本発明は、電子やイオンの荷電ビームを用いるキャラクタ・プロジェクション(CP)方式の露光に関し、特に、アパーチャ上のキャラクタ数の低減と、ビームの照射回数の低減とに関するものである。
電子ビーム露光技術は、光リソグラフィでは作製できないようなサブマイクロメートル以下の微細パターンの加工を行うことができるため、ますます微細化、高集積化、複雑化が求められる半導体の加工技術には欠かせないものとなりつつある。しかし、代表的な電子ビーム露光方法である可変成形ビーム(VSB)露光においては、露光を行うパターン形状によらずマスクを必要としないが、パターンを多数の微細な矩形ショットに分割して露光を繰り返すため、露光にかかる時間が長くなり、スループットが得られないという欠点がある。
スループットを高めるために、ある程度の大きさのパターンを一括してショットできるキャラクタ・プロジェクション(CP)露光技術(部分一括露光)が開発されている。これは図38に示すように、電子銃231から発せられた電子ビーム232をビーム成形アパーチャ233で矩形に成形し、次にCPアパーチャ235上に形成した複数のキャラクタ239から所望のキャラクタ239を選択して、電子ビーム232を所望のキャラクタ形状に成形し、基板238の所望の部分に縮小して照射する方式である。部分一括露光は、図38に示すように、所望のパターンの一部分(キャラクタ部)をアパーチャ上に複数作り込んでおくもので、アパーチャ235上に作り込まれたキャラクタ239単位で順次露光をおこなうものである。キャラクタ239には、繰り返し露光する回数の多いパターンが選択される。しかしながら、この方法では、パターン毎にマスクを作成しなければならない。即ち、似たパターンであっても、パターンの一部が異なる場合には、アパーチャを共有することはできない。このために、可変成形ビーム露光を併用することになり十分なスループットを得ることができなかった。
CP方式(部分一括露光方式)の電子ビーム露光方法の発展形として、CPアパーチャ235上にデバイスパターン形状をした開口(キャラクタ)を設け、そのキャラクタの一部にビーム232を照射し、キャラクタの一部分だけを転写露光する方式が提案されている。例えば、この露光方式をロジックデバイスの配線層に適用する場合、CPアパーチャ235上に複数本のライン形状のキャラクタを設け、その一部にビームを照射すれば、任意の長さで任意の本数のラインを一括転写することができる。しかし、レイアウトパターンでライン毎に長さが異なると、露光回数が低減できない場合があった。
また、CPアパーチャ235上にキャラクタ239として登録できる図形の数には露光装置上の制限があり、左右の反転や上下の反転、回転等の位置関係にあるものも別のキャラクタとして登録しなければならず、全てのキャラクタを登録するのは困難であった。
また、2枚のビーム成形アパーチャ233を用いる方法が提案されている。この方式によれば、CPアパーチャ235上で任意の大きさに電子ビーム232を成形できるので、CPアパーチャ235上の配置効率、露光速度を改善できる。例えばA、Bというキャラクタをくっつけた1つのキャラクタがあれば、隣り合うA−B、個別のA,Bという3種類のレイアウトをこの1つのキャラクタで露光できる。しかし、ロジックデバイスのレイアウトにおいてキャラクタAとBとが隣り合う配置は発生しにくく、一括して露光できる場合が少ないので、露光速度の改善につながりにくいという問題があった。
なお、一括転写方式も提案されている。これは、CPアパーチャアレイ235の代わりに所望のパターンの全てを含むマスクを用いて、パターンを一括転写するものである。この方法では、マスク製作費用が莫大なものになるという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アパーチャ上のキャラクタ数の低減とビームの照射回数の低減が可能なレイアウトパターンの作成方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、(イ)ロジックデバイスのシステム仕様を論理式で記述するステップと、(ロ)ロジックデバイスを構成する複数のセルのうちいずれかと同じ機能をそれぞれ有する機能キャラクタ毎に、大きさ、機能、実レイアウトパターン、入出力の位置とアパーチャ上の位置が読み出し可能な機能キャラクタライブラリ記録部を形成するステップと、(ハ)機能キャラクタライブラリ記録部から機能キャラクタを選択し、論理式からネットリストを生成するステップと、(ニ)機能キャラクタライブラリ記録部を参照し、ネットリストに対応して、機能キャラクタの配置と、機能キャラクタ間の配線を行うステップとを有するロジックデバイスのレイアウトパターンの作成方法にある。
本発明の第2の特徴は、(イ)ロジックデバイスのシステム仕様を論理式で記述するステップと、(ロ)ロジックデバイスを構成する複数のセルのうちいずれかと同じ機能をそれぞれ有する機能キャラクタ毎に、大きさ、機能、実レイアウトパターン、入出力の位置とアパーチャ上の位置が読み出し可能な機能キャラクタライブラリ記録部を形成するステップと、(ハ)複数のセルのうちいずれかと同じ駆動力をそれぞれ有するバッファキャラクタ毎に、大きさ、駆動力、実レイアウトパターン、入出力の位置とアパーチャ上の位置が読み出し可能なバッファキャラクタライブラリ記録部を形成するステップと、(ニ)機能キャラクタライブラリ記録部から機能キャラクタを選択し、バッファキャラクタライブラリ記録部からバッファキャラクタを選択し、論理式からネットリストを生成するステップと、(ホ)バッファキャラクタライブラリ記録部と機能キャラクタライブラリ記録部を参照し、ネットリストに対応して、機能キャラクタとバッファキャラクタの配置と、機能キャラクタとバッファキャラクタ間の配線を行うステップとを有するロジックデバイスのレイアウトパターンの作成方法にある。
本発明の第3の特徴は、(イ)ロジックデバイスのシステム仕様を論理式で記述するステップと、(ロ)第1のセルと第2のセルの大きさ、機能、及び、入出力の位置、並びに、第1のセルと第2のセルのレイアウトパターンを順に並べた形状と同じ形状のキャラクタのアパーチャ上の位置が読み出し可能なセルライブラリ記録部を形成するステップと、(ハ)セルライブラリ記録部から第1のセルと第2のセルを選択し、論理式からネットリストを生成するステップと、(ニ)セルライブラリ記録部を参照し、ネットリストに対応して、キャラクタと同じ位置関係になるように、第1のセルと第2のセルの配置を行うステップとを有するロジックデバイスのレイアウトパターンの作成方法にある。
本発明によれば、アパーチャ上のキャラクタ数の低減とビームの照射回数の低減が可能なレイアウトパターンの作成方法を提供できる。
以下図面を参照して、本発明の実施の形態と実施例を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また図面相互間においても互いの寸法の関係や比率の異なる部分が含まれるのはもちろんである。
図1は本発明に係る電子ビーム露光装置の概念図である。本発明に係る電子ビーム露光装置は、電子銃1と、矩形の第1開口パターンを有する第1成形アパーチャ2と、ビーム成形偏向器3と、十字形の第2開口パターンを有する第2成形アパーチャ4と、キャラクタ選択偏向器5と、プリミティブセル用のキャラクタ20等の形状を開口として有するCPアパーチャ6と、縮小レンズ7と、対物偏向器8とを有する。
本発明に係る電子ビーム露光装置は、2枚の成形アパーチャ2、4を有することでCPアパーチャ6上に任意の大きさに電子ビームを成形できるので、CPアパーチャ上の配置効率や、露光速度を改善できる。
電子銃1では電子ビーム16を発生させる。第1成形アパーチャ2では、余分な電子ビーム16が後述のCPアパーチャ6等に照射されることを防ぐために電子ビーム16の形状を矩形の第1開口パターン10に成形し制限する。第2成形アパーチャ4では、第1開口パターン10で成形された電子ビーム16を、十字形の第2開口パターン11でさらに成形する。第2成形アパーチャ4上に照射された電子ビーム16の形状12と第2開口パターン11との重なった領域の形状を電子ビームの透過パターン13として得ることができる。ビーム成形偏向器3では、第1成形アパーチャ2を通過したビーム16を第2成形アパーチャ4上の任意の位置に照射するために偏向させる。キャラクタ選択偏向器5では、第2成形アパーチャ4を通過したビーム16をCPアパーチャ6上の任意の位置に照射するために偏向させる。対物偏向器8では、CPアパーチャ6を通過した電子ビーム16を基板やフォトマスク9等の上の任意の位置に転写するために偏向する。縮小レンズ7では、CPアパーチャ6を通過した電子ビーム16を基板9等の表面上に結像する。なお、ビーム成形偏向器3とキャラクタ選択偏向器5は、電子ビーム16を偏向するだけでなく拡大縮小する機能を有することが好ましい。このことにより、透過パターン13の形状の任意性を広げることができる。
また、電子ビーム露光装置は、基板9等の表面上に形成するレイアウトパターンに応じて、CPアパーチャ6を通過する電子ビーム16の形状を制御する制御手段を有する。
図2はCPアパーチャ6の上面図である。CPアパーチャ6は、キャラクタとなるプリミティブセル20の形状の開口部と、キャラクタとなるラインアンドスペース(L&S)18の形状の開口部と、キャラクタとなるコンタクトホール19の形状の開口部と、素通し孔17とで構成される。
ラインアンドスペース18の形を説明する。ラインアンドスペース18は10個の合同の長方形で構成される。長方形の短い辺の長さが0.5μmで、長い辺の長さが10μmである。10個の長方形の2本の短い辺の延長線がそれぞれ一致するように配置される。また、長方形は等間隔に配置され、間隔は0.5μmである。これは、例として配線幅と配線間隔をそれぞれ0.1μmに設定して5倍に拡大しているためである。長方形の間隔に対する短い辺の長さの比が、配線間隔に対する配線幅の比と同じであればよい。ラインアンドスペース18では、縦方向の配線と横方向の配線のパターンを露光するために、縦長の長方形と横長の長方形を有している。
