JP4622800B2 - 機械攪拌方式による溶銑の脱燐方法 - Google Patents

機械攪拌方式による溶銑の脱燐方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼の溶製工程において、攪拌用羽根を回転させて機械的に溶銑を攪拌することにより溶銑の脱燐処理を行う、機械攪拌方式による溶銑の脱燐方法に関する。
従来、溶銑段階において予備脱燐を行い、溶銑中のP(燐)をある程度除去してから転炉脱炭吹錬を行う溶銑予備処理法が発展してきた。この予備脱燐は、トーピード、溶銑鍋、転炉などの設備で実施され、CaO系媒溶剤と気体酸素や固体酸素源などの酸素源とを添加して行われる。
一方、攪拌用羽根を回転させて溶銑を攪拌しながら脱硫を行うKR法が知られており、このKR法を実施する機械攪拌式脱硫装置(以下、「KR装置」とも称する)により脱燐処理を行う方法が、例えば、非特許文献1に開示されている。
非特許文献1に開示された方法においては、予め溶銑を脱珪し、発生した脱珪スラグを除去した後、KR装置により溶銑を攪拌しながら、酸素源、石灰、螢石などを投入して脱燐する。この方法では、スラグ中の全鉄分(T.Fe)含有率を30〜50質量%と非常に高くする必要があった。しかも、酸化鉄などの酸素源をより多く添加する必要があるため、処理後の溶銑温度が大幅に低下し、さらに、T.Fe含有率の上昇によりスラグの泡立ちが激しくなる。したがって、溶銑の処理量を制限する必要があり、脱燐処理効率を向上させることが困難であった。
特許文献1には、容器内の溶銑に精錬用フラックスを添加するとともに酸化剤を供給し、攪拌を行う溶銑の処理において、攪拌動力と酸化剤供給速度との関係を計算式に基づいて決定する溶銑の処理方法が開示されている。また、特許文献2には、攪拌羽根を回転させて機械的に溶銑を攪拌する装置を用い、(攪拌の際の溶銑の計算凹み深さ)/(処理容器径)≧0.85となるように、脱燐処理を行う溶銑の脱燐方法が開示されている。特許文献1および2に開示された方法は、いずれも攪拌動力を増大させることにより脱燐速度が上昇し、スラグ中のT.Fe含有率も低位に安定するという基本的思想に基づくものである。
しかしながら、攪拌動力を増大させるためには、大型の攪拌設備が必要となることから、設備的に限界がある。しかも、攪拌動力の増大にともない溶銑湯面の盛り上がりが大きくなるため、処理容器の湯面上方における余裕高さの減少により、溶銑処理量に制限が生じる。
また、攪拌用羽根に加えて、転炉型脱燐処理のように、気体酸素の上吹きまたは吹き込みにより攪拌動力を増大させる方法も考えられる。しかし、この方法の場合には、脱炭反応に起因するCOガスの発生によりスラグの泡立ちが激しくなることから、それにともなってCOガス処理設備の設置または設備の増強を必要とし、設備面での限界がある。
鉄と鋼、Vol.63、No.12(1977)p1801〜1808 特開昭58−110609号公報(特許請求の範囲および2頁右上欄8〜19行) 特開2004−68036号公報(特許請求の範囲、段落〔0012〕および〔0013〕)
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、スラグ中のT.Fe含有率の上昇にともなう操業効率の悪化、および攪拌動力の上昇にともなう設備能力もしくは溶銑処理量の制約などの問題を解決し、COガスの発生に対する設備的制約の範囲内において脱燐効率を安定的に向上させることのできる溶銑の脱燐方法を提供することにある。
本発明者は、上述の課題を解決するために、従来の問題点を踏まえて、脱燐効率を安定的に向上させることのできる溶銑の脱燐方法を検討し、下記の(a)〜(d)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)KR装置を用いた溶銑の脱燐において、溶銑の攪拌動力を強化することなく脱燐率を向上させるためには、スラグ−メタル界面付近における脱燐反応の促進が必要であり、溶銑とスラグとの反応界面付近の温度を上昇させることが有効である。
(b)上記(a)の反応界面付近の温度を上昇させるためには、溶銑とスラグとの反応界面付近に気体酸素を上吹きすることが効果的である。
