本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、以下に示す実施の形態1〜8及び実施例1〜3は自由に組み合わせて用いることができる。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態では、基板に対する外力の変化によって作動、非作動を選択できる半導体装置について図面を参照して説明する。
まず、第1の基板10上に第1の絶縁膜61を形成する(図1(A)参照)。第1の基板10は、バリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、セラミック基板、シリコン基板、またはステンレスを含む金属基板等を用いることができる。他にも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表されるプラスチックや、アクリル等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板を用いることも可能である。第1の基板10としてガラス基板を用いた場合、一辺が1メートル以上のものを容易に作成することができ、また、その形状は四角形や円形など、所望の形状のものを作成することができる。従って、第1の基板10として、例えば、一辺が1メートル以上のガラス基板を用いれば、生産性を格段に向上させることができる。
第1の絶縁膜61は、下地膜として機能し、第1の基板10からNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が、半導体膜中に拡散し、半導体素子の特性に悪影響を及ぼすのを防ぐために設ける。第1の絶縁膜61としては、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y)等の酸素または窒素を有する絶縁膜の単層構造、またはこれらの積層構造で設けることができる。例えば、第1の絶縁膜61を2層構造で設ける場合、1層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜で設け、2層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を設けるとよい。また、第1の絶縁膜61を3層構造で設ける場合、1層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を設け、2層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜を設け、3層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を設けるとよい。
次に、第1の絶縁膜61上に島状の半導体膜101〜104を形成する(図1(A)参照)。島状の半導体膜101〜104は、第1の絶縁膜61上にスパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等を用いてシリコン(Si)を主成分とする材料(例えばSixGe1-x等)等を用いて非晶質半導体膜を形成し、当該非晶質半導体膜を結晶化させ、半導体膜を選択的にエッチングすることにより設けることができる。なお、非晶質半導体膜の結晶化は、レーザ結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法またはこれら方法を組み合わせた方法等の結晶化法により行うことができる。なお、本実施の形態では、島状の半導体膜101〜104の端部を直角に近い形状(85°〜100°)で設ける。
また、非晶質半導体膜の結晶化にレーザ結晶化法を用いる場合、連続発振型のレーザビーム(CWレーザビーム)やパルス発振型のレーザビーム(パルスレーザビーム)を用いることができる。ここで用いることができるレーザビームは、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザビームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザビームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このときレーザのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。
なお、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arイオンレーザ、またはTi:サファイアレーザは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザビームを発振させると、半導体膜がレーザによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。連続発振レーザ若しくは10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを照射することで、結晶化された半導体膜の表面を平坦なものとすることができる。それにより、後に形成するゲート絶縁膜を薄膜化することも可能であり、また、ゲート絶縁膜の耐圧を向上させることに寄与することができる。
媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に媒質を形成することが可能である。単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、長さ数十mmの円柱状の媒質が用いられているが、セラミックを用いる場合はさらに大きいものを作ることが可能である。
発光に直接寄与する媒質中のNd、Ybなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結晶中でも大きくは変えられないため、濃度を増加させることによるレーザの出力向上にはある程度限界がある。しかしながら、セラミックの場合、単結晶と比較して媒質の大きさを著しく大きくすることができるため大幅な出力向上が期待できる。
さらに、セラミックの場合では、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成することが可能である。このような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進行させると、発振光路を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で発振させることが可能になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザビームは出射時の断面形状が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整形するのに有利である。このように出射されたレーザビームを、光学系を用いて整形することによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に得ることが可能となる。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長辺方向にエネルギー分布の均一なものとなる。
この線状ビームを半導体膜に照射することによって、半導体膜の全面をより均一にアニールすることが可能になる。線状ビームの両端まで均一なアニールが必要な場合は、その両端にスリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫が必要となる。このようにして得られた強度が均一な線状ビームを用いて結晶化された半導体膜を用いて電子機器を作製すると、その電子機器の特性は、良好かつ均一である。
島状の半導体膜101〜104形成後、ゲート絶縁膜として機能する第2の絶縁膜69を形成する(図1(A)参照)。第2の絶縁膜69は、スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等を用いて、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y)、窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y)等の酸素または窒素を有する絶縁膜の単層構造、またはこれらの積層構造で設けることができる。
なお、ゲート絶縁膜69を形成する前に、島状の半導体膜101〜104の表面に高密度プラズマ処理によって酸化膜または窒化膜を形成してもよい。例えば、島状の半導体膜101〜104としてSiを用いた場合、半導体膜表面に、酸化珪素(SiOx)または窒化珪素(SiNx)が形成される。また、高密度プラズマ処理により半導体膜を酸化させた後に、再度プラズマ処理を行うことによって窒化させてもよい。この場合、半導体膜に接して酸化珪素(SiOx)が形成され、当該酸化珪素の表面に窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y)が形成される。