コンタクトホール19の形状は、縦長の長方形のラインアンドスペース18の左端の長方形の左側の長い辺と、横長の長方形のラインアンドスペース18の10個の長方形の左側の短い辺とが一致するように平行移動した時に、縦長の長方形と横長の長方形の重なる領域として得られる図形である。コンタクトホール19の形状は、多層配線を形成する時に層間配線となるプラグのレイアウトパターンを形成するが、そのプラグを形成する際のコンタクト(ヴィア)ホールを形成するために設けられている。
また、矩形の開口部17はVSB用の開口である。CP露光を行えないパターンについては、従来どおりVSB露光を行うために設けられている。なお、VSB露光を行う場合には、第2成形アパーチャ4の像をCPアパーチャに結像する必要がある。この点は従来の荷電ビーム露光装置と同様であるが、CP露光のみを行う場合には必ずしも第2成形アパーチャ像をCPアパーチャに結像させる必要はない。これらの光学条件の設定は、露光すべきパターンによって任意に設定することが可能である。
次に、本発明の実施の形態に係るレイアウトパターンの作成装置について図3を参照して説明する。レイアウトパターンの作成装置は、演算部21とバス37で演算部21と接続される記録部で構成される。さらに、演算部21は、製品のシステム仕様に対して論理式での設計記述をするシステム論理設計部22と、スタンダードセルライブラリ38からセルを選択し、セルによる論理式(セルの接続(ネットリスト))を作る論理合成を行い、設計記述を生成する論理合成部23と、特に低い駆動力を有するセルの並列接続に特化した論理合成部24と、セルキャラクタ変換ライブラリ40を用いて、セルのネットリストを、セルを構成しCPアパーチャに形成された機能キャラクタとバッファキャラクタのネットリストに変換するネットリスト変換部25と、セルライブラリ38やキャラクタライブラリ40を参照し、ネットリストに対応した各セルやキャラクタを配置し、それぞれのセルやキャラクタ間の配線を自動で行い、実レイアウトパターンを生成する配置配線部26と、生成したレイアウトパターンを露光しやすいように変更するレイアウトパターン変更装置29と、変更されたレイアウトパターンの露光を実現する透過パターンの形状を算出する開口部形状演算部36とで構成される。
さらに、配置配線部26は、スタンダードセルを複数含んだCPアパーチャ上に形成されたキャラクタが露光で利用可能なようにセルの並び替えを行うキャラクタ連結配置部27と、スタンダードセルを含んだCPアパーチャ上に形成されたキャラクタ間の配線の引き回しによる電気特性の劣化を低減するように、セルの配置された位置を移動させるキャラクタ配置改善部28とで構成される。
また、レイアウトパターン変更装置29は、キャラクタパターンでは露光できない実レイアウトパターンと類似の形状を有するパターンをキャラクタの部分のパターンから見つけだすレイアウト−キャラクタパターン形状比較選択部30と、見つけ出されたパターンを類似のパターンと入れ替えるレイアウト−キャラクタパターン代替部31と、入れ替えられた実レイアウトパターンを用いて、セルの機能、及び抵抗や容量などから計算した信号伝達のタイミングなどを検証する検証部32と、矩形分割において発生する矩形の数を少なくできるように擬似パターンを発生させる擬似パターン発生部33と、実レイアウトパターンから透過パターン10を検出可能にする画像処理を行う太らせ処理部34と、太らせ処理で得られた画像から透過パターン10を検出する矩形分割部35とで構成される。
また、記録部は、セルライブラリ記録部38と、セル−キャラクタ変換ライブラリ記録部39と、バッファキャラクタライブラリ41と機能キャラクタライブラリ42とからなるキャラクタライブラリを記録するキャラクタライブラリ記録部40と、システム仕様記録部43と、アパーチャ制御用データ記録部99とで構成される。
セルライブラリ記録部38では、セル毎に論理合成のための情報である機能や駆動力や、回路配置のための情報である大きさや入出力の位置等が記録されている。
セル−キャラクタ変換ライブラリ記録部39では、セル毎に、セルの機能と同じ機能の機能キャラクタと、セルの駆動力と同じ駆動力のバッファキャラクタが関係付けられており、セルを指定することにより関係付けられた機能キャラクタとバッファキャラクタとを読み出せる。
バッファキャラクタライブラリ41では、駆動力すなわち出力の異なるアンプが、アンプ毎に論理合成のための情報として大きさや駆動力や、回路配置のための情報として実レイアウトパターンや入出力の位置や、露光のための情報としてCPアパーチャ上の位置等と伴に記録されている。
機能キャラクタライブラリ42では、機能の異なるセルをそれぞれキャラクタとして、キャラクタ毎に論理合成のための情報として大きさや機能や、回路配置のための情報として実レイアウトパターンや入出力の位置や、露光のための情報としてCPアパーチャ上の位置等と伴に記録されている。
システム仕様記録部43では、設計されるシステムの機能や駆動力等が記録されている。
最後に、アパーチャ制御用データ記録部99では、実レイアウトパターンのどの部分を、どのキャラクタ又はその部分にどんな透過パターンのビームを照射して露光するかが記録されている。
図4は、電子ビーム露光用スタンダードセルライブラリ38のデータ構造を示している。このセルライブラリ38は、セルの機能で分類されている階層44と、セルの駆動力で分類されている階層45、46とを有している。図4では、機能で分類する階層が上級の階層で、駆動力で分類する階層が下級の階層になっているが、この例に限らず逆であってもよい。下級の階層には、各階層によって分類されたセルのセル名等の識別記号が記載されている。そして、セル名毎に、セル名と関係付けられた論理合成のためのセルの大きさ、機能、駆動力等の情報、回路配置のための回路の形、入出力の位置等の情報、セルがキャラクタとして配置されているCPアパーチャ名等の識別記号とそのアパーチャ上の配置位置等のいわゆるCP情報が記録されている。
このセルライブラリ38には、セル毎に、セルがアパーチャ上のキャラクタか否かの情報が納められている。さらに、アパーチャ上のセルであれば、そのアパーチャ上の位置情報、信号入出力位置の情報と集積回路のシミュレーションに使用するセルの機能と性能を示すパラメータの情報と、アパーチャに無いセルであれば、セルの詳細なレイアウトと上記パラメータの情報とが納められる。これら各スタンダードセルをつなぐ配線のパターンは、スタンダードセル内では定義されておらず、セルの入出力の位置の情報を用いて生成される。
図5は、セル−キャラクタ間の変換ライブラリ39のデータ構造を示している。変換ライブラリ39は、機能キャラクタ名等の機能キャラクタの識別標識が登録されている領域47と、バッファキャラクタ名等のバッファキャラクタの識別標識が登録されている領域49と、セルが登録されている領域48とを有している。セルが登録されている領域48では、機能キャラクタに変換可能な、又は、機能キャラクタとバッファキャラクタに変換可能なセルが、それらの機能キャラクタとバッファキャラクタとに関係付けられて登録されている。例えば、「機能2−0」セルは「機能2」機能キャラクタに関係付けられており、「機能5−2」セルは「機能5」機能キャラクタと「バッファ1」バッファキャラクタに関係付けられている。
図6は、電子ビーム露光用キャラクタライブラリ40のデータ構造を示している。このキャラクタライブラリ40は、機能キャラクタライブラリ42とバッファキャラクタライブラリ41とを有している。機能キャラクタライブラリ42は、機能キャラクタが登録されている領域50を有し、この領域50には機能キャラクタ名等の機能キャラクタの識別記号が記載されている。そして、機能キャラクタ名毎に、機能キャラクタ名と関係付けられた論理合成のためのキャラクタの大きさ、機能等の情報、回路配置のための回路の形、入出力の位置等の情報、キャラクタが配置されているCPアパーチャ名等の識別記号とそのアパーチャ上の配置位置等のCP情報が記録されている。バッファキャラクタライブラリ41は、バッファキャラクタが登録されている領域51を有し、この領域51にはバッファキャラクタ名等のバッファキャラクタの識別記号が記載されている。そして、バッファキャラクタ名毎に、バッファキャラクタ名と関係付けられた論理合成のためのキャラクタの大きさ、駆動力等の情報、回路配置のための回路の形、入出力の位置等の情報、キャラクタが配置されているCPアパーチャ名等の識別記号とそのアパーチャ上の配置位置等のCP情報が記録されている。さらに、アパーチャ上のセルであれば、そのアパーチャ上の位置情報、信号入出力位置の情報と集積回路のシミュレーションに使用するセルの機能と性能を示すパラメータの情報と、アパーチャに無いセルであれば、セルの詳細なレイアウトと上記パラメータの情報とが納められる。これら各キャラクタをつなぐ配線のパターンは、キャラクタ内では定義されておらず、キャラクタの入出力の位置の情報を用いて生成される。
図7に本発明の実施の形態に係るレイアウトパターンの作成方法のフローチャートを示す。今回は、各工程でのシミュレーションやタイミング解析などは特に関係ないため省略した。
まず、ステップS1において製品の機能や性能等のシステム仕様を決定し、図3のシステム仕様記録部43に入力する。次に、ステップS2において図3のシステム論理設計部22でシステム論理設計を行い論理式でのRTL記述をする。
そして、ステップS3において図3の論理合成部23で論理合成を行い、設計記述を生成する。論理式で記述されたシステムを、CP情報を有するセルライブラリ38に含まれるセル間の接続(ネットリスト)に変換する。この時のセルの選択は、セルの機能、及び抵抗や容量などから計算した信号伝達のタイミングなどを参考にして、適当なものが選択される。
ステップS4においてネットリスト変換部25で、選択されたセルを、セル−キャラクタ変換ライブラリ39を用いて機能キャラクタとバッファキャラクタに変換する。
