JP4620858B2 - 二酸化炭素排出権取引システム及び二酸化炭素排出量削減コスト評価システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二酸化炭素の排出権の取引システムと削減量とコストの評価システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
環境問題に関する世界的な認識の高まりの中で、平成9年に京都で開催された気候変動枠組み条約第3回締約会議において、国別の二酸化炭素の排出量の削減についての目標が決定された。
さらに、この会議においては、国情に合致した二酸化酸素の排出量の削減及び排出量の削減の効率化のために、排出権の取引が導入された。
【0003】
二酸化炭素の排出権の取引は、長期的には二酸化炭素の排出量を削減することを前提とし、短期的には、削減の目標を達成した国或いは大量の排出権を有する国が排出権の余剰分を販売し、削減の目標を達成できない国が排出権を購入することにより、合理的に排出量を削減しようとするものである。従って、単なる投機的な取引とは異なる。また、削減目標を達成できない場合には、一定の制裁が課される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、二酸化炭素の排出権の取引は、全く新しいものであり、その具体的な取引の仕組みや効果的な取引手法などは確定していない。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、二酸化炭素の排出権を効率的に及び/又は効果的に取引することを可能とすることを目的とする。
また、本発明は、二酸化炭素の排出量を効率的削減可能とすることにより、自然環境の保全に寄与することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る、二酸化炭素の排出権の取引を支援する取引システムは、
複数の取引端末と取引サイトとから構成され、
前記複数の取引端末は、前記取引サイトに対して、二酸化炭素の排出権の取引条件を含む売注文と買注文を送信する手段と、前記取引サイトからの、取引の結果を示す情報を受信して出力する手段とを備え、
前記取引サイトは、二酸化炭素の排出権の売注文と買注文を前記取引端末から受け付ける受付手段と、受付手段により受け付けた売注文と買注文とを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている売注文と買注文との取引条件をマッチングし、取引条件の合致するものを判別するマッチング手段と、前記マッチング手段により、取引条件が合致すると判別された売注文と買注文との間で取引を成立させると共に、前記記憶手段に記憶されている売注文と買注文とを、成立した取引に基づいて、取引後の内容に更新する更新手段と、取引の結果を示す情報を前記取引端末に送信する手段と、を備え、
前記取引端末は、
投資額と二酸化炭素の排出量の削減量との関係を示す複数の長期限界曲線と短期限界曲線を予め記憶する記憶手段と、長期投資額を設定する長期投資額設定手段と、前記記憶手段に記憶された複数の長期限界曲線のうちのいずれかを指定する長期限界曲線指定手段と、前記長期投資額設定手段により設定された長期投資額により削減可能な排出量を、前記長期限界曲線指定手段により指定された前記長期限界曲線に基づいて判別する削減可能排出量判別手段と、前記削減可能排出量判別手段により判別された排出量と前記長期投資額設定手段により設定された長期投資額とを充足する短期限界曲線を前記記憶手段に記憶されている複数の短期限界曲線のうちから前記長期限界曲線指定手段により指定された前記長期限界曲線に対応する前記短期限界曲線を選択する短期限界曲線選択手段と、短期的な排出量の希望削減量を設定する短期的排出量削減希望量設定手段と、前記短期的排出量削減希望量設定手段により設定された希望削減量を達成するための投資額を、前記短期限界曲線選択手段により選択された短期限界曲線に基づいて、求める短期投資額取得手段と、前記長期限界曲線指定手段が指定した長期限界曲線、前記削減可能排出量判別手段により判別された削減可能な排出量、前記短期限界曲線選択手段により選択された短期限界曲線、前記短期的排出量削減希望量設定手段により設定された短期的な排出量の希望削減量、前記短期投資額取得手段により取得された短期投資額を、出力する出力手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0007】
さらに、前記長期投資額設定手段と前記長期限界曲線指定手段と前記削減可能排出量判別手段と前記短期限界曲線選択手段と前記短期的排出量削減希望量設定手段と前記短期投資額取得手段とを、
前記長期投資額設定手段が複数の長期投資額を設定し、
前記長期限界曲線指定手段が、設定された長期投資額のそれぞれについて、複数の長期限界曲線を指定し、
前記削減可能排出量判別手段が、設定された長期投資額と指定された長期限界曲線の組み合わせそれぞれについて削減可能な排出量を判別し、
前記短期限界曲線選択手段が、前記削減可能排出量判別手段により判別された削減可能な排出量と前記長期投資額設定手段により設定された長期投資額の組み合わせそれぞれについて、短期限界曲線を選択し、
