JP4618674B2 - 侵襲確認装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ライフサイエンス分野、再生医療等に関連する分野において、細胞への各種の溶液の注入や細胞から各種の生体分子の採取等を行うために、細胞に微小針を侵襲させる侵襲確認装置に関するものである。
近年、ライフサイエンス分野、再生医療やゲノム創薬等の分野において、遺伝子や各種の薬剤を導入した細胞を利用する機会が増加している。これは、タンパク質発現や細胞動態(細胞の大きさ、形や細胞そのものの動き等の変化)を観察することで、遺伝子機能の解析等を行うためである。
また、細胞生物学の分野においても、1つ1つの細胞の個性を調べる研究が行われるようになっており、1つの細胞での遺伝子発現変化等を観察するために、生きた細胞から僅かな量の生体分子を取り出して解析する技術が不可欠なものとされている。
このように、1つ1つの細胞に各種の溶液を注入したり、1つ1つの細胞から生体分子を採取したりすることで、個々の細胞観察を行っている。
ところで、細胞への溶液注入や細胞からの生体分子の採取等を行う方法としては、様々な方法が提供されている。例えば、細胞内へ物質を導入する方法として、電気パルスや超音波等で細胞に穴を空け、この穴から遺伝子を注入する方法や、遺伝子を付着させた微粒子を加速して細胞に打ち付け、遺伝子を注入する方法等が知られている。しかしながら、これらの方法は、細胞によって注入効率が異なる点、物理的な影響が大きい点、注入量を制御し難い点等の問題が生じていた。
また、微小針を細胞内に侵襲させて溶液注入や生体分子の採取を行うインジェクション法も知られている。この方法は、倍率によって異なるが、例えば、光学顕微鏡下において、熟練した作業者がガラスキャピラリーを手動で操作して微小針を細胞に刺したり(侵襲)、微小針をPZT駆動により操作することで細胞を侵襲等するものである。
また、原子間力顕微鏡(AFM;Atomic Force Microscope)を利用したインジェクション法も知られている。このAFMを用いた場合には、細胞の配置を決定後(AFM画像からの決定又は光学顕微鏡像からの決定)、フォースカーブ取得時と同様に探針を上下に駆動させることにより、探針に取り付けた微小針を細胞に侵襲させるものである。
また、このインジェクション法においては、通常、作業者が微小針を細胞に侵襲させるが、この操作を手動ではなく、自動化してスループットを向上させた遺伝子導入細胞生産装置(例えば、特許文献1参照)等も知られている。
特開2004−166653号公報
しかしながら、上記従来のインジェクション法では、以下の問題が残されていた。
即ち、インジェクション法は、微小針を細胞に侵襲(刺して)させることで、各種の溶液注入や生体分子の採取等を行うものであるが、微小針を細胞に刺したときに、穴が開く前に細胞が自身の軟性(弾性)により凹んでしまい、微小針が確実に細胞内に侵入したか否かを判断することが困難なものであった。
例えば、光学顕微鏡下では、目視により微小針の侵襲確認を行っていたが、仮に微小針が確実に侵襲したとしても上述したと同様に細胞は凹んだ状態であるので、目視だけでは侵襲したか否かを判断することは困難であった。また、マニピュレートシステムであれば、微小針を力感応反発デバイス等のフィードバックデバイスにより定性判断していたが、やはり反発力だけでは微小針が侵襲したか否かを判断することは困難なものであった。
また、AFMを使用した場合には、フォースカーブを用いた定量確認が可能であるが、フォースカーブは探針をどこまで押し込んだかではなく、探針が受ける力を単に表示するだけのものである。よって、探針を押し込んだ確認は行えるが、やはり同様に細胞内に侵襲したか否かを判断することが困難なものであった。
このように、従来のものでは、細胞内への侵襲確認が困難なものであった。そのため、侵襲結果にばらつきが生じてしまい、その結果、例えば、実験結果にばらつきが生じて正確な実験を行うことが困難なものであった。また、侵襲確認の判定が不明瞭なため迅速な操作を行えず、操作時間のかかるものであった。
