JP4613288B2 - 弱着磁性バイメタルコイン用セレクタ - Google Patents

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Description

本発明は、自動販売機やゲーム機等に用いられるコインセレクタに関する。詳しくは、弱着磁性を有するコインのコインセレクタに関する。更に詳しくは、中央部が弱着磁性を有する材料で形成され、かつ、その周囲が非着磁性材料で形成された着磁性コインのコインセレクタに関する。なお、本明細書で使用する「コイン」は、通貨であるコインの他、ゲーム用のメダル、トークン等の代用コインも包含する。
着磁性を有するコインを選別するため、永久磁石を採用した技術は多々知られている。例えば、米国特許第1907064号、実用新案登録第2571694号参照。しかし、これらの技術は、着磁性を有する偽貨を選別するものであり、着磁性を有する正貨を選別するものは無かった。着磁性を有するコインを正貨として選別する技術として、本出願人は登録実用新案第2583005号を提案した(例えば、特許文献1参照。)。
登録実用新案第2583005号(段落番号0011〜0014、図2)
この従来技術は、相対的に吸着力の弱い第1の磁石部材を上流に、それよりも吸着力の強い第2の磁石部材を下流に配置することにより、強着磁性コインのみが第1の磁石部材により転動進路を変更されて選別され、第1の磁石部材により吸着されずにそのまま通過した弱磁性コインは、第2の磁石部材により転動進路を変更されて選別される。なお、非着磁性コインは、第2の磁石部材をそのまま通過することで、選別される。
この技術は、磁石の吸着力により着磁性コインの進路を変更することにより、強着磁性コイン、弱着磁性バイメタルコイン及び非着磁性コインを選別するものである。すなわち、コインの選別は、磁石の吸着力とコインの移動速度によって決定される。磁石の吸着力は、磁力を測定することにより一定の値にそろえることができる。
しかし、コインの移動速度は、コイン投入時の速度によって影響を受けるため、稀に弱着磁性バイメタルコインが非着磁性コインとして選別されることがある。すなわち、投入されたコイン速度が大きい場合、弱着磁性バイメタルコインが第2の磁石によって所定の方向に案内されず、非着磁性コイン同様素通りして選別されることがある。
本発明は前記不具合を解消することを目的とする。本発明の第1の目的は、弱着磁性バイメタルコインを確実に選別できるコインセレクタを提供することを目的とする。本発明の第2の目的は、弱着磁性バイメタルコインを確実に選別できるコインセレクタを安価に提供することである。本発明の第3の目的は、調整が容易なコインセレクタを提供することである。
これらの目的を達成するため、第1の発明は以下のように構成したものである。
中央部が弱着磁性材料の円板であり、その周囲に非着磁性材料で作られたリング体が嵌めてあるバイメタルコインをコイン通路によって案内する途中において正貨と偽貨とに選別するための弱着磁性バイメタルコイン用セレクタであって、前記セレクタは、垂直に配置された平板状のバックボード及びコインの厚みよりも僅かに大きい間隔で平行に配置された板状の可動ガイドボードにより画定された上下方向に延びるコイン通路を有し、前記コイン通路の上端は矩形のコイン入口であり、前記コイン入口の斜め下方にガイドレールが配置され、前記ガイドレールによって案内された後、前記バイメタルコインが斜め下方へ自由落下可能にされ、前記自由落下の途上においてコイン通路の下方に位置する受入通路若しくは返却通路に案内して選別するようにした弱着磁性バイメタルコイン用セレクタにおいて、
前記バックボードの背面側に取り付けたシャフトにレバーの上端部を回動自在に取り付け、かつ、前記レバーの下端部に前記コイン通路に突出可能であるガイド部材を形成し、
側面視前記シャフトと前記コイン通路との中間位置、かつ、背面視前記シャフトから真下へ延在する位置における前記レバーの中間に移動磁石を取り付け、前記移動磁石は前記コイン通路における自由落下域の側方において前記バイメタルコインの中央の弱磁性円板に対して相対可能であり、