前記短期的排出量削減希望量設定手段は、前記短期限界曲線選択手段により選択された短期限界曲線それぞれについて複数の短期的排出量の希望削減量を設定し、
前記短期投資額取得手段が、前記短期的排出量削減希望量設定手段により設定された希望削減量それぞれについて、必要な短期投資額を求める、
ように、制御する制御手段を配置してもよい。
【0008】
なお、この明細書における取引システムは、二酸化炭素の排出権を実際の有価物として取引するシステムに限定されず、仮想上の排出権或いは排出権に対応付けられた何らかの現実又は仮想的な有価物(有価情報)を取引することにより最良の取引手法を求めたり、二酸化炭素排出量の削減の最適手法を求めるような実験システムやシミュレーションシステム、さらには、ゲームシステム等を包含するものである。
【0009】
前記取引サイトに、主体別に、削減した二酸化炭素の排出量を求める手段と、主体別に、売買された二酸化炭素の削減量を求める手段と、主体別に、削減に要したコストと売買による利益又はコストとの実質的な和を求める手段と、前記削減量が予め設定されている目標値を達成したか否かを、売買量を含めて判別する手段と、目標を達成した主体を一定基準に基づいてソートして出力する手段と、を配置してもよい。このような構成とすることにより、例えば、最小コストで、削減量の目標を達成した主体を求めることができる。
【0010】
前記取引端末は、排出権の相対取引を他の取引端末に提案する手段と、他の取引端末からの相対取引の提案を受諾、拒否、修正提案する手段と、売買が成立した場合に、成約した取引に係る削減量を前記取引サイトに通知する手段と、を備えてもよい。この場合、前記取引サイトは、通知された削減量とその主体とを記憶する。
この構成により、オークション形式だけでなく、所謂、相対取引で排出権を取引できる。しかも、取引結果を取引サイトに通知するので、取引サイトは、各主体がサイト外で、どのような取引を行ったかを把握でき、目標を達成したか否かを判断する資料とすることができる。
【0011】
さらに、この発明の第2の観点に係る、二酸化炭素排出量削減コスト評価システムは、
投資額と二酸化炭素の排出量の削減量との関係を示す複数の長期限界曲線と短期限界曲線を予め記憶する記憶手段と、
長期投資額を設定する長期投資額設定手段と、
前記記憶手段に記憶された複数の長期限界曲線のうちのいずれかを指定する長期限界曲線指定手段と、
前記長期投資額設定手段により設定された長期投資額により削減可能な排出量を、前記長期限界曲線指定手段により指定された前記長期限界曲線に基づいて判別する削減可能排出量判別手段と、
前記削減可能排出量判別手段により判別された排出量と前記長期投資額設定手段により設定された長期投資額とを充足する短期限界曲線を前記記憶手段に記憶されている複数の短期限界曲線のうちから前記長期限界曲線指定手段により指定された前記長期限界曲線に対応する前記短期限界曲線を選択する短期限界曲線選択手段と、
短期的な排出量の希望削減量を設定する短期的排出量削減希望量設定手段と、
前記短期的排出量削減希望量設定手段により設定された希望削減量を達成するための投資額を、前記短期限界曲線選択手段により選択された短期限界曲線に基づいて、求める短期投資額取得手段と、
前記長期限界曲線指定手段が指定した長期限界曲線、前記削減可能排出量判別手段により判別された削減可能な排出量、前記短期限界曲線選択手段により選択された短期限界曲線、前記短期的排出量削減希望量設定手段により設定された短期的な排出量の希望削減量、前記短期投資額取得手段により取得された短期投資額を、出力する出力手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0012】
さらに、前記長期投資額設定手段と前記長期限界曲線指定手段と前記削減可能排出量判別手段と前記短期限界曲線選択手段と前記短期的排出量削減希望量設定手段と前記短期投資額取得手段とを、
前記長期投資額設定手段が複数の長期投資額を設定し、
前記長期限界曲線指定手段が、設定された長期投資額のそれぞれについて、複数の長期限界曲線を指定し、
前記削減可能排出量判別手段が、設定された長期投資額と指定された長期限界曲線の組み合わせそれぞれについて削減可能な排出量を判別し、
前記短期限界曲線選択手段が、前記削減可能排出量判別手段により判別された削減可能な排出量と前記長期投資額設定手段により設定された長期投資額の組み合わせそれぞれについて、短期限界曲線を選択し、
前記短期的排出量削減希望量設定手段は、前記短期限界曲線選択手段により選択された短期限界曲線それぞれについて複数の短期的排出量の希望削減量を設定し、
前記短期投資額取得手段が、前記短期的排出量削減希望量設定手段により設定された希望削減量それぞれについて、必要な短期投資額を求める、
ように、制御する制御手段を配置してもよい。
【0019】
コンピュータ又はコンピュータ群を、上述のシステムとして動作させるためのプログラムを、記録媒体(フロッピーディスク、CD−ROM等)に格納して配布し、該プログラムをコンピュータ(群)に「インストールすることにより、上述の処理を実行するサーバ等を構成することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る二酸化炭素の排出権の取引システムについて説明する。
