JP4617232B2 - 送信機 - Google Patents
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Description
デジタル変調部では、一例として、複数であるN個のキャリアの信号のそれぞれを波形整形フィルタにより波形整形した後にデジタル直交変調部により変調し、この変調結果をN個のキャリアについて加算器により加算して出力することが行われる。
このような送信機では、各キャリア合成後の中間周波数信号(つまり、前記加算器からの出力信号)に対して、ピークの周辺に窓関数を乗算してピークを抑圧することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
ここで、図6には、本実施例との比較のために、ピーク抑圧比を補正しなかった場合のピーク電力抑圧の様子を示してある。図6に示されるように、ピークaとピークbが同一の瞬時電力であるのに対応して、ピークaから算出したピーク抑圧係数とピークbから算出したピーク抑圧係数の大きさが同一となっており、2つのピーク抑圧係数から算出したリミッタ係数によってピークaとピークbの瞬時電力が閾値電力を大きく下回る値まで抑圧されている。
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、送信信号のピークレベルの抑圧と帯域外漏洩電力の低減の双方を効果的に行うことができる送信機を提供することを目的とする。
すなわち、係数生成処理手段が、送信対象となる信号のレベルのピークを検出し、検出した複数のピークに基づいてこれら複数のピークをまとめて抑圧するためのピーク抑圧係数を生成する。送信対象信号レベル抑圧手段が、前記係数生成処理手段により生成されたピーク抑圧係数により前記送信対象となる信号のレベルを抑圧する。
従って、例えば、送信対象となる信号に複数のピークが互いに近い位置(近い時刻)に存在するような場合においても、これら複数のピークをまとめて抑圧するためのピーク抑圧係数を生成することにより、送信信号に発生するピークレベルを効果的に低減することができ、具体的には、送信信号のピークレベルの抑圧と帯域外漏洩電力の低減の双方を効果的に行うことが可能である。
また、信号のレベルとしては、例えば、電力のレベルや、電圧のレベルなど、種々なものが用いられてもよい。
また、1つのピーク抑圧係数によりまとめて抑圧する対象となる複数のピークの数としては、種々な数が用いられてもよく、例えば、2つであってもよく、或いは、3つ以上であってもよい。
すなわち、レベル検出手段が、前記送信対象となる信号のレベルを検出する。閾値出力手段が、前記送信対象となる信号のレベルに関する閾値を出力する。ピーク検出手段が、前記レベル検出手段により検出されたレベルが前記閾値出力手段により出力された閾値以上となるもの(又は、当該閾値を超えるもの)をピークとして検出する。時間区間内検出手段が、所定の時間区間内において、時間的に最初のピークの時間位置と、時間的に最後のピークの時間位置と、レベルが最大となるピークのレベルを検出する。ピーク抑圧比生成手段が、前記閾値出力手段により出力された閾値及び前記時間区間内検出手段により検出されたレベル(つまり、前記レベルが最大となるピークのレベル)に基づいて所定のピーク抑圧比を生成する。ピーク抑圧比補正手段が、前記時間区間内検出手段により検出された前記時間的に最初のピークの時間位置及び前記時間的に最後のピークの時間位置に基づいて、前記ピーク抑圧比生成手段により生成されたピーク抑圧比を補正する。ピーク抑圧係数生成手段が、前記時間的に最初のピークの時間位置及び前記時間的に最後のピークの時間位置に基づく所定の時間位置と、前記ピーク抑圧比補正手段により補正されたピーク抑圧比に基づいて、ピーク抑圧係数を生成する。
従って、所定の時間区間内に発生した複数のピークをまとめて効果的に抑圧することができる。
また、複数のピークを検出するための所定の時間区間としては、種々な長さの時間区間が用いられてもよい。
また、例えば、所定の時間区間内において1つのピークのみが検出された場合には、そのピークの時間位置を時間的に最初のピークの時間位置及び時間的に最後のピークの時間位置として用いる。