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、細胞内に微小針等の穿刺部材が侵襲したか否かを容易且つ高確率で判断することができる侵襲確認装置を提供することである。
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の侵襲確認装置は、予め位置が特定された状態で細胞を保持する導電性の基板と、該基板の上方に配され、先端が先鋭化された導電性の穿刺部材と、前記基板と前記穿刺部材とを、基板表面に平行なXY方向及び該XY方向に直交するZ方向に相対移動させて、穿刺部材を前記細胞に穿刺させる移動手段と、前記基板と前記穿刺部材との間に電圧を印加する電圧印加手段と、前記基板と前記穿刺部材との間に流れる電流と、基板と穿刺部材との間に発生した電圧とのうち、少なくとも一方を測定する測定部と、該測定部で測定した電流値又は電圧値に基づいて、前記穿刺部材が前記細胞内に侵襲したか否かを推定する推定部と、該推定部による推定結果を記録する記録部と、前記推定部による推定結果を周囲に報知する報知手段とを備えていることを特徴とするものである。
この発明に係る侵襲確認装置においては、まず、電圧印加手段により、基板と穿刺部材との間に所定の電圧を印加して、両者の間に電位差を生じさせる。そして、この状態で、移動手段により基板と穿刺部材とをXYZの3方向に相対移動させて、穿刺部材を細胞に穿刺させる。この際、細胞は、例えば、基板表面に設けられた親水性領域により予め決められた位置に保持されていたり、光学顕微鏡等により位置が特定された状態で保持されたりしているので、移動手段により確実に穿刺部材を細胞に向けて穿刺させることができる。そして、この移動手段による動作により、穿刺部材は細胞に徐々に刺さり始め、最後に基板に接触する。穿刺部材が基板に接触すると、穿刺部材と基板との間に、電圧が発生すると共に電流が流れる。この電圧又は電流は、測定部によって測定される。
つまり、測定部で電圧又は電流が測定された時点で、穿刺部材は細胞を介して基板に接触している。そして、推定部は、測定部で測定された電流値又は電圧値に基づいて、穿刺部材が細胞内に侵襲したか否かの推定を行う。即ち、穿刺部材が基板に接触して、電流又は電圧が測定されたことで、推定部は、細胞が逃げることなく、穿刺部材が十分に細胞内に侵襲したと推定する。このように、従来の目視や力による判断ではなく、穿刺部材と基板との距離に基づいて侵襲を推定するので、該侵襲を高確率に推定することができる。
また、この推定部による推定結果は、記録部に記録されると共に、報知手段により周囲に報知される。このように、侵襲結果が確実に記録及び報知されるので、操作者は侵襲確認を常に同じ条件(レベル)で容易且つ確実に知ることができる。そのため、操作者は、穿刺部材の表面に物理的相互作用を利用して生体分子を付着(吸着)させ、該生体分子を細胞内から採取したり、吸引したりする等の各種操作を迅速に行えると共に、これら操作にかける時間を短縮することができる。更には、侵襲結果を高確率で推定できるので、例えば、細胞を利用した実験結果のばらつきをなくすことができる。
また、本発明の侵襲確認装置は、上記本発明の侵襲確認装置において、前記推定部が、前記測定部で測定された電流値又は電圧値が予め設定された閾値以上であるときに、前記穿刺部材が侵襲したと推定することを特徴とするものである。
この発明に係る侵襲確認装置においては、穿刺部材を細胞に穿刺する際に、仮に細胞を介して穿刺部材から基板に電流が流れる場合、穿刺部材を基板に近づけるにしたがって電流値又は電圧値が上昇する。そして、穿刺部材が基板に接触した時点で、電流値又は電圧値は一定の値となる。よって、推定部は、測定された電流値又は電圧値を閾値と比較することで、基板表面から所定距離まで微小針が刺し込まれたことを予測することができる。そして、推定部は、電流値又は電圧値が閾値以上に達したときに、従来のように細胞が逃げることなく、穿刺部材が基板表面に近づいて十分に細胞内に侵襲したと推定する。特に、穿刺部材を基板に接触させる前に、侵襲を推定することが可能であるので、基板に対する穿刺部材の接触回数を減らすことができ、穿刺部材にかかる影響を極力低減することができる。
