JP4618792B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

本発明は、ハードウエアカウンタが示す計数値を乱数値として取得し、取得した乱数値に基づいて入賞役や演出パターン等の抽選を行う遊技機に関する。
従来、入賞等の内部的な抽選を行うスロットマシン、又はパチンコ機等の遊技機においては、例えば特許文献1に記載されているように、水晶発振子を備えるクロック発生回路により生成された一定周期のクロック信号をハードウエアカウンタがカウントし、遊技者が任意の時点で行う遊技操作で得られたラッチ信号を契機に、当該ハードウエアカウンタが示すカウント値を乱数値として取得する乱数発生装置が一般的に備えられている。そして、かかる乱数発生装置により取得した乱数値に基づいて、入賞役や演出パターンの抽選の判定を行っている。ここで、前記スロットマシンにおいては、スタートレバーやストップボタンの操作によるスイッチ信号から前記ラッチ信号を生成し、パチンコ機においては、始動口入賞信号から前記ラッチ信号を生成している。
ハードウエアカウンタを備えて構成される従来の前記乱数発生装置は、所定のアルゴリズムに従って乱数値を生成するいわゆるソフトウェア乱数抽選手法と比較して、クロック周期を高速化等することで均一分布の乱数値を容易に生成でき、また、遊技機の全体動作を制御するCPUの演算負荷も軽減できることから、入賞等の内部的な抽選を行う遊技機に広く用いられている。
しかしながら、前記ハードウエアカウンタは、クロック発生回路からの一定周期のクロック信号を基準に動作するので、周期的な規則性を本質的に有しており、この原理を悪用して近年例えば、電子メトロノームに振動板を付けた不正器具からの振動を基準に遊技操作して、乱数発生装置に特定の乱数を高確率で発生させる不正行為が問題となっていた。そこで、かかる課題に対処し、最近では、ハードウエアカウンタとしてメインとサブの2つを用意し、メインカウンタがカウントを1周する毎に、無限ループで動作しているサブカウンタからカウント値を拾い、このカウント値を用いてメインカウンタのカウント値を更新することで、随時メインカウンタの出発点を変えるプラス乱数方式の乱数発生装置が実用化されている。
特開2003−190483号公報
しかしながら、上述した従来の遊技機に用いられるプラス乱数方式の乱数発生装置では、メインとサブの2つの計数演算手段を必要とするので、計数演算手段が1つのものに比べてコストが増大し、回路が複雑になる等の課題があった。
本発明は、こうした従来の問題に鑑みてなされたものであり、遊技における抽選を行うための回路構成をあまり複雑にすることなく、一定の振動を基準に不正な遊技操作がされた場合においても抽選結果を不正に操作することができない等の公正な遊技機を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、所定の遊技操作に応じて生成される信号を契機に乱数値を取得し、取得した当該乱数値に基づいて入賞役を抽選する抽選手段と、発振器により生成された所要の電子デバイスを駆動するためのクロック信号を伝送するクロック信号伝送パターンとが、同一の回路基板上に形成される遊技機であって、前記回路基板上に、前記遊技操作に応じて生成されるステップ状の信号から所定の時定数で高域成分を取り除き遅延信号を出力するフィルタ回路と、前記遅延信号のレベルが所定の閾値を超えたとき前記抽選手段の乱数値を取得するラッチ信号を生成する比較回路と、を実装するとともに、前記フィルタ回路により出力された前記遅延信号を前記比較回路へ伝送する遅延信号伝送パターンを前記クロック信号伝送パターンに近接して配置し、前記クロック信号の影響を受けた前記遅延信号を前記比較回路へ供給するようにしたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機であって、前記抽選手段は、前記発振器を起源とするクロック信号をカウントして前記乱数値を生成するハードウエアカウンタを備えていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機であって、前記抽選手段は、一定の周期で計数値を計数するハードウエアカウンタと、前記比較回路からラッチ信号を入力した場合に前記ハードウエアカウンタが示す前記計数値を乱数値として取得する乱数取得手段とを備えていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の遊技機であって、前記発振器には、前記ハードウエアカウンタを用い、前記クロック信号伝送パターンに伝送する前記クロック信号には、前記ハードウエアカウンタの前記計数値の出力信号の一部を用いることを特徴とする。
