JP4617554B2 - 小型ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、小型ポンプに関するものであり、特に、血圧計等に用いられ、且つ、ダイヤフラムを使用する小型ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の此種小型ポンプを図2に従って説明する。図に於て1は小型ポンプを示し、該小型ポンプ1は平面視長方形のケース2内にポンプ室3,3を形成する2個のダイヤフラム4,4が設けられ、該ダイヤフラム4,4は互いに一体に連結されてダイヤフラム集合体5を形成している。
【0003】
そして、該ダイヤフラム集合体5の中央部には円筒状の排気弁体6が形成され、該排気弁体6は前記ケース2の上板7中央部に開穿された排気孔8内壁に圧接されている。又、該上板7には前記ダイヤフラム4,4の上方に位置して夫々傘型の吸気弁体9,9が取付けられている。該吸気弁体9,9は前記ダイヤフラム4,4側に傘部9a,9aが形成され、そして、前記上板7に開穿された小孔10,10を貫通し、更に、前記上板7の上方に該小孔10,10より大径の止着部9b,9bが形成されており、これによって前記吸気弁体9,9は前記上板7に圧着されている。又、前記小孔10,10の周縁部近傍には数個の吸気孔11,11…が形成され、前記吸気弁体9,9の前記傘部9a,9aが該吸気孔11,11…を密閉している。
【0004】
更に、前記ダイヤフラム4,4の下端部に揺動体12が揺動自在に連結され、該揺動体12は回転する偏心軸13によって揺動するように構成されている。そして、該偏心軸13の上端は前記揺動体12の下部中心部に於て下方に突設して設けられたボス部14内の挿入孔14aに遊嵌され、下端はモータ15の回転駆動軸16に固設された回転体17の中心位置から離間した位置に形成された圧入孔17aに圧入されている。又、前記ボス部14内挿入孔14a内には前記偏心軸13の先端部が該挿入孔14a内で該挿入孔14a内面を損傷することなく円滑に回転するようにボール18が内装されている。
【0005】
而して、前記モータ15の回転駆動軸16が回転し、これにより前記回転体17が回転し該回転体17の前記圧入孔17aに圧入された前記偏心軸13が回転すると前記揺動体12が揺動し、前記ダイヤフラム4,4の下端部を上下動させる。そして、一方のダイヤフラム4の下端部が前記揺動体12により下動された時、該ダイヤフラム4内は負圧になり、前記排気弁体6は前記排気孔8を密閉し、一方、前記吸気弁体9の傘部9aが開き前記吸気孔11を密閉状態から解放して矢印Aの如く吸気が行われる。次に、前記ダイヤフラム4の下端部が上動された時、該ダイヤフラム4内は高圧になり、前記吸気弁体9の前記傘部9aは前記吸気孔11を密閉状態にすると共に前記排気弁体6と前記排気孔8間が開放されて矢印Bの如く排気が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例の小型ポンプは、ケースの上板にダイヤフラムの上方に位置して夫々傘型の吸気弁体が取付けられ、該ダイヤフラムの下端部が揺動体により下動された時、該ダイヤフラム内は負圧になり、これによって排気弁体が排気孔を密閉し、一方、吸気弁体の傘部が開き吸気孔を密閉状態から解放して吸気が行われる。
【0007】
然しながら、前記小型ポンプは吸気弁体がケースに直接取付けられており、又、該吸気弁体の作動部分である傘部が吸気孔を介して外部に連通しているので、該吸気弁体の作動音が外部に漏れて騒音を発生させていた。
【0008】
そこで、ダイヤフラムを使用する小型ポンプに於て、吸気弁体の作動音による騒音を低減させるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、ケース内にポンプ室を形成する複数のダイヤフラムを備え、偏心回転軸により揺動される揺動体によって前記ダイヤフラムが上下動されてポンプ動作を行なう小型ポンプであって、前記各ダイヤフラムの底部中心部に吸気弁体を設けて吸気弁部を構成し、更に、駆動源となるモータを収納するモータケースを前記ケースの前記吸気弁部側に直結し、該ケースと該モータケースとの間に連通孔を設けると共に、該モータケースの下部に外気を導入するための吸気孔を形成した小型ポンプに於いて、
