JP4622665B2 - 自動変速機用オイルフィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、自動変速機用オイルフィルタに関し、さらに詳しくは、フィルタエレメントの早期目詰まりを抑制することができる自動変速機用オイルフィルタに関する。
一般に、自動変速機で発生し、オイルフィルタで捕捉しなければならない異物は大きく2種類に分けられる。1つは、金属粉(例えば、25μm以上の微粒子等)などの比較的細かな初期異物であり、もう1つは、クラッチ摩耗材(例えば、1mm長さの繊維、1mm×1mmのくず等)などの比較的大きな異物である。
従来の自動変速機用オイルフィルタとしては、上記の比較的細かな異物の捕捉効率を向上させるため、濾目の細かな不織布製でひだ折り状に形成されたフィルタエレメントを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようにフィルタエレメントをひだ折り状にすることによって、限られた空間で濾過面積を増やすことができ、捕捉容量も向上させることができる。
しかし、上記特許文献1では、より細かな異物を捕捉するために、濾目の細かな不織布製のフィルタエレメントを用いているので、クラッチ摩耗材等の大きな異物が多く発生した場合、フィルタエレメントが早期に目詰まりを起こしてしまう可能性がある。
また、異物の捕捉容量は濾過面積で決まり、濾過面積はフィルタエレメントの大きさで決まる。そのため、比較的小さなフィルタエレメントでは、クラッチ摩耗材等の大きな異物の捕捉によって上記目詰まりが起こり易いものとなっている。上記特許文献1では、目詰まり回避のために、フィルタエレメントをひだ折り状に形成して濾過面積を増やしているが限界がある。
特開2002−273116号公報
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、フィルタエレメントの早期目詰まりを抑制することができる自動変速機用オイルフィルタを提供することを目的とする。
本発明は、以下の通りである。
1.濾過室並びに該濾過室に連なるオイル流入口及び流出口を有するケース体と、
該ケース体の該濾過室に設けられるメインフィルタエレメントと、
該ケース体の該濾過室の該メインフィルタエレメントの上流側に設けられ且つ該メインフィルタエレメントの濾目より粗い濾目を有するプレフィルタエレメントと、を備え
前記ケース体は、前記濾過室を形成する一対のケース部材を有し、前記メインフィルタエレメントは、エレメント本体と、該エレメント本体の外周縁部を保持する保持枠と、を有し、該保持枠及び一方の前記ケース部材には、前記プレフィルタエレメントの外周縁部を挟持する挟持部がそれぞれ設けられており、前記一対のケース部材には、前記保持枠を溶着する溶着部がそれぞれ設けられていることを特徴とする自動変速機用オイルフィルタ。
2.濾過室並びに該濾過室に連なるオイル流入口及び流出口を有するケース体と、
該ケース体の該濾過室に設けられるメインフィルタエレメントと、
該ケース体の該濾過室の該メインフィルタエレメントの上流側に設けられ且つ該メインフィルタエレメントの濾目より粗い濾目を有するプレフィルタエレメントと、を備え、
前記ケース体は、前記濾過室を形成する一対のケース部材を有し、前記メインフィルタエレメントは、エレメント本体と、該エレメント本体の外周縁部を保持する保持枠と、を有し、該保持枠には、前記プレフィルタエレメントの外周縁部を固定する固定部が設けられており、前記一対のケース部材には、前記保持枠を溶着する溶着部がそれぞれ設けられていることを特徴とする自動変速機用オイルフィルタ。
3.濾過室並びに該濾過室に連なるオイル流入口及び流出口を有するケース体と、
該ケース体の該濾過室に設けられるメインフィルタエレメントと、
該ケース体の該濾過室の該メインフィルタエレメントの上流側に設けられ且つ該メインフィルタエレメントの濾目より粗い濾目を有するプレフィルタエレメントと、を備え、
前記ケース体は、前記濾過室を形成する一対のケース部材を有し、前記メインフィルタエレメントは、エレメント本体と、該エレメント本体の外周縁部を保持する保持枠と、を有し、該保持枠及び一方の前記ケース部材には、係止部を形成する係止片がそれぞれ設けられており、該係止部に、前記プレフィルタエレメントの外周縁部の曲折部が係止されており、前記一対のケース部材には、前記保持枠を溶着する溶着部がそれぞれ設けられていることを特徴とする自動変速機用オイルフィルタ。
4.濾過室並びに該濾過室に連なるオイル流入口及び流出口を有するケース体と、
該ケース体の該濾過室に設けられるメインフィルタエレメントと、
該ケース体の該濾過室の該メインフィルタエレメントの上流側に設けられ且つ該メインフィルタエレメントの濾目より粗い濾目を有するプレフィルタエレメントと、を備え、
前記ケース体は、前記濾過室を形成する一対のケース部材を有し、前記メインフィルタエレメントは、メイン側エレメント本体と、該メイン側エレメント本体の外周縁部を保持するメイン側保持枠と、を有し、前記プレフィルタエレメントは、プレ側エレメント本体と、該プレ側エレメント本体の外周縁部を保持するプレ側保持枠と、を有し、一方の前記ケース部材には、他方の前記ケース部材、前記メイン側保持枠及び前記プレ側保持枠を溶着する溶着部が設けられていることを特徴とする自動変速機用オイルフィルタ。
5.濾過室並びに該濾過室に連なるオイル流入口及び流出口を有するケース体と、
該ケース体の該濾過室に設けられるメインフィルタエレメントと、
該ケース体の該濾過室の該メインフィルタエレメントの上流側に設けられ且つ該メインフィルタエレメントの濾目より粗い濾目を有するプレフィルタエレメントと、を備え、
前記ケース体は、前記濾過室を形成する一対のケース部材を有し、該一対のケース部材には、前記メインフィルタエレメント及び前記プレフィルタエレメントの各外周縁部を挟持する挟持部が設けられており、前記一対のケース部材には、互いに溶着する溶着部がそれぞれ設けられていることを特徴とする自動変速機用オイルフィルタ。