請求項1に記載の遊技機によれば、前記比較回路は、前記クロック信号の影響を受けた前記遅延信号のレベルが所定の閾値を超えたとき前記抽選手段の乱数値を取得するラッチ信号を生成するため、前記遊技操作のタイミングから前記抽選手段が乱数値を取得するまでの時間を前記クロック信号の影響によってシフトすることができるので、遊技における抽選を行うための回路構成をあまり複雑にすることなく、不正遊技者が不正器具からの振動を基準にして遊技操作した場合においても、特定の乱数値を高確率で取得するのを防止できる。
請求項2に記載の遊技機によれば、抽選手段に用いる計数演算手段を1つのハードウエアカウンタで構成した状態で特定の乱数値を高確率で取得するのを防止できるとともに、前記所要の電子デバイス用のクロック信号の発振器を前記抽選手段のハードウエアカウンタ用のクロック信号の発振器と兼用しているので、回路の簡素化が可能になる。
請求項3に記載の遊技機によれば、抽選手段に用いる計数演算手段を1つのハードウエアカウンタで構成した状態で特定の乱数値を高確率で取得するのを防止できる。
請求項4に記載の遊技機によれば、前記遅延信号伝送パターンは前記抽選手段のハードウエアカウンタに近くに配置しているので、前記クロック信号伝送パターンに前記ハードウエアカウンタの前記計数値の出力信号の一部を伝送する伝送パターンを用いることで、前記遅延信号伝送パターンを前記クロック信号伝送パターンに容易に近接して配置できる。
本発明の遊技機によれば、一定の振動を基準にして遊技操作された場合でも、特定の乱数値を高確率で取得する等の不正な操作を防止することができ、公正な遊技を提供することができる。また、遊技機の設計、製造等のコストをあまりかけずに、かかる不正行為に対処した乱数抽選手段を遊技機に搭載することができる。
以下、本発明に係る遊技機の好適な一実施形態をスロットマシンを例に図面を参照して説明する。なお、図1は、スロットマシン1の外観構造を表した斜視図、図2は、前扉3を開放した状態におけるスロットマシン1の内部構造を表した図である。
図1において、スロットマシン1は、略矩形状の箱体である筐体2と、当該筐体2と蝶番機構により開閉可能に取り付けられた前扉3とを備えている。
前扉3の前面側は、上部パネル部4と下部パネル部5に略区分けされ、これらは視覚効果を高めてデザインされたいわゆる化粧板として、硬質プラスチックにより一体的に形成されている。更に、下部パネル部5の下方には、入賞時に払い出されるメダル(遊技媒体)を貯留する受皿部6aが一体的に形成された受皿ユニット6が設けられている。
また、上部パネル部4と下部パネル部5との間には、遊技者側に突出し、ゲーム操作を行うためのスイッチ類が配置されている操作卓7が一体的に形成されている。なお、上部パネル部4、操作卓7、下部パネル部5、及び受皿ユニット6は、遊技者側に面し、これらによって「前面パネル部」が構成される。
上部パネル部4の中央には、硬質プラスチック板等で形成されたパネル面41が設けられている。パネル面41のほぼ中央には略長方形の透明な表示窓42が形成され、表示窓42を通して筐体2内に設けられているリールユニット100の3個のリール101a、101b、101cが目視される。
ここで、筐体2内に設置されているリールユニット100は、円筒形状のリール101a、101b、101cがそれぞれ回転軸方向に並べられ、各リール101a、101b、101cの外周面にはその周方向に沿って複数種類の図柄が描かれている。遊技者は、表示窓42を通して3列のリールに描かれたそれぞれ上下方向3個の図柄を目視できるようになっている。
また、パネル面41には、裏面側に設けられている図示しないランプを点灯させることで例えば入賞役への内部当選など遊技状態に関する情報を演出表示する遊技状態表示部43と、複数の発光ダイオードを点灯させてドット画像を演出表示するドットマトリクス表示部44、スロットマシン1にクレジット(貯留)されているメダル数や、入賞によって獲得したメダル数、又は入賞役への当選回数等の情報を数値表示する数値情報表示部45が、それぞれ表示窓42の周辺に設けられている。
上部パネル部4の上部には、高輝度発光ダイオード等のランプ類を内蔵する演出用照明部46と、ゲームに係る効果音を発生させるスピーカを内蔵する演出用放音部47a、47bがそれぞれ配置されている。
また、演出用放音部47a、47bの間には、透明な硬質プラスチック板等が嵌め込まれて形成された表示窓に面して液晶表示ユニット48が配置されている。なお、液晶表示ユニット48は、ゲームの演出に係る映像やゲーム(遊技)に関する情報を主に表示する。