前記レバーは自己モーメントにより前記コイン通路から退出する方向に駆り立てられ、
前記ガイド部材は前記移動磁石の前記ガイド通路に向かっての移動に連動して前記コイン通路に突出して前記自由落下するバイメタルコインを前記受入通路に案内することを特徴とする弱着磁性バイメタルコイン用セレクタである。
この構成において、弱着磁性バイメタルコインは、コイン通路に案内されながら転げおちる。転げ落ちる途中で、当該コインの中央部円板は移動磁石の側方を通過する。
このとき、移動磁石の吸着力が中央部円板に作用するが、当該コインはコイン通路に案内されているので移動磁石側に移動できない。結果として、移動磁石が当該コイン側へ移動する。この移動と連動してガイド部材がコイン通路に突出する。弱着磁性バイメタルコインは、ガイド部材に接触し、所定の方向に案内されて受入通路へ選別される。
中央部が非着磁性コインの場合、移動磁石の吸着力が作用しないので、移動磁石は移動しない。結果として、中央部が非着磁性のコインはガイド部材と接触せず進行して返却通路へ選別される。中央部が強着磁性コインの場合、移動磁石又は別に配置した固定磁石の吸着力によって当該コインがコイン通路に保留され、選別される。したがって、弱着磁性バイメタルコインを確実に選別することができる。また、構造が簡単で安価であり、かつ、電源の無い場所でも使用できる。
第1の発明は、回動自在に支持されたレバーに前記磁石とガイド部材が配置されている。この構成において、回動自在なレバーに移動磁石とガイド部材が配置されているので、移動磁石の移動に基づいてダイレクトにガイド部材が移動し、確実にガイド部材をコイン通路に突出させることができる。結果として、弱着磁性バイメタルコインは確実に選別される。また、レバーに移動磁石を固定し、かつ、ガイド部材を設けたので、安価である。
第1の発明は、前記レバーがモーメントにより、コイン通路から退出する方向に駆り立てられる。この構成において、レバーは、取り付けられている磁石やガイド部材などのモーメントによりガイド部材がコイン通路から退出する方向に駆り立てられるため、特別な駆り立て装置が不要である。結果として、駆り立て用のスプリング等を必要とせず、安価であり、また、駆り立て力の調整も不要である。
さらに第1の発明は、コイン通路における前記磁石の上流のガイド通路の側方に固定した固定磁石を有することが好ましい。この構成において、強着磁性コインはその移動途上において、固定磁石によって吸着保持される。結果として、強着磁性コインを固定磁石という簡単な構成によって選別でき、かつ吸着されたコインの除去装置も簡単な構成でよい。
第2の発明は、中央部が弱着磁性材料の円板であり、その周囲に非着磁性材料で作られたリング体が嵌めてあるバイメタルコインをコイン通路によって案内する途中において正貨と偽貨とに選別するための弱着磁性バイメタルコイン用セレクタであって、前記セレクタは、垂直に配置された平板状のバックボード及びコインの厚みよりも僅かに大きい間隔で平行に配置された板状の可動ガイドボードにより画定された上下方向に延びるコイン通路を有し、前記コイン通路の上端は矩形のコイン入口であり、前記コイン入口の直ぐ下方にクレードルが配置され、前記クレードルの斜め下方にガイドレールが配置され、前記ガイドレールによって案内された後、前記バイメタルコインが斜め下方へ自由落下可能にされ、前記自由落下の途上においてコイン通路の下方に位置する受入通路若しくは返却通路に案内して選別するようにした弱着磁性バイメタルコイン用セレクタにおいて、
前記バックボードの背面側に取り付けたシャフトにレバーの上端部を回動自在に取り付け、かつ、前記レバーの下端部に前記バックボードの開口を通って前記コイン通路に突出可能であるガイド部材を形成し、
