次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の平面図、図2は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の側断面図、図3は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の部分平面図図、図4は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の実装対象となる基板の構成説明図、図5は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図、図6は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置による部品実装工程における実装順序の説明図、図7,図8、図9、図10は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の動作説明図、図11は本発明の一実施の形態の電子部品実装方法における部品実装動作の実行順序を示すタイムチャート、図12、図13は本発明の一実施の形態の電子部品実装方法の工程説明図である。
まず図1、図2、図3を参照して電子部品実装装置の全体構造について説明する。図2は図1におけるA−A矢視を示している。図1において、基台1上には部品供給部2が配設されている。図2に示すように、部品供給部2はウェハ保持テーブル3を備えており、ウェハ保持テーブル3は部品保持治具であるウェハリング5を着脱自在に保持する。ウェハリング5に展張されたシート(図示省略)には、電子部品である半導体チップ6(以下、単に「チップ6」と略記。)が個片に分離された状態で貼着されており、ウェハ保持テーブル3にウェハリング5が保持された状態では、部品供給部2は部品保持治具に平面状に複数個並べて保持されたチップ6を供給する。
図2に示すように、ウェハ保持テーブル3に保持されたウェハリング5の下方には、エジェクタ8がエジェクタXYテーブル7によって水平移動可能に配設されている。エジェクタ8はチップ突き上げ用のエジェクタピン(図示省略)を昇降させるピン昇降機構を備えており、後述する搭載ヘッドによってウェハリング5からチップ6をピックアップする際には、エジェクタピンによってウェハリング5の下方からチップ6を突き上げることにより、チップ6はウェハリング5に展張されたシートから剥離される。エジェクタ8は、チップ6をウェハリング5に展張されたシートから剥離するシート剥離機構となっている。
なお、シート剥離機構はここで示したエジェクタ8に限定されるものではなく、チップをシートから剥離できる機構であれば足りる。例えば、チップが剥離されたシートを下方から吸引して、吸引力によってチップをシートから剥離するような機構でもよい。
図1,図3に示すように、基台1の上面の部品供給部2からY方向へ離れた位置には、基板保持部10が配置されている。基板保持部10の上流側、下流側にはそれぞれ基板搬入コンベア12、基板振分部13A、基板保持部10、基板受渡部13Bおよび基板搬出コンベア14がX方向に直列に配列されている。基板搬入コンベア12は、基台1と連結されたサブ基台1a上に跨って配置されており、サブ基台1a上には接着剤塗布装置9が配設されている。接着剤塗布装置9は、上流側から基板搬入コンベア12に搬入された基板11に対して、塗布ヘッドによってチップ接着用の接着剤を塗布する。
図4(a)に示すように、基板11は複数(ここでは8枚)の単位基板11aが1枚に作り込まれた多面取り基板である。各単位基板11aには、種類の異なる4つのチップ6(チップ6A、6B、6C、6D)が実装される部品実装位置11b(A)、11b(B)、11b(C)、11b(D)が設定されている。図4(b)に示すように、部品実装位置11b(A)、11b(B)、11b(C)、11b(D)には、それぞれチップ6A、6B、6C、6Dが実装される。
ここでチップ6A、6Bは、複数の電子部品を積層して構成される部品積層体60を構成するスタック部品である。これらのスタック部品の実装に際しては、下層のチップ6Aを実装した後でなければ上層のチップ6Bを実装することができないという物理的先後関係に起因する実装順序の制約が存在し、チップ6Aの実装が必ずチップ6Bの実装よりも先行する。チップ6C、6Dは、スタック部品以外の電子部品、すなわち基板において積層されることなく単独で実装される通常部品である。これらの通常部品については前述のよう実装順序の制約は存在せず、どのチップから先に実装してもよい。