なお、穿刺部材と基板とが接触した際の電流値又は電圧値を閾値としても構わない。この場合には、推定部は穿刺部材が基板に接触した時点で侵襲の推定を行う。
また、本発明の侵襲確認装置は、上記本発明の侵襲確認装置において、前記基板と前記穿刺部材との接触圧力を検出する圧力検出手段を備え、前記推定部が、前記圧力検出手段で測定された圧力値が予め設定された閾値以上であるときに、前記穿刺部材が侵襲したと推定することを特徴とするものである。
この発明に係る侵襲確認装置においては、圧力検出手段が基板と穿刺部材との接触圧力を直接的に検出する。そして、推定部は、圧力検出手段で検出された接触圧力が閾値以上であるときに、穿刺部材が十分細胞内に侵襲して基板に接触していると推定を行う。このように、推定部は、電流値又は電圧値に加え接触圧力をも推定判断として利用するので、より高確率に侵襲判断を行うことができる。
また、本発明の侵襲確認装置は、上記本発明の侵襲確認装置において、前記穿刺部材の先端が受ける圧力変化を検出する圧力変化検出手段を備え、前記推定部が、前記圧力変化検出手段で測定された圧力変化に基づいて、前記穿刺部材が前記細胞内に侵襲したか否かを推定することを特徴とするものである。
この発明に係る侵襲確認装置においては、穿刺部材を細胞に穿刺するときに、圧力変化検出手段は穿刺部材の先端が受ける圧力変化を検出する。例えば、穿刺部材の先端が細胞に接触してから細胞壁を破るまでの圧力変化を検出する。そして、推定部は、この圧力変化検出手段が検出した圧力変化のパターンに基づいて、穿刺部材が細胞壁を破って内部に十分に侵襲したか否かの推定を行う。このように、推定部は、穿刺部材の先端の圧力変化を見ることで、より高確率に侵襲判断を行うことができる。
また、本発明の侵襲確認装置は、上記本発明のいずれかに記載の侵襲確認装置において、前記報知手段が、前記推定結果を表示する表示部と、推定結果を音声により知らせる音声出力部とのうち、少なくとも一方を備えていることを特徴とするものである。
この発明に係る侵襲確認装置においては、報知手段が、表示部又は音声出力部のいずれかを備えているので、例えば、操作者は、表示又は音声により確実且つ容易に侵襲結果を知ることができる。よって、細胞が複数存在していたとしても、より短時間で迅速な操作を行うことができる。
また、本発明の侵襲確認装置は、上記本発明のいずれかに記載の侵襲確認装置において、前記穿刺部材が前記細胞内に侵襲したと前記推定部が推定するまで、穿刺部材による穿刺を繰り返すよう前記移動手段を制御する制御部を備えていることを特徴とするものである。
この発明に係る侵襲確認装置においては、穿刺部材が細胞内に侵襲したと推定されるまで、穿刺部材による穿刺行為を繰り返すよう自動的に制御部が移動手段を制御するので、細胞への侵襲をより高確率にすることができる。
また、本発明の侵襲確認装置は、上記本発明の侵襲確認装置において、前記制御部が、予め決められた所定回数まで前記穿刺部材による穿刺を繰り返すことを特徴とするものである。
この発明に係る侵襲確認装置においては、制御部が穿刺行為の繰り返しを所定回数、例えば、5回繰り返しても、まだ推定部が侵襲したと推定しないときは、穿刺行為の繰り返しを終了する。これにより、1つの細胞に要する穿刺行為の時間を極力低減できるので、スループットの向上化を図ることできる。
また、本発明の侵襲確認装置は、上記本発明の侵襲確認装置において、前記穿刺部材が、先端に形成された開口部に連結された管路を内部に有していることを特徴とするものである。
この発明に係る侵襲確認装置においては、操作者が穿刺部材の管路を介して開口部から細胞内に各種の溶液を注入又は吸引したりすることができる。よって、より多角的な観察や解析等の実験を行うことができる。