上部パネル部4の側部には、蛍光灯や高輝度発光ダイオードで形成された演出用照明部49a、49bが設けられている。ゲームの進行に応じて上述した複数の演出用照明部46、49a、49b等が点灯又は点滅することで、ゲームにおける視覚的な演出効果を高めるように形成されている。
操作卓7の上面右側には、メダルを投入するための投入口を有するメダル投入部71が設けられている。また、当該上面の左側には、押しボタンスイッチである3個のベットボタン72、73、74が設けられている。
ベットボタン72、73、74はスロットマシンの1ゲームに賭けるメダルの枚数を提示するためのボタンスイッチである。ゲームを開始する際に、ベットボタン72が押圧操作されることで、貯留されているメダルから1枚のメダルがゲームに対して賭けられる。同様に、ベットボタン73が押圧操作されることで2枚のメダルが賭けられ、ベットボタン74が押圧操作されることで3枚の当該ゲームにメダルが賭けられる。なお、ベットボタン74は、最大枚数のメダルを賭けることから、特に「マックスベットボタン」と呼ばれている。
操作卓7の前面左側には、リール101a、101b、101cの回転開始を指示するためのスタートレバー75が設けられている。スタートレバー75は、先端に球形の操作ノブを有する揺動可能な操作旱を備え、操作旱が傾倒操作されるとオン、操作旱から手が離されるとスプリングの付勢力によって自動的に元の位置に戻ってオフ状態となるスイッチユニットで形成されている。
また、操作卓7の中央には、各リール101a、101b、101cの回転停止をそれぞれ指示するためのストップボタン76a、76b、76cが各リールの配列に対応して並設されている。
操作卓7の前面右側には、前扉3を開錠するための鍵が挿入される鍵穴77が設けられている。スロットマシン1の管理者等が鍵穴77に所定の鍵を挿入して開錠操作すると、蝶番機構によって筐体2に取り付けられている前扉3を前方へ開くことができ、また前扉3を筐体2側に閉じると、自動的にこれらを施錠するようになっている。
下部パネル部5には、スロットマシン1のモデルタイプを遊技者へ認識させる等のため、登場キャラクターの絵などを表示するパネル51が設けられている。下部パネル部5の下側に配置された受皿ユニット6には、入賞時にメダルを排出するメダル払出口61と、払い出されたメダルを貯留する受皿部6aと、演出効果音を発生させるスピーカを内蔵する演出用放音部62がそれぞれ配置されている。
次に、図2を参照して、筐体2の内部構造と前扉3の裏面構造とを説明する。同図において、筐体2内の上部には、スロットマシン1の全体動作を集中制御するCPU(マイコン)を備え硬質プラスチックのケースに収納された主制御基板20が取り付けられている。
筐体2内の中央には、リール101a、101b、101cを備えるリールユニット100が設けられている。リールユニット100は、前扉3が筐体2側に閉じられると前扉3の表示窓42にリール101a、101b、101cが対向するように、所定フレームに位置決めされて取り付けられている。なお、各リール101a、101b、101cは、それぞれに内蔵されたステッピングモータによって回転駆動される。
また、リールユニット100の上部には、各リールを回転駆動する上記ステッピングモータへ4相の駆動パルス信号を送出する回胴装置基板が取り付けられており、主制御基板20が回胴装置基板に回胴駆動(励磁)パルスデータを送出することで、各リールの回転と制動及び停止の制御を行っている。
リールユニット100の下方には、ホッパ装置21と、ホッパ装置21から溢れたメダルを収容するための補助貯留部22と、主電源装置23が設けられている。主電源装置23の側面には、いわゆる配電盤に相当する電源装置基板24が設けられている。更に、筐体2の上部右側の内壁に、遊技場に設置されている「ホールコンピュータ」と呼ばれる管理用コンピュータと接続可能な外部集中端子基板25が取り付けられている。
次に、前扉3の裏面側上部には、演出用照明部46の光源である高輝度の発光ダイオード31が複数配列されると共に、上述の演出用放音部47a、47bに対向してスピーカ32a、32bが取り付けられている。また、図2には示していないが、スピーカ32a、32bの間には、液晶表示ユニット48が取り付けられている。更に、液晶表示ユニット48の裏面側には、電気回路基板で形成されたサブ制御基板30が取り付けられている。
なお、スロットマシン1全体の動作は、筐体2側に設けられている主制御基板20によって統括制御されており、サブ制御基板30は、液晶表示ユニット48による演出映像の表示制御、及び演出用放音部47a、47b、62を使った演出効果音制御など、ゲームの演出に係る制御を主に行っている。