また、補正後のピーク抑圧比としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、所定の時間区間内における複数のピークを適切に低減させることを考慮したものが用いられ、一例として、所定の時間区間内における時間的に最初のピークの時間位置と時間的に最後のピークの時間位置の両方で、当該所定の時間区間内においてレベルが最大となるピークのレベルを閾値に(或いは、閾値より小さく)低減させることが可能なものを用いることができる。
また、ピーク抑圧係数を生成するときに参照される、前記時間的に最初のピークの時間位置及び前記時間的に最後のピークの時間位置に基づく所定の時間位置としては、種々な時間位置が用いられてもよく、一例として、これら2つの時間位置の中央(中心)の時間位置を用いることができる。
本例では、CDMA方式を採用する無線通信システムの基地局装置などに設けられる送信機に本発明を適用した場合を示す。このような送信機では、一般に、増幅器により大電力の信号増幅を行う。なお、ピークレベルの抑圧量が制限される場合もあり得るが、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式などの変調方式に本発明を適用することも可能である。
本例の送信機1には、複数であるN個のキャリアに対応して、N個の符号多重信号生成部A1〜ANが接続されている。
本例の送信機1は、デジタル変調部11と、ピーク電力抑圧部12と、周波数変換部13を備えている。
デジタル変調部11は、N個のキャリアに対応して、N個の波形整形フィルタB1〜BNと、N個のデジタル直交変調部C1〜CNを備えており、また、I相の成分(I成分)及びQ相の成分(Q成分)に対応して、2個の加算器21、22を備えている。
周波数変換部13は、I成分及びQ成分に対応して、2個のD/A(Digital to Analog)変換器51、52を備えており、また、I成分及びQ成分に共通に、アナログ直交変調部53を備えている。
なお、tは、デジタル直交変調部C1〜CN以降における信号のサンプリングの時刻(サンプル時刻)を表す。
各波形整形フィルタB1〜BNは、I成分及びQ成分のそれぞれについて、各符号多重信号生成部A1〜ANにより拡散変調及び合成された各キャリアの信号を入力し、当該入力信号の占有帯域が予め設定された値に収まるようにスペクトル整形を行い、当該スペクトル整形結果のI成分及びQ成分を各デジタル直交変調部C1〜CNへ出力する。
各デジタル直交変調部C1〜CNは、各波形整形フィルタB1〜BNから入力された各キャリア毎の信号をデジタル直交変調し、当該デジタル直交変調結果のI成分を一方の加算器21へ出力し、当該デジタル直交変調結果のQ成分を他方の加算器22へ出力する。
他方の加算器22は、Q成分について、N個のデジタル直交変調部C1〜CNから入力されるデジタル直交変調結果を加算(合成)し、当該加算結果の信号q(t)を瞬時電力演算部35及び他方の遅延部32へ出力する。
なお、本例では、極大点電力Pmaxや閾値電力Pthreshが電力のディメンジョンで表されていることから、電圧領域でピークレベルの抑圧を行うために平方根(sqrt)の演算を行っている。
本例の複数ピーク抑圧比補正部39は、加算器61と、除算器62と、加算器63と、除算器64と、窓関数逆数テーブル65と、乗算器66と、制御器67を備えている。
除算器62は、加算器61から入力された加算結果を2で割り(つまり、除算し)、当該除算結果をピーク抑圧係数の中央のサンプル時刻tcoefとしてM個のピーク抑圧係数生成部D1〜DMへ出力する。この場合、ピーク抑圧係数の中央のサンプル時刻tcoefは、2つのサンプル時刻tfirst、tlastの中央の時刻となる。
本例では、ピーク抑圧係数の中央のサンプル時刻tcoefは、(式4)のように表される。
除算器64は、加算器63から入力された減算結果を2で割り(つまり、除算し)、当該除算結果をサンプル時間差Δtとして窓関数逆数テーブル65へ出力する。この場合、サンプル時間差Δtは、tcoefとtfirstとの間の時間差となり、tcoefとtlastとの間の時間差ともなる。
本例では、サンプル時間差Δtは、(式5)のように表される。
一例として、ハミング窓が用いられる場合には、窓関数値の逆数1/w(Δt)は、(式6)のように表される。なお、Lはサンプル数を表しており、例えば2以上の整数である。
補正後ピーク抑圧比Rは、(式7)のように表される。
