以下、本発明を具体化した印刷システム、印刷方法及び印刷装置の一実施形態を図1〜図20に従って説明する。
図1は、印刷システム1の電気構成を示すブロック図である。印刷システム1は、外部から入力した印刷データDprを印刷出力する印刷装置2と、通常の電話機能の他に印刷データDprを無線で印刷装置2に送信可能な携帯電話3とを備えている。本例の印刷システム1は、携帯電話3から印刷データDprを赤外線通信やブルートゥース(R) 通信等の通信形式によって印刷装置2に送信し、この印刷データDprを印刷装置2で印刷出力するシステムである。なお、携帯電話3が通信端末に相当する。
印刷装置2は、圧電素子を振動させることによりインク滴を吐出し、単票紙やロール紙等の用紙に印刷を施すインクジェット式印刷装置である。印刷装置2は、CPU(Central Processing Unit) 4と、ROM(Read-Only Memory)5と、RAM(Synchronous DRAM)6と、ASIC(Application Specific IC) 7と、外部通信インターフェース8と、内部通信インターフェース9とを備えている。CPU4、ROM5、RAM6、ASIC7、外部通信インターフェース8及び内部通信インターフェース9は、制御信号、アドレス信号及びデータの伝送路となるシステムバス10に接続されている。なお、CPU4が設定手段、表示制御手段、生成手段、判別手段及び選択手段を構成し、ROM5が第2記憶手段に相当し、RAM6が記憶手段に相当にする。
CPU4は、印刷装置2を統括制御するIC(素子)であり、ROM5内の制御プログラムやアプリケーションに基づきRAM6を作業領域として動作することで印刷装置2を作動させる。CPU4は、印刷動作やメンテナンス動作のための各種指令をASIC7に出力したり、ASIC7及びRAM6間やASIC7の内部の各種処理回路間におけるデータ転送処理の指示をしたりする。ASIC7はRAM6との間でデータ転送を行う際、DMA転送(Direct Memory Access転送)によって各種データを転送する。
印刷装置2は、ノズルごとに設けた圧電素子の振動により該ノズルからインクを吐出する印刷ヘッド11を備えている。印刷ヘッド11はインクカートリッジ(図示略)を乗せたキャリッジ(図示略)の下面に取着され、キャリッジモータ12を駆動源にキャリッジが主走査方向に往復動することでキャリッジとともに往復動する。用紙は、紙送りモータ13を駆動源に排紙ローラや搬送ローラ等が回転することにより副走査方向に紙送りされる。CPU4は、モータ駆動回路14を介してキャリッジモータ12を駆動制御し、モータ駆動回路15を介して紙送りモータ13を駆動制御する。
ASIC7は、印刷データDprに画像処理を施して印刷用のイメージデータを生成したり、このイメージデータに基づきヘッド駆動回路16を介して印刷ヘッド11を駆動制御したりする。RAM6は、受信バッファ6a、ワークメモリ6b及び出力バッファ6cとしても機能する。即ち、ASIC7は印刷処理の際、外部から受信した印刷データDprを受信バッファ6aに一旦格納することで印刷データDprを受け付け、印刷データDprに画像処理を施す際には印刷データDprをワークメモリ6bに格納することでデータ処理を行い、最終的に生成した印刷用のイメージデータを出力バッファ6cに逐次格納する。なお、CPU4、ASIC7及び部材11〜16が印刷出力手段を構成する。
印刷装置2は、原稿台の原稿をスキャンして画像データを取り込むスキャン機構17を備えている。スキャン機構17は、受光部17aを走査部17bで所定方向に移動させ、原稿の表面で反射した光源17cの反射光を受光部17aで受光するとともに、その光信号を受光部17aで電気信号に変換して出力する機構である。スキャン機構17の受光部17aは、例えばRGBのカラーフィルタを各々備える複数のラインCCDが用いられる。ASIC7はCPU4からの指令に基づきスキャン機構17を制御し、例えば印刷装置2がスキャン開始操作されると、その操作を基にスキャン機構17にスキャン動作を開始させる。
印刷装置2は、ユーザが各種印刷設定を行う際に操作する操作パネル18を備えている。操作パネル18は、画面19aを有する表示装置19と、各種スイッチ群からなる操作部20とを備えている。表示装置19は例えばカラー液晶式の表示装置が用いられ、印刷処理実行時においては画面19aに例えば用紙種類(単票紙又はロール紙)、用紙サイズ、レイアウト、写真選択、印刷枚数等をマニュアル選択するためのメニュー画面を表示する。なお、表示装置19が表示手段及び判別結果表示手段を構成し、操作部20が操作手段に相当する。
操作部20は、印刷装置2に電源投入するための電源スイッチ20aと、例えばヘッドクリーニング等のメンテナンス処理を行う際に操作するメンテナンススイッチ20bと、ロール紙を搬送する際に操作するロール紙スイッチ20cとを備えている。操作部20は、印刷処理を開始する際に操作する印刷開始スイッチ20dと、実行中の印刷処理を強制的に終了する際や、非印刷状態のときに画面19aの入力内容を破棄する際に操作する中止スイッチ20eとを備えている。
操作部20は、上スイッチ20f、下スイッチ20g、決定スイッチ20h及び戻りスイッチ20iを備えている。上スイッチ20f及び下スイッチ20gは、画面19aでのメニュー画面選択や、各種設定項目を選択する際のカーソル移動や、入力すべき数値の増減を行う際に操作される。決定スイッチ20hは、画面19aの表示内容を次画面に進めたり、画面19aを使って入力した設定内容を確定したりする際に操作される。戻りスイッチ20iは、画面19aに表示される画面を初期画面に戻したり、画面19aを一つ前の画面に戻したりする際に操作される。
印刷装置2の例えば正面右側には、赤外線通信機能内蔵のコンパクトフラッシュ(R) 型カード(以下、CF型通信カードと記す)21が抜き挿し可能なカードスロット22が配設されている。CF型通信カード21は、IrDA(Infrared Data Association) に準拠した赤外線通信機能を有したIrDAモジュールであり、カードスロット22にセットすることで赤外線通信機能を印刷装置2に付与する。印刷装置2は、携帯電話3が赤外線通信で送信した印刷データDprをCF型通信カード21で受信し、該印刷データDprを印刷出力することが可能である。なお、CF型通信カード21は通信形式がブルートゥース(R)のカードでもよい。なお、外部通信インターフェース8及びCF型通信カード21が通信手段を構成する。
携帯電話3は、電話機能及び赤外線通信機能の他、電話番号等を含む個人情報を登録管理する電話帳機能、他の携帯電話との間で電子メールを送受信する電子メール機能、携帯電話3にメモ(画像、着信メロディ)を登録するメモ帳機能、静止画又は動画を撮影するカメラ機能等の各種機能を備えている。携帯電話3は電話帳機能で扱う電話帳データDca、電子メール機能で扱うメール本文データDme、メモ帳機能で扱うメモ帳データDnoを、赤外線通信対応のファイル形式でそれぞれ管理する。
詳しくは、電話帳データDcaはvCard (TM)のファイル形式で管理され、メール本文データDmeはvMessage(TM)のファイル形式で管理され、メモ帳データDnoはvNote (TM)のファイル形式で管理されている。また、本例においてはカメラ機能で取得した画像データDjpはJPEGデータで管理されている。これらデータDca,Dme,Dno,Djpは、カードスロット22にセットされたCF型通信カード21を介して、赤外線通信により印刷装置2に転送可能である。また、各ファイルの拡張子は、vCard ファイルが「vcf」 であり、vMessageファイルが「vmg」 であり、vNote ファイルが「vnt」 である。
また、カードスロット22には、CF型メモリーカード(コンパクトフラッシュ(R) 型メモリーカード)23を挿し込むことが可能である。従って、カードスロット22にデジタルカメラ用のメモリーカード23をセットすれば、デジタルカメラで撮影した画像データをメモリーカード23から印刷装置2に読み込んで、画像データDjpを印刷出力することも可能である。なお、携帯電話3は他の携帯電話やホストコンピュータ24との間で電子メールを行う際、所定の通信ネットワーク網を用いて電子メールのやり取りが行われる。
携帯電話3は、携帯電話3を統括制御する制御部25、例えばテンキー等の複数の操作ボタン26、受話口で話された音声を集音するマイク27、送話口を介して音声を外部に出力するスピーカ28、各種画面(画像)を表示するディスプレイ29、画像を撮影するCCDカメラ30を備えている。携帯電話3は、携帯電話網のデータ入出力インターフェースである送受信部31、各種データを一時的に保存可能なメモリ32、赤外線通信が可能な赤外線受発光部33を備えている。
制御部25はCPU、ROM等を有し、CPUがROM内の制御プログラムやアプリケーションに基づき各種動作を実行する。制御部25は、携帯電話3による通話、電話帳登録、メール作成、メール送受信、メモ帳記入、通信ネットワーク(携帯電話網)接続、CCDカメラ30による画像撮影等の各種動作を、操作ボタン26の操作を基に実施する。制御部25は、他の携帯機やホストコンピュータ24との間で通信を行う場合、送受信部31を介して各種データ(音声信号、メール、画像データ等)のやり取りを行う。
携帯電話3のメモリ32には、電話帳データDca、メールデータDmail、メモ帳データDno及び画像データDjpが保存されている。電話帳データDcaは、図2に示す電話帳編集画面34aに入力した以下の各種データからなる。即ち、電話帳データDcaは「名前」、「フリガナ」、「電話番号(1つ目)」、「電話番号(2つ目)」、「電話番号(3つ目)」、「電子メールアドレス(1つ目)」、「電子メールアドレス(2つ目)」、「電子メールアドレス(3つ目)」、「郵便番号」、「住所」及び「ノート」の各種項目に入力されたデータからなる。
携帯電話3に電話帳データDcaを登録するには、まず操作ボタン26を操作して電話帳機能の電話帳登録を選択する。すると、図2に示す電話帳編集画面34aが携帯電話3のディスプレイ29に立ち上がり、この画面34aの各項目に必要事項を入力し、全ての入力作業が完了して操作ボタン26で登録完了操作を行うと登録作業が完了する。この電話帳データDcaは文字のみの情報であればテキストデータであり、赤外線通信対応のファイル形式の1つであるvCard 形式でメモリ32に保存される。
メールデータDmailは、図3に示すメール作成画面34bの「宛先」、「題名」、「メール本文」の各種項目に入力されたデータからなる。携帯電話3でメールを作成するには、まず操作ボタン26を操作して電子メール機能のメール作成を選択する。すると、図3に示すメール作成画面34bが携帯電話3のディスプレイ29に立ち上がることから、ユーザはこの画面34bの各項目に必要事項を入力する。必要事項入力の後、ユーザが操作ボタン26で例えば送信操作を行うと、制御部25が送受信部31を介して電子メールを他の携帯電話やホストコンピュータ24に送信する。