接着剤塗布後の基板11は基板振分部13Aに渡され、基板振分部13Aは渡された基板11を以下に説明する基板保持部10の2つの基板保持機構に選択的に振り分ける。基板保持部10は、第1基板保持機構10A、第2基板保持機構10Bを備えた複数レーン形となっており、基板振分部13Aによって振り分けられた2枚の基板を個別に位置決めして保持する。基板受渡部13Bは、実装済みの基板11を第1基板保持機構10A、第2基板保持機構10Bから選択的に受け取り、基板搬出コンベア14に渡す。基板搬出コンベア14は、渡された実装済みの基板11を下流側に搬出する。すなわち、基板搬入コンベア12、基板振分部13A、基板受渡部13B、基板搬出コンベア14は、基板保持部10へ複数の基板を順次搬入し、実装後の基板11を基板保持部10から順次搬出する基板搬送機構となっている。
基台1の上面の部品供給部2からY方向へ基板保持部10と反対側に離れた位置には、ウェハ供給部17が配設されている。ウェハ供給部17は、マガジン保持部17aおよびマガジン保持部17a内でマガジンを昇降させるリフタ機構18を備えている。マガジン
保持部17aは、複数種類のチップ6A、6B、6C6Dをそれぞれ保持したウェハリング5A,5B,5C,5Dを積層状態で収納したマガジンを保持して昇降させる。
リフタ機構18によってマガジンを昇降させることにより、図2に示すように、ウェハリング5A、5B、5C,5Dのいずれかを部品供給部2との間で交換するための搬送レベルに位置させることができる。搬送レベルに位置したウェハリング5A,5B,5C,5Dは、押出し機構19によって右方向に押し出され、後述する治具交換機構49のチャック部49aによって把持されて部品供給部2に搬送される。すなわち、部品供給部2は複数種類の電子部品を供給する。そして部品供給部2において全てのチップ6が取り出されて空になった場合や実装対象の部品種が切り替えられた場合には、治具交換機構49によるウェハ交換動作、すなわち部品供給部2とウェハ供給部17との間でのウェハリング5の出し入れが行われる。
図1において、基台1の上面の両端部には、第1のY軸ベース20A,第2のY軸ベース20Bが基板搬送方向(X方向)と直交するY方向(第1方向)に長手方向を向けて配設されている。第1のY軸ベース20A,第2のY軸ベース20Bの上面には、長手方向(Y方向)に略全長にわたって第1方向ガイド21が配設されており、1対の第1方向ガイド21を平行に且つ部品供給部2及び基板保持部10を挟むように配設した形態となっている。
これらの1対の第1方向ガイド21には、両端部を第1方向ガイド21によって支持された両持ち支持型の第1ビーム部材31,センタービーム部材30および第2ビーム部材32の3つのビーム部材が、それぞれY方向にスライド自在に架設されている。センタービーム部材30の右側の側端部にはナット部材23bが突設されており、ナット部材23bに螺合した送りねじ23aは、第1のY軸ベース20A上に水平方向で配設されたY軸モータ22によって回転駆動される。Y軸モータ22を駆動することにより、センタービーム部材30は第1方向ガイド21に沿ってY方向に水平移動する。
また、第1ビーム部材31,第2ビーム部材32の左側の側端部にはそれぞれナット部材25b、27bが突設されており、ナット部材25b、27bに螺合した送りねじ25a、27aは、それぞれ第2のY軸ベース20B上に水平方向で配設されたY軸モータ24,26によって回転駆動される。Y軸モータ24,26を駆動することにより、第1ビーム部材31,第2ビーム部材32は第1方向ガイド21に沿ってY方向に水平移動する。
センタービーム部材30には、単一の搭載ヘッド33が装着されており、搭載ヘッド33に結合されたナット部材41bに螺合した送りねじ41aは、X軸モータ40によって回転駆動される。X軸モータ40を駆動することにより、搭載ヘッド33はセンタービーム部材30の側面にX方向(第2方向)に設けられた第2方向ガイド42(図2参照)に案内されてX方向に移動する。