なお、プラズマ処理により半導体膜を酸化する場合には、酸素雰囲気下(例えば、酸素(O2)と希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくとも一つを含む)雰囲気下または酸素と水素(H2)と希ガス雰囲気下または一酸化二窒素と希ガス雰囲気下)でプラズマ処理を行う。一方、プラズマ処理により半導体膜を窒化する場合には、窒素雰囲気下(例えば、窒素(N2)と希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくとも一つを含む)雰囲気下または窒素と水素と希ガス雰囲気下またはNH3と希ガス雰囲気下)でプラズマ処理を行う。希ガスとしては、例えばArを用いることができる。また、ArとKrを混合したガスを用いてもよい。そのため、プラズマ処理により形成された絶縁膜は、プラズマ処理に用いた希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくとも一つを含む)を含んでいる。例えば、Arを用いた場合にはプラズマ処理により形成される絶縁膜にはArが含まれている。この場合のプラズマの励起は、マイクロ波の導入により行うと、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。この高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化又は窒化することができる。
また、高密度プラズマ処理は、上記ガスの雰囲気中において、電子密度が1×1011cm-3以上であり、プラズマの電子温度が1.5eV以下で行う。より詳しくいうと、電子密度が1×1011cm-3以上1×1013cm-3以下で、プラズマの電子温度が0.5eV以上1.5eV以下で行う。プラズマの電子密度が高密度であり、基板上に形成された被処理物(ここでは、半導体膜)付近での電子温度が低いため、被処理物に対するプラズマによる損傷を防止することができる。また、プラズマの電子密度が1×1011cm-3以上と高密度であるため、プラズマ処理を用いて、被照射物を酸化または窒化することよって形成される酸化物または窒化膜は、CVD法やスパッタ法等により形成された膜と比較して膜厚等が均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。また、プラズマの電子温度が1.5eV以下と低いため、従来のプラズマ処理や熱酸化法と比較して低温度で酸化または窒化処理を行うことができる。たとえば、ガラス基板の歪点よりも100度以上低い温度でプラズマ処理を行っても十分に酸化または窒化処理を行うことができる。なお、プラズマを形成するための周波数としては、マイクロ波(2.45GHz)等の高周波を用いることができる。なお、以下に特に断らない場合は、プラズマ処理として上記条件を用いて行うものとする。
このような高密度プラズマを用いた処理により、1〜20nm、代表的には5〜10nmの絶縁膜が半導体膜に形成される。この場合の反応は、固相反応であるため、当該絶縁膜と半導体膜との界面順位密度はきわめて低くすることができる。このような、高密度プラズマ処理は、半導体膜(結晶性シリコン、或いは多結晶シリコン)を直接酸化(若しくは窒化)するため、形成される絶縁膜の厚さは理想的には、ばらつきをきわめて小さくすることができる。加えて、結晶性シリコンの結晶粒界でも酸化が強くされることがないため、非常に好ましい状態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で半導体膜の表面を固相酸化することにより、結晶粒界において異常に酸化反応をさせることなく、均一性が良く、界面順位密度が低い絶縁膜を形成することができる。
なお、半導体膜をプラズマ処理して酸化または窒化することによって形成された絶縁膜の膜厚が十分である場合には、第2の絶縁膜69は必ずしも設ける必要はなく、プラズマ処理により半導体膜表面に形成された当該絶縁膜をゲート絶縁膜として用いることも可能である。さらに、ゲート絶縁膜は、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁膜のみを用いても良いし、それにプラズマや熱反応を利用したCVD法で酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコンなどの絶縁膜を堆積し、積層させても良い。いずれにしても、高密度プラズマで形成した絶縁膜をゲート絶縁膜の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを小さくすることができる。
また、半導体膜の結晶化の際に半導体膜に対し、連続発振レーザ若しくは10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを照射しながら一方向に走査して結晶化させて得られた半導体膜は、そのビームの走査方向に結晶が成長する特性がある。その走査方向をチャネル長方向(チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)に合わせてトランジスタを配置し、上記高密度プラズマにより形成されたゲート絶縁層を組み合わせることで、特性ばらつきが小さく、しかも電界効果移動度が高いトランジスタ(TFT)を得ることができる。
次に、第2の絶縁膜69上にゲート電極105〜112等を形成することによって、島状の半導体膜をチャネル形成領域として用いたn型の薄膜トランジスタ62、64、p型の薄膜トランジスタ63、65を作製することができる(図1(B)参照)。ゲート電極の材料としては、Al、Ni、C、W、Mo、Ti、Pt、Cu、Ta、Au、Mnから選ばれた一種の元素または当該元素を複数含む合金からなる単層または積層構造を用いることができる。例えば、当該元素を複数含む合金からなる導電膜として、例えばCとTiを含有したAl合金、Niを含有したAl合金、CとNiを含有したAl合金、CとMnを含有したAl合金等を用いることができる。また、積層構造で設ける場合、例えば、AlとTiを積層させることによって設けることができる。ここで、ゲート電極形成後に、ゲート電極表面をプラズマ処理により窒化し、ゲート電極表面に金属窒化膜を形成してもよい。ゲート電極表面に金属窒化膜を形成することで、ゲート電極の酸素による劣化を防ぐことができる。
また、本実施の形態では、薄膜トランジスタ62、64は、チャネル形成領域201、203と、ライトドープした不純物領域209、210、211、212と、ヘビードープした不純物領域205、206、207、208とを含むLDD(Lightly Doped Drain)構造を有する。薄膜トランジスタ63、65は、チャネル形成領域202、204と、不純物領域213、214、215、216とを含むシングルドレイン構造を有する。なお、薄膜トランジスタの構造は上記に記載に制約されない。シングルドレイン構造、オフセット構造、LDD構造、GOLD(Gate Overlapped Lightly Doped drain)構造等のどのような構造でもよい。また、薄膜トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でもよいし、二つ形成されるダブルゲート構造または三つ形成されるトリプルゲート構造であってもよい。つまり、チャネル形成領域を複数有するマルチゲート構造のTFTにも適用することができる。また、周辺駆動回路領域の薄膜トランジスタも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造またはトリプルゲート構造などのマルチゲート構造であってもよい。
また、本実施の形態で示した薄膜トランジスタの作製方法に限らず、トップゲート型(プレーナー型)、ボトムゲート型(逆スタガ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有する、デュアルゲート型やその他の構造においても本発明を適用することができる。また、ゲート電極を積層構造で設ける場合に、ゲート電極を第1の導電膜と、当該第1の導電膜上に形成される第2の導電膜とで形成し、当該第1の導電膜をテーパー状で形成し、第1の導電膜にのみ重なるようにソースまたはドレイン領域として機能する不純物領域より低い濃度の不純物領域を設ける構造で設けることもできる(図21(A)参照)。
ここで、薄膜トランジスタ62〜65を覆うように第3の絶縁膜66を形成した後、薄膜トランジスタ62〜65の不純物領域205、206、213、214、207、208、215、216の一部が露出するように開口部を形成する。そして、当該開口部を充填するように導電膜を形成し、当該導電膜をパターン加工して、ソース又はドレイン配線71〜76を形成する。
上記工程により、薄膜トランジスタ62〜66及び配線71〜76を含む回路形成部11が形成される(図2(A)参照)。本明細書中で、半導体装置を構成する回路素子を含む層を回路形成部とよぶ。さらに、配線として機能する導電層やアンテナとして機能する導電層を含んでいてもよい。本実施の形態において、回路素子として薄膜トランジスタを用いたが、回路素子として用いるものはこれに限定されず、容量素子、ダイオード、抵抗素子等を用いてもよい。また、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。