制御部25は、電子メールを送信した後、メール作成画面34bで入力したメールデータDmailをメモリ32に保存する。本例においては、メール作成画面34bでデータ入力する各項目のうち「メール本文」に書き込まれたデータがメール本文データDmeに相当する。このメール本文データDmeは文字、画像及び絵文字等を含むデータであり、赤外線通信対応のファイル形式の1つであるvMessage形式でメモリ32に保存される。なお、メール作成画面34bの各項目に必要事項を入力した後、操作ボタン26で保存操作が行われた場合にも、メール本文データDmeはメモリ32に保存される。
メモ帳データDnoは、図4に示すメモ画面34cに入力されたデータである。携帯電話3にメモ帳データDnoを登録するには、操作ボタン26を操作してメモ帳機能のメモ登録を選択する。すると、図4に示すメモ画面34cが携帯電話3のディスプレイ29に立ち上がり、この画面34cを立ち上げた状態で画像や着信メロディ等を携帯電話3に入力し、入力作業が完了して操作ボタン26で入力完了操作を行うとメモ帳登録が完了する。このメモ帳データDnoは画像や着信メロディに対応したデータであり、赤外線通信対応のファイル形式の1つであるvNote 形式でメモリ32に保存される。
携帯電話3はカメラ機能の使用中、CCDカメラ30で撮像している画像をディスプレイ29に表示するとともに、操作ボタン26をシャッターとして操作することで、その撮像している画像を一枚の画像データDjpとしてメモリ32に保存することが可能である。この画像データDjpは、JPEG形式のデータとしてメモリ32に保存される。
携帯電話3は、CF型通信カード21との間でIrDAに準拠した赤外線通信を行う赤外線受発光部33を備えている。赤外線受発光部33は赤外線通信の通信ポートとして機能し、発光素子及び受光素子を有している。赤外線受発光部33の発光素子は、キャリア周波数が例えば25〜50kHzの搬送波をパルス位相変調したビット信号からなる赤外線を、その発光のオンオフにより出力する。一方、赤外線受発光部33の受光素子は、同様の方式で表現されるビット信号からなる赤外線を受光する。
携帯電話3の操作ボタン26で赤外線通信操作がなされると、制御部25はメモリ32内の各種データDca〜Djpを、赤外線受発光部33を介してCF型通信カード21に赤外線通信で送信する。この通信操作として、まず携帯電話3でアクセサリ機能が選択されると、図5に示すアクセサリ画面34dがディスプレイ29に表示され、アクセサリ画面34dの項目の中から赤外線通信が選択されると、赤外線通信画面34eがディスプレイ29に表示される。赤外線通信画面34eで全件転送が選択されると、送受信選択画面34fがディスプレイ29に表示され、送受信選択画面34fで送信が選択されると、送信対象設定画面34gがディスプレイ29に表示される。
送信対象設定画面34gには、例えば「電話帳」、「スケジュール」、「メモ(メモ帳)」、「受信メール」、「送信メール」、「保存メール」、「Bookmark」等の各種項目が存在する。ユーザがこの中から赤外線通信したい項目を選択して操作ボタン26で送信操作を行うと、その項目に関するデータがCF型通信カード21に向けて赤外線送信される。例えば、送信対象設定画面34gで「電話帳」が選択されれば、電話帳データDcaが携帯電話3からCF型通信カード21に赤外線送信される。なお、携帯電話3からのデータ転送は全件転送に限らず、1件単位の転送を可能としてもよい。
この赤外線送信の際、制御部25は電話帳データDcaをvCard 形式のデータで送信し、メール本文データ(即ち、E-mail、SMS )DmeをvMessage形式のデータで送信し、メモ帳データ(画像、着信メロディ)DnoをvNote 形式のデータで送信する。画像データDjpは、JPEGデータがvNote 形式のデータに変換されてCF型通信カード21に赤外線送信される。制御部25は、これらデータDca〜Djpをオブジェクト交換プロトコルに従って送信する。本例では、オブジェクト交換プロトコルとして、vCard(電話帳)、vMessage(メール本文)、vNote (メモ)、vCalendar (スケジュール)等のvフォーマットと呼ばれるオブジェクト交換に使用されるIrOBEX(TM)を採用している。
図1に示すように、CF型通信カード21はその正面(前面)に赤外線受発光部35と、通信状態を報知する表示部36とを備えている。赤外線受発光部35は、携帯電話3の赤外線受発光部33と同様の機能を有する。表示部36は発光色の異なる複数の発光ダイオードからなり、CF型通信カード21のデータ受信状態を、発光色、点灯、点滅及び消灯の組み合わせにより報知する。CF型通信カード21の背面にはコネクタ(図示略)が配設され、CF型通信カード21をカードスロット22に挿し込んだ際には、このコネクタがカードスロット22の奥面に設けられた印刷装置側コネクタと電気的に接続される。
赤外線受発光部35及び表示部36は、CF型通信カード21がカードスロット22にセットされた状態で露出する位置にあり、携帯電話3を操作するユーザ(操作者)から共に視認可能である。携帯電話3及びCF型通信カード21の赤外線通信の通信可能最大距離は、例えば10〜50cmに設定されている。また、赤外線は比較的指向性が高い通信媒体であるので、携帯電話3からデータを送信する際は携帯電話3を所定の角度に保持した状態を保つ必要がある。
CF型通信カード21は、同カード21を統括制御するカード制御部37と、データバッファとして機能するメモリ38とを備えている。CF型通信カード21は、受信データをシリアルのビットストリームに変換可能なカード側UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter) 39と、入力したシリアルのビットストリームをパラレルなバイトデータに変換可能な印刷装置側UART40とを備えている。
カード制御部37は、赤外線受発光部35、表示部36、メモリ38及びカード側UART39を制御する。カード制御部37はCPUやROM等を有し、CPUがROM内の制御プログラムやアプリケーションに基づきCF型通信カード21の各種動作を実行する。カード制御部37は、携帯電話3から赤外線受発光部35を介して各種データを受信すると、そのオブジェクトデータ(電話帳データDca、メール本文データDme、メモ帳データDno及び画像データDjp等)を印刷装置2に転送する処理を開始するように、カード側UART39に転送処理開始を指示する。この際、メモリ38の一部がオブジェクトデータを一時保存するバッファとして使用される。
カード側UART39は、カード制御部37の指示に基づきオブジェクトデータ(電話帳データDca、メール本文データDme、メモ帳データDno及び画像データDjp等)をシリアルのビットストリームに変換して、その変換後のオブジェクトデータを印刷装置側UART40に出力する。
印刷装置側UART40は、CF型通信カード21をカードスロット22にセットした際、双方のコネクタが電気的に接続されることで繋がるバスを介して印刷装置2側の外部通信インターフェース8に接続された状態となる。印刷装置側UART40は、この接続状態において外部通信インターフェース8によって制御される。印刷装置側UART40は、カード側UART39からオブジェクトデータを受信し始めると、印刷装置2側にデータの読み込みを要求すべく割込信号を出力する。この割込信号を受信した印刷装置2側で入力ポートが開かれると、オブジェクトデータの印刷装置2への読み込みが開始される。この際、印刷装置側UART40は、カード側UART39から受信したシリアルのビットストリームをパラレルなバイトデータに変換しつつ、そのオブジェクトデータを印刷装置2側に出力する。
外部通信インターフェース8は独立して複数設けられた通信インターフェース群からなり、本例においてはパラレル通信部8a、シリアル通信部8b、USB通信部8c、スロット通信部8d等を備えている。各通信部8a〜8dは、通信ポート(入力・出力ポート)を各々有している。外部通信インターフェース8は、ホスト装置(CF型通信カード21やホストコンピュータ24等)から各通信部8a〜8dが受信要求(データ)を受け付けると、その旨を通信(データ受信)の優先順位を管理するCPU4に通知する。
このとき、CPU4は通信ポートの空き状況や受信中の通信ポート等を管理する。この動作として、CPU4は外部通信インターフェース8から受け付けたその受信の旨の情報に基づきデータ受信が可能かどうかを判定し、例えば次データの受信が可能になった後に最初にデータ受信した場合はその通信部の入力ポートを開く指示を出す。外部通信インターフェース8はCPU4の指示に従って各通信部8a〜8dの入力ポートのうち指示された1つを開くことにより、所定の外部機器(メディア)から送られてくるデータを受信し、共通のシステムバス10に出力する。
これら複数の入力ポート中のどれか1つのポートに最先にデータが到着すると、外部通信インターフェース8はそのポートからデータの取り込みを開始し、データの取り込みが終了するまでの間、他のポートをビジー状態にして他のポートからのデータ受信を禁止する。外部通信インターフェース8は、このような処理をCPU4の指示に従って行う。CPU4は、1つの通信ポートからのデータ受信が開始されると、その受信データが印刷処理に至るまで通るデータ転送経路をその印刷終了時まで確保し、その間は他の通信ポートからのデータ受信を禁止するように外部通信インターフェース8に指示する。
パラレル通信部8aは、ホストコンピュータ24から通信ケーブルを介してデータをパラレル通信で受信することが可能である。シリアル通信部8bは、ホストコンピュータ24から通信ケーブルを介してデータをシリアル通信で受信することが可能である。USB通信部8cは、USB対応機器から所定の通信プロトコルに従ってデータ受信が可能である。スロット通信部8dは、カードスロット22に挿し込まれたCF型通信カード21やメモリーカード23からデータ受信が可能である。なお、各通信部8a〜8dは、ホスト装置との通信上必要な情報や、印刷装置2の状態を通知する信号など所定の信号又はデータが送信可能である。
ユーザが操作部20を操作してメニュー表示操作を行うと、CPU4はROM5に記憶したメニュー表示用プログラムを起動して、表示装置19の画面19aにメニュー画面を表示させる。このメニュー画面は、テンプレート選択、画像選択、文字入力、各種印刷項目(用紙種類、用紙サイズ、印刷枚数、レイアウト、文字色、回転等)の各種印刷条件を設定する際に用いる画面である。ユーザはメニュー画面に印刷条件を入力操作又は選択操作して各種印刷条件を設定する。