本発明に係る侵襲確認装置によれば、従来の目視や力による判断ではなく、穿刺部材と基板との距離に基づいて侵襲を推定するので、該侵襲を高確率に推定することができる。また、侵襲結果が確実に記録及び報知されるので、操作者は侵襲確認を常に同じ条件(レベル)で容易且つ確実に知ることができる。よって、細胞への溶液注入や細胞内からの生体分子の採取等の各種操作を迅速に行えると共に、これら操作にかける時間を短縮することができる。更に、侵襲結果を高確率で推定できるので、例えば、細胞を利用した実験結果のばらつき等をなくすことができる。
以下、本発明に係る侵襲確認装置の一実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。
本実施形態の侵襲確認装置1は、図1に示すように、予め位置が特定された状態で細胞Aを保持する導電性の基板2と、該基板2の上方に配され、内部に図示しない管路を有した状態で、先端が先鋭化された導電性の微小針(穿刺部材)3と、基板2と微小針3とを、基板表面2aに平行なXY方向及び該XY方向に直交するZ方向に相対移動させて、微小針3を細胞Aに穿刺させる移動手段4と、基板2と微小針3との間に電圧を印加する電圧印加手段5と、基板2と微小針3との間に流れる電流と、基板2と微小針3との間に発生した電圧とのうち、少なくとも一方を測定する測定部6と、該測定部6で測定した電流値又は電圧値に基づいて、微小針3が細胞A内に侵襲したか否かを推定する推定部7と、該推定部7による推定結果を記録するメモリ等の記録部8と、推定部7による推定結果を周囲に報知する報知手段9とを備えている。
上記基板2は、培養液Wを収容する培養容器10の底部に設けられており、配線11が電気的に接続されている。また、基板表面2aには、複数の細胞Aが培養液Wに浸漬された状態で保持されており、図示しない光学顕微鏡により各細胞Aの位置がそれぞれ確認されている。つまり、上述したように、複数の細胞Aは、予め位置が特定された状態で保持されている。なお、図1においては、1つの細胞Aを図示している。
また、培養容器10は、上記XY方向及びZ方向の3方向に微小移動可能な3次元スキャナ12に固定されたステージ13上に載置されている。この3次元スキャナ12は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等からなる圧電素子であり、XYZ駆動系14から電圧を印加され、電圧印加量及び極性等に応じて3方向に微小移動するようになっている。即ち、これら3次元スキャナ12及びXYZ駆動系14は、上記移動手段4を構成している。
なお、3次元スキャナ12は、XYZの3方向に粗動移動可能な図示しない粗動機構上に設けられている。
上記微小針3には、電源15に接続された配線16が電気的接続されている。また、この電源15には、上記基板2に電気的接続された配線11が接続されている。即ち、これら配線11、16及び電源15は、上記電圧印加手段5を構成している。
また、微小針3の管路は、一端側が先端に形成された図示しない開口部に接続されており、他端側が細胞A内に各種の溶液を供給可能な図示しない溶液供給ポンプ等に接続されている。これにより、管路内に各種の溶液を供給して細胞A内に溶液を注入できるようになっている。更に、ポンプの接続を変え、細胞A内の物質を吸引することも可能となっている。
なお、微小針3を細胞A内から引き抜くことで、表面に物理的作用により付着(吸着)した生体分子を細胞A内から採取することも可能である。
上記報知手段9は、推定部7による推定結果を表示する表示部17を備えている。本実施形態においては、この表示部17は、図2に示すように、推定結果に応じて光学顕微鏡による視野S内に青色の光B又は赤色の光Rのいずれかを点灯させるようになっている。即ち、表示部17は、微小針3が細胞A内に侵襲したと推定がされた場合には、“OK”表示として青色の光Bを点灯させ、侵襲していないと推定がされた場合には、“NG”表示として赤色のR光を点灯させる。
また、本実施形態においては、推定部7は、予め微小針3と基板2とが接触した際に流れる電流値を基準値として記憶しており、測定部6から送られてくる電流値が該基準値に達したときに微小針3が細胞A内に侵襲したと推定するようになっている。
このように構成された侵襲確認装置1により、基板2上に保持された複数の細胞Aに微小針3を侵襲させる場合について、以下に説明する。