搭載ヘッド33は、1個のチップ6を吸着によって保持するノズル33aが複数(ここでは4つ)着脱自在に装着されており、部品実装動作において同一種類の複数のチップ6を一括して取り出して、各ノズル33aにそれぞれチップ6を保持した状態で移動可能となっている。Y軸モータ22およびX軸モータ40を駆動することにより、搭載ヘッド33はX方向、Y方向に水平移動し、部品供給部2のチップ6をピックアップして保持し、保持したチップ6を基板保持部10の第1基板保持機構10A、第2基板保持機構10Bに保持された複数の基板11の部品実装位置11bに移送搭載する。
なお、別途、チップのピックアップ機構を設け、このピックアップ機構から搭載ヘッド
がチップを受け取って保持するような構成を採用してもよい。さらに、このピックアップ機構にチップ反転機構を備えると、チップを表裏反転して基板に実装するフリップチップ実装にも対応できるので望ましい。
図2,図3に示すように、部品供給部2と基板保持部10との間には、第3のカメラ15が配設されている。部品供給部2においてチップ6をピックアップした搭載ヘッド33が第3のカメラ15の上方をX方向に移動することにより、第3のカメラ15は搭載ヘッド33に保持されたチップ6を撮像する。また基板保持部10と部品供給部2との間には、第3のカメラ15に隣接して、ノズル交換機構16が配設されている。ノズル交換機構16は搭載ヘッド33に装着されるノズル33aを、複数種類のチップ6のそれぞれに対応した種類と数量だけ収納保持する。搭載ヘッド33がノズル交換機構16にアクセスしてノズル交換動作を行うことにより、搭載ヘッド33に既装着のノズル33aを、新たに実装対象となる電子部品に対応した他のノズル33aと交換できるようになっている。
1対の第1方向ガイド21,センタービーム部材30,センタービーム部材30を第1方向ガイド21に沿って移動させる第1方向駆動機構(Y軸モータ22,送りねじ23aおよびナット部材23b)と、搭載ヘッド33を第2方向ガイド42に沿って移動させる第2方向駆動機構(X軸モータ40,送りねじ41aおよびナット部材41b)とは、搭載ヘッド33を部品供給部2と基板保持部10との間で移動させるヘッド移動機構を構成する。
第1ビーム部材31には、第1のカメラ34が装着されており、第1のカメラ34を保持するブラケット34aにはナット部材44bが結合されている。ナット部材44bに螺合した送りねじ44aは、X軸モータ43によって回転駆動され、X軸モータ43を駆動することにより、第1のカメラ34は第1ビーム部材31の側面に設けられた第2方向ガイド45(図2参照)に案内されてX方向に移動する。
Y軸モータ24およびX軸モータ43を駆動することにより、第1のカメラ34はX方向、Y方向に水平移動する。これにより、第1のカメラ34は基板保持部10の第1基板保持機構10A、第2基板保持機構10Bに保持された基板11を撮像するための基板保持部10の上方での移動と、基板保持部10上からの退避のための移動とを行うことができる。
1対の第1方向ガイド21,第1ビーム部材31,第1ビーム部材31を第1方向ガイド21に沿って移動させる第1方向駆動機構(Y軸モータ24,送りねじ25aおよびナット部材25b)と、第1のカメラ34を第2ガイド45に沿って移動させる第2方向駆動機構(X軸モータ43,送りねじ44aおよびナット部材44b)とは、第1のカメラ34を基板保持部10の上方で移動させる第1のカメラ移動機構を構成する。
第2ビーム部材32(移動ビーム)には、第2のカメラ35が装着されており、第2のカメラ35を保持するブラケット35aには、ナット部材47bが結合されている。ナット部材47bに螺合した送りねじ47aは、X軸モータ46によって回転駆動され、X軸モータ46を駆動することにより、第2のカメラ35は第2ビーム部材32の側面に設けられた第2方向ガイド48(図2参照)に案内されてX方向に移動する。
Y軸モータ26およびX軸モータ46を駆動することにより、第2のカメラ35はX方向、Y方向に水平移動する。これにより、第2のカメラ35は部品供給部2に保持されたチップ6の撮像のための部品供給部2の上方での移動と、部品供給部2上からの退避のための移動とを行うことができる。