前記各ダイヤフラムの底部中心部に貫通孔を設け、該貫通孔に連通する空気導入孔を前記揺動体に開穿し、該貫通孔に上記吸気弁部を構成して成り、更に、前記ケース上板中央部に排気孔を開穿し、且つ、該排気孔外周に該排気孔と連通する環状凹溝を複数形成し、該環状凹溝と前記排気孔に前記ダイヤフラムの上端部から成る排気弁体を配設して排気弁部を構成した小型ポンプを提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図1に従って詳述する。図に於て21は小型ポンプであり、該小型ポンプ21は平面視長方形のケース22内にポンプ室23,23を形成する2個のダイヤフラム24,24が備えられ、該ダイヤフラム24,24の下部中心部には中空状取付体25,25が下方に突設して設けられ、該ダイヤフラム24,24の下方には、該ダイヤフラム24,24の下面を上下動させる揺動体26が配設されている。尚、前記ケース22は上ケース22aと、中ケース22bと、下ケース22cの3段で構成され、前記ダイヤフラム24,24は該ダイヤフラム24,24の鍔部24a,24a…が前記上ケース22aと前記中ケース22bとの間に挟着されて前記ケース22に保持されている。
【0011】
そして、該揺動体26の周辺部近傍であって、且つ、前記ダイヤフラム24,24の夫々の中心部下方に位置して、空気導入孔27a,27aを有する軸体27,27が上方に突設して設けられ、該軸体27,27の外側面に前記ダイヤフラム24,24に設けた前記中空状取付体25,25の内側面が蜜嵌して前記揺動体26に前記ダイヤフラム24,24が取付けられる。
【0012】
又、前記各ダイヤフラム24,24の底部中心部は一部が切開されて、吸気弁体28,28が形成されると共に、該切開によって貫通孔29,29が設けられ、該吸気弁体28,28により、該貫通孔29,29を閉塞、開放可能にして吸気弁部V1,V1が構成される。尚、前記吸気弁体28,28の形成方法は前述の切開方法に限定されるものではなく、他の方法で形成することも可能である。
【0013】
更に、前記揺動体26の中心部には該揺動体26を偏心回転により揺動させる偏心回転軸30が貫通して固着される。そして、該揺動体26の上方に前記中ケース22bから延設されて延設部31が設けられると共に、該延設部31の下部に下方に開口する凹部32が形成され、他方、前記下ケース22cの下部側に配置された回転駆動軸33上端に回転体34が固着され、該回転体34上部の中心位置から離間した位置に凹部35が形成され、前記偏心回転軸30の上端が前記凹部32に遊嵌され、下端が前記凹部35に遊嵌されている。
【0014】
又、前記上ケース22aの中央部には排気孔36が開穿され、且つ、該上ケース22aの下面部の該排気孔36外周に該排気孔36と連通する2個の下方に開口する環状凹溝37,37が設けられており、該環状凹溝37,37を形成する内壁面37a、37aに前記ダイヤフラム24,24の上端部から成る排気弁体38,38を圧接させて排気弁部V2,V2が構成されている。
【0015】
そして、前記下ケース22cには前記回転駆動軸33に接続されるモータ39を収納するモータケース40が直結され、該下ケース22cに該モータケース40と連通する連通孔41が設けられると共に、該モータケース40の下部に該モータケース40内に外気を導入するための少なくとも1個以上の吸気孔42,42が形成されている。
【0016】
而して、前記回転駆動軸33の回転により前記回転体34が回転すると、前記偏心回転軸30が偏心回転し、これによって前記揺動体26が揺動し、前記ダイヤフラム24,24の下端部を上下動させる。そして、例えば、一方のダイヤフラム24の下端部が下動された時、該ダイヤフラム24内は負圧になり、前記排気弁体38は前記環状凹溝37の前記内壁面37aに密着し、即ち、前記排気弁部V2は閉じ、且つ、前記吸気弁体28は前記貫通孔29を閉塞状態から開放し、即ち、前記吸気弁部V1は開状態となり、前記空気導入孔27aから前記ダイヤフラム24内へ矢印Cの如く吸気が行われる。