図1は、本実施の形態に係る排出権取引システムの構成を示す。
図示するように、このシステムは、インターネットIN上に配置され、二酸化炭素の排出権に関するサイバー市場を提供する取引サイト11と、サイバー市場で排出権の取引および取引状況の確認を行うための端末群21(211〜21n)とから構成される。
【0021】
取引サイト11は、取引端末21からの売買の注文を逐次処理し、取引状況の確認要求があるとき、取引状況を取引端末21へ通知するためのものであり、図2に示すように、取引サーバ111と、取引情報DB(データベース)112と、利用者情報DB113と、管理端末114とを備える。
【0022】
取引サーバ111は、WWWサーバとしての機能(ウエッブ制御機能)とデータベースサーバとしての機能(DB制御機能)とを備える。なお、取引サーバ111は、物理的に1台のコンピュータ装置で構成される必要はなく、例えば、複数台のコンピュータから構成されてもよい。
【0023】
取引サーバ111は、WWWサーバとして、インターネットINを介して各取引端末21からのアクセスを受け付けて、認証処理を行い、認証成功を条件として、ウエッブページを提供して、アクセス元の取引端末21との間で情報を伝達する。
【0024】
取引サーバ111は、DBサーバとして、取引情報DB(データベース)112と利用者情報DB113とをアクセスして、これらのDB上のデータを検索し、データを読み出し、また、これらのDBにデータを書き込む。
【0025】
取引情報DB112は、排出権の取引注文、成約結果等を履歴と共に登録する。
【0026】
利用者情報DB113は、図3に示すように、取引サーバ111へのアクセスが認められている利用者の、ID、パスワード、国名、担当者名、担当部署名、連絡先、(住所、電話番号、ファクシミリ番号、e−メールアドレス)、削減目標値、自主削減量、売買量、及び、コストに関する情報を記憶する。
【0027】
ここで、「ID」は各国家に割り当てられた識別子である。「パスワード」は、取引サーバ111をアクセスする際に要求される認証情報である。取引サーバ111は、IDにより、アクセス者を識別し、IDとパスワードとの対によりアクセス者を認証する。「国名」は排出権を取引する主体たる国の名称である。「担当者名」と「担当部署名」は、取引を担当する人物の氏名・役職(例えば、環境大臣)と所属部署(例えば、省庁)である。また、「連絡先」は、担当者の連絡先であり、住所、電話番号、ファクシミリ番号、e−メールアドレスなどの情報を含む。「削減目標値」は、各国に割り当てられた削減目標値である。各取引サイクル(例えば、1年)毎に設定される。自主削減量は、各国が自国内で削減した二酸化炭素の排出量である。売買量は、この国が購入又は販売した削減量であり、例えば、目標がxトン(t)で、自主削減量がytの場合、x>yならば、目標達成のために、(x−y)t分排出権を購入する必要がある。また、x<yならば、目標を達成しつつ、(x−y)t分排出権を販売することが可能である。
【0028】
コストは、二酸化炭素の排出量の削減と排出権の売買に要したコストであり、個々のコストとコストの和とを含む。
【0029】
管理端末114は、取引サーバ111、取引情報DB112、及び利用者情報DB113を管理するための端末である。
【0030】
図1に示す取引端末21は、各国にそれぞれ設置され、図4に示すように、通信部211と、表示部212と、入力部213と、制御部214とを備える。
通信部211は、インターネットIN上の他の装置と通信を行う。
表示部212は様々な情報を表示する。
入力部213は、様々なデータや指示を入力する。
【0031】
制御部214は、記憶部とプロセッサ等から構成され、排出権取引用のブラウザを含む動作プログラムや、限界費用曲線を記憶している。限界費用曲線は、その国において、二酸化炭素の排出削減量と経済的コストを対応付ける曲線であり、短期限界費用曲線は、短期(1〜3年)のうちに削減する排出量と経済的コストとの関係を示す。長期限界費用曲線は、長期(5〜10年)のうちに削減する排出量と経済的コストとの関係を示す。自然・社会環境や技術力などにより、各曲線は国毎に異なる。
【0032】
次に、上記構成の排出権取引システムを用いた取引処理について説明する。
取引実行者は、制限時間内において低価格で目標排出量に到達することを目的として、排出権の売買と自主削減を行う。
まず、投資のための判断を行うため、取引実行者は、取引端末21の入力部213を操作し、自主削減量決定処理を指示する。この指示に応答し、制御部214は、表示部212上に、図5(a)に示すように、長期限界費用曲線を表示する。取引実行者が、投資額I1を入力すると、制御部214は、長期限界費用曲線と投資額I1の交点を求めて表示する。即ち、長期的観点で、その投資額で削減できる量Q1を求める。
さらに、制御部214は、この交点を通る短期限界費用曲線を求め、図5(b)に示すように表示する。即ち、同一の投資額I1で同一の削減量Q1を短期間で実現できるような短期限界曲線を求めて表示する。
次に、取引実行者が、短期的な観点からの自主削減量Q2を入力すると、制御部214は、短期限界費用曲線と自主削減量Q2により削減金額I2を決定し、表示する。即ち、国内での短期間で削減量Q2を実現するために投資すべき額I2を求めて表示する。