次に、回路形成部11を覆うようにフィルム12を設ける。フィルム(基板、基体とよんでもよい)12は、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニル、エチレンビニルアセテート、ウレタン、ポリエチレンテレフタラート等の材料、繊維質の材料(例えば紙)からなる。フィルムは、単層のフィルムでもよいし、複数のフィルムが積層したフィルムでもよい。また、その表面には、接着層が設けられていてもよい。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、酢酸ビニル樹脂系接着剤、ビニル共重合樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、ゴム系接着剤、アクリル樹脂系接着剤等の接着剤を含む層に相当する。
フィルム12の表面は、二酸化珪素(シリカ)の粉末により、コーティングされていてもよい。コーティングにより、高温で高湿度の環境下においても防水性を保つことができる。また、その表面は、インジウム錫酸化物等の導電性材料によりコーティングされていてもよい。コーティングした材料が静電気をチャージし、薄膜集積回路を静電気から保護することができる。また、その表面は、炭素を主成分とする材料(例えば、ダイヤモンドライクカーボン)によりコーティングされていてもよい。コーティングにより強度が増し、半導体装置の劣化や破壊を抑制することができる。また、フィルム12は、基材の材料(例えば樹脂)と、二酸化珪素や導 電性材料や炭素を主成分とする材料とを混ぜ合わせた材料により形成してもよい。フィルム12が引っ張ると、延伸する性質を有する材料で形成されている場合、エキスパンドフィルムとも呼ばれる。また、フィルム12は、例えば、通常の状態ではその接着力が強く、光を照射するとその接着力が弱くなる性質を有することが好ましく、具体的には、紫外光を照射するとその接着力が弱くなるUVテープを用いるとよい。
続いて、切断手段17により、基板10と回路形成部11を切断して、開口部81を形成する。つまり、基板10と、絶縁膜61、66、69、配線75とを切断して開口部81を形成することで、配線75を分断して配線77及び配線78を形成する。なお、切断手段17とは、ダイサー、レーザー、ワイヤソーなどに相当する。また、この工程では、フィルム12は切断しない。
次に、基板10と回路形成部11とをフィルム12から分離する。ここで、フィルム12に光を照射する前に開口部81の幅を広げるように、フィルム12を延伸させる。その際、面方向に均等に引っ張るとよい。ここで、フィルム12は必ずしも延伸させる必要はない。次に、フィルム12と回路形成部11との接着力を弱めるためにフィルム12に光を照射する(図2(A))。フィルム12がUVテープの場合は紫外光を照射する。
次に、第1の基板10と接するように、第2の基板20を設ける(図2(A)参照)。本実施の形態では、加熱手段25により、第2の基板20を加熱することにより、第1の基板10の一方の面と第1の基体20とを接着する。ここで、加熱手段としてホットプレート、ホットローラー等を用いればよい。続いて、第1の基板10と回路形成部11とが接着した第2の基板20をフィルム12から分離する(図3参照)。この工程により、回路形成部11とフィルム12とを分離することができ、図4に示すような半導体装置110を形成することができる。
なお、ここではフィルム12に光を照射してから、第1の基板10に接するように、第2の基板20を設けている。しかしながら、本発明はこの順番に制約されず、第1の基板10と接するように、第2の基板20を設けて、第2の基板20を加熱した後に、フィルム12に光を照射してもよい。
基板20を曲げることで、図5(A)に示すように、配線77及び配線78を接触させ、薄膜トランジスタ同士を導通させることができる。ここで、開口部81を形成した後でその開口部81によって露出した部分の導電層77、78をさらにテーパー状にパターニングしてもよいし、開口部81を形成する際にその開口部81により露出される部分の導電層77、78をテーパー状になるように形成してもよい。導電層77、78をテーパー状に形成することで、第1の基体20を曲げたときに、導電層77と導電層78の接触面積が広くなり、接触不良を低減することができる。
本実施の形態により作製された薄膜回路を有する半導体装置は、基板を曲げたときのみ配線が接続されるため、基板に対する外力の変化のみで半導体装置の作動・非作動を選択することができる。
本実施の形態に示す半導体装置110は、例えば、図5(B)に示すような湾曲面を有する物体501に貼り付けたときには作動するが、取り外すと作動しない半導体装置として活用できる。本実施の形態において、湾曲したときに配線77及び78が接触するように半導体装置110を物体501に貼り付ける。また、光、温度、圧力、湿度などの特定の条件で湾曲する物体に貼りつけておくことにより、ある特定の条件のときに自動的に装置を作動させるという使い方も可能である。また、複数の回路形成部が形成された基板を細く巻くことによって、各回路形成部が接続された細い棒状の電子機器を作製することもできる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1において基板表面に対して研削処理及び研磨処理を施す場合の処理工程を説明する。本実施の形態において、図6(A)に示すように第1のフィルム12を設ける工程までは実施の形態1と同様であるので省略する。
次に、研削手段14により、第1の基板10の回路形成部11と反対の表面を研削する(図6(A)参照)。好適には、基板10の厚さが100μm以下となるまで研削する。一般的に、この研削工程では、基板10が固定されたステージと研削手段14の一方又は両方を回転させることで、第1の基板10の表面を研削する。研削手段14とは、例えば、砥石に相当する。ここで、研削工程により生じたごみを除去するために、必要に応じて第1の基板10の洗浄及び乾燥を行うとよい。
次に、研磨手段16により、研削した基板10の表面を研磨する(図6(B)参照)。好適には、基板10の厚さが20μm以下となるまで研磨する。この研磨工程も、上記の研削工程と同様に、基板10が固定されたステージと研磨手段16の一方又は両方を回転させることで、基板10の表面を研磨する。研磨手段16とは、例えば、砥石に相当する。ここで、研削・研磨工程により生じたごみを除去するために、必要に応じて第1の基板10の洗浄及び乾燥を行うとよい。
その後、実施の形態1と同様に、切断手段17により、基板10と回路形成部11を切断して配線75を分断して、配線77、78を形成する(図7(A)参照)。また、上記の工程では、基板10の研削工程(図6(A)参照)と研磨工程(図6(B)参照)が終了した後に、基板10の切断工程(図7(A)参照)を行っているが、本発明はこの順番に制約されない。基板10の切断工程を行った後に、基板10の研削工程と研磨工程を行ってもよい。
この後、実施の形態1と同様に基板10に接するように第2の基板20を設け、基板10と回路形成部11とをフィルム12から分離することにより、図7(B)に示す半導体装置が形成される。本実施の形態のように、基板を研削及び研磨することにより、薄型の半導体装置を提供することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1において配線上に保護膜を設ける場合の処理工程を説明する。本実施の形態において、図8(A)に示すように配線71〜76を形成し、回路形成部11を形成する工程までは実施の形態1と同様であるので省略する。
次に、図8(A)に示すように、回路形成部11を覆うように保護膜として機能する絶縁膜13を設ける。絶縁膜13は、無機材料又は有機材料(好ましくはエポキシ樹脂)により、単層又は積層で形成する。次に、絶縁膜13上にフィルム15を形成する。フィルム15は、塩化ビニル樹脂、シリコン樹脂などからなり、引っ張ると、延伸する性質を有する。そのため、フィルム15は、エキスパンドフィルムとも呼ばれる。また、フィルム15は、通常の状態ではその接着力が強く、光を照射するとその接着力が弱くなる性質を有することが好ましく、具体的には、紫外光を照射するとその接着力が弱くなるUVテープを用いるとよい。
続いて、切断手段17により、第1の基板10と回路形成部11を切断して、開口部81を形成する。つまり、基板10と、絶縁膜61、66、69、配線75、絶縁膜13とを切断して開口部81を形成することで、配線75を分断して配線77及び配線78を形成する。なお、切断手段とは、ダイサー、レーザー、ワイヤソーなどに相当する。また、この工程では、フィルム15は切断しない。
次に、実施の形態1と同様に、図9(A)に示すように第1の基板10と接するように第2の基板20を設ける。次に、第1の基板10と回路形成部11とをフィルム15から分離する(図9(B)参照)。続いて、図10(A)に示すように、開口部81によって露出した部分の絶縁膜13をテーパー状にパターニングすることにより、本実施の形態の半導体装置が完成する。本実施の形態の半導体装置は、図10(B)に示すように基板を曲げたときに、配線77及び配線78が接して半導体装置が作動する。絶縁膜13をテーパー状に形成することにより、基板を曲げたときに絶縁膜13がぶつからず、配線77及び配線78を接触させることができる。