側面視前記シャフトと前記コイン通路との中間位置、かつ、背面視前記シャフトから真下へ延在する位置における前記レバーの中間に移動磁石を取り付け、前記移動磁石は前記コイン通路における自由落下域の側方において前記バイメタルコインの中央の弱磁性円板に対して前記バックボードの孔を介して相対可能、かつ、前記孔に進行可能であり、
前記レバーは自己モーメントにより前記コイン通路から退出する方向に駆り立てられ、
前記ガイド部材は前記移動磁石の前記孔に向かっての移動に連動して前記コイン通路に突出して前記自由落下するバイメタルコインを前記受入通路に案内することを特徴とする弱着磁性バイメタルコイン用セレクタである。
第2の発明において、コイン入口に投入されたコインはクレードルによって小径の偽コインが選別され、適正直径のコインは側方へ移動された後、ガイドレールに案内された後、斜め下方へ自由落下する。強着磁性コインを使用する場合、コイン通路を移動する強着磁性コインは、移動磁石又は固定磁石の吸着力によって保持され、選別される。
中央部が弱着磁性バイメタルコインを使用する場合、当該コインは移動磁石又は固定磁石の吸着力によって保持されること無く、固定ガイドボードによって側方への移動を阻止されつつ通過し、移動磁石がコイン通路側へ移動する。
移動磁石の移動によってレバーがシャフト回りに回動するため、ガイド部材がコイン通路へ突入する。弱着磁性バイメタルコインは、ガイド部材に衝突して方向を変えられ受入通路へ案内されて選別される。非着磁性コインを使用する場合、移動磁石が前述のように移動されないので、ガイド部材により方向転換されずに返却通路へ案内されて選別される。この構成は、レバーに固定した移動磁石及びレバー下端部のガイド部材という簡単な構造によりコインの選別を行うことができるので、安価である。また、電源の無い場所でも使用できる。
第3の発明は、請求項1又は2の弱着磁性バイメタルコイン用セレクタにおいて、前記レバーは前記バイメタルコインの自由落下方向と同方向へ伸び、当該方向と直角をなす前記シャフトに回動自在、かつ、前記シャフトへの軸支位置において前記シャフトよりも前記バックボード側に配置され、前記移動磁石は前記レバーの中間において前記レバーよりも前記バックボード側において配置され、前記ガイド部材は前記レバーの下端部において前記シャフトと反対側へ折り曲げて形成され、前記レバーの中間に前記ガイド部材のガイド通路への突出量を規制するストッパを配置し、前記シャフトよりも上方へ伸びるレバーにスタンバイ位置を規制するストッパ(30)を取り付け、前記レバーは自己モーメントにより、前記コイン通路から退出する方向に駆り立てられることを特徴とする。
第3の発明において、強着磁性コインを使用する場合、コイン通路を移動する強着磁性コインは、移動磁石又は固定磁石の吸着力によって保持され、選別される。弱着磁性バイメタルコインは、その中央部が移動磁石の側方を通る。弱着磁性バイメタルコインは固定ガイドボードによって側方への移動を阻止されるので、移動磁石がコイン通路側へ移動する。
これによってレバーが回動するため、ガイド部材がコイン通路へ突入する。弱着磁性バイメタルコインは、ガイド部材に衝突して方向を変えられ受入通路へ、選別される。
第3の発明は、レバーのスタンバイ位置を規制するストッパを有している。この構成において、ストッパによってレバーのスタンバイ位置をコイン通路から僅かに外れた位置に設定できるので、移動磁石が僅かに移動した場合であっても、ガイド部材がコイン通路に素早く突出するので、コインを確実に選別できる。
第3の発明は、ストッパの位置を調整する調整装置を有する。この構成において、部品のバラツキによりストッパの位置が僅かにずれた場合であっても、調整装置よりストッパの位置を最適な位置に調整できるので、コインを確実に選別できる。
図1は、実施例の正面右上方からの斜視図である。図2は、実施例の背面右上方からの斜視図である。図3は、実施例の背面図である。図4は、図3のX−X断面図である(可動ガイドボードは図示されていない)。図5は、実施例の作用説明図である。