6.前記プレフィルタエレメントは、前記濾過室を流れるオイルの流入口近傍から該ケース体の内周壁に向けて下流側へ傾斜して設けられている上記1.乃至5.のいずれか一項に記載の自動変速機用オイルフィルタ。
7.前記ケース体には、前記プレフィルタエレメントのオイル流れ方向の傾斜先端側に対向して異物堆積部が設けられている上記6.記載の自動変速機用オイルフィルタ。
8.前記ケース体には、前記異物堆積部に堆積された異物の前記流入口側への移動を規制する突起部が設けられている上記7.記載の自動変速機用オイルフィルタ。
本発明の自動変速機用オイルフィルタによると、比較的大きな異物はプレフィルタエレメントで捕捉され、このプレフィルタエレメントを通過した比較的細かな異物はメインフィルタエレメントで捕捉される。従って、クラッチ摩耗材等の比較的大きな異物が多く発生しても、その比較的大きな異物がメインフィルタエレメントに達して早期に目詰まりを起こしてしまうことを抑制できると共に、メインフィルタエレメントによる金属粉等の比較的小さな異物の捕捉効率を維持することができる。その結果、全体として濾過効率を向上させ得る。
また、本発明の自動変速機用オイルフィルタによると、前記ケース体が、一対のケース部材を有し、前記メインフィルタエレメントが、エレメント本体と保持枠とを有し、該保持枠及び一方の前記ケース部材には各挟持部が設けられており、前記一対のケース部材には各溶着部が設けられているので、一対のケース部材の各溶着部にメインフィルタエレメントの保持枠を溶着するのと同時に、メインフィルタエレメントの保持枠及び一方のケース部材の各挟持部によってプレフィルタエレメントの外周縁部を挟持でき、オイルフィルタをより容易に作製できる。
また、他の本発明の自動変速機用オイルフィルタによると、前記ケース体が、一対のケース部材を有し、前記メインフィルタエレメントが、エレメント本体と保持枠とを有し、該保持枠には固定部が設けられており、前記一対のケース部材には各溶着部が設けられているので、メインフィルタエレメントの保持枠の固定部にプレフィルタエレメントの外周縁部を固定して一体物とし、その一体物を、一対のケース部材の各溶着部の間に溶着でき、オイルフィルタをより容易に作製できる。
また、他の本発明の自動変速機用オイルフィルタによると、前記ケース体が、一対のケース部材を有し、前記メインフィルタエレメントが、エレメント本体と保持枠とを有し、該保持枠及び一方の前記ケース部材に各係止片が設けられており、各係止片により形成される係止部に、前記プレフィルタエレメントの外周縁部の曲折部が係止されており、前記一対のケース部材には各溶着部が設けられているので、一対のケース部材の各溶着部にメインフィルタエレメントの保持枠を溶着するのと同時に、メインフィルタエレメントの保持枠及び一方のケース部材の各係止片により形成される係止部によってプレフィルタエレメントの外周縁部の曲折部を係止でき、オイルフィルタをより容易に作製できる。また、寸法精度をそれほど高めることなく、ケース体、メインフィルタエレメント及びプレフィルタエレメントを組付けることができる。
また、他の本発明の自動変速機用オイルフィルタによると、前記ケース体が、一対のケース部材を有し、前記メインフィルタエレメントが、メイン側エレメント本体とメイン側保持枠とを有し、前記プレフィルタエレメントが、プレ側エレメント本体とプレ側保持枠とを有し、一方の前記ケース部材には溶着部が設けられているので、一方のケース部材の溶着部に対して、他方のケース部材、メイン側保持枠及びプレ側保持枠を同時に溶着でき、オイルフィルタをより容易に作製できる。
また、他の本発明の自動変速機用オイルフィルタによると、前記ケース体が、一対のケース部材を有し、該一対のケース部材には各挟持部が設けられており、一対のケース部材には各溶着部が設けられているので、一対のケース部材の各溶着部を互いに溶着するのと同時に、一対のケース部材の各挟持部によってメインフィルタエレメント及びプレフィルタエレメントの外周縁部を挟持でき、オイルフィルタをより容易に作製できる。
また、前記プレフィルタエレメントが、前記濾過室を流れるオイルの流入口近傍から該ケース体の内周壁に向けて下流側へ傾斜して設けられている場合は、プレフィルタエレメントを、オイルの流れが速い場所から遅い場所に向って傾斜して配設させることができる。その結果、プレフィルタエレメントで捕捉される比較的大きな異物を、プレフィルタエレメントのオイル流れ方向の傾斜先端側、即ち、オイルの本流に影響の少ない箇所に移動させることができ、濾過部分を効率良く活用できる。
また、前記ケース体に、前記プレフィルタエレメントのオイル流れ方向の傾斜先端側に対向して異物堆積部が設けられている場合は、内燃機関の停止時に、プレフィルタエレメントのオイル流れ方向の傾斜先端側に移動された異物が落下して異物堆積部に堆積され、再度オイルの本流に捲き込まれプレフィルタエレメントに悪影響を及ぼすことを抑制できる。
また、前記ケース体に、前記異物堆積部に堆積された異物の前記流入口側への移動を規制する突起部が設けられている場合は、内燃機関の停止時に、異物堆積部に堆積された異物が突起部により流入口側へ移動することが規制され、その異物が流入口からオイルパン等へ戻ってしまうことをより確実に抑制できる。
1.自動変速機用オイルフィルタ
本実施形態に係る自動変速機用オイルフィルタは、以下に述べるケース体、メインフィルタエレメント及びプレフィルタエレメントを備えている。
上記「ケース体」は、濾過室並びに濾過室に連なるオイルの流入口及び流出口を有している限り、その構造、形状、材質等は特に問わない。