本実施の形態に示すように、配線上に保護膜を形成することにより半導体装置の強度を向上することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、接触部の配線を下地膜まで達するように形成する場合について図面を参照して説明する。本実施の形態では、実施の形態1と同様に回路形成部11を形成する回路素子として薄膜トランジスタを用いる場合について説明する。もちろん、回路素子はこれに限定されない。また、本実施の形態において、第3の絶縁膜66を形成する工程までは実施の形態1と同様であるので省略する。
第3の絶縁膜66を形成した後、図11(A)に示すように薄膜トランジスタ62〜66の不純物領域の一部及び下地膜として機能する第1の絶縁膜61の一部が露出するように開口部を形成する。そして、当該開口部を充填するように導電膜を形成し、当該導電膜をパターン加工して、ソース又はドレイン配線71〜76を形成する。本実施の形態では、ソース又はドレイン配線75の一部が基板10の開口部分に接する。
次に、回路形成部11を覆うようにフィルム12を設ける。フィルム12は、塩化ビニル樹脂、シリコン樹脂などからなり、引っ張ると、延伸する性質を有する。また、フィルム12は、通常の状態ではその接着力が強く、光を照射するとその接着力が弱くなる性質を有することが好ましく、具体的には、紫外光を照射するとその接着力が弱くなるUVテープを用いるとよい。
続いて、切断手段17により、第1の基板10と回路形成部11を切断して、開口部81を形成する(図11(B)参照)。つまり、第1の基板10と絶縁膜61、66、69と配線75とを切断して開口部81を形成することで、配線75を分断して配線77及び配線78を形成する。なお、切断手段17とは、ダイサー、レーザー、ワイヤソーなどに相当する。また、この工程では、フィルム12は切断しない。ここで、切断するとき絶縁膜66の開口部の側面に配線材料が残るように開口部を形成する。
この後、実施の形態1と同様に第1の基板10に接するように第2の基板20を設け、第1の基板10と回路形成部11とをフィルム12から分離する(図12参照)。以上の工程により、図13(A)に示すように配線77及び配線78が開口部の内側面に形成された半導体装置が形成される。本実施の形態における半導体装置は、図13(B)に示すように基板20を曲げたときのみ配線77と配線78を接触し、半導体装置を作動させることができる。
本実施の形態では、絶縁膜66の開口部の側面に配線が形成されるので、配線77と配線78の接触位置のずれの影響なく、配線77及び配線78を接触させることができ、配線の接触不良を低減することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、図4に示すものとは異なる形状の半導体装置の作製方法について図面を参照して説明する。
第1の基板701(基体ともよぶ)の一表面に、剥離層702を形成する(図14(A)参照)。第1の基板701は、絶縁表面を有する。第1の基板701がガラスからなる場合は、その面積や形状に大きな制限はない。そのため、第1の基板701として、例えば、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いれば、生産性を格段に向上させることができる。このような利点は、円形の単結晶シリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。また、基板701がプラスチックからなる場合、作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性のプラスチックを用いる必要がある。なお、後述するが、好適には、ガラスからなる第1の基板701上に薄膜トランジスタを設けた後、当該薄膜トランジスタを剥離して、プラスチックからなる基板上に設けてもよい。
なお、本工程では、剥離層702は、第1の基板701の全面に設けているが、必要に応じて、基板701の全面に剥離層を設けた後に、フォトリソグラフィ法によりパターニングして、選択的に設けてもよい。また、第1の基板701に接するように剥離層702を形成しているが、必要に応じて、第1の基板701に接するように下地となる絶縁層を形成し、当該絶縁層に接するように剥離層702を形成してもよい。
剥離層702は、スパッタリング法やプラズマCVD法等により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)等から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる層を、単層又は積層して形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
次に、剥離層702を覆うように、下地となる絶縁層703を形成する。絶縁層703は、スパッタリング法やプラズマCVD法等により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む層を、単層又は積層で形成する。珪素の酸化物材料とは、珪素(Si)と酸素(O)を含む物質であり、酸化珪素、窒素を含む酸化珪素等が該当する。珪素の窒化物材料とは、珪素と窒素(N)を含む物質であり、窒化珪素、酸素を含む窒化珪素等が該当する。下地となる絶縁層は、第1の基板701からの不純物の侵入を防止するブロッキング膜として機能する。
次に、絶縁層703上に、非晶質半導体層704を形成する。非晶質半導体層704は、スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等により形成する。続いて、非晶質半導体層704を結晶化法(レーザ結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザ結晶化法を組み合わせた方法等)により結晶化して、結晶質半導体層を形成する。その後、得られた結晶質半導体層を所望の形状にパターニングして、結晶質半導体層706〜710を形成する(図14(B)参照)。
結晶質半導体層706〜710の作成工程の一例について、以下に説明する。まず、プラズマCVD法を用いて、非晶質半導体層を形成する。次に、結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体層上に保持させた後、非晶質半導体層に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って結晶質半導体層を形成する。その後、必要に応じてレーザ光を照射し、フォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理によって結晶質半導体層706〜710を形成する。レーザ結晶化法で結晶質半導体層を形成する場合、気体レーザ又は固体レーザを用いる。気体レーザと固体レーザは、連続発振又はパルス発振のどちらでもよい。例えば、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されたレーザビームを用いることができる。このようなレーザビームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザビームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。
なお、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arイオンレーザ、またはTi:サファイアレーザは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。連続発振レーザ若しくは10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを照射することで、結晶化された半導体膜の表面を平坦なものとすることができる。それにより、日に形成するゲート絶縁膜を薄膜化することも可能であり、また、ゲート絶縁膜の耐圧を向上させることに寄与することができる。
なお、結晶化を助長する金属元素を用いて非晶質半導体層の結晶化を行うと、低温で短時間の結晶化が可能となるうえ、結晶の方向が揃うという利点がある一方、金属元素が結晶質半導体層に残存するためにオフ電流が上昇し、特性が安定しないという欠点がある。そこで、結晶質半導体層上に、ゲッタリングサイトとして機能する非晶質半導体層を形成するとよい。ゲッタリングサイトとなる非晶質半導体層には、リンやアルゴンの不純物元素を含有させる必要があるため、好適には、アルゴンを高濃度に含有させることが可能なスパッタリング法で形成するとよい。その後、加熱処理(RTA法やファーネスアニール炉を用いた熱アニール等)を行って、非晶質半導体層中に金属元素を拡散させ、続いて、当該金属元素を含む非晶質半導体層を除去する。そうすると、結晶質半導体層中の金属元素の含有量を低減又は除去することができる。