初めに、本発明装着対象の公知のコインセレクタの一例を説明する。固定ガイドボード1は垂直に配置された平板状のバックボード1aと、その両サイドを前方に直角に折り曲げたサイドボード1b及び1cを有する。サイドボード1cの中間からサイドボード1b側へ水平に折り曲げられたブラケット2a及び2cに垂直に取り付けられた固定軸3に、板状の可動ガイドボード4の右端部が回動可能に取り付けられている。
可動ガイドボード4は水平方向に回動可能であるが、スプリング5によって固定ガイドボード1側へ付勢され、左端部のL形部4aがバックボード1aに突き当たって静止されている。これにより、バックボード1aと可動ガイドボード4とはコインの厚みよりも僅かに大きい間隔で平行に配置され、上下方向に垂直に延びるコイン通路6を形成している。
左側のサイドボード1bの近くに矩形のコイン入口7が形成されている。このコイン入口7において、コインの厚みが選別される。このコイン入口7の直ぐ下方に、所定の間隔で配置された爪8a及び8bを有する公知のクレードル8が配置されている。クレードル8は可動ガイドボード4から横方向に突出する固定軸9に回動自在に取り付けられている。
クレードル8の斜め下方にガイドレール10が配置されている。ガイドレール10は、可動ガイドボード4の長孔11内でスライド可能であり、所定位置で可動ガイドボード4に固定されている。ガイドレール10の下流の可動ガイドボード4側に永久磁石よりなる固定磁石12が配置されている。この固定磁石12は、固定軸3に一端部を回動可能に取り付けたブラケット13に固定されている。
固定磁石12を装着したブラケット13部は、矩形ブロック状に形成され、可動ガイドボード4の開口(図示せず)に進退自在に挿入され、コイン通路6に面している。ブラケット13は、スプリング5によって可動ガイドボード4側へ付勢されている。ブラケット13の先端部にねじ込んだスクリュウ14をガイドボード4に当接することにより、固定磁石12がコイン通路6と所定の間隔になるよう調整可能にしてある。
なお、可動ガイドボード4は、バックボード1aの背面に固定したシャフト15に回動自在に取り付けたキャンセルレバー16を下方に押し下げたとき(図3において反時計方向へ回動)、キャンセルレバー16から突出するピン17が可動ガイドボード4内面に形成したカム面を押し、可動ガイドボード4を固定軸3を支点にバックボード1aから離れるように回動される。また、シャフト15に固定され、バックボード1aと可動ガイドボード4との間に配置されるレバー状のワイパー18が、コイン通路6に進出可能に取り付けられている。
つぎに、本発明に係る構成を説明する。バックボード1aの背面に固定したブラケット20から反バックボード1a側の横方向に突出する軸受20a及び20bにシャフト21が固定されている。シャフト21に、上下方向に長いレバー22の中間から反バックボード1a側に突出する軸受22a及び22bが回動自在に取り付けてある。軸受22a及び22bは、それらの側面が軸受20a及び20bにガイドされつつ回動するようにし、レバー22がシャフト21に対しスライドしないようにしてある。
レバー22のシャフト21よりも下方からバックボード1a側に突出する腕22cにスクリュウ23によって円柱状の移動磁石24が固定してある。移動磁石24は、永久磁石であって、例えば希土類磁石からなる強磁性体である。移動磁石24は、矩形であってもよく、形状は問わない。この移動磁石24に相対するバックボード1aに円形の孔25が形成されている。
したがって、移動磁石24は、コイン通路6の側方に位置している。図5に示すように、移動磁石24はガイドレール10の下流であって、ガイドレール10の側方に位置している。この位置は、通常、コインの中心部が通過する。また、固定磁石12に対し、その下流であって、下方に位置している。レバー22の下端は直角にバックボード1a側に曲げられ、ガイド部材26になっている。
