JP4614856B2 - 磁気検出装置及びそれを用いた電子方位計 - Google Patents

磁気検出装置及びそれを用いた電子方位計 Download PDF

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本発明は磁気検出装置及びそれを用いた電子方位計に関する。
電子的に方位測定を行う場合には、地磁気を検出する磁気センサを用いて行う。磁気センサを含む磁気検出回路を用いて方位を求める場合に、磁気センサに対して交流的なバイアス磁界を印加し、それぞれの極性のバイアス磁界を印加したときに磁気センサから出力される電圧を測定する技術が知られている。この電圧値をコンデンサに記憶し、極性毎の電圧値の差を用いて方位を算出することにより、磁気センサ固有のオフセット特性、ヒステリシス特性に起因する誤差を消去することができる。
特許第3318761号公報
しかしながら、上記磁気検出回路においては、回路中のアンプ(増幅器)から出力される電圧の差分値に不可避的にアンプ固有のオフセット電圧が含まれており、このオフセット電圧が方位誤差に繋がるという問題がある。通常このオフセット電圧は数mVであり、このオフセット電圧により方位が5°から10°ずれてしまう。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、検出回路から出力される電圧に不可避的にオフセット電圧が生じても方位誤差に繋がらない磁気検出装置及びそれを用いた電子方位計を提供することを目的とする。
本発明の磁気検出装置は、磁気を検出する磁気センサと、前記磁気センサに極性を反転させてバイアス磁界を印加するバイアス磁界発生手段と、前記磁気センサに極性の反転した大きさの等しい第1,第2の電圧を印加する電圧印加手段と、それぞれの極性のバイアス磁界に対して得られた電圧値を検出する検出手段と、前記電圧値を用いて方位を求める演算手段と、を具備し、前記検出手段は、前記第1の電圧に対してそれぞれの極性のバイアス磁界を印加して得られた電圧値の差である第1出力電圧と、前記第2の電圧に対してそれぞれの極性のバイアス磁界を印加して得られた電圧値の差である第2出力電圧とを求め、両者の差分から磁界を検出する際に、前記第1及び第2出力電圧に含まれる、前記磁界についてのオフセット電圧を消去することを特徴とする。
この構成によれば、磁気検出において、バイアス磁界及び電圧の極性を反転させて求められた第1及び第2出力電圧の差分をとることにより、回路内部で発生するオフセット電圧を除去することができる。
本発明の磁気検出装置は、磁気を検出する磁気センサと、前記磁気センサに極性を反転させてバイアス磁界を印加するバイアス磁界発生手段と、前記磁気センサに電圧を印加する電圧印加手段と、それぞれの極性のバイアス磁界に対して得られた電圧値を検出する検出手段と、前記電圧値を用いて方位を求める演算手段と、を具備し、前記検出手段は、それぞれの極性のバイアス磁界を印加して得られた第1,第2電圧値を各々入力させ、前記第1電圧値から前記第2電圧値を減算するか、前記第2電圧値から前記第1電圧値を減算するかを切り替える手段を有し、切り替え前後の値の差分をとって磁界を検出する際に、前記磁界についてのオフセット電圧を消去することを特徴とする。
この構成によれば、それぞれの極性のバイアス磁界を印加して得られた第1,第2電圧値を入れ替えて減算し、その減算結果の差分をとることにより、回路内部で発生するオフセット電圧を除去することができる。
本発明の磁気検出装置においては、前記磁気センサは、磁界に対して対象性のある抵抗変化を示す磁気抵抗素子を含むことが好ましい。この場合において、磁気抵抗素子は、GIG素子又はMR素子であることが好ましい。また、本発明の磁気検出装置においては、前記磁気センサは、磁界に対して単調に変化する抵抗変化を示す磁気抵抗素子を含むことが好ましい。この場合において、磁気抵抗素子は、GMR素子であることが好ましい。
本発明の磁気検出装置においては、前記磁気センサは、ブリッジ回路で構成されていることが好ましい。
本発明の電子方位計は、上記の複数の磁気検出装置と、前記複数の磁気検出装置により求められたそれぞれの差分電圧を用いて方位を求める方位算出手段と、を具備することを特徴とする。
この構成によれば、磁気抵抗変化から求めた差分電圧を用いて方位算出が可能になる。この場合、本発明に係る磁気検出装置において、回路内部で発生するオフセット電圧を除去することができるので、より精度の高い方位算出が可能になる。
本発明によれば、第1の電圧に対して極性を反転させたバイアス磁界を印加して得られた電圧値から求めた第1出力電圧と、第2の電圧に対して極性を反転させたバイアス磁界を印加して得られた電圧値から求めた第2出力電圧との差分をとるので、磁気検出回路中のアンプから出力される電圧に不可避的に発生するオフセット電圧を消去することができる。これにより、方位誤差なく方位を算出することが可能となる。
本発明者は、磁気検出回路中のアンプから出力される電圧に不可避的にオフセット電圧が生じ、このオフセット電圧が方位誤差に繋がることに着目し、このオフセット電圧は、第1の電圧に対して極性を反転させたバイアス磁界を印加して得られた電圧値から求めた第1出力電圧と、第2の電圧に対して極性を反転させたバイアス磁界を印加して得られた電圧値から求めた第2出力電圧との差分により前記第1及び第2出力電圧を求める際に生じるオフセット電圧を消去することができることを見出し本発明をするに至った。
すなわち、本発明の骨子は、第1の電圧に対して極性を反転させたバイアス磁界を印加して得られた電圧値から求めた第1出力電圧と、第2の電圧に対して極性を反転させたバイアス磁界を印加して得られた電圧値から求めた第2出力電圧との差分により、磁気検出回路中のアンプから出力される電圧に不可避的に発生するオフセット電圧を消去することである。