その後、ステップS5において図3の配置配線部26で、キャラクタを配置することで実レイアウトパターンに相当するパターンを生成する。CP情報を有するキャラクタライブラリ40を参照し、ネットリストに対応した各キャラクタを配置し、それぞれのキャラクタ間の配線を自動で行う。なお、キャラクタライブラリ40に無いキャラクタを含むセルの実レイアウトパターンを発生させる場合は、セルライブラリ38を参照し、セルの実レイアウトパターンを読み出し配置する。セルライブラリ38に無い新規のセル等の実レイアウトパターンは手動で発生させても良い。
ステップS3、S4の代わりにステップS6を経由することで、ネットリストを生成しても良い。セルの代わりに機能キャラクタを用いて論理合成を行う。駆動力を変えることが可能なバッファを使用しないので、機能キャラクタを並列接続して所望の駆動力を得る。
次に、ステップS7において、キャラクタで表現されずに自動及び手動で発生させた配置配線のパターンと、キャラクタライブラリ40に登録されたキャラクタの部分のパターンとを比較する。そして、配置配線のパターンをキャラクタの部分のパターンに置き換えても電気的なショートが発生しないようないわゆる形状が類似しているキャラクタの部分のパターンを検出し、そのように置き換える。
ステップS8において、置き換えてもレイアウトパターン全体でステップS1で定めたシステム仕様を満足し、パターンの代替が可能か否か判断する。代替が可能であればステップS9に進み、置き換えによる差異を表示する。代替が不可能であれば、この置き換えを中止して処理をストップさせる。ステップS10において、配置配線の差異の部分を修正し、実レイアウトパターンとしてキャラクタの部分を登録する。
なお、本発明の実施の形態に係るレイアウトパターンの作成装置は、配置配線ツールなどのCADに組み入れることができる。また、それとは別にデザインルールチェッカのような検証装置に組み入れることもできる。本発明の実施の形態に係るレイアウトパターンの作成方法では、レイアウトパターンの作成にキャラクタを最大限利用できるので露光において電子ビームの照射回数を低減できる。
実施例1では、図7に示されるレイアウトパターンの作成方法に多少の変更を加え、露光におけるキャラクタの利用効率を高める方法について説明する。図8(a)に実施例1に係るレイアウトパターンの作成方法のフローチャートを示す。Aは、図7のAから引き続き実行されることを意味している。
まず、ステップS21において図3のキャラクタ連結配置部27で、CPアパーチャに登録されている複数のセルを連結したキャラクタで露光できるように並び替える。並び替えは、システム仕様記録部43に記録されたタイミング情報をもとにタイミングの許容範囲内になるように、かつ、配線遅延情報をもとに遅延の許容範囲内になるように、かつ、配線混雑情報をもとに混雑が規定値以下になるように、指定領域情報をもとに特定のセルが指定領域外に配置されないように実行される。この並び替えにより複数のセルを一括して露光できるので照射回数を低減できる。
次に、ステップS22において、図3のキャラクタ配置改善部28で露光回数を増やさないように配置改善を行う。配置改善は、上記並び替えと異なり、配線遅延等を改善させるように配置させる。このことにより、ステップS21でたとえタイミング等が劣化しても改善し特性を向上させることができる。また、ステップS23において、連結したキャラクタを用いてセルを高速に露光することが可能になる。
図8(b)は、セルA、Bが連結したキャラクタ54を有するCPアパーチャ52の概念図である。セルA、セルBという二つのセルがあり、A−Bの順で2つのセルを並べたものをキャラクタABとして登録する。セルA、Bとしては、露光頻度の高いセルを選択することが好ましい。なお、セルA乃至Mを表す矩形の1つの角に付された線はセルの向きを表している。
図9(a)乃至(c)では、図7のステップS5が終了した後のさまざまな配置パターンを示している。図9(a)では、セルAとセルBが近くにあるが、セルAとセルBの間にセルCが配置され完全にA−Bの順に並んでいない。図9(b)では、セルAとBとが並んでいるもののセルBの向きが連結したキャラクタ54のセルBの向きと一致していない。図9(c)ではセルAとBの並ぶ順番が一致していない。レイアウト平面上101ではこれらのことが非常に多くある。このような時、このままでは、キャラクタ54によって1回で露光することはできず、2回の露光が必要である。そこで、図8のステップS21において、セルAとセルB、その周辺のセルを並び替えて図9(d)のA−Bのように配置することで、キャラクタ54により1回で露光することができる。なお、並び替えとは、(a)のセルAとCを置き替えたり、(b)のセルBを線対称に反転させたり、(c)のセルAとBを置き換えたりすることである。並び替える際に、配置に応じた配線の長さから遅延を計算することができ、遅延を最も短くするように並び替えることができる。また、配線の混雑度が少なくなるように配置することができる。あるいは両者の最適化を図ることができる。これら、遅延や配線の混雑度が指定された条件を満たさないとして、並び替えを行わないこともできる。配線の遅延を計算するのが困難な場合は、配線遅延に大きな影響がないよう、一定の領域内で一定の距離以内でしか動かないようにし、配線遅延が指定値以上悪化しないようにすることもできる。
次に、ステップS22の配置改善について説明する。キャラクタ54で露光できるように、ステップS21でセルAとセルBをA−Bの順に図10(a)のセルA3とB1、セルA2とB2のように並び替える。その際にセルA1のようにセルBと連結できない場合もある。そして、ステップS22で、配置に応じた配線長から遅延を求め、その遅延を縮小するためや、配線混雑緩和のためなどのために配置改善を行う。図10(b)は配置改善後の状態を示す。例えばセルA2とB2とを左方向へ平行移動している。セルA1とセルGは上に平行移動しさらに向きを上下方向に反転させるように移動している。図10(c)は(b)に引き続き配置改善を行った後の状態を示している。セルA1とA2が入れ替わっている。この入れ替わりは一見当然で意味の無いことのように思えるが、具体的にはセルA1に接続される配線の長さとセルA2に接続される配線の長さを同時に短くできる場合があるのである。すなわち配置改善としては連結していないセルAあるいはセルBやその他セルC,D…以降のセルを平行移動し、向きを変えることで行う。また、連結したセルA−Bの配置改善はB−AのA−Bへの入れ替えや、A−Bの平行移動、上下左右の反転などにより行う。露光回数が増加するような配置改善をなるべく行わないが、指定された遅延時間を超えた場合などの遅延縮小や、配線不可能となった場合の配線混雑緩和のため露光回数が増加する配置改善も行うことができる。これでA−Bの順で配置された多くのセルを配置できるので、キャラクタ54の一括露光が多用でき、露光に要する時間を短縮できる。
キャラクタ54を一括露光したり、部分的にセルAやセルBのみを露光する必要が生じる。これらの露光のためには、図1の照射されたビーム形状12と第2開口パターン11の位置関係を偏向器3で調節し、キャラクタ54、セルAやセルBに対応する形状の透過パターン13を形成すればよい。そして、透過パターンの形状に成形されたビームを、偏向器5で偏向し対応するCPアパーチャ6上のキャラクタ54、セルAやセルBに照射すればよい。このCPアパーチャ6の透過像を縮小レンズ7と偏向器8とで所望の大きさに縮小し基板9等の所望の場所に結像させる。これらのことにより、基板9上にキャラクタ54、セルAやセルBのレイアウトパターンが露光できる。
2つあるいはそれ以上のセルを同時にキャラクタ・プロジェクション方式により露光できることで露光のスループットが高くなる。同時に、配線遅延の改善、配線混雑度の緩和、および、ある一定の配線遅延、配線混雑度のなかで、露光速度を高めることができる。
実施例2でも、実施例1と同様に図7に示すレイアウトパターンの作成方法に多少の変更を加え、露光におけるキャラクタの利用効率を高める方法について説明する。作成方法のフローチャートは図8(a)のフローチャートと同じである。実施例2ではセルが3つ連結されたキャラクタを利用した作成方法について説明する。
図11(a)は図7のステップS5が終了して得られたレイアウトである。図11(b)は図8(b)のCPアパーチャ52に形成されるセルA、B、Cが連結されたキャラクタを示している。この形成により、図8(b)のキャラクタ54とセルCはCPアパーチャ52から省いてもよい。
セルA、B、Cが連結されたキャラクタにおいては、セルABCを一括露光したり、単独にセルA、セルBやセルCのみを露光するだけでなく、セルAとBや、セルBとCや、セルAとCを一度に露光できれば一層露光速度を高められると考えられる。しかし、図1の第1成形アパーチャ2と第2成形アパーチャ4では、セルAとセルCを一度に露光することはできない。そこで、図1の第2成形アパーチャ4の代わりに、図12に示す第2成形アパーチャ55となるブランキングアパーチャアレイを用いる。
ブランキングアパーチャアレイ55には、開口部56が設けられている。開口部56は半導体装置(LSI)のレイアウトパターンのピッチに対応して配置されていてもよい。開口部56は、例えば、正方形で10行(L1乃至10)で10列(R1乃至10)の正方格子状に配置され、総数はたかだか100個である。
図12(b)は第2成形アパーチャ55の模式的な断面図である。第2成形アパーチャ55は、開口基板57と、開口基板57に開口された開口部56と、開口部56を挟んで対向するよう両側に配置される電極59、60と、電極59、60に接続する入出力端子を有する。入出力端子は、制御信号を出力する偏向アンプに接続されている。開口基板57は、シリコン(Si)基板57と、基板57の裏面に配置された絶縁膜58とで構成される。偏向アンプからの制御信号である電子ビーム偏向電圧は、入出力端子を介して電極59、60に印加される。第2成形アパーチャ55上に照射された電子ビーム16は、電極60に偏向電圧が印加されていない場合は開口部56を直進し、CPアパーチャ6上に照射され、開口部56の形状がCPアパーチャ6の上に照射される。一方、電極59に偏向電圧が印加されている場合には電極59と60の間に電界が生じ、電子ビーム16が偏向されるため、CPアパーチャ6上には照射されない。なお、照射されないために印加すべき電圧Vは30V程度であった。