1対の第1方向ガイド21,第2ビーム部材32,第2ビーム部材32を第1方向ガイド21に沿って移動させる第1方向駆動機構(Y軸モータ26,送りねじ27aおよびナット部材27b)と、第2のカメラ35を第2ガイド48に沿って移動させる第2方向駆動機構(X軸モータ46,送りねじ47aおよびナット部材47b)とは、部品撮像カメラである第2のカメラ35を移動させる部品撮像カメラ移動機構を構成する。したがって、第2ビーム部材32は、部品撮像カメラ移動機構によって部品供給部2の上方で第1方向に移動する。
第2ビーム部材32において第2のカメラ35が装着された側面の反対側には、治具交換機構49が装着されている。治具交換機構49はウェハリング5の一方側の端部を挟み込んで把持するチャック爪を備えたチャック部49aと、チャック部49aを昇降させるチャック部昇降機構49bより構成される。チャック爪は、チャック爪開閉機構49c(図4参照)によって開閉駆動される。
第2ビーム部材32を駆動して、治具交換機構49をウェハリング5の端部に移動させることにより、チャック部49aによってウェハリング5を把持することができ、この状態で第2ビーム部材32を駆動することにより、治具交換機構49によってウェハリング5を把持してY方向に移動させることができる。これにより、部品実装動作を反復実行する過程において、実装対象の部品種に対応して部品供給部2のウェハリング5をウェハ供給部17に収容されたウェハリング5と交換するウェハ交換動作を行うことが可能となっている。
次に図5を参照して、電子部品実装装置の制御系の構成について説明する。機構駆動部50は、以下に示す各機構のモータを電気的に駆動するモータドライバや、各機構のエアシリンダに対して供給される空圧を制御する制御機器などより成り、制御部54によって機構駆動部50を制御することにより、以下の各駆動要素が駆動される。
X軸モータ40,Y軸モータ22は、搭載ヘッド33を移動させる搭載ヘッド移動機構を駆動する。X軸モータ43,Y軸モータ24は、第1のカメラ34を移動させる第1のカメラ移動機構を、X軸モータ46,Y軸モータ26は、第2のカメラ35を移動させる第2のカメラ移動機構をそれぞれ駆動する。
また機構駆動部50は、搭載ヘッド33の昇降機構、ノズル33a(図2参照)による部品吸着機構やノズル交換機構16を駆動し、エジェクタ8の昇降シリンダおよびエジェクタXYテーブル7の駆動モータを駆動する。さらに機構駆動部50は、基板搬入コンベア12,基板搬出コンベア14,基板振分部13A、基板受渡部13B、第1基板保持機構10A、第2基板保持機構10B、治具交換機構49のチャック部昇降機構49b、チャック爪開閉機構49cを駆動する。
制御部54は、内部機能として実装順序設定部54aを備えている。実装順序設定部54aは、基板11を対象として実行される部品実装工程における電子部品の実装順序を各基板毎に設定する機能を有している。ここで、実装順序設定部54aによって各基板毎に設定される部品実装工程における実装順序の詳細について、図6を参照して説明する。この実装順序の設定においては、後述するように搭載ヘッド33におけるノズル交換の頻度を極力低減することが優先条件とされる。
図6(a)は、個々の電子部品を対象として実行される1連の部品実装動作を基板毎に括った部品実装工程の構成および実装される部品の区分を示すものである。すなわち1つの部品実装工程は、実行順序にしたがって、第1サブ工程、第2サブ工程および第3サブ工程の3つのサブ工程より構成される。そして第1サブ工程、第3サブ工程においては、
前述の通常部品のみが実装対象となる。また第2サブ工程においては、スタック部品が実装対象となる。ここで、第2サブ工程では、スタック部品以外に通常部品を実装対象とすることも許容される。
図6(b)は第2サブ工程における実装順序および部品区分の組み合わせを示している。ここでは上述のようにスタック部品のみ、またはスタック部品と通常部品のいずれをも含む部品組み合わせで実装動作が実行される。このとき、(イ)に示すように、先後関係が規定された1対のスタック部品のみで第2サブ工程を構成する例、(ロ)に示すように、1対のスタック部品と1つの通常部品との組み合わせにおいて先行する下層のスタック部品を実装した後に通常部品を実装し、その後後続する上層のスタック部品を実装する例、また(ハ)に示すように、1対のスタック部品の実装動作の前後にそれぞれ1つの通常部品を実装する例、(ニ)に示すように、2対のスタック部品を含む部品組み合わせの例、更には(イ)〜(ニ)に示す例を複合的に組み合わせた例など、様々な組み合わせが想定可能である。