本発明に係る磁気検出装置において、磁気抵抗素子に、地磁気などの外部からの別の磁界が印加された状態でバイアス磁界を印加すると、この別の磁界の方向とバイアス磁界の方向とが同一である場合には抵抗値は増加し、異なる場合には抵抗値が減少する。したがって、極性を変えてバイアス磁界を印加し、印加したバイアス磁界分の抵抗値変化に相当する電圧値の差分を求めることにより、別の磁界分に相当する電圧値を求めることができ、この電圧値から別の磁界を検出する。この磁気検出において、別の磁界に相当する電圧値を求める際にはオフセット電圧が含まれる。
そこで、磁界に対して対象性を示す磁気抵抗素子を用いる場合においては、まず、一方の極性の電圧を印加して、磁気抵抗素子に印加するバイアス磁界の極性を反転させて、別の磁界に相当する電圧値を求め、次に、他方の極性の電圧を印加して、磁気抵抗素子に印加するバイアス磁界の極性を反転させて、別の磁界に相当する電圧値を求める。両者の電圧値にはそれぞれオフセット電圧が含まれる。したがって、このように求められた別の磁界に相当するそれぞれの電圧値の差分を求めることにより、オフセット電圧が相殺された状態で、別の磁界に相当する電圧値を求めることができ、結果としてオフセット電圧のない状態での磁気検出を行うことができる。
また、磁界に対して単調に変化する抵抗変化を示す磁気抵抗素子を用いる場合においては、まず、一方の極性のバイアス磁界を印加して、磁気抵抗素子に印加する電圧の極性を反転させて、別の磁界に相当する電圧値を求め、次に、他方の極性のバイアス磁界を印加して、磁気抵抗素子に印加する電圧の極性を反転させて、別の磁界に相当する電圧値を求める。両者の電圧値にはそれぞれオフセット電圧が含まれる。したがって、このように求められた別の磁界に相当するそれぞれの電圧値の差分を求めることにより、オフセット電圧が相殺された状態で、別の磁界に相当する電圧値を求めることができ、結果としてオフセット電圧のない状態での磁気検出を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1,2においては、磁気抵抗素子が磁界に対して対象性のある抵抗変化を示す磁気抵抗素子である場合について説明する。また、本実施の形態においては、磁気センサに極性を反転させて電圧を印加する構成について説明する。すなわち、本実施の形態においては、第1の電圧として一方の極性(例えば正)の電圧を用い、第2の電圧として他方の極性(例えば負)の電圧を用いる。図1は、本発明の実施の形態1に係る磁気検出装置を備えた電子方位計の概略構成を示すブロック図である。
図1に示す磁気検出装置は、地磁気の変化に対応した電圧値を出力するセンサ部12と、センサ部12に第1及び第2の電圧(正及び負の電圧)を切り替えて交互に印加する電圧発生部11と、センサ部12にバイアス磁界を印加するバイアス磁界発生部16と、センサ部12で出力された電圧値を検出(増幅)する検出部13と、電圧値をAD変換するAD変換部14と、AD変換後のディジタルデータを用いて方位を求める演算部15と、電圧発生部11、検出部13及びバイアス磁界発生部16の制御を行う制御部17とから主に構成されている。
電圧発生部11は、センサ部12に印加する電圧を切り替える。本実施の形態においては、図4に示すように、センサ部12のブリッジ回路に接続されたスイッチSW1,SW2で構成されている。この電圧の切り替えのタイミングは、制御部17により制御される。
センサ部12は、X軸、Y軸及びZ軸の3軸で構成され、地磁気を検出する磁気効果素子を含む磁気センサを有し、地磁気の変化に対応した電圧値を出力する。本実施の形態においては、図4に示すように、ブリッジ回路で構成されている。磁気効果素子としては、磁界に対して対象性のある変化を示す磁気抵抗素子を用いる。このような磁気効果素子としては、GIG(Granular In Gap)素子、MR(MagnetoResistance)素子などを挙げることができる。本実施の形態においては、地磁気をより感度良く検出することができるGIG素子を用いる。
バイアス磁界発生部16は、極性を反転させたバイアス磁界を発生させるための電流をセンサ部に供給することにより、センサ部12に印加するバイアス磁界を切り替える。本実施の形態においては、図4に示すように、センサ部12のブリッジ回路に接続されたスイッチSW3,SW4で構成されている。このバイアス磁界の切り替えのタイミングは、制御部17により制御される。
検出部13は、センサ部12で出力された電圧値を検出(増幅)する。本実施の形態においては、図4に示すように、アンプ131と、電圧値を増幅するアンプ132と、電圧値を蓄積するコンデンサ133と、コンデンサ133に蓄積するかを切り替えるスイッチSW5とで構成される。この電圧値の蓄積のタイミングは、制御部17により制御される。
AD変換部14は、検出部13で検出されたアナログの電圧値をAD変換して対応するディジタルデータを演算部15に出力する。なお、ここでは、AD変換部14の分解能は10ビット相当で使用している。
演算部15は、AD変換部14からのディジタルデータに対してデータ間演算を行い、その演算結果を用いて方位算出を行う。演算部15は、図2に示す構成を有する。図2は、図1に示す電子方位計の演算部の内部構成を示すブロック図である。
演算部15は、第1の電圧を用いて得られた第1出力電圧を格納するデータ保存部151と、第2の電圧を用いて得られた第2出力電圧とデータ保存部151に格納された第1出力電圧との間の差分を求める差分演算部152と、得られた差分電圧がどの軸に対する差分電圧かにより格納場所を選択する選択部153と、X軸、Y軸及びZ軸に対応する差分電圧を格納するデータ保存部154,155,156と、これらの差分電圧(演算結果)から方位を求める方位算出部157とから主に構成されている。
この演算部15では、第1の電圧(正の電圧)に対してそれぞれの極性のバイアス磁界を印加して得られた電圧値から求めた第1出力電圧をデータ保存部151に格納し、第2の電圧(負の電圧)に対してそれぞれの極性のバイアス磁界を印加して得られた電圧値から求めた第2出力電圧が得られたときに、差分演算部152において、第1出力電圧と第2出力電圧との間の差分を算出する。この差分は、選択部153を介してデータ保存部154〜156に格納される。すなわち、X軸用の差分であればX軸用のデータ保存部に格納され、Y軸用の差分であればY軸用のデータ保存部に格納され、Z軸用の差分であればZ軸用のデータ保存部に格納される。そして、これらの差分電圧を用いて方位算出部157で方位が求められる。