セルAとセルCを一度に露光するためには、図13に示すようにセルAとセルCの対応する位置に、偏向のかけられていない開口パターン62を配置する。セルBに対応する位置に、偏向のかけられた開口パターン61を配置する。これらのことにより、基板9上にセルAとセルCのレイアウトパターンを同時に露光できる。
次に、実施例2に係るレイアウトパターンの作成方法を説明する。 図11(a)のレイアウトに対して、図8(a)のステップS21を実施し、図14(a)に示すようにレイアウトを変更する。具体的には、セルA1、B、C1を連結させたり、セルBの幅の分だけ間隔をあけてセルA3とC2を配列する。このとき、配置に応じた配線の長さから遅延を計算することができ、遅延を最も短くするように並び替える、又は、配線の混雑度が少なくなるように配置することができる、あるいは両者の最適化を図ることができる。これら、遅延や配線の混雑度が指定された条件を満たさないとして、並び替えを行わない、あるいはA−B−Cと並び替えられるものをA−BとばらばらのCというように、露光回数が大きい並び替えを選択することもできる。配線の遅延を計算するのが困難な場合は、配線遅延に大きな影響がないよう、一定の領域内で一定の距離以内でしか動かないようにし、配線遅延が所定値以上悪化しないようにすることもできる。
そして、ステップS23を実行し、図14(b)に示すようなレイアウトパターンを得る。遅延縮小のためなど配置改善を行う際には、連結されていないセルA、B、Cやその他、D、E…以降のセルで行う。例えば、セルA2とIは平行移動し向きを変えている。また、連結したセルA1、B、C1や、セルA3とC2を平行移動している。なお、ABCの連結したセルの配置改善については、登録されているキャラクタで露光できない、順序の入れ替えや、上下、左右反転などの露光回数が増えるものについては配置改善を行い、反転等のセルを極力使用しないようにする。指定された遅延時間を超えた場合などの遅延縮小や、配線不可能となった場合の配線混雑緩和のため露光回数が増加する配置改善も行うことができる。A−CとAというセルがあるときに、このAを組替えて配置改善することは露光回数の増加にはつながらない。これでA−B−C、A−B、B−C、A−Cの順で配置された多くのセルをキャラクタABCにより1回で高速に露光できる。
図15(a)に示すようにCPアパーチャ52上にセルを連結したキャラクタとしてセルA1−B1−C1、A1−D、D−Eと、セルA1−B1−C1のレイアウトと上下反転したA2−B2−C2を配置している。このように複数で、重複するセルを組み合わせたキャラクタがアパーチャ52上に登録されているとき、実施例1のように、配置されたものを登録されている組み合わせのキャラクタで露光できるように配置しなおすことができる。このとき、A1−B1−C1のようになるべく1度にたくさんのセルが露光できる組み合わせにすると、高速に露光できる。どのように組み合わせるかは実施例1と2のように、遅延を最も短くするように並び替えたり、配線の混雑度が少なくなるように並び替える。あるいは両者の最適化を図る。遅延や配線の混雑度が指定された条件(システム仕様)を満たさない場合は並び替えを行わない。あるいはA1−B1−C1でなく同じセルA1を含んだA1−Dの方が露光頻度が多くなる場合は、A1−B1−C1でなくA1−Dのように並び替えることもできる。このように、露光回数と、配線長さによる遅延、配線混雑度をもとに連結すべきセルの組み合わせを決めることができる。同様に一定の領域内で並び替えを行うこともできる。
あるいは、実施例1と同様に、セルをA1−B1−C1、A2−B2−C2、A1−D、D−Eというように登録されているキャラクタで露光できるように配置する。配置改善をするときには、実施例1、2と同様に、登録されているキャラクタで露光できないような配置改善、露光回数が増えるような配置改善は極力しないようにする。しかし、指定された遅延時間を超えた場合などの遅延縮小や、配線不可能となった場合の配線混雑緩和のため露光回数が増加する配置改善も行うことができる。このように配置改善を、露光回数、遅延、配線混雑度をもとに決めることができる。A1−Dというセルと、Eというセルがあるとき、D−E、A1というように組替えて配置改善を行うことは露光回数が増えない配置改善である。また、A1−B1とB1−A1など、順序が逆のキャラクタや、上下逆のキャラクタや、上下の組み合わせのキャラクタなどがアパーチャに登録されていれば、それらのキャラクタで露光できるような配置改善であれば露光回数は増えない。
具体的に、連結したキャラクタへの並び替えと、配置改善を行った結果を図15(b)に示す。連結したキャラクタとしては、A1−1、B1−1、C1−1や、D1、E1や、A2−2、B2−1、C2−1や、A1−2、D2や、A2−3、B2−2、C2−2のキャラクタが発生している。
2つあるいはそれ以上のセルを同時にキャラクタ・プロジェクション(CP)方式により露光できることで露光のスループットが高くなる。同時に、配線遅延の改善、配線混雑度の緩和、および、ある一定の配線遅延、配線混雑度のなかで、露光速度を高めることができる。
CP方式で図1に示すような3枚アパーチャ構成を用いれば、セルベース設計されるLSIにおいて、同じ或いは異なる種類のスタンダード・セル(SC)を2個以上並べたものを、CP方式でのキャラクタの単位とできる。配置するときに左右の反転を禁止し、SCを2個以上並べたキャラクタで露光できる確率をあげること、SCを2個以上並べたキャラクタで露光できるように配置すること、あるいは配置されたセルを、SCを2個以上並べたキャラクタで露光できるように配置しなおすこと、により高速に露光することができる。
従来、CPアパーチャ52上でセルは、例えば、図16(b)のセルA1に対して、左右反転セルA3、上下反転セルA2、回転セルA4などたくさんの配置方向で配置されるべきであると考えられていた。したがって、1つの機能と性能を有するセルAを配置するためには4つのセルA1乃至4を図16(a)に示すようにCPアパーチャ52上に配置していた。確かに、図16(c)(d)に示すように、上下反転については、電源線と接地線が左右方向にセルの上部と下部に配置されるので、配置効率を高める上で必要である。禁止すると著しくセルの配置効率が劣化する場合があるのである。一方、左右反転については、禁止することにより配置方向が、4方向から2方向に減るので、A1乃至4の4つのキャラクタが必要だったものが図16(d)に示すようにA3とA4の2つのキャラクタをアパーチャに持っていれば良いということになる。すなわち、図16(a)の20個のキャラクタの内10個のみを用いて図16(d)に示すようなレイアウトができるのである。
さらに、装置の制約上、スタンダードセル(SC)用にキャラクタを100個しかのせられず、性能を達成するには50個のSCが必要であるというときに、1つのキャラクタで、1つのSCの1配置方向を露光できるものとすると、上下、左右反転が可能な4配置方向では、必要な200個のセルのうち100個分しかCPアパーチャ6にのせることができない。CPアパーチャ6に載らないセルについては順次長方形に分解して露光することになるので、高速に露光することができない。それに対し、左右反転を禁止し、配置方向を上下反転の2方向に限定すれば、全てのスタンダードセルのレイアウトをCPアパーチャ上に配置でき、キャラクタにより高速に露光することができる。
配置方向を限定することで、多くの種類のセルを少ないキャラクタで露光することができる。セルの種類がアパーチャにのせられるキャラクタより多い場合は、これによって多くのセルに対応するキャラクタをアパーチャにのせることができ、高速な露光が可能になる。一方、セルの種類が少ないときは、セルの種類を増やしても、全て対応するキャラクタをアパーチャにのせることができ、LSIの性能の向上が図れる。
図4で説明したように、スタンダードセル・ライブラリ38はインバータ、AND、OR、フリップフロップなどさまざまな機能を持つセルから構成されている。同じ機能でも、ファンアウト数や、配線長さなど、負荷の大きさによって駆動力の異なるセルが用意され、使い分けられている。論理積(AND)という機能を実現するセルにも、図17(a)に示すようにAND0、AND1、AND2、AND3というように、駆動力の異なるセルがある。同様に論理和(OR)という機能を実現するセルにも、図17(b)に示すようにOR0、OR1、OR2、OR3というように、駆動力の異なるセルがある。そこで、図17(a)(b)のようにスタンダード・セルのレイアウトを特定のレイヤあるいは全てのレイヤについて、機能キャラクタとバッファキャラクタとに分け、バッファキャラクタを機能の異なる機能キャラクタでも共通に連結でき、所望の機能と駆動力を有するセルを形成できるようにする。この形成できるセルと連結する機能キャラクタとバッファキャラクタの組み合わせは、図5に示すようなセル−キャラクタ変換ライブラリ39に記述されている。また、AND機能やOR機能等を有する機能キャラクタは、図6のキャラクタライブラリ40の機能キャラクタライブラリ42内に登録されている。バッファ1乃至3のバッファキャラクタは、バッファキャラクタライブラリ41内に登録されている。