上記ケース体は、例えば、濾過室を形成する一対のケース部材からなることができる。この一対のケース部材は、通常、一方のケース部材に流入口が形成され、他方のケース部材に流出口が形成されて構成される。また、上記ケース部材の形状としては、例えば、皿状、椀状、平板状等を挙げることができる。また、上記ケース部材の材質としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン等の合成樹脂の他に、ステンレス、アルミニウム等の金属等を挙げることができる。
上記「メインフィルタエレメント」は、上記ケース体の濾過室内に設けられる限り、その形状、大きさ、材質等は特に問わない。このメインフィルタエレメントとしては、例えば、(1)エレメント本体のみからなる形態、(2)エレメント本体と、このエレメント本体の外周縁部を保持する保持枠とからなる形態等を挙げることができる。
上記エレメント本体の形状としては、例えば、ひだ折り状、平板状、波板状等を挙げることができる。また、上記保持枠の材質としては、例えば、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン等の合成樹脂等の他に、ステンレス、アルミニウム等の金属等を挙げることができる。
上記メインフィルタエレメント(エレメント本体)は、例えば、繊維状物又は網状物からなることができる。
上記繊維状物の具体例としては、例えば、不織布、濾紙、織物、編物等を挙げることができる。特に、不織布又は濾紙であることが好ましい。なお、不織布の材質としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン等の合成樹脂の繊維の他に、パルプ、ガラス繊維、金属繊維等を挙げることができる。
上記網状物の材質としては、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属の他に、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン等の合成樹脂等を挙げることができる。
上記メインフィルタエレメントは、金属粉等の比較的小さな異物(例えば、25μm以上の微粒子)を捕捉し得る限り、その濾目の大きさ等は適宜選択できる。
上記繊維状物または網状物からなる上記メインフィルタエレメントの濾目の大きさは、例えば、10〜150μm(好ましくは40〜100μm)とすることができる。
上記「プレフィルタエレメント」は、上記ケース体の濾過室内で上記メインフィルタエレメントの上流側に設けられ且つ上記メインフィルタエレメントの濾目より粗い濾目を有する限り、その形状、大きさ、材質等は特に問わない。このプレフィルタエレメントとしては、例えば、(1)エレメント本体のみからなる形態、(2)エレメント本体と、このエレメント本体の外周縁部を保持する保持枠とからなる形態等を挙げることができる。
上記エレメント本体の形状としては、例えば、ひだ折り状、平板状、波板状等を挙げることができる。また、上記保持枠の材質としては、例えば、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン等の合成樹脂等の他に、ステンレス、アルミニウム等の金属等を挙げることができる。また、上記保持枠に、例えば、上記プレフィルタエレメントの表面を支持又は固定する支持部17を設けることができる(図1参照)。これにより、比較的大きな差圧がかかってもプレフィルタエレメントの変形を抑制できる。
上記プレフィルタエレメント(エレメント本体)は、例えば、繊維状物又は網状物からなることができる。
上記繊維状物の具体例としては、例えば、不織布、濾紙、織物、編物等を挙げることができる。特に、不織布又は濾紙であることが好ましい。なお、不織布の材質としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン等の合成樹脂の繊維の他に、パルプ、ガラス繊維、金属繊維等を挙げることができる。
上記網状物の材質としては、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属の他に、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン等の合成樹脂等を挙げることができる。
上記プレフィルタエレメントは、クラッチ摩耗材等の比較的大きな異物(例えば、1mm長さの繊維、1mm×1mmのくず等)を捕捉し得る限り、その濾目の大きさ等は適宜選択できる。
上記繊維状物または網状物からなる上記プレフィルタエレメントの濾目の大きさは、例えば、300〜1000μm(好ましくは450〜700μm)とすることができる。
上記プレフィルタエレメントは、例えば、前記濾過室を流れるオイルの流入口近傍から該ケース体の内周壁に向けて下流側へ傾斜して設けられていることができる(図7、図8及び図11参照)。これにより、プレフィルタエレメントを、オイルの流れが速い場所から遅い場所に向って傾斜して配設でき、プレフィルタエレメントで捕捉される比較的大きな異物を、プレフィルタエレメントのオイル流れ方向の傾斜先端側、即ち、オイルの本流に影響の少ない箇所(例えば、ケース体の隅部等)に移動させることができ、濾過部分を効率良く活用できる。なお、上記濾過室内において、オイルの流れが速い場所は、通常、流入口の近傍及び流入口と流出口とを結ぶ流路の近傍となり、オイルの流れが遅い場所は、それらの外側となる。
なお、上記プレフィルタエレメントは、例えば、上記メインフィルタエレメントの設置平面(例えば、水平面等)に対して傾斜して設けられていたり、水平状態に設置されるオイルフィルタの濾過室内で水平面に対して傾斜して設けられていたりすることができる。
上述のように、上記プレフィルタエレメントを傾斜して配設する場合、上記ケース部材に、例えば、上記プレフィルタエレメントのオイル流れ方向の傾斜先端側に対向して異物堆積部を設けることができる。この異物堆積部としては、例えば、(1)ケース体の外方に窪んだ凹状部、(2)ケース体の内方に延びる筒状部、(3)ケース体の内方に延びる仕切り壁及びケース体の内壁によって形成される筒状部、(4)ケース体の底壁によって形成される平面部等を挙げることができる。