サブ制御基板30の下方には、リール101a、101b、101cを目視させるための透明な表示窓42が形成されたパネル板が配置され、表示窓42の下方には、前面側のスタートレバー75及びストップボタン76a、76b、76c等の操作スイッチ類の出力信号を主制御基板20へ転送する中継基板として機能する中央表示基板33が設けられている。
中央表示基板33の下方には、メダル選別装置34が取り付けられている。メダル選別装置34は、メダル投入部71に投入されたメダルの適否を判別し振り分ける装置である。また、メダル選別装置34はメダルセンサを内蔵しており、ゲームの待機状態等において正規のメダルが投入され、メダルセンサがこのメダルを検出することによって、メダル投入の受け付けを示す信号を主制御基板20へ送出する。また、メダル選別装置34はメダル通路を移動する対象物の投入口方向への移動を検出する逆移動検出センサを内蔵している。
メダル選別装置34の装置本体の下方には、メダル選別装置34によって振り分けられた正規のメダルを筐体2内に設けられているホッパ装置21へ案内するガイド部材35と、メダル選別装置34により排除されたメダル(又は異物)をメダル排出口61へ案内するガイド部材36が設けられている。また、前扉3の裏面側下部には、ホッパ装置21から排出されたメダルをメダル排出口61へ案内するガイド部材37が設けられている。更に、メダル排出口61に隣接して、上述した演出用放音部62に対向するスピーカ38が取り付けられている。
次に、図3のブロック図を参照して、スロットマシン1に設けられている制御システムについて説明する。
主制御基板20は、CPU200と、入力回路201と、乱数発生装置202と、記憶部203と、メダルクレジット手段210と、電子デバイス制御回路211とを備えている。
入力回路201は、スタートレバー75が配線ケーブルで接続されている。入力回路201は、スタートレバー75からの入力信号に対して波形成形を行いラッチ信号を生成して乱数発生装置202に供給するとともに、このラッチ信号を後述のI/Oを介してCPU200に導く。
記憶部203は、ROM、RAM等の半導体メモリによって構成され、スロットマシンゲーム用のシステムプログラム204が予め記憶されている。主制御基板20は、記憶部203に記憶されたシステムプログラム204に従ってCPU200が演算処理を実行することで、スロットマシン1全体の動作を統括制御している。
主制御基板20には、ベットボタン72、73、74、ストップボタン76a、76b、76c等の操作スイッチ類、メダル選別装置34のメダルセンサ34a等の検出スイッチ類が配線ケーブルで接続されている。主制御基板20は、前記スイッチ類からの出力信号によりゲームに係る操作を検出する。
主制御基板20のメダルクレジット手段210は、メダル選別装置34に投入されメダルセンサ34aにより検出されたメダルの枚数を、内部貯留しているメダルのクレジット数に加算する。
また、主制御基板20は、各リール101a、101b、101cに設けられる基準位置センサ120a、120b、120cの検出信号を入力し、各リールの基準となる回転位置を把握しながら、回胴装置基板130に所定の回胴駆動パルスデータを送出する。回胴装置基板130は、主制御基板20からの回胴駆動パルスデータに従って各ステッピングモータ110a、110b、110cを回転駆動することで、各リール101a、101b、101cの回転及び停止の動作制御を行っている。
また、主制御基板20には、ホッパ装置21等のメダル払出装置、及びサブ制御基板30がそれぞれ配線ケーブルによって接続されている。主制御基板20は、入賞が確定した場合等において、ホッパ装置21を制御することで、所定数のメダルを受皿部6aに払い出す。
電子デバイス制御回路211は、CPU200からの制御信号に基づいて比較的制御が簡単な演出用照明部46、49a、49bやリール101a、101b、101cのバックライト等の電子デバイス212に制御用のクロック信号を出力する。
サブ制御基板30は、主制御基板20からの制御信号に基づいて比較的制御が複雑な液晶表示ユニット48、演出用放音部47a、47b、62等の演出装置230を制御駆動することで、遊技者の視覚や聴覚に訴える演出をゲームの進行に応じて行っている。
また、主制御基板20の記憶部203には、入賞抽選テーブル205及び内部抽選フラグ206が記憶されている。例えばCPU200は、スタートレバー75の操作を入力回路201を介して検出した時点で乱数発生装置202から乱数値を取得し、入賞抽選テーブル205を参照することで、得られた乱数値に割り当てられた入賞役またはハズレを抽選する。そして、CPU200は、乱数値に対応する入賞役が存在すると、それを当該ゲームの入賞役として抽選結果を当選にし、当該入賞役を記憶部203の内部抽選フラグ206に記憶する。ここでは、かかる入賞役の抽選方法を「内部抽選」と呼んでいる。