ガイド部材26は、ブラケット20及びバックボード1aの開口27を通って、コイン通路6に突出可能である。ガイド部材26は、矩形状であり、コイン通路6を横断する幅及びコイン直径の二分の一以上の長さを有する。ガイド部材26の幅は、コインを受入通路37に案内出来ればよいので、必ずしもコイン通路6を横断していなくとも良い。
ガイド部材26は、移動磁石24の下流に配置され、移動磁石24に対し下方かつ側方に位置している。コインがガイドレール10に案内された後のコインの落下方向線dに対し、ガイド部材26の面がほぼ直角をなすよう配置されている。また、コインが普通に落下した場合、ガイド部材26の長さ方向の中間に対し、移動磁石24に近い位置に衝突するよう設定するとともに、ガイド部材26とサイドボード1cとの間隔がコイン直径よりも小さくなるようにしてある。
この構成は、コインが加速して投入された場合、ガイド部材26によって正規の方向に案内されず、非着磁性コインの通路38に選別されることを防止する。移動磁石24とガイド部材26との距離及びそれらのなす角度は、コイン通路6を移動するコインの速度により設定される。すなわち、コイン速度が大きい場合、移動磁石24とガイド部材26との距離は相対的に長く設定される。
実施例のように、移動磁石24をレバー22の回動支点の近くに配置し、ガイド部材26をそれよりも遠い位置に形成した場合、移動磁石24が僅に移動した場合であってもガイド部材26の移動量はそれよりも大きいので、ガイド部材26がコイン通路6に確実に突出する。さらに、1つのレバーに設けることにより、移動磁石24の移動をダイレクトにガイド部材に伝えるので、運動エネルギーのロスが少なく、ガイド部材26を素早くコイン通路6に位置させることができる。なお、移動磁石24とガイド部材26は、別部材とし、それらをリンク結合して連動させることができる。
レバー22のシャフト21よりも上の端部にストッパ30としてのスクリュウ31がねじ込んであり、ロックナット32により固定されている。スクリュウ31とロックナット32とが調整装置である。レバー22は、移動磁石24、ガイド部材26及びストッパ30のウエイト等によるモーメントによってガイド26がコイン通路6から外れるように構成されている。
ストッパ30は、バックボード1aにスクリュウ31が当接することにより、そのモーメントによる回動をストップし、ガイド26がコイン通路6に隣接する位置に保持する機能を有している。このように、保持することにより、迅速にコイン通路へガイド26を突出させることができる。スクリュウ33は、中間に固定されたつば34を有し、先端をブラケット20にねじ込んでロックナット35により固定してある。スクリュウ33は、ガイド部材26がコイン通路6に突出したとき、レバー22がつば34にストップされ、ガイド部材26の突出量を調整する機能とレバー22のガイド機能を有する。
ガイド部材26の下流であって、かつ側方、すなわち図5に示すように、移動磁石24の下方に振分体36が横方向に位置調整可能にバックボード1aに固定されている。図5において、振分体36の左側が正貨の受入通路37であり、右側が偽貨の返却通路38である。
次に正貨として弱着磁性バイメタルコインである1ユーロ又は2ユーロコインを用いた例により作用を説明する。ユーロコインは、所謂バイメタル方式であり、中央部が弱着磁性材料の円板であり、その周囲に非着磁性材料で作られたリング体が嵌めてある。まず、正貨を投入したケースを説明する。
コイン入口7に投入された弱着磁性バイメタルコインc1は、クレードル7によってガイドレール10側へ移送されて後落下する。落下したコインc1は、ガイドレール10に案内されて固定磁石12の側方を通過する。このとき、弱着磁性バイメタルコインc1の中央部の弱着磁性部は固定磁石12による吸着力を受け、バックボード1aに接するが、保持されることなく通過する。この後、コインc1はガイドレール10に案内されないため、自重及び移動の慣性力によって斜め下方へ落下する。