なお、演算部15は、データの安全性や信頼性の向上のために平均化処理、メディアン処理などのフィルタ処理を行う機能や、測定環境やセンサの温度特性などにより発生するドリフト補正機能(キャリブレーション機能)も併せ持つ。
制御部17は、電圧発生部11、検出部13及びバイアス磁界発生部16に制御信号φ1〜φ4を供給して各処理部を制御する。また、制御部17は、電子方位計の外部とのデータ通信の制御などの機能も有する。この場合、全体の消費電力を少なくするために各処理部をON/OFF制御する。
次に、本発明の電子方位計の動作について図4に示す回路図を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態1に係る電子方位計を示す回路図である。なお、図4においては、説明を簡単にするために、制御部は図示せずに、制御信号の入力を示している。またここでは、第1の電圧を正とし、第2の電圧を負としている。
まず、センサ部12に用いられる磁気抵抗素子は、図3に示すように、磁界に対して対象性を示す磁気抵抗効果を表す。すなわち、磁界が全くないときに磁気抵抗素子の抵抗は最大となり、正、負のどちらに磁界が印加されても抵抗が小さくなる。この磁気抵抗素子に正のバイアス磁界を印加すると、図3に示すように、バイアス磁界により、Haを中心にして抵抗が変化するようになる。そして、この状態で地磁気などの外部からの別の磁界が磁気抵抗素子に印加されると抵抗値が変化する。この別の磁界の方向とバイアス磁界の方向とが同一である場合には抵抗値は減少し、異なる場合には抵抗値が増加する。
本実施の形態においては、センサ部12はブリッジ回路で構成される。図4のブリッジ回路において、磁気抵抗変化を示す素子はRa,Rcである。また、Rb,Rdは固定抵抗である。このブリッジ回路の一対の端子Sa,Scに電圧を印加すると、それぞれの抵抗で分圧された電圧が反対の一対の端子Sb,Sdから出力される。ブリッジ回路を構成するRa,
Rcは磁気により抵抗が変化するので、その磁気に対応して電圧が出力される。
本実施の形態において、電圧発生部11はスイッチSW1,SW2で構成され、センサ部12に印加する電圧の極性(方向)を制御部17からの制御信号φ1によって切り替える。制御信号φ1がHigh(H信号)の場合、スイッチSW1,SW2によりVddが端子Sa側に接続されて、端子Saから端子Sdの方向に電圧が印加される。制御信号φ1がLow(L信号)の場合、スイッチSW1,SW2によりVddが端子Sd側に接続されて、端子Sdから端子Sa方向に電圧が印加される。
バイアス磁界発生部16は、図4に示すように、センサ部12に取り付けられるコイル121に流す電流の方向を制御部17からの制御信号φ2により切り替えて、センサ部12に極性を反転させたバイアス磁界を印加する。制御信号φ2がHigh(H信号)の場合、スイッチSW3,SW4により上側から見て時計回りに電流が流れ、センサ部12には図3におけるHA方向にバイアス磁界が発生する。制御信号φ2がLow(L信号)の場合、スイッチSW3,SW4により上記とは反対方向に電流が流れ、センサ部12には図3におけるHB方向にバイアス磁界が発生する。
検出部13においては、アンプ131はブリッジ回路の端子Sb,Sdに接続されており、センサ部12の出力を取り込む。取り込まれた電圧は、スイッチSW5を介してコンデンサ133に充電される。また、取り込まれた電圧は、アンプ132の入力端子と接続している。なお、スイッチSW5は、制御部17の制御信号φ3により制御される。制御信号φ3がHigh(H信号)の場合、スイッチSW5によりアンプ131の出力は、コンデンサ133と接続し、制御信号φ3がLow(L信号)の場合、スイッチSW5によりコンデンサ133との接続が解除される。アンプ132は、コンデンサ133の電圧値とアンプ131の出力である電圧値との間の差分を増幅するように動作する。これにより、センサ部12に印加するバイアス磁界の方向を切り替えたときの電圧値の差を増幅して出力する。
次に、上記構成を有する電子方位計の動作について説明する。なお、検出する磁気(地磁気)の磁界と同一方向のバイアス磁界を正方向としている。
本実施の形態に係る電子方位計のセンサ部12における駆動モードは以下の4つのステージで構成される。各ステージにおける制御信号の状態を図5に示す。
S1:電圧が正、バイアス磁界が正
S2:電圧が正、バイアス磁界が負
S3:電圧が負、バイアス磁界が正
S4:電圧が負、バイアス磁界が負
ステージS1は、図4(a)に示すように、センサ部12に印加する電圧が正(制御信号φ1がH信号)であり、センサ部12に印加するバイアス磁界が正(制御信号φ2がH信号)である。このため磁気抵抗素子の抵抗変化は図4(b)に示すようになる。通常、外部から磁界がなくバイアス磁界のみの場合にセンサ部12から出力される電圧をVacenとVbcenとすると、外部から磁界があった場合には、その抵抗変化分ΔRに応じた電圧ΔVが加算されてセンサ部12から出力される。Sd端子の電圧をVaS1とし、Sb端子の電圧をVbS1とするとそれらの電圧値は、式(1)、式(2)の通りとなる。
VaS1=Vacen−ΔV …式(1)
VbS1=Vbcen+ΔV …式(2)
このとき、検出部13内のアンプ131から出力される電圧値Vs1(第1電圧値)は、式(3)の通りとなる。
Vs1=VaS1−VbS1
=(Vacen−ΔV)−(Vbcen+ΔV)
=−2ΔV+Vacen−Vbcen …式(3)
このVs1は、制御信号φ3がH信号であるため、電圧値Vs1は検出部13内のコンデンサ133に保持される。
ステージS2は、図6(a)に示すように、センサ部12に印加する電圧が正(制御信号φ1がH信号)であり、センサ部12に印加するバイアス磁界が負(制御信号φ2がL信号)である。このため磁気抵抗素子の抵抗変化は図6(b)に示すようになる。この場合、図4(a)と比べてバイアス磁界が極性反転している点が異なるので、その点を考慮してセンサ部12から出力される電圧値を求めると式(4)、式(5)の通りとなる。