ROM5には、印刷の定形フォーマット(雛形)であるテンプレートのデータ(以下、印刷テンプレートデータと記す)Dteが記憶されている。テンプレートは印刷のレイアウト、つまり画像や文字の組み込む位置を定義するものである。本例において印刷テンプレートデータDteは例えばハガキ(宛名)、ハガキ(横)、ハガキ(縦)、カード(名刺)、CD/DVDごとに各々用意されている。なお、印刷テンプレートデータDteは、同一印刷用紙(例えばハガキ(横))においてデザインの異なるものが複数種存在してもよい。
また、メニュー画面の一項目であるレイアウトは、携帯電話3、スキャン機構17、メモリーカード23、ホストコンピュータ24等から印刷用に入力した1つ又は複数の画像(文字)を、用紙上にレイアウト指定して印刷処理する機能である。ここで言うレイアウトとは、例えば印刷画像の印刷倍率を数十〜数百の比率で拡大/縮小する処理や、1頁に複数頁をデータ印刷する割り付け処理やA3サイズより大きな用紙に印刷するポスター印刷処理等がある。このレイアウト設定時に入力されたデータは、印刷レイアウト指示データDpa(図7参照)として印刷処理時に取り扱われる。
CPU4は、例えばメニュー画面等で例えば「携帯文字合成印刷」の実行操作がなされると、印刷装置2の作動モードを携帯文字合成専用受信モード(作動態様)にする。携帯文字合成専用受信モードは、携帯電話3からオブジェクトデータを取り込んで印刷画像に反映させる印刷処理を行うことが可能なモードである。なお、画像については携帯電話3から取得してもよいし、或いはスキャン機構17、メモリーカード23及びホストコンピュータ24等から取得することも可能である。
一方、CPU4は、印刷装置2が携帯文字合成専用受信モード以外の作動モードであれば、携帯電話3から受信したオブジェクトデータを生データのまま印刷処理させる。即ち、CPU4は携帯電話3からオブジェクトデータを受信しても、そのオブジェクトデータをテンプレート対応ではなく単なる文字列(インデックス)として印刷出力させる。なお、レイアウト情報とは、割り付け位置の指定情報やデータを割り付けるべきフレームを備える印刷テンプレートデータDte、及び印刷レイアウト指示データDpaが含まれる。
図6は、印刷装置2及び携帯電話3間でCF型通信カード21を介して行われるデータ通信及びその受信データの印刷処理を説明する機能ブロック図である。なお、同図に示す各機能部は、各種回路を含むハードウェア回路と、通信プロトコル及びアプリケーション等を実行するCPU4とによって実現されている。
CF型通信カード21は、CPU及び通信回路を含むハードウェアからなるIrDA通信回路41と、IrDA通信プロトコル群からなるIrDAスタック(IrDAプロトコルスタック)42と、携帯電話3から赤外線通信で受信するファイルの転送制御を司るファイル転送部43とを備えている。CF型通信カード21は、携帯電話3間のIrDA通信と、印刷装置2間のシリアル通信との2つの通信系統の間でデータの受け渡し制御を行うとともに、受信データチェック等の処理を行うオブジェクト送受信部44を備えている。
通信レイヤにおいては、IrDA通信回路41が物理層に相当し、IrDAスタック42がデータリンク層及びネットワーク層に相当し、ファイル転送部43がトランスポート層及びセッション層に相当する。同じく通信レイヤにおいて、オブジェクト送受信部44は、ファイル転送部43からのデータを処理するプレゼンテーション層及びアプリケーション層に相当する部分と、UART39の上位層でシリアル通信プロトコルスタックからなるプレゼンテーション層〜データリンク層を構成する部分とからなる。
ファイル転送部43は、CF型通信カード21内のOBEX(Object Exchange(TM)) プログラムを実行することで構築される機能部分であり、OBEXの仕様に基づくファイル転送制御を司る。詳しくは、携帯電話3側のOBEXとの論理的な通信リンクの確立及び切断や、ファイル転送時にパケット分割されて送られてくるパケットを元のファイルに組み立てる復元処理等を行う。
オブジェクト送受信部44は対応拡張子記憶部44aを有し、カードスロット22にCF型通信カード21が挿着された状態を印刷装置2が電源投入後はじめて検知した時に、印刷装置2からCF型通信カード21へ送られてくる拡張子データを対応拡張子記憶部44aに記憶(セットアップ)する。
CF型通信カード21がデータを受信した際、オブジェクト送受信部44は受信データからファイル名を取得し、そのファイル名の中の拡張子と拡張子データとを比較参照することにより、受信データが印刷装置2にとって印刷対応能力のある印刷対応データか否かを判定する。詳しくは、受信データのヘッダ中にあるファイル名「aaaa.bbb」を読み取り、ファイル名から拡張子「bbb」 を抜き出し、この拡張子「bbb」 と拡張子データとを参照比較することにより印刷対応データか否かを判断する。この参照比較では大文字と小文字の区別はしない。
そして、オブジェクト送受信部44はその判定結果に基づき印刷対応データの受信は許可するが、印刷未対応データの受信は拒否するデータ選別処理を行う。オブジェクト送受信部44は、印刷対応データである場合、そのオブジェクトデータ及びファイル拡張子「bbb」 のデータ(ファイル拡張子データという)を印刷装置2側へ転送する。なお、ここで行うデータ選別はファイル形式がvCard 等のデータのみを受信許可することに限らず、例えば拡張子が「txt」 や「rtf」 のファイルについても受信を許可する閾基準の高くない第1段階の選別である。
印刷装置2は、CF型通信カード21間で信号やデータのやり取りを行うカードドライバ45と、印刷装置側UART40の通信動作を制御するUARTドライバ46と、オブジェクトデータの受信完了判断を行うデータトランスファ部47と、オブジェクトデータを解析して各種処理を施すIrDAプロファイル部48とを備えている。印刷装置2は、入力したテキストデータにラスタ処理を施すテキストデータラスタ処理部49と、入力した画像データにラスタ処理を施す画像データラスタ処理部50とを備えている。
カードドライバ45及びUARTドライバ46は、スロット通信部8dに内蔵されたドライバ回路からなるハードウェアとソフトウェアとで構成されている。データトランスファ部47は、CPU4が通信プロトコルプログラムを実行することにより実現される機能部分である。IrDAプロファイル部48、テキストデータラスタ処理部49及び画像データラスタ処理部50は、CPU4がアプリケーションプログラムを実行することにより実現される機能部分である。
なお、OSI参照モデルに当てはめた場合、カードドライバ45及びUARTドライバ46はデータリンク層及びネットワーク層に相当する。また、データトランスファ部47はトランスポート層及びセッション層に相当し、IrDAプロファイル部48、テキストデータラスタ処理部49及び画像データラスタ処理部50は、プレゼンテーション層及びアプリケーション層に相当する。
カードドライバ45は、印刷装置2の電源投入時にCPU4が実行する初期化処理の際に、CPU4から拡張子データを受け取ってセットアップデータ記憶部45aに格納する。そして、カードドライバ45は、電源投入後はじめて印刷装置2とCF型通信カード21との電気的接続を検知したCPU4からの指示に基づきセットアップデータ記憶部45aに格納された拡張子データを読み出してCF型通信カード21に送信する。本実施形態では、印刷対応ファイルの拡張子として、「vcf」「vmg」「vnt」「jpeg」「jpg」 が拡張子データに設定されている。CF型通信カード21へ送られた拡張子データは、オブジェクト送受信部44により対応拡張子記憶部44aに格納されることによりCF型通信カード21側にセットアップされる。
UARTドライバ46は、例えばCPU4及びカードドライバ45の指示に基づき印刷装置側UART40を制御し、印刷装置側UART40から割込要求を受け付けると、印刷装置2が他の通信部8a〜8dからデータ受信中であるビジー状態でない限り入力ポートを開きデータの取り込みを開始する。UARTドライバ46は、データトランスファ部47及びIrDAプロファイル部48で検出されたエラー通知などの通知を受け取ると、その旨の信号をカード制御部37に送信する。
データトランスファ部47は、CF型通信カード21のオブジェクト送受信部44から送られてきたオブジェクトデータとファイル拡張子データを受け取ると、ファイル拡張子データをIrDAプロファイル部48に送るとともに、オブジェクトデータについてはそれを正しく受信できたかどうかを判断する。この判断は、オブジェクトデータが正しく受信できたかどうかを検証する手順がプログラムされた伝送制御手順47aに従って判定される。伝送制御手順47aとしてはベーシック手順と、HDLC(ハイレベルデータリンク)手順とが挙げられ、本例ではベーシック手順を簡素化した伝送制御手順を採用する。
データトランスファ部47は、伝送制御手順47aによりデータを正しく受信できた場合はそのデータ(電文本体又は電文分割ブロック)を次のIrDAプロファイル部48へ順次送り、データが正しく受信できなかった場合はオブジェクト送受信部44へそのデータの再送を要求する。この再送要求を受けたオブジェクト送受信部44は直前にデータトランスファ部47へ送信したデータを再送する。データトランスファ部47は、再送要求の後に再送されないままタイムアウトになると、エラー通知信号をオブジェクト送受信部44へ送信するようUARTドライバ46に指示する。
IrDAプロファイル部48は、印刷装置2の作動モードを判定するモード判定部51と、印刷装置2が取り込んだ各種データをRAM6に一時保存する際に同データの不備の有無を検証するデータ検証部52と、印刷処理時にオブジェクトデータの拡張子を識別する拡張子識別部53とを備えている。IrDAプロファイル部48は、XHTML 形式で記述された印刷レイアウトテンプレートを記憶したテンプレート記憶部55と、vNote 形式のファイルのデータの中身を解析及び検証する画像データデコード部56とを備えている。
モード判定部51は、本例において印刷装置2の作動モードが携帯文字合成専用受信モードと、電源は投入されているが携帯文字合成専用受信モード以外のモード(例えば、通常の待機モード)とのどちらであるかを判定する。モード判定部51は、データトランスファ部47からオブジェクトデータを入力した際、印刷装置2の作動モードが携帯文字合成専用受信モードであれば、そのオブジェクトデータをデータ検証部52に送出する。
一方、モード判定部51は、データトランスファ部47からオブジェクトデータを入力した際、印刷装置2の作動モードが携帯文字合成専用受信モード以外のモード(待機モード等)であれば、そのオブジェクトデータをテキストデータラスタ処理部49又は画像データラスタ処理部50に直接送出する。従って、オブジェクトデータはテンプレートに対応付けられない生データのままテキストデータラスタ処理部49又は画像データラスタ処理部50に送られて印刷処理が施される。
