JP4623424B2 - フッ素樹脂多層積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、フッ素樹脂の多層積層体に関し、より詳しくは、燃料バリア性、生産性に優れる多層積層体に関する。
ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレ/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、エチレン/テトラフルロエチレン系共重合体等のフッ素共重合体(以下単に「フッ素樹脂」という。)は、耐熱性、耐薬品性、耐水性、耐油性、耐候性、耐老化性、ガスバリア性、燃料バリア性、離型性、非粘着性、防汚性、耐色素付着性、非溶出性等に優れた特性を有し、半導体産業、航空機・自動車産業、食品製造業、医療産業等の種々の分野で使用されている。例えば、純水、超純水、飲料水、ビール等各種アルコール飲料、ジュース等の非アルコール飲料、医薬、血液、輸液、薬液等の輸送チューブには、上記特性を有しているため、基本的に好ましく用いられるものである。
しかして、これらのフッ素樹脂は、上記用途に使用する場合、さらに具備することを要求される耐摩耗性、強靭性、柔軟性等の機械的強度の不足や価格が高価なことを補うため、他の汎用樹脂材料等との積層体とすることが試みられている。
例えば自動車の燃料移送用ホ−スには、燃料バリア性、耐燃料油性、機械的強度等が要求されており、内層に燃料バリア性及び耐燃料油性に優れるフッ素樹脂、外層に機械的強度に優れるポリアミド樹脂を使用した多層積層体からなるホ−スが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。当該ホースは、電子線や電磁波を照射することによりフッ素樹脂層とポリアミド層との界面に架橋構造を導入して接着性を向上せしめるものである。
しかして、近年、排気ガス環境に関する法規制は極めて厳しくなりつつあり、これに的確に対処するため、燃料移送用ホースについても、燃料バリア性のさらなる向上が強く求められている。しかしながら、ポリアミド樹脂は基本的に燃料バリア性がそれほど優れたものではないという根本的な問題があり(例えば、ポリアミド12の場合、燃料透過係数は、40g・mm/m2・day程度である。)、燃料移送用ホースは、フッ素樹脂とさらに高燃料バリア性を有する樹脂との積層体とすることが望ましい。かかる観点から、フッ素樹脂よりも燃料バリア性に優れる、高燃料バリア性樹脂としては、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、液晶ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体等が知られている。
従来、燃料に直接接触する最内層に耐燃料性に優れるフッ素樹脂を、機械的強度や耐磨耗性が要求される最外層の保護層に柔軟性や耐衝撃性のある熱可塑性エラストマーを配し、中間層に前記ポリフェニレンスルフィドのような高燃料バリア性樹脂を使用した多層積層体ホースが提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。
しかしながら、基本的に、フッ素樹脂は他材料との接着性に乏しく、強固な積層体とすることは困難なものであり、当該多層積層体ホースにおいても、フッ素樹脂層と高燃料バリア性樹脂層との接着強度は、充分ではなかった。
なお、フッ素樹脂とポリエステルやポリオレフィンをドライラミネート法により積層した多層積層体フィルムが、離型フィルムやキャリアフィルムとして使用されている(例えば、特許文献3〜特許文献4を参照。)。しかしながら、前記多層積層体フィルムはフッ素樹脂フィルムの表面をコロナ処理した後に接着剤を塗布して他樹脂フィルムを積層するという煩雑な工程を必要とするため、生産性が低く、高価な製品となるので、これをフッ素樹脂と高燃料バリア性樹脂との積層にそのまま適用することは困難である。
特開平5−8353号公報(特許請求の範囲(請求項1)、〔0011〕〜〔0012〕) 特開2000−329266号公報(特許請求の範囲(請求項1〜請求項7)、〔0013〕〜〔0017〕) 特開2002−67241号公報(特許請求の範囲(請求項1〜7)、〔0012〕〜〔0013〕) 特開2001−138338号公報(特許請求の範囲(請求項1〜7)、〔0008〕〜〔0013〕)
本発明の目的は、上記のような背景のもとに開発が要請されている、燃料バリア性に優れ及び生産性に優れる多層積層体を提供することである。
本発明に従えば、以下の多層積層体が提供される。
〔1〕
2層以上からなる多層積層体において、酸無水物残基を含有するフッ素樹脂(A)とアミン変成された熱可塑性樹脂(B)とが、(A)/(B)=20/80〜80/20の質量比で溶融混練されてなる接着性を有する樹脂組成物(C)からなる層I(C)を含有することを特徴とする多層積層体。
〔2〕
前記フッ素樹脂(A)が、エチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体である〔1〕に記載の多層積層体。
〔3〕
前記熱可塑性樹脂(B)の燃料透過係数が10g・mm/m2・day以下である〔1〕又は〔2〕に記載の多層積層体。
〔4〕
前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、液晶ポリエステル、ポリビニルアルコール及びエチレン/ビニルアルコール共重合体からなる群から選ばれる1種以上である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の多層積層体。
〔5〕
前記接着性を有する樹脂組成物(C)が、さらに導電性フィラーを含有し、当該導電性フィラーの含有量が、前記樹脂組成物(C)の100質量部に対し1〜40質量部である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の多層積層体。