(c)しかし、酸素上吹きにより生じる脱炭反応によりCOガスが発生するため、これにともなうスラグの泡立ち現象(スラグフォーミング)の助長を抑え、さらにはCOガス回収設備の増強を必要としない範囲内に、酸素上吹き条件を調整する必要がある。
(d)上記(c)の条件を満足するためには、後述する(1)式により算出される「酸素ジェットにより形成される溶銑のくぼみ深さLの値」が40mm以下となるように、溶銑上のスラグ面上方からランスを用いて気体酸素を上吹きすることが好ましい。また、良好な脱燐率を得るためには、上記Lの値は30mm以上とすることが好ましい。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)および(2)に示す溶銑の脱燐方法にある。ただし、下記(1)の溶銑の脱燐方法は、本発明の参考としての発明である。
(1)攪拌用羽根を回転させて機械的に溶銑を攪拌する装置を用いて脱燐処理を行う溶銑の脱燐方法において、溶銑上のスラグ面上方からランスを用いて気体酸素を上吹きしつつ、ランスの高さ位置および酸素流量を、脱炭反応に起因するダスト発生量の増加に対処して集塵機能力を増強する必要が生じない範囲内に調整し、機械的攪拌動力を増大することなく脱燐反応を促進させることを特徴とする溶銑の脱燐方法(以下、「第1発明」とも記す)。
(2)攪拌用羽根を回転させて機械的に溶銑を攪拌する装置を用いて脱燐処理を行う溶銑の脱燐方法において、下記(1)式により求められる、気体酸素のジェットにより形成される溶銑のくぼみ深さLが30〜40mmの範囲となるように、溶銑上のスラグ面上方からランスを用いて気体酸素を上吹きすることを特徴とする溶銑の脱燐方法(以下、「第2発明」とも記す)。
L=Lh×exp(−0.78h/Lh) ・・・・(1)
ただし、
h=Lh=0=6.3×(FO2/ndt2/3
ここで、Lは酸素ジェットにより形成される溶銑のくぼみ深さ(cm)、hはランスノズル出口先端と静止溶銑面との間隔(cm)、dtはランスノズルスロート径(cm)、FO2は酸素流量(Nm3/h)、nはノズル孔の個数、Lhはh=0の場合のLの値を、それぞれ表す。
本発明において、「ランスの高さ位置」とは、ランスノズル出口先端と静止溶銑面との
間隔を意味する。
「ダスト発生量の増加に対処して集塵機能力を増強する必要が生じない範囲内」とは、焼結鉱などを使用した従来法における操業可能範囲が集塵機設備能力の80〜100%であるのに対し、本発明では、発生ダストが集塵機能力の100%を使用して集塵フードから漏れない程度に制御することをいう。すなわち、ダスト発生量の増加が集塵機能力の20%程度以内の増加であって、集塵機の能力を増強する必要が生じない範囲内であることを意味する。
また、「機械的攪拌動力を増大することなく」とは、KR設備の攪拌羽根の回転数を、その一般的な設備能力である100〜150rpm程度の範囲内として操業することを意味する。
なお、以下の説明において、「%」とは、特に断らない限り、「質量%」を意味する。
本発明の脱燐方法によれば、KR装置を使用した溶銑脱燐方法において、気体酸素を上吹きしつつ、ランスの高さ位置および酸素流量を、脱炭反応に起因するダスト発生量の増加により集塵機能力を増強する必要が生じない範囲内に調整し、具体的には、酸素ジェットによる溶銑のくぼみ深さ計算値を30〜40mmの範囲とするので、機械的攪拌動力の増大および集塵設備の増強も要することなく、脱燐効率を安定的に向上させることができる。したがって、本発明の方法は、設備上の制約に起因する脱燐処理量の制限や脱燐処理効率の低下などの問題を解決できる脱燐処理方法として脱燐工程の改善に広く貢献できる。
前述のとおり、本発明は、攪拌用羽根を回転させて機械的に溶銑を攪拌する装置を用いて脱燐処理を行う溶銑の脱燐方法において、溶銑上のスラグ面上方からランスを用いて気体酸素を上吹きしつつ、ランスの高さ位置および酸素流量を、脱炭反応に起因するダスト発生量の増加に対処して集塵機能力を増強する必要が生じない範囲内に調整し、機械的攪拌動力を増大することなく脱燐反応を促進させる溶銑の脱燐方法である。具体的には、前記(1)式により求められる、気体酸素のジェットにより形成される溶銑のくぼみ深さLが30〜40mmの範囲となるように、溶銑上のスラグ面上方からランスを用いて気体酸素を上吹きする溶銑の脱燐方法である。以下に、本発明の脱燐方法についてさらに詳細に説明する。
