JP4623863B2 - オールケーシング工法およびオールケーシング工法用滑材充填装置 - Google Patents

オールケーシング工法およびオールケーシング工法用滑材充填装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーシングを回転させつつこれで地盤を掘り下げ掘削していき、基礎杭用の掘削孔を形成するオールケーシング工法と、この工法に用いられるオールケーシング工法用滑材充填装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
基礎杭用の掘削孔を形成する工法として、オールケーシング工法が知られている。このオールケーシング工法は、直径が1〜3m程度のケーシング(あるいはケーシングチューブ)と呼ばれる鋼管パイプを、掘削機で回転させつつ地盤に対して鉛直方向に押し込み、地盤を掘り下げていくとともに、クレーンに設けられたグラブハンマーでケーシング内の土砂を掘削しつつ排土していく方法である。
このような方法によって形成する基礎杭用の掘削孔は、近年、建造物の高層化などに伴って深くなる傾向にあり、50〜70mもの深さになることもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このように掘削孔が深くなると、地山中の粘土層や岩盤層の締め付けによる摩擦抵抗が大きくなり、ケーシングを地盤中に押し込んで掘り下げていくための負荷が大きくなってしまう。また、所望深さの掘削孔を形成した後、ケーシングを引き抜く際にも、同様に粘土層や岩盤層による締め付けが大きいことから、その負荷が大きくなっている。
【0004】
また、特にケーシングの引き抜きに際しては、岩盤層での割れた岩片や砂礫層での砂礫が掘削孔の内壁とケーシングの外面間に挟まってしまい、これがくさびとして機能してしまうことにより、ケーシングが抜けなくなるといった問題がある。
【0005】
このようにしてケーシングが抜けなくなってしまった場合、ケーシングを引き抜かずにそのまま埋めたままにしたり、人が掘削孔内に入って砂礫等が挟まった位置を溶断し、その下部は埋めたままとし、上部のみを引き抜くようにしたりしている。しかしながら、このようにしてケーシング全体、あるいはその一部を埋めたままとした場合、次回の工事には掘削装置の一部であるケーシングを新たに備えなくてはならず、したがってコスト面で大きな損失を招くことになる。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、地盤へのケーシングの押し込みや地盤からのケーシングの引き抜きを容易にし、引き抜き不能によるコスト面での損失を大幅に低減したオールケーシング工法と、この工法に用いられるオールケーシング工法用滑材充填装置とを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決するべく検討を重ね、特にヒューム管の埋設に用いられる滑材に着目した。
ヒューム管は、下水管などとして埋設されたままで用いられるものである。このヒューム管の埋設は、通常は地盤に3〜5m程度の深さの溝を堀り、この溝内にヒューム管を設置した後、その上に土を埋め戻すことによって行う。
【0008】
また、特に交通止めができないような場所や、公共建築物、公共設備等の下にヒューム管を埋設する場合、予めその両側に深さ3〜5m程度の発進抗と到達抗とを形成しておき、発進抗側からジャッキ等によってヒューム管を水平方向に押し込んでいく。このとき、ヒューム管にかかる土圧による摩擦抵抗を低減するため、滑材が用いられている。すなわち、ヒューム管の外周面に滑材を塗布することにより、ヒューム管を滑り易くし、これにより地盤中に押し込み易くしているのである。
なお、このようにして押し込まれたヒューム管は、当然ながらそのまま埋設された状態で下水管などとして用いられる。
そして、本発明者はこのようなヒューム管の埋設に用いられる滑材に着目し、さらに鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させたのである。
【0009】