各乗算器33、34は、各遅延部31、32から入力される加算結果信号i(t)、q(t)とリミッタ係数演算部40から入力されるリミッタ係数l(t)とを乗算して、これによりピーク及びその周辺の信号レベルを抑圧し、当該乗算結果i’(t)、q’(t)を各D/A変換器51、52へ出力する。ここで、i’(t)=l(t)×i(t)、q’(t)=l(t)×q(t)と表される。
アナログ直交変調部53は、2個のD/A変換器51、52から入力されるI成分及びQ成分からなるアナログ信号をアナログ直交変調して、これにより当該アナログ信号を無線周波数帯の信号へ変換して出力する。
また、アナログ直交変調部53からの出力信号は、例えば、電力増幅器などの増幅器(図示せず)により増幅されて、アンテナ(図示せず)から無線により送信される。
具体的には、図3(a)には横軸のサンプリング時刻(サンプリング時間)tに対する縦軸の瞬時電力P(t)の一例を示してあり、図3(b)には横軸のサンプリング時刻(サンプリング時間)tに対する縦軸のリミッタ係数l(t)の一例を示してあり、図3(c)には横軸のサンプリング時刻(サンプリング時間)tに対する縦軸のピーク抑圧係数g(t)=g1(t)〜gM(t)の一例を示してある。
図示されるように、本例では1つのピーク抑圧係数から算出したリミッタ係数によって2つのピークの瞬時電力P(t)が閾値電力Pthreshまで抑圧され、ピーク低減効果が得られている。また、本例では、複数のピークを1つのピーク抑圧係数でまとめて抑圧する構成であるため、ピークを検出する時間区間を広く(長く)するほどピーク抑圧係数生成部D1〜DMの個数を少なくすることができ、ハード規模の縮小が図られる。
このようにピーク抑圧係数の中心位置を制御する構成は、例えば、複数のピークの大きさが同じでないような場合に有効である。なお、通常、最適な窓の中心位置はピークの大きさや位置関係で変わるが、システムによって、特性劣化が特に問題にならなければ、常にサンプル時刻tfirstとサンプル時刻tlastとの中央に窓位置を設定することで、ハードを簡略化することができる。
同様に、本例では、複数極大点検出部37により検出する極大点の瞬時電力P(t)を最大の極大点電力Pmaxだけに限定しているが、必ずしも1つに限定する必要はなく、極大点の数だけ極大点電力P(t)を検出するような態様が用いられてもよい。
なお、本例では、複数のキャリアの信号を通信する場合を示したが、例えば、1つのキャリアの信号を通信する場合に適用することも可能である。
このように、本例の送信機1では、例えば従来と比べて、ピークレベルの抑圧を効果的に行うことができ、具体的には、ピークレベルの抑圧と帯域外漏洩電力の低減との両方の効果を得ることができる。
また、本例の送信機1では、リミッタ係数演算部40の機能や乗算器33、34の機能により送信対象信号レベル抑圧手段が構成されている。
図4には、本例のピーク電力抑圧部71の構成例を示してある。
本例のピーク電力抑圧部71の構成は、図1に示されるピーク電力抑圧部12の構成と比べて、概略的には、図1に示される複数極大点検出部37の代わりにピーク検出部81が備えられている点と、図1に示される複数ピーク抑圧比補正部39の代わりにピーク抑圧比補正部82が備えられている点が異なっている。
ピーク検出部81は、瞬時電力演算部35から入力される瞬時電力P(t)と、閾値生成部36から入力される閾値電力Pthreshとを比較し、瞬時電力P(t)が閾値電力Pthreshを超える極大点を検出した場合には、当該極大点の極大点電力Pmaxをピーク抑圧比演算部38へ出力し、また、当該極大点の極大点サンプル時刻tmaxをピーク抑圧比補正部82とM個のピーク抑圧係数生成部D1〜DMへ出力する。
ピーク抑圧比演算部38は閾値電力Pthreshを超える極大点が検出された時に動作し、閾値生成部36から入力される閾値電力Pthreshと、ピーク検出部81から入力される極大点電力Pmaxに基づいて、例えば(式3)によって所定のピーク抑圧比rを算出し、当該算出結果をピーク抑圧比補正部82へ出力する。
本例のピーク抑圧比補正部82は、フリップフロップ(FF)91と、加算器92と、窓関数テーブル93と、フリップフロップ(FF)94と、乗算器95と、加算器96と、制御器97を備え、閾値電力Pthreshを超える極大点が検出された時に動作する。
加算器92は、ピーク検出部81から入力される極大点サンプル時刻tmaxから、フリップフロップ91から入力される過去の極大点サンプル時刻t’maxを減算して、隣接した2つの極大点サンプル時刻の差分Δtを算出し、当該算出結果を窓関数テーブル93へ出力する。差分Δtは、(式9)のように表される。
