JP4612068B2 - スラリ液用メカニカルシール - Google Patents

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本発明は、硬質固形粒子(例えば、セラミックス又は超硬合金の微粒子)を含有するスラリ液を扱うボールミル(湿式粉砕機),ポンプ,攪拌機等の回転機器に軸封手段として装備されるスラリ液用メカニカルシールに関するものである。
従来のスラリ液用メカニカルシールとしては、図6又は図7に示す如く、スラリ液を扱う回転機器のハウジング101に密封環保持部105bがスラリ液領域Aに露出する状態で取付けられた円筒構造のシールケース105と、密封環保持部105bよりスラリ液領域A側に配して、シールケース105を洞貫する回転軸102に固定された回転密封環106と、密封環保持部105bの内周部に、これに形成したOリング溝117に係合保持させたOリング116を介して、軸線方向移動可能に嵌合保持された静止密封環107と、静止密封環107を回転密封環106へと押圧接触させるべく附勢するスプリング部材108とを具備し、両密封環106,107の対向端面たる密封端面106a,107aの相対回転摺接作用により、その相対回転摺接部分106a,107aの外周側領域であるスラリ液領域Aとその内周側領域である大気領域Bとを遮蔽シールするように構成された端面接触形のものが周知である(例えば、特許文献1を参照)。
ところで、かかるメカニカルシールにあって、Oリング116の配設空間つまりOリング溝117内の空間には、これがスラリ液領域Aに連通されていることから、スラリ液が侵入して、スラリ成分が堆積,固着し、その結果、静止密封環107のOリング116を介しての軸線方向移動つまり追従性が低下,阻害されることになり、密封端面106a,107aの接触面圧が不適正となり、メカニカルシール機能が低下することになるといった問題がある。
そこで、図6に示すメカニカルシール(以下「第1従来シール」という)では、静止密封環107の外周部にリップシール119を嵌着固定して、そのリップ部119bを密封環保持部105bの先端面105eに圧接させておくことにより、静止密封環107の軸線方向移動をリップ部119bの弾性変形によって許容しつつ、Oリング溝117内の空間をスラリ液領域Aから遮蔽して、当該空間へのスラリ液侵入を阻止するように工夫している(特許文献1の図9を参照)。また、図7に示すメカニカルシール(以下「第2従来シール」という)では、Oリング溝117内にグリース等の粘性材100を充填させておくことにより、静止密封環107の軸線方向移動を許容しつつ、Oリング溝117内へのスラリ液侵入を阻止するように工夫している(特許文献1の図1及び図2を参照)。
特開2005−048819公報
しかし、第1従来シールにあっては、静止密封環107の軸線方向移動(追従動作)に伴ってリップ部119bによるシール力(密封環保持部105bの先端面105eへの接触力)が変化することから、スラリ液のOリング溝117への侵入を確実に阻止することが困難であり、スラリ液用メカニカルシールとしての信頼性に乏しい。また、リップシール119の弾性力(密封環保持部105bの先端面105eへの接触力)は、スプリング部材108と同様に、静止密封環107を回転密封環106へと圧接させる押圧力として作用し、且つスラリ液領域Aの圧力によって変化することから、スラリ液領域Aが高圧となる条件下では、静止密封環107の密封端面106a,107aの接触圧が必要以上に
高くなるといった問題もある。
一方、第2従来シールでは、このような問題を生じることなく、Oリング溝117内へのスラリ液侵入を確実に阻止することができるが、軸封手段として適用できる回転機器に制限がある。例えば、硬質固形粒子(超硬合金微粒子やセラミックス微粒子等)を含有するスラリ液を扱う湿式粉砕機等の回転機器に、軸封手段として第2従来シールを使用した場合、Oリング溝117内における粘性材100の充填層が硬質固形粒子との接触により侵食されて、短期間のうちに当該充填層が破損,消失し、粘性材100によるスラリ液侵入阻止効果が損なわれる虞れがある。