すなわち、本発明のオールケーシング工法では、ケーシングを回転させつつこれを地盤中に押し込むとともに、ケーシング内の土砂を排出することによって地盤を掘り下げ掘削し、その後ケーシングを引き抜くことによって基礎杭用の掘削孔を形成するオールケーシング工法において、ケーシングを回転させつつこれを地盤に押し込んでいく際に、滑材を水に分散させてなる滑材分散液を、ケーシングと該ケーシングで形成する掘削孔の開口部分とを囲んで地盤表面に設けた筒状の滑材注入用ガイドから、ケーシングと掘削孔との間隙に充填することを前記課題の解決手段とした。
【0010】
この工法によれば、滑材分散液をケーシングと掘削孔の内壁との間隙に充填するようにしたので、ケーシングを地盤に押し込んでいく際の、地山による摩擦抵抗が低減され、これによりケーシングの押し込みの際の負荷が低減される。また、ケーシングを引き抜く際にも、ケーシングと掘削孔の内壁との間隙に滑材分散液が残っていることにより、その引き抜きの際の負荷が低減する。
【0011】
本発明のオールケーシング工法用滑材充填装置では、ケーシングを回転させつつこれを地盤中に押し込むとともに、ケーシング内の土砂を排出することによって地盤を掘り下げ掘削し、その後ケーシングを引き抜くことによって基礎杭用の掘削孔を形成するオールケーシング工法に用いられる装置であって、滑材と水とを混合して滑材分散液を形成する混合機と、混合機で形成した滑材分散液を移送する移送手段と、ケーシングと該ケーシングで形成する掘削孔の開口部分とを囲んで地盤表面に形成されていて前記移送手段で移送された滑材分散液を地盤表面から前記ケーシングと掘削孔との間隙に充填する筒状の滑材注入用ガイドと、を備えてなることを前記課題の解決手段とした。
【0012】
この滑材充填装置によれば、移送手段によって混合機で形成した滑材分散液を滑材注入用ガイド内に移送することにより、該滑材分散液をケーシングと掘削孔の内壁との間隙に充填することが可能になる。したがって、前述したように、ケーシングを地盤に押し込んでいく際の、地山による摩擦抵抗を低減し、これによりケーシングの押し込みの際の負荷を低減することが可能になり、また、ケーシングを引き抜く際にも、その引き抜きの際の負荷を低減することが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
図1は本発明のオールケーシング工法用滑材充填装置の一実施形態例を示す図であり、図1中符号1はオールケーシング工法用滑材充填装置(以下、滑材充填装置と略称する)、2はケーシング、3は掘削機、4はクローラクレーンである。
【0014】
まず、滑材充填装置1の説明に先立ち、オールケーシング工法に用いられる装置について説明する。ケーシング2は、直径が1000〜3000mm程度、1本当たりの長さが1〜6m程度の鋼管パイプを繋いでいくもので、その下端面には図2に示すようにタングステン合金などの超硬合金からなる複数のビット5が取り付けられている。これらビット5は、ケーシング2が回転させられることによって地盤Aを削るもので、一部のビット5は、その刃先がケーシング2の外周面より10〜12mm程度外側に突出した状態に設けられている。このような構成により、ケーシング2が回転させられつつ地盤A中に押し込まれると、ビット5がケーシング2の直下を掘削すると同時に、ケーシング2の外周面より10〜12mm以上程度掘削し、これにより形成する掘削孔とケーシングとの間に幅10〜12mm以上程度の間隙を形成するようになる。
【0015】
掘削機3は、前記ケーシング2を保持しつつ、これを回転させ、かつその状態でこれを地盤Aに押し込み、また、一旦押し込んだケーシング2を引き抜くことができるよう構成されたもので、全周回転掘削機、あるいは全旋回掘削機などと称されるものである。
【0016】
クローラクレーン4は、図1に示したようにグラブハンマー6を昇降可能に吊り下げたものである。グラブハンマー6は、ケーシング2内の土砂を掘削排土するためのもので、シェル(刃先部;特殊鋳鋼製)、シェルホルダ(刃先取付部;特殊鋳鋼製)、本体(滑車装置;シェルの開放用バネ装置が内蔵されている)、ヘッド部(シェルの開閉用ワイヤロープのロックとクラウン部との連結機構を備えたもの)により構成された従来公知のものである。そして、このグラブハンマー6は、クロラクレーン4のワイヤロープによって操作されることにより、ケーシング2内の土砂を掘削し、さらにこの掘削した土砂をつかんで外に排出するようになっているのである。
【0017】