VaS2=Vacen+ΔV …式(4)
VbS2=Vbcen−ΔV …式(5)
このとき、検出部13内のアンプ131から出力される電圧値Vs2(第2電圧値)は、式(6)の通りとなる。
Vs2=VaS2−VbS2
=(Vacen+ΔV)−(Vbcen−ΔV)
=2ΔV+Vacen−Vbcen …式(6)
このとき制御信号φ3がL信号であるため、Vs2はアンプ132でステージS1のときのVs1との間で差分がとられ、その差分が増幅される。アンプ132の内部オフセット誤差をVofsとし、アンプ132で増幅された電圧(第1電圧)をVamp2とすると式(7)の通りとなる。なお、以下においては、説明を簡単にするために、増幅率を1とした場合について説明する。
Vamp2=Vs1−Vs2−Vofs
=−2ΔV+Vacen−Vbcen−(2ΔV+Vacen−Vbcen)−Vofs
=−4ΔV−Vofs …式(7)
この電圧値は、AD変換部14でディジタル信号処理され、データDD1として演算部15のデータ保存部151に格納される。データDD1は、データとしてはディジタルであるがVamp2と同じレベルの値である。
ステージS3は、図7に示すように、センサ部12に印加する電圧が負(制御信号φ1がL信号)であり、センサ部12に印加するバイアス磁界が正(制御信号φ2がH信号)である。このため磁気抵抗素子の抵抗変化は図4(b)に示すようになる。この場合、図4(a)と比べて電圧が極性反転している点が異なるので、その点を考慮してセンサ部12から出力される電圧値を求めると式(8)、式(9)の通りとなる。
VaS3=Vacen+ΔV …式(8)
VbS3=Vbcen−ΔV …式(9)
このとき、検出部13内のアンプ131から出力される電圧値Vs3(第1電圧値)は、式(10)の通りとなる。
Vs3=VaS3−VbS3
=(Vacen+ΔV)−(Vbcen−ΔV)
=2ΔV+Vacen−Vbcen …式(10)
このVs3は、制御信号φ3がH信号であるため、電圧値Vs3は検出部13内のコンデンサ133に保持される。
ステージS4は、図8に示すように、センサ部12に印加する電圧が負(制御信号φ1がL信号)であり、センサ部12に印加するバイアス磁界が負(制御信号φ2がL信号)である。このため磁気抵抗素子の抵抗変化は図6(b)に示すようになる。この場合、図4(a)と比べて電圧及びバイアス磁界が極性反転している点が異なるので、その点を考慮してセンサ部12から出力される電圧値を求めると式(11)、式(12)の通りとなる。
VaS4=Vacen−ΔV …式(11)
VbS4=Vbcen+ΔV …式(12)
このとき、検出部13内のアンプ131から出力される電圧値Vs4(第2電圧値)は、式(13)の通りとなる。
Vs4=VaS4−VbS4
=(Vacen−ΔV)−(Vbcen+ΔV)
=−2ΔV+Vacen−Vbcen …式(13)
このとき制御信号φ3がL信号であるため、Vs4はアンプ132でステージS3のときのVs3との間で差分がとられ、その差分が増幅される。アンプ132の内部オフセット誤差をVofsとし、アンプ132で増幅された電圧(第2電圧)をVamp4とすると式(14)の通りとなる。ここでも、増幅率は1としている。
Vamp4=Vs3−Vs4−Vofs
=2ΔV+Vacen−Vbcen−(−2ΔV+Vacen−Vbcen)−Vofs
=4ΔV−Vofs …式(14)
この電圧値は、AD変換部14でディジタル信号処理され、データDD2として演算部15の差分演算部152に送られる。このとき、データ保存部151に格納されたデータDD1も差分演算部152に送られる。なお、データDD2は、データとしてはディジタルであるがVamp4と同じレベルの値である。
次いで、差分演算部152で、DD1とDD2の差分演算を行い、その結果を選択部153を介してデータ保存部154〜156に格納する。差分演算の結果(差分電圧)をDDoutとすると式(15)の通りとなり、Vofsは消去されている。
Dout=DD1−DD2=(−4ΔV−Vofs)−(4ΔV−Vofs)
=−8ΔV …式(15)
センサ部12はX軸、Y軸及びZ軸の3軸で構成されているので、上述のような処理によりX軸用の差分電圧DDoutX、Y軸用の差分電圧DDoutY、Z軸用の差分電圧DDoutZがそれぞれ求められる。これらの差分電圧は、それぞれのデータ保存部154〜156に格納される。その後、方位算出部157において、データ保存部154〜156に格納された差分電圧を用いて方位を算出する。すなわち、X軸用の差分電圧DDoutXとY軸用の差分電圧DDoutYの比に対して逆正接をとることにより方位を算出する。また、Z軸用の差分電圧DDoutZは、電子方位の傾斜した状態を補正する演算において用いる。例えば、携帯電話などに本発明に係る電子方位計を搭載した場合には、携帯電話を傾斜させた状態で使用されることが予想されるので、このような場合において、Z軸用の差分電圧DDoutZを用いて補正演算を行って方位を算出する。
このように、磁気抵抗変化から求めた差分電圧DDoutを用いることにより方位算出が可能になる。この磁気検出においては、バイアス磁界及び電圧の極性を反転させて求められた第1及び第2出力電圧の差分をとることにより、上記式(15)に示すように、回路内部(特に検出部13内のアンプ132)で発生するオフセット電圧(Vofs)を除去することができる。したがって、より精度の高い方位算出が可能になる。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、検出部において、一方の極性のバイアス磁界を用いて得られた第1電圧値から他方の極性のバイアス磁界を用いて得られた第2電圧値を減算するか、他方の極性のバイアス磁界を用いて得られた第2電圧値から一方の極性のバイアス磁界を用いて得られた第1電圧値を減算するかを切り替える構成について説明する。この構成は、図1に示す電子方位計の電圧発生部11がない構成であり、電圧の極性を反転させていない。