上記ケース体に、例えば、上記異物堆積部に堆積された異物の流入口側への移動を規制する突起部を設けることができる。この突起部は複数設けられていることが好ましい。また、上記突起部は、例えば、流入口に向って尖った平面形状を有することができる(図10参照)。また、上記突起部は、例えば、上記ケース体の異物堆積部の内部及び/又は近傍に配設されることができる。
上記プレフィルタエレメントに、例えば、オイルを濾過することなく通過させる開放部を設けることができる。これにより、プレフィルタエレメントの異常目詰まりを抑制できる。上記開放部が、オイル流入口とオイル流出口とを結ぶ流路近傍を除いた位置に配設されていることが好ましい。さらに、上記開放部が、上記流路近傍、及び上述の傾斜状態のプレフィルタエレメントのオイル流れ方向の先端側を除いた位置に配設されていることが好ましい。
ここで、上記ケース体、メインフィルタエレメント及びプレフィルタエレメントの組付け形態について以下に説明する。
上記ケース体が上記一対のケース部材を有し、上記メインフィルタエレメントが上記エレメント本体及び上記保持枠を有する場合における組付け形態としては、例えば、以下に述べる(1)〜(3)形態を挙げることができる。
(1)保持枠及び一方の前記ケース部材に、前記プレフィルタエレメントの外周縁部を挟持する各挟持部を設け、前記一対のケース部材に、前記保持枠を溶着する各溶着部を設ける形態。
(2)保持枠に、前記プレフィルタエレメントの外周縁部を固定する固定部を設け、前記一対のケース部材に、前記保持枠を溶着する各溶着部を設ける形態。
(3)保持枠及び一方の前記ケース部材に、係止部を構成する各係止片を設け、この係止部に、前記プレフィルタエレメントの外周縁部の曲折部が係止されており、前記一対のケース部材に、前記保持枠を溶着する各溶着部を設ける形態。
上記(1)〜(3)形態において、上記溶着部は、通常、ケース部材の突合せ端側の全周に設けられている。また、上記溶着部の溶着形態としては、例えば、振動溶着、熱板溶着、超音波溶着、レーザ溶着等を挙げることができる。
上記(1)形態において、上記挟持部は、例えば、保持枠又はケース部材の全周に設けられたり、保持枠又はケース部材の一部に設けられたりすることができる。
上記(2)形態において、上記固定部は、例えば、保持枠の全周に設けられたり、保持枠の一部に設けられたりすることができる。また、上記固定部の固定形態としては、例えば、上述の各種溶着、溶接、ロウ付け、接着、ネジ止め、カシメ止め等を挙げることができる。
上記(3)形態において、上記係止片は、例えば、保持枠又はケース部材の全周に設けられたり、保持枠又はケース部材の一部に設けられたりすることができる。また、上記係止部は、例えば、その縦断面形状がC字状(リップ溝形状)であることができる。また、上記曲折部は、例えば、その縦断面形状がL字状又はT字状であることができる。
その他の組付け形態としては、例えば、上記ケース体が一対のケース部材を有し、上記メインフィルタエレメントが、メイン側エレメント本体及びメイン側保持枠を有し、上記プレフィルタエレメントが、プレ側エレメント本体及びプレ側保持枠を有し、一方の前記ケース部材には、他方のケース部材、メイン側保持枠及びプレ側保持枠を溶着する溶着部が設けられている形態を挙げることができる。
上記他の組付け形態において、例えば、上記他方のケース部材に、メイン側保持枠に設けられたメイン側嵌合部が嵌合される被嵌合部を設け、上記メイン側保持枠に、プレ側保持枠に設けられたプレ側嵌合部が嵌合される被嵌合部を設けることができる。これにより、各嵌合部及び被嵌合部の嵌合によって、他方のケース部材、メインフィルタエレメント及びプレフィルタエレメントを一体物として取り扱うことができる。その結果、一方のケース部材に対してその一体物を1回で溶着でき、オイルフィルタをより容易に作製できる。さらに、上記嵌合部及び被嵌合部が、嵌合方向に対して傾斜した傾斜面をそれぞれ有し、これら各傾斜面同士の係合を伴って嵌合されることが好ましい。成形誤差等によるずれがあっても、各傾斜面同士の係合でそのずれを吸収でき、より確実に溶着できるためである。
なお、上記他の組付け形態において、上記溶着部としては、例えば、上記(1)形態の構成を適用することができる。また、上記嵌合部及び被嵌合部は、例えば、保持枠又はケース部材の全周に設けられたり、保持枠又はケース部材の一部に設けられたりすることができる。
更にその他の組付け形態としては、例えば、上記ケース体が、一対のケース部材を有し、該一対のケース部材には、前記メインフィルタエレメント及び前記プレフィルタエレメントの各外周縁部を挟持する各挟持部が設けられており、前記一対のケース部材には、互いに溶着する各溶着部が設けられている形態を挙げることができる。
上記挟持部は、例えば、ケース部材の全周に設けられたり、ケース部材の一部に設けられたりすることができる。なお、上記溶着部としては、例えば、上記(1)形態の構成を適用することができる。
以下、図面を用いて実施例1〜8により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例1に係る自動変速機用オイルフィルタ1A(以下、単に「オイルフィルタ」とも略記する。)は、図1に示すように、ケース体2、メインフィルタエレメント3及びプレフィルタエレメント4を備えて構成されている。
上記ケース体2は、互いに突き合わされて濾過室Sを形成する一対の上側ケース部材6及び下側ケース部材7からなっている。これら上側及び下側ケース部材6,7は、合成樹脂製であり矩形皿状に形成されている。また、上側ケース部材6の上面一端側にはオイル流出口8が形成され、下側ケース部材7の下面一端側にはオイル流入口9が形成されている。これらオイル流入口及び流出口8,9は、メインフィルタエレメント3を挟んで斜めにずれた位置に配設されている。