このようなオールケーシング工法に用いられる装置に対して、本発明の滑材充填装置1は、図2に示すようにケーシング2とこれで形成する掘削孔Bの開口部分とを囲む滑材注入用ガイド7と、滑材と水とを混合して滑材分散液を形成する混合機8と、混合機8で形成した滑材分散液を前記滑材注入用ガイド7内に移送する移送手段9とを備えて構成されたものである。
【0018】
滑材注入用ガイド7は、本例では有底円筒状のもので、底板部に掘削孔Bの開口部分と同じかこれよりやや大きい開口(図示せず)を形成した金属製、あるいは樹脂製等のものである。この滑材注入用ガイド7は、その径(ガイド径)、および容積(ガイド容量)がケーシング2の直径(呼称径)に対応して形成され、例えば表1に示すようなガイド径とガイド容量とされる。
【0019】
【表1】
Figure 0004623863
【0020】
混合機8は、本発明においては滑材を投入してこれを水に混合分散させるためのグラウトミキサー10と、グラウトミキサー10で混合分散されて得られた滑材分散液を貯留する水槽11とからなるものである。なお、グラウトミキサー10についてはその攪拌容量を500L程度、水槽11についてはその容量を2〜3m3 程度とするのが好ましく、この程度の大きさとすれば、これらの現場への運搬やその設置が容易になる。また、グラウトミキサー10は水槽11の上に配設されており、これによってグラウトミキサー10で得られた滑材分散液は、グラウトミキサー10の底部の開閉弁等(図示せず)を介してその自重により、水槽11に流入されるようになっている。
【0021】
移送手段9は、本例においては水槽11内に設けられた送液ポンプ12と、この送液ポンプ12と前記滑材注入用ガイド7との間に設けられた圧送管13とを備えてなるものである。圧送管3は、送液ポンプ12に接続されるとともに、図2に示すように滑材注入用ガイド7の側壁部7aに形成された貫通孔7bに挿通されることにより、該滑材注入用ガイド7に接続されたものとなっている。圧送管13には、その経路中に滑材分散液の送液量を調整するための液量調整部14が設けられている。この液量調整部14は、バルブの開口を絞ることなどにより、圧送管13を流れる滑材分散液の流量を変化させるものである。
【0022】
また、この液量調整部14には、前記バルブの開口を通過した後の部分に、滑材分散液の流れ状態を確認するための確認口14aが設けられている。この確認口14aを備えた液量調整部14は、滑材注入用ガイド7とほぼ同じ高さ位置に設置されるようになっており、これによってこの確認口14aで滑材分散液の流れ状態を確認することにより、滑材注入用ガイド7への滑材分散液の供給状態を確認することができるようになっている。なお、バルブの開口を通過した後の部分に流量計を設けておき、確認口14aから流量計を見ることにより、滑材分散液の流れ状態、すなわち滑材注入用ガイド7への滑材分散液の供給状態を確認するようにしてもよい。
【0023】
次に、このような構成からなる滑材充填装置1の使用方法に基づき、本発明のオールケーシング工法の一例を説明する。
まず、予め混合機8により、滑材充填装置1を調整する。具体的には、グラウトミキサー10に水(清水)と滑材とを入れ、攪拌機によってこれらを攪拌することにより、均一に混合分散させる。
【0024】
ここで、使用する滑材としては、粒状弾性型のものが用いられ、例えばオスモール(登録商標)50H(第一工業製薬株式会社製)が好適に用いられる。このオスモール(登録商標)50Hは、主成分を高級水性ポリマーとするもので、混練によって粒状弾性流動体(ゲル)を形成するものであり、せん断抵抗を持続的に低下させるとともに、粒状弾性体自身のベアリング効果によってケーシング2と地盤Aとの間の摩擦を低減させるものである。また、このオスモール(登録商標)50Hは、外観が灰白色粉体であり、粘度が約3500mPa・s(2.5%溶液、温度25℃)、pHが8.5〜10.5(2.5%溶液)のものである。なお、滑材としては、前記オスモール(登録商標)50Hに代えて、例えばベントナイト・オイル溶液型のものを用いることもできる。このベントナイト・オイル溶液型の滑材は、ベントナイトとオイルを主成分とする粘稠懸濁液型のもので、その粘稠性によってせん断抵抗を低下させることにより、ケーシング2と地盤Aとの間の摩擦を低減させるものである。
【0025】
また、このような滑材と水との配合については、特に限定されることはないものの、例えば水198Lに滑材(オスモール(登録商標)50H)5kgを分散させ、全体として200Lの分散液を形成する。ただし、この配合比については地盤Aの状態等に応じて適宜に変更され、例えば地下水が多い場合などでは、滑材分散液中の水の割合を少なくするのが好ましい。