【0017】
次に、前記ダイヤフラム24の下端部が上動された時、前記ダイヤフラム24内は高圧になり、前記吸気弁体28が前記貫通孔29を閉塞して前記吸気弁部V1を閉状態にすると共に前記排気弁体38が前記内壁面37aより拡径して前記排気弁部V2による排気が矢印Dの如く行われる。該排気弁体38内より排出された空気は前記環状凹溝37を通り前記排気孔36から前記ケース22外に排出される。
【0018】
又、前記ダイヤフラム24の上動に伴って前記下ケース22c内が負圧になり、前記連通孔41を介して前記モータケース40内の空気が矢印Eの如く流入し、これによって、該モータケース40内が負圧になり前記吸気孔42を介して外気が矢印Fの如く吸入される。
【0019】
斯くして、本発明は前述したように、吸気弁体28,28がケース22内に収納された各ダイヤフラム24,24の底部中心部に形成されるため、該吸気弁体28,28の作動音はケース22内で消音され、更に、該吸気弁体28,28と連通される吸気孔42,42は該吸気弁体28,28が収納されるケース22と別ケースであるモータケース40の下部に形成され、且つ、該吸気弁体28,28から離れた位置に配置されるので該吸気孔42,42から漏れる前記吸気弁体28,28の作動音は極めて小さいものとなる。
【0020】
又、前記モータケース40内を流れる空気によって前記モータ39の発熱を抑える冷却効果も期待できる。
【0021】
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0022】
【発明の効果】
本発明は上記一実施の形態に詳述したように、ケース内に収納されたダイヤフラムが上下動されてポンプ動作を行う小型ポンプに於て、前記各ダイヤフラムの底部中心部に吸気弁部を構成し、更に、モータケースの下部に外気を導入するための吸気孔を設けたから、前記吸気弁体の作動音は前記ケース内で消音され、更に、該吸気弁体と連通される前記吸気孔は該吸気弁体が収納されるケースと別ケースである前記モータケースの下部に形成され、且つ、該吸気弁体から離れた位置に配置されるので該吸気孔から漏れる前記吸気弁体の作動音は極めて小さいものとなる。又、前記モータケース内を流れる空気によってモータの発熱を抑える冷却効果も期待できる等、正に著大なる効果を奏する発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示し、小型ポンプの縦断面図。
【図2】従来例を示し、小型ポンプの一部切欠正面図。
【符号の説明】
21 小型ポンプ
22 ケース
23 ポンプ室
24 ダイヤフラム
26 揺動体
28 吸気弁体
30 偏心回転軸
39 モータ
40 モータケース
41 連通孔
42 吸気孔
1 吸気弁部

Claims (1)

  1. ケース内にポンプ室を形成する複数のダイヤフラムを備え、偏心回転軸により揺動される揺動体によって前記ダイヤフラムが上下動されてポンプ動作を行なう小型ポンプであって、前記各ダイヤフラムの底部中心部に吸気弁体を設けて吸気弁部を構成し、更に、駆動源となるモータを収納するモータケースを前記ケースの前記吸気弁部側に直結し、該ケースと該モータケースとの間に連通孔を設けると共に、該モータケースの下部に外気を導入するための吸気孔を形成した小型ポンプに於いて、
    前記各ダイヤフラムの底部中心部に貫通孔を設け、該貫通孔に連通する空気導入孔を前記揺動体に開穿し、該貫通孔に上記吸気弁部を構成して成り、更に、前記ケース上板中央部に排気孔を開穿し、且つ、該排気孔外周に該排気孔と連通する環状凹溝を複数形成し、該環状凹溝と前記排気孔に前記ダイヤフラムの上端部から成る排気弁体を配設して排気弁部を構成したことを特徴とする小型ポンプ。
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