データ検証部52は、モード判定部51から入力したファイル拡張子データを参照して、その入力データが受け付け可能なデータであるか否かを検証し、データが正しければそれをRAM6に一時的に保存し、データが正しくなければ受信データをRAM6に保存せずに破棄する。例えば印刷装置2が携帯電話3から電話帳データDcaを赤外線通信で受信した場合、まずデータ検証部52は受信した電話帳データDcaのファイル形式がvCard 形式か否かを識別し、形式が正しければRAM6に一時的に保存する。
ここで、図7に示すように、電話帳データDcaは、「BEGIN:VCARD」のプロパティで始まり、このプロパティ以下にvCard の具体的な情報が書き込まれ、最後に「END:VCARD」のプロパティで終わるデータ群である。従って、データ検証部52は、受信データ内に「BEGIN:VCARD」の情報があるか否かを見ることで、その受信データが電話帳データDcaであるか否かを検証する。また、電話帳データDca内に複数件のデータが含まれる場合には、「BEGIN:VCARD」で始まり「END:VCARD」で終わるデータの括りが複数存在することになる。なお、電話帳データDcaのファイル形式がvCard 形式か否かの識別は、ファイル拡張子データが「vcf」 であるか否かを見ることによって行うことも可能である。
「BEGIN:VCARD」と「END:VCARD」との間には、個人情報の各アイテムが「プロパティ要素:入力値」の形式で書き込まれている。このプロパティ要素としては、「N(名前)」、「SOUND(フリガナ)」、「ADR(住所)」、「TEL(電話番号)」、「EMAIL(電子メールアドレス)」、「NOTE(メモ)」等が用意されている。また、プロパティ要素の後に続く入力値は、そのプロパティ要素に関してユーザが入力若しくは指定した具体的な入力データ(名前、フリガナ、住所、電話番号、電子メールアドレス等)である。
また、プロパティ要素の後に「;」を付与して属性を書き込むことによって、プロパティの詳細を指定することも可能である。例えば、図7に示す「TEL;WORK;VOICE」のプロパティ要素は勤務先電話番号を表し、「TEL;CELL」のプロパティ要素は携帯電話番号を表し、「TEL;X-ABC MAIN;VOICE」は組織の代表電話番号を表している。この属性には、例えば自宅や学校等の電話番号を指定するものもある。また、以上の事に関しては「MAIL」や「ADR」等の他のプロパティ要素でも同じことが言える。
電話帳データDcaがvCard 形式のファイルである場合、データ検証部52は受信した電話帳データDcaをRAM6に保存する。一方、電話帳データDcaがvCard 形式のファイルでない場合、データ検証部52はこの電話帳データDcaをRAM6に保存せずに破棄するとともに、表示装置19の画面19aにデータ受信中止の旨を表示する処理過程を経る。
また、印刷装置2が携帯電話3から電話帳データDcaを赤外線通信で取得する際、データ検証部52は電話帳データDcaに必要なデータが含まれているか否かも判断し、必要なデータが含まれていなければ、そのデータをRAM6に保存せずに破棄し、データ受信中止の旨を画面19aに表示する。例えば、データ検証部52は電話帳データDca内に「N」或いは「FN」のプロパティ(ネーム又はフルネームを表す属性情報)が含まれているか否か、更に「N」或いは「FN」のプロパティに入力値が含まれているか否かを判断する。電話帳データDca内にこれらプロパティ及び入力値が含まれていなければ、データ検証部52はこの電話帳データDcaを受信すべきでないと判断して、この電話帳データDcaをRAM6に保存せず、データ受信中止の旨を表示装置19の画面19aに表示する。
また、データ検証部52は電話帳データDca内に「ADR」のプロパティ(住所を表す属性情報)が含まれているか否か、この「ADR」のプロパティに入力値が含まれているか否か、更に郵便番号マーク及び郵便番号を表す数字パターン(文字列)が含まれているか否かを判断する。電話帳データDca内にプロパティ及びこれらデータが含まれていなければ、データ検証部52はこの電話帳データDcaを受信すべきでないと判断して、この電話帳データDcaをRAM6に保存せず、データ受信中止の旨を表示装置19の画面19aに表示する。
なお、以上に述べた方式は、複数件からなる電話帳データDcaを1つのデータ括りとして取り扱っていることから、電話帳データDca内の各件において1つでも名前や住所等に不備があれば、この電話帳データDcaを全て破棄することになる。但し、複数件からなる電話帳データDcaを各件単位で取り扱うことも可能であり、この場合においては電話帳データDcaの各件のうち不備のないものはRAM6に保存し、不備のあるものについては破棄する方式をとることも可能である。
また、データ検証部52は、電話帳データDcaの検証のみを行うことに限らず、例えばメール本文データDmeやメモ帳データDnoについても同様の検証を行うことも可能である。更に、データ検証部52は、携帯電話3から取り込んだオブジェクトデータ(電話帳データDca、メール本文データDme、メモ帳データDno及び画像データDjp)のみ検証することに限らず、例えばスキャン機構17、メモリーカード23、ホストコンピュータ24から取り込んだ画像データについて検証を行うことも可能である。
更に、RAM6に一時保存されるデータは文字データDle(電話帳データDca、メール本文データDme及びメモ帳データDno内のテキストデータ)や画像データDjpに限らず、上記した印刷テンプレートデータDteや印刷レイアウト指示データDpaでもよい。印刷テンプレートデータDteや印刷レイアウト指示データDpaは、オブジェクトデータと同様に携帯電話3から赤外線通信を介して取り込むことに限らず、例えばホストコンピュータ24等の外部機器からケーブル通信を介して取り込んでもよい。また、印刷テンプレートデータDteや印刷レイアウト指示データDpaは、携帯電話3やホストコンピュータ24で新たにダウンロードして、それを印刷装置2に送信してもよい。
拡張子識別部53は、RAM6内のデータを用いて印刷処理が行われるとき、ユーザにより印刷対象として選択されたデータをRAM6から読み出し、その読み出した各データのファイル拡張子データを識別してデータの振り分け先を選定する。この処理として、拡張子識別部53はファイル拡張子データが「vcf」 や「vmg」 であれば、そのvCard ファイルやvMessageファイルをテキストデータ形式変換部54に送り、ファイル拡張子データが「vnt」 であれば、そのvNote ファイルを画像データデコード部56へ送る。拡張子識別部53は、受信データのファイル拡張子データが「jpeg」又は「jpg」 であれば、そのJPEGファイルを画像データラスタ処理部50へ送る。
テキストデータ形式変換部54は、電話帳データDcaやメール本文データDmeのファイル形式をXHTML 形式に変換する前にそのデータの中身を解析し、ファイル形式がvCard 形式又はvMessage形式であることを検証する。例えば、入力データが電話帳データDcaの場合、同ファイル形式のデータならば備えているはずのプロパティ(「BEGIN:VCARD」 ,「N」 ,「SOUND」 等)などの有無を確認する。テキストデータ形式変換部54は、入力データが電話帳データDcaでない場合、このデータを破棄するとともに、表示装置19やCF型通信カード21でその旨を通知する。一方、テキストデータ形式変換部54は、このデータが電話帳データDcaであれば、そのデータをXHTML 形式に変換する。
また、携帯電話3の機種によっては電話帳に画像添付機能を備えているものもあり、この場合には電話帳データDcaに画像データが付随している。更に、一般的に電子メールには絵文字機能があるため、メール本文データDmeにも画像が添付された状態となることがある。このため、テキストデータ形式変換部54は、この種のデータを入力した際、画像に関するデータを抜き取り、それを画像データデコード部56に転送する。このように、テキストデータ形式変換部54は、拡張子が正しい場合でもデータの中身まで解析及び検証する。
逆に、画像データデコード部56がテキストデータを含むタイプのvNote 形式のファイルを受け付けた場合、画像データデコード部56はその受け付けたデータのうち画像データを取得し、テキストデータについてはテキストデータ形式変換部54に転送する。なお、このときに画像データデコード部56が行う処理については、テキストデータ形式変換部54と同様の処理を経るため、詳細は省略する。
テキストデータ形式変換部54は、ファイル形式変換処理を施す際、まずテンプレート記憶部55(ROM5又はRAM6)からXHTML 形式で記述された図8及び図9に示す印刷テンプレートデータDteを読み出す。なお、図8のデータの続きが図9に示されている。印刷テンプレートデータDteは、XHTML 形式で記述されたレイアウト用データであり、タグを使用して文字の大きさ、色、画像ファイル等が指定されている。また、印刷テンプレートデータDteは、携帯電話3から取得した受信データがテンプレートの所定位置に割り付けられるように、オブジェクトデータを構成する各プロパティの入力値(テキストデータ)の格納先もタグにより指定されている。
印刷テンプレートデータDteには、以下のデータ群が文書のヘッダ情報であることを表す<head>タグが書き込まれ、この<head>タグ〜</head>タグの間に、印刷テンプレートデータDte情報(タイトルや表示スタイル等)が書き込まれている。<head>タグ〜</head>タグの間には文書にタイトルを付ける際に用いる<title>タグが書き込まれ、この<title>タグ〜</title>タグの間に、タイトルに関する情報(タイトル情報)が書き込まれている。このタイトル情報は、ブラウザのツールバーに表示されたり、ブックマーク登録を行った際のタイトル名として表示されたりする。
<head>タグ〜</head>タグの間には、以下の領域にスタイルシートが記述されていることを表す<style>タグが書き込まれ、この<style>タグ〜</style>タグの間に、スタイルシートに関する情報(スタイル情報)が書き込まれている。このスタイル情報としては、表示画像のページサイズを指定したページサイズ情報、同ページ上に表示される文字の詳細(フォント、色、レイアウト)を指定した文字詳細情報、同ページ上に乗せられる画像の詳細を指定した画像情報等が含まれる。