次に、スロットマシン1におけるゲーム動作の概要を説明する。
スロットマシン1は、先のゲームにおいて入賞しメダルの配当が完了した時、又は先のゲームにおいてハズレが確定すると待機状態となる。この待機状態においては、当該状態を遊技者に示唆するとともにゲーム操作を促す待機モードの演出が行われる。次に、遊技者がメダル投入部71にメダルを投入し、もしくは、何れかのベットボタン72、73、74を押圧操作することで、スロットマシン1は、内部に貯留したメダル(クレジット)から当該ゲームに所定枚数のメダルが賭けられゲームを準備する。
ゲーム準備の状態でスタートレバー75が傾倒操作されゲームが開始されると、主制御基板20は、3個のリール101a、101b、101cを一斉に回転させ始めるとともに、上述した内部抽選を実行する。内部抽選の結果は、内部抽選フラグ206に記憶される。
次に、遊技者により何れかのストップボタン76a、76b、76cが押圧操作されることで、リール101a、101b、101cが停止し、主制御基板20は、停止した各リールが表示する図柄と上述の内部抽選フラグ206に対応する入賞役に係る図柄の組み合わせとが一致しているかどうか判定する。
これら図柄の組み合わせが一致し役への入賞が確定すると、スロットマシン1は、主制御基板20によりメダルクレジット手段210の制御を行い、内部貯留しているメダルのクレジット数が所定の数になるまで、当該役の種類に応じて予め決められた配当数のメダルをクレジット数に加算する。さらに、スロットマシン1は、前記配当数と前記クレジット数の加算結果が前記所定の数を超過すると、この超過した数のメダルを受皿部6aへ払い出す。
図4は、上記入賞抽選テーブル205を用いた内部抽選の方法を説明するためのモデル図である。なお同図は、スロットマシン1が一般遊技状態にある場合の例を示すものであり、入賞役として、小役〈1〉、〈2〉と、リプレイと呼ばれる再遊技役と、レギュラーボーナス(RB)と呼ばれる特別役と、ビッグボーナス(BB)と呼ばれる大当たり役とが備えられている。
ここで、小役は、所定枚数のメダルを遊技者へ払い出す入賞役であり、再遊技役(リプレイ)は、先のゲームで投入したメダルの枚数を維持しつつ再ゲームの権利を遊技者に与える入賞役である。また、特別役(RB)は、一般遊技状態に比較して高配当のメダルを払い出す遊技状態(特別遊技状態)を所定回数又は所定入賞回数に達するまで遊技者に与える入賞役である。大当たり役(BB)は、上記特別役の遊技状態を更に所定の回数連続して遊技者に与える入賞役である。
入賞抽選テーブル205において、各入賞役に対応する乱数値の範囲がそれぞれの入賞役に規定される入賞確率に応じて割り当てられている。
主制御基板20の内部抽選手段は、スタートレバー75がオン操作されると乱数発生装置202から乱数値を取得し、取得した乱数値を入賞抽選テーブル205と照合して当該ゲームの入賞役を抽選する。
例えば、取得した乱数値Riが図4に示されるR1≦Ri<R2の関係を満足すると小役〈1〉を抽選し、R2≦Ri<R3の関係を満足すると小役〈2〉を抽選し、R3≦Ri<R4の関係を満足するとリプレイ(再遊技役)を抽選し、R4≦Ri<R5の関係を満足すると特別役(RB)を抽選し、R5≦Ri≦Rmaxの関係を満足すると大当たり役(BB)を抽選する。また、取得した乱数値が0≦Ri<R1のときにはハズレとなる。主制御基板20は、上記入賞役に何れかに当選すると、その役に対応するフラグを記憶する。
なお、スロットマシン1においては、一般遊技状態、及び特別遊技状態、更には出玉率の設定段階に応じて使用する複数種類の入賞抽選テーブル205がそれぞれ用意されている。
次に、本実施形態の要部となる入力回路201、乱数発生装置202及び電子デバイス制御回路211について図5と図6を参照し説明する。なお、図5は、入力回路201、乱数発生装置202及び電子デバイス制御回路211のシステム構成を表すブロック図である。図6は、入力回路201、乱数発生装置202及び電子デバイス制御回路211における典型的な信号波形を表すタイムチャートである。
図5において、CPU200、入力回路201、乱数発生装置202及び電子デバイス制御回路211は、主制御基板20上に形成されている。
入力回路201は、ノイズフィルタ301と、シュミットトリガIC302と、I/O303とを備えている。