本発明によれば、フッ素樹脂の特性である耐薬品性、柔軟性、機械的強度を保持しながら、より燃料バリア性が高く、層間接着力の優れた多層積層体を、低コストで生産することが可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の多層積層体は、2層以上からなる多層積層体において、酸無水物残基を含有するフッ素樹脂(A)とアミン変成された熱可塑性樹脂(B)とが、(A)/(B)=20/80〜80/20の質量比で溶融混練されてなる接着性を有する樹脂組成物(C)からなる層I(C)を含有するものである。
(酸無水物残基を含有するフッ素樹脂(A))
本発明における酸無水物残基を含有するフッ素樹脂(A)としては、酸無水物残基を主鎖又は側鎖に有するフッ素樹脂のいずれをも用いることができる。ここで、酸無水物残基とは、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の酸無水物に基づく構造を有する官能基をいう。酸無水物残基の含有量はフッ素樹脂(A)を構成する繰り返し単位の合計に対して0.01〜3モル%が好ましく、0.05〜2モル%がより好ましく、0.1〜1モル%が最も好ましい。酸無水物残基の量がこれよりあまり少ない場合は、本発明の効果を十分奏することができず、これよりあまり過大量を使用した場合は、当該フッ素樹脂の物理的特性自体を低下させるおそれがあり好ましくない。
この範囲にあると、フッ素樹脂(A)は、アミン変性された熱可塑性樹脂(B)との混練性に優れるため、分散性が向上し、両者は組成的に充分均一化する。従って得られた樹脂組成物(C)の層I(C)は、他層との接着性に優れる。
フッ素樹脂としては、酸無水物を導入しうるものであれば、特に限定するものではなく、含フッ素モノマーの重合体(i)、共重合体(ii)、又は含フッ素モノマーと含フッ素モノマー以外のモノマーとの共重合体(iii)が挙げられる。
ここで含フッ素モノマーとしては、テトラフルオロエチレン(以下「TFE」という。)、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(以下「VDF」という。)、フッ化ビニル、クロロトリフルオロエチレン(以下「CTFE」という。)、ヘキサフルオロプロピレン(以下「HFP」という。)、CF2=CFRf(ここで、Rfは炭素原子数2〜10のペルフルオロアルキル基である。)、CH2=CX(CF2nY(ここで、X及びYはそれぞれ独立に水素又はフッ素原子、nは2〜8の整数である。)で表される化合物等の含フッ素オレフィン、CF2=CFO(CF22F、CF2=CFO(CF23F(以下「PPVE」という。)等のペルフルオロ(アルキルビニルエ−テル)、CF2=CFOCH2CF3等の水素原子を含有する(ポリフルオロアルキル)トリフルオロビニルエ−テル等が挙げられる。含フッ素モノマーとしては、好ましくは、TFE、VDF、PPVE及びCH2=CX(CF2nYからなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはTFEである。含フッ素モノマーは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記CH2=CX(CF2nYで表される化合物としては、n=2〜4であるものが好ましい。当該化合物を共重合せしめたフッ素樹脂は、燃料バリア性、耐ストレスクラック性等に優れるからである。具体例としては、CH2=CF(CF22F、CH2=CF(CF23F、CH2=CF(CF24F、CH2=CF(CF22H、CH2=CF(CF23H、CH2=CF(CF24H、CH2=CH(CF22F、CH2=CH(CF23F、CH2=CH(CF24F、CH2=CH(CF22H、CH2=CH(CF23H、CH2=CH(CF24H等が好ましいものとして挙げられる。このうち、CH2=CF(CF22F、CH2=CH(CF22F、CH2=CH(CF22H又はCH2=CF(CF22Hがより好ましく、CH2=CH(CF22Fが最も好ましい。
含フッ素モノマー以外のモノマーとしては、エチレン(以下「E」という。)、プロピレン、ブテン等の炭化水素系オレフィン;グリシジルビニルエーテル、メチル(ビニロキシブチル)カーボネート等のビニルエ−テル;酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、ブタン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、クロトン酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられる。好ましくは、Eである。これら含フッ素モノマー以外のモノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フッ素樹脂(A)の具体例としては、TFE/E系共重合体、TFE/HFP系共重合体、TFE/PPVE系共重合体、TFE/VDF/HFP系共重合体、TFE/VDF系共重合体、CTFE/E系共重合体等が挙げられ、好ましくはTFE/E系共重合体である。
当該TFE/E系共重合体としては、具体的には、TFE/E/CH2=CH(CF24F共重合体及びTFE/E/CH2=CH(CF22F共重合体が好ましく、TFE/E/CH2=CH(CF22F共重合体がより好ましい。
なお、上記フッ素樹脂の燃料透過係数は、1.0〜5.0g・mm/m2・day程度のものである。