まず、電圧印加手段5により、基板2と微小針3との間に所定の電圧を印加して、両者の間に電位差を生じさせる。そして、この状態で、粗動機構により基板2をXYZの3方向に向けて粗動移動させて光学顕微鏡の視野S内に細胞Aを位置させ、細胞Aの位置を予め特定する。次いで、操作者は、光学顕微鏡で確認しながら、XYZ駆動系14より3次元スキャナ12に電圧を印加して基板2と微小針3とをXYZの3方向に微小移動させて、微小針3を細胞Aに穿刺させる。穿刺後、基板2をさらにZ方向に微小移動させることで、微小針3が細胞A内に徐々に刺さり始め、最後には細胞Aを介して基板2に接触する。微小針3が基板2に接触すると、微小針3と探針との間に電流が流れる。
測定部6は、この電流を測定すると共に測定した電流値を推定部7に送る。推定部7は、送られてきた電流値と基準値とを比較することで、微小針3が細胞A内に侵襲したか否かの推定を行う。即ち、微小針3が基板2に接触して、基準値に達する電流が測定されたことで、推定部7は、細胞Aが逃げることなく、微小針3が十分に細胞A内に侵襲したと推定する。このように、従来の目視や力による判断ではなく、微小針3と基板2との距離に基づいて侵襲を推定するので、該侵襲を高確率に推定することができる。
また、この推定部7による推定結果は、記録部8に記録されると共に報知手段9により操作者に報知される。つまり、図2に示すように、光学顕微鏡の視野S内に、推定結果に応じて赤色の光R又は青色の光Bが“OK”表示又は“NG”表示として視覚的に示される。このように、侵襲結果が確実に記録及び報知されるので、操作者は侵襲確認を常に同じ条件(レベル)で容易且つ確実に知ることができる。そのため、操作者は、微小針3の管路を利用して各種の溶液を細胞Aに注入したり、細胞A内から生体分子を採取したりする等の各種操作を迅速に行えると共に、これら操作にかける時間を短縮することができる。よって、1つの細胞Aに要する時間を短縮でき、全ての細胞Aに費やす時間を短縮することができる。
更には、侵襲結果を高確率で推定できるので、例えば、細胞Aを利用した実験結果のばらつきをなくすことができる。また、光学顕微鏡の視野S内に侵襲結果が表示されるので、侵襲結果を瞬時に確認することができ操作性に優れている。
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態において、推定部7は、測定部6で測定された電流値を予め設定された基準値(基板2と微小針3とが接触した際に流れる電流)と比較することで侵襲がされたか否かを推定したが、この場合に限らず、例えば、測定部6から送られた電流値を予め設定された任意の電流値である閾値と比較して、該閾値以上である場合に侵襲したと推定しても構わない。
例えば、微小針3を細胞Aに穿刺する際に、仮に細胞Aを介して微小針3から基板2に電流が流れる場合、図3に示すように、微小針3を基板2に近づけるにしたがって電流値が上昇する。そして、微小針3が基板2に接触した時点で、電流値は上記実施形態の基準値で一定の値となる。よって、推定部7は、測定された電流値を閾値と比較することで、基板表面2aから所定距離まで微小針3が刺し込まれたことを予測することができる。そして、推定部7は、電流値がこの閾値以上に達したときに、従来のように細胞Aが逃げることなく、微小針3が基板表面2aに近づいて十分に細胞A内に侵襲したと推定を行う。特に、微小針3を基板2に接触させる前に、侵襲を推定することが可能であるので、基板2に対する微小針3の接触回数を減らすことができ、微小針3にかかる影響を極力低減することができる。
また、上記実施形態において、基板2と微小針3との接触圧力を検出する圧力検出手段を備え、推定部7が、圧力検出手段で測定された圧力値が予め設定された閾値以上であるときに、侵襲したと推定するように構成しても構わない。
具体的には、例えば、微小針3の基端側に圧力検出手段として、接触圧力に応じた電圧を発生するPZT等の圧電素子を設ければ良い。そして、推定部7は、圧電素子から送られた電圧が閾値以上である場合、即ち、圧力値が閾値以上である場合に、微小針3が十分細胞A内に侵襲して基板2に接触していると推定する。