取引実行者等は、この投資と削減の操作を繰り返し、この結果を比較検討することにより、短期及び長期にわたり自主削減目標を達成するために要するコストと自主削減量との関係を求め、自主削減のスキームを決定することができる。
【0033】
例えば、ある国の国情に即して、その国の長期限界曲線と複数の条件設定を前提とする短期限界曲線が用意される。そして、長期的に、二酸化炭素削減のための投資額I1として100(単位は任意)を予定しているとする。この投資額200を全て国内での二酸化炭素の削減に当てるとすれば、長期限界曲線と投資額との交点を求めることにより、削減できる量Q1(ここで1000tとする)が求められる。これにより、長期的に自国に割り当てられた削減量を、投資額200で、達成できるか否かが判断できる。
【0034】
次に、同一の投資額100で同一の削減量1000tを実現できる短期限界曲線が表示される。ここで、短期的に実現すべき削減量として500tを想定下とすると、500tを入力する。すると、その500tを短期的に実現するために必要な投資額(例えば、60)が表示される。これにより、この国では、長期的には100、短期的に60の投資を行うことにより、削減目標を達成できることがわかる。
【0035】
様々な条件を考慮した長期及び短期限界曲線を複数用意し、長期投資及び短期投資を変更しながら、上述の処理を繰り返すことにより、様々な社会環境や自然環境の変化及び技術進歩を考慮しつつ、削減目標を達成するために、必要な短期及び長期の投資額を求めることができる。
【0036】
なお、上述の処理を自動化することも可能である。
例えば、図6に示すように、まず、長期投資曲線CL1〜CLnが用意されている場合に、iを1に初期化し(ステップS001)、続いて、長期投資曲線CLiを読み出す(ステップS002)。
【0037】
次に、投資額I1を任意の所定額(初期値)に設定する(ステップS003)。次に、長期限界曲線に基づく削減量Q1を求め(ステップS004)、投資額I1と削減量Q1を達成しうる短期限界曲線を求める(ステップS005)。次に、短期的な削減量Q2を設定し(ステップS006)、対応する短期投資額I2求める(ステップS007)。
【0038】
その後、短期削減量Q2が限界値に達したか否かを判別する(ステップS008)。短期削減量Q2が限界値に達していると判別すると、長期投資額I1が限界値に達したか否かを判別する(ステップS009)。長期投資額I1が限界値に達していると判別すると、i=nか否か、即ち、長期投資曲線が最後のCLnであるか否かを判別する(ステップS010)。
【0039】
長期投資額I1が限界値に達していると判別すると、i=nか否か、即ち、長期投資曲線が最後のCLnであるか否かを判別する(ステップS011)。
一方、ステップS008で、短期削減量Q2が限界値に達していないと判別した場合には、短期削減量Q2を、例えば、ΔQ変更して、短期削減量Q2を更新して(ステップS011)、ステップS007にリターンする。
一方、ステップS009で、長期投資額I1が限界値に達していないと判別した場合には、長期投資額I1を、例えば、ΔI変更して、長期投資額I1を更新して(ステップS012)、ステップS004にリターンする。
【0040】
一方、ステップS010で、iが限界値nではないと判別した場合には、iを+1して(ステップS013)、ステップS002にリターンする。
一方、ステップS010で、iが限界値nであると判別した場合には、ステップS001〜S013の処理で生成した、様々な、データをソートして、例えば、一覧形式で、出力(印刷、表示)する。
投資担当者は、この出力から、最も効率のよい投資内容を求める。
【0041】
取引実行者は、以上のようにして求めた自国内での投資額と削減量を考慮し、例えば、自国内での削減量の不足分を補うため、戦略的に自国内での削減量を抑えて不足分を補充するため、或いは、自国内での削減量の余剰分を経済価値に変換するため、排出権の取引を行う。
【0042】
取引の手法には、オークション取引と相対取引とがある。
まず、オークション取引について説明する。
オークション取引の場合には、まず、取引端末21を取引サイト11に接続する。取引実行者は、動作プログラムを起動し、まず、取引サイト11との間のセッションを確立する。取引端末21と取引サイト11との間のセッションが確立すると、取引サーバ111は、図7に示すログイン用のトップページを、取引端末21に送信し、取引端末21の制御部214は、トップページを表示部212上のブラウザに表示する。取引実行者は、IDとパスワードとを入力し、「送信」をクリックする。
【0043】
サーバ111は、利用者情報DB113をアクセスし、IDとパスワードとの対が登録されているか否かを判別し、登録されていれば、図8に示す選択ページを取引端末21に送信する。
取引端末21は、この選択ページを受信し、表示部212上に表示する。取引実行者は、表示されている「売買注文入力」と「取引情報閲覧」との一方を選択する。ここでは、「売買注文入力」を選択したこととする。
この操作に応答して、取引サーバ111は、図9に示す注文入力ページを取引端末21に送信する。
【0044】
取引端末21は、この注文入力ページを受信し、表示部212に表示する。