当該TFE/E系共重合体において、TFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位のモル比は、30/70〜70/30が好ましく、45/55〜65/35がより好ましく、50/50〜65/35が最も好ましい。TFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位のモル比が、これよりあまりに小さいと、得られる多層積層体の耐熱性、耐候性、耐薬品性、ガスバリア性、燃料バリア性等が充分でなく、当該モル比がこれよりあまりに大きいと、多層積層体の機械的強度、溶融成形性等が充分でない。当該モル比がこの範囲にあると、形成される多層積層体が耐熱性、耐候性、耐薬品性、ガスバリア性、燃料バリア性、機械的強度、溶融成形性等に優れたものとなる。
なお、TFE/E系共重合体が、TFE及びE以外のモノマーに基づく繰り返し単位を含有する場合は、TFE及びE以外のモノマーに基づく繰り返し単位の含有量は、TFE/E系共重合体中の全繰り返し単位に対して0.01〜20モル%が好ましく、0.05〜15モル%がより好ましく、0.1〜10モル%が最も好ましい。
(Q値)
本発明におけるフッ素樹脂(A)の容量流速(以下「Q値」という。)は、0.1〜1000mm3/秒で、好ましくは、5〜500mm3/秒、さらに好ましくは、10〜200mm3/秒である。Q値は、フッ素樹脂を溶融成形する場合に問題となる樹脂の溶融流動性を表す指標であり、分子量の目安となる。すなわち、Q値が大きいと分子量が低く、小さいと分子量が高いことを示す。本発明におけるQ値は、島津製作所社製フローテスタを用いて、当該フッ素樹脂の融点より50℃高い温度において、荷重7kg下に直径2.1mm、長さ8mmのオリフィス中に押出すときの樹脂の押出し速度である。Q値が小さすぎると当該フッ素樹脂の押出し成形が困難となり、大きすぎると樹脂の機械的強度が低下する。Q値が、上記規定の範囲にあると、当該フッ素樹脂は押出成形性及び機械的強度に優れるので好ましい。
(酸無水物残基の導入)
本発明において、前記フッ素樹脂に、酸無水物残基を導入する方法としては、TFEやHFP等の含フッ素モノマーを重合してフッ素樹脂を製造する際に、当該含フッ素モノマーと重合性不飽和結合を有する酸無水物とを共重合させる方法、酸無水物残基を重合体末端に導入できる重合開始剤又は連鎖移動剤の存在下に含フッ素モノマーを重合する方法、重合性不飽和結合を有する酸無水物とフッ素樹脂とを混合して放射線照射又は溶融押出しすることにより該酸無水物をフッ素樹脂にグラフト重合する方法等が挙げられる。
好ましくは、含フッ素モノマーと重合性不飽和結合を有する酸無水物とを共重合させる方法である。このようなフッ素樹脂(A)は、例えば特開2004−238405等に記載の方法で製造できる。
なお、重合性不飽和結合を有する酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和基含有環状酸無水物等が挙げられる。なかでも好ましくは、無水マレイン酸、無水イタコン酸及び無水シトラコン酸からなる群から選ばれる1種以上であり、特に好ましくは、無水イタコン酸である。
本発明におけるフッ素樹脂(A)の製造方法については特に制限はなく、TFE、HFP等のフッ素含有モノマー、E等の非フッ素モノマー、酸無水物モノマー等を反応器に装入し、一般に用いられているラジカル重合開始剤、連鎖移動剤を用いて共重合させる方法が採用できる。重合方法の例としては、それ自身公知の、塊状重合;重合媒体としてフッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素等の有機溶媒を使用する溶液重合;重合媒体として水性媒体及び必要に応じて適当な有機溶剤を使用する懸濁重合;重合媒体として水性媒体及び乳化剤を使用する乳化重合が挙げられるが、溶液重合が最も好ましい。重合は、一槽ないし多槽式の撹拌型重合装置、管型重合装置等を使用し、回分式又は連続式操作として実施することができる。
ラジカル重合開始剤としては、半減期が10時間である温度が0〜100℃である開始剤が好ましく、20〜90℃である開始剤がより好ましい。例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジイソプロピルペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート;tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシアセテート等のペルオキシエステル;イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の非フッ素系ジアシルペルオキシド;(Z(CF2pCOO)2(ここで、Zは水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、pは1〜10の整数である。)等の含フッ素ジアシルペルオキシド;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等が挙げられる。
重合媒体としては、上記したようにフッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素等の有機溶媒、水性媒体等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール;1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン等のクロロフルオロハイドロカーボン;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等のハイドロカーボン、無水酢酸等が挙げられる。
重合条件は特に限定されるものではないが、例えば重合温度は通常0〜100℃が好ましく、20〜90℃がより好ましい。また重合圧力は0.1〜10MPaが好ましく、0.5〜3MPaがより好ましい。重合時間は重合温度及び重合圧力等により変わりうるが、通常1〜30時間が好ましく、2〜10時間がより好ましい。
(アミン変性される熱可塑性樹脂(B))