一例として、ハミング窓が用いられる場合には、窓関数値w(Δt)は(式10)のように表される。なお、Lはサンプル数であり、例えば2以上の2の倍数を表す。また、Δtは、0から(+L/2)の区間で値を取る([0≦Δt≦+L/2])。
なお、ピーク抑圧比補正値radjは、後述する極大点サンプル時刻t’maxを中心としたピーク抑圧係数の極大点サンプル時刻tmaxにおけるピーク抑圧係数と同値である。
加算器96は、ピーク抑圧比演算部38から入力されるピーク抑圧比rから、乗算器95から入力されるピーク抑圧比補正値radjを減算して補正後ピーク抑圧比Rを算出し、当該算出結果を制御器97とフリップフロップ94へ出力する。補正後ピーク抑圧比Rは、(式11)のように表される。
なお、補正後ピーク抑圧比Rが0又は負の値である場合には、極大点サンプル時刻t’maxを中心としたピーク抑圧係数によって極大点サンプル時刻tmaxの極大点電力Pmaxが閾値電力Pthresh以下に抑圧されるため、極大点サンプル時刻tmaxを中心としたピーク抑圧係数を生成する必要がないことを意味する。
フリップフロップ94は、制御器97から入力されるクロック信号に同期して、加算器96から入力される補正後ピーク抑圧比Rを、過去に算出された最新の補正後ピーク抑圧比R’として保持して、乗算器95へ出力する。
ピーク抑圧係数生成部D1〜DMは、抑圧の対象となる最大でM個のピークに対応して各々独立して動作し、それぞれ、例えばピーク抑圧比補正部82からスタート信号s1〜sMが入力されると、ピーク検出部81から入力される極大点サンプル時刻tmaxと、ピーク抑圧比補正部82から入力される補正後ピーク抑圧比Rとに基づいて、時刻(tmax−L/2)から時刻(tmax+L/2)の区間において、補正後ピーク抑圧比Rに対して窓関数w(t)により重みを与え、当該重みを与えた結果を各々のピーク抑圧係数g’1(t)〜g’M(t)としてリミッタ係数演算部40へ出力する。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係る送信機などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
Claims (2)
- 送信対象となる信号を処理する送信機において、
送信対象となる信号のレベルのピークを検出し、検出した複数のピークに基づいてこれら複数のピークをまとめて抑圧するためのピーク抑圧係数を生成する係数生成処理手段と、
前記係数生成処理手段により生成されたピーク抑圧係数により前記送信対象となる信号のレベルを抑圧する送信対象信号レベル抑圧手段と、
を備え、
前記係数生成処理手段は、前記送信対象となる信号のレベルを検出するレベル検出手段と、
前記送信対象となる信号のレベルに関する閾値を出力する閾値出力手段と、
前記レベル検出手段により検出されたレベルが前記閾値出力手段により出力された閾値以上となるもの又は当該閾値を超えるものをピークとして検出するピーク検出手段と、
所定の時間区間内において、時間的に最初のピークの時間位置と、時間的に最後のピークの時間位置と、レベルが最大となるピークのレベルを検出する時間区間内検出手段と、
前記閾値出力手段により出力された閾値及び前記時間区間内検出手段により検出されたレベルに基づいて所定のピーク抑圧比を生成するピーク抑圧比生成手段と、
前記時間区間内検出手段により検出された前記時間的に最初のピークの時間位置及び前記時間的に最後のピークの時間位置に基づいて前記ピーク抑圧比生成手段により生成されたピーク抑圧比を補正するピーク抑圧比補正手段と、
前記時間的に最初のピークの時間位置及び前記時間的に最後のピークの時間位置に基づく所定の時間位置と、前記ピーク抑圧比補正手段により補正されたピーク抑圧比に基づいて、ピーク抑圧係数を生成するピーク抑圧係数生成手段と、を有する、
ことを特徴とする送信機。 - 請求項1に記載の送信機において、
前記所定の時間区間内において1つのピークのみが検出された場合には、当該ピークの時間位置を時間的に最初のピークの時間位置及び時間的に最後のピークの時間位置として用いる、
ことを特徴とする送信機。
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