したがって本実施の形態に示す部品実装工程の工程構成において、第1サブ工程、第3サブ工程は、スタック部品以外の通常部品をそれぞれの部品実装位置に実装する通常実装過程となっている。そして第2サブ工程に、複数の電子部品を積層した部品積層体を構成するスタック部品を部品実装位置に下層から順次実装するスタック実装過程に含ませた構成となっている。前述のように第1サブ工程、第3サブ工程はスタック実装過程を含まないことから、いずれの基板についてもスタック実装過程は、第2サブ工程においてすべて完了する。
すなわちここでは、部品実装工程での各基板における最終の実装部品が、通常部品となるように実装順序が設定される。このような工程構成を採用することにより、後述するように、先行基板における最終部品の実装動作に使用されたノズルをそのまま交換することなく使用して、後続基板の最初の実装部品の実装動作を実行することが可能となる。これに対し、最終部品がスタック部品である場合には、この最終部品は必ず先行して実装された下層チップに重ねられる上層チップであることから、後続基板における最初の実装部品とすることができず、部品種切替に伴うノズル交換などの作業が必要となる。
そして部品実装工程は、このようにして実装順序設定部54aによって設定された実装順序に基づいて制御部54が各部を制御することにより実行され、これにより後述する電子部品実装方法が実現される。上記構成において、制御部54は、基板保持部10、基板搬送機構、ヘッド移動機構、ノズル交換機構を、実装順序設定部54aによって設定された実装順序に基づいて制御する実装制御を行うことにより、複数の電子部品を積層した部品積層体を構成するスタック部品を部品実装位置に下層から順次実装するスタック実装過程と、スタック部品以外の通常部品をそれぞれの部品実装位置に実装する通常実装過程とを含む部品実装工程を、実装対象となる電子部品の種類に対応させてノズル33aを交換しながら、基板保持部10に保持された基板11を対象として実行させる実装制御手段となっている。
第1の認識処理部55は、第1のカメラ34で撮像した画像を処理して基板保持部10に保持された基板11の部品実装位置11b(図8参照)の位置を求める。部品実装位置11bは、基板11におけるチップ6の実装位置を示すものであり、画像認識により位置検出が可能となっている。部品認識処理部としての第2の認識処理部56は、第2のカメラ35で撮像した画像を処理して部品供給部2のチップ6の位置を求める。第3の認識処理部57は、第3のカメラ15で撮像した画像を処理して搭載ヘッド33に保持されたチップ6の位置を求める。
第1の認識処理部55、第2の認識処理部56、第3の認識処理部57による認識結果は、制御部54に送られる。データ記憶部53は、実装データや部品データなどの各種のデータを記憶する。ここで、部品データには、個々の部品が前術のスタック部品であるか否かを示す部品種別区分および各部品の実装に使用されるノズル種類との対応関係を示すデータが含まれている。実装順序設定部54aによる実装順序の設定に際しては、これらのデータが参照される。操作部51は、キーボードやマウスなどの入力装置であり、データ入力や制御コマンドの入力を行う。表示部52は、第1のカメラ34、第2のカメラ35、第3のカメラ15による撮像画面の表示や、操作部51による入力時の案内画面の表示を行う。
この電子部品実装装置は上記のように構成されており、以下この電子部品実装装置の動作について、図7、図8,図9、図10を参照して説明する。図6において、部品供給部2のウェハ保持テーブル3に保持されたウェハリング5A(または5B,5C,5D)には、複数のチップ6A(または6B、6C,6D)が貼着されている。以下の説明においては、ウェハリング5A、チップ6Aのみを図示する。基板保持部10では、第1基板保持機構10A、第2基板保持機構10Bにそれぞれ基板11が位置決めされている。ここで示す電子部品実装においては、複数のチップ6Aを搭載ヘッド33に備えられた4つのノズル33aによって順次吸着保持し、これらの4個のチップ6Aを各単位基板11aの部品実装位置11bに順次搭載する。