本発明の多層積層体は、上記酸無水物残基を有するフッ素樹脂(A)と、アミン変性された熱可塑性樹脂(B)を溶融混練してなる樹脂組成物(C)からなる層I(C)を含むものである。
本発明における熱可塑性樹脂(B)としては、特に限定するものではないが、本発明の多層積層体を燃料用ホース等の高燃料バリア性が要求される用途に使用する場合等を考慮すると、特に低燃料透過性の熱可塑性樹脂で、より好ましくは燃料バリア性がフッ素樹脂よりも高いものが望ましいものとして挙げられる。
例えばポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、液晶ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルスルホン、ポリエーテルニトリル、ポリフェニレンエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体のポリニトリル系樹脂、脂肪族ポリケトン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、上記した酸無水物残基を有するフッ素樹脂以外のフッ素樹脂等が好ましいものとして挙げられる。
これらの燃料透過係数は少なくとも10.0g・mm/m2・day以下、好ましくは6.0g・mm/m2・day以下、さらに好ましくは1.0g・mm/m2・day以下、よりいっそう好ましくは0.6g・mm/m2・day以下、最も好ましくは0.2g・mm/m2・day以下のものである。なお、ポリアミドは、すでに述べたように通常は燃料バリア性がフッ素樹脂よりもずっと劣るため好ましくない(これら燃料透過係数はすべて後記実施例に記載のカップ法によったものである。)。
熱可塑性樹脂(B)としては、より好ましくは、ポリフェニレンスルフィド(燃料透過係数:0.13g・mm/m2・day)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(燃料透過係数:0.15g・mm/m2・day)、ポリブチレンナフタレート(燃料透過係数:0.06g・mm/m2・day)、液晶ポリエステル(燃料透過係数:0.01g・mm/m2・day)、ポリビニルアルコール及びエチレン/ビニルアルコール共重合体樹脂(燃料透過係数:0.60g・mm/m2・day)からなる群から選ばれる1種以上であり。さらに好ましくは、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートである。
(アミン変性の方法)
本発明における熱可塑性樹脂(B)の製造方法としては、当該熱可塑性樹脂の製造時にアミノ基を有するコモノマーを共重合する方法、アミノ基を有する開始剤又は連鎖移動剤を用いて高分子鎖末端にアミノ基を導入する方法、熱可塑性樹脂にアミノ基を有するモノマーをグラフト共重合する方法、溶融状態で熱可塑性樹脂とアミノ基を有する化合物とを混練して高分子反応でアミノ基を導入する方法等が挙げられる。特に、熱可塑性樹脂とアミノ基を有する化合物とを溶融混練して分子鎖にアミノ基を導入する方法が最も簡便であり、かつ、充分な効果が得られるので好ましい。
アミノ基を有するコモノマーとは、熱可塑性樹脂の重合製造時にこれと共重合しうる一級アミノ基又は二級アミノ基及びラジカル重合可能な二重結合を有するモノマーである。例えば、アリルアミン、ジアリルアミン、2−メチルアリルアミン、アリルウレア、アクリルアミド、メタクリルアミド、アミノメチル(メタ)アクリレート、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ビニルイミダゾール等が挙げられる。
アミノ基を有する開始剤又は連鎖移動剤としては、例えば、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−[2−(ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス〔2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン〕ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)等が好ましいものとして挙げられる。
アミノ基を有する化合物としては、アミノ基を有するシランカップリング剤が好ましく、具体例としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリス(2−エチルヘキソキシ)シラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノウンデシルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
アミノ基の熱可塑性樹脂への導入量は、通常当該熱可塑性樹脂に対してアミノ基基準で、0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜8質量%、最も好ましくは0.5〜5質量%である。
(樹脂組成物(C)の調製、A/B比)
本発明における樹脂組成物(C)は、以上のごとくして調製された酸無水物残基を含有するフッ素樹脂(A)とアミン変成された熱可塑性樹脂(B)とを、加熱溶融が可能な混練機において、加熱下に溶融混練することにより得られる。加熱温度は、フッ素樹脂(A)とアミン変成された熱可塑性樹脂(B)の両者が溶融する温度例えば250〜350℃程度が採用され、2〜60分程度行われる。
本発明における樹脂組成物(C)を調製する場合、酸無水物残基を含有するフッ素樹脂(A)とアミン変性された熱可塑性樹脂(B)との質量比については、少なくとも(A)/(B)=10/90〜90/10の質量比であり、(A)/(B)=20/80〜80/20が好ましい。両者の質量比がこれよりあまり少ないと、樹脂組成物(C)から構成される層I(C)の層間接着力が充分でなく、これよりあまり多いと、層I(C)の燃料バリア性が充分でない。(A)/(B)の質量比がこの範囲にあると、層I(C)は層間接着力に優れ、かつ、高い燃料バリア性を保持することができる。