この落下途中に、コインc1の中央部は、移動磁石24の側方を通過する。コインc1は移動磁石24の吸着力を受けるがバックボード1aに接しつつ落下する。このときレバー22は、自己のモーメントにより図4において時計方向へ回動され、ストッパ30がバックボード1aに突き当たったスタンバイ位置にある(図4の鎖線示位置)。移動磁石24は、その吸着力により、コインc1側へ移動するので、シャフト21を支点に図4において反時計方向へ回動され、ガイド部材26がコイン通路6に突出する(図4の実線示位置)。
落下するコインc1は、ガイド部材26にほぼ直角に衝突し、図5において左方へ跳ね返り、受入通路37へ案内され、選別される。もし、コインc1の跳ね返りが少ない場合、跳ね返ったコインc1は振分体36に当たって受入通路37に案内される。
次に強着磁性コインc2を投入したケースを説明する。コインc2は前述同様クレードル6およびガイドレール10に案内されて固定磁石12に達する。固定磁石12による強着磁性コインc2に対する吸着力が大きいので、コインc2は固定磁石12に吸着され、コイン通路6に保持される。
この場合、レバー16を押し下げることにより、可動ガイドボード4を回動させ、さらにワイパー18によって吸着されているコインc2を押しやることにより、吸着状態を解除して落下させてキャンセル通路に導かれ、返却される。
次に非着磁性コインc3を投入したケースを説明する。この場合も非着磁性コインc3は、クレードル6及びガイドレール10に案内されて固定磁石12に達する。しかし非着磁性であるため、固定磁石12に吸着されることなく移動磁石24の側方を通過する。
この場合、コインが非着磁性であるため、移動磁石24は移動しない。結果として、ガイド部材26は、コイン通路6の突出しない。したがって、非着磁性コインc3は、返却通路38に落下して返却される。本実施例は、非着磁性コインc1が固定磁石12によってバックボード1aに接して位置を定められた後、移動磁石24の側方に達するので、コインと移動磁石24との距離が毎回ほぼ一定になるので、非着磁性コインc1による移動磁石24の移動が毎回安定して行われる。
なお、本発明は種々の変更が可能である。例えば、固定磁石12を配置せず、移動磁石24にその機能を持たせることが出来る。すなわち、移動磁石24の磁力を適宜設定することにより、移動磁石24で強着磁性コインを吸着してコイン通路6に保持することができる。
吸着されたコインを適宜の長さに設定されたワイパー18によって前述同様に掻き落としてキャンセルすることができる。なお、直径が小さいコインは、クレードル8の爪8a及び8b間を通過するので選別され、直径が大きいコインは、爪8a及び8bに係止され、かつ、ガイドレール10に受け渡されないことにより選別される。
図1は、実施例の正面右上方からの斜視図である。 図2は、実施例の背面右上方からの斜視図である。 図3は、実施例の背面図である。 図4は、図3のX−X断面図である。 図5は、実施例の作用説明図である。
符号の説明
6
コイン通路
24 移動磁石
26 ガイド部材
22 レバー
12 固定磁石
1
固定ガイドボード
4
可動ガイドボート
30 ストッパ
31、32 調整装置

Claims (3)

  1. 中央部が弱着磁性材料の円板であり、その周囲に非着磁性材料で作られたリング体が嵌めてあるバイメタルコインをコイン通路(6)によって案内する途中において正貨と偽貨とに選別するための弱着磁性バイメタルコイン用セレクタであって、前記セレクタは、垂直に配置された平板状のバックボード(1a)及びコインの厚みよりも僅かに大きい間隔で平行に配置された板状の可動ガイドボード(4)により画定された上下方向に延びるコイン通路(6)を有し、前記コイン通路の上端は矩形のコイン入口(7)であり、前記コイン入口の斜め下方にガイドレール(10)が配置され、前記ガイドレールによって案内された後、前記バイメタルコインが斜め下方へ自由落下可能にされ、前記自由落下の途上においてコイン通路の下方に位置する受入通路(37)若しくは返却通路(38)に案内して選別するようにした弱着磁性バイメタルコイン用セレクタにおいて、
