JP4615782B2 - スリーピースソリッドゴルフボール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スリーピースソリッドゴルフボールに関し、更に詳しくは低ヘッドスピードでの打撃時においてもソフトで良好な打球感を維持したまま、初期飛行性能において、低ヘッドスピードでの打撃時にも高打出角化および低スピン量化を実現することにより飛距離を向上させたスリーピースソリッドゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常市販されているゴルフボールには、ツーピ―スゴルフボールやスリーピースゴルフボールなどのソリッドゴルフボールと糸巻きゴルフボールがある。近年、ツーピ―スゴルフボールおよびスリーピースゴルフボールは、従来の糸巻きゴルフボールと同等のソフトな打球感を維持したまま、飛距離を増大させることが可能であることから、市場においても大半を占めている。また、スリーピースゴルフボールのようなマルチピースゴルフボールにおいては、ツーピースゴルフボールに比較して多種の硬度分布を得ることができ、飛行性能を損なうことなく打球感に優れたゴルフボールが提供されている。
【0003】
そのようなゴルフボールは、ツーピースゴルフボールのコアとカバーの間に中間層を設けてスリーピースにしたものであり、例えば、特許第2570587号公報、特許第2658811号公報、特開平9‐313643号公報、特開平10‐305114号公報、特開平11-114094号公報、特開2000‐70408号公報、同70409号、同70414号、同254252号等に開示されている。これらのゴルフボールにおいては、中間層にポリウレタン系等の熱可塑性エラストマー、アイオノマー樹脂、またはそれらの混合物等の熱可塑性樹脂を用いて、コア、中間層やカバーの硬度や硬度分布等を適性化させることにより、飛行性能と打球感を両立させる試みがなされている。
【0004】
そのような試みの中でも、特許第2658811号公報には、センターコアとカバーの間に中間層を設けたスリーピースソリッドゴルフボールであって、センターコアが直径26mm以上、比重1.4未満、JIS‐C硬度80以下であり、中間層がポリエステル熱可塑性エラストマーを主材として形成され、厚さ1mm以上、比重1.2未満、JIS‐C硬度80未満であり、カバーが厚さ1〜3mm、JIS‐C硬度85以上であるスリーピースソリッドゴルフボールが開示されている。
【0005】
特開平11-114094号公報には、コア(ソリッドコア)とカバー(外層カバー)の間に中間層(内層カバー)を設けたマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、コアの100kg荷重負荷時の変形量が3〜7mmであり、中間層がショアD硬度25〜58、厚さ0.5〜1.4mmで、カバーがショアD硬度30〜62、厚さ1.2〜2.3mmであると共に、上記カバーの厚さと中間層の厚さの比(カバーの厚さ/中間層の厚さ)が1.1〜4.6であることを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボールが開示されている。
【0006】
また、特開2000‐254252号公報には、コアとカバーの間に中間層(内層カバー)を設けた3層構造以上のゴルフボールであって、コア内の硬度差を小さくし、コア表面硬度、中間層(内層カバー)、カバー(最外層カバー)の順に硬度が高くなるような硬度分布を有し、ディンプル性状(ディンプルの直径、深さ、総数等)を適正化したゴルフボールが開示されている。
【0007】
しかしながら、前述のようなゴルフボールはすべて、低ヘッドスピードでの打撃時において、高打出角化および低スピン量化することは全く考慮されていないため、飛行性能が損なわれ、打球感も硬くて悪いという問題があった。従って、未だ飛行性能と打球感の両立という観点で満足のいくものは得られておらず、更に打球感の向上と共に、飛行性能の優れたゴルフボールヘの要求がますます高まりつつある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来のソリッドゴルフボールの有する問題点を解決し、低ヘッドスピードでの打撃時においてもソフトで良好な打球感を維持したまま、初期飛行性能において、低ヘッドスピードでの打撃時にも高打出角化および低スピン量化を実現することにより飛距離を向上させたスリーピースソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、センターの圧縮変形量、センター内の硬度分布、並びにセンター表面、中間層およびカバーの各層間の硬度分布を特定範囲に規定することにより、低ヘッドスピードでの打撃時においてもソフトで良好な打球感を維持したまま、初期飛行性能において、低ヘッドスピードでの打撃時にも高打出角化および低スピン量化を実現することにより飛距離を向上させたスリーピースソリッドゴルフボールが得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、センター(1)と該センター上に形成された中間層(2)と該中間層を被覆するカバー(3)とから成るスリーピースソリッドゴルフボールにおいて、