また、第1及び第2従来シールにあっては、シールケース105の密封環保持部105b及び各密封環106,107がスラリ液と接触することになるため、スラリ液が超硬合金微粒子やセラミックス微粒子等の硬質固形粒子を含有するものである場合、硬質固形粒子との接触による損傷が問題となるが、かかる問題は、密封環106,107についてはこれらを硬質固形粒子との接触によっては損傷しない硬質材(超硬合金,セラミックス等)で構成しておくことにより対処することができる。しかし、シールケース105については、製作経済上等の点から、鋼材等の金属材で構成せざるを得ないことから、スラリ液に含有される固形粒子がこのようなシールケース構成材より硬質の超硬合金やセラミックス等である場合、スラリ液と接触するシールケース部分(第1従来シールでは、密封環保持部105bの先端面105eにおいてリップシール119で被覆されない部分であり、第2従来シールでは、密封環保持部105bの先端面105eにおける全面である)が損傷し、当該メカニカルシールの寿命が大幅に低下する。
本発明は、このような問題を解決して、スラリ液による静止密封環の追従性低下(作動不良)やシールケースの損傷を確実に防止して、超硬合金やセラミックス等の硬質固形粒子を含有するスラリ液を扱う湿式粉砕機(ボールミル)等の回転機器の軸封手段として好適に使用することができるスラリ液用メカニカルシールを提供することを目的とするものである。
本発明は、硬質固形粒子を含有するスラリ液を扱う回転機器のハウジングに密封環保持部がスラリ液領域に露出する状態で取付けられた円筒構造のシールケースと、密封環保持部よりスラリ液領域側に配して、シールケースを洞貫する回転軸に固定された回転密封環と、密封環保持部の内周部にOリングを介して軸線方向移動可能に嵌合保持された静止密封環と、静止密封環を回転密封環へと押圧接触させるべく附勢するスプリング部材とを具備するスラリ液用メカニカルシールにおいて、上記の課題を解決すべく、特に、外周側端部を密封環保持部とハウジングとの間に挟圧固定すると共に内周側端部を静止密封環の外周面に圧接させた環状のリップシールを密封環保持部の先端面に接触する状態で配設して、外周側端部によりシールケースとハウジングとの間をシールすると共に内周側端部及び内外周端部間の連結部により前記Oリングの配設空間へのスラリ液の侵入及び密封環保持部とスラリ液との接触を阻止するように構成しておくことを提案するものである。
かかるスラリ液用メカニカルシールの好ましい実施の形態にあって、密封環保持部の先端面には、リップシールと同心の環状をなして断続又は連続する凹部が形成される。また、スラリ液に含有される硬質固形粒子がシールケースの構成材より硬質のもの(例えば、平均粒子径0.05〜1.0mmである超硬合金粒子又はセラミックス粒子)である場合、各密封環は超硬合金又はセラミックス製のものとされるが、シールケースは一般的な構成材である金属製のものとされる。
本発明のスラリ液用メカニカルシールによれば、静止密封環の二次シールであるOリングの配設空間への硬質固形粒子を含有するスラリ液の侵入を長期に亘って確実に阻止することができ、静止密封環の追従性が低下して作動不良となるようなことがなく、長期に亘って良好にメカニカルシール機能を発揮させることできる。また、シールケースは密封環のように硬質材で構成することができず、スラリ液中の硬質固形粒子との接触により損傷し易いものであるが、本発明によれば、シールケースとスラリ液との接触を防止して、シールケースの損傷を回避することができ、メカニカルシール寿命の向上を図ることができる。
以下、本発明の構成を図1及び図2に示す実施の形態に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明に係るスラリ液用メカニカルシールの一例を示す縦断側面図であり、図2は図1の要部を拡大して示す詳細図である。なお、以下の説明において、前後とは図1における左右をいうものとする。