レイアウトパターンの作成方法としては、まず、図7のステップS1とS2を実行する。次に、セルライブラリ38内を検索して、図17(a)のセルAND0乃至3や(b)のセルOR0乃至3等を用いてステップS3の論理合成を行う。次に、ステップS4においてセルAND0乃至3等で記述された論理式を、変換ライブラリ39を用いてAND機能の論理キャラクタ等とバッファ1乃至3のバッファキャラクタで記述する。そして、ステップS5でキャラクタライブラリ40からAND機能の論理キャラクタ等とバッファ1乃至3のバッファキャラクタの回路の大きさ等の情報を検索して読み出し、キャラクタの配置とキャラクタ間の配線を行う。ステップS5の終了により図7のA点に至るので、以降は継続して実施例1等を実施すればよい。
図17(c)のようにCPアパーチャ52は機能のみのレイアウトからなる機能キャラクタと、バッファ部のみのレイアウトをもつバッファキャラクタを有している。このことによりたくさんのセルを少ないキャラクタで露光できる。一番駆動力の弱いセルにはバッファ部はないとして、N種類の駆動力の異なる共通レイアウトのバッファ部を用意すると1つの機能につきN+1種類の異なる駆動力を持つセルを用意できる。
X種類の機能を持つセルの種類があるとき、これらX種類の機能について、全てN+1の駆動力を持つセルを用意し、配置方向R種類に対応する全てのキャラクタ数は、ひとつのセルがひとつのキャラクタで露光できるとしても、X・(N+1)・R個である。これに対し、バッファ部を共通レイアウトとすると、キャラクタとして登録するのは機能X個、バッファN個、を配置方向R種類分であるので、(X+N)・R個のキャラクタですむ。Xを30程度、Nを4程度、Rを4とすると、バッファ部を共通化しない場合600種類のキャラクタを用意しなければならないのに対し、バッファ部を共通化すると、140種類のキャラクタで済む。よって、スタンダード・セルの種類を減らすことなく、キャラクタの数を減らすことができる。例えば、図17(c)のCPアパーチャは、機能キャラクタを6個とバッファキャラクタを3個で合計9個のキャラクタを有している。配置方向は1方向なので、露光できるセルの数は24個である。
一部あるいは全てのレイヤのレイアウトについて、異なるセルのレイアウトの一部あるいは全部を共通のレイアウトにすることで、1つのキャラクタにつき1つのセルではなく、少ないキャラクタでたくさんのセルを露光することができる。このことにより、高速な露光が可能になる。
実施例5のようにセルを機能キャラクタと共通のバッファキャラクタを連結して構成すると、どのセルでも最低2回露光することが必要となる。この問題を回避するために、図18(b)に示すように機能2−0等のセルは使用頻度が高いので、駆動力の異なるセルをキャラクタとしてそれぞれ用意し、キャラクタとして登録する。CPアパーチャ52には図18(c)のようにキャラクタを登録する。セル機能2−0、2−1、2−2、2−3は2回でなく、1回のビーム照射で露光できる。一方、機能1や3の機能を有するセルについては実施例5と同様に、機能キャラクタと共通のバッファキャラクタとを連結させる構成である。なお、セル機能2−1と2−2は露光の頻度が高いがセル機能2−3はそうでもないというとき、セル機能2−3のレイアウトをセル機能2−0と共通のバッファキャラクタ3で構成できるようにすると、セル機能2−3のレイアウトは必要でなくキャラクタにする必要もない。なお、図18(c)のCPアパーチャ52は、機能キャラクタを2個とバッファキャラクタを3個とセルを4個で合計9個のキャラクタを有している。配置方向は1方向なので、露光できるセルの数は4+2×4で12個である。このように少ないキャラクタで多くのセルを露光できるだけでなく、使用頻度の高いセルは1回で露光できるのでトータルの露光時間を短縮できる。
また、図19(a)に示すように機能1の機能キャラクタを単独、あるいは、バッファ1乃至3のバッファキャラクタと連結させてセル機能1−0、1−1、1−2、1−3を生成できる。また、図19(b)に示すように機能2の場合も(a)と同様にバッファキャラクタを使用し、セル機能2−1等を生成できる。そして、図19(c)に示すように、例えば、露光頻度が他の機能に比べて機能2が高い場合は機能2の機能キャラクタとバッファ1乃至3を連結させたセルをCPアパーチャ52上にキャラクタとして形成する。また、連結はバッファ1乃至3毎に使用頻度の高い機能キャラクタを選択してもよい。具体的にはバッファ2は機能5と連結させ、バッファ3は機能7と連結させる。このことにより、機能2とバッファ2を連結させたキャラクタをCPアパーチャ52に形成する必要が無いので代わりに他の機能キャラクタを形成でき一層効果的である。
露光時においては、図1に示すような3枚アパーチャ方式などで、例えば、セル機能2−1を構成する機能2の機能キャラクタとバッファ1の共通のバッファキャラクタのそれぞれを単独で露光する。このことにより、バッファ1のバッファキャラクタを他の機能の共通バッファ部のキャラクタとして露光することができる。また、機能2の機能キャラクタを単独で露光することでセル機能2−0をパターニングすることができる。
なお、図19(c)のCPアパーチャ52は、単独の機能キャラクタを6個と、機能キャラクタとバッファキャラクタが連結したキャラクタを3個で合計9個のキャラクタを有している。配置方向は1方向なので、露光できるセルの数は7×4で28個である。このように少ないキャラクタで多くのセルを露光できるだけでなく、使用頻度の高いセルは1回で露光できるのでトータルの露光時間を短縮できる。
図20(a)に図7のステップS5の配置配線の実施後のレイアウトを示す。実施例7等と図7のステップS1からS2までは同様に実施している。ステップS3の論理合成の方法が異なっている。実施例7等では論理合成にセルライブラリ38を使用するが、実施例8ではキャラクタライブラリ40を使用する。このことにより、ステップS4が省略できる。なお、ステップS5の配置配線方法は異なっていないが、論理合成の単位がセルからキャラクタに変わったことで配置の単位もセルからキャラクタに変わり、配置される論理キャラクタとバッファキャラクタの位置関係が異なる。そして、配線の引き回される位置が異なってくる。
実施例7等の機能キャラクタとバッファキャラクタをそれぞれ別のスタンダード・セルであるかのように、図20(a)のようにこれらを近くに配置し配線する。つまり、セルライブラリ38の代わりにキャラクタライブラリ40を使用する。キャラクタライブラリ40は、同じ機能で駆動力の異なるキャラクタを持たず、バッファに使われるバッファキャラクタのみが異なる駆動力を持つからである。キャラクタとしてCPアパーチャ上に図20(b)のようなものを登録しておけば、セル機能1−3に相当するものを、図7のステップS3において機能キャラクタ機能1とバッファキャラクタ3に分割して、ステップS5においてなるべく近くに配置する。その後配線装置によりステップS5において配線65乃至67を形成すればよい。
なお、図20(b)のCPアパーチャ52は、単独の機能キャラクタを6個と、単独のバッファキャラクタを3個で合計9個のキャラクタを有している。配置方向は1方向なので、露光できるセルの数は6×4で24個である。このように少ないキャラクタで多くのセルを露光できる。
図21(a)に示すように、駆動力の高いセルを含まずに、駆動力の低いセルからなるCPアパーチャやセルライブラリを用意する。この駆動力の低いセルのみからなるセルライブラリとは、図7等の機能キャラクタライブラリ42と等価であると考えられる。図21(c)に示すように駆動力の低いセルすなわち機能キャラクタを並列に接続することにより、並列接続されたキャラクタ全体で駆動力を高めることができる。したがって、図21(a)のように当然キャラクタとしては駆動力の低いセルだけでよい。
図21(d)に図7のステップS5の配置配線の実施後のレイアウトを示す。実施例7等と図7のステップS1からS2までは同様に実施している。ステップS3の代わりにステップS6の論理合成の方法を用いる。実施例7等では論理合成にセルライブラリ38を使用し、ステップS4も必要であるが、実施例9では機能キャラクタを並列接続して駆動力を調節するので機能キャラクタライブラリ42のみを使用する。なお、ステップS5の配線方法は並列接続をする必要から複数の配線を束ねて1本にしたり、複数の配線の長さを揃えたりする必要が生じる。
図21(d)のように駆動能力が低くてよい場合は配線71と72のように単独で配置する。駆動力を必要とする場合は、同一の機能キャラクタを複数個連続して配置したりあるいはばらばらに配置することができる。配線75と76は3個が連続した機能1の機能キャラクタに接続している。配線73と74は3個がばらばらに配置した機能1の機能キャラクタに接続している。
なお、露光装置が図1に示すような3枚アパーチャ構成などで、ビームの当たる領域を変えることができるときは、CPアパーチャ52に図21(b)のように同一の機能キャラクタを連続して並べて配置する。このことにより露光回数を減らすことができる。よく使われるセルについては、駆動力の異なるセルを用意することが好ましい。
図22(a)のようなレイアウトを持つセルの駆動力が高いセルとして、図22(b)のような(a)を線88で折り返した線89で線対称のレイアウトを持つセルを作る。このとき、3枚アパーチャ方式などビームを当てる領域を自由に変えられるとすると、例えば図22(b)のゲート電極87、90に対応する図22(f)のキャラクタを用意しておけば、ビームを当てる領域を変えることで図22(a)のゲート電極87のレイアウトと、その左右反転したゲート電極90のレイアウトもこのキャラクタで露光することができる。
なお、図22(a)と(b)のレイアウトの関係は、図22(a)のレイアウトが、図22(c)に示すように図16(b)のキャラクタA3に対応すると考えると、図22(b)のレイアウトは、図22(d)に示すようにキャラクタA3とA1を連続して配置している場合に対応する。ただ、厳密には第1層メタル配線82がA3において線88の両側に存在することから、図22(d)は厳密には図22(e)のように重なっているように考えることで、キャラクタの配置の位置を厳密に算出することができる。