(1)本発明の技術構成
本発明者は、KR装置を用いた脱燐処理における処理効率を向上させるため、下記の試験を行って脱燐反応に及ぼす各種要因の効果を調査した。
まず、表1に示す処理条件にて脱燐処理の試験を行い、本発明における比較例としての基礎データを得た。
Figure 0004622800
表1に示すとおり、処理対象溶銑量は1回当り80トン(t)とし、脱燐処理前の溶銑成分組成は、全試験を通じて同表に示す範囲内の値に統一した。
図1は、上記の脱燐試験において得られた脱燐処理後の溶銑温度と脱燐率との関係を示す図である。
同図において、脱燐率は下記(2)式により算出される値を用いた。
脱燐率(%)={([脱燐処理前の溶銑中P含有率(%)]−[脱燐処理後の溶銑中P含有率(%)])/[脱燐処理前の溶銑中P含有率(%)]}×100 ・・・(2)
同図の結果に示されたとおり、脱燐処理後の溶銑温度および脱燐率の変動が大きく、安定した脱燐処理を実施することが困難であった。また、脱燐処理後の溶銑温度は1250℃以下であることから、脱燐率が60%以上の脱燐率の高位安定化を目的として、前記表1に記載の媒溶剤量をさらに増量することは、溶銑温度低下を抑制する観点から困難である。
KR装置を用いた脱燐処理において、攪拌動力を強化することなく脱燐率を向上させるためには、反応界面付近のスラグ−メタル反応の促進が必要であり、そのためには、気体酸素の上吹きを併用して脱燐反応界面付近の温度を上昇させる方法が有効であると考えられる。しかしながら、気体酸素を溶銑に吹き込めば脱炭反応が生じ、COガス発生に伴うスラグの泡立ち現象が助長され、さらにはCOガス回収設備の増強も必要となる。
したがって、これらの上記の問題を回避するためには、溶銑上のスラグ面上方からランスを用いて気体酸素を上吹きしつつ、ランスの高さ位置および酸素流量を、脱炭反応に起
因するダスト発生量の増加に対処して集塵機能力を増強する必要が生じない範囲内に調整し、脱燐反応を促進させる方法を用いればよい(第1発明)。
そこで、第1発明の好ましい態様として、さらに気体酸素の上吹き条件を検討した。その結果、脱燐用媒溶剤の条件を表1に記載の範囲内で一定とし、前記(1)式にて計算される「ランスから噴射される酸素ジェットにより形成される溶銑のくぼみ(凹み)深さ」を好ましい範囲に調整することにより、脱炭反応が生じない範囲内であって、かつ、脱燐反応を促進させるように脱燐反応界面(スラグ−メタル界面)付近に酸素を上吹きして、反応界面の温度を上昇させることが可能なことを見出した。このような気体酸素の上吹き条件に基づいて酸素の上吹きを併用する脱燐方法が第2発明である。
現実には、溶銑上にはスラグが存在するため、酸素ジェットがスラグ層を突き抜けて溶銑と接触し反応する必要があることから、酸素ガスの噴射による運動量は、ある程度大きくする必要がある。しかし、スラグ層を突き抜けて溶銑に達すれば十分であり、酸素ガスの噴射運動量をそれ以上大きくすると、溶銑中の炭素との反応が激しくなり、脱炭反応の進行によるスラグの泡立ち(スラグフォーミング)および発塵(ダストの発生)の問題が生じる。そこで、前記(1)式により算出される溶銑のくぼみ(凹み)深さ(L)を指標として酸素上吹きの好ましい条件を検討した。
図2は、酸素ジェットにより形成される溶銑のくぼみ深さの計算値と脱燐処理後の溶銑中C含有率との関係を示す図である。
同図の結果に示されるとおり、溶銑脱燐法では、気体酸素を使用しない場合(図中の○印により示されたデータ)においても、脱燐反応促進用に固体酸素を使用するため、脱燐処理後の溶銑中C含有率は4.35〜4.40%程度に低下する。ここで、固体酸素の使用量は、表1に記載の焼結粉17.0〜18.0kg/溶銑トン(t)(酸素換算量で2.87〜3.04Nm3/t)である。