図1に示す軸封装置は、硬質固形粒子(例えば、平均粒子径0.05〜1.0mmの超硬合金粒子又はセラミックス粒子)を含有するスラリ液を扱うボールミル等の回転機器に装備されたものであり、回転機器のハウジング(例えば、ミル部のハウジング)1とその軸封開口部1aを同心状に貫通する回転軸(例えば、ロータ軸)2との間に軸線方向(回転軸2の軸線に平行する方向であり、以下、単に「軸線方向」という)に並列状に配置された一次シール3及び二次シール4により、ハウジング内領域(機内領域)たるスラリ液領域Aとハウジング外領域(機外領域)たる大気領域Bとの間を両シール3,4間に形成された封液領域Cを介してシールするように構成されている。
一次シール3は、図1に示す如く、本発明に係るスラリ液用のメカニカルシールであり、ハウジング1の軸封開口部1aに取り付けられた円筒構造のシールケース5と、回転軸2に固定された回転密封環6と、シールケース5に軸線方向(前後方向)に移動可能に保持された静止密封環7と、静止密封環7を回転密封環6に押圧接触させるべく附勢するスプリング部材8とを具備し、両密封環6,7の対向端面たる密封端面6a,7aの相対回転摺接作用により、その相対回転摺接部分6a,7aの外周側領域であるスラリ液領域Aとその内周側領域である封液領域Cとの間を遮蔽シールするように構成された端面接触形メカニカルシールである。なお、封液領域Cには、後述する如く、スラリ液領域Aより高圧の封液30が循環供給されている。
シールケース5は炭素鋼,ステンレス鋼等の鋼材(この例ではSUS304)で構成された円筒構造のもので、図1に示す如く、本体部5aとその内周側前端部に突設された密封環保持部5bとその内周側後端部に連設されたスプリング保持部5cとからなり、本体部5aの先端面(前端面)を軸封開口部1aの基端面(後端面)に衝合させると共に密封環保持部5bの外周面を軸封開口部1aの円形内周面1bに衝合(嵌合)させた状態で、ハウジング1に取り付けられている。なお、回転軸2は、シールケース5の各部5a,5b,5cを同心状に貫通している。
回転密封環6は、図1に示す如く、先端面(後端面)を軸線に直交する円環状の平滑面である密封端面6aに構成した超硬合金又はセラミックス(この例では、超硬合金)製の円環状体であり、軸封開口部1a内であって密封環保持部5bよりスラリ液領域A側(前側)の位置に配して、回転軸2に嵌合固定されている。回転軸2には、鋼材(この例ではSUS304)製のスリーブ2aが、その後端部に嵌合させたストッパリング10及びこれに螺合させた適当数のセットスクリュー11,12により嵌合固定されている。回転密封環6は、スリーブ2aの前端部にOリング13、キー14及びスナップリング15を介
して嵌合固定されている。なお、スリーブ2aと回転密封環6との嵌合構造は、図1に示す如く、両者2a,6の前端面が面一となるようにして、スラリ液領域Aに露出するスリーブ2aの前端面が可及的に小面積となるように工夫してある。
静止密封環7は、図1に示す如く、先端面(前端面)を軸線に直交する円環状の平滑面である密封端面7aに構成した超硬合金又はセラミックス(この例ではセラミックス)製の円環状体であり、密封環保持部5bの内周部にゴム等の弾性材(この例ではパーフロロゴム)製のOリング16を介して軸線方向に移動可能に嵌合保持されている。静止密封環7は、図1に示す如く、外周面7bを回転密封環6の外径と同一の一定径とした円環状体であり、これと密封環保持部5bとの間を二次シールするOリング16を介在した状態で、密封環保持部5bに軸線方向移動可能に内嵌保持されている。Oリング16は、密封環保持部5bの内周部に形成された円環状のOリング溝17に係合保持されて、静止密封環7の外周面7bに相対運動可能に圧接されている。
スプリング部材8は、図1に示す如く、静止密封環7とその後方に位置するシールケース5のスプリング保持部5cとの装填された適当数のコイルバネで構成されており、静止密封環7を回転密封環6へと押圧接触させるべく前方へと附勢するものである。なお、静止密封環7は、その後端内周部に形成した凹部7cにスプリング保持部5cに突設したドライブピン18を係合させることにより、軸線方向への移動を所定範囲で許容しつつシールケース5に対する相対回転が阻止されている。