また、この構成では、検出部13に、一方の極性のバイアス磁界を用いて得られた第1電圧値から他方の極性のバイアス磁界を用いて得られた第2電圧値を減算するか、他方の極性のバイアス磁界を用いて得られた第2電圧値から一方の極性のバイアス磁界を用いて得られた第1電圧値を減算するか(減算方向)を切り替える切替手段を設けている。この場合において、第1出力電圧を求める際にセンサ部12に印加する第1の電圧と第2出力電圧を求める際にセンサ部12に印加する第2の電圧は同じである。
なお、AD変換部及び演算部15については実施の形態1と同様であるので、それらの詳細な説明は省略する。センサ部12においては、ブリッジ回路の端子Sa,Sc間に電圧が印加される。
図9は、本発明の実施の形態2に係る電子方位計を示す回路図である。検出部13においては、アンプ131はブリッジ回路の端子Sb,Sdに接続されており、センサ部12の出力を取り込む。取り込まれた電圧は、スイッチSW5を介してコンデンサ133に充電される。また、取り込まれた電圧は、アンプ132の入力端子と接続している。なお、スイッチSW5は、制御部17の制御信号φ3により制御される。制御信号φ3がHigh(H信号)の場合、スイッチSW5によりアンプ131の出力は、コンデンサ133と接続し、制御信号φ3がLow(L信号)の場合、スイッチSW5によりコンデンサ133との接続が解除される。アンプ132は、コンデンサ133の電圧値とアンプ131の出力である電圧値との間の差分を増幅するように動作する。これにより、センサ部12に印加するバイアス磁界の方向を切り替えたときの電圧値の差を増幅して出力する。
アンプ132の前段には、一方の極性のバイアス磁界を用いて得られた第1電圧値から他方の極性のバイアス磁界を用いて得られた第2電圧値を減算するか、他方の極性のバイアス磁界を用いて得られた第2電圧値から一方の極性のバイアス磁界を用いて得られた第1電圧値を減算するか(減算方向)を切り替えるスイッチSW6,SW7が設けられている。このスイッチSW6,SW7により、アンプ131及びコンデンサ133とアンプ132との接続の仕方(ストレート、クロス)を切り替える。接続がストレートの場合には、一方の極性(ここでは正)のバイアス磁界を用いて得られた第1電圧値から他方の極性(ここでは負)のバイアス磁界を用いて得られた第2電圧値を減算し、接続がクロスの場合には、他方の極性(ここでは負)のバイアス磁界を用いて得られた第2電圧値から一方の極性(ここでは正)のバイアス磁界を用いて得られた第1電圧値を減算する。
なお、スイッチSW6,SW7は、制御部17の制御信号φ4により制御される。制御信号φ4がHigh(H信号)の場合、スイッチSW6,SW7によりアンプ131の出力がアンプ132の+側に接続し、コンデンサ133がアンプ132の−側に接続する。一方、制御信号φ4がLow(L信号)の場合、スイッチSW6,SW7によりアンプ131の出力がアンプ132の−側に接続し、コンデンサ133がアンプ132の+側に接続する。アンプ132は、コンデンサ133の電圧値とアンプ131の出力である電圧値との間の差分を増幅するように動作する。これにより、センサ部12に印加するバイアス磁界の方向を切り替えたときの電圧値の差を増幅して出力する。
次に、上記構成を有する電子方位計の動作について説明する。なお、検出する磁気(地磁気)の磁界と同一方向のバイアス磁界を正方向とする。また、アンプの増幅率は1とする。
本実施の形態に係る電子方位計のセンサ部12における駆動モードは以下の4つのステージで構成される。各ステージにおける制御信号の状態を図10に示す。
T1:スイッチSW6,SW7がHigh(ストレート接続)、バイアス磁界が正
T2:スイッチSW6,SW7がLow (ストレート接続)、バイアス磁界が負
T3:スイッチSW6,SW7がHigh(クロス接続)、 バイアス磁界が正
T4:スイッチSW6,SW7がLow (クロス接続)、 バイアス磁界が負
ステージT1は、図9に示すように、センサ部12に印加するバイアス磁界が正(制御信号φ2がH信号)であり、検出部13におけるアンプ131の出力とコンデンサ133の出力がストレートである(制御信号φ4がH信号)。このため磁気抵抗素子の抵抗変化は図4(b)に示すようになる。通常、外部から磁界がなくバイアス磁界のみの場合にセンサ部12から出力される電圧をVacenとVbcenとすると、外部から磁界があった場合には、その抵抗変化分ΔRに応じた電圧ΔVが加算されてセンサ部12から出力される。Sd端子の電圧をVaT1とし、Sb端子の電圧をVbT1とするとそれらの電圧値は、式(16)、式(17)の通りとなる。
VaT1=Vacen−ΔV …式(16)
VbT1=Vbcen+ΔV …式(17)
このとき、検出部13内のアンプ131から出力される電圧値Vt1(第1電圧値)は、式(18)の通りとなる。
Vt1=VaT1−VbT1
=(Vacen−ΔV)−(Vbcen+ΔV)
=−2ΔV+Vacen−Vbcen …式(18)
このVt1は、制御信号φ3がH信号であるため、電圧値Vt1は検出部13内のコンデンサ133に保持される。
ステージT2は、図11に示すように、センサ部12に印加するバイアス磁界が負(制御信号φ2がL信号)であり、検出部13におけるアンプ131の出力とコンデンサ133の出力がストレートである(制御信号φ4がH信号)。このため磁気抵抗素子の抵抗変化は図6(b)に示すようになる。この場合、図9と比べてバイアス磁界が極性反転している点が異なるので、その点を考慮してセンサ部12から出力される電圧値を求めると式(19)、式(20)の通りとなる。
VaT2=Vacen+ΔV …式(19)
VbT2=Vbcen−ΔV …式(20)
このとき、検出部13内のアンプ131から出力される電圧値Vt2(第2電圧値)は、式(21)の通りとなる。
Vt2=VaT2−VbT2
=(Vacen+ΔV)−(Vbcen−ΔV)
=2ΔV+Vacen−Vbcen …式(21)