実施例11は、図19を用いて説明した実施例7をより具体的に説明する。図23(a)はNAND機能を有するレイアウトを表している。NANDという機能はAND論理の反転である。NANDは4つのMOSFETで実現できる。このレイアウトはバッファ回路に相当する部分を持たないので、ゲート電極87等の各レイヤーのパターンはNAND機能の機能キャラクタNAND0であると考えられる。
図23(c)はAND機能を有するレイアウトを表している。ANDはNANDの出力を反転して作るために6つのMOSFETが必要となり面積が大きくなる。このレイアウトはNAND0のレイアウトに反転機能を有するインバータINV1のレイアウトを連結させたAND0のレイアウトと考えることができる。インバータは実施例7のバッファとは機能等が異なるが、後述するようにインバータに増幅機能を持たせることでバッファとして使用できるからである。このレイアウトはバッファ回路に相当する部分を持たないので、ゲート電極87等の各レイヤーのパターンはAND機能の機能キャラクタAND0であると考えられる。よって、セルとなるAND0の各レイヤーのパターンは機能キャラクタNAND0とインバータキャラクタINV1(実施例7のバッファキャラクタに相当)の連結したものであると考えられる。
駆動力の小さい場合を考えたが、次に、駆動力が大きい場合を考える。スタンダードセルの場合は、セルの高さをセル間で一定にする。NAND機能を有し駆動力が大きくなるレイアウトを図23(b)に示す。同様にAND機能を有し駆動力の大きくなるレイアウトを図23(d)に示す。図23(b)に示す駆動力が大きいセルNAND1は、機能キャラクタNAND0と、反転のみの機能を有するインバータキャラクタINV1と、反転と増幅の機能を有するインバータキャラクタINV2とを連結したものであると考えられる。図23(d)に示す駆動力が大きいセルAND1は、機能キャラクタNAND0と、反転と増幅の機能を有するインバータキャラクタINV2とを連結したものであると考えられる。セルの大きさはAND1の方が小さくNAND1の方が大きくなる。このようなNAND1はセルライブラリに登録されたレイアウトとしては使用せずにNAND1の信号が入力する先でインバータINVを置くか、ド・モルガンの定理により論理を変換することで対応する。あるいは、NANDとANDの面積が小さくなる方だけをセルライブラリに登録することにする。
逆に、セルNAND1の使用頻度が高い場合は、セルNAND1のみをCPアパーチャ上にキャラクタとして形成しても良い。NAND1は、NAND0、INV1、INV2を有するので、NAND0やAND0やAND1を露光することができるからである。この場合、1つのキャラクタで4つのセルができることになる。
このように、インバータを、擬似的にバッファであると考えることで、セルの数を減らし、キャラクタの数を減らすことができる。
実施例12では、図7のフローチャートのステップS7乃至10についての実施例について説明する。図24(a)は、ステップS5の配置配線が実行された後のレイアウトの様子をあらわしている。ライブラリ38乃至42に基づくセル20が配置されている。一方、ライブラリ38等に存在せず、図24(b)に示すような自動及び手動で発生させたレイアウト100も存在する。
まず、ステップS7において図3の形状比較選択部30で、自動及び手動で発生させたレイアウト100に形状が似ているCPアパーチャにキャラクタ103として存在しているキャラクタの部分102を探す。具体的にはレイアウト100を一つ一つのキャラクタと比較して、レイアウト100と接続ポイントが同じで電気的なショートが発生しないパターンをキャラクタの部分からビームを当てる領域102として抽出する。
次に、ステップS8において図3の検証部32で、レイアウトを入れ替えても半導体装置等のシステム仕様を機能的性能的に満足し、代替可能か判断する。代替できない場合は、ステップS11で代替を行わない。一方、代替が可能な場合は、ステップS9において図3の代替部31で図24(d)に示す新たに挿入されるべきパターン104や削除されるべきパターン105などの差異を表示する。最後にステップS10において図3の代替部31で差異に基づいて配置配線を修正し、キャラクタの部分を露光することで所望のレイアウトを形成できるようにする。
このことにより、従来はキャラクタによらない露光もキャラクタの部分を用いて露光できるので、露光時間を短縮することができる。
図25(a)は、2入力NANDの機能を有するレイアウトパターンである。図25(b)は、2入力NORの機能を有するレイアウトパターンである。2入力NANDと2入力NORの違いは、NANDではPMOSが並列、NMOSが直列に接続されているのに対し、NORではそれと逆のPMOSが直列、NMOSが並列に接続されていることである。コンタクトがある分、並列に接続されている(a)のNANDのPMOSのアクティブエリア(AA)84側と、(b)のNORのNMOSのAA86側の領域が広くなるため、NANDとNORでレイアウトは異なる。しかし、広い方、例えば(a)のAA84や(b)のAA86にあわせて、(c)のAA86や(d)のAA84のようにすれば、AAばかりでなく、コンタクトホールパターンやゲート電極87といったレイアウトもNANDとNORとで等しくなる。このようにレイアウトを共通化したスタンダードセルライブラリを用意することで、キャラクタとしては1種類であっても複数のスタンダード・セルを露光できる。この他にも、2入力AND、2入力NOR、3入力NOR、3入力NAND、3入力AND−NOR、3入力OR−NANDなどが、レイアウトを共通化できる。
I/Oやメモリなど大きなブロックはそのままでは露光できないので、いくつかのキャラクタに分割する。その際、特にメモリなどにおいては共通のキャラクタで露光できるようにレイアウト設計を行う。大きなブロックの配置方向は変わっても、部品の配置方向は常に一定となるように設計する。そのため、配線は配置方向ごとに変える必要がある。
図26は半導体装置の構成を示している。半導体装置は、内部回路106の周辺に入出力制御用回路(I/O)107乃至110が複数個配置されている。図27(a)は図26のI/O108の一つを拡大して表示したものである。図27(b)は図26のI/O109の一つを拡大して表示したものである。ここで、ブロック6等の表示はセルやキャラクタを意味している。このように、内部回路106に向かってI/O108と109とは同じ順番にブロックが並んでいる。そして、ブロック6等の向きはI/O108と109とですべて同じである。このことにより、大きなセルでも配置方向によらず、少ないキャラクタで露光できる。
実施例15では、実施例12で説明した図7のフローチャートのステップS7乃至11についてより詳細に説明する。図28のフローチャートが、図7のステップS7乃至11のフローチャートに置き替え可能なフローチャートである。
まず、ステップS31において、図29(a)に示されるようなCPアパーチャにキャラクタとして形成されておらず手動等で設計されたレイアウトパターンを選択する。次に、ステップS32において図3の形状比較選択部30で、図29(a)のレイアウトと類似するパターンを、アパーチャ6上のキャラクタから探すために、キャラクタライブラリ40内のキャラクタの形状を比較し、図29(b)に示すような類似キャラクタパターンを選択する。
次に、ステップS33において図3の代替部31で、図29(c)のように他の信号配線等とショートしないように擬似的にレイアウトパターン104を発生させ、あるいはレイアウトパターン105を削除するように変更する。このことにより、図29(a)のパターンを図29(b)のパターンと同じにできる。これらの発生削除によりレイアウト全体に対し電気的なショートが発生しているのか否か判断し、ショートが発生しているのならステップS36を次に実行してもよい。図29(b)のパターンであれば、CPアパーチャ上に存在するので1回のビーム照射で露光できる。
ステップS34において図3の検証部32で、レイアウトが図29(c)へ変更されたことで、機能的性能的に半導体装置等のシステム仕様43を満足し、代替可能か否か判断する。代替可能であれば、ステップS35に進み、次のレイアウトを選択するか判断する。選択する場合は、ステップS31に戻り、選択しない場合は、処理を終了する。一方、代替が不可能であれば、あるいは、代替が可能であっても最適なキャラクタを探したい場合は、ステップS36に進み、次のキャラクタを選択するか判断する。次のキャラクタを選択する場合は、ステップS32に進み、次のキャラクタを選択しない場合はステップS35に進む。
これらのことにより、少ないアパーチャ上のキャラクタでより多くのレイアウトパターンを高速に露光できる。
実施例16は、図7のステップS5で実施された配線のパターンを修正することで露光のビーム照射回数を飛躍的に減少させるレイアウトパターンの作成方法を説明する。図30はこのレイアウトパターンの作成方法のフローチャートであり、図7のA点からつながるフローを示している。以下では、図30のフローについて説明する。
まず、ステップS41において図3の擬似パターン発生部33で、擬似パターンを発生させ、図31(a)のような図7のステップS5で形成した配線パターン112乃至124に、図31(b)に示すような擬似パターン125を挿入する。なお、実施例16は配線に限って適用されるのではなく、ライン等の幅が一定でスペース幅も一定な繰り返しパターンには効果的に適用できる。ライン(配線)パターン112乃至124があるとき、1つのラインパターンに注目する。例えば、左側のラインパターン112に注目する。ラインパターン112は上から下まで存在する最大の長さなので変更されない。次に、パターン112の右隣のラインパターン113に注目する。パターン113はその左側のパターン112と比べて下側が揃っていないので、図31(b)に示すようにパターン113の下側をパターン112と揃えるように擬似パターン125を発生させる。