該センター(1)が、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量3.5〜5.5mmを有し、ショアD硬度による表面硬度(HS)36〜50を有し、かつ該表面硬度(HS)とショアD硬度による中心硬度(HC)との差(HS−HC)10〜40を有し、
該中間層(2)の基材樹脂が熱可塑性エラストマー/アイオノマー樹脂の重量比20/80〜70/30を有する熱可塑性樹脂から形成され、かつ該中間層がショアD硬度による硬度(HM)36〜50を有し、
該カバー(3)の基材樹脂がアイオノマー樹脂を主材として含有する熱可塑性樹脂から形成され、該カバーがショアD硬度による硬度(HL)58〜69を有し、該センターの表面硬度(HS)と該中間層硬度(HM)との差(HS−HM)が0〜15であり、かつ該カバー硬度(HL)と該中間層硬度(HM)との差(HL−HM)が10〜28であることを特徴とするスリーピースソリッドゴルフボールに関する。
【0011】
更に、本発明を好適に実施するためには、上記中間層(2)が厚さ1.0〜2.1mmを有し、かつ上記カバー(3)が厚さ1.0〜2.1mmを有することが好ましい。
【0012】
本発明のスリーピースソリッドゴルフボールを図1を参照して説明する。図1は本発明のゴルフボールの1つの態様の概略断面図である。本発明のスリーピースソリッドゴルフボールでは、センター(1)上に中間層(2)を形成し、該中間層(2)上にカバー(3)を形成する。センター(1)は、基材ゴム、共架橋剤、有機過酸化物、充填材等を含有するゴム組成物を、通常のソリッドゴルフボールのコアに用いられる方法、条件を用いて加熱プレスして加硫することにより得られる。
【0013】
基材ゴムとしては、従来からソリッドゴルフボールに用いられている合成ゴムが用いられ、特にシス‐1,4‐結合少なくとも40%以上、好ましくは80%以上を有するいわゆるハイシスポリブタジエンゴムが好ましく、所望により、上記ポリブタジエンゴムには天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム(EPDM)等を配合してもよい。
【0014】
共架橋剤としては、特に限定されないが、アクリル酸またはメタクリル酸等のような炭素数3〜8個のα,β‐不飽和カルボン酸、またはその亜鉛、マグネシウム塩等の一価または二価の金属塩、またはそれらの混合物等が挙げられるが、高い反発性を付与するアクリル酸亜鉛が好適である。上記共架橋剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して、好ましくは20〜35重量部、より好ましくは22〜32重量部である。20重量部未満では加硫が十分に行われず軟らくなり過ぎて、反発性が低下して飛距離が低下し、35重量部より多いとボールが硬くなり過ぎて打球感が悪くなる。
【0015】
有機過酸化物は、架橋剤または硬化剤として作用し、例えばジクミルパーオキサイド、1,1‐ビス(t‐ブチルパーオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)へキサン、ジ‐t‐ブチルパーオキサイド等が挙げられ、ジクミルパーオキサイドが好適である。
上記有機過酸化物の配合量は、ポリブタジエン100重量部に対して、0.1〜3.0重量部、好ましくは0.1〜2.8重量部、より好ましくは0.2〜2.5重量部である。0.1重量部未満では、軟らかくなり過ぎて、反発性が低下して飛距離が低下する。3.0重量部を越えると、硬くなり過ぎて打球感が悪くなる。
【0016】
充填材は、ゴルフボールのコアに通常配合されるものであればよく、例えば無機塩(具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)、高比重金属粉末(例えば、タングステン粉末、モリブデン粉末等)およびそれらの混合物が挙げられる。配合量はカバーおよびセンターの比重、大きさ等に左右され限定的ではないが、基材ゴム100重量部に対して、通常用いられる5〜50重量部とする。
【0017】
更に本発明のゴルフボールのセンター(1)には、老化防止剤またはしゃく解剤、硫黄、その他ソリッドゴルフボールのセンターの製造に通常使用し得る成分を適宜配合してもよい。尚、使用する場合、配合量は基材ゴム100重量部に対して、老化防止剤は0.1〜2.0重量部、しゃく解剤は0.1〜2.0重量部、硫黄は0.01〜1.0重量部が好ましい。
【0018】
本発明のゴルフボールに用いられるセンター(1)は一般に、前述のゴム組成物を金型内で130〜180℃、圧力2.8〜9.8MPaで10〜50分間加硫成形することにより得ることができるが、前述のように特に限定されない。本発明のゴルフボールでは、センター(1)の直径は34.2〜38.8mm、好ましくは35.0〜37.6mmである。34.2mmより小さいと中間層およびカバーが厚くなり、センターにより反発性を向上する効果が十分に得られなくなる。38.8mmより大きいと中間層やカバーの厚さが小さくなり、中間層やカバーによる衝撃吸収効果が得られなくなる。
【0019】