【0026】
また、これとは別に、掘削機3のセット時に、予め決められた掘削孔形成箇所を囲んだ状態に滑材注入用ガイド7をセットする。そして、この滑材注入用ガイド7と前記混合機8との間に移送手段9となる圧送管13を設置するとともに、水槽11内に送液ポンプ12を設置する。なお、圧送管13中の液量調整部14については、滑材注入用ガイド7とほぼ同じ高さ位置となるように設置する。
【0027】
このようにして滑材充填装置1をセットしたら、送液ポンプ12を作動させて混合機8で調製した滑材分散液を、圧送管13を介して滑材注入用ガイド7に供給し、該滑材注入用ガイド7内を例えば半分以上満たしておくようにする。そして、このように滑材分散液を供給している状態のもとで、掘削機3によってケーシング2を回転させつつこれを地盤A中に押し込む。また、この掘削機3による掘削に対応させて、クローラクレーン4によりグラブハンマー6でケーシング2内の土砂を掘削しつつ、排土する。
【0028】
このようにしてケーシング2を地盤A中に押し込んでいき、掘削孔Bを徐々に形成していくと、滑材注入用ガイド7内に供給している滑材分散液がケーシング2と掘削孔Bの内壁との間に浸透し、ここに充填される。すると、ケーシング2はその外周面と掘削孔Bの内壁との間に滑材分散液が介在することにより、地盤A(地山)の締め付けによる摩擦抵抗をほとんど受けることがなくなる。したがって、ケーシング2は比較的円滑に押し込まれるようになることから、掘削機3は大きな負荷を負うことなく、ケーシング2による掘削を行うことができるようになる。
【0029】
ここで、ケーシング2による掘削とクローラクレーン4のグラブハンマー6による掘削とを続け、これによりケーシング2が地盤Aにより深く押し込まれると、ケーシング2と掘削孔Bの内壁との間の間隙が深くなるが、これに対応して前記移送手段9の送液ポンプ12によって滑材注入用ガイド7内に滑材分散液を供給し続けることにより、前記間隙内に満遍なく滑材分散液が充填される。なお、滑材分散液の滑材注入用ガイド7への供給状態については、確認口14aによってこれを確認することができる。
【0030】
このようにしてケーシング2を所望深さまで押し込み、またケーシング2内の土砂も所望深さに達するまでに排出し、所望深さの掘削孔Bを形成したら、クローラクレーン4のグラブハンマー6による掘削を停止し、また、掘削機3によるケーシング2の回転と押し込みも停止する。そして、掘削機3を操作し、ケーシング2を引き抜く方向に動作させる。すると、このようにケーシング2を引き抜く際にも、ケーシングと掘削孔との間隙に滑材分散液が残っており、さらに滑材注入用ガイド7内への滑材分散液の供給を続けているので、その引き抜きの際の摩擦抵抗もほとんどなく、したがってこの摩擦抵抗による負荷が大幅に低減される。
【0031】
このようにしてケーシング2を地盤Aに形成した掘削孔Bから引き抜いたら、滑材注入用ガイド7内への滑材分散液の供給を停止する。なお、掘削孔B内に残った滑材分散液については、通常は掘削孔Bの容積に対して十分に小であることから、そのまま地盤A中に浸透させ、あるいは掘削孔B内にわき出た地下水と一緒にしておき、後に基礎杭を打つ際に必要に応じて排出するようにする。
【0032】
このようなオールケーシング工法にあっては、滑材分散液をケーシング2と掘削孔Bの内壁との間隙に充填するようにしたので、ケーシング2を地盤Aに押し込んでいく際の、地盤A(地山)による摩擦抵抗を低減することができ、これによりケーシング2を押し込む際の掘削機3の負荷を大幅に低減することができる。また、ケーシング2を引き抜く際にも、ケーシング2と掘削孔Bの内壁との間隙に滑材分散液が残っているなどにより、その引き抜きの際の掘削機3の負荷を大幅に低減することができる。
【0033】
また、前記構成の滑材充填装置1にあっては、移送手段9によって混合機8で形成した滑材分散液を滑材注入用ガイド7内に移送することにより、前記オールケーシング工法を容易に実施してケーシング2と掘削孔Bの内壁との間の摩擦抵抗を低減し、ケーシング2の押し込みや引き抜きの際の掘削機3の負荷を大幅に低減することができる。
【0034】