まず、図7(a)に示すように第2のカメラ35を第2のカメラ移動機構により部品供給部2の上方に移動させ、ピックアップしようとする複数(4個)のチップ6Aを第2のカメラ35によって撮像する。その後、図7(b)に示すように第2のカメラ35をこれらのチップ6の上方から退避させる。そして第2のカメラ35で撮像した画像を第2の認識処理部56で認識処理して複数のチップ6の位置を求める。
次いで搭載ヘッド33を部品供給部2の上方に移動させる。そして求めた複数のチップ6の位置に基づいて搭載ヘッド33をこれらのチップ6に順次位置決めする位置決め動作を搭載ヘッド移動機構に行わせながら、搭載ヘッド33の4つのノズル33aによって、複数のチップ6を順次ピックアップして取り出す。
このピックアップ動作と並行して、第1のカメラ移動機構により第1のカメラ34を基板保持部10の第1基板保持機構10Aに保持された基板11上に移動させる。そして基板11に設定された部品実装位置のうち、左側の4つの部品実装位置11bを画像取り込み対象として第1のカメラ34を順次移動させて、複数の部品実装位置11bを撮像して画像を取り込み、その後第1のカメラ34をこの基板11の上方から退避させる。
そして第1のカメラ34で撮像した画像を第1の認識処理部55で処理して、基板11の部品実装位置11bの位置を求める。次いで図8(a)に示すように、各ノズル33aに4つのチップ6Aを保持した搭載ヘッド33は、第3のカメラ15の上方を移動するスキャン動作を行う。これにより、各ノズル33aに保持されたチップ6Aの画像が第3のカメラに取り込まれ、この画像を第3の認識処理部57で認識処理することにより、チップ6Aの位置が検出される。
次いで部品実装動作に移行する。搭載ヘッド33は、図8(b)に示すように基板保持部10の上方に移動する。そしてここで第1の認識処理部55で求めた部品実装位置11bの位置、第3の認識処理部57で求めたチップ6Aの位置に基づいて搭載ヘッド33を搭載ヘッド移動機構によって移動させながら、搭載ヘッド33に保持されているチップ6Aを基板保持部10に保持された基板11に順次搭載する部品実装動作を行う。
そして搭載ヘッド33によるチップ6Aの搭載中に、第2のカメラ35を部品供給部2において次にピックアップされる複数のチップ6Aの上方に移動させ、複数のチップ6を第2のカメラ35で撮像する。そしてこの後、上述と同様の各ステップが反復実行され、これらの各ステップを実行する過程において、部品供給部2に保持されているウェハリング5の交換動作が実行される。
すなわち、実装対象のチップの種類が切り替わり、部品供給部2に保持されたウェハリング5を他の種類のチップを保持したウェハリングと交換する必要がある場合には、図9(a)に示すように、治具交換機構49のチャック部49aによって既装着のウェハリング5を把持する。そして第2のビーム部材32を駆動して、第2のカメラ35とともに治具交換機構49を移動させ、部品供給部2から当該ウェハリング5をウェハ供給部17(図1,図2)に搬出する。
そしてウェハ供給部17において、このウェハリング5をマガジン内に収容し、次いで新たに実装対象となるチップを保持したウェハリング5を治具交換機構49によって把持する。その後、第2ビーム部材32を駆動して、図9(b)に示すように、第2のカメラ35とともに治具交換機構49を部品供給部2に向かって移動させ、ウェハ保持テーブル3に当該ウェハリング5を保持させる。
また実装対象のチップが切り替えられる場合には、上述のウェハ交換動作とともに、ノズル交換動作が実行される。すなわち、図10に示すように、搭載ヘッド33をノズル交換機構16の上方に移動させ、ここで搭載ヘッド33をノズル交換機構16に対して昇降させるとともに、ノズル交換機構16に備えられたノズル形式鋼を作動させる。これにより、搭載ヘッド33に既装着のノズル33aがノズル交換機構16に戻し入れられるとともに、次の実装対象となるチップに対応したノズル33aが搭載ヘッド33に装着される。
次に、本実施の形態に示す電子部品実装装置による電子部品実装方法について、図11のタイムチャートおよび図12,図13を参照して説明する。図11は、基板振分部13Aによって基板保持部10に順次搬入される複数の基板11に対して、第1レーン(第1基板保持機構10A)および第2レーン(第2基板保持機構10B)において実行される部品種A,B,C,Dごとの部品実装動作の順序を、ウェハ交換/ノズル交換など部品種切替えに伴って行われる作業動作との関連で示すものである。