上側及び下側ケース部材6,7の突合せ端側の全周には、図2に示すように、突合せ方向に突出する各溶着部10,11が設けられている。また、下側ケース部材7の突合せ端側の全周には、突合せ方向に突出するフランジ部12(本発明に係る「挟持部」として例示する。)が設けられている。
上記メインフィルタエレメント3は、エレメント本体14と、このエレメント本体14の外周縁部を保持する合成樹脂製の保持枠15とからなっている。このエレメント本体14は、不織布製でありひだ折り状に形成されている。そして、エレメント本体14の濾目の大きさは約50μmとされている。また、上記保持枠15の全周には、下方に向って突出するフランジ部16(本発明に係る「挟持部」として例示する。)が設けられている。また、上記保持枠15の一部には、下方に向って突出する複数の支持部17が設けられている。
上記プレフィルタエレメント4は、濾過室S内で上記メインフィルタエレメント3の上流側に設けられている。このプレフィルタエレメント4は、平板状のエレメント本体18からなっている。このエレメント本体18は、金属製の網状物である。そして、エレメント本体18の濾目の大きさは約500μmとされている。
ここで、図2に示すように、上記メインフィルタエレメント3の保持枠15は、上側及び下側ケース部材6,7の各溶着部10,11に溶着され、このメインフィルタエレメント3が濾過室S内で水平状態に支持されている。また、上記プレフィルタエレメント4の外周縁部は、保持枠15及び下側ケース部材7の各フランジ部16,12の間に挟持され、このプレフィルタエレメント4が濾過室S内で水平状態に支持されている。また、プレフィルタエレメント4の上面縁側は、保持枠15の各支持部17に支持されている。
次に、上記構成のオイルフィルタ1の作用について説明する。
オイル流入口9から流入されるオイルは、先ず、プレフィルタエレメント4で濾過される。このとき、プレフィルタエレメント4によって、オイル中に含まれるクラッチ摩耗材等の比較的大きな異物が捕捉される。そして、プレフィルタエレメント4で濾過されたオイルは、メインフィルタエレメント3で濾過される。このとき、メインフィルタエレメント3によって、オイル中に含まれる金属粉等の比較的細かな異物が捕捉される。その後、両フィルタタエレメント4,3で濾過されたクリーンなオイルがオイル流出口8から流出されて自動変速機(図示せず)へ供給されることとなる。
(実施例2)
次に、本実施例2に係るオイルフィルタ1Bについて説明する。なお、本実施例2のオイルフィルタ1Bにおいて、実施例1のオイルフィルタ1Aと略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略するものとする。
上記オイルフィルタ1Bは、図3に示すように、ケース体2、メインフィルタエレメント3及びプレフィルタエレメント4を備えて構成されている。
上記ケース体2は、一対の上側及び下側ケース部材6,7からなっている。また、上記メインフィルタエレメント3は、エレメント本体14及び保持枠15からなっている。この保持枠15の全周には、下方に向って突出するリブ状部20(本発明に係る「固定部」として例示する。)が設けられている。さらに、上記プレフィルタエレメント4は、エレメント本体18からなっている。
ここで、上記メインフィルタエレメント3の保持枠15は、上側及び下側ケース部材6,7の各溶着部10,11に溶着されている。また、上記プレフィルタエレメント4の外周縁部は、保持枠15のリブ状部20に超音波溶着等により固定されている。
(実施例3)
本実施例3に係るオイルフィルタ1Cについて説明する。なお、本実施例3のオイルフィルタ1Cにおいて、実施例1のオイルフィルタ1Aと略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略するものとする。
上記オイルフィルタ1Cは、図4に示すように、ケース体2、メインフィルタエレメント3及びプレフィルタエレメント4を備えて構成されている。
上記ケース体2は、一対の上側及び下側ケース部材6,7からなっている。この下側ケース部材7の突合せ端側の全周には、縦断面C字状の係止部21を形成するための係止片22が設けられている。また、上記メインフィルタエレメント3は、エレメント本体14及び保持枠15とからなっている。この保持枠15の全周には、上記係止部21を形成するための係止片23が設けられている。さらに、上記プレフィルタエレメント4は、エレメント本体18からなっている。また、上記プレフィルタエレメント4の外周縁部は、縦断面L字状の曲折部24とされている。
ここで、上記メインフィルタエレメント3の保持枠15は、上側及び下側ケース部材6,7の各溶着部10,11に溶着されている。また、上記プレフィルタエレメント4の曲折部24は、保持枠15及び下側ケース部材7の各係止片23,22により形成される係止部21に係止されている。
(実施例4)
本実施例4に係るオイルフィルタ1Dについて説明する。なお、本実施例4のオイルフィルタ1Dにおいて、実施例1のオイルフィルタ1Aと略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略するものとする。
上記オイルフィルタ1Dは、図5に示すように、ケース体2、メインフィルタエレメント3及びプレフィルタエレメント4を備えて構成されている。
上記ケース体2は、一対の上側及び下側ケース部材6,7からなっている。この上側ケース部材6の突合せ端側の全周には、傾斜面26aを有する被嵌合部26が設けられている。また、下側ケース部材7の突合せ端側の全周には、突合せ方向に突出する溶着部27が設けられている。
上記メインフィルタエレメント3は、エレメント本体14及び保持枠15からなっている。この保持枠15の上面側全周には、上記被嵌合部26と嵌合可能であり且つ傾斜面28aを有する嵌合部28が設けられている。また、保持枠15の下面側全周には、傾斜面29aを有する被嵌合部29が設けられている。