このように、推定部7は、電流値に加え接触圧力をも推定判断として利用するので、より高確率に侵襲判断を行うことができる。
なお、基板2側に圧電素子を設けても構わない。また、圧力検出手段は、圧電素子に限られず、微小針3と基板2との接触圧力を検出できるものであれば構わない。
また、上記実施形態において、微小針3の先端が受ける圧力変化を検出する圧力変化検出手段を備え、推定部7が、圧力変化検出手段で測定された圧力変化に基づいて微小針3が細胞A内に侵襲したか否かを推定するように構成しても構わない。
この場合には、圧力変化検出手段が、例えば、微小針3の先端が細胞Aに接触してから細胞A壁を破るまでの圧力変化(抵抗変化)を検出する。そして、推定部7は、この圧力変化パターンに基づいて、微小針3が細胞壁を破って内部に十分に侵襲したか否かの推定を行う。このように、推定部7は、微小針3の先端の圧力変化を見ることで、より高確率に侵襲判断を行うことができる。
なお、この圧力変化検出手段は、例えば、圧力センサでも構わないし、微小針3をカンチレバーの先端に設けた場合には、AFMレバー変位信号等でも構わない。
また、上記実施形態では、表示部17による表示に基づいて、操作者が手動により微小針3を細胞A内に侵襲させていたが、手動ではなく自動的に複数の細胞A内への侵襲が行えるように構成しても構わない。即ち、微小針3が細胞A内に侵襲したと推定部7が推定するまで、微小針3による穿刺を繰り返すよう移動手段4を制御する制御部を備えれば良い。
こうすることで、微小針3が細胞A内に侵襲したと推定されるまで、微小針3による穿刺行為を繰り返すよう自動的に制御部が移動手段4を制御するので、細胞Aへの侵襲をより高確率にすることができる。
更に、この場合において、制御部が予め決められた所定回数まで微小針3による穿刺を繰り返すように構成しても構わない。こうすることで、制御部が穿刺行為を、例えば、5回繰り返してもまだ推定部7が侵襲したと推定しないときは、穿刺行為の繰り返しを終了する。これにより、1つの細胞Aに要する穿刺行為の時間を極力低減でき、スループットの向上化を図ることができる。
また、上記実施形態においては、測定部6は、微小針3と基板2との間に流れる電流を測定したが、電流に限らず、微小針3と基板2との間の電圧を測定しても構わない。この場合の作用効果は上述した電流の場合と同一である。
また、上記実施形態では、表示部17が赤色の光R及び青色の光Bの2種類の光により、“OK”表示又は“NG”表示を行ったが、これに限られず、例えば、図4(a)に示すように、測定した電流値に応じて複数の色の光を段階的に点灯させても構わない。具体的には、電流が測定されていない時点では、赤色の光Rが点灯し、電流が測定され始めた時点でピンク色P、黄色Yと変化し、閾値に達した時点で緑色Gが点灯し、さらに微小針3と基板2とが接触して電流値が基準値に達した時点で青色の光Bが点灯するように構成しても構わない。
また、段階表示する場合には、複数の色だけでなく、例えば、図4(b)に示すように、数字による段階表示や図4(c)に示すように、アルファベットによる段階表示でも構わない。なお、これらの場合には、“1”又は“A”の時点が“NG”表示であり、“4”又は“D”の時点が“OK”表示である。更に、図4(d)に示すように、これらの段階表示を電流グラフと併用して表示しても構わない。
また、これら各表示は、光学顕微鏡の視野S内に表示する場合に限られず、図5(a)に示すように、光学顕微鏡の視野S外に表示しても構わないし、図5(b)に示すように、光学顕微鏡の視野S内に透過表示して細胞Aと共に表示しても構わない。
更に、報知手段9は、表示部17により推定結果を周囲に視覚的に報知したが、表示部17に限定されず、推定結果を音声により周囲に知らせる音声出力部を備えても構わない。音声出力部としては、例えば、推定結果に応じて異なる音声を出力するブザー等でも構わない。但し、表示部17と音声出力部とを同時に備え、音声及び視覚により推定結果を周囲に報知することがより好ましい。