(多層積層体)
本発明の多層積層体は、上記した酸無水物残基を含有するフッ素樹脂(A)とアミン変成された熱可塑性樹脂(B)とを規定の質量比で溶融混練してなる接着性を有する樹脂組成物(C)からなる層I(C)を含有する2層以上の多層積層体である。
そして、当該層I(C)は、その層の表面において、フッ素樹脂(A)に由来する酸無水物残基、及び熱可塑性樹脂(B)に由来するアミノ基が多数存在するため、他の多くの樹脂、特に熱可塑性樹脂(D)との良好な接着性を有する。従って、当該層I(C)を接着層としてこの上に他の熱可塑性樹脂層II(D)を熱積層することにより、両者は強固に接合し、層間が強固に接合した2層の多層積層体〔I(C)/II(D)〕を形成することができる。
当該層I(C)はまた、ポリフェニレンスルフィドのような高燃料バリア性の熱可塑性樹脂をフッ素樹脂とともに溶融混練した樹脂組成物(C)からなるものであるから、接着性であるとともに、高い燃料バリア性を有するものである。
さらに同様にして、本発明における層I(C)を含む3層以上の多層積層体〔I(C)/II(D)/III(D’)、〔I(C)/II(D)/III(D’)/IV(D’’)〕、〔I(C)/II(D)/III(D’)/IV(D’’)/V(D’’’)〕・・・・等を形成することもできる。このようにして、当該層I(C)をベースとして、所望の熱可塑性樹脂を積層することにより、低コストで、容易に、機械的強度、燃料バリア性、薬液バリア性に優れる多層積層体を形成することができる。
また、上記した層構成は、当該層I(C)の片側に積層を行った場合であるが、同様に当該層I(C)の両側に熱可塑性樹脂を積層することもできる。例えば〔III’(D’)/II’(D)/I(C)/II(D)/III(D’)/IV(D’’)〕・・・のごとき、I(C)層を内層またはサンドイッチするような層構成の多層積層体が例示される。
本発明におけるI(C)に、内層及び/又は外層として好適に積層し、上記したような2層以上の積層体〔〔I(C)/II(D)/III(D’)/IV(D’’)/V(D’’’)・・・・〕や、〔III’(D’)/II’(D)/I(C)/II(D)/III(D’)/IV(D’’)〕・・・等を形成することができる樹脂〔D、D’、D’’、・・・〕としては、熱可塑性樹脂であれば特に限定するものではなく、目的に応じて任意のものが選択使用され、例えば、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、)、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ABS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレン/ビニルアルコール)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂からなる層を有することが好ましい。
なお、上記熱可塑性樹脂としては、フッ素樹脂を使用することも可能である。その場合のフッ素樹脂(A’)は、通常酸無水物残基を有するフッ素樹脂(A)とは異なるものであり、TFE/E系共重合体、TFE/HFP系共重合体、TFE/PPVE系共重合体、TFE/VDF/HFP系共重合体、TFE/VDF系共重合体、CTFE/E系共重合体等が挙げられ、好ましくはTFE/E系共重合体である。ただし、すでに述べた酸無水物残基を有するフッ素樹脂(A)を使用することももちろん可能であり好ましい。
またTFE/E系共重合体としては、TFE/E/CH2=CH(CF24F共重合体及びTFE/E/CH2=CH(CF22F共重合体が好ましく、TFE/E/CH2=CH(CF22F共重合体がより好ましい。
本発明の多層積層体としては、より具体的な層構成を例示すれば以下のとおりである。
樹脂組成物(C)/フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂(D)からなる2層積層体、樹脂組成物(C)/フッ素樹脂(A)からなる2層積層体、樹脂組成物(C)/熱可塑性樹脂(B)からなる2層積層体、樹脂組成物(C)/フッ素樹脂(A)以外のフッ素樹脂(A’)からなる2層積層体、フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂(D)/樹脂組成物(C)/フッ素樹脂(A)からなる3層積層体、フッ素樹脂(A)/樹脂組成物(C)/フッ素樹脂(A)からなる3層積層体、熱可塑性樹脂(B)/樹脂組成物(C)/フッ素樹脂(A)からなる3層積層体、フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂(D)/フッ素樹脂(A)/樹脂組成物(C)からなる3層積層体、熱可塑性樹脂(B)/フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂(D)/樹脂組成物(C)/フッ素樹脂(A)からなる4層積層体、フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂(D)/樹脂組成物(C)/フッ素樹脂(A)/フッ素樹脂(A)以外のフッ素樹脂(A’)からなる4層積層体、フッ素樹脂(A)/フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂(D)/樹脂組成物(C)/フッ素樹脂(A)/フッ素樹脂(A)以外のフッ素樹脂(A’)からなる5層積層体等が挙げられる。