次に、ステップS42において、新たな擬似パターンの発生が無く収束したか否か判断する。擬似パターン125は発生しているので収束しておらずステップS43に進む。ステップS43では、半導体装置等のシステムの仕様などの基準43に基づいて配線容量やタイミング違反など機能的性能的に擬似パターン125が挿入可能か判断する。挿入可能な場合はステップS41に戻り、挿入不可の場合はステップS44で挿入パターンを除去してステップS41に戻る。なお、パターン125の挿入は挿入可能と判断しステップS41に戻る。
次に、ステップS41において、パターン113の右側のラインパターン114に注目する。パターン114は、左隣のパターン113、125と下側が揃っていないが、揃えようとするとパターン114の下方にあるラインパターン115とショートしてしまう。右隣のパターン116と揃えようとしても同様である。一番左のパターン112と揃えようとしてもまた同様である。右2つ隣のパターン117と揃えようとしても上側を削らないと揃えられないのでそのような変更は行わない。左3つ隣は無いので、右3つ隣の上側のパターン118と揃えるように変更し、図31(c)に示すように擬似パターン126を発生させ挿入する。次に、ステップS42とS43をパターン125の場合と同様に行い、ステップS41に戻る。
また、ステップS41において、パターン115に着目すると、同様に左隣、右隣、左2つ隣、右2つ隣等と比較しても、上方のパターン126とショートしないようにパターンを追加して揃えるように変更できない。以下同様にしてパターン117乃至124について検討し、図31(c)に示すような擬似レイアウトパターン125乃至135を得る。
再度、ステップS41において、もう一度左のパターン112から同じことを繰り返していくと、パターン126の下に擬似パターン136が発生し、図31(d)に示すようなレイアウトパターン111を得る。
再度左のパターン112から同じことを繰り返しても変更されるパターンは無く、擬似パターンは発生しなくなる。このように、擬似パターンが発生しなくなるまで一連のレイアウトパターン111の変更を繰り返す。次に、図31(d)に示すラインパターン間の空白137乃至139に注目する。これらの空白137乃至139に擬似パターン140、141を図31(e)に示すように発生させる。パターン140と141は他のパターンとショートしないように、また、他のパターンと端を揃えるように作成している。
再度左のパターン112から同じことを繰り返しても変更されるパターンは無く、擬似パターンは発生しなくなる。ステップS42において、パターン111が収束したと判断し、ステップS45に進む。
ステップS45において、図32(a)に示すような収束したラインパターン143乃至152の辺を外側に移動させる処理を行う。図32(b)に示すように太らせ処理により、パターン143等を左右均等にスペースの幅の半分の幅太らせた太らせパターン153乃至162を形成する。ステップS46においてパターン153乃至162同士が接してつながった図形を、図32(c)に示すように矩形163乃至167に分解する。あるいは、図32(d)に示すように多角形168乃至170に分解する。例えば、図32(d)の場合は図32(e)に示すように、多角形168を露光する場合では、図1の露光装置を用いて、第2開口パターン11に対して照射されたビーム形状12の位置に照射する。そして透過パターンをラインアンドスペース用のキャラクタ18の右側に照射する。このことにより、多角形168内のラインパターンが1回のビーム照射で露光できる。すなわち、図32(d)のように多角形ごとに露光すれば3回のビーム照射ですべてのパターンが露光できることがわかる。また、図32(c)のように矩形ごとに露光すれば5回のビーム照射ですべてのパターンが露光できることがわかる。
次に、ステップS47において、矩形や多角形ごとに露光ができるような露光データを算出する。露光データとして、照射するキャラクタ名、照射位置、照射の範囲等を算出する。
以上のように、図30のフローにより照射回数を減らすことができる。
次に、図32(c)の矩形163等を用いるレイアウトパターンの形成方法を詳細に説明する。
図33(a)は、実施例2の図12(a)で説明した第2成形アパーチャ55の開口部56と、CPアパーチャ6のラインアンドスペース用キャラクタ18の位置関係を示す図である。開口部56のすべての行(L1乃至10)と重なるようにキャラクタ18が配置されている。また、すべての列(R1乃至10)と重なるようにキャラクタ18が配置されている。1つの開口部56に2つ以上のラインパターンの開口が重なることはない。開口部56の正方形の辺は、ラインパターンの長方形の辺と平行になるように配置される。
そして、図32(c)の矩形163、164と166に基づいて、図33(a)の第2成形アパーチャ55上に点線で表した矩形163、164と166を想定する。最後に、図33(b)に示すように、点線で表した矩形163、164と166内の第2開口パターン56は、偏向のかけられていない開口パターン62に設定可能なような露光データを生成する。それ以外の開口パターン56についても、偏向のかけられた開口パターン61に設定可能なような露光データを生成する。
露光における描画の際は、CPアパーチャ6のキャラクタ18を選択し、次いで、描画したい矩形163、164、166の形状に応じて、第2成形アパーチャ55を通過する電子ビーム16を開口部56毎に制御電圧Vを印加して偏向させる。電子ビーム16が第2成形アパーチャ55及びCPアパーチャ6を通過することで、基板9上に描画したいラインパターンの形状に電子ビーム16が照射される。このように、1回のビーム照射で3つの矩形163、164と166に位置する配線を露光できる。
図34と図35は、図30のフローを用いたことによるビーム照射回数の削減の効果を説明するための図である。図34(a)は擬似パターンを発生させる前のレイアウトである。領域172は配線禁止領域である。ラインパターン173乃至185が13本あるので、従来の露光方法でも13回のビーム照射で露光ができる。また、擬似パターンを発生させず太らせ処理のみを行った場合を図34(b)に示す。矩形186と187が形成できるので、照射回数は2回減らせ11回になる。
図34(c)のレイアウトパターンは、(a)のレイアウトパターンに擬似パターンを発生させたものである。(c)のパターンを太らせ処理したパターンを(d)に示す。さらに矩形分解した図を(e)に、多角形に分解した図を(f)に示す。(e)の矩形の数は7個であるので照射回数は多くとも7回まで減らせることがわかる。(f)の多角形の数は4個であるので照射回数が4回ですむことがわかる。
また、図35(a)のように擬似パターン199が、図30のステップS43の判定で、機能的に挿入不可とされた場合でも、図35(b)のように太らせ処理ができる。さらに矩形分解した図を(c)に、多角形に分解した図を(d)に示す。(c)の矩形の数は8個であるので照射回数は多くとも8回まで減らせることがわかる。(d)の多角形の数は5個であるので照射回数が5回ですむことがわかる。なお、(e)のようにパターンを単純化しても禁止領域172に配線することはできないのはもちろんである。
このように図30のフローによれば、太らせ処理前に疑似パターンを発生させているため、疑似パターンを発生させずに太らせ処理のみを行った場合と比較して照射回数が大幅に減り露光速度を上げることができる。
また、矩形等の大きさを大きくとることが露光速度を上げることになるので、多層の配線層においては、層毎に配線が縦あるいは横の1方向のラインパターン(L/S)であることにより一層効果的である。配線層によって、3層目は縦方向のみ、4層目は横方向のみといったように方向を限定するのである。
また、実施例16では配線パターンの場合について述べたが、ゲート電極の長さを変えたときにも適用できる。
実施例16によれば、配線層などのL/Sなどの単純なレイアウトパターンや、四角形や正方形など決まったパターンが決まった幅で配置されるコンタクト、Viaなどのレイアウトパターンは露光回数が少なくて済む。回路の機能上影響のないダミーパターンを挿入し、レイアウトパターンをできるだけ前記のL/Sなどのパターンに近づけることで露光回数を減少させることができる。半導体のレイアウトに関し、特にメタル・コンタクトのレイアウトに使用されるものである。半導体装置の配線等の一定の周期的なパターン配置となる条件下で任意に引き回されるパターンの露光に適用できる。
コンタクトやViaなどは、決まった大きさの正方形や四角形の形をしており、その間隔も一定である場合が多い。実施例17は、図30のフローをコンタクト等のホールパターンに適用した場合についてである。
図36(a)は擬似パターン発生前のホールパターン206乃至210である。まず、図30のステップS41において、図36(b)に示すように擬似パターン211を発生させ挿入する。ステップS43の判定が挿入可能であるので、ステップS41でさらに擬似パターン213を発生させる。擬似パターンは矩形が少なくなるように発生させる。また、配線層間でショートが発生しないように発生させる。
次に、ステップS45で太らせ処理を行い、矩形212と214を得る。最後に、ステップS47で矩形212、214に合う開口部用のデータを算出する。例えば、矩形212については、図36(c)に示すように、第2開口パターン11と照射されるビーム形状215の位置関係を調節し透過パターンが矩形212になるようにデータを設定する。
このことにより、図36(d)に示すように、5つのホールパターン206乃至210を2回のビーム照射で露光することができる。
前記レイアウトパターン変更装置がレイアウトを変更することで、変更されるレイアウトが配線などの場合には容量の増加が問題になることがある。前記検証装置がこの容量の増加を計算し、前記問題に該当するかどうかを判断できる。その際の基準としては、配線容量の増加による遅延の増加、それによるタイミング違反の有無や、他の信号線とのカップリング容量の増加によるエラーの起こりやすさなどが上げられる。
