盤1と下定盤2の中心には回転軸5が取り付けられ、2枚の定盤の間にアルミナなどの微粉末を含むスラリーを供給し、2枚の定盤を反対方向に回転させることにより、被削材4の表面が研磨される。
メタルボンドダイヤモンド焼結体において、メタルボンドの組成を考慮したものが特許文献1に記載されている。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、適切な砥粒保持力を有する砥粒層構造を実現して、安定した切れ味を維持しつつ、加工品位を高めることが可能なラップホイール用砥粒層構造を提供することを目的とする。
砥粒はボンド粒の間に存在する気孔において、焼結助剤によって保持されている為に、適度な砥粒保持力を有し安定した切れ味を維持できる。また、ボンド粒はその接点で接合されているので、ボンド粒の摩耗が進行すると適度に抜け落ちることができる。ボンド粒の間に形成された気孔やボンド粒が抜け落ちた跡はチップポケットになり、研削液の流れが良くなり切れ味が向上する。
また、この構造は弾性を有するので、研削時の振動を吸収し異常な砥粒の脱落やボンドの抜け落ち、ボンドブリッジの欠落を防止でき、スクラッチの発生を防止して加工品位を
高めることが可能となる。
Cu、Ni、Fe、は延性に富む金属であるため、ボンド粒が、Cu、Ni、Feまたはこれらの金属を含む合金からなることにより、ボンド粒が被削材に接触しても変形しやすく被削材に傷が発生せず良好な仕上面を得ることができる。また、焼結助剤が、Sn、Ag、PからなることによりCuやNi、Feの表層で合金化しやすく、ボンド粒同士の接合を補助することができる。また、これらの合金はCuやNi、Feの単体に比べて脆化しており砥粒の保持力が低く、砥粒の適度な脱落を生じることができる。
特にこのようなボンド粒と焼結助剤の組み合わせにおいて、ボンド粒は、CuまたはCuを含む合金であって、焼結助剤はSnとPとの混合物からなることが特に好ましい。PはCuやCu合金と強く反応し、反応した部分に金属化合物や空隙を生じやすく、さらにPとSnと併せて使用すると、CuやCu合金の表面に空隙を発生とこれによる比表面積の増加によってボンド粒同士の接合力が向上する。
球状の金属又は合金とすることで、ボンド粒の接点を小さくしボンド粒間に大きな気孔を設けることができので、結果として砥粒を機械的に保持することを抑制できる。
図1(a)に、本発明の実施形態に係るラップホイール用砥粒層構造を示す。
図1(a)において、ダイヤモンド等からなる砥粒11は、Cu、Ni、Feまたはこれらの金属を含む合金からなる球状のボンド粒14の表面に接合している。隣り合うボンド粒14はそれぞれの接点で結合して気孔15を形成している。ボンド粒14は気孔15に存在する焼結助剤16によって固定されている。焼結助剤16は、Sn、Ag、Pまたはこれらの混合物からなるものであって、ボンド粒同士の接合や砥粒を保持する機能を有するものである。
ボンド粒14を形成する金属粉末と焼結助剤16、および砥粒11を攪拌し、必要量を型に投入してプレス機にて圧力を加え、圧粉体を製造する。このとき、プレス圧力で圧粉体の体積を調整し、砥粒層に内在する気孔量を調整する。次に、焼結機に圧粉体を入れ、金属粉末の表面と焼結助剤16とが反応する温度に達するまで温度を上昇させ、この温度を一定時間維持した後冷却する。このときの温度が上がり過ぎると、金属粉末の表面だけでなくその内部まで反応してしまい、接点だけでなく面で接合するようになるため好ましくない。
また、Pは特にCuやCu合金と強く反応し、反応した部分に金属化合物や空隙を生じやすい。このため、焼結助剤16として金属を接合する機能を有するとともに、表面に空隙を増やす機能を有する。また、PとSnとを併せて使用すると、その相乗効果で、空隙の発生とこれによる比表面積の増加によって接合力が向上する。
(試験例1)
以下の条件で砥粒層を形成して、発明品を作製した。
砥粒 平均粒径10μmのダイヤモンド :2.5体積%
ボンド粒 平均粒径50μmNiとCuの合金粉末(噴霧粉):81.5体積%
焼結助剤 SnとP:8体積%(Snが5体積%、Pが体積3%)
気孔 8体積%
表1に、発明品とは異なる組成で砥粒層を形成した従来品(No1〜No4)と、発明品(No5)の構成と研削性能を示す。なお、表1における配合割合はいずれも体積%を示す。試験条件は以下の通りである。
使用ホイール 外径 250mm、穴径 100mm、砥粒層幅 50mm
回転数 100rpm
被削材 ガラス
(試験例2)
砥粒であるダイヤモンドの粒径とボンド粒径を変化させて性能比較を行った。試験条件は、粒径を除いて実験1と同じである。
表2に、ダイヤモンド粒径、ボンド粒径の値と、それぞれの場合の研削性能を示す。
(試験例3)
焼結助剤を用いたときと用いないときの研削性能の比較を行った。試験条件は試験例1と同様である。
12 ボンド材
13 ボンドブリッジ
14 ボンド粒
15 気孔
16 焼結助剤
17 反応層
Claims (3)
- 金属粉末からなるボンド粒がそれぞれの接点で結合されて気孔が形成され、前記気孔内には砥粒と焼結助剤とが配置されて砥粒層が形成され、前記ボンド粒の周囲には前記焼結助剤との反応層が形成され、前記ボンド粒同士は前記反応層に沿って層状に広がった前記焼結助剤によって結合され、前記砥粒が焼結助剤によって保持されたラップホイール用砥粒層構造であり、さらに前記ボンド粒がCu、Ni、Feまたはこれらの金属を含む合金からなる球状の粒子であり、前記焼結助剤が、Sn、Ag、Pまたはこれらの混合物からなり、前記ボンド粒の平均粒径が前記砥粒の平均粒径の3倍以上10倍以下であるラップホイール用砥粒層構造。
- 前記ボンド粒は、CuまたはCuを含む合金であって、前記焼結助剤はSnとPとの混合物からなることを特徴とする請求項1記載のラップホイール用砥粒層構造。
- 前記ボンド粒は噴霧法で作られた球状の金属や合金からなることを特徴とする請求項1または2記載のラップホイール用砥粒層構造。
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