特に、燃料移送用ホースに用いる場合には、フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂(D)/樹脂組成物(C)からなる2層積層体、樹脂組成物(C)/フッ素樹脂(A)からなる2層積層体、フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂(D)/樹脂組成物(C)/フッ素樹脂(A)からなる3層積層体、フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂(D)/樹脂組成物(C)/熱可塑性樹脂(B)からなる3層積層体、又はフッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂(D)/樹脂組成物(C)/フッ素樹脂(A)/フッ素樹脂(A)以外のフッ素樹脂(A’)からなる4層積層体が好ましい。
なお、樹脂組成物(C)/フッ素樹脂(A)からなる2層積層体のような場合は、フッ素樹脂(A)の層は、内層として使用することが好ましい。
本発明の多層積層体の全体としの厚さは、その目的に応じて任意に設定できるが、一般的には10μm〜2cmが好ましく、50μm〜1cmがより好ましい。また、樹脂組成物層I(C)の厚さは、2μm〜5000μmが好ましく、20μm〜500μmがより好ましい。
また、特に前記3層積層体を、燃料移送用ホースに使用する場合の各層の厚みについては、フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂(D)/樹脂組成物(C)/フッ素樹脂(A)(又は(A’))=0.5〜0.9mm/0.1〜0.5mm/0.1〜0.5mmが好ましい。
また、3層積層体をフィルムに使用する場合、フッ素樹脂(A)(又は(A’))/樹脂組成物(C)/フッ素樹脂(A)(又は(A’))=0.01〜1mm/0.01〜1mm/0.01〜1mmが好ましい。
本発明の多層積層体は、他の層との接着力にすぐれた層I(C)を含む積層体であって、これを、フィルム、シート、チューブ、ホース、タンク、ボトル等の種々の形状に成形できる。
(積層体の形成)
本発明の2層積以上の多層積層体、例えば〔I(C)/II(D〕、〔I’(D)/I(C)/II(D〕、〔I(C)/II(A〕、〔I’(A)/I(C)/II(D〕、または、当該積層体を含む〔(I)/(II)/(III)〕等を得る方法としては、成形の簡便性、生産性から多層押し出し成形(共押し出し成形)、押し出しラミネート成形、加熱ロール、加熱プレスを用いたラミネート成形、多層射出成形、多層ブロー成形等の熱積層を含む方法を好適に適用することができる。より好ましくは、共押出し成形する方法である。例えば共押出し成形においては、当該樹脂組成物(C)とフッ素樹脂(A)、熱可塑性樹脂(D)とは、異なる押出機の吐出口から吐出され、溶融状態で接触させつつダイを通すことにより、当該樹脂組成物(C)の層I(C)と、フッ素樹脂の層II(A)、当該熱可塑性樹脂の層II(D)等が直接積層されてなる積層体が成形されるのである。
また、まず、〔I(C)/II(D)〕を多層押し出し成形や押し出しラミネート成形で形成し、これに第3層I’(D)等を熱プレスして多層体〔I’(D)/I(C)/II(D〕とすることもできるし、例えば多層押し出し形成や多層ラミネート成形により一段で積層体〔I(C)/II(D)〕を含む多層体を形成することもできる。
また、溶融多層押出しにより多層体を形成する場合は、溶融混練・射出温度は、150〜400℃、好ましくは180〜350℃、さらに好ましくは200〜320℃である。この温度を超えると熱可塑性樹脂の熱分解や熱変質、及び樹脂の着色等が無視できなくなるおそれがあり好ましくない。
(導電性フィラー)
本発明の多層積層体を、燃料等の可燃性溶媒用容器及びホース、及び半導体用部品等の成形品として使用する場合には、当該成型品の表面層(燃料ホース等の場合は液相と接する層(最内層)であり、半導体用部品等の場合は最表面層)が帯電防止性を有することが好ましい。そのため、当該多層積層体の表面層を構成する樹脂が導電性フィラーを含有することが好ましい。導電性フィラーを配合する当該樹脂としては、当該表面層を構成するフッ素樹脂及びフッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂(D)のいずれでもよいが、特に、液相と接する層の場合は、耐燃料油性、耐薬品性、耐溶剤性に優れるフッ素樹脂が好ましい。なお、当該フッ素樹脂としては、前記の酸無水物残基を含有するフッ素樹脂(A)、及び酸無水物を含有しないフッ素樹脂(A’)のいずれも使用できる。なお、場合によっては樹脂組成物(C)に導電性フィラーを配合することもできる。
前記導電性フィラーとしては、炭素系導電性フィラーが好ましい。炭素系導電性フィラーとしては、BET比表面積が50〜1000m2/gであり、かつDBP吸油量が100ml/100g〜1000ml/100gであるものが好ましくは、さらにはBET比表面積が60〜600m2/gであり、かつDBP吸油量が150〜1000ml/100gであるものがより好ましい。
炭素系導電性フィラーのBET比表面積が50m2/g未満であると導電性が低く、1000m2/gより大きいと当該導電性フィラーが凝集し成形品の表面平滑性が失われる傾向となる。また、そのDBP吸油量は100ml/100g未満であると導電性が低く、1000ml/100gより大きいと成形品の表面平滑性が失われる。BET比表面積とDBP吸油量が、上記範囲にある炭素系導電性フィラーをフッ素樹脂等の表面層を形成する樹脂に配合することにより、当該樹脂層の導電性が十分高く、また、当該樹脂層または樹脂成形品は、表面平滑性に優れたものとなる。
炭素系導電性フィラーとしては、カーボンナノチューブ(中空炭素マイクロファイバーとも呼ばれる。)、カーボンナノホーン及び、アセチレンブラックやケッチェンブラック等のカーボンブラックが挙げられる。