これに対して、上記固体酸素に加えて気体酸素を0.80〜2.00Nm3/t使用した場合(図中の●印により示されたデータ)、溶銑の湯面凹み深さの計算値(L)が40mm以下では、脱炭量の顕著な増加は認められなかった。一方、同計算値(L)が40mmを超える範囲では、気体酸素の供給中における発煙が激しく、溶銑中のC含有率の低下が認められた。
図3は、酸素ジェットにより形成される溶銑のくぼみ深さの計算値と脱燐処理による溶銑の温度降下との関係を示す図である。同図の結果より、KR脱燐処理において、酸素ジェットにより形成される溶銑の湯面凹み深さ(L)が30〜50mmの範囲となるように気体酸素を併用した場合、脱燐処理による溶銑の温度降下量が約30℃低減されることがわかる。
図4は、脱燐処理後の溶銑温度と脱燐率との関係を示す図である。同図の結果によれば、前記図3にて述べたように、溶銑の温度降下量が低減して脱燐処理後の溶銑温度が上昇したことにより、脱燐率が向上し、高いレベルで安定したことが認められる。
図5は、脱燐処理前の溶銑中Si含有率と脱燐率との関係を示す図である。媒溶剤、特に生石灰使用量を表1に示される範囲の値で一定としているため、同図に示されるとおり、溶銑中Si含有率の上昇とともに脱燐率は低下している。しかしながら、気体酸素を併用することにより、溶銑中Si含有率が0.15%以上の高い領域においても、脱燐率が相対的に高いレベルで安定している。
(2)発明の好適範囲およびその理由
一般に脱燐反応効率を向上させるためには酸素源が必要であり、温度降下抑制のためには気体酸素を使用するとその効果は大きい。しかしながら、KR装置を用いる場合には、設備上の制約が大きく、前記のとおり、従来は気体酸素を使用することが困難であった。 本発明では、KRの設備的制約と脱燐反応特性を詳細に検討し、気体酸素を併用することによりKRにおける脱燐効率の向上を可能にした。下記に本発明の好適範囲およびその理由について述べる。
1)酸素ジェットにより形成される溶銑のくぼみ深さ
前記図2にて述べたとおり、溶銑のくぼみ(凹み)深さの計算値(L)が40mm以下では、脱炭量の顕著な増加は認められず、脱燐処理後の溶銑中C含有率は、概ね、気体酸素の上吹きを行わない場合の溶銑中C含有率と同程度である。しかし、同計算値(L)が40mmを超える範囲では、脱炭反応に起因するダスト量の増加が激しく、溶銑中のC含有率の低下も大きい。上記の理由から、溶銑のくぼみ深さの計算値は40mm以下とするとが好ましい。
図6は、酸素ジェットにより形成される溶銑のくぼみ深さの計算値と脱燐率との関係を示す図である。溶銑のくぼみ深さの計算値が30mm以上において、脱燐率が60%以上の良好な脱燐率が得られている。したがって、図2および図6で得られた結果から、溶銑のくぼみ深さのさらに好ましい範囲は、30〜40mmであることがわかる。
2)スラグの塩基度およびスラグ中(T.Fe)
一般に、スラグの脱燐能は、(%P)/[%P]の値により評価される。ここで、(%P)はスラグ中のP含有率を、また、[%P]は溶鉄中のP含有率を表す。そして、スラグの脱燐能(%P)/[%P]を熱力学的に評価する関係式として下記(3)式が公知である。
log{(%P)/[%P]}=22350/T−16.0+0.08×(%CaO)+2.5×log(%T.Fe) ・・・・(3)
ここで、(%CaO)および(%T.Fe)は、それぞれスラグ中のCaO含有率およびT.Fe含有率を表し、Tは温度(K)を表す。
図7は、脱燐後のスラグ塩基度とスラグの脱燐能との関係を示す図である。スラグ塩基度の上昇とともにスラグの脱燐能は増大し、さらに、スラグ塩基度が同程度の値であっても、気体酸素の上吹き併用によって脱燐能が向上する傾向が認められる。これは、気体酸素の上吹きによりスラグが再溶融し、脱燐効率が向上したためと考えられる。
また、図8に、スラグ中のT.Fe含有率とスラグの脱燐能との関係を示す。同図の結果から、気体酸素の上吹きを併用した場合、スラグ中T.Fe含有率が同程度の値であっても、スラグの脱燐能は高位に推移していることが確認できる。これは、気体酸素の上吹きにより脱燐反応界面付近の温度が上昇し、未反応の固体酸素源が脱燐反応に寄与したことによると考えられる。
また、スラグ中T.Fe含有率は8%程度以下であり、脱燐処理中のスラグ泡立ち現象は認められなかったことから、スラグ中T.Fe含有率は8%以下とすることが好ましい。