本発明のゴルフボールでは、センター(1)は初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量3.5〜5.5mmを有することを要件とするが、好ましくは3.5〜5.4mm、より好ましくは3.5〜5.3mmである。上記変形量が3.5mmより小さいとセンターが硬くなり過ぎて打撃時に変形しにくくなって打球感が悪くなり、また打出角が低くなりスピン量も多くなって飛行性能が低下する。5.5mmより大きいとセンターが軟らかくなり過ぎて、反発性が低下して飛距離が低下する。
【0020】
本発明のゴルフボールでは、上記センター(1)がショアD硬度による表面硬度(HS)と中心硬度(HC)との差(HS−HC)10〜40を有することを要件とするが、好ましくは12〜40、より好ましくは12〜37である。上記硬度差が40より大きいと、耐久性が低下し、打球感も悪くなる。上記硬度差が10よりも小さいと、打球感が重くて悪くなる。
【0021】
本発明のゴルフボールでは、上記センター(1)が表面硬度(HS)36〜50を有することを要件とするが、好ましくは36〜49、より好ましくは37〜49である。上記表面硬度が36より小さいと、軟らかくなり過ぎて反発性が低下して飛距離が低下する。50より大きいと、硬くなり過ぎて打球感が悪くなり、また打出角が低下し、スピン量が大きくなって、反発性能が低下する。
【0022】
尚、本明細書中で用いられる「センターの表面硬度(HS)」とは、作製したセンターの外表面で測定したショアD硬度を意味し、「センターの中心硬度(HC)」とは、センターを2等分切断し、その切断面の中心点で測定したショアD硬度を意味する。
【0023】
また、上記センター(1)の比重は、通常1.05〜1.25であり、所望のゴルフボール重量を得るため、充填材の配合量等で適宜調整することができる。次いで、上記センター(1)上には、中間層(2)を被覆する。
【0024】
本発明の中間層(2)は、熱可塑性樹脂、例えばアイオノマー樹脂または熱可塑性エラストマー、若しくはそれらの混合物を基材樹脂として含有する。本発明の中間層(2)の好ましい材料の例としては、1種以上の熱可塑性エラストマーと1種以上のアイオノマー樹脂との組合せが好適に用いられる。
【0025】
上記熱可塑性エラストマーとしては、例えば東レ(株)から商品名「ペバックス」で市販されている(例えば、「ペバックス2533」)ポリアミド系熱可塑性エラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル」で市販されている(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)ポリエステル系熱可塑性エラストマー、BASFポリウレタンエラストマーズ(株)から商品名「エラストラン」で市販されている(例えば、「エラストランET880」)ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、大日本インキ化学工業(株)から商品名「パンデックス」で市販されている(例えば、「パンデックスT‐8180」)ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン」で市販されている(例えば、「ラバロンSR04」)スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。特にポリエステル系もしくはスチレン系熱可塑性エラストマーが反発性能に優れることから好ましい。
【0026】
上記スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレンブロックを有する熱可塑性エラストマー、即ちスチレンブロックと共役ジエン化合物ブロックとから成るブロック共重合体で、共役ジエン化合物としては、たとえばブタジエン、イソプレン、1,3‐ペンタジエン、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン等の中から1種または2種以上が選択でき、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
【0027】
ここで上記スチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(SBS);スチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体(SIS);スチレン‐イソプレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(SIBS);またはこれらの水添物;であってもよい。即ち、前記スチレン系熱可塑性エラストマーは、SBSまたはその水添物、SISまたはその水添物、SIBSまたはその水添物であることが可能である。SBSの水添物としては、例えば、スチレン‐エチレン‐ブチレン‐スチレンブロック共重合体(SEBS)を使用することができる。SISの水添物としては、たとえば、スチレン‐エチレン‐プロピレン‐スチレンブロック共重合体(SEPS)を使用することができる。SIBSの水添物としては、たとえば、スチレン‐エチレン‐エチレン‐プロピレン‐スチレンブロック共重合体(SEEPS)を使用することができる。