上記プレフィルタエレメント4は、エレメント本体18と、このエレメント本体18の外周縁部を保持する合成樹脂製の保持枠31とからなっている。この保持枠31の上面側全周には、上記被嵌合部29と嵌合可能であり且つ傾斜面32aを有する嵌合部32が設けられている。なお、金属製の上記エレメント本体18と樹脂製の保持枠31とは、インサート成形等によって一体化されている。
ここで、上記メインフィルタエレメント3の保持枠15の嵌合部28は、上側ケース部材6の被嵌合部26に嵌合され、上記プレフィルタエレメント4の保持枠31の嵌合部32は、メインフィルタエレメント3の保持枠15の被嵌合部29に嵌合されている。また、上側ケース部材6、保持枠15及び保持枠31は、下側ケース部材7の溶着部27に溶着されている。
(実施例5)
本実施例5に係るオイルフィルタ1Eについて説明する。なお、本実施例5のオイルフィルタ1Eにおいて、実施例1のオイルフィルタ1Aと略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略するものとする。
上記オイルフィルタ1Eは、図6に示すように、ケース体2、メインフィルタエレメント3及びプレフィルタエレメント4を備えて構成されている。
上記ケース体2は、一対の上側及び下側ケース部材6,7からなっている。これら上側及び下側ケース部材6,7の突合せ端側の全周には、突合せ方向に突出する各溶着部34,35が設けられている。また、これら上側及び下側ケース部材6,7の突合せ端側の全周には、突合せ方向に突出する各フランジ部36,37(本発明に係る「挟持部」として例示する。)が設けられている。
上記メインフィルタエレメント3は、不織布製であり平板状のエレメント本体38からなっている。このエレメント本体38は、濾目の大きさが約50μmとされている。また、上記プレフィルタエレメント4は、エレメント本体18からなっている。
ここで、上側及び下側ケース部材6,7の各溶着部34,35は互いに溶着されている。また、上記メインフィルタエレメント3及びプレフィルタエレメント4の外周縁部は、上側及び下側ケース部材6,7の各フランジ部36,37の間に挟持されている。
(実施例6)
本実施例6に係るオイルフィルタ1Fについて説明する。なお、本実施例6のオイルフィルタ1Fにおいて、実施例1のオイルフィルタ1Aと略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略するものとする。
上記オイルフィルタ1Fは、図7に示すように、ケース体2、メインフィルタエレメント3及びプレフィルタエレメント4を備えて構成されている。
上記ケース体2は、一対の上側及び下側ケース部材6,7からなっている。また、上記メインフィルタエレメント3は、エレメント本体14及び保持枠15からなっている。この保持枠15の一部には、下方に向って突出し且つ突出長さの異なる複数の支持部42が設けられている。さらに、上記プレフィルタエレメント4は、エレメント本体18からなっている。
ここで、上記プレフィルタエレメント4の上面縁側は、メインフィルタエレメント3の保持枠15の各支持部42に固定され、上記プレフィルタエレメント4は、オイルの流入口9近傍からケース体2の内周壁に向けて下流側へ傾斜して設けられている。具体的には、オイルの流れ方向F(図中点線で示す。)に傾斜すると共に、濾過室S内で水平状態のメインフィルタエレメント3に対して傾斜して設けられている。
次に、上記構成のオイルフィルタ1Fの作用について説明する。
オイル流入口9から流入されるオイルがプレフィルタエレメント4で濾過される際、このプレフィルタエレメント4によって、オイル中に含まれるクラッチ摩耗材等の比較的大きな異物が捕捉される。そして、このプレフィルタエレメント4で捕捉した異物は、プレフィルタエレメント4のオイル流れ方向の傾斜先端側(即ち、ケース体2の隅部)に集められる。その後、プレフィルタエレメント4で濾過されたオイルは、メインフィルタエレメント3で濾過され、オイル流出口8から流出される。
(実施例7)
本実施例7に係るオイルフィルタ1Gについて説明する。なお、本実施例7のオイルフィルタ1Gは、実施例6のオイルフィルタ1Fと略同じ構成であり、両者の相違点は下側ケース部材の構成にあり、以下にその相違点についてのみ詳説する。
上記オイルフィルタ1Gは、図8に示すように、ケース体2、メインフィルタエレメント3及びプレフィルタエレメント4を備えて構成されている。
上記ケース体2は、一対の上側及び下側ケース部材6,7からなっている。この下側ケース部材7には、上記プレフィルタエレメント4のオイル流れ方向Fの傾斜先端側に対向する位置に、凹状部43(本発明に係る「異物堆積部」として例示する。)が形成されている。そして、エンジン停止時に、プレフィルタエレメント4のオイル流れ方向の傾斜先端側に集められた異物が落下して凹状部43内に堆積収容される。
(実施例8)
本実施例8に係るオイルフィルタ1Hについて説明する。なお、本実施例8のオイルフィルタ1Hは、実施例7のオイルフィルタ1Gと略同じ構成であり、両者の相違点は収納空間の構成にあり、以下にその相違点についてのみ詳説する。
上記オイルフィルタ1Hは、図9に示すように、ケース体2、メインフィルタエレメント3及びプレフィルタエレメント4を備えて構成されている。
上記ケース体2は、一対の上側及び下側ケース部材6,7からなっている。この下側ケース部材7には凹状部43が形成されている。この凹状部43を構成する底壁には、流入口9側に向って尖った略三角柱状の複数の突起部44(図10参照)が設けられている。これにより、エンジン停止時に、凹状部43内に堆積収容された異物は、突起部44に引っ掛かって流入口9側へ戻ることが抑制される。
(実施例の効果)