上述のとおり、固体酸素のみを用いて脱燐処理を行った場合には、溶銑温度の低下が大きいことから、投入した媒溶剤の凝固が進行し、固体酸素が未反応のままスラグ中に残留したため、脱燐率が低下したものと考えられる。これに対して、気体酸素を併用することにより、酸素ジェットにより生ずる火点付近の温度を上昇させ、スラグを再溶融させてスラグ−メタル反応を促進させ、脱燐率を高位に安定化させることが可能となった。
本発明の溶銑の脱燐方法の効果を確認するために下記の試験を行い、その結果を評価した。
表2に、気体酸素の上吹きを併用した本発明例の主なケースについて、溶銑およびスラグ成分組成、脱燐媒溶剤、機械的攪拌条件、気体酸素上吹き条件などの試験条件、および脱燐率の結果を示した。
Figure 0004622800
また、酸素ジェットにより形成される溶銑のくぼみ深さ(L)と溶銑の脱燐率との関係は、前記図6中に示したとおりである。なお、同図中、○印で示したデータは比較例であり、●印で示したデータは本発明例である。
表2および図6の結果によれば、溶銑のくぼみ深さの増加にともない脱燐率は向上するが、溶銑のくぼみ深さが40mmを超えて大きくなると、脱燐率の向上は認められなくなる。一方、前記図2に示したとおり、溶銑のくぼみ深さが40mmを超えて大きくなると、脱炭反応が生じて溶銑中のC含有率が低下し、発煙が激しくなった。
これらの結果から、溶銑のくぼみ深さは40mm以下とすることが好ましいことがわか
る。また、溶銑のくぼみ深さを30〜40mmの範囲に調整すれば、脱燐率を60%以上
の良好なレベルに維持でき、しかも、脱炭反応によるダストの発生量も抑制できるので、
さらに一層好ましいことが確認された。なお、この場合における気体酸素流量は、表2に
示した試験条件によれば、1.1〜1.6Nm3/tの範囲である。
本発明の脱燐方法によれば、KR装置を使用した溶銑脱燐方法において、気体酸素を上吹きしつつ、ランスの高さ位置および酸素流量を、脱炭反応に起因するダスト発生量の増加に対処して集塵機能力を増強する必要が生じない範囲内に調整し、具体的には素ジェットによる溶銑のくぼみ深さ計算値を30〜40mmの範囲とするので、機械的攪拌動力の増大および集塵設備の増強を要することなく、脱燐効率を安定的に向上させることができる。したがって、本発明は、設備上の制約に起因する脱燐処理量の制限や脱燐処理効率の低下などの問題を解決できる脱燐処理方法として、溶銑の予備処理工程に広く適用できる実用的価値の高い脱燐方法である。
脱燐処理後の溶銑温度と脱燐率との関係を示す図である。 酸素ジェットにより形成される溶銑のくぼみ深さの計算値と脱燐処理後の溶銑中C含有率との関係を示す図である。 酸素ジェットにより形成される溶銑のくぼみ深さの計算値と脱燐処理による溶銑の温度降下との関係を示す図である。 脱燐処理後の溶銑温度と脱燐率との関係を示す図である。 脱燐処理前の溶銑中Si含有率と脱燐率との関係を示す図である。 酸素ジェットにより形成される溶銑のくぼみ深さの計算値と脱燐率との関係を示す図である。 スラグの塩基度とスラグの脱燐能との関係を示す図である。 スラグ中のT.Fe含有率とスラグの脱燐能との関係を示す図である。

Claims (1)

  1. 攪拌用羽根を回転させて機械的に溶銑を攪拌する装置を用いて脱燐処理を行う溶銑の脱燐方法において、下記(1)式により求められる、気体酸素のジェットにより形成される溶銑のくぼみ深さLが30〜40mmの範囲となるように、溶銑上のスラグ面上方からランスを用いて気体酸素を上吹きすることを特徴とする溶銑の脱燐方法。
    L=Lh×exp(−0.78h/Lh) ・・・・(1)
    ただし、
    h=Lh=0=6.3×(FO2/ndt2/3
    ここで、Lは酸素ジェットにより形成される溶銑のくぼみ深さ(cm)、hはランスノズル出口先端と静止溶銑面との間隔(cm)、dtはランスノズルスロート径(cm)、FO2は酸素流量(Nm3/h)、nはノズル孔の個数、Lhはh=0の場合のLの値を、それぞれ表す。
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