【0028】
また、上記スチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(SBS)、SBSの水添物、スチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体(SIS)、SISの水添物、スチレン‐イソプレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(SIBS)またはSIBSの水添物と、オレフィンと、のポリマーアロイであってもよい。それらの具体例として三菱化学(株)から商品名「ラバロン」で市販されているもの(例えば、「ラバロンSJ4400N」、「ラバロンSJ5400N」、「ラバロンSJ6400N」、「ラバロンSJ7400N」、「ラバロンSJ8400N」、「ラバロンSJ9400N」、「ラバロンSR04」等)が挙げられる。
【0029】
前記スチレンブロックを有する熱可塑性エラストマーの具体例としては、例えばスチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(SBS)、そのブタジエンの二重結合部分を水素添加したスチレン‐エチレン‐ブチレン‐スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体(SIS)、そのイソプレン二重結合部分を水素添加したスチレン‐エチレン‐プロピレン‐スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン‐イソプレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(SIBS)、そのブタジエンもしくはイソプレンの二重結合部分を水素添加したスチレン‐エチレン‐エチレン‐プロピレン‐スチレンブロック共重合体(SEEPS)およびそれらを変性したもの等が挙げられる。
【0030】
本発明では、上記SBS、SEBS、SIS、SEPSのブロック共重合体の一部にエポキシ基を含有してもよい。例えば、エポキシ基を含有するスチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(SBS)とは、両末端にポリスチレンを有するブロック共重合体で、その中間層がエポキシ基を含有するポリブタジエンである。そしてそのポリブタジエン部分の二重結合の一部または全部に水素添加したものであってもよい。また、エポキシ基を含有するスチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体(SIS)とは、両末端にポリスチレンを持つブロック共重合体で、その中間層がエポキシ基を含有するポリイソプレンであり、そのポリイソプレン部分の二重結合の一部または全部に水素添加したものであってもよい。このエポキシ化SBSまたはSISのブロック共重合体の市販品としては、例えばダイセル化学工業(株)から商品名「エポフレンド」で市販されているもの(例えば、「エポフレンドA1010」等)が挙げられる。また上記末端に水酸基が付加したSEBSまたはSEPSを持つブロック共重合体の市販品としては、例えば(株)クラレから商品名「セプトン」で市販されているもの(例えば、「セプトンHG‐252」等)が挙げられる。
【0031】
上記アイオノマー樹脂としては、α‐オレフィンとα,β‐不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、またはα‐オレフィンとα,β‐不飽和カルボン酸とα,β‐不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したものである。上記α‐オレフィンとしては、エチレン、プロピレンが好ましい。上記のα,β‐不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸とメタクリル酸が好ましい。また、α,β‐不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n‐ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルが好ましい。上記エチレンとα,β‐不飽和カルボン酸との共重合体中や、エチレンとα,β‐不飽和カルボン酸とα,β‐不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、アルミニウム、錫、ジルコニウム、カドミウムイオン等が挙げられるが、特にナトリウム、亜鉛、リチウム、マグネシウムイオンが反発性、耐久性等からよく用いられ好ましい。
【0032】
上記アイオノマー樹脂の具体例としては、それだけに限定されないが、ハイミラン(HI‐MILAN)1555、ハイミラン1557、ハイミラン1601、ハイミラン1605、ハイミラン1652、ハイミラン1705、ハイミラン1706、ハイミラン1707、ハイミラン1855、ハイミラン1856(三井デュポンポリケミカル社製)、サーリン(Surlyn)8945、サーリン9945、サーリン6320、サーリン8320、サーリン9320(デュポン社製)、アイオテック(Iotek)7010、アイオテック8000(エクソン(Exxon)社製)等を例示することができる。これらのアイオノマーは、上記例示のものをそれぞれ単独または2種以上の混合物として用いてもよい。