このとき制御信号φ3がL信号であるため、Vt2はアンプ132でステージT1のときのVt1との間で差分がとられ、その差分が増幅される。このとき、制御信号φ4はH信号になっているため、アンプ132に対してはストレートで接続された形となる。すなわち、正のバイアス磁界を用いて得られた第1電圧値(Vt1)から負のバイアス磁界を用いて得られた第2電圧値(Vt2)を減算する。アンプ132の内部オフセット誤差をVofsとし、アンプ132で増幅された電圧(第1電圧)をVamp2とすると式(22)の通りとなる。
Vamp2=Vt1−Vt2−Vofs
=−2ΔV+Vacen−Vbcen−(2ΔV+Vacen−Vbcen)−Vofs
=−4ΔV−Vofs …式(22)
この電圧値は、AD変換部14でディジタル信号処理され、データDD1として演算部15のデータ保存部151に格納される。データDD1は、データとしてはディジタルであるがVamp2と同じレベルの値である。
ステージT3は、図12に示すように、センサ部12に印加するバイアス磁界が正(制御信号φ2がH信号)であり、検出部13におけるアンプ131の出力とコンデンサ133の出力がクロスである(制御信号φ4がL信号)。このため磁気抵抗素子の抵抗変化は図4(b)に示すようになる。この場合のセンサ部12から出力される電圧値を求めると式(23)、式(24)の通りとなる。
VaT3=Vacen−ΔV …式(23)
VbT3=Vbcen+ΔV …式(24)
このとき、検出部13内のアンプ131から出力される電圧値Vt3(第1電圧値)は、式(25)の通りとなる。
Vt3=VaS3−VbS3
=(Vacen−ΔV)−(Vbcen+ΔV)
=−2ΔV+Vacen−Vbcen …式(25)
このVt3は、制御信号φ3がH信号であるため、電圧値Vt3は検出部13内のコンデンサ133に保持される。
ステージT4は、図12に示すように、センサ部に印加するバイアス磁界が負(制御信号φ2がL信号)であり、検出部13におけるアンプ131の出力とコンデンサ133の出力がクロスである(制御信号φ4がL信号)。このため磁気抵抗素子の抵抗変化は図6(b)に示すようになる。この場合のセンサ部12から出力される電圧値を求めると式(26)、式(27)の通りとなる。
VaT4=Vacen+ΔV …式(26)
VbT4=Vbcen−ΔV …式(27)
このとき、検出部13内のアンプ131から出力される電圧値Vt4(第2電圧値)は、式(28)の通りとなる。
Vt4=VaT4−VbT4
=(Vacen+ΔV)−(Vbcen−ΔV)
=2ΔV+Vacen−Vbcen …式(28)
このとき制御信号φ3がL信号であるため、Vt4はアンプ132でステージT3のときのVt3との間で差分がとられ、その差分が増幅される。このとき制御信号φ4がL信号になっているため、アンプ132に対してはクロスで接続された形となる。すなわち、負のバイアス磁界を用いて得られた第2電圧値(Vt4)から正のバイアス磁界を用いて得られた第1電圧値(Vt3)を減算する。アンプ132の内部オフセット電圧誤差をVofsとし、アンプ132で増幅された電圧(第2電圧)をVamp4とすると式(29)の通りとなる。
Vamp4=Vt4−Vt3−Vofs
=2ΔV+Vacen−Vbcen−(−2ΔV+Vacen−Vbcen)−Vofs
=4ΔV−Vofs …式(29)
この電圧値は、AD変換部14でディジタル信号処理され、データDD2として演算部15の差分演算部152に送られる。このとき、データ保存部151に格納されたデータDD1も差分演算部152に送られる。なお、データDD2は、データとしてはディジタルであるがVamp4と同じレベルの値である。
次いで、差分演算部152で、DD1とDD2の差分演算を行い、その結果を選択部153を介してデータ保存部154〜156に格納する。差分演算の結果(差分電圧)をDDoutとすると式(30)の通りとなり、Vofsは消去される。
Dout=DD1−DD2=(−4ΔV−Vofs)−(4ΔV−Vofs)
=−8ΔV …式(30)
センサ部12はX軸、Y軸及びZ軸の3軸で構成されているので、上述のような処理によりX軸用の差分電圧DDoutX、Y軸用の差分電圧DDoutY、Z軸用の差分電圧DDoutZがそれぞれ求められる。これらの差分電圧は、それぞれのデータ保存部154〜156に格納される。その後、方位算出部157において、データ保存部154〜156に格納された差分電圧を用いて方位を算出する。すなわち、X軸用の差分電圧DDoutXとY軸用の差分電圧DDoutYの比に対して逆正接をとることにより方位を算出する。また、Z軸用の差分電圧DDoutZは、電子方位の傾斜した状態を補正する演算において用いる。例えば、携帯電話などに本発明に係る電子方位計を搭載した場合には、携帯電話を傾斜させた状態で使用されることが予想されるので、このような場合において、Z軸用の差分電圧DDoutZを用いて補正演算を行って方位を算出する。
このように、磁気抵抗変化から求めた差分電圧DDoutを用いることにより方位算出が可能になる。この磁気検出においては、バイアス磁界及び電圧の極性を反転させて求められた第1及び第2出力電圧の差分をとることにより、上記式(30)に示すように、回路内部(特に検出部13内のアンプ132)で発生するオフセット電圧を除去することができる。したがって、より精度の高い方位算出が可能になる。
(実施の形態3)
実施の形態3においては、磁気抵抗素子が磁界に対して単調に変化する抵抗変化を示す磁気抵抗素子である場合について説明する。本実施の形態に係る電子方位計は、図1に示す構成と同じ構成で実現することができる。
本実施の形態においては、センサ部12に用いられる磁気抵抗素子は、図14に示すように、磁界に対して単調に変化(図14においては単調に増加)する磁気抵抗効果を表す。この磁気抵抗素子にバイアス磁界を印加すると、図14に示すように、バイアス磁界により、Haを中心にして抵抗が変化するようになる。そして、この状態で地磁気などの外部からの別の磁界が磁気抵抗素子に印加されると抵抗値が変化する。この別の磁界の方向とバイアス磁界の方向とが同一である場合には抵抗値は増加し、異なる場合には抵抗値が減少する。