図37(a)に示すように、配線217と218のカップリング容量は、フリンジ(はみ出し)容量を無視すれば、擬似ラインパターン219挿入前の容量C0(=CcW/(2d+L))に対し、挿入後は容量C1(=CcW/2d)に増加する。ここで、Ccは単位長さあたりのカップリング容量、Wは挿入された擬似ラインパターンの長さ、Dは配線間隔、Lは配線の幅である。対接地容量についても図37(b)に示すようにやはりフリンジ容量を無視すれば、C2(=XCg)のように計算できる。ここでXは挿入された擬似ラインパターンの長さ、Cgは単位長さあたりの対接地容量である。
このことにより擬似パターンを挿入することで増加する配線容量を見積もることができる。また、配線を追加したことによる容量増加の影響を評価することができる。
なお、本発明は、電子ビーム露光装置の種類に制限されるものではない。例えば、部分一括露光型電子ビーム露光装置や可変整形型電子ビーム露光装置、マルチビーム型電子ビーム露光装置、丸ビーム型電子ビーム露光装置、一括露光型電子ビーム露光装置と、本発明を組み合わせて使用することが可能である。その他、本発明の本旨を逸脱しない範囲で種々変形して使用することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る電子ビーム露光装置の概念図である。
CPアパーチャの上面図である。
本発明の実施の形態に係るレイアウトパターンの作成装置の構成図である。
セルライブラリのデータ構造を説明するための図である。
セル−キャラクタ変換ライブラリのデータ構造を説明するための図である。
キャラクタライブラリのデータ構造を説明するための図である。
本発明の実施の形態に係るレイアウトパターンの作成方法のフローチャートである。
本発明の実施例1に係るレイアウトパターンの作成方法のフローチャートと、CPアパーチャの概念図である。
本発明の実施例1に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図(その1)である。
本発明の実施例1に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図(その2)である。
本発明の実施例2に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図(その1)である。
実施例2で使用する第2成形アパーチャの上面図と断面図である。
実施例2で使用する第2成形アパーチャを説明するための図である。
本発明の実施例2に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図(その2)である。
本発明の実施例3に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図である。
本発明の実施例4に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図である。
本発明の実施例5に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図である。
本発明の実施例6に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図である。
本発明の実施例7に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図である。
本発明の実施例8に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図である。
本発明の実施例9に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図である。
本発明の実施例10に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図である。
本発明の実施例11に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図である。
本発明の実施例12に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図である。
本発明の実施例13に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図である。
本発明の実施例14に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図(その1)である。
本発明の実施例14に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図(その2)である。
本発明の実施例15に係るレイアウトパターンの作成方法のフローチャートである。
本発明の実施例15に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図である。
本発明の実施例16に係るレイアウトパターンの作成方法のフローチャートである。
本発明の実施例16に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図(その1)である。
本発明の実施例16に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図(その2)である。
実施例16で使用する第2成形アパーチャを説明するための図である。
本発明の実施例16に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図(その3)である。
本発明の実施例16に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図(その4)である。
本発明の実施例17に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図である。
本発明の実施例18に係るレイアウトパターンの作成方法を説明するための図である。
従来の電子ビーム露光装置の概念図である。
符号の説明
1 電子銃
2 第1成形アパーチャ
3 ビーム成形偏向器
4 第2成形アパーチャ
5 キャラクタ選択偏向器
6 CPアパーチャ(・ブロック)
7 縮小レンズ
8 対物偏向器
9 基板又はフォトマスク
10 第1開口パターン
11 第2開口パターン
12 照射されたビーム形状
13 透過パターン
14、15 照射されたビーム形状
16 電子ビーム
17 素通し孔
18 ラインアンドスペース(L&S、配線)用キャラクタ
19 コンタクトホール用キャラクタ
20 プリミティブセル
21 演算部
22 システム論理設計部
23 論理合成部
24 並列接続による論理合成部
25 ネットリスト変換部
26 配置・配線部
27 キャラクタ連結配置部
28 キャラクタ配置改善部
29 レイアウトパターン変更装置
30 レイアウト−キャラクタパターン形状比較選択部
31 レイアウト−キャラクタパターン代替部
32 検証部
33 擬似パターン発生部
34 太らせ処理部
35 矩形分割部
36 開口部形状演算部
37 バス
38 セルライブラリ記録部
39 セル−キャラクタ変換ライブラリ
40 キャラクタライブラリ記録部
41 バッファキャラクタライブラリ
42 機能キャラクタライブラリ
43 システム仕様記録部
44 セルの機能で分類される階層
45、46 セルの駆動力で分類される階層
47 機能キャラクタ名が登録されている領域
48 機能キャラクタ名とバッファキャラクタ名とに関係づけてセルが登録されている領域
49 バッファキャラクタ名が登録されている領域
50 機能キャラクタが登録されている領域
51 バッファキャラクタが登録されている領域
52 CPアパーチャ
53 キャラクタ
54 連結したキャラクタ
55 第2成形アパーチャ
56 第2開口パターン
57 基板
58 絶縁膜
59、60 電極
61 偏向のかけられた開口パターン
62 偏向のかけられていない開口パターン
63 連結したキャラクタ
64 上下が反転した関係にあるキャラクタ
65乃至78 配線
80 VDDライン
81 VSSライン
82 第1層メタル配線(M1)
83 pウェル
84、86、93、94 アクティブエリア(AA)
85 nウェル
87 ゲート電極
88、89 折り返し線
90、91、92 ゲート電極
95、96 第1層メタル配線
99 アパーチャ制御用データ記録部
100 設計したレイアウト
101 レイアウト後のレイアウト平面
102 キャラクタの部分
103 キャラクタ
104 差異の表示、挿入されたパターン
105 差異の表示、削除されたパターン
106 半導体装置の内部回路
107乃至110 I/O
111 レイアウトパターン
112乃至124 ラインパターン
125乃至136、140、141 擬似パターン
137乃至139 空白
142 レイアウトパターン
143乃至152 ラインパターン
153乃至162 太らせパターン
163乃至167 矩形
168乃至170 多角形
171 レイアウトパターン
172 他の配線、配線禁止領域
173乃至185 ラインパターン
186、187 矩形
188乃至195 擬似パターン
196 太らせパターン
197 矩形
198 多角形
199、200 擬似パターン
201 太らせパターン
202 矩形
203 多角形
204 ラインパターン
205 レイアウトパターン
206乃至210 ホールパターン
211、213 擬似ホールパターン
212、214 矩形
215、216 照射されたビーム形状
217、218、220、221 ラインパターン
219、222 擬似パターン
231 電子銃
232 電子ビーム
233 第1成形アパーチャ
234 キャラクタ選択偏向器
235 従来のCPアパーチャ
236 縮小レンズ
237 対物偏向器
238 基板
239 従来のキャラクタ
240 露光パターン