【0033】
本発明のゴルフボールでは、中間層用基材樹脂は上記熱可塑性エラストマーの1種以上と、上記アイオノマー樹脂の1種以上との組合せを含有することが好ましく、両者の配合量としては、熱可塑性エラストマー/アイオノマー樹脂の重量比20/80〜70/30、好ましくは20/80〜65/35、より好ましくは20/80〜60/40を有するように設定するのが望ましい。上記熱可塑性エラストマーの配合量が、中間層用基材樹脂100重量部に対して、20重量部より少ないと、熱可塑性エラストマーを配合することによる打球感を向上する効果が十分に得られなくなる。上記熱可塑性エラストマーの配合量が70重量部より多く、アイオノマー樹脂が30重量部より少ないと、中間層が軟らかくなり過ぎて、反発性が低下して飛距離が低下したり、耐久性が低下する。
【0034】
また中間層(2)用の組成物の比重は0.90〜1.25であるが、上記のような基材樹脂に加えて、必要に応じて充填材等を含有してもよい。充填材としては、例えば無機充填材(具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)、高比重金属粉末(例えば、タングステン粉末、モリブデン粉末等)およびそれらの混合物が挙げられる。
【0035】
本発明の中間層(2)は、ゴルフボールのカバーの形成に使用されている一般に公知の方法を用いて形成することができ、特に限定されるものではない。中間層用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてソリッドセンターを包み、加圧成形するか、または上記中間層用組成物を直接センター上に射出成形してセンターを包み込む方法を用いてもよい。
【0036】
本発明のゴルフボールでは、中間層(2)がショアD硬度36〜50を有することを要件とするが、好ましくは36〜49、より好ましくは37〜49である。上記中間層硬度が36より小さいと、反発性が低下し、打出角が低くなって、飛行性能が低下し、また打球感も重くて悪いものとなる。上記中間層硬度が50より大きいと、硬くなり過ぎて、打球感が硬くて悪いものとなる。
【0037】
本発明のゴルフボールでは、上記センター(1)の表面硬度(HS)と上記中間層硬度(HM)との差(HS−HM)が0〜15であることを要件とするが、上記硬度差は好ましくは0〜14、より好ましくは0〜13である。上記硬度差が0より小さい、即ち上記中間層硬度がセンターの表面硬度より高くなると、打球感が硬くて悪いものとなる。上記硬度差が15より大きくなると、反発性が低下し、打出角が低くなりスピン量も多くなって、飛行性能が低下する。
【0038】
本発明のゴルフボールでは、中間層(2)の厚さは、1.0〜2.1mm、好ましくは1.1〜2.1mm、より好ましくは1.1〜2.0mmであることが望ましい。上記中間層の厚さが1.0mmより小さいと薄くなり過ぎて中間層の効果が十分に得られなくなって、得られるゴルフボールの変形量が小さくなり、打出角が低くなって、飛行性能が低下し、また打球感も悪いものとなる。更に射出成形が困難となり生産性も低下する。上記中間層の厚さが2.1mmより大きいとセンターの効果が十分に得られなくなり反発性が低下して飛行性能が低下し、また打球感が硬くて悪いものとなる。次いで、上記中間層(2)上には、カバー(3)を被覆する。
【0039】
本発明のゴルフボールに用いられるカバー(3)には、熱可塑性樹脂、特に上記中間層(2)に用いたものと同様のアイオノマー樹脂、またはその混合物を用いることができる。更に、本発明のカバー(3)の好ましい材料の例としては、上記のようなアイオノマー樹脂のみであってもよいが、上記中間層(2)に用いたものと同様の熱可塑性エラストマーの1種以上とを組合せて用いてもよい。
【0040】
また、本発明において、上記カバー用組成物には、主成分としての上記基材樹脂の他に必要に応じて、硫酸バリウム等の充填材や二酸化チタン等の着色剤や、その他の添加剤、例えば分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤並びに蛍光材料または蛍光増白剤等を、ゴルフボールカバーによる所望の特性が損なわれない範囲で含有していてもよいが、通常、着色剤の配合量はカバー用基材樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が好ましい。
【0041】
カバー(3)を被覆する方法も、上記中間層(2)を被覆する方法と同様の方法を用いることができる。本発明のゴルフボールにおいて、カバーの厚さは、1.0〜2.1mm、好ましくは1.1〜2.1mm、より好ましくは1.1〜2.0mmである。上記カバーの厚さが1.0mmより小さいと薄くなり過ぎてカバーの効果が十分に得られなくなり、反発性が低下して飛行性能が低下し、また耐久性が悪化する。更に射出成形が困難となり生産性も低下する。上記カバーの厚さが2.1mmより大きいとセンターおよび中間層の効果が十分に得られなくなり得られるゴルフボールが硬くなり過ぎて打球感が悪いものとなる。
【0042】