スタートレバー75は、オン操作されるに応じて入力信号a1としてステップ状の信号を入力回路201のノイズフィルタ301に出力する。ノイズフィルタ301は、例えばローパス特性を有するフィルタ回路であり、スタートレバー75からのステップ状の信号から所定の時定数で高域成分を取り除き遅延信号b1として出力する。遅延信号b1は、遅延信号伝送パターン304を介して遅延信号b2としてシュミットトリガIC302に入力する。シュミットトリガIC302は、遅延信号伝送パターン304からの遅延信号b2が立ち上がり側の閾値(以下、L→H閾値と呼ぶ)を超えた時に、前記遅延信号b2をステップ状のラッチ信号c1に波形成形してI/O303及び乱数発生装置202の記憶回路313に出力する。
I/O303は、シュミットトリガIC302からのラッチ信号c1を他の入力信号と切り替え選択してCPU200に導く。
乱数発生装置202は、クロック発振器311と、ハードウエアカウンタ312と、記憶回路313とから構成されている。
クロック発振器311は、水晶発振子を備えて形成され、所定の周波数、例えば約14MHzの一定周期のクロック信号CK1をCPU200の動作とは無関係に常時出力している。
ハードウエアカウンタ312は、例えば16bitのインクリメントカウンタから形成され、クロック発振器311からのクロック信号CK1と同期して、0〜65535までのカウント値をインクリメントしながら繰り返し出力する。
記憶回路313は、シュミットトリガIC302からのラッチ信号c1を受信した時にハードウエアカウンタ312が示すカウント値を取得して記憶する。CPU200は、I/O303からの信号d1がラッチ信号c1の入力を示した時に、記憶回路313に対して読み出し制御を行い、記憶回路313が取得したカウント値を読み取り、内部抽選用の乱数値として使用する。
電子デバイス制御回路211は、クロック発振器321と、電子デバイス制御IC322とから構成されている。
クロック発振器321は、水晶発振子を備えて形成され、クロック発振器311の発信周波数とは非同期の周波数のクロック信号CK2を常時出力している。
電子デバイス制御IC322は、CPU200からの制御信号e1に基づいてクロック発振器321からのクロック信号CK2を所定の電圧値に増幅しクロック信号CK3として主制御基板20上に形成されたクロック信号伝送パターン305及びコード306を介して電子デバイス212に出力する。
尚、電子デバイス制御IC322は、CPU200からの制御信号e1に基づいてクロック信号伝送パターン305にクロック信号CK3を伝送させる状態と伝送させない状態に選択することが可能になっている。
クロック信号伝送パターン305は少なくともその一部が主制御基板20上において遅延信号伝送パターン304と近接して配置している。
このような構成により、CPU200、乱数発生装置202及びI/O303は、所定の遊技操作に応じて生成される信号(スタートレバー75からの入力信号a1)を契機に乱数値を取得し、取得した当該乱数値に基づいて入賞役を抽選する抽選手段となっている。
クロック信号伝送パターン305は、前記抽選手段と同一の回路基板(主制御基板20)上に形成され、発振器321により生成された所要の電子デバイス212を駆動するためのクロック信号CK3を伝送する。
ノイズフィルタ301は、前記回路基板上に、前記遊技操作に応じて生成されるステップ状の信号a1から所定の時定数で高域成分を取り除き遅延信号b1を出力するフィルタ回路となっている。
シュミットトリガIC302は、遅延信号伝送パターン304を介した遅延信号b2のレベルが所定の閾値を超えたとき前記抽選手段の乱数値を取得するラッチ信号c1を生成する比較回路となっている。
また、本実施形態では、前記フィルタ回路(ノイズフィルタ301)により出力された前記遅延信号b1を前記比較回路(シュミットトリガIC302)へ伝送する遅延信号伝送パターン304を前記クロック信号伝送パターン305に近接して配置し、前記クロック信号CK3の主に電磁誘導による影響を受けた前記遅延信号b1を前記比較回路(シュミットトリガIC302)へ供給するようにしている。
次に、図6のタイムチャートを参照して入力回路201、乱数発生装置202及び電子デバイス制御回路211の動作を具体的に説明する。
クロック信号伝送パターン305に伝送される図6(a)に示すクロック信号CK3は、ハードウエアカウンタ312の計数動作とは独立した非同期の信号である。
図6(b)に示すように、スタートレバー75からの入力信号a1は、スタートレバー75がオン操作されたタイミングT1でローレベル(L)からハイレベル(H)に瞬間的に立ち上がるステップ状の信号である。入力信号a1がノイズフィルタ301を通過して得られる遅延信号b1は、図6(c)に示すように、タイミングT1より遅延して、例えば10秒でローレベルからハイレベルへ緩やかに立ち上がる信号となる。遅延信号b1が遅延信号伝送パターン304を通過して得られる遅延信号b2は、図6(d)に示すように、図6(c)に示すに示す遅延信号b1に対し図6(a)に示すクロック信号CK3の高周波成分が影響して、パルス信号が重畳した波形の信号となる。