取引者は、表示された取引ページ上に、「売」と「買」の別、単価、数量(例えば、t(トン))、期限を指定する。取引者は、取引の内容を確認し、内容が正しければ、「送信」ボタンをクリックする。
【0045】
取引サーバ111は、取引端末21からの注文を受け付け、買注文の場合には、取引情報DB112上の買注文リストに登録し、売注文の場合には、取引情報DB112上の売注文リストに登録する。
【0046】
取引サーバ111は、登録した内容を通知する確認ページを取引端末21に送信する。取引実行者は、確認ページで注文内容を確認する。
【0047】
一方、取引サーバ111は、図10に示す取引処理を繰り返して実行する。
まず、取引サーバ111は、登録されている売買注文のうちで、単価が最も高い買注文と、単価が最も低い売注文とを抽出し(ステップS111)、取引が成立するか否かを判別する(ステップS112)。
【0048】
取引が成立する場合には、両注文の間で取引を成立させる(ステップS113)。なお、売値と買値とが異なる場合には、例えば、成約価格として中間値を取る等、取引の公平を期すようにしてもよく、成約の手法自体は任意である。
【0049】
続いて、成立した取引の内容を取引情報DB112に登録し(ステップS114)、成立した取引に基づいて、残買注文と残売注文を更新する(ステップS115)。さらに、利用者情報DB113上の売買量とコストを更新する(ステップS016)。以後、ステップS011にリターンし、同様の処理を繰り返す。
【0050】
例えば、図11(a)に示す買注文と売注文とが、登録されている場合に、単価が最も高い買注文である注文No1237と単価が最も低い売注文である注文No1234とは、単価が共に100(単位は任意)であり、取引が成立しうる(ステップS112;YES)。従って、取引を成立させ(ステップS113)、成立した取引の内容を取引情報DB112に登録し(ステップS114)、成立した取引に基づいて、残買注文と残売注文を図11(b)に示すように更新する(ステップS115)。即ち、注文No1234については、全数量の取引を完了したので、注文リストから削除する。一方、注文No1237の買い注文については、数量200tのうちの、100tの取引が成立しただけであるので、残数量を100tとして、リストへの掲載を継続する。そして、利用者情報DB113上の、売主の売買量を「100t売」とし、買主の売買量を「100t買」とし、それらのコストを、売主については「利益:10000t(又は−10000」とし、買主のコストを「損益:10000(+10000)」とする(ステップS116)。
【0051】
取引サーバ111は、注文が成立すると、注文主に、成立した取引を通知する。また、取引サーバ111は、期限を経過した注文を適宜消去する。
【0052】
一方、相対取引を行う場合、取引実行者は、自己の取引端末21の取引プログラムを起動し、交渉相手を特定する情報と、売り買いの別、単価と、数量とを指定し、「送信」をクリックする。
【0053】
この操作に応答して、取引端末21は、指定された相手のアドレスに、自己の識別情報(ID)を付加して、通信部211を介して取引要求を送信する。
【0054】
取引端末21の制御部214は、動作プログラムの制御に従って、他の取引端末21からの相対取引の要求を通信部211を介して受信し、これを例えば、図12に示すように表示する。
相対取引の提案を受けた取引実行者は、提案の内容を確認し、注文を保留するか、その注文に対して交渉するか、注文を確定するかを選択し、いずれかのボタンをクリックする。
【0055】
注文の「保留」を選択したときは取引は成立せず、注文が継続される。
一方、「交渉」を選択したときは、売買単価と売買量を変更することができる。制御部214は、図13に示すようなページを表示し、取引実行者は、このページ上で取引内容を修正し、新しい注文として返信する(図13では、単価と売買量が変更されている;総額は自動計算)。この返信を受信した場合の動作は、相対取引の申し込みを受けた場合と同様である。
「取引確定」を選択したときは、取引が成立したことを、取引サーバ111と要求元の取引端末21に送信する。取引サーバ111は、図10に示す処理のステップS114〜S116の処理を行う。
このようにして、二酸化炭素の排出権の取引を行う。
【0056】
取引サーバ111は、取引情報DB112に登録されている取引情報を適宜集計及び統計処理する。
【0057】
取引実行者は操作端末から取引状況を確認することができる。この場合、例えば、図8の選択ページ上で、「取引情報閲覧」を選択する。この操作に応答して、取引サーバ111は、集計及び統計処理しておいた取引データを加工し、取引価格と取引量のグラフ、売買注文状況、取引成立状況等の表示用ページ情報を生成し、取引端末21に送信する。例えば、取引価格と取引量のグラフは、取引価格の平均値を時系列で示すグラフ、取引量は棒グラフ、売買注文状況は、各取引端末21が送受信した注文状況の一覧等に加工し、送信する。取引端末21は、受信した取引状況を示すグラフを表示する。また、売買注文状況については、取引が成立していない注文について、取消を可能としてもよい。
取引実行者は、これらの情報から、現在の取引状況を判断し、投資の参考とする。
【0058】