本発明のゴルフボールでは、カバー(3)のショアD硬度による硬度(HL)と中間層(2)の硬度(HM)との差(HL−HM)が10〜28であることを要件とするが、ショアD硬度による両者の硬度差は好ましくは11〜28、より好ましくは12〜28である。上記硬度差が、10より小さいと打球感が硬くて悪いものとなり、28より大きいと耐久性が悪いものとなる。
【0043】
本発明のゴルフボールでは、カバー(3)が硬度(HL)58〜69を有することを要件とするが、好ましくは58〜68、より好ましくは58〜66である。上記カバー硬度が58より小さいと、反発性が低下し、打出角が低くなりスピン量も多くなって、飛行性能が低下し、また打球感も重くて悪いものとなる。上記カバー硬度が69より大きいと、打球感が硬くて悪いものとなる。尚、本明細書中で中間層硬度およびカバー硬度とは、中間層用またはカバー用組成物から作製された厚さ約2mmの熱プレス成形シートを23℃で2週間保存後、そのシートを3枚以上重ねて測定した硬度を意味する。
【0044】
カバー成形時、ディンプルと呼ばれるくぼみを多数表面上に形成する。上記ディンプルは、円形であっても、非円形、例えば多角形、星形、楕円等であってもよく、円形ディンプルの場合にはシングルラジアスであっても、ダブルラジアスであっても、両者の組合せであってもよい。上記ディンプルは、直径の異なる2種以上、好ましくは2〜5種を有する。上記ディンプルがすべて同一直径を有すると、飛行時のボールの周りの空気の流れを乱しにくく、飛行性能が悪化する。上記ディンプルの直径は2〜5mm、好ましくは2.3〜4.8mmである。上記ディンプルの直径が2mmより小さいと、ディンプル開口部の面積が小さくなり過ぎてディンプル効果が十分に得られなくなる。上記ディンプルの直径が5mmより大きいと、ボール表面に配置する個数が少なくなってディンプル効果が十分に得られなくなる。
【0045】
上記ディンプルの総数は、360〜450個、好ましくは360〜432個であることが望ましい。上記ディンプル総数が360個より少ないとディンプルの効果が十分に得られなくなり飛行性能が低下し、450個より多いと弾道が低くなり過ぎて飛行性能が低下する。
【0046】
上記ディンプルの総容積は、290〜340mm3、好ましくは295〜335mm3であることが望ましい。上記ディンプル総容積が290mm3より小さいとディンプルの効果が十分に得られなくなり飛行性能が低下し、340mm3より大きいと弾道が低くなり過ぎて飛行性能が低下する。
【0047】
上記ディンプルのゴルフボール表面積に対する占有率は、60〜90%、好ましくは65〜88%、より好ましくは70〜85%とするのが好適である。上記ディンプル占有率が60%より小さいとディンプルの効果が十分に得られなくなって飛行性能が低下し、90%より大きいとドライバーでの打撃時に吹き上がる弾道となり飛行性能が低下する。
【0048】
尚、本明細書中でディンプル総容積および占有率とは、ゴルフボール表面での状態を測定したものであり、カバー上に表面塗装されている場合は塗装状態で測定したものである。また、ディンプル総容積とは、各ディンプル縁部によって囲まれる平面下のディンプル空間の体積の総和であり、ディンプル占有率とはディンプルエッジ(開口部)によって囲まれた平面の面積の総和の、表面に全くディンプルが存在しない真球体であると仮定した場合のゴルフボールの表面積に対する割合である。
【0049】
本発明のゴルフボールは美観を高め、商品価値を上げるために、通常ペイント仕上げ、マーキングスタンプ等を施されで市場に投入される。本発明のゴルフボールは、ゴルフボール規則に基づいて、直径42.67mm以上(好ましくは42.67〜42.82mm)、重量45.93g以下に形成される。
【0050】
【実施例】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0051】
センターの作製
以下の表1(実施例)および表2(比較例)に示した配合のセンター用ゴム組成物を混練ロールにより混練し、同表に示した加硫条件にて金型内で加熱プレスすることにより球状のセンターを得た。得られたセンターの直径、圧縮変形量、中心硬度(HC)および表面硬度(HS)を測定し、その結果を表5(実施例)および表6(比較例)に示した。上記硬度値の結果から、センターの表面硬度と中心硬度との差を計算により求め、硬度差(HS−HC)として同表に示した。試験方法は後記の通り行った。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
(注1)JSR(株)から商品名「BR‐01」で市販のハイシスポリブタジエンゴム
(注2)吉富製薬(株)から商品名「ヨシノックス425」で市販の老化防止剤
【0055】
中間層およびカバー用組成物の調製
以下の表3(実施例)および表4(比較例)に示す中間層およびカバー用配合材料をそれぞれ二軸混練押出機によりミキシングし、ペレット状のカバー用組成物を得た。押出条件は、
スクリュー径 45mm
スクリュー回転数 200rpm
スクリューL/D 35