シュミットトリガIC302は、図6(g)に示す遅延信号b2が立ち下がり側の閾値(以下、H→L閾値と呼ぶ)A2を超過しL→H閾値A1になった場合に、遅延信号b2を図6(h)に示すステップ状のラッチ信号c1に波形成形して出力する。
ここで、図6(g)では、遅延信号b2がL→H閾値A1となるのは、クロック信号CK3の高周波成分によるパルス信号が重畳したタイミングT2となり、ラッチ信号c1は、タイミングT2でローレベル(L)からハイレベル(H)に瞬間的に立ち上がる。
記憶回路313は、シュミットトリガIC302のラッチ信号c1を受信したタイミングT2でハードウエアカウンタ312が示すカウント値を取得して記憶する。即ち、乱数発生装置202は、スタートレバー75がオン操作されたタイミングT1から遅れたタイミングT2においてハードウエアカウンタ312が示すカウント値を乱数値として取得する。ここで、本実施形態では、ハードウエアカウンタ312のカウント周期はクロック信号CK3に対して非同期となるので、遊技者が一定の振動を基準に遊技操作のタイミングT1をハードウエアカウンタ312のカウント周期に同期させた場合にも、タイミングT1に対してクロック信号伝送パターン305を伝送するクロック信号CK3の位相がランダムに変化することになり、タイミングT2がランダムに変化し、即ちタイミングT1から記憶回路313がハードウエアカウンタ312から乱数値を取得するまでの時間をランダムに変化させることができる。これにより、遊技者による所定の遊技操作のタイミングT1におけるハードウエアカウンタ312の計数値が同じでも、乱数発生装置202が発生する乱数値は、ランダムに変化することになる。
ここで、比較のため、従来の遊技機のシュミットトリガICに入力する信号を考える。従来の遊技機のシュミットトリガICには、ノイズフィルタを通過して得られる図6(e)に示す遅延信号がクロック信号の影響を受けることなく入力する。このため、図6(e)に示す遅延信号がL→H閾値A1となるのは、本実施形態のタイミングT2よりも遅いタイミングT3となるが、タイミングT1からタイミングT3までの時間は常に一定になる。乱数発生装置202が発生する乱数値をランダムに変化させるため、本実施例では、図6(c)に示す遅延信号b2に図6(a)に示すクロック信号CK3の高周波成分によるパルス信号をあえて重畳している。
かかる構成の乱数発生装置202によれば、遊技者による所定の遊技操作のタイミングT1から記憶回路313がハードウエアカウンタ312から乱数値を取得するまでの時間をランダムに変化させることができ、簡単な回路構成で、一定の振動を基準にして遊技操作された場合においても、乱数発生装置202が特定の乱数値を高確率で発生するのを防止できる。したがって、不正遊技者が意図的に不正を行い入賞の確率を高める等の問題は解消される。
次に、上述した本実施形態の変形例について説明する。
第1の変形例では、前記抽選手段の乱数発生装置202は、ハードウエアカウンタ312が、クロック発振器311の代わりに、電子デバイス制御回路211のクロック発振器321を起源とするクロック信号CK2をカウントして前記乱数値を生成するように構成する。
第1の変形例の場合、遅延信号b2に重畳するクロック信号CK3の高周波成分によるパルス信号は、ハードウエアカウンタ312の計数の周期に対して同期するが、このパルス信号の振幅は電子デバイス202の負荷変動やノイズにより変化するため、遅延信号b2がL→H閾値A1となるタイミングT2をある程度変化させることが可能となる。これにより、第1の変形例では、不正遊技者が不正器具からの振動を基準にして遊技操作した場合においても、乱数発生装置202が特定の乱数値を高確率で発生するのをある程度防止できるとともに、電子デバイス212用のクロック信号の発振器を抽選手段のハードウエアカウンタ312用のクロック信号の発振器と兼用できるので、回路の簡素化が可能になる。
第2の変形例では、クロック信号伝送パターン305に伝送するクロック信号として、電子デバイス制御回路211からのクロック信号CK3の代わりに、ハードウエアカウンタ312の16bitの計数値の出力信号の一部を用いる。この場合にも、遅延信号b2に重畳するパルス信号は、CPU200の負荷変動やノイズにより振幅が変化するため、乱数発生装置202が特定の乱数値を高確率で発生するのをある程度防止できるとともに、遅延信号伝送パターン304を前記クロック信号伝送パターン305に容易に近接して配置できるという効果も得られる。