印刷テンプレートデータDteには、以下に続くデータ群が文書の本体であることを表す<body>タグが書き込まれている。<body>タグ〜</body>タグの間には、まず最初に<div class=”HagakiSize”>タグが書き込まれることによって、<body>タグ以下のブロックのclass 属性が「HagakiSize」であることが指定されている。また、本例においては<div class=”HagakiSize”>タグの後には、コメントとして<!--HagakiSize領域決定用-->タグが記載されている。
<div class=”HagakiSize”>タグの下段には、次ブロックのデータ群が画像に関するものであるというコメントとして<!--画像-->タグが記載されている。この<!--画像-->タグ下段には、画像に関する詳細の指定領域として<div class=”image1”>タグ及び<img class=”image1” src=”288x352.jpg”>タグが記載されている。
<div class=”image1”>タグは、画像div 要素のclass 属性が「image1」に沿うものであることを定義するタグである。「image1」のdiv 要素では、画像の表示位置、幅、高さ等が設定されている。また、<img class=”image1” src=”288x352.jpg”>タグは、画像のimg 要素のclass 属性が「image1」に沿うもので、使用画像が「288x352.jpg」であることを定義するタグである。「image1」のimage 要素では、表示形式、高さ、縁幅等が設定されている。
画像に複数箇所(本例は2箇所)で文字表示を行う場合、1つ目の文字群をタイトル1とすると、<div class=”image1”>タグ及び<img class=”image1” src=”288x352.jpg”>タグの下段には、次ブロックのデータ群がタイトル1に関するものであるというコメントとして<!--タイトル1-->タグが記載されている。この<!--タイトル1-->タグの下段には、タイトル1に関する詳細の指定領域として<div class=”title1 title1a”>タグ及び<span class=”title1”>タグが記載されている。
<div class=”title1 title1a”>タグは、タイトル1のdiv 要素のclass 属性が「title1」及び「title1a」に沿うものであることを定義するタグである。「title1」のdiv 要素では、タイトル1で表示する文字の位置、フォントサイズ、高さ、幅等が設定されている。「title1a」のdiv 要素では、文字の表示位置、色等が設定されている。また、<span class=”title1”>タグは、タイトル1のspan 要素のclass 属性がtitle1に沿うものであることを定義するタグである。「title1」のspan 要素では、文字の1行高さが設定されている。
また、<span class=”title1”>タグとその直後の</span>タグとの間は、画像に表示する実際の文字が書き込まれる領域である。例えば、タイトル1に単なる文字列を書き込む場合、この領域には同文字列の書込先を指定する<!--タイトル1文字--!>タグが書き込まれている。このため、画像に文字データDleを重ねて印刷出力する際、タイトル1として指定された文字データDleの書込先については、このコメントタグを検索することによって位置が指定される。よって、タイトル1として取り込んだ文字データDleは、<!--タイトル1文字--!>タグ部分に書き込まれることになる。
画像上に表示する2つ目の文字群をタイトル2とした場合、タイトル1用の</span>タグ及び</div>タグの下段には、次ブロックのデータ群がタイトル2に関するものであるというコメントとして<!--タイトル2-->タグが記載されている。この<!--タイトル2-->タグの下段には、タイトル2に関する詳細の指定領域として<div class=”title2 title2a”>タグ及び<span class=”title2”>タグが記載されている。
<div class=”title2 title2a”>タグは、タイトル1と同様の形式で要素及び属性が定義されている。また、<span class=”title2”>タグとその直後の</span>タグとの間は、タイトル1の場合と同様に、画像に表示する実際の文字が書き込まれる領域である。例えば、タイトル2に名前、住所及び電話番号を書き込む場合、この領域にはこれら文字列の書込先を指定する<!--ESD_vCard_Name-->タグ、<!--ESD_vCard_ADRESS1-->タグ及び<!--ESD_vCard_TELN01-->タグが書き込まれている。このため、タイトル2の文字データDleとしては、携帯電話3から電話帳データDcaを送信する処理を行うことになる。
よって、画像に電話帳データDcaを重ねて印刷出力する際、この電話帳データDcaの書込先については、これらコメントタグを検索することによって位置が指定される。即ち、電話帳データDca内の名前が<!--ESD_vCard_Name-->タグ部分に書き込まれ、住所が<!--ESD_vCard_ADRESS1-->タグ部分に書き込まれ、電話番号が<!--ESD_vCard_TELN01-->タグ部分に書き込まれる。なお、各コメントタグの直後に記載された<br/>タグは改行を表すタグであり、印刷文字はこの<br/>タグ部分で改行された状態で印刷される。
印刷装置2が文字データDleを受信した際、テキストデータ形式変換部54はその文字データDleを印刷テンプレートデータDteに組み込む処理を行う。この処理に際して、テキストデータ形式変換部54は印刷テンプレートデータDte内のコメントタグ(即ち、<!-- --!>タグ)を読み出し、このコメントタグに応じたプロパティ要Dteに割り付けてXHTML データ(XHTML-Printデータ)を生成する。
例えば、文字データDleが図7に示すvCard ファイル(電話帳データDca)の場合、テキストデータ形式変換部54はそのvCard ファイルの中から所定のプロパティ要素(例えば、「N」、「ADR」、「TEL」等)の各入力値を取り出し、これら入力値を<span class=”title1”>タグ(或いは<span class=”title2”>タグ)の直後に書き込む。このように、XHTML 形式を用いて印刷用のデータを生成する処理を用いれば、文字列を印刷テンプレートデータDteに組み込む際に、コメントタグを探すだけで文字列の書込先を特定できるため、XHTML の構文を解析する処理を経なくとも、文字列を印刷テンプレートデータDteに組み込むことが可能である。
画像データデコード部56は、拡張子識別部53からvNote 形式のオブジェクトデータを受け取って、そのオブジェクトデータの中身を解析し、それがvNote 形式のデータであるか否かを検証する。この検証としては、例えばvNote 形式のデータであれば備えているはずのプロパティ等の有無を確認する。画像データデコード部56は、入力データがvNote 形式のデータでなければデータを破棄するとともに、間違ったデータである旨を表示装置19及びCF型通信カード21で通知する。一方、vNote ファイル形式のデータであれば、添付されているエンコード画像データを抜き取るとともに、メモ帳機能で記述されたテキストデータを含むと解析した場合はそのテキストデータをテキストデータ形式変換部54に転送する。
画像データデコード部56は、予め用意されたデコード用プログラム(Bese64)を起動させて、エンコードされたJPRG画像データをJPEG画像データにデコードする。このように、画像データデコード部56は、入力したデータの拡張子が「vnt」 であっても、データの中身までも正しくvNote 形式であるかどうかを事前に解析及び検証する。画像データデコード部56は、デコード後のJPEG画像データを画像データラスタ処理部50に送出する。
テキストデータラスタ処理部49は、テキストデータ形式変換部54から受け取ったXHTML データにラスタ処理を施す。また、画像データラスタ処理部50は、JPEG画像データにラスタ処理を施す。ここで、テキストデータラスタ処理部49及び画像データラスタ処理部50は、XHTML 形式に変換されたデータを受け付けた場合、テンプレートに対応付けられた印刷態様でオブジェクトデータを印刷出力する。一方、テキストデータラスタ処理部49及び画像データラスタ処理部50は、モード判定部51からオブジェクトデータを直接入力すると、テンプレートを加味しない単なる文字列(インデックス)として印刷出力する。
テキストデータラスタ処理部49は、このラスタ処理としてXHTML 解析処理、レイアウト設定処理、色変換処理及び2値化処理を実施する。まずXHTML 解析処理では、XHTML データを解析して、X HTML 言語で記述されたレイアウトのテンプレート情報とテキストで記述された個人情報とに分解する。そして、XHTML 言語(タグ)で記述された記述内容(レイアウトのテンプレート情報)を解析して個人情報テキスト(各プロパティの値)の割付領域を演算し、演算した各割付領域の位置座標データ(アドレスデータ)を取得する。
レイアウト設定処理では、個人情報テキストの文字コードをキャラクタデータに変換するとともに、得られたキャラクタデータをテンプレートで指定された割付領域から決まるアドレスに所定の文字サイズのドットデータとして展開する。この展開されたドットデータに色変換処理及び2値化処理を施した後、その2値化データに印刷時のドット形成順序に並び替える処理を施す。なお、XHTML 解析処理の結果、XHTML データが画像を含む(アドレス指定のみ)場合は、れると、その画像とテキストを併せた全体についてレイアウト設定処理を行う。よって、テキストと画像を含む場合は、テキストと画像が所定位置に配置されたレイアウトが決定される。
画像データラスタ処理部50は、ラスタ処理を行う前に、画像データデコード部56を経由せず直接送られてきたJPEGデータについては、データの中身を解析してJPEGファイル形式のデータであるか否かを検証する。ラスタ処理には、JPEG解析及びデコード処理、レイアウト設定処理、色変換処理及び2値化処理が含まれる。JPEG解析及びデコード処理では、JPEG画像データが圧縮系画像データであるためまずこれをYCbCr表色系(輝度(Y) と青の色差(Cb)と赤の色差(Cr)を使って表現する表色系)の非圧縮系画像データに解凍する。そして、解凍して得られたYCbCr表色系の多値画像データをさらにRGB表色系の多値画像データに変換する。
レイアウト設定処理では、RGB表色系の多値画像データを用紙上に割り付ける割付領域を演算し、演算した割付領域から決まるワークメモリ(イメージバッファ)6b上のアドレスにその画像を所定サイズのドットデータとして展開する。この展開された画像データ(ドットデータ)に色変換処理及び2値化処理を施した後、その2値化データに印刷時のドット形成順序に並び替える処理を施す。