カーボンナノチューブ及びカーボンナノホーンとしては、直径が3.5〜70nmであり、アスペクト比が5〜200のものが好ましく、直径が5〜60nmであり、アスペクト比が5〜200であるものがより好ましく、直径が10〜55nmであり、アスペクト比が10〜100であるものが最も好ましい。カーボンナノチューブ等の直径及びアスペクト比がこの範囲にあると、これらを配合した樹脂層または樹脂成形品が表面平滑性に優れるので好ましい。
また、カーボンブラックは、平均粒子径3.5〜70nmが好ましく、5〜50nmがより好ましく、10〜40nmであることが最も好ましい。カーボンブラックの平均粒径がこの範囲にあると、これを配合した樹脂層または樹脂成形品が表面平滑性に優れる。
炭素系導電性フィラーの体積固有抵抗率は1×109Ω・cm以下であることが好ましい。また、炭素系導電性フィラーを配合した樹脂層または樹脂成型品の表面抵抗率は、1×10-4〜1×102Ω/□が好ましく、1×10-4〜10Ω/□がより好ましく、1×10-4〜1Ω/□が最も好ましい。
フッ素樹脂(A又はA’)又は樹脂組成物(C)等に対する導電性フィラー配合量は、当該樹脂等の100質量部に対し1〜40質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。導電性フィラーの配合量がこの範囲であると、当該樹脂は、導電性が充分で、当該樹脂層または樹脂成型品は、引張り伸度に優れ、耐衝撃性にも優れるので好ましい。
これらの導電性フィラーはフィラー単体で添加できるが、あらかじめフッ素樹脂(A又はA’)及び熱可塑性樹脂(D)にこれらのフィラーを分散させたマスターバッチの状態で添加することも好ましい。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれに限定されるものではない。
層間接着力及び燃料透過性は以下の方法により測定した。
〔層間接着力(N/cm)〕
プレス成形によって得られる厚さ100μmの樹脂組成物(C)のフィルムと、これと積層される厚さ100μmの例えばポリアミド(PA12)等のフィルムを重ね合わせ、インパルス式ヒートシーラー(富士インパルス社製)により熱融着させ融着フィルムを得た。当該熱融着フィルムを切断し、幅1cmの短冊状試験片を作成した。当該試験片フィルムの各層を引張試験機(オリエンテック社製)のチャックに固定して180°剥離したときの剥離強度を層間接着力とした。
〔燃料透過係数(g・mm/m2・day)〕
JIS Z0208に規定されているカップ法に準拠して燃料透過係数を測定する。燃料〔CE10(イソオクタン:トルエン:エタノール=45:45:10体積比)〕9.5〜10gを、透過面積28.26cm2のカップに入れ、測定対象である厚さ100μmの樹脂フィルムで当該カップ上部を覆い、60℃で10日間保持した後の質量減少量を測定し、燃料透過係数を算出する。燃料透過係数が低いほど燃料バリア性に優れることを示す。
〔合成例1〕(酸無水物残基を含有するフッ素樹脂(A)の調製及びそのフィルム)
(1)撹拌機付き重合槽に、1−ヒドロトリデカフルオロヘキサン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、CH2=CH(CF24Fを仕込み、重合開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレートを使用して重合を開始し、重合中圧力が一定になるように組成TFE/E=54/46(モル比)のモノマー混合ガスを連続的に仕込み、TFE/Eのモノマー混合ガスに対して2.2モル%となるようにCH2=CH(CF24Fを、1.1モル%となるように無水イタコン酸をそれぞれ連続的に仕込みイタコン酸無水物残基を含有するフッ素樹脂(A)を得た。
(2)当該フッ素樹脂(A)は、TFE/E系共重合体(共重合体組成:TFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位/CH2=CH(CF24Fに基づく繰り返し単位/イタコン酸無水物に基づく繰り返し単位=58.1/39.0/2.1/0.8(モル比))であった(以下「フッ素樹脂1」という。)。
(3)当該フッ素樹脂1を320℃でプレスして厚み100μmのフィルムを得た。当該フッ素樹脂1のフィルムの燃料透過係数は3.5g・mm/m2・dayであった。
〔合成例2〕(アミン変成された熱可塑性樹脂(B)及び樹脂組成物(C)の調製及びそのフィルム)
(1)熱可塑性樹脂としてポリフェニレンスルフィド樹脂(大日本インキ化学工業社製、LD−10、溶融粘度400Pa・s(以下「PPS」という。))を使用し、その43.42gとアミノ基を有するシランカップリング剤(日本ユニカー社製、A−1100(以下「A−1100」という。)の1.58gを充分に混合し、シリンダ温度310℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)にて5分間溶融混練して、アミン変成されたPPS(以下「PPS1」という。)の45gを得た。
(2)このPPS1(アミン変成された熱可塑性樹脂(B))の13.5gとフッ素樹脂1(イタコン酸無水物残基を含有するフッ素樹脂(A))の31.5gをシリンダ温度310℃に設定したラボプラストミルにて10分間溶融混練することで樹脂組成物(C)(以下「樹脂組成物(C1)」という。)の45gを得た。
(3)樹脂組成物(C1)を320℃でプレスして厚み100μmのフィルムを得た。当該樹脂組成物(C1)のフィルムの燃料透過係数は、1.38g・mm/m2・dayであった。
〔合成例3〕(アミン変成された熱可塑性樹脂(B)及び樹脂組成物(C)の調製及びそのフィルム)
(1)熱可塑性樹脂としてのPPSの41.85g、アミノ基を有するシランカップリング剤A−1100の3.15gを用いる以外は、合成例2と同様にしてアミン変成されたPPS(以下「PPS2」という。)の45gを得た。