上記構成を有する電子方位計の動作について説明する。なお、検出する磁気(地磁気)の磁界と同一方向のバイアス磁界を正方向としている。
図4(a)に示すセンサ部12のブリッジ構成において、磁気抵抗素子Raと固定抵抗Rbとの間の中点電位をV1とし、磁気抵抗素子Rcと固定抵抗Rdとの間の中点電位をV2とすると、式(31)、式(32)の通りとなる。
V1={Rb/(Ra+Rb)}×Vdd …式(31)
V2={Rc/(Rd+Rc)}×Vdd …式(32)
ここで、磁気抵抗素子RaをRa+ΔRとし、磁気抵抗素子RcをRc+ΔRとすると、式(31)、式(32)はそれぞれ式(33)、式(34)の通りとなる。
V1=[Rb/{(Ra+ΔR)+Rb}]×Vdd …式(33)
V2=[(Rc+ΔR)/{Rd+(Rc+ΔR)}]×Vdd …式(34)
出力電圧は、アンプによるオフセット電圧をVofsとすると、式(35)の通りとなる。
V1−V2=[[Rb/{(Ra+ΔR)+Rb}]
−[(Rc+ΔR)/{Rd+(Rc+ΔR)}]]×Vdd+Vofs
…式(35)
ここで、本実施の形態に係る電子方位計のセンサ部12における駆動モードは以下の4つのステージで構成される。ここで、各ステージにおける出力電圧を考える。ここで、バイアス磁界が正のときの抵抗変化をΔRcoil+とし、バイアス磁界が負のときの抵抗変化をΔRcoil-とする。
U1:電圧が正、バイアス磁界が正
U2:電圧が負、バイアス磁界が正
U3:電圧が正、バイアス磁界が負
U4:電圧が負、バイアス磁界が負
ステージU1は、図4(a)に示すように、センサ部12に印加する電圧が正(制御信号φ1がH信号)であり、センサ部12に印加するバイアス磁界が正(制御信号φ2がH信号)である。このため磁気抵抗素子の抵抗変化は図15(a)に示すようになる。このときの出力電圧は式(36)の通りとなる。
(V1−V2)U1=[[Rb/{(Ra+ΔRcoil+)+Rb}]
−[(Rc+ΔRcoil+)/{Rd+(Rc+ΔRcoil+)}]]×Vdd+Vofs
…式(36)
ステージU2は、図7に示すように、センサ部12に印加する電圧が負(制御信号φ1がL信号)であり、センサ部12に印加するバイアス磁界が正(制御信号φ2がH信号)である。このため磁気抵抗素子の抵抗変化は図15(b)に示すようになる。このときの出力電圧は式(37)の通りとなる。
(V1−V2)U2=[[Rb/{(Ra+ΔRcoil+)+Rb}]
−[(Rc+ΔRcoil+)/{Rd+(Rc+ΔRcoil+)}]]×(−Vdd)+Vofs
…式(37)
ステージU3は、図6(a)に示すように、センサ部12に印加する電圧が正(制御信号φ1がH信号)であり、センサ部12に印加するバイアス磁界が負(制御信号φ2がL信号)である。このため磁気抵抗素子の抵抗変化は図16(a)に示すようになる。このときの出力電圧は式(38)の通りとなる。
(V1−V2)U3=[[Rb/{(Ra+ΔRcoil-)+Rb}]
−[(Rc+ΔRcoil-)/{Rd+(Rc+ΔRcoil-)}]]×Vdd+Vofs
…式(38)
ステージU4は、図8に示すように、センサ部12に印加する電圧が負(制御信号φ1がL信号)であり、センサ部12に印加するバイアス磁界が負(制御信号φ2がL信号)である。このため磁気抵抗素子の抵抗変化は図16(b)に示すようになる。このときの出力電圧は式(39)の通りとなる。
(V1−V2)U4=[[Rb/{(Ra+ΔRcoil-)+Rb}]
−[(Rc+ΔRcoil-)/{Rd+(Rc+ΔRcoil-)}]]×(−Vdd)+Vofs
…式(39)
したがって、(V1−V2)U1−(V1−V2)U4を求めることにより、アンプによるオフセット電圧を消去することができる。すなわち、差分演算の結果(差分電圧)をDDoutとすると式(40)の通りとなり、Vofsは消去される。
Dout=[[Rb/{(Ra+ΔRcoil+)+Rb}]
+[Rb/{(Ra+ΔRcoil-)+Rb}]
−[(Rc+ΔRcoil+)/{Rd+(Rc+ΔRcoil+)}]
−[(Rc+ΔRcoil-)/{Rd+(Rc+ΔRcoil-)}]]×Vdd
…式(40)
なお、上記では、(V1−V2)U1−(V1−V2)U4を求めることにより、アンプによるオフセット電圧を消去しているが、(V1−V2)U2−(V1−V2)U3を求めることにより、オフセット電圧を消去しても良い。
センサ部12はX軸、Y軸及びZ軸の3軸で構成されているので、上述のような処理によりX軸用の差分電圧DDoutX、Y軸用の差分電圧DDoutY、Z軸用の差分電圧DDoutZがそれぞれ求められる。これらの差分電圧は、それぞれのデータ保存部154〜156に格納される。その後、方位算出部157において、データ保存部154〜156に格納された差分電圧を用いて方位を算出する。すなわち、X軸用の差分電圧DDoutXとY軸用の差分電圧DDoutYの比に対して逆正接をとることにより方位を算出する。また、Z軸用の差分電圧DDoutZは、電子方位の傾斜した状態を補正する演算において用いる。例えば、携帯電話などに本発明に係る電子方位計を搭載した場合には、携帯電話を傾斜させた状態で使用されることが予想されるので、このような場合において、Z軸用の差分電圧DDoutZを用いて補正演算を行って方位を算出する。
このように、磁気抵抗変化から求めた差分電圧DDoutを用いることにより方位算出が可能になる。この磁気検出においては、バイアス磁界及び電圧の極性を反転させて求められた第1及び第2出力電圧の差分をとることにより、上記式(45)に示すように、回路内部(特に検出部13内のアンプ132)で発生するオフセット電圧(Vofs)を除去することができる。したがって、より精度の高い方位算出が可能になる。