図11は、印刷コンテンツ・ライブラリの構成図である。データ検証部52でRAM6への保存が許可された各種データ(文字データDle、画像データDjp、印刷テンプレートデータDte及び印刷レイアウト指示データDpa)は、ライブラリ化された状態でRAM6に一時的に蓄積される。即ち、データ検証部52でRAM6への保存が許可された各種データは、各々のデータ単位で取り扱いが可能な状態でRAM6に保存されている。ユーザは、操作パネル18を操作してRAM6内のデータの中から所望の画像データDjp、文字データDle、印刷テンプレートデータDte及び印刷レイアウト指示データDpaを選択指定して印刷条件を設定する。
また、印刷装置2は、元データをレイアウト対応のXH TML 形式のデータに変換する印刷レイアウト生成モジュール57と、そのXHTML 形式のデータを印刷用のイメージデータに変換するレンダラー58とを備えている。なお、印刷レイアウト生成モジュール57が図6の拡張子識別部53、テキストデータ形式変換部54、テンプレート記憶部55及び画像データデコード部56で構成され、レンダラー58が図6のテキストデータラスタ処理部49及び画像データラスタ処理部50で構成される。
印刷レイアウト生成モジュール57は、ユーザによって指定された印刷条件に基づき、印刷対象として組み合わされたデータに関してレイアウト情報、レイアウト内の画像情報、レイアウト内の文字情報の各種データを設定する。レイアウト情報は、例えばレイアウト番号、文字列個数情報(レイアウト中の配置文字列数)、画像個数情報(レイアウト中の配置画像数)、テンプレート情報(使用するテンプレートの情報)、用紙サイズ(印刷用紙サイズ)、メディアタイプ(品質を決定する印刷メディア種)の各項目からなる。
レイアウト内の画像情報は、画像番号(レイアウト内の画像番号)、画像タイプ(JPEG又はPNG(Portable Network Graphics) )、最大サイズ(レイアウトに収まる最大サイズ(データ容量))、横サイズ(最大横方向サイズ)、縦サイズ(最大縦方向サイズ)、回転角度(画像の回転角度)の各項目からなる。また、レイアウト内の文字情報は、文字列番号(レイアウト内の文字列)、最大文字列長(文字枠に入力可能な文字数)、文字数カウント(保存済みの文字列長)、文字色(文字列の色情報)の各項目からなる。
レンダラー58は、これら各種情報を入力して、ユーザが組み合わせたデータを印刷用のイメージデータに置き換える。プリントエンジン59はこの印刷用のイメージデータを入力して用紙へ印刷処理を施す。なお、プリントエンジン59は印刷ヘッド11、キャリッジモータ12及び紙送りモータ13等の印刷装置2のメカ機構に相当する。なお、文字データDleはROM5内に記憶したデータを使用してもよいし、印刷テンプレートデータDteはROM5内のデータのみを用いることに限らず、外部から新たに取得したデータでもよい。
また、プリントエンジン59は、このイメージデータを基に文字(画像でも可)を印刷出力する際、同一文字を用紙Pにおける印刷開始位置を変更(ずらす)ことによって、影が生じた印刷文字として印刷出力することも可能である。なお、本例においては影が生じた状態のイメージデータはテキストデータラスタ処理部49によって生成され、影として印刷する文字色や、印刷開始位置のずらし量は操作パネル18で適宜設定変更可能である。
次に、本例の印刷システム1の動作を図12〜図20に従って説明する。
まず、ユーザが操作部20を操作して印刷装置2の作動モードを携帯文字合成専用受信モード(通称、ファンプリントモード)に設定操作すると、表示装置19の画面19aには、図12に示すような携帯文字合成専用受信モードの初期画面60aが表示される。表示装置19の画面19aに初期画面60aを表示した状態で決定スイッチ20hが操作されると、以下に示すような携帯文字合成印刷が開始される。
まず、表示装置19の画面19aには、図12に示すテンプレート選択画面60b〜60fが表示される。テンプレート選択画面60b〜60fは画面を横方向にスクロールすることが可能であり、画面がスクロールされる度に、ROM5に登録された各種テンプレートが画面19aに順次表示される。本例においては、ハガキ(横)、ハガキ(縦)、カード(名刺)、CD/DVD、ハガキ(宛名)のテンプレートが順次表示される。ユーザは、使用したいテンプレート選択画面60b〜60fを画面19aに表示させた状態で、決定スイッチ20hを操作することによりテンプレート選択を行う。なお、携帯文字合成印刷開始操作がなされたとき、赤外線通信(又はブルートゥース(R))の画像・電話帳等の印刷サービスが行われていれば、その作業は一旦停止される。
このテンプレート選択で例えばハガキ(宛名)のテンプレートが選択されると、印刷装置2の作動状態は、文字データDleを携帯電話3から印刷装置2に転送する文字入力状態に移行する。このとき、表示装置19の画面19aには、印刷装置2の作動状態が文字入力状態に切り換わったことを通知する図14に示すメッセージ画面62aが表示される。メッセージ画面62aには、ユーザが選択指定したテンプレートから決まるレイアウトに依存した情報が表示され、本例においては携帯電話3に登録されたデータが「名前が30文字以内のデータ」と、「住所が50文字以内のデータ」との条件を満たしているか否かをユーザに確認させる旨のメッセージが表示される。
メッセージ画面62aが画面19aに表示された状態で決定スイッチ20hが操作されると、CPU4は印刷装置2の作動状態を、電話帳データDcaの受信が可能な受信スタンバイ状態にし、表示装置19の画面19aに、携帯電話3による文字送信を要求する旨の受信受付画面62bを表示させる。なお、RAM6に既に保存された受信済みの電話帳データDcaがある場合には、その受信済み件数が受信受付画面62bに表示された状態となる。
この受信受付画面62bを見たユーザは、携帯電話3から電話帳データDcaを赤外線通信によって送信するが、本例において携帯電話3からは、vC ard ファイル形式の電話帳データDcaがCF型通信カード21を介して印刷装置2に送信される。ユーザが携帯電話3から電話帳データDcaを送信すると、CPU4はCF型通信カード21を介してデータ受信を開始し、データ受信中である旨のインフォメーション画面62cを表示装置19の画面19aに表示させる。
このとき、まずモード判定部51は、印刷装置2の作動モードが携帯文字合成専用受信モードか或いはそれ以外のモードかを判定する。印刷装置2の作動モードが携帯文字合成専用受信モードであれば、CF型通信カード21で受信した電話帳データDcaはデータ検証部52側に送られ、ユーザが指定したテンプレートに対応付けられた状態でハガキに印刷出力されることになる。
この電話帳データDcaの受信スタンバイ状態において、データ検証部52(オブジェクト送受信部44も含む)は、CF型通信カード21を介して受信した電話帳データDcaの拡張子を参照することにより、その電話帳データDcaが正しいデータ(即ち、ファイル形式がvCard 形式)か否かを判断する。電話帳データDcaの拡張子が正しければ、データ検証部52はこの電話帳データDcaを、各電話帳の1件1件にIDを割り振ってRAM6の所定記憶領域に一時格納する。電話帳データDcaの受信が完了した際には、その旨を通知する受信完了画面62dが表示装置19の画面19aに表示される。
一方、電話帳データDcaの拡張子が正しくなければ、データ検証部52は電話帳データDca以外のデータを受信したと判断してそのデータを破棄するとともに、データ受信を中止する旨のデータ受信中止画面62eを表示装置19の画面19aに表示させる。このとき、データ検証部52は電話帳データDcaに不備がないかどうかも監視しており、例えば電話帳データDcaの中に住所に関するデータが含まれていなければ、これも受け取れないデータであると認識して、データ受信中止画面62fを画面19aに表示させる。
また、印刷装置2で受付け可能な電話帳件数が予め決まっている場合、データ検証部52は受信した電話帳の総件数がこの閾値を超えたときにも、その時点でデータ受信を中止する旨としてデータ受信中止画面62gを表示装置19の画面19aに表示させる。なお、印刷装置2で受付け可能な電話帳件数は、印刷装置2のスタッカにセット可能な用紙枚数を上限とするように設定されている。データ受信中止画面62e〜62gは一定時間表示された後、受信受付画面62bに再度切り換わる。
文字入力が完了すると、続いて印刷条件の設定及び印刷実行を行う操作に移行する。ここでまず最初に、全件受信した電話帳データDcaのうち、どれを最終的にRAM6に保存するかをユーザに選択させる処理が行われるが、この処理としては以下に示す4通りの例が挙げられる。この処理に移行した際、表示装置19の画面19aには、全件受任した電話帳データDcaの中から所望の宛名データをユーザに実行させる処理に印刷装置2の作動状態が移行することを通知する図15に示すインフォメーション画面63aが表示される。
まず1つ目の例としては、図16に示すように、宛名1件ごとにチェックボックス64aを付けた一覧表64を印刷し、保存したい宛名のチェックボックス64aにユーザがチェックを行い、そのチェック情報をスキャン機構17で読み込む手法である。なお、この一覧表64は、図15に示すインフォメーション画面63aを画面19aに表示した状態で、印刷開始スイッチ20dが押されると印刷出力される。
2つ目の例としては、図17に示すように、表示装置19の画面19aに宛名画面65を1件ずつ表示し、不要な宛名が表示されれば次の宛名画面65を表示し、印刷を希望する宛名画面65が表示された際に印刷実行操作を行って、その場で一件ずつハガキに宛名を印刷する手法である。なお、このときの宛名画面65の表示切替えは、操作パネル18の上スイッチ20f及び下スイッチ20gを操作することで行う。また、印刷実行操作は操作パネル18の印刷開始スイッチ20dを操作することで行う。
3つ目の例としては、図18に示すように、受信した電話帳データDcaの宛名全件をスクロール式にリスト表示したリスト画面66を表示装置19に画面表示し、ユーザがこのリスト画面66を見ながら印刷を希望する宛名を選択して、全選択が終了した後にそれらの宛名を各ハガキに印刷出力する手法である。この場合、ユーザはリスト画面66上で印刷を希望する宛名のところに選択枠66aを合わせ、その状態で決定スイッチ20hを押すことにより宛名選択を行い、選択が全て終わった時点で印刷開始スイッチ20dを操作する操作手順を経る。
4つ目の例としては、図19に示すように、受信した電話帳データDcaの各宛名がID番号と対応付けられたID表67を印刷出力し、印刷を希望する宛名のID番号(記号でも可)をユーザが表示装置19のID入力画面68に入力して印刷指示をする手法である。ID入力画面68にID番号を入力して印刷開始スイッチ20dを操作されると、そのID番号の宛名がハガキに印刷される。この場合、ID番号は1つ1つ入力する構成でもよいし、或いは印刷したい宛名のID番号を一括してID入力画面68に入力する構成のどちらを採用してもよい。