取引期間中、取引サイト11の管理者(取引管理者)は管理端末114を用いて、すべての取引端末21の取引状況を監視し、表示することができる。また、管理端末114を介して、取引管理者から各取引端末21へメッセージまたはアンケートを送信することができる。取引端末21は取引管理者から送信されたメッセージまたはアンケートを受信すると、随時表示する。取引実行者は、取引端末21に表示されたアンケートに対して回答を行うことができる。管理端末114はアンケート等の回答を表示することができる。
取引の1サイクルが終了すると(目標達成までの期限が到達すると)、取引管理者は管理端末114から取引の集計を行う。
【0059】
即ち、管理端末114は、取引管理者の指示に応答し、各取引端末21から、自主削減(国内削減)の量及び投資額(コスト)を収集し、利用者情報DB113に登録する。
そして、実際の削減量(購入又は売却した量を加味している)が、目標値に達しているか否かを判別する。即ち、各取引端末21を所有する国が、削減目標を達成したか否かを判別する。例えば、削減目標がTで、実際の自主削減量がSで、排出量の削減量の購入量がBとすると、S+B≧Tならば目標を達成しており、S+B<Tならば目標を達成していない。また、削減目標がTで、実際の自主削減量がSで、販売した排出権の量をBとすると、S−B≧Tならば目標を達成しており、S−B<Tならば目標を達成していない。
目的値を達成していない場合には、例えば、制裁を課すため、利用者情報DB113に、目標未達成者のリスト(ブラックリスト)を作成し、該リスト掲載者の次の取引サイクルでの取引を禁止する。
【0060】
さらに、管理端末114は、各国の排出権の削減に要したコスト(自主削減のコストと売買のコスト(又は利益)の国別の総和を求め、より低コストで目標削減量に達した取引端末21(国)を上位とし、その順位を決定する。その取引端末21が行った取引手法を研究することにより、効率のよい排出権の取引手法を研究することができる。
【0061】
以上説明したように、この実施の形態によれば、電子的取引により、二酸化炭素の排出権を取引できる。
【0062】
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施の形態においては、取引を取引実行者の指示に従って行うようにしたが、自動化してもよい。
取引端末21の自動動作の動作モードとしては、例えば、ランダム動作モードと、条件指定モードを設定できる。ランダム動作モードを選択したときは、例えば、ランダムなタイミングで、市場にアクセスし、その時点で、例えば、一定額の排出権を購入する。
【0063】
一方、条件指定モードでは、例えば、一定周期で市場にアクセスし、市場のその時点での取引値が予め設定された条件に合致していれば、売り又は買いの取引を行う。例えば、基準として、第1の売買基準価格(販売基準価格)と第2の売買基準価格(購入基準価格)を設定し、市場にアクセスした時点での取引価格が第1の売買基準価格よりも高ければ、保有している排出権のうちの所定量を売却し、市場にアクセスした時点での取引価格が第2の売買基準価格よりも低ければ、所定量の排出権を購入するようにしてもよい。また、第1と第2の売買基準価格を、状況や時間に応じて変化させるようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態では、二酸化炭素の排出権を実際に取引する例について説明したが、二酸化炭素の排出権の取引をシミュレートするシステム或いはゲームなどにも同様に適用可能である。
【0065】
なお、この発明のシステムは、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、コンピュータに上述の動作を実行するためのプログラムを格納した媒体(フロッピーディスク、CD−ROM等)から該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行するサーバ等を構成することができる。なお、上述の機能を、OSが分担又はOSとアプリケーションの共同により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納してもよい。
【0066】
なお、搬送波にプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワークの掲示板(BBS)に該プログラムを掲示し、これをネットワークを介して配信してもよい。
そして、このプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行させることにより、上述の処理を実行することができる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、二酸化炭素の排出権の取引を電子市場上で適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る二酸化炭素排出権の取引システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す取引サイトの構成を示す図である。
【図3】図2に示す利用者情報データベースに格納される利用者情報の一例を示す図である。
【図4】取引端末の構成を示す図である。