であり、配合物は押出機のダイの位置で200〜260℃に加熱された。得られた中間層およびカバー用組成物から作製された厚さ約2mmの熱プレス成形シートを23℃で2週間保存後、そのシートを3枚以上重ねて、ASTM‐D2240に規定されるスプリング式硬度計ショアD型を用いて測定し、それぞれ中間層硬度(HM)およびカバー硬度(HL)とした。その結果を表5(実施例)および表6(比較例)に示した。それらの結果から硬度差(HS−HM)および(HL−HM)を計算により求め、同表に示した。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
(注3)デュポン社製のナトリウムイオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
(注4)デュポン社製の亜鉛イオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
(注5)商品名、東レ・デュポン(株)製のポリエステル系熱可塑性エラストマー
(注6)商品名、三菱化学(株)製のスチレン系熱可塑性エラストマー
(注7)商品名、BASFポリウレタンエラストマーズ(株)製のポリウレタン系熱可塑性エラストマー
(注8)商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製のナトリウムイオン中和エチレン‐メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
(注9)商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン中和エチレン‐メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
(注10)商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン中和エチレン‐メタクリル酸‐アクリル酸エステル三元共重合体系アイオノマー樹脂
(注11)商品名、デュポン社製のナトリウムイオン中和タイプのエチレン-メタクリル酸-メタクリル酸エステル三元共重合体
【0059】
中間層の形成
得られた中間層用組成物を、上記センター上に射出成形することにより、表5(実施例)および表6(比較例)に示した厚さを有する中間層を形成した。
【0060】
実施例1〜6および比較例1〜7
得られたカバー用組成物を、上記の中間層上にディンプル付き金型を用いて射出成形することにより、表5(実施例)および表6(比較例)に示した厚さを有するカバー層を形成し、表面にペイントを塗装して、直径42.75mmおよび重量45.3gを有するゴルフボールを得た。得られたゴルフボールのディンプル性状(ディンプル総数、ディンプル総容積およびディンプル占有率)、飛行性能(打出角、スピン量および飛距離)および打球感を測定または評価し、その結果を以下の表7(実施例)および表8(比較例)に示した。試験方法は以下の通り行った。
【0061】
(試験方法)
(1)硬度
(i)センター硬度
作製したセンターの外表面で測定したショアD硬度を、センターの表面硬度(HS)とし、センターを2等分切断し、その切断面の中心点、中心から5mm、10mmおよび15mmの位置においてショアD硬度を測定し、得られた中心硬度から表面硬度までの、最大値と最小値の差を計算により求め、センターの硬度差とした。ショアD硬度は、ASTM‐D2240に規定されるスプリング式硬度計ショアD型を用いて測定した。
【0062】
(ii)中間層およびカバー硬度
各中間層およびカバー用組成物から作製された厚さ約2mmの熱プレス成形シートを23℃で2週間保存後、そのシートを3枚以上重ねて、ASTM‐D2240に規定されるスプリング式硬度計ショアD型を用いて測定した(スラブ硬度)。
【0063】
(2)圧縮変形量
センターに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量を測定することにより決定した。
【0064】
(3)ディンプル性状
(i)ディンプル総容積
ディンプル総容積は、各ディンプル容積の総和であり、ディンプル容積は、図2に示すように、ディンプルエッジ(開口部)ABを含む接平面Cと、ディンプル表面(凹部)とによって囲まれる部分Dの容積である。具体的には、ディンプル総容積の測定は、表面形状測定機を用いて断面形状を測定し、その形状に基づいてディンプルの容積を算出した。
【0065】
(ii)ディンプル占有率
ディンプルエッジ(開口部)によって囲まれた平面の面積の総和の、表面に全くディンプルが存在しない真球体であると仮定した場合のゴルフボールの表面積に対する割合を求めた。
【0066】
(4)飛行性能
(i)飛行性能1
ツルーテンパー社製スイングロボットにメタルヘッド製ウッドl番クラブ(W#1、ドライバー)を取付け、ヘッドスピード35m/秒に設定して各ゴルフボールを打撃し、打ち出し直後の打出角およびスピン量(バックスピン)、並びに飛距離(打撃点からボール停止点までのトータル距離)を測定した。測定は各ゴルフボールについて5回ずつ行って、その平均値を算出して各ゴルフボールの結果とした。
(ii)飛行性能2