なお、チェックした宛名を印刷対象とするのとは逆に、チェックした宛名を印刷対象から外すようにしてもよい。例えば、図16に示す一覧表(チェックリスト)64を用いた手法の場合、誤りがある宛名のチェックボックス64aにユーザがチェックを行い、そのチェック情報をスキャン機構17で読み込み、チェックされたものについて印刷対象から外す手順がとられる。そして、一覧表64を再度印刷出力し、宛名に誤りが再度見つかった場合にはそのチェックボックス64aにチェックを付与し、その一覧表64をスキャン機構17で再度読み込む。この作業を宛名に誤りがなくなるまで繰り返し、正しい宛名のみを印刷装置2に登録する。
また、誤りのある宛名を印刷対象から外した後、携帯電話3から電話帳データDcaを再度送信して、RAM6内の宛名を登録し直すことも可能である。この作業としては、まずユーザが携帯電話3上の電話帳データDcaを修正するとともに、印刷装置2を受信スタンバイ状態(データ待受状態)にする。この状態において、ユーザが修正した宛名について携帯電話3から1件ごとに印刷装置2に送信すると、RAM6の記憶領域のうち印刷対象から外された部分に、修正が加えられた宛名が上書きされ、正しいデータに置き換えられる。
更に、図16に示す一覧表64を用いた手法の場合、一覧表64に頁番号識別子64b(図16参照)を用意して、この頁番号識別子64bの所定のボックスを塗り潰すことで頁番号を判断可能としてもよい。本例においては、横方向に枡が10個ある2段の頁番号識別子64bを用意し、上段で10桁の頁番号を、下段で1桁の頁番号を指定し、上段では左端から右に向かうに従い頁番号を10,20,…と指定し、下段では左端から右に向かうに従い頁番号を1,2,…と指定する。スキャン機構17はチェックボックス64aと同じ手法で頁番号識別子64bの塗り潰し状態を認識する。
ハガキへの宛名印刷が開始されると、表示装置19の画面19aには、まず印刷イメージ画面63bが表示され、実際に印刷が行われている際には、表示装置19の画面19aに印刷中である旨の図15に示すインフォメーション画面63cが表示される。また、インフォメーション画面63aでリスト選択をスキップすると、画面19aにはリスト印刷を進めるインフォメーション画面63dが表示される。選択した全ての宛名が各ハガキに印刷処理されて宛名印刷が終了すると、印刷装置2の作動状態が初期状態に復帰し、表示装置19の画面19aが初期画面60aに復帰する。
一方、印刷装置2がCF型通信カード21を介して携帯電話3から電話帳データDcaを受信した際、印刷装置2の作動モードが携帯文字合成専用受信モード以外のモードであるとモード判定部51が判定すると、その電話帳データDcaはテンプレート対応でない生データのまま(即ち、デフォルト形式)で印刷処理が施される。つまり、印刷装置2が受信した電話帳データDcaは、そのままテキストデータラスタ処理部49又は画像データラスタ処理部50に送られ、例えば電話帳データDca内の宛名がデフォルトのレイアウト情報に基づき、用紙等に一覧印刷(インデックス印刷)される。
従って、本例においては、印刷装置2の受け入れ態勢が整っている場合にのみ、テンプレート対応で印刷出力される。よって、例えばユーザが電話帳データDcaの宛名をメモ的な情報として得たい場合には、印刷装置2を携帯文字合成専用受信モード以外のモードにして携帯電話3から電話帳データDcaを送信すれば、宛名を羅列で印刷出力(即ち、第2出力態様)することが可能となる。このため、ユーザはメモ的に印刷された電話帳の宛名羅列を取得することが可能である。
また、ユーザがハガキに宛名印刷したい場合には、印刷装置2を携帯文字合成専用受信モードにして携帯電話3から電話帳データDcaを印刷装置2に送信することになる。従って、印刷装置2はこの電話帳データDcaをテンプレート(即ち、レイアウト)に対応付けた状態(即ち、第1出力態様)でハガキに宛名印刷を施す。以上により、携帯電話3から赤外線通信で印刷装置2に電話帳データDcaを送信して印刷出力する構成においても、その電話帳データDcaをユーザの意図に応じた印刷態様で印刷出力することが可能となる。
また、図12においてハガキ(宛名)以外のテンプレートが選択された場合、表示装置19の画面19aには、図13に示す画像選択画面61aが表示される。画像選択画面61aには、画像の取込先を指定する複数の項目があり、同図においてはメモリーカード23を画像取込先とする項目と、携帯電話3を画像取込先とする項目と、画像を使わない項目とが表示されている。なお、画像選択画面61aを上下方向にスクロールさせて、他の画像取込先(例えば、ホストコンピュータ24)の項目を表示することも可能である。
ここで、画像取込先がメモリーカード23である項目が選択操作された場合、表示装置19の画面19aには、メモリーカード23内の画像を表示するカード内画像表示画面61bが表示される。カード内画像表示画面61bは画面を横方向にスクロールすることが可能であり、画面をスクロールすることでカード内の画像を順次表示する。ユーザは、使用したい画像を画面に表示させ、その画面を表示した状態で決定スイッチ20hを操作して画像選択を行う。
一方、画像取込先が携帯電話3である項目が選択操作された場合、表示装置19の画面19aには、携帯電話3による画像送信を要求する旨の受信受付画面61cが表示される。この状態になったとき、CPU4は印刷装置2の作動状態を、携帯電話3から画像データを受信することが可能な受信スタンバイ状態にする。
この受信受付画面61cを見たユーザは、携帯電話3から画像データDjpを送信する。ここで、携帯電話3は例えばCCDカメラ30で取り込んだ画像データDjp等を、そのデータ単位で赤外線送信可能な機能を有しており、この機能では例えばディスプレイ29に画像データのファイル名を一覧表示させ、その中の1つを選択して赤外線送信操作を施すことで、外部に画像データDjpを送信可能である。なお、画像データDjpはvNote のファイル形式でCF型通信カード21に送信される。ユーザが携帯電話3から画像データDjpを送信すると、CPU4はCF型通信カード21を介して画像データDjpの受信を開始し、データ受信中である旨のインフォメーション画面61dを表示装置19の画面19aに表示させる。
このとき、データ検証部52(オブジェクト送受信部44も含む)はCF型通信カード21が受信した画像データDjpの拡張子を参照することにより、その画像データが正しいデータ(即ち、ファイル形式がvNote 形式)か否かを判断する。この画像データDjpはvNote のファイル形式で送られるので、拡張子が「vnt」 であるか否かが判断されることになる。
画像データDjpの拡張子が正しければ、データ検証部52はこの画像データDjpをRAM6に保存する。なお、以上のように印刷画像を選択する場合においては、選択画像が印刷画像として使用されるため、文字列の場合と同様の方式で、この画像のファイル番号(ファイル名)が印刷テンプレートデータDteに書き込まれることになる。一方、画像データDjpの拡張子が正しくなければ、データ検証部52は画像データ以外のデータを受信したと判断してそのデータを破棄するとともに、データ受信を中止する旨のデータ受信中止画面61eを表示装置19の画面19aに表示させる。データ受信中止画面61eは一定時間表示された後、同図に示す受信受付画面61cに切り換わる。画像データDjpの受信が完了すると、表示装置19の画面19aにはその旨を通知するデータ受信完了画面61fが表示される。
画像取込先の指定が完了すると、印刷装置2の作動状態が、文字データDleを携帯電話3から印刷装置2に転送する文字入力に移行する。このとき、表示装置19の画面19aには、入力操作が文字入力操作に切り換わったことを通知する図14に示すメッセージ画面62hが表示される。メッセージ画面62hには、ユーザが選択指定したテンプレートから決まるレイアウトに依存した情報が表示され、本例においては「テキスト1」及び「テキスト2」の各入力枠に入力可能な文字数及び段数が表示される。
文字入力時、まずテキスト1に入力する文字データDleを印刷装置2に赤外線通信で転送する操作を行うが、画面19aにメッセージ画面62hが表示された状態で決定スイッチ20hが操作されると、表示装置19の画面19aには、携帯電話3による文字送信を要求する旨の受信受付画面62iが表示される。この状態になったとき、CPU4は印刷装置2の作動状態を、携帯電話3から文字データDleを受信することが可能な受信スタンバイ状態にする。
この受信受付画面62iを見たユーザは、携帯電話3から文字データDleを赤外線通信によって送信する。このとき、携帯電話3からは、文字データDleとして電話帳データDca(vCard ファイル)、メール本文データDme(vMessageファイル)又はメモ帳データDno(vNote ファイル)等がCF型通信カード21に送信される。ユーザが携帯電話3から文字データDleを送信すると、CPU4はCF型通信カード21を介して文字データDleの受信を開始し、データ受信中である旨のインフォメーション画面62jを表示装置19の画面19aに表示させる。
このときも、データ検証部52(オブジェクト送受信部44も含む)はCF型通信カード21が受信した文字データDleの拡張子を参照することにより、その文字データDleが正しいデータ(即ち、ファイル形式がvCard 形式、vMessage形式又はvNote 形式)か否かを判断する。文字データDleの拡張子が正しければ、データ検証部52はこの文字データDleをRAM6に保存する。そして、テキストデータ形式変換部54は、受信した文字データDleを印刷テンプレートデータDteに組み込んで、XHTML データ生成作業を行う。
一方、文字データDleの拡張子が正しくなければ、データ検証部52は文字データDle以外のデータを受信したと判断してそのデータを破棄するとともに、データ受信を中止する旨のデータ受信中止画面62kを画面19aに表示させる。データ受信中止画面62kは一定時間表示された後、同図に示す受信受付画面62iに切り換わる。文字データDleの受信が完了すると、表示装置19の画面19aにはその旨を通知するデータ受信完了画面62lが表示される。