而して、一次シール3にあっては、本発明に従って、図1及び図2に示す如く、外周側端部たる取付部19aを密封環保持部5bとハウジング1との間に挟圧固定すると共に内周側端部たるリップ部19bを静止密封環7の外周面7bに圧接させた環状のリップシール19を密封環保持部5bの先端面(前端面)5eに接触する状態で配設して、取付部19aによりシールケース5とハウジング1との間をシールすると共にリップ部19b及び内外周端部19a,19b間の連結部19cにより前記Oリング16の配設空間(Oリング溝17内の空間)へのスラリ液の侵入及び密封環保持部5bとスラリ液との接触を阻止するように構成してある。
すなわち、リップシール19は、ゴム等の弾性材(この例ではパーフロロゴム)製のもので、連結部19cを取付部19a及びリップ部19bより薄肉とした円環状板に構成されたものである。図2に示す如く、密封環保持部5bの先端部外周面5dを軸封開口部1aの内周面1bより小径として両部1a,5bの対向周面1b,5d間に円環状溝20を形成し、この円環状溝20に取付部19aを挟圧状態で装填させることにより、リップシール19を、連結部19cが密封環保持部5bの先端面5eに接触すると共にリップ部19bが静止密封環7の外周面7bに圧接する状態で、ハウジング1ないし密封環保持部5bに取り付けてある。なお、密封環保持部5bの先端面5e及び連結部19cは軸線に直交している。
リップシール19の取付部19aは、図2に示す如く、連結部19cの外周端から後方へと延びており、軸封開口部1aと密封環保持部5bとの対向周面1b,5d間に挟圧固定されることにより、リップシール19の固定部として機能すると共に両部1a,5b間をシール(二次シール)するシール部として機能する。このように取付部19aがシール部としても機能することから、この例では、図1に示す如く、ハウジング1とシールケース5との間の二次シールを取付部19aのみによって行い、格別の二次シール部材(Oリング等)は設けていない。取付部19aの外周面19gは、取付部19aのハウジング内周面1bへの圧接力を高めてそのシール部としての機能をより効果的に発揮させるために、図2に示す如く、凹凸面に構成してある。また、取付部19aには、図2に示す如く、密封環保持部5bの前端外周面5dに形成した円環状の凹部5fに係合する環状凸部19
fが形成されていて、この凹凸部5f,19fの係合により、リップシール19の円環状溝20からの脱離を阻止するようになっている。
リップシール19のリップ部19bは、図2に示す如く、その前面が連結部19cの前面より若干突出する形態で連結部19cより厚肉とされていて、静止密封環7の軸線方向移動を阻害しない程度において静止密封環7の外周面7bに圧接されている。リップ部19bの径方向幅Hは、図2に示す如く、密封環保持部5bの内周側先端部分で構成されるOリング溝17の前壁部5gと静止密封環7との径方向間隔hより若干大きく設定されており、この径方向間隔hは、Oリング溝17の前壁部5gによってOリング16のOリング溝17からの飛び出しが阻止されうることを条件として、可及的に大きく設定されている。この例では、当該径方向間隔hは、図2に示す如く、Oリング溝17の溝底面と静止密封環7の外周面7bとの径方向間隔の1/2と同一又はこれより若干小さく設定されている。なお、リップ部19bの内周後端の角部19hは円弧面とされており、Oリング溝17の前壁部5gの内周前端の角部5hは面取りされた傾斜面とされている。
リップシール19のリップ部19bは、スラリ液領域Aの圧力(以下「プロセス圧」という)が高くなると、プロセス圧の作用により、図3に例示する如く、静止密封環7の外周面7bに食い込む如き形態に変形し、その変形度はプロセス圧によって変化し、プロセス圧が高くなるに従い大きくなる。したがって、リップ部19bの静止密封環7への接触圧つまりシール力はプロセス圧が高くなるに従い大きくなり、プロセス圧に応じたシール力が得られる。