次に、結晶質半導体層706〜710を覆うゲート絶縁層705を形成する。ゲート絶縁層705は、プラズマCVD法やスパッタリング法により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む層を、単層又は積層して形成する。なお、ゲート絶縁層は、半導体膜706〜710に対し高密度プラズマ処理を行い、表面を酸化又は窒化することで形成しても良い。例えば、He、Ar、Kr、Xeなどの希ガスと、酸素、酸化窒素(NO2)、アンモニア、窒素、水素などの混合ガスを導入したプラズマ処理で形成する。この場合のプラズマの励起は、マイクロ波の導入により行うと、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。この高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化又は窒化することができる。
このような高密度プラズマを用いた処理により、1〜20nm、代表的には5〜10nmの絶縁膜が半導体膜に形成される。この場合の反応は、固相反応であるため、当該絶縁膜と半導体膜との界面順位密度はきわめて低くすることができる。このような、高密度プラズマ処理は、半導体膜(結晶性シリコン、或いは多結晶シリコン)を直接酸化(若しくは窒化)するため、形成される絶縁膜の厚さは理想的には、ばらつきをきわめて小さくすることができる。加えて、結晶性シリコンの結晶粒界でも酸化が強くされることがないため、非常に好ましい状態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で半導体膜の表面を固相酸化することにより、結晶粒界において異常に酸化反応をさせることなく、均一性が良く、界面順位密度が低い絶縁膜を形成することができる。
ゲート絶縁層は、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁膜のみを用いても良いし、それにプラズマや熱反応を利用したCVD法で酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコンなどの絶縁膜を堆積し、積層させても良い。いずれにしても、高密度プラズマで形成した絶縁膜をゲート絶縁層の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを小さくすることができる。
また、半導体膜の結晶化の際に半導体膜に対し、連続発振レーザ若しくは10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを照射しながら一方向に走査して結晶化させて得られた半導体膜706〜710は、そのビームの走査方向に結晶が成長する特性がある。その走査方向をチャネル長方向(チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)に合わせてトランジスタを配置し、上記ゲート絶縁層を組み合わせることで、特性ばらつきが小さく、しかも電界効果移動度が高いトランジスタ(TFT)を得ることができる。
次に、ゲート絶縁層705上に、第1の導電層と第2の導電層を積層して形成する。第1の導電層は、プラズマCVD法やスパッタリング法により、20〜100nmの厚さで形成する。第2の導電層は、公知の手段により、100nm〜400nmの厚さで形成する。第1の導電層と第2の導電層は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、等から選択された元素又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成する。または、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導体材料により形成する。第1の導電層と第2の導電層の組み合わせの例を挙げると、窒化タンタルからなる層とタングステンからなる層、窒化タングステンからなる層とタングステンからなる層、窒化モリブデンからなる層とモリブデンからなる層等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、第1の導電層と第2の導電層を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層構造ではなく、3層構造の場合は、モリブデンからなる層とアルミニウムからなる層とモリブデンからなる層の積層構造を採用するとよい。
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスクを形成し、ゲート電極とゲート線を形成するためのエッチング処理を行って、ゲート電極として機能する導電層716〜725を形成する。
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスクを形成し、結晶質半導体層706、708〜710に、イオンドープ法又はイオン注入法により、N型を付与する不純物元素を低濃度に添加して、不純物領域711、713〜715とチャネル形成領域780、782〜784を形成する。N型を付与する不純物元素は、15族に属する元素を用いれば良く、例えばリン(P)、砒素(As)を用いる。
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスクを形成し、結晶質半導体層707に、P型を付与する不純物元素を添加して、不純物領域712とチャネル形成領域781を形成する。P型を付与する不純物元素は、例えばボロン(B)を用いる。
次に、ゲート絶縁層705と導電層716〜725を覆うように、絶縁層を形成する。絶縁層は、プラズマCVD法やスパッタリング法により、珪素、珪素の酸化物又は珪素の窒化物の無機材料を含む層や、有機樹脂などの有機材料を含む層を、単層又は積層して形成する。次に、絶縁層を垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、導電層716〜725の側面に接する絶縁層(サイドウォールともよぶ)739〜743を形成する(図14(C)参照)。また、絶縁層739〜743の作成と同時に、絶縁層705をエッチングして、絶縁層734〜738を形成する。絶縁層739〜743は、後にLDD(Lightly Doped drain)領域を形成する際のドーピング用のマスクとして用いる。
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスクを形成し、そのレジストマスクと絶縁層739〜743をマスクとして用いて、結晶質半導体層706、708〜710にN型を付与する不純物元素を添加して、第1の不純物領域(LDD領域ともよぶ)727、729、731、733と、第2の不純物領域726、728、730、732とを形成する。第1の不純物領域727、729、731、733の不純物元素の濃度は、第2の不純物領域726、728、730、732の不純物元素の濃度よりも低い。上記工程を経て、Nチャネル型の薄膜トランジスタ744、746〜748と、Pチャネル型の薄膜トランジスタ745が完成する。
続いて、薄膜トランジスタ744〜748を覆うように、絶縁層を単層又は積層で形成する(図15(A)参照)。薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁層は、SOG法、液滴吐出法等により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ、シロキサン等の有機材料等により、単層又は積層で形成する。シロキサンとは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。また、置換基として、フルオロ基を用いてもよい。また、置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
例えば、薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁層が3層構造の場合、1層目の絶縁層749として酸化珪素を含む層を形成し、2層目の絶縁層750として樹脂を含む層を形成し、3層目の絶縁層751として窒化珪素を含む層を形成するとよい。
なお、絶縁層749〜751を形成する前、又は絶縁層749〜751のうちの1つ又は複数を形成した後に、半導体層の結晶性の回復や半導体層に添加された不純物元素の活性化、半導体層の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理には、熱アニール、レーザアニール法又はRTA法などを適用するとよい。
次に、フォトリソグラフィ法により、絶縁層749〜751をエッチングして、第2の不純物領域726、728、730、732、不純物領域785及び剥離層702を露出させる開口部601〜6011を形成する(図15(A)参照)。続いて、図15(B)に示すように開口部601〜611を充填するように、導電層を形成し、当該導電層をパターン加工して、ソース配線又はドレイン配線等として機能する導電層752〜760を形成する。ここで、配線755は薄膜トランジスタ745と746とを接続する配線である。本実施の形態において、開口部606を剥離層702が露出するように設けるため、配線755の一部は剥離層702に接するように形成される。