本実施例1〜8のオイルフィルタ1A〜1Hでは、細かい濾目を有するメインフィルタエレメント3の上流側に、粗い濾目を有するプレフィルタエレメント4を配設したので、比較的大きな異物はプレフィルタエレメント4で捕捉され、このプレフィルタエレメント4を通過した比較的細かな異物はメインフィルタエレメント3で捕捉される。従って、クラッチ摩耗材等の比較的大きな異物が多く発生しても、その比較的大きな異物がメインフィルタエレメント3に達して目詰まりを起こしてしまうことを抑制できると共に、メインフィルタエレメント3による金属粉等の比較的小さな異物の捕捉効率を維持することができる。その結果、全体として濾過効率を向上させ得る。特に、比較的小型なオイルフィルタとして好適に適用できる。
また、本実施例6〜8では、プレフィルタエレメント4を、オイルの流入口9近傍からケース体2の内周壁に向けて下流側へ傾斜して配設したので、このプレフィルタエレメント4を、オイルの流れが速い場所から遅い場所に向って傾斜して配設させることができる。その結果、プレフィルタエレメント4で捕捉される比較的大きな異物を、プレフィルタエレメント4のオイル流れ方向Fの傾斜先端側、即ち、オイルの本流に影響の少ない箇所(例えば、ケース体2の隅部等)に移動させることができ、濾過部分を効率良く活用できる。
また、本実施例7及び8では、下側ケース部材7に、プレフィルタエレメント4のオイル流れ方向Fの傾斜先端側に対向して凹状部43を形成したので、エンジン停止時に、プレフィルタエレメント4で捕捉され、このプレフィルタエレメント4のオイル流れ方向Fの傾斜先端側に集められた異物が落下して凹状部43に堆積収容され、再度オイルの本流に捲き込まれプレフィルタエレメント4に悪影響を及ぼすことを抑制できる。また、異物が流入口9からオイルパン等へ戻ってしまうことを抑制できる。
また、本実施例8では、下側ケース部材7の凹状部43を構成する底壁に複数の突起部44を設けたので、エンジン停止時に、凹状部43内に収容された異物が突起部44により流入口9側へ移動することが規制され、その異物が流入口9からオイルパン等へ戻ってしまうことをより確実に抑制できる。
また、本実施例1では、メインフィルタエレメント3の保持枠15及び下側ケース部材7に、各フランジ部16,12を設け、上側及び下側ケース部材6,7に各溶着部10,11を設けたので、上側及び下側ケース部材6,7の各溶着部10,11に保持枠15を溶着するのと同時に、保持枠15及び下側ケース部材7の各フランジ部16,12によってプレフィルタエレメント4の外周縁部を挟持でき、オイルフィルタをより容易に作製できる。
また、本実施例2では、メインフィルタエレメント3の保持枠15にリブ状部20を設け、上側及び下側ケース部材6,7に各溶着部10,11を設けたので、保持枠15のリブ状部20にプレフィルタエレメント4の外周縁部を固定して一体物とし、その一体物を、上側及び下側ケース部材6,7の各溶着部10,11に溶着でき、オイルフィルタをより容易に作製できる。
また、本実施例3では、メインフィルタエレメント3の保持枠15及び下側ケース部材7に、係止部21を構成する各係止片22,23を設け、上側及び下側ケース部材6,7に各溶着部10,11を設けたので、上側及び下側ケース部材6,7の各溶着部10,11に保持枠15を溶着するのと同時に、保持枠15及び下側ケース部材7の各係止片22,23により形成される係止部21によってプレフィルタエレメント4の外周縁部の曲折部24を係止でき、オイルフィルタをより容易に作製できる。また、寸法精度をそれほど高めることなく、ケース体2、メインフィルタエレメント3及びプレフィルタエレメント4を組付けることができる。
また、本実施例4では、下側ケース部材7に溶着部27を設けたので、この下側ケース部材7の溶着部27に対して、上側ケース部材6、保持枠15及び保持枠31を同時に溶着でき、オイルフィルタをより容易に作製できる。
また、本実施例4では、上側ケース部材6に、保持枠15の嵌合部28が嵌合される被嵌合部26を設け、保持枠15に、保持枠31の嵌合部32が嵌合される被嵌合部29を設け、上記各嵌合部28,32及び被嵌合部26,29が傾斜面28a,32a,26a,29aを介して嵌合されるようにしたので、下側ケース部材7、メインフィルタエレメント3及びプレフィルタエレメント4を一体物として取り扱うことができ、下側ケース部材7に対してその一体物を1回で溶着でき、オイルフィルタをより容易に作製できる。さらに、成形誤差等によるずれがあっても、各傾斜面28a,32a,26a,29a同士の係合でそのずれを吸収でき、より確実に溶着できる。
また、本実施例5では、上側及び下側ケース部材6,7に各フランジ部36,37及び各溶着部34,35を設けたので、上側及び下側ケース部材6,7の各溶着部34,35を溶着するのと同時に、上側及び下側ケース部材6,7の各フランジ部36,37によってメインフィルタエレメント3及びプレフィルタエレメント4の外周縁部を挟持でき、オイルフィルタをより容易に作製できる。
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例1〜8では、オイル流入口9及び流出口8が、メインフィルタエレメント3を挟んで斜めにずれた位置に配設されたオイルフィルタ1A〜1Hを例示したが、これに限定されず、例えば、図11に示すように、オイル流入口9及び流出口8が、メインフィルタエレメント3を挟んで略同じ位置に配設されたオイルフィルタとしてもよい。この場合でも、上記実施例6〜8と同様にして、プレフィルタエレメント4を、オイルの流入口9近傍からケース体2の内周壁に向けて下流側へ傾斜して配設したり、ケース体2に異物堆積部や突起部を設けたりすることが好ましい。
また、上記実施例9では、凹状部43内に突起部44を配設するようにしたが、これに限定されず、例えば、図8に仮想線で示すように、凹状部43の近傍に突起部44を配設するようにしてもよい。さらに、図7に仮想線で示すように、凹状部43の形成されていない下側ケース部材7の底壁上に突起部44を設けるようにしてもよい。
車両等の自動変速機用オイルを濾過するフィルタとして利用される。