一次シールたる本発明に係るスラリ液用メカニカルシール3にあっては、上記した如く構成されているから、スラリ液のOリング配設空間(Oリング溝17内の空間)への侵入がリップシール19のリップ部19bによるシール作用によって確実に阻止されることになり、スラリ液に含有される硬質固形粒子が静止密封環7とOリング16との間に侵入,堆積して静止密封環7の追従性を低下,阻害するような事態の発生は、これが確実に回避される。また、スラリ液領域Aに露出するシールケース部分つまり密封環保持部5bが、リップシール19によってスラリ液領域Aと隔絶されて、スラリ液と接触することがないから、たとえ硬質固形粒子がシールケース構成材より硬質のものであっても、シールケース5がスラリ液に含有される硬質固形粒子との接触により損傷されることはない。
ところで、静止密封環7との間のシール機能を発揮させるための上記したリップ部19bの変形は、リップ部19b自体の弾性変形によって生じるものでなく、図3に示す如く、連結部19cが密封環保持部5bの先端面5eから離脱する方向(前方)に弾性変形することによって生じるものである。しかし、図5に示す如く、密封環保持部5bの先端面5eがフラット面である場合には、連結部19cがプロセス圧によって当該先端面5eの全面において押圧密着されることから、連結部19cが当該先端面5eから離間する方向へと弾性変形しようとしても、両者5e,19c間に形成される空間が負圧となって、当該弾性変形が妨げられる虞れがある。したがって、リップ部19bの上記した変形が円滑に行われず、リップ部19bによるシール力がプロセス圧に応じたものとならない虞れがある。一方、被密封流体流体圧力が上記負圧が生じるにも拘わらず連結部19cを弾性変形させ得る程度にまで高圧である場合には、リップ部19bの上記した変形が必要以上に大きくなって、リップ部19bの静止密封環7への圧接力が必要以上に高くなり、その結果、静止密封環7の軸線方向移動が妨げられ、つまり静止密封環7の追従性が低下して、良好なメカニカルシール機能が発揮されない虞れがある。
この実施の形態におけるメカニカルシール3にあっては、このような問題の発生を確実に回避するために、図2に示す如く、密封環保持部5bの先端面5eにリップシール19と同心の環状をなして断続又は連続する凹部21を形成してある。すなわち、凹部21の
存在により、連結部19cが密封環保持部5bの先端面5eに全面的に接触せず、その接触面積が減少することから、両者5e,19c間に連結部19cの上記した弾性変形を阻止するような大きな負圧が生じない(凹部21によるエア抜き効果)。したがって、リップ部19bの上記した変形(図3に示す如き、静止密封環7の外周面7bに食い込み勝手となるような変形)が円滑に行われ、プロセス圧に応じたリップ部19bによるシール力が得られる。
また、リップ部19bが図3に示す如く変形する場合において、プロセス圧が高い場合には、上記した如く、リップ部19bの静止密封環7への圧接力が必要以上に高くなる虞れがあるが、このような虞れも、凹部21の存在によって回避される。すなわち、凹部21の存在により、図4に示す如く、連結部19cがプロセス圧の作用により凹部21へと没入するように弾性変形して、つまりリップ部19bの変形度(静止密封環7の外周面7bに食い込み勝手方向に変形する場合の変形度)が減じられることになり、その結果、リップ部19bの静止密封環7への圧接力が静止密封環7の追従性を阻害する程度にまで大きくなることがない。なお、凹部21は、リップシール19と同心の環状をなして断続するものであっても(密封環保持部5bの先端面5eにその周方向に並列する複数の凹部21を形成する)、当該環状をなして連続するものであっても(密封環保持部5bの先端面5eに1つの環状の凹部21を形成する)、その何れでもよいが、その断面形状は、リップ部19bの静止密封環7への圧接力が上記した如く静止密封環7の追従性を阻害する程度にまで大きくならないように、連結部19cが図4に示す如く凹部21へと没入するように弾性変形しうることを条件として、適宜に設定される。