導電層752〜760は、プラズマCVD法やスパッタリング法により、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ネオジウム(Nd)等から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、アルミニウムを主成分とし珪素を含む材料、アルミニウムを主成分とし、ニッケル、炭素及び珪素から選択された1種又は複数種とを含む材料に相当する。導電層752〜761は、例えば、バリア層と珪素を含むアルミニウム層とバリア層の積層構造、バリア層と珪素を含むアルミニウム層と窒化チタン層とバリア層の積層構造を採用するとよい。なお、アルミニウムシリコンが含むシリコンは、0.1wt%〜5wt%とする。また、バリア層とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムや珪素を含むアルミニウムは、抵抗値が低く、安価であるため、導電層752〜761を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムや珪素を含むアルミニウムのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア層を形成すると、結晶質半導体層上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元するため、結晶質半導体層とバリア層の接続不良の発生を抑制することができる。
次に、導電層752〜760を覆うように、保護膜として機能する絶縁層772を形成する(図15(B)参照)。絶縁膜772は、SOG法、液滴吐出法等を用いて、無機材料又は有機材料(好ましくはエポキシ樹脂)により、単層又は積層で形成する。絶縁層772は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。
次に、剥離層702の表面の一部が露出するように、ダイサー、レーザー、ワイヤソーなどにより、絶縁層703、749、750、751、772をエッチングして開口部773、774、792を形成する(図16(A)参照)。ここで、開口部792を形成することにより、配線755が切断され、配線151及び配線152が形成される。
次に、開口部773、774にエッチング剤を導入して、剥離層702を除去する(図16(A)参照)。エッチング剤は、フッ化ハロゲンを含む気体又は液体を使用する。例えば、三フッ化塩素(ClF3)、三フッ化窒素(NF3)、三フッ化臭素(BrF3)、フッ化水素(HF)がある。なお、エッチング剤として、フッ化水素を使用する場合は、剥離層702として、酸化珪素からなる層を用いる。上記工程を経て、薄膜トランジスタ744〜748を第1の基板701から剥離する。
薄膜トランジスタ744〜748を含む回路形成部791が剥離された第1の基板701は、コストの削減のために、再利用するとよい。また、絶縁層772は、剥離層702を除去した後に、回路形成部791が飛散しないように設けたものである。回路形成部791は小さく薄く軽いために、剥離層702を除去した後は、第1の基板701に密着していないために飛散しやすい。しかしながら、回路形成部791上に絶縁層772を形成することで、回路形成部791に重みが付き、第1の基板701からの飛散を防止することができる。また、回路形成部791単体では薄くて軽いが、絶縁層772を形成することで、巻かれた形状になることがなく、ある程度の強度を確保することができる。
次に、回路形成部791の一方の面を、第2の基板776に接着させて、第1の基板701から完全に剥離する(図16(B)参照)。第2の基板776は、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなるフィルム、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルムなどに相当する。フィルムは、熱圧着により、被処理体と加熱処理と加圧処理が行われるものである。加熱処理と加圧処理を行う際には、フィルムの最表面に設けられた接着層か、又は最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。また、第2の基板776と表面には接着層が設けられていてもよいし、接着層が設けられていなくてもよい。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、酢酸ビニル樹脂系接着剤、ビニル共重合樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、ゴム系接着剤、アクリル樹脂系接着剤等の接着剤を含む層に相当する。第2の基板776がプラスチックからなる場合、薄型、軽量で、曲げることが可能であるためデザイン性に優れ、フレキシブルな形状への加工が容易である。また、耐衝撃性に優れ、様々な物品に貼り付けたり、埋め込んだりすることが容易であり、多種多様な分野で活用することができる。
本実施の形態により図17(A)に示すような半導体装置が形成される。本実施の形態により形成された半導体装置は、図7(B)に示すように、第2の基板776を曲げると配線151と配線152とが接触するため、第2の基板776を曲げたときのみ作動させることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、薄膜トランジスタ、記憶素子及びアンテナとして機能する導電層を有する半導体装置の作製方法について図面を参照して説明する。なお、薄膜トランジスタは同期式カウンタ、電源回路等の半導体装置の各回路を構成する素子である。本実施の形態において、図18(A)の絶縁膜751を形成するまでの工程は実施の形態5と同様であるので省略する。
絶縁膜751形成後、フォトリソグラフィ法により、絶縁層749〜751をエッチングして、第2の不純物領域726、728、730、732、不純物領域785及び剥離層702を露出させる開口部を形成する。続いて、図18(A)に示すように開口部を充填するように、導電層を形成し、当該導電層をパターン加工して、ソース配線又はドレイン配線として機能する導電層171〜179を形成する。本実施の形態において、配線178は剥離層702に接するように形成される。
導電層171〜179を形成した後、導電層171〜179を覆うように、絶縁層762を形成する(図18(B)参照)。絶縁層762は、SOG法、液滴吐出法等を用いて、無機材料又は有機材料により、単層又は積層で形成する。絶縁層762は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。
続いて、フォトリソグラフィ法により、絶縁層762をエッチングして、導電層171、178、179を露出させる開口部を形成する。続いて、開口部を充填するように、導電層を形成する。導電層は、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、導電性材料により形成する。次に、導電層をパターン加工して、導電層763〜765を形成する。なお、導電層763〜765は、記憶素子が含む一対の導電層のうちの一方の導電層となる。従って、好適には、導電層763〜765は、チタン、又はチタンを主成分とする合金材料若しくは化合物材料により、単層又は積層で形成するとよい。チタンは、抵抗値が低いため、記憶素子のサイズの縮小につながり、高集積化を実現することができる。また、導電層763〜765を形成するためのフォトリソグラフィ工程においては、下層の薄膜トランジスタ744〜748にダメージを与えないために、ウエットエッチング加工を行うとよく、エッチング剤にはフッ化水素又はアンモニア過水を用いるとよい。
次に、導電層763〜765を覆うように、絶縁層766を形成する。絶縁層766は、SOG法、液滴吐出法等を用いて、無機材料又は有機材料により、単層又は積層で形成する。また、絶縁層766は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。続いて、フォトリソグラフィ法により、絶縁層766をエッチングして、導電層763〜765を露出させる開口部767〜769を形成する。
次に、導電層765に接し、アンテナとして機能する導電層777を形成する(図19(A)参照)。導電層777は、プラズマCVD法、スパッタリング法、印刷法、液滴吐出法を用いて、導電性材料により形成する。好ましくは、導電層777は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。具体的には、導電層777は、スクリーン印刷法により、銀を含むペーストを用いて形成し、その後、50〜350℃の加熱処理を行って形成する。又は、スパッタリング法によりアルミニウム層を形成し、当該アルミニウム層をパターン加工することにより形成する。アルミニウム層のパターン加工は、ウエットエッチング加工を用いるとよく、ウエットエッチング加工後は200〜300℃の加熱処理を行うとよい。
次に、導電層763、764に接するように有機化合物を含む層787を形成する(図19(B)参照)。有機化合物を含む層787は、液滴吐出法や蒸着法等により形成する。続いて、有機化合物を含む層787に接するように、導電層771を形成する。導電層771は、スパッタリング法や蒸着法等により形成する。
以上の工程を経て、導電層763、有機化合物を含む層787及び導電層771の積層体からなる記憶素子789と、導電層764、有機化合物を含む層787及び導電層771の積層体からなる記憶素子790が完成する。