    前記バックボードの背面側に取り付けたシャフト(21)にレバー(22)の上端部を回動自在に取り付け、かつ、前記レバーの下端部に前記コイン通路に突出可能であるガイド部材(26)を形成し、
    側面視前記シャフトと前記コイン通路との中間位置、かつ、背面視前記シャフトから真下へ延在する位置における前記レバーの中間に移動磁石(24)を取り付け、前記移動磁石は前記コイン通路における自由落下域の側方において前記バイメタルコインの中央の弱磁性円板に対して相対可能であり、
    前記レバーは自己モーメントにより前記コイン通路から退出する方向に駆り立てられ、
    前記ガイド部材は前記移動磁石の前記ガイド通路に向かっての移動に連動して前記コイン通路に突出して前記自由落下するバイメタルコインを前記受入通路に案内することを特徴とする弱着磁性バイメタルコイン用セレクタ。
  2. 中央部が弱着磁性材料の円板であり、その周囲に非着磁性材料で作られたリング体が嵌めてあるバイメタルコインをコイン通路(6)によって案内する途中において正貨と偽貨とに選別するための弱着磁性バイメタルコイン用セレクタであって、前記セレクタは、垂直に配置された平板状のバックボード(1a)及びコインの厚みよりも僅かに大きい間隔で平行に配置された板状の可動ガイドボード(4)により画定された上下方向に延びるコイン通路(6)を有し、前記コイン通路の上端は矩形のコイン入口(7)であり、前記コイン入口の直ぐ下方にクレードル(8)が配置され、前記クレードルの斜め下方にガイドレール(10)が配置され、前記ガイドレールによって案内された後、前記バイメタルコインが斜め下方へ自由落下可能にされ、前記自由落下の途上においてコイン通路の下方に位置する受入通路(37)若しくは返却通路(38)に案内して選別するようにした弱着磁性バイメタルコイン用セレクタにおいて、
    前記バックボードの背面側に取り付けたシャフト(21)にレバー(22) の上端部を回動自在に取り付け、かつ、前記レバーの下端部に前記バックボードの開口(27)を通って前記コイン通路に突出可能であるガイド部材(26)を形成し、
    側面視前記シャフトと前記コイン通路との中間位置、かつ、背面視前記シャフトから真下へ延在する位置における前記レバーの中間に移動磁石(24)を取り付け、前記移動磁石は前記コイン通路における自由落下域の側方において前記バイメタルコインの中央の弱磁性円板に対して前記バックボードの孔(25)を介して相対可能、かつ、前記孔に進行可能であり、
    前記レバーは自己モーメントにより前記コイン通路から退出する方向に駆り立てられ、
    前記ガイド部材は前記移動磁石の前記孔に向かっての移動に連動して前記コイン通路に突出して前記自由落下するバイメタルコインを前記受入通路に案内することを特徴とする弱着磁性バイメタルコイン用セレクタ。
  3. 請求項1又は2の弱着磁性バイメタルコイン用セレクタにおいて、前記レバーは前記バイメタルコインの自由落下方向と同方向へ伸び、当該方向と直角をなす前記シャフトに回動自在、かつ、前記シャフトへの軸支位置において前記シャフトよりも前記バックボード側に配置され、前記移動磁石は前記レバーの中間において前記レバーよりも前記バックボード側において配置され、前記ガイド部材は前記レバーの下端部において前記シャフトと反対側へ折り曲げて形成され、前記レバーの中間に前記ガイド部材のガイド通路への突出量を規制するストッパを配置し、前記シャフトよりも上方へ伸びるレバーにスタンバイ位置を規制するストッパ(30)を取り付け、前記レバーは自己モーメントにより、前記コイン通路から退出する方向に駆り立てられることを特徴とする弱着磁性バイメタルコイン用セレクタ。
JP2007037336A 2007-02-19 2007-02-19 弱着磁性バイメタルコイン用セレクタ Expired - Fee Related JP4613288B2 (ja)

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