【図5】(a)〜(c)は、二酸化炭素の削減量とコストを求める手順を説明するための図である。
【図6】二酸化炭素の削減量とコストとを自動的に求める手順を説明するための図である。
【図7】ログインページの一例を示す図である。
【図8】売買注文入力処理と取引情報閲覧処理のいずれをかを選択するページの一例を示す図である。
【図9】注文入力ページの一例を示す図である。
【図10】オークション取引の処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】オークション取引の具体例を説明するための図である。
【図12】相対取引の手順を説明するための図である。
【図13】相対取引の手順を説明するための図である。
【符号の説明】
11 取引サイト
21 取引端末
111 取引サーバ
112 取引情報DB
113 利用者情報DB
114 管理用端末
211 通信部
212 表示部
213 入力部
214 制御部
Claims (7)
- 二酸化炭素の排出権の取引を支援するシステムであって、
複数の取引端末と取引サイトとから構成され、
前記複数の取引端末は、前記取引サイトに対して、二酸化炭素の排出権の取引条件を含む売注文と買注文を送信する手段と、前記取引サイトからの、取引の結果を示す情報を受信して出力する手段とを備え、
前記取引サイトは、二酸化炭素の排出権の売注文と買注文を前記取引端末から受け付ける受付手段と、受付手段により受け付けた売注文と買注文とを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている売注文と買注文との取引条件をマッチングし、取引条件の合致するものを判別するマッチング手段と、前記マッチング手段により、取引条件が合致すると判別された売注文と買注文との間で取引を成立させると共に、前記記憶手段に記憶されている売注文と買注文とを、成立した取引に基づいて、取引後の内容に更新する更新手段と、取引の結果を示す情報を前記取引端末に送信する手段と、を備え、
前記取引端末は、
投資額と二酸化炭素の排出量の削減量との関係を示す複数の長期限界曲線と短期限界曲線を予め記憶する記憶手段と、
長期投資額を設定する長期投資額設定手段と、
前記記憶手段に記憶された複数の長期限界曲線のうちのいずれかを指定する長期限界曲線指定手段と、
前記長期投資額設定手段により設定された長期投資額により削減可能な排出量を、前記長期限界曲線指定手段により指定された前記長期限界曲線に基づいて判別する削減可能排出量判別手段と、
前記削減可能排出量判別手段により判別された排出量と前記長期投資額設定手段により設定された長期投資額とを充足する短期限界曲線を前記記憶手段に記憶されている複数の短期限界曲線のうちから前記長期限界曲線指定手段により指定された前記長期限界曲線に対応する前記短期限界曲線を選択する短期限界曲線選択手段と、
短期的な排出量の希望削減量を設定する短期的排出量削減希望量設定手段と、
前記短期的排出量削減希望量設定手段により設定された希望削減量を達成するための投資額を、前記短期限界曲線選択手段により選択された短期限界曲線に基づいて、求める短期投資額取得手段と、
前記長期限界曲線指定手段が指定した長期限界曲線、前記削減可能排出量判別手段により判別された削減可能な排出量、前記短期限界曲線選択手段により選択された短期限界曲線、前記短期的排出量削減希望量設定手段により設定された短期的な排出量の希望削減量、前記短期投資額取得手段により取得された短期投資額を、出力する出力手段と、
を備える、
ことを特徴とする二酸化炭素排出権取引システム。 - さらに、制御手段を備え、
該制御手段は、前記長期投資額設定手段と前記長期限界曲線指定手段と前記削減可能排出量判別手段と前記短期限界曲線選択手段と前記短期的排出量削減希望量設定手段と前記短期投資額取得手段とを、
前記長期投資額設定手段が複数の長期投資額を設定し、
前記長期限界曲線指定手段が、設定された長期投資額のそれぞれについて、複数の長期限界曲線を指定し、
前記削減可能排出量判別手段が、設定された長期投資額と指定された長期限界曲線の組み合わせそれぞれについて削減可能な排出量を判別し、
前記短期限界曲線選択手段が、前記削減可能排出量判別手段により判別された削減可能な排出量と前記長期投資額設定手段により設定された長期投資額の組み合わせそれぞれについて、短期限界曲線を選択し、
前記短期的排出量削減希望量設定手段は、前記短期限界曲線選択手段により選択された短期限界曲線それぞれについて複数の短期的排出量の希望削減量を設定し、
前記短期投資額取得手段が、前記短期的排出量削減希望量設定手段により設定された希望削減量それぞれについて、必要な短期投資額を求める、
ように、制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素排出権取引システム。 - 前記取引サイトは、
主体別に、削減した二酸化炭素の排出量を求める手段と、
主体別に、売買された二酸化炭素の削減量を求める手段と、
主体別に、削減に要したコストと売買による利益又はコストとの実質的な和を求める手段と、
前記削減量が予め設定されている目標値を達成したか否かを、売買量を含めて判別する手段と、
目標を達成した主体を一定基準に基づいてソートして出力する手段と、