本発明は上記実施の形態1〜3に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態1〜3においては、X軸、Y軸及びZ軸についての磁気検出を同じ回路で行う場合について説明しているが、本発明においては、X軸用、Y軸用及びZ軸用の磁気検出回路をそれぞれ用いても良く、X軸及びY軸についての磁気検出を同じ回路で行い、Z軸についての磁気検出を別の回路で行うようにしても良い。上記実施の形態1,2において説明した構成は、これらに限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
また、上記実施の形態1〜3においては、アンプ132のオフセット電圧のみを消去する場合について説明しているが、本発明によれば、他のアンプやセンサの抵抗バランスによって発生するオフセット電圧についても消去することができる。
また、上記実施の形態1〜3においては、外部からのバイアスと同一方向に磁界がバイアスされている場合について説明しているが、本発明においては、外部からのバイアスと異なる方向に磁界がバイアスされている場合でも同様にオフセット電圧を消去して方位を算出することができる。
本発明の実施の形態1に係る磁気検出装置を備えた電子方位計の概略構成を示すブロック図である。 図1に示す電子方位計の演算部の内部構成を示すブロック図である。 磁気抵抗素子の抵抗変化を説明するための図である。 (a)は本発明の実施の形態1に係る電子方位計のステージS1を示す回路図であり、(b)は磁気抵抗素子の抵抗変化を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る電子方位計の各ステージの制御信号の状態を示す図である。 (a)は本発明の実施の形態1に係る電子方位計のステージS2を示す回路図であり、(b)は磁気抵抗素子の抵抗変化を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る電子方位計のステージS3を示す回路図である。 本発明の実施の形態1に係る電子方位計のステージS4を示す回路図である。 本発明の実施の形態2に係る電子方位計のステージT1を示す回路図である。 本発明の実施の形態2に係る電子方位計の各ステージの制御信号の状態を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る電子方位計のステージT2を示す回路図である。 本発明の実施の形態2に係る電子方位計のステージT3を示す回路図である。 本発明の実施の形態2に係る電子方位計のステージT4を示す回路図である。 磁気抵抗素子の抵抗変化を説明するための図である。 (a)は本発明の実施の形態3に係る電子方位計のステージU1における磁気抵抗素子の抵抗変化を示す図であり、(b)は本発明の実施の形態3に係る電子方位計のステージU2における磁気抵抗素子の抵抗変化を示す図である。 (a)は本発明の実施の形態3に係る電子方位計のステージU3における磁気抵抗素子の抵抗変化を示す図であり、(b)は本発明の実施の形態3に係る電子方位計のステージU4における磁気抵抗素子の抵抗変化を示す図である。
符号の説明
11 電圧発生部
12 センサ部
13 検出部
14 AD変換部
15 演算部
16 バイアス磁界発生部
17 制御部
121 コイル
131,132 アンプ
133 コンデンサ
151,154〜156 データ保存部
152 差分演算部
153 選択部
157 方位算出部
SW1〜SW7 スイッチ

Claims (8)

  1. 磁気を検出する磁気センサと、前記磁気センサに極性を反転させてバイアス磁界を印加するバイアス磁界発生手段と、前記磁気センサに極性の反転した大きさの等しい第1,第2の電圧を印加する電圧印加手段と、それぞれの極性のバイアス磁界に対して得られた電圧値を検出する検出手段と、前記電圧値を用いて方位を求める演算手段と、を具備し、前記検出手段は、前記第1の電圧に対してそれぞれの極性のバイアス磁界を印加して得られた電圧値の差である第1出力電圧と、前記第2の電圧に対してそれぞれの極性のバイアス磁界を印加して得られた電圧値の差である第2出力電圧とを求め、両者の差分から磁界を検出する際に、前記第1及び第2出力電圧に含まれる、前記磁界についてのオフセット電圧を消去することを特徴とする磁気検出装置。
  2. 磁気を検出する磁気センサと、前記磁気センサに極性を反転させてバイアス磁界を印加するバイアス磁界発生手段と、前記磁気センサに電圧を印加する電圧印加手段と、それぞれの極性のバイアス磁界に対して得られた電圧値を検出する検出手段と、前記電圧値を用いて方位を求める演算手段と、を具備し、前記検出手段は、それぞれの極性のバイアス磁界を印加して得られた第1,第2電圧値を各々入力させ、前記第1電圧値から前記第2電圧値を減算するか、前記第2電圧値から前記第1電圧値を減算するかを切り替える手段を有し、切り替え前後の値の差分をとって磁界を検出する際に、前記磁界についてのオフセット電圧を消去することを特徴とする磁気検出装置。
  3. 前記磁気センサは、磁界に対して対象性のある抵抗変化を示す磁気抵抗素子を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の磁気検出装置。
  4. 前記磁気抵抗素子は、GIG素子又はMR素子であることを特徴とする請求項3記載の磁気検出装置。
  5. 前記磁気センサは、磁界に対して単調に変化する抵抗変化を示す磁気抵抗素子を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の磁気検出装置。
  6. 前記磁気抵抗素子は、GMR素子であることを特徴とする請求項5記載の磁気検出装置。
  7. 前記磁気センサは、ブリッジ回路で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の磁気検出装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の複数の磁気検出装置と、前記複数の磁気検出装置により求められたそれぞれの差分電圧を用いて方位を求める方位算出手段と、を具備することを特徴とする電子方位計。
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