ツルーテンパー社製スイングロボットにウッドl番クラブ(W#1、ドライバー)を取付け、ヘッドスピード40m/秒に設定して各ゴルフボールを打撃し、打ち出し直後の打出角およびスピン量(バックスピン)、並びに飛距離(打撃点からボール停止点までのトータル距離)を測定した。測定は各ゴルフボールについて5回ずつ行って、その平均値を算出して各ゴルフボールの結果とした。
【0067】
(5)打球感
打撃時に低ヘッドスピード(33〜40m/秒)のゴルファー10人により、メタルヘッド製ドライバー(W#1)を用いた実打テストを行い、打球感として、打撃時のボールの上がり易さ、衝撃の大きさおよび反発感の有無を評価する。
判定基準は以下の通りとした。最も多い評価を各ゴルフボールの結果とした。
【0068】
(試験結果)
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】
【表7】
【0071】
【表8】
【0072】
以上の結果より、本発明の実施例1〜7のゴルフボールは、比較例1〜6のゴルフボールに比べて、低ヘッドスピードでの打撃時においても、ソフトで良好な打球感を維持したまま、初期飛行性能において高打出角化および低スピン量化により飛距離を向上させ得ることがわかった。
【0073】
これに対して、比較例1のゴルフボールは、センターの表面と中心の硬度差(HS−HC)が小さ過ぎて、弾きがよくて軽いが、衝撃が大きくて硬い打球感となっている。比較例2のゴルフボールは、中間層硬度が高く、中間層硬度がセンターの表面硬度より高いため、打球感が硬くて悪いものとなっている。
【0074】
比較例3のゴルフボールは、カバー硬度が低過ぎて、反発性が低く、打出角が低くスピン量が大きくて飛距離が短くなっており、また打球感も硬くて悪いものとなっている。比較例4のゴルフボールは、中間層硬度が低くなり過ぎて、センターの表面との硬度差が大きいため、打出角が低くスピン量が大きくて飛距離が短くなっており、また打球感も重くてボールが上がりにくくて悪いものとなっている。
【0075】
比較例5のゴルフボールは、カバーが硬度が低くなり過ぎ、中間層の熱可塑性エラストマー配合量が多過ぎて、打出角が低くスピン量が大きくて飛距離が短くなっている。更に、センターの表面と中心の硬度差(HS−HC)も小さくて、打球感も重くて悪いものとなっている。比較例6のゴルフボールは、中間層の熱可塑性エラストマーの配合量が多過ぎアイオノマー樹脂が少なくなり過ぎて反発性が低下して飛距離が低下している。更に打球感も反発感のない重くて悪いものとなっている。
【発明の効果】
本発明のスリーピースソリッドゴルフボールは、センターの圧縮変形量、センター内の硬度分布、並びにセンター表面、中間層およびカバーの各層間の硬度分布を特定範囲に規定することにより、低ヘッドスピードでの打撃時においてもソフトで良好な打球感を維持したまま、初期飛行性能において、低ヘッドスピードでの打撃時にも高打出角化および低スピン量化を実現することにより飛距離を向上させ得たものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゴルフボールの1つの態様の断面概略図である。
【図2】 本発明のディンプル総容積の測定方法の説明に用いるディンプルの概略断面図である。
【符号の説明】
1 … センター
2 … 中間層
3 … カバー
Claims (2)
- センター(1)と該センター上に形成された中間層(2)と該中間層を被覆するカバー(3)とから成るスリーピースソリッドゴルフボールにおいて、
該センター(1)が、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量3.5〜5.5mmを有し、ショアD硬度による表面硬度(HS)と中心硬度(HC)との差(HS−HC)12〜37を有し、かつ該表面硬度(HS)36〜50を有し、
該中間層(2)の基材樹脂が熱可塑性エラストマー/アイオノマー樹脂の重量比20/80〜70/30を有する熱可塑性樹脂から形成され、該熱可塑性エラストマーがスチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(SBS)、SBSの水添物、スチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体(SIS)、SISの水添物、スチレン‐イソプレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(SIBS)またはSIBSの水添物と、オレフィンと、のポリマーアロイであるスチレン系熱可塑性エラストマーであり、かつ該中間層がショアD硬度による硬度(HM)36〜50を有し、
該カバー(3)の基材樹脂がアイオノマー樹脂を主材として含有する熱可塑性樹脂から形成され、該カバーがショアD硬度による硬度(HL)58〜69を有し、
該センターの表面硬度(HS)と該中間層硬度(HM)との差(HS−HM)が0〜15であり、かつ該カバー硬度(HL)と該中間層硬度(HM)との差(HL−HM)が10〜28であることを特徴とするスリーピースソリッドゴルフボール。 - 前記中間層(2)が厚さ1.0〜2.1mmを有し、かつ前記カバー(3)が厚さ1.0〜2.1mmを有する請求項1記載のスリーピースソリッドゴルフボール。
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