テキスト1への文字入力が完了、或いはテキスト1への文字入力がスキップされると、テキスト2への文字入力を促す受信受付画面62mが表示装置19の画面19aに表示される。そして、テキスト1の場合と同じように、携帯電話3からCF型通信カード21が文字データDleを受信している際には、携帯電話3からデータを受信している旨のインフォメーション画面62nが表示装置19の画面19aに表示され、文字データDleの受信が完了すると、データ受信完了の旨を示すデータ受信完了画面62pが表示される。なお、このときもテキストデータ形式変換部54は、受信した文字データDleを印刷テンプレートデータDteに組み込んで、XHTML データ生成作業を行う。なお、ここで記載した文字入力は、携帯電話3から無線通信で取得した文字データDleをダイレクトに印刷テンプレートデータDteに割り付ける方法に限らず、予めRAM6に取り込んでおいた文字データ群から所望のものを選択して印刷テンプレートデータDteに割り付ける方式でもよい。
文字入力が完了すると、続いて印刷条件の設定及び印刷実行を行う操作に移行する。このとき、表示装置19の画面19aには、各種印刷条件の項目が羅列された図15に示す印刷条件表示画面63eが表示される。この印刷条件表示画面63eには、その時点で設定されている用紙種類、テキスト1の文字色、テキスト2の文字色、画像回転の条件及び印刷枚数の他に、文字枠イメージ69a及び画像イメージ69bが表示される。文字枠イメージ69aは指定したテンプレートから決まるもので、画像イメージ69bは選択指定した画像から決まるものである。
印刷条件表示画面63eを画面19aに表示した状態で例えば決定スイッチ20hが操作されると、CPU4は印刷装置2の作動状態を印刷条件設定モードに設定し、図15に示す印刷条件設定画面63fを画面19aに表示する。印刷条件設定画面63fには、用紙種類、品質(印刷モード)、テキスト1の文字色、テキスト2の文字色及び画像の回転等の各種設定項目が表示されている。印刷条件設定画面63fは操作部20の操作により更に下位層画面に移行することが可能であり、例えば「画像の回転」を選択するとCPU4は印刷装置2の作動状態を画像回転設定モードに設定する。このとき、表示装置19の画面19aには図15に示す画像回転設定画面63gが表示され、ユーザはこの画面63g上で画像の回転設定を行う。
一方、印刷条件表示画面63eで「印刷開始」ボタンが選択操作されると、表示装置19の画面19aには、印刷実行を最終的に確認するための図15に示す印刷実行確認画面63hが表示される。この印刷実行確認画面63hを画面19aに表示した状態で印刷開始スイッチ20dが操作されると、印刷条件設定画面63fで設定した印刷条件で印刷処理が行われるとともに、印刷処理が実行中の間は、印刷中である旨を通知するインフォメーション画面63iが表示装置19の画面19aに表示される。そして、図20に示すように、画像70に文字(同図では2箇所)が載った用紙71が印刷出力される。
印刷が終了すると、表示装置19の画面19aには、次の画像データの印刷を確認する印刷継続確認画面63jが表示される。この印刷継続確認画面63jには、印刷継続を指示する「はい」ボタンと、印刷を終了する「いいえ」ボタンとが表示されている。印刷継続確認画面63jで印刷継続を選択すると、同図に示す印刷条件表示画面63eに戻り、印刷条件の設定操作に戻って印刷継続が可能となる。一方、印刷継続確認画面63jで印刷継続を選択しないと、表示装置19の画面19aは初期画面60aに復帰する。
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)印刷装置2の作動モードが携帯文字合成専用受信モードのモード下で、印刷装置2がCF型通信カード21を介して携帯電話3から電話帳データDcaを受信すると、電話帳データDcaはテンプレート対応の出力態様で印刷出力される。また、印刷装置2の作動モードが携帯文字合成専用受信モード以外のモード下で、印刷装置2がCF型通信カード21を介して携帯電話3から電話帳データDcaを受信すると、電話帳データDcaはその宛名が一覧印刷される。従って、ユーザは携帯電話3の電話帳データDcaを印刷装置2に赤外線通信で送信して印刷出力する際に、出力態様(テンプレート対応、又は宛名一覧印刷)を好み(状況)に合わせて使い分けることができ、ユーザの意図に応じた出力態様で電話帳データDcaを印刷出力することができる。
(2)印刷装置2が取得した文字データDle、画像データDjp、印刷テンプレートデータDte、印刷レイアウト指示データDpaは、ライブラリ化された状態でRAM6に保存される。従って、文字データDle、画像データDjp、印刷テンプレートデータDte、印刷レイアウト指示データDpaを組み合わせる際の組み合わせパターンの自由度が増し、顧客満足度の向上を図ることができる。
(3)印刷装置2がCF型通信カード21を介して電話帳データDcaを受信する際、電話帳データDcaがvCard 形式でないデータであったり、電話帳データDcaに不備があったりする場合には、この電話帳データDcaをRAM6に保存しない。従って、印刷するにあたって不備のあるデータを印刷装置2が受け付けずに済み、印刷エラー等の不具合が生じ難くなる。また、この電話帳データDcaが一つのデータの括りとして扱われる場合には、各宛名ごとにデータを取り扱う場合に比べ、各々のデータごとにデータ処理(保存/破棄)を行わずに済むことからデータ処理が簡素化する。一方で、この電話帳データDcaが各宛名単位で取り扱われるのであれば、印刷装置2が電話帳データDcaを受信した際、例えばデータに不備のない宛名はRAM6に保存し、不備のある宛名のデータについては破棄するようにする処理をとれば、複数の宛名のデータうち印刷可能なデータのみを印刷装置2に取り込むことができる。
(4)印刷装置2がCF型通信カード21を介して電話帳データDcaを受信する際、このデータに不備がある場合には、その旨が表示装置19の画面19aに表示される。従って、受信した電話帳データDcaが不備のあるデータある旨をユーザに視覚的に通知することができる。なお、印刷装置2が画像データDjpや文字データDleを受信する場合も同様である。
(5)電話帳データDcaが全件送信機能で印刷装置2に送信された場合、これら宛名のうちユーザが印刷を希望する宛名を選択可能とした。従って、電話帳データDcaが全件送信で印刷装置2に送信されたとしても、その中から所望の宛名のみハガキに印刷出力することができる。
(6)用紙(ハガキ)に印刷処理を施す際、印刷文字に影が付されるように文字を印刷出力するので、印刷文字の見易さを向上することができる。
(7)図16〜図19に示すチェックした宛名を印刷対象から外す手法を用いた場合、修正を加えた宛名を携帯電話3から印刷装置2に送信すれば、そのデータが印刷装置2に新たに登録されるので、誤りのある電話帳データDcaを修正することができる。
(8)一覧表64を用いて印刷対象を選択する場合、一覧表64に頁番号を判断する頁番号識別子64bを設けたので、一覧表64が複数頁に亘って印刷出力されたとしても、各頁が何枚目であるかを判断することができる。
なお、本実施形態は上記構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
(変形例1)印刷装置2はカードスロット22にCF型通信カード21を挿し込むことで赤外線通信機能を有する構成に限らず、例えば赤外線通信機能を予め装置内に搭載している構造でもよい。
(変形例2)無線通信形式は、赤外線通信やブルートゥース(R)に限定されず、例えばIEEE802.11a やIEEE802.11b 等の他の形式を用いてもよい。
(変形例3)通信端末は携帯電話3に限らず、例えばPDA(Personal Digital Assistant)等の他の通信機器を採用してもよい。
(変形例4)印刷装置2のモードは実施形態で記載した携帯文字合成専用受信モード等に限定されず、電話帳データDca以外の文字データを受信する際の受信モードを採用してもよい。
(変形例5)記憶手段はRAM6に限定されず、例えば印刷装置2にEEPROMを増設して、これをライブラリ用のメモリとしてもよい。また、第2記憶手段はROM5に限らず、例えばEEPROMやRAM等のメモリでもよいし、若しくはRAM6を転用してもよい。
(変形例6)印刷装置2のデータ受信状態は、携帯電話3のディスプレイ29に文字情報等により表示してもよい。この場合、まず印刷装置側UART40は、印刷装置2側から入力した各種信号を、カード側UART39を介してカード制御部37に出力する。カード制御部37は印刷装置2側から入力した各種信号を監視してデータ受信状態(通信ステータス)を管理し、表示部36をその時の通信ステータスに応じた点灯態様に表示制御することで、ユーザにその時々のデータ受信状態を報知する。このとき、カード制御部37は通信ステータスのステータス情報を、赤外線受発光部35を介して携帯電話3に赤外線送信し、印刷装置2側のデータ受信状態を携帯電話3のディスプレイ29に文字情報等により表示させる。
(変形例7)印刷装置2が不備のある電話帳データDcaを受信した際、それをユーザに通知する方法は表示装置19による画面表示に限定されず、例えば印刷装置2にスピーカを搭載して、スピーカで音声報知してもよい。
(変形例8)印刷装置2はスキャン機構17を備えた複合機に限らず、ホストコンピュータ24から送信される印刷データのみ印刷出力可能な機種でもよい。また、印刷装置2はインクジェット式に限らず、例えばレーザ式等の他種類の印刷装置を用いてもよい。更に、印刷装置2はキャリッジにインクカートリッジを乗せたオンキャリッジ式に限らず、キャリッジ及びインクカートリッジが別々となったオフキャリッジ式でもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)請求項11において、前記印刷出力手段は、前記出力態様が第1出力態様の際、宛名情報を扱うファイル形式の電話帳データを前記受信データとして受信すると、前記電話帳データを所定のテンプレートに割り付けて印刷出力し、前記出力態様が第2出力態様の際、宛名情報を扱うファイル形式の前記電話帳データを受信すると、前記テンプレートに沿わずに前記電話帳データ内の宛名を一覧印刷する。
1…印刷システム、2…印刷装置、3…通信端末としての携帯電話、4…設定手段、表示制御手段、印刷出力手段、生成手段、判別手段及び選択手段を構成するCPU、5…第2記憶手段としてのROM、6…記憶手段としてのRAM、7…印刷出力手段を構成するASIC、8…通信手段を構成する外部通信インターフェース、11…印刷出力手段を構成する印刷ヘッド、12〜13…印刷出力手段を構成する各モータ、14〜16…印刷出力手段を構成する各駆動回路、19…表示手段及び判別結果表示手段を構成する表示画面、20…操作手段としての操作部、21…通信手段を構成するCF型通信カード、62b,62i…画面としての受信受付画面、Dpr…印刷データ、Dle…印刷データを構成する文字データ、Djp…印刷データを構成する画像データ、Dte…レイアウト情報を構成する印刷テンプレートデータ、Dpa…レイアウト情報を構成する印刷レイアウト指示データ、Dca…電話帳データ、P,71…用紙。