M1,M2,M3・・・は、基板保持部10において実行される部品実装動作を基板単位で括った部品実装工程であり、付されたインデックスは、基板振分部13Aから基板保持部10に搬入される順に基板11に付される追番に対応している。まず、図12(a)に示すように、第1レーン(第1基板保持機構10A)には、1番目の基板11(1)が搬入され、実装位置に位置決めされる。そしてこの後、基板11を構成する各単位基板11aの部品実装位置11b、ここでは4つの部品種A,B,C,Dにそれぞれ対応した部品実装位置11b(A)、11b(B)、11b(C)、11b(D)(図4参照)に対して、チップ6A、6B、6C、6Dが、図11に示す実装順序に基づき順次搭載ヘッド33によって搭載される。
まず最初に1番目の部品実装工程M1が開始され、予め設定された第1サブ工程、第2サブ工程、第3サブ工程の順に部品実装動作が実行される。ここに示す例では、第1サブ工程にて通常部品である部品種C、第2サブ工程にてスタック部品である部品種A,B、第3サブ工程にて通常部品である部品種Dが実装対象とされ、実装順序はC−A−B−Dの順となる。そして2番目の部品実装工程M2では実装順序はD−A−B−Cの順となり、さらに3番目の部品実装工程M2では実装順序は再びC−A−B−Dの順となる。
1番目の部品実装工程M1について説明する。まず最初に、通常部品である部品種Cを対象とする通常実装過程(第1サブ工程)が行われ、部品供給部2から同一種類のチップ6Cを一括して取り出した搭載ヘッド33によって、図12(a)に示すように、基板11(1)の各単位基板11aの部品実装位置11b(C)(図4参照)に対して順次チップ6Cが搭載される。
この第1サブ工程が完了すると、スタック部品を対象とした第2サブ工程に移行する。ここでは、1対のスタック部品を構成する部品種A,Bのみを対象として、予め制約されたA−Bの順序で部品実装動作が実行される。まず部品種をCからAに切り替えるための部品種切替に伴うウェハ交換(図9参照)、ノズル交換(図10参照)の各作業動作が実行され(図11参照)、次いで下層のスタック部品である部品種Aを対象とする部品実装動作が行われる。この後、部品種をAからBに切り替えるための部品種切替に伴う各作業動作が実行された後、同様の作業が部品種Bを対象として実行される。これにより、図12(b)に示すように、各単位基板11aの当該部品実装位置にはチップ6A,6Bを積層した部品積層体60が形成される。そしてこれによりスタック部品を対象としたスタック実装過程が完了し、チップ6A,6B以外には実装対象がないことから、第2サブ工程が完了する。
この後、第3サブ工程に移行する。ここでは通常部品である部品種Dが対象となり、部品種をBからDに切り替えるための部品種切替に伴う作業が行われた後、チップ6Dが各単位基板11aに実装される。これにより、図12(c)に示すように、基板11(1)においては各単位基板11aについて実装対象となるチップがすべて実装され、図11に示す部品実装工程M1が完了する。
この第1基板保持機構10Aにおける部品実装動作と並行して、第2基板保持機構10Bには2番目の基板11(2)が搬入される。そして実装位置への位置決めが完了し、第1基板保持機構10Aにおける部品実装動作が完了すると、基板11(2)を対象とした部品実装工程M2が開始される。このとき、実装順序はD−A−B−Cの順に予め設定されており、部品種切替に伴う作業を行うことなく、図13(a)に示すように、部品種Dを対象とした通常実装過程(第1サブ工程)が行われ、基板11(2)の各単位基板11aの部品実装位置11b(D)(図4参照)に対して順次チップ6Dが搭載される。そして第2基板保持機構10Bにおける基板11(2)を対象としたこの部品実装動作と並行して、第1基板保持機構10Aでは、すべての実装作業を完了した基板11(1)が搬出される。