なお、上記の作成工程では、有機化合物を含む層787の耐熱性が強くないため、アンテナとして機能する導電層777を形成する工程の後に、有機化合物を含む層787を形成する工程を行うとよい。
次に、記憶素子789、790、アンテナとして機能する導電層777を覆うように、SOG法、液滴吐出法等により、保護層として機能する絶縁層782を形成する。絶縁層782は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの炭素を含む層、窒化珪素を含む層、窒化酸化珪素を含む層、有機材料(好ましくはエポキシ樹脂)により形成する。本実施の形態では、薄膜トランジスタ744〜748、記憶素子789、790、アンテナとして機能する導電層777を含む層を回路形成部799とよぶ。
次に、剥離層702が露出するように、フォトリソグラフィ法により、絶縁層703、749、750、751をエッチングして、開口部773、774を形成する(図20(A)
参照)。この後、実施の形態3と同様に、開口部773、774にエッチング剤を導入して剥離層702を除去する(図20(B)参照)。そして、回路形成部799の一方の面を、第2の基板776に接着させて、第1の基板701から完全に剥離する(図21参照)。次に、ダイサー、レーザー、ワイヤソーなどを用いて、開口部2001を形成する。開口部2001を形成することにより、導電層178が切断され、導電層2002及び導電層2003が形成される。本実施の形態により図20に示すような半導体装置が形成される。図21に示した半導体装置は、第2の基板776を曲げると配線2002と配線2003とが接触するため、第2の基板776を曲げたときのみアンテナとして機能する導電層777と記憶素子789とが接続される。従って、本実施の形態により第2の基板776を曲げたときは外部との信号のやりとりが行われ、曲げないときには外部との信号のやりとりが行われないような半導体装置を形成することができる。なお、アンテナとして機能する導電層777は必ずしも絶縁層766の形成後に設ける必要はなく、例えば、絶縁層762形成後や絶縁層782形成後に設けてもよい。また、アンテナが必要ない場合はアンテナとして機能する導電層は設けなくてよい。例えば、無線で信号の送受信を行わない電子機器に本発明を用いる場合は必ずしも必要ではない。
本実施の形態において、記憶素子789、790は、一対の導電層間に、有機化合物を含む層が設けられた素子であり、データの書き込みは、一対の導電層を短絡させることにより行う。データの読み出しは、記憶素子789、790の抵抗値の相違を読み取ることにより行う。記憶素子789、790は、不揮発性である点、データの書き換えが不可能である点、データの書き込みを行っていない記憶素子がある限り、データの追記が可能である点を特徴とする。また、3層の積層体からなるため、作製が簡単である点を特徴とする。また、積層部分の面積を縮小が容易であるため、高集積化を容易に実現することができる点を特徴とする。
(実施の形態7)
複数の素子を有する半導体装置において、複数の素子の機能の中から使用者が必要な機能を選択して作動させることを可能にする方法について図面を用いて説明する。
フレキシブルな基板上に少なくとも1つの回路素子を有する回路形成部を複数形成する。回路形成部は複数の回路素子からなり、回路形成部同士を電気的に接続することにより機能する。本実施の形態では、薄膜トランジスタを1つずつ有する回路形成部2101、2102、2103を形成する。回路素子としては、例えば、薄膜トランジスタ、容量素子、抵抗素子、ダイオードなどを用いることができ、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。
本実施の形態の薄膜トランジスタは、図22(A)に示すように基板2100上に下地膜302が形成され、下地膜302上にチャネル形成領域303〜305、ソースまたはドレイン領域として機能する不純物領域306〜3011及びソースまたはドレイン領域として機能する不純物領域306〜3011より低い濃度の不純物領域3012〜3017を有する半導体膜3025〜3027が形成され、半導体膜上に第1の導電膜3018〜3021と第2の導電膜3022〜3024との積層構造で形成されたゲート電極が形成されている。本実施の形態において、当該第1の導電膜3018〜3021をテーパー状で形成し、第1の導電膜3022〜3024にのみ重なるように不純物領域306〜3011より低い濃度の不純物領域3012〜3017を設ける構造とする(図22(A)参照)。そして、各薄膜トランジスタ上に絶縁膜を設け、該絶縁膜に各不純物領域306〜3011の一部が露出する開口部を設け、該絶縁膜上に各不純物領域と接する配線3028〜3033を形成する。本実施の形態において、配線3029と3030が接触することにより回路形成部2101と2102が電気的に接続し、配線3031と3032とが接触することにより回路形成部2102と2103が電気的に接続する。
本実施の形態において、図22(A)に示すように、回路形成部2101、2102、2103の間は開口3034、3035によって分断されており、回路形成部2101、2102、2103の間隔がそれぞれ異なるように形成する。つまり、回路形成部2101、2102、2103を分断する開口部3034、3035の幅が異なるように開口する。
このような配置にすることにより、図22(B)に示すように回路形成部2101と回路形成部2102が接するように基板2100を曲げたときには回路形成部2103は接触しないため、回路形成部2101と回路形成部2102のみを接続することができる。また、回路形成部2102と回路形成部2103が接触するように、基板2100を曲げたときは、図23(A)に示すように全ての回路形成部2101、2102、2103とを接続することができる。また、曲げ方によっては回路形成部2102と回路形成部2103のみを接続することもできる。
本実施例のように、複数の回路形成部の間隔をそれぞれ異なるように配置することにより、基板2100の曲げ方により複数の素子の機能の中から機能を選択して作動させることが可能となる。例えば、複数の機能を有するセンサーに利用することで、温度が高くなり温度センサーを切りたくなったとき、その部分の曲げをなくすることで温度センサーのみを停止することができる。本実施の形態の半導体装置を利用することで、非常に簡単な動作で複雑なセンサー機能を制御することが可能である。
本発明の半導体装置は、RFID、ICタグ、無線チップ、電子タグ、センサー等に利用でき、本発明の半導体装置を用いたものとしてICカードがある。本実施例では、本発明の半導体装置を用いたICカードについて、図24を参照して説明する。
図24(A)に本実施の形態のICカードを示す。ICカードは、基板610上に形成されたアンテナとして機能する導電層612及び回路形成部611を有する(図24(A)参照)。図24(C)は、図24(A)に示す半導体装置1901の断面の一部である。基板10が曲がっていないときは、図24(C)に示すように配線2301と配線2302が接触しないので、ICカード内部のデータの送受信が行われない。なお、基板610には、プラスチックからなる基板を用いることが好適である。そうすると、薄型、軽量で、曲げることが可能であるためデザイン性に優れ、フレキシブルな形状への加工が容易である。
図24(D)は、図24(B)に示す半導体装置1901の断面の一部である。ICカードを曲げた場合、図24(D)に示すように配線2301と配線2302が接触して、ICカード内部のデータの送受信が可能となる。本発明の半導体装置を用いることにより、ICカードを曲げたときのみICカードとしての機能を有することが可能となる。本実施の形態の半導体装置を用いることにより、使用者が容易にデータの送受信の可否を選択でき、使用時以外に外部からデータを読み取られる恐れがなくなりセキュリティを向上させることができる。例えば、本実施の形態で作製したICカードは手で曲げているときには作動するが、鞄の中にいれているときは作動しないといった使い方が可能であり、使用時以外に外部からデータを読み取られる恐れがない。
なお、回路形成部611には、非同期カウンタ、命令解析回路、記憶制御回路、記憶回路、電源回路、復調回路、変調回路から選択された1種又は複数種を設けるとよい。また、本実施例のICカードは、アンテナとして機能する導電層612を介して、リーダ/ライタと、電磁波の送信又は受信を行う。
(実施の形態8)
本実施の形態は、上記実施の形態で回路素子として用いた薄膜トランジスタの構造と異なる構造を有する薄膜トランジスタの作製方法について説明する。
まず、図25(A)に示すように、基板上に剥離層2501、下地膜2502、島状の半導体膜2504を形成する。島状の半導体膜2504は、非晶質半導体膜を結晶化した後、パターニングを行うことにより形成される。続いて、結晶質半導体膜2504を覆うようにゲート絶縁膜2505を形成する。続いて、ゲート絶縁膜2505上に第1の導電膜1505a及び第2の導電膜1506aを積層する。