本発明は、スロットマシンに限らず、クロック信号に基づくハードウェア乱数発生装置を用いて入賞の抽選や演出パターン等の抽選を行うパチンコ機その他の遊技機にも応用することができる。
図1は、本発明の一実施形態によるスロットマシンの外観構造を表した斜視図である。 図2は、本発明の一実施形態によるスロットマシンの内部構造を表した図である。 図3は、本発明の一実施形態によるスロットマシンの制御システムを表したブロック図である。 図4は、本発明の一実施形態による入賞抽選テーブルを用いた内部抽選の方法を説明するためのモデル図である。 図5は、本発明の一実施形態による入力回路、乱数発生装置及び電子デバイス制御回路のシステム構成を表すブロック図である。 図6は、本発明の一実施形態による入力回路、乱数発生装置及び電子デバイス制御回路における主要な信号波形を表すタイムチャートである。
符号の説明
1…スロットマシン、2…筐体、3…前扉、4…上部パネル部、
5…下部パネル部、6…受皿ユニット、6a…受皿部、7…操作卓、
20…主制御基板、21…ホッパ装置、22…補助貯留部、
23…主電源装置、24…電源装置基板、25…外部集中端子基板、
30…サブ制御基板、31…発光ダイオード、
32a、32b…スピーカ、33…中央表示基板、
34…メダル選別装置、34a…メダルセンサ、
35、36、37…ガイド部材、38…スピーカ、
41…パネル面、42…表示窓、43…遊技状態表示部、
44…ドットマトリクス表示部、45…数値情報表示部、
46…演出用照明部、47a、47b…演出用放音部、
48…液晶表示ユニット、49a、49b…演出用照明部、
51…パネル、61…メダル払出口、62…演出用放音部、
71…メダル投入部、72、73、74…ベットボタン、
75…スタートレバー、76a、76b、76c…ストップボタン、
77…鍵穴、
100…リールユニット、
101a、101b、101c…リール、
110a、110b、110c…ステッピングモータ、
120a、120b、120c…基準位置センサ、
130…回胴装置基板、200…CPU、201…入力回路、
202…乱数発生装置、203…記憶部、
204…システムプログラム、205…入賞抽選テーブル、
206…内部抽選フラグ、210…メダルクレジット手段、
211…電子デバイス制御回路、212…電子デバイス、230…演出装置、
301…ノイズフィルタ、302…シュミットトリガIC、
303…I/O、304…遅延信号伝送パターン、
305…クロック信号伝送パターン、311…クロック発振器、
312…ハードウエアカウンタ、313…記憶回路、
321…クロック発振器、322…電子デバイス制御IC

Claims (4)

  1. 所定の遊技操作に応じて生成される信号を契機に乱数値を取得し、取得した当該乱数値に基づいて入賞役を抽選する抽選手段と、発振器により生成された所要の電子デバイスを駆動するためのクロック信号を伝送するクロック信号伝送パターンとが、同一の回路基板上に形成される遊技機であって、
    前記回路基板上に、前記遊技操作に応じて生成されるステップ状の信号から所定の時定数で高域成分を取り除き遅延信号を出力するフィルタ回路と、
    前記遅延信号のレベルが所定の閾値を超えたとき前記抽選手段の乱数値を取得するラッチ信号を生成する比較回路と、を実装するとともに、
    前記フィルタ回路により出力された前記遅延信号を前記比較回路へ伝送する遅延信号伝送パターンを前記クロック信号伝送パターンに近接して配置し、前記クロック信号の影響を受けた前記遅延信号を前記比較回路へ供給するようにしたことを特徴とする遊技機。
  2. 前記抽選手段は、前記発振器を起源とするクロック信号をカウントして前記乱数値を生成するハードウエアカウンタを備えていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
  3. 前記抽選手段は、一定の周期で計数値を計数するハードウエアカウンタと、前記比較回路からラッチ信号を入力した場合に前記ハードウエアカウンタが示す前記計数値を乱数値として取得する乱数取得手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
  4. 前記発振器には、前記ハードウエアカウンタを用い、前記クロック信号伝送パターンに伝送する前記クロック信号には、前記ハードウエアカウンタの前記計数値の出力信号の一部を用いることを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
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