この第1サブ工程が完了すると、スタック部品を対象とした第2サブ工程に移行する。ここでは、基板11(1)の場合と同様に、1対のスタック部品を構成する部品種A,Bのみを対象として部品実装動作が実行される。まず部品種をDからAに切り替えるための部品種切替に伴う各作業動作が実行され(図11参照)、次いで下層のスタック部品である部品種Aを対象とする部品実装動作が行われる。この後、部品種をAからBに切り替えるための部品種切替に伴う各作業動作が実行された後、同様の作業が部品種Bを対象として実行される。これにより、図13(b)に示すように、各単位基板11aにはチップ6A,6Bを積層した部品積層体60が形成される。そしてこれによりスタック部品を対象としたスタック実装過程が完了し、同時に第2サブ工程が完了する。
この後、第3サブ工程に移行する。ここでは通常部品である部品種Cが対象となり、部品種をBからCに切り替えるための部品種切替に伴う作業が行われた後、チップ6Cが各単位基板11aに実装される。これにより、図13(c)に示すように、基板11(1)においては各単位基板11aについて実装対象となるチップがすべて実装され、図11に
示す部品実装工程M2が完了する。そしてこの実装動作と並行して、第1基板保持機構10Aには、新たな基板11(3)が搬入される。そして基板11(3)を対象として、図11に示す部品実装工程M3が、部品実装工程M1と同様の実装順序で実行される。このとき部品実装工程M3における第1サブ工程は部品種Cを対象としており、先行基板である基板11(2)の最終の実装部品の部品種Cと同一であるため、部品種切替作業を実行することなくチップ6Cの実装動作を行うことが可能となっている。
なお上述の実施の形態においては、先行基板における最終の実装部品の部品種が当該基板における最初の実装部品の部品種が同一である例を示したが、本発明の適用例はこのような場合には限られず、先行基板における最終の実装部品の搭載動作に用いられたノズルによって搭載可能な通常部品を当該基板における最初の実装部品としてもよい。例えば、部品形状やサイズが類似の電子部品の場合には、部品種としては別品種であっても同一のノズルによって吸着保持が可能であることから、これらの電子部品が最終の電子部品および最初の電子部品に該当する場合には、ノズル交換を行うことなく実装動作を連続して行うことができ、本発明と同様の効果を得る。
すなわち上述の電子部品実装方法は、実装順序設定部54aによって部品実装工程での各基板における最終の実装部品が必ず通常部品となるように実装順序を定めておき、一の基板を対象とした部品実装工程において、当該基板に先行する先行基板における最終の実装部品の搭載動作に用いられたノズルによって搭載可能な通常部品を当該基板における最初の実装部品としてノズルを交換せずに通常実装過程の一部(第1サブ工程)を実行し、次いでノズルを交換しながら第2サブ工程においてスタック実装過程を完了させ、その後最終の実装部品として定められた通常部品を対象として、通常実装過程の残り(第3サブ工程)を実行する形態となっている。
このような方法を採用することにより、各基板11毎に部品種切替作業をその都度反復しながら複数種類のチップを同一の基板に搭載する従来方法と比較して、ノズル交換やウェハ交換など、部品種の切替に伴って必要とされる作業の実行頻度を低減することが可能となっている。これにより、部品実装動作の中断を極力少なくして、生産性を向上させることができる。特に本実施の形態に示す例のように、部品種の切り替えに際して、ウェハのマガジンからの出し入れを必要として部品種切替作業の時間を要するような場合には、特に顕著な効果を有する。
なお本実施の形態においては、ウェハ状態の半導体チップが保持されたウェハリングが、電子部品を平面状に複数個並べて保持する部品保持治具となっているが、部品保持治具の形態はウェハシートが展張されたウェハリングには限定されず、電子部品を並べて載置するトレイなど電子部品を平面状に配置して収容するものであれば本発明の適用対象となる。
なお、図11に示す各部品実装工程毎の実装順序において、1番目の基板11(1)を対象とした部品実装工程M1については、先行基板が存在しないことから、最終の実装部品を通常部品(ここでは部品種D)とすることのみが実装順序設定の条件となる。すなわち、図11の例で示すC−A−B−Dの実装順序は基板11(1)については必須ではなく、A−B−C−Dの実装順序でもよい。
また本実施の形態においては、基板保持部10の構成として第1基板保持機構10A、第2基板保持機構10Bの2レーンを備えた構成を示しているが、本発明の適用はこのような構成に限定されるものではなく、単一の基板保持機構を備えた電子部品実装装置についても本発明の適用が可能である。