第1の導電膜1505a及び第2の導電膜1506aとしては、それぞれタングステン(W)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)またはモリブデン(Mo)などの高融点金属、又は高融点金属を主成分とする合金もしくは化合物を用いることができる。本実施の形態では、第1の導電膜と第2の導電膜をそれぞれ異なる材料を用い、後に行うエッチング工程でエッチングレートの差が生じるようにする。より具体的には、第1の導電膜として窒化タンタルを30〜50nmの厚さに形成し、第2の導電膜としてタングステン膜を300〜600nmの厚さに形成する。
次に、回折格子パターン或いは半透膜からなる光強度低減機能を有する補助パターンを設置した露光マスクを用いて形成されたマスクパターンを第2の導電膜上に形成する(図25(A))。ここで、マスクパターン1507aを形成する方法について図27を用いながら説明する。
図27(A)は、露光マスクの一部を拡大した上面図である。また、図27(B)は、図27(A)に対応する露光マスクの一部の断面図である。図27(B)には露光マスクと、レジストが全面に塗布形成された基板2501とを対応させて図示している。
露光マスクは、透光性の基体1700上に、クロム(Cr)やタンタル(Ta)、CrNxなどの金属膜からなる遮光部1701a、1701bと、補助パターンとして、半透膜1702とを有している。遮光部1701aの幅をt1とし、遮光部1701bの幅をt2とし、半透膜が設けられた部分1702の幅をS1とする。なお、遮光部1701aと遮光部1701bとの間隔がS1ということもできる。
本実施の形態では、露光マスクとして、透光性の基体1700上にMoSixNy(x、yは正の整数)からなる半透膜1702と、クロム(Cr)からなる遮光部1701a、1701bを設けられたものを用いる。なお、半透膜1702は、各露光波長に対して材料を適宜選択すればよい。例えば、F2エキシマレーザーを用いるときは、TaSixOy(x、yは正の整数)を用いればよく、ArFエキシマレーザーを用いるときは、MoSixNyまたはTaSixOyを用いればよい。また、i線を用いるときは、CrOxNy(x、yは正の整数)を用いればよく、ArFエキシマレーザーを用いるときは、CrFxOy(x、yは正の整数)またはMoSixOy(x、yは正の整数)を用いればよい。
図27(A)及び図27(B)に示す露光マスクを用いてレジスト膜の露光を行うと、遮光部の回り込みや半透膜を通過することによって非露光領域1507aと露光領域1520が形成される。
次に、現像を行うと露光領域1520が除去され、図25(A)に示すレジストパターン1507aが得られる。なお、現像後に約200℃のベークを行ってマスクパターン1507aを変形させてもよい。
また、その他の露光マスクの例として、複数のスリットを有する回折格子パターン1712を遮光部1701aと遮光部1701bとの間に設けた露光マスクの上面図を図27(C)に示す。図27(C)に示す露光マスクを用いても同様に図25(A)に示すマスクパターン1507aが得られる。
また、他の露光マスクの例として、遮光部1701aと遮光部1701bとの間に露光限界以下の間隔を設けた露光マスクの上面図を図27(D)に示す。例えば、t1を6μm、t2を6μm、S1を1μmとした露光マスクを用いる。図27(D)に示す露光マスクを用いても同様に図25(A)に示すマスクパターン1507aが得られる。
次に、マスクパターン1507aを用いることにより、第1の導電膜1505a及び第2の導電膜1506aをパターニングする。
まず、図25(B)に示すように、ドライエッチングにより第2の導電膜1506aのエッチングを行う。エッチングガスには、CF4、SF6、Cl2、O2を用いる。エッチング速度の向上にはECR(Electron Cyclotron Resonance)やICP(Inductively Coupled Plazma)などの高密度プラズマ源を用いたドライエッチング装置を用いる。また、マスクパターン1507aに基づく加工形状において、端部もしくは側壁部をテーパー形状に加工するためには、基板側に負のバイアス電圧を印加する。このエッチングにより、レジストで形成されたマスクパターン1507aは電界で加速されたイオンによりスパッタされ、離間配置されたマスクパターン1507bとなる。
次に、エッチングガスをCF4、Cl2に切り替えて第1の導電膜1505aである窒化タンタルのエッチングを行う。このエッチングにより、第1の導電膜1505b、第2の導電膜1506bからなる第1の導電積層パターンが形成される(図25(C))。第2の導電膜1506bの端部におけるテーパー部と、基板2501表面との成す角度は10〜30度となるようにする。この角度は主に第2の導電膜1506bの膜厚に応じて決定されるが、本実施の形態ではテーパー部の占める長さが概略0.2〜1.5μm、好ましくは0.5〜1μmとなるようにする。
次に、エッチングガスとして、BCl3、Cl2、O2を用いて、第2の導電膜1506bをマスクパターン1507bに基づいて選択的にエッチングすることにより、第2の導電膜1506cを形成する。レジストからなるマスクパターン1507bは電界で加速されたイオンによりスパッタされ、さらにサイズが縮小されたマスクパターン1507cとなる。また、ここでのエッチングは、基板側に印加するバイアス電圧を低くして第1の導電膜1505bがエッチングされないようにする。第2の導電膜1506cの端部は第1の導電膜1505bよりも内側に後退し、後述するようにその後退量でLovの長さが決まる。なお、Lovとは、結晶質半導体膜2504において、第2の導電膜1506cに覆われていない第1の導電膜1505bと重なっている領域のことである。このようにして第1の導電膜1505b、第2の導電膜1506cからなる第2の導電積層パターンが形成され、これが結晶質半導体膜2504と交差する部位においてゲート電極となる(図25(D))。こうして、2つのチャネル形成領域の間隔が2μm未満とすることができる。本発明により、マルチゲート構造のTFTが占める面積を縮小して集積することができ、高精細な発光装置を実現することができる。
次に、結晶質半導体膜2504に対して、一導電型を付与する不純物元素を添加する。このとき、第2の導電積層パターンを用いて自己整合的にLDDやソース領域やドレイン領域を形成することができる。
図26(A)は、ゲート電極とオーバーラップするLDD領域を形成するためのドーピング処理を示す図であり、第2の導電膜1506cの下方に位置する結晶質半導体膜2504に一導電型を付与する不純物元素を添加している。この添加により、第1濃度の不純物領域1508a、1508b、1509が形成される。ここで、一導電型を付与する不純物元素は、第2の導電膜1506cと重なっていない領域の第1の導電膜1505bを透過して、結晶質半導体膜2504に添加されている。本実施の形態では、一導電型を付与する不純物元素としてリン(またはAs)を用い、nチャネル型TFTを作製する。ゲート絶縁膜2505や第1の導電膜1505bの膜厚にもよるが、第1濃度の不純物領域1508a、1508b、1509を形成する場合には50kV以上の加速電圧を要する。第1濃度の不純物領域1508a、1508b、1509は、LDD領域を前提とすると、その不純物濃度が1×1016〜5×1018/cm3(SIMS測定でのピーク値)となるようにすればよい。
上記ドーピング処理の際、第2の導電膜1506cの下方に位置する結晶質半導体膜706の領域には、一導電型を付与する不純物元素が添加されず、後に形成されるTFTのチャネル形成領域として機能する部分となる。一導電型を付与する不純物元素が添加されない領域は結晶質半導体膜2504に複数、本実施の形態では2つ形成される。本明細書では、この複数の領域(チャネル形成領域)、ここでは2つの領域に挟まれる一導電型を付与する不純物領域を中間不純物領域と呼ぶ。
図26(B)は、ゲート電極の外側に位置するソース領域及びドレイン領域を形成するためのドーピング処理を示す図であり、第2の導電積層パターンをマスクとして一導電型を付与する不純物元素を結晶質半導体膜706に添加している。この添加により、第2濃度の不純物領域1510、1511が形成される。ソース領域及びドレイン領域を形成するためのドーピング処理は、加速電圧を30kV以下として行なう。第2濃度の不純物領域1510の不純物濃度は、1×1019〜5×1021/cm3(SIMS測定でのピーク値)となるようにすればよい。
なお、ドーピングの順序は上記順序に特に限定されず、ソース領域及びドレイン領域を形成するためのドーピング処理を先に行った後、LDD領域を形成するためのドーピング処理を行ってもよい。また、本実施の形態ではドーピング処理を2回に分けて異なる濃度の不純物領域の形成を行っているが、処理条件を調節して1回のドーピング処理で異なる濃度の不純物領域の形成を行ってもよい。
以上の工程を経て、2つのチャネル形成領域の間隔が2μm未満となる薄膜トランジスタが完成される。本実施の形態により作製されたマルチゲート構造のTFTは、TFT自体の占める面積を縮小して集積することができるため、微細な半導体装置を実現することができる。
本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。すなわち、上記実施の形態1〜7で示した材料や形成方法は、本実施の形態でも自由に組み合わせて利用することができる。