(2)PPS2(アミン変成された熱可塑性樹脂(B))の13.5gとフッ素樹脂1(イタコン酸無水物残基を含有するフッ素樹脂(A))の31.5gをシリンダ温度310℃に設定したラボプラストミルにて10分間溶融混練することで樹脂組成物(C)(以下「樹脂組成物(C2)」という。)の45gを得た。
(3)樹脂組成物(C2)を320℃でプレスして厚み100μmのフィルムを得た。当該樹脂組成物(C2)のフィルムの燃料透過係数は、1.40g・mm/m2・dayであった。
〔合成例4〕(アミン変成された熱可塑性樹脂(B)及び樹脂組成物(C)の調製及びそのフィルム)
(1)熱可塑性樹脂としてのPPSの43.99g、アミノ基を有するシランカップリング剤A−1100の1.01gを用いる以外は、合成例2と同様にしてアミン変成されたPPS(以下「PPS3」という。)の45gを得た。
(2)PPS3(アミン変成された熱可塑性樹脂(B))の18.0gとフッ素樹脂1(イタコン酸無水物残基を含有するフッ素樹脂(A))の27.0gをシリンダ温度310℃に設定したラボプラストミルにて10分間溶融混練することで樹脂組成物(C)(以下「樹脂組成物(C3)」という。)の45gを得た。
(3)樹脂組成物(C3)を320℃でプレスして厚み100μmのフィルムを得た。当該樹脂組成物(C3)のフィルムの燃料透過係数は、0.8g・mm/m2・dayであった。
〔実施例1〕
ポリアミド12(宇部興産社製ウベスタ3030JI6L(以下「PA12」)という。)を、240℃で押出成形して厚さ100μmのフィルムを得た。
合成例2で得た樹脂組成物(C1)のフィルム及び上記形成したPA12のフィルム(それぞれ厚さ100μm)を重ね合わせ、ヒートシーラー(富士インパルス社製)を用いて、溶融接着させ、積層フィルム〔I(C1)/II(PA12)〕を得た。当該積層フィルムの層間接着力は14.3N/cmであった。
〔実施例2〕
樹脂組成物(C1)のフィルムの代わりに合成例2で得た樹脂組成物(C2)のフィルムを使用するほかは、実施例1同様に処理して積層フィルム〔I(C2)/II(PA12)〕を得た。当該フィルムの層間接着力は16.4N/cmであった。
〔実施例3〕
樹脂組成物(C1)のフィルムの代わりに合成例3で得た樹脂組成物(C3)のフィルムを使用するほかは、実施例1同様に処理して積層フィルム〔I(C3)/II(PA12)〕を得た。当該フィルムの層間接着力は11.7N/cmであった。
〔比較例1〕
合成例2で使用したPPSを、アミン変性することなくそのまま320℃でプレスして厚さ100μmのフィルムを得た(当該PPSフィルムの燃料透過係数は、0.13g・mm/m2・dayであった。)。
このPPSのフィルムと実施例1で使用したPA12のフィルム(厚み100μm)を、実施例1と同様にして溶融接着することを試みたが、両者は殆ど接着せず積層フィルムは得られなかった。このため、層間接着力の測定はできなかった。
本発明の多層積層体は、高燃料バリア性、層間接着性に優れた多層積層体であって、高燃料バリア性、耐油性、耐熱性、耐薬品性、耐食性、耐候性等に優れ、かつ、フィルム、シート、チューブ、ホース、タンク、ボトル等の種々の形状に容易に成形することができる。従って、自動車部品、工業材料、産業資材、電気電子部品、半導体用部品、半導体製造装置用部品、機械部品、事務機器用部品、家庭用品、容器、ホース、フィルム、繊維、モノフィラメント等の広範囲の産業分野に好適に使用できる。
具体的には、ガソリン、軽油、アルコール等の自動車用燃料用ホース、燃料用フィラーネック、冷却液用ホース、ブレーキホース、エアコンホース、燃料搬送用ホース、石油掘削パイプ、ペイントスプレーチューブ、大型インクジェットプリンターのインク輸送用チューブ、産業用ホース、油類、薬液、塗料、ビール、酒類、醤油、ソース、飲料水、コーヒー、紅茶、牛乳、乳酸飲料、果汁、シロップ、ヨーグルト、マヨネーズ、ミソ等ペースト状食品等の輸送用等の工業用、食品用ホース、飲料用ホース等のホース類、輸液、薬液、及び輸血用血液を供給する医療用チューブ、農業用フィルム、ライニング用フィルム、壁紙等の建築用内装材、ラミネート鋼板用フィルム等のフィルム類、自動車ラジエータータンク、薬液用ボトル、薬液タンク、薬液用バック等の薬液用容器、自動車用燃料タンク等のタンク類、接着剤等があげられる。
特に、自動車用燃料用ホース、自動車用燃料用タンク、産業用ホース及びタンク、食品用ホース、飲料用ホース、耐候性フィルム、耐薬品性ライニング用途に適するものである。

Claims (5)

  1. 2層以上からなる多層積層体において、酸無水物残基を含有するフッ素樹脂(A)とアミン変成された熱可塑性樹脂(B)とが、(A)/(B)=20/80〜80/20の質量比で溶融混練されてなる接着性を有する樹脂組成物(C)からなる層I(C)を含有することを特徴とする多層積層体。
  2. 前記フッ素樹脂(A)が、エチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体である請求項1に記載の多層積層体。
  3. 前記熱可塑性樹脂(B)の燃料透過係数が10g・mm/m2・day以下である請求項1又は2に記載の多層積層体。
  4. 前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、液晶ポリエステル、ポリビニルアルコール及びエチレン/ビニルアルコール共重合体からなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の多層積層体。
  5. 前記接着性を有する樹脂組成物(C)が、さらに導電性フィラーを含有し、当該導電性フィラーの含有量が、前記樹脂組成物(C)の100質量部に対し1〜40質量部である請求項1〜4のいずれかに記載の多層積層体。
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