実施例1に係るオイルフィルタの縦断面図である。 図1の要部拡大図である。 実施例2に係るオイルフィルタの要部拡大断面図である。 実施例3に係るオイルフィルタの要部拡大断面図である。 実施例4に係るオイルフィルタの要部拡大断面図である。 実施例5に係るオイルフィルタの要部拡大断面図である。 実施例6に係るオイルフィルタの縦断面図である。 実施例7に係るオイルフィルタの縦断面図である。 実施例8に係るオイルフィルタの縦断面図である。 図9のX矢視拡大図である。 その他の形態のオイルフィルタの縦断面図である。
符号の説明
1A〜1H;オイルフィルタ、2;ケース体、3;メインフィルタエレメント、4;プレフィルタエレメント、6;上側ケース部材、7;下側ケース部材、8;オイル流出口、9;オイル流入口、10,11;溶着部、12;フランジ部、14;エレメント本体、15;保持枠、16;フランジ部、18;エレメント本体、20;リブ状部、21;係止部、22,23;係止片、24;曲折部、27;溶着部、34,35;溶着部、36,37;フランジ部、38;エレメント本体、43;凹状部、44;突起部。

Claims (8)

  1. 濾過室並びに該濾過室に連なるオイル流入口及び流出口を有するケース体と、
    該ケース体の該濾過室に設けられるメインフィルタエレメントと、
    該ケース体の該濾過室の該メインフィルタエレメントの上流側に設けられ且つ該メインフィルタエレメントの濾目より粗い濾目を有するプレフィルタエレメントと、を備え
    前記ケース体は、前記濾過室を形成する一対のケース部材を有し、前記メインフィルタエレメントは、エレメント本体と、該エレメント本体の外周縁部を保持する保持枠と、を有し、該保持枠及び一方の前記ケース部材には、前記プレフィルタエレメントの外周縁部を挟持する挟持部がそれぞれ設けられており、前記一対のケース部材には、前記保持枠を溶着する溶着部がそれぞれ設けられていることを特徴とする自動変速機用オイルフィルタ。
  2. 濾過室並びに該濾過室に連なるオイル流入口及び流出口を有するケース体と、
    該ケース体の該濾過室に設けられるメインフィルタエレメントと、
    該ケース体の該濾過室の該メインフィルタエレメントの上流側に設けられ且つ該メインフィルタエレメントの濾目より粗い濾目を有するプレフィルタエレメントと、を備え、
    前記ケース体は、前記濾過室を形成する一対のケース部材を有し、前記メインフィルタエレメントは、エレメント本体と、該エレメント本体の外周縁部を保持する保持枠と、を有し、該保持枠には、前記プレフィルタエレメントの外周縁部を固定する固定部が設けられており、前記一対のケース部材には、前記保持枠を溶着する溶着部がそれぞれ設けられていることを特徴とする自動変速機用オイルフィルタ。
  3. 濾過室並びに該濾過室に連なるオイル流入口及び流出口を有するケース体と、
    該ケース体の該濾過室に設けられるメインフィルタエレメントと、
    該ケース体の該濾過室の該メインフィルタエレメントの上流側に設けられ且つ該メインフィルタエレメントの濾目より粗い濾目を有するプレフィルタエレメントと、を備え、
    前記ケース体は、前記濾過室を形成する一対のケース部材を有し、前記メインフィルタエレメントは、エレメント本体と、該エレメント本体の外周縁部を保持する保持枠と、を有し、該保持枠及び一方の前記ケース部材には、係止部を形成する係止片がそれぞれ設けられており、該係止部に、前記プレフィルタエレメントの外周縁部の曲折部が係止されており、前記一対のケース部材には、前記保持枠を溶着する溶着部がそれぞれ設けられていることを特徴とする自動変速機用オイルフィルタ。
  4. 濾過室並びに該濾過室に連なるオイル流入口及び流出口を有するケース体と、
    該ケース体の該濾過室に設けられるメインフィルタエレメントと、
    該ケース体の該濾過室の該メインフィルタエレメントの上流側に設けられ且つ該メインフィルタエレメントの濾目より粗い濾目を有するプレフィルタエレメントと、を備え、
    前記ケース体は、前記濾過室を形成する一対のケース部材を有し、前記メインフィルタエレメントは、メイン側エレメント本体と、該メイン側エレメント本体の外周縁部を保持するメイン側保持枠と、を有し、前記プレフィルタエレメントは、プレ側エレメント本体と、該プレ側エレメント本体の外周縁部を保持するプレ側保持枠と、を有し、一方の前記ケース部材には、他方の前記ケース部材、前記メイン側保持枠及び前記プレ側保持枠を溶着する溶着部が設けられていることを特徴とする自動変速機用オイルフィルタ。
  5. 濾過室並びに該濾過室に連なるオイル流入口及び流出口を有するケース体と、
    該ケース体の該濾過室に設けられるメインフィルタエレメントと、
    該ケース体の該濾過室の該メインフィルタエレメントの上流側に設けられ且つ該メインフィルタエレメントの濾目より粗い濾目を有するプレフィルタエレメントと、を備え、
    前記ケース体は、前記濾過室を形成する一対のケース部材を有し、該一対のケース部材には、前記メインフィルタエレメント及び前記プレフィルタエレメントの各外周縁部を挟持する挟持部が設けられており、前記一対のケース部材には、互いに溶着する溶着部がそれぞれ設けられていることを特徴とする自動変速機用オイルフィルタ。
  6. 前記プレフィルタエレメントは、前記濾過室を流れるオイルの流入口近傍から該ケース体の内周壁に向けて下流側へ傾斜して設けられている請求項1乃至のいずれか一項に記載の自動変速機用オイルフィルタ。
  7. 前記ケース体には、前記プレフィルタエレメントのオイル流れ方向の傾斜先端側に対向して異物堆積部が設けられている請求項記載の自動変速機用オイルフィルタ。
  8. 前記ケース体には、前記異物堆積部に堆積された異物の前記流入口側への移動を規制する突起部が設けられている請求項記載の自動変速機用オイルフィルタ。
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