本発明の一実施形態に係る侵襲確認装置の構成図である。 細胞が確認された光学顕微鏡の視野内に、侵襲結果を同時に表示した状態を示す図である。 基板表面と微小針との距離と、基板と微小針との間に流れる電流との関係を示した図である。 侵襲結果を表示する表示部の他の例を示す図であって、(a)は電流値に応じて複数の色の光を段階的に表示する例であり、(b)は電流値に応じて数値を段階的に変化させて表示する例であり、(c)は電流値に応じてアルファベットを段階的に変化させて表示する例であり、(d)は(a)に示す複数の色の段階表示と電流値グラフとを併用表示した例を示す図である。 侵襲結果を表示する表示部の他の例を示す図であって、(a)は光学顕微鏡の視野外に表示した例を示し、(b)は光学顕微鏡の視野内に電流地グラフを透過表示した例を示す図である。
符号の説明
A 細胞
1 侵襲確認装置
2 基板
3 微小針(穿刺部材)
4 移動手段
5 電圧印加手段
6 測定部
7 推定部
8 記録部
9 報知手段
17 表示部


Claims (8)

  1. 予め位置が特定された状態で細胞を保持する導電性の基板と、
    該基板の上方に配され、先端が先鋭化された導電性の穿刺部材と、
    前記基板と前記穿刺部材とを、基板表面に平行なXY方向及び該XY方向に直交するZ方向に相対移動させて、穿刺部材を前記細胞に穿刺させる移動手段と、
    前記基板と前記穿刺部材との間に電圧を印加する電圧印加手段と、
    前記基板と前記穿刺部材との間に流れる電流と、基板と穿刺部材との間に発生した電圧とのうち、少なくとも一方を測定する測定部と、
    該測定部で測定した電流値又は電圧値に基づいて、前記穿刺部材が前記細胞内に侵襲したか否かを推定する推定部と、
    該推定部による推定結果を記録する記録部と、
    前記推定部による推定結果を周囲に報知する報知手段とを備えていることを特徴とする侵襲確認装置。
  2. 請求項1記載の侵襲確認装置において、
    前記推定部は、前記測定部で測定された電流値又は電圧値が予め設定された閾値以上であるときに、前記穿刺部材が侵襲したと推定することを特徴とする侵襲確認装置。
  3. 請求項1又は2記載の侵襲確認装置において、
    前記基板と前記穿刺部材との接触圧力を検出する圧力検出手段を備え、
    前記推定部は、前記圧力検出手段で測定された圧力値が予め設定された閾値以上であるときに、前記穿刺部材が侵襲したと推定することを特徴とする侵襲確認装置。
  4. 請求項1又は2記載の侵襲確認装置において、
    前記穿刺部材の先端が受ける圧力変化を検出する圧力変化検出手段を備え、
    前記推定部は、前記圧力変化検出手段で測定された圧力変化に基づいて、前記穿刺部材が前記細胞内に侵襲したか否かを推定することを特徴とする侵襲確認装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の侵襲確認装置において、
    前記報知手段は、前記推定結果を表示する表示部と、推定結果を音声により知らせる音声出力部とのうち、少なくとも一方を備えていることを特徴とする侵襲確認装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の侵襲確認装置において、
    前記穿刺部材が前記細胞内に侵襲したと前記推定部が推定するまで、穿刺部材による穿刺を繰り返すよう前記移動手段を制御する制御部を備えていることを特徴とする侵襲確認装置。
  7. 請求項6記載の侵襲確認装置において、
    前記制御部は、予め決められた所定回数まで前記穿刺部材による穿刺を繰り返すことを特徴とする侵襲確認装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の侵襲確認装置において、
    前記穿刺部材は、先端に形成された開口部に連結された管路を内部に有していることを特徴とする侵襲確認装置。



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