を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の二酸化炭素排出権取引システム。 - 前記取引端末は、排出権の相対取引を他の取引端末に提案する手段と、他の取引端末からの相対取引の提案を受諾、拒否、修正提案する手段と、売買が成立した場合に、成約した取引に係る削減量を前記取引サイトに通知する手段を備える、
前記取引サイトは、通知された削減量とその主体とを記憶する、
ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の二酸化炭素排出権取引システム。 - 投資額と二酸化炭素の排出量の削減量との関係を示す複数の長期限界曲線と短期限界曲線を予め記憶する記憶手段と、
長期投資額を設定する長期投資額設定手段と、
前記記憶手段に記憶された複数の長期限界曲線のうちのいずれかを指定する長期限界曲線指定手段と、
前記長期投資額設定手段により設定された長期投資額により削減可能な排出量を、前記長期限界曲線指定手段により指定された前記長期限界曲線に基づいて判別する削減可能排出量判別手段と、
前記削減可能排出量判別手段により判別された排出量と前記長期投資額設定手段により設定された長期投資額とを充足する短期限界曲線を前記記憶手段に記憶されている複数の短期限界曲線のうちから前記長期限界曲線指定手段により指定された前記長期限界曲線に対応する前記短期限界曲線を選択する短期限界曲線選択手段と、
短期的な排出量の希望削減量を設定する短期的排出量削減希望量設定手段と、
前記短期的排出量削減希望量設定手段により設定された希望削減量を達成するための投資額を、前記短期限界曲線選択手段により選択された短期限界曲線に基づいて、求める短期投資額取得手段と、
前記長期限界曲線指定手段が指定した長期限界曲線、前記削減可能排出量判別手段により判別された削減可能な排出量、前記短期限界曲線選択手段により選択された短期限界曲線、前記短期的排出量削減希望量設定手段により設定された短期的な排出量の希望削減量、前記短期投資額取得手段により取得された短期投資額を、出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする二酸化炭素排出量削減コスト評価システム。 - さらに、制御手段を備え、
該制御手段は、前記長期投資額設定手段と前記長期限界曲線指定手段と前記削減可能排出量判別手段と前記短期限界曲線選択手段と前記短期的排出量削減希望量設定手段と前記短期投資額取得手段とを、
前記長期投資額設定手段が複数の長期投資額を設定し、
前記長期限界曲線指定手段が、設定された長期投資額のそれぞれについて、複数の長期限界曲線を指定し、
前記削減可能排出量判別手段が、設定された長期投資額と指定された長期限界曲線の組み合わせそれぞれについて削減可能な排出量を判別し、
前記短期限界曲線選択手段が、前記削減可能排出量判別手段により判別された削減可能な排出量と前記長期投資額設定手段により設定された長期投資額の組み合わせそれぞれについて、短期限界曲線を選択し、
前記短期的排出量削減希望量設定手段は、前記短期限界曲線選択手段により選択された短期限界曲線それぞれについて複数の短期的排出量の希望削減量を設定し、
前記短期投資額取得手段が、前記短期的排出量削減希望量設定手段により設定された希望削減量それぞれについて、必要な短期投資額を求める、
ように、制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の二酸化炭素排出量削減コスト評価システム。 - コンピュータを、
投資額と二酸化炭素の排出量の削減量との関係を示す複数の長期限界曲線と短期限界曲線を予め記憶する記憶手段と、
長期投資額を設定する長期投資額設定手段と、
前記記憶手段に記憶された複数の長期限界曲線のうちのいずれかを指定する長期限界曲線指定手段と、
前記長期投資額設定手段により設定された長期投資額により削減可能な排出量を、前記長期限界曲線指定手段により指定された前記長期限界曲線に基づいて判別する削減可能排出量判別手段と、
前記削減可能排出量判別手段により判別された排出量と前記長期投資額設定手段により設定された長期投資額とを充足する短期限界曲線を前記記憶手段に記憶されている複数の短期限界曲線のうちから前記長期限界曲線指定手段により指定された前記長期限界曲線に対応する前記短期限界曲線を選択する短期限界曲線選択手段と、
短期的な排出量の希望削減量を設定する短期的排出量削減希望量設定手段と、
前記短期的排出量削減希望量設定手段により設定された希望削減量を達成するための投資額を、前記短期限界曲線選択手段により選択された短期限界曲線に基づいて、求める短期投資額取得手段と、
前記長期限界曲線指定手段が指定した長期限界曲線、前記削減可能排出量判別手段により判別された削減可能な排出量、前記短期限界曲線選択手段により選択された短期限界曲線、前記短期的排出量削減希望量設定手段により設定された短期的な排出量の希望削減量、前記短期投資額取得手段により取得された短期投資額を、出力する出力手段と、
として機能させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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