また、圧送管13中に液量調整部14を設け、この液量調整部14に該圧送管13中を流れる滑材分散液を確認するための確認口14aを設けたので、滑材注入用ガイド7内を直接確認することなく該確認口14aで滑材分散液の滑材注入用ガイド7への供給状態を確認することができ、したがって掘削作業中に滑材注入用ガイド7の近傍にまで行く必要を無くすことができる。
【0035】
なお、本発明は前記実施形態例に限定されることなく、種々の設計的変更が可能である。例えば、滑材注入用ガイド7については有底円筒状でなく底板がない単なる筒状体としてもよく、また、圧送管13との接続についても、貫通孔7bによって行うことなく、予めその側壁部7aに接続パイプを形成しておき、この接続パイプによって接続を行うようにしてもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のオールケーシング工法は、滑材分散液をケーシングと掘削孔の内壁との間隙に充填するようにした方法であるから、ケーシングを地盤に押し込んでいく際の、地盤(地山)による摩擦抵抗を低減することができ、これによりケーシングを押し込む際の掘削機の負荷を大幅に低減することができる。また、ケーシングを引き抜く際にも、ケーシングと掘削孔の内壁との間隙に滑材分散液が残っているなどにより、その引き抜きの際の掘削機の負荷を大幅に低減することができる。
【0037】
さらに、このように滑材分散液を充填するようにしたことから、岩盤層での割れた岩片や砂礫層での砂礫が掘削孔の内壁とケーシングの外面間に挟まってしまうことを防止し、さらには挟まってしまっても滑材分散液で流し落とすことによりこれがくさびとして機能してしまうことを防止することができる。したがって、ケーシングが抜けなくなるといった問題を解消し、コスト面で大きな損失を招くことを防止することができる。
【0038】
本発明のオールケーシング工法用滑材充填装置は、移送手段によって混合機で形成した滑材分散液を滑材注入用ガイド内に移送するようにしたものであるから、該滑材分散液をケーシングと掘削孔の内壁との間隙に充填することができ、したがって、前記のオールケーシング工法を容易に実施することができる。よって、ケーシングの押し込み、引き抜きの際の掘削機の負荷を大幅に低減することができ、さらにケーシングが抜けなくなるといった問題も解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のオールケーシング工法用滑材充填装置の一実施形態例を説明するための図であり、滑材充填装置の使用形態を示す図である。
【図2】 図1に示したオールケーシング工法用滑材充填装置の要部概略構成図である。
【符号の説明】
1…オールケーシング工法用滑材充填装置、2…ケーシング、
7…滑材注入用ガイド、8…混合機、9…移送手段、14a…確認口
A…地盤、B…掘削孔

Claims (3)

  1. ケーシングを回転させつつこれを地盤中に押し込むとともに、ケーシング内の土砂を排出することによって地盤を掘り下げ掘削し、その後ケーシングを引き抜くことによって基礎杭用の掘削孔を形成するオールケーシング工法において、
    前記ケーシングを回転させつつこれを地盤に押し込んでいく際に、滑材を水に分散させてなる滑材分散液を、前記ケーシングと該ケーシングで形成する掘削孔の開口部分とを囲んで地盤表面に設けた筒状の滑材注入用ガイドにより、地盤表面から前記ケーシングと掘削孔との間隙に充填することを特徴とするオールケーシング工法。
  2. ケーシングを回転させつつこれを地盤中に押し込むとともに、ケーシング内の土砂を排出することによって地盤を掘り下げ掘削し、その後ケーシングを引き抜くことによって基礎杭用の掘削孔を形成するオールケーシング工法に用いられる装置であって、
    滑材と水とを混合して滑材分散液を形成する混合機と、混合機で形成した滑材分散液を移送する移送手段と、前記ケーシングと該ケーシングで形成する掘削孔の開口部分とを囲んで地盤表面に形成されていて前記移送手段で移送された滑材分散液を地盤表面から前記ケーシングと掘削孔との間隙に充填する筒状の滑材注入用ガイドと、を備えてなることを特徴とするオールケーシング工法用滑材充填装置。
  3. 前記移送手段には、該移送手段中を流れる滑材分散液を確認するための確認口が設けられていることを特徴とする請求項2記載のオールケーシング工法用滑材充填装置。
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