このように、密封環保持部5の先端面5eに凹部21を形成しておくことにより、リップ部19bによるシール力がプロセス圧の高低に応じて適切に調整されることになり、プロセス圧の高低に拘わらず、常に、スラリ液のOリング溝17内への侵入及び密封環保持部5bへの接触を確実に阻止しつつ静止密封環7の追従性を確実に担保することができる。
また、上記したメカニカルシール3にあって、静止密封環7と密封環保持部5bとの間の環状空間であってOリング16とリップシール19とでシールされた空間22(図2参照)には、両シール部材16,19と静止密封環7との接触抵抗を減じるためにグリース等の潤滑剤が充填されている。
二次シール4は、図1に示す如く、一次シール3と兼用されるシールケース5と、シールケース5のスプリング保持部5cより後方位に配して、スリーブ2aに嵌合固定された保持環23及びこれに相対回転不能に係合され且つスリーブ2aにOリング24を介して軸線方向移動可能に嵌合保持された可動密封環25と、可動密封環25の後方位に配して、シールケース5の後端部に嵌合固定された固定密封環26と、保持環23と可動密封環25との間に装填されて可動密封環25を固定密封環26へと押圧接触させるべく附勢するバネ部材27とを具備し、両密封環25,26の対向端面たる密封端面25a,26aの相対回転摺接作用により、その相対回転摺接部分25a,26aの外周側領域である封液領域Cとその内周側領域である大気領域Bとを遮蔽シールするように構成された端面接触形メカニカルシールである。なお、一次シール3及び二次シール4からなる軸封装置は、図1に鎖線図示する如く、適当数のセット爪31をストッパリング10に係合させた状態でシールケース31に取付けることにより当該軸封装置の回転機器への脱着時に一体化できるカートリッジ形のものに構成されている。当該軸封装置の運転時においては、セット爪31はストッパリング10から外して、シールケース31の適所であって運転の支障とならない位置(例えば、図1に実線で示す位置)に取付けておく。
封液領域Cには、図1に示す如く、シールケース5に形成した給排路28,29により
プロセス圧より高圧の封液30が循環供給されている。封液30としては、スラリ液に混入して支障のない水,油,溶剤等が使用される。この封液30により、一次シール3及び二次シール4における密封端面間の潤滑が良好に行われ、スラリ液領域Aと大気領域Bとの間のシールが良好に行われる。
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものでなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において適宜に改良,変更することができる。例えば、本発明のメカニカルシールは、上記したダブルメカニカルシール構造の軸封装置における一次シール3として使用される他、機内領域たるスラリ液領域Aと機外領域たる大気領域Bとをシールするシングルシールとしても使用することができ、上記実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。また、本発明のメカニカルシールは、シールケース構成材より硬質の超硬合金粒子やセラミックス粒子を含有する回転機器において特に好適に使用されるものであるが、これらより軟質の固形粒子を含有するスラリ液をシールする場合にも当然に使用することができる。
本発明に係るスラリ液用メカニカルシールの一例を示す縦断側面図である。 図1の要部を拡大して示す詳細図である。 リップシールの変形形態を示す図2相当の作用説明図である。 図3と異なるリップシールの変形形態を示す図2相当の作用説明図である。 密封環保持部の先端面に凹部を形成しない例を示す当該メカニカルシールの要部の図2相当の縦断側面図である。 第1従来シールを示す縦断側面図である。 第2従来シールを示す縦断側面図である。
符号の説明
1 回転機器のハウジング
1a ハウジングの軸封開口部
2 回転機器の回転軸
5 シールケース
5b 密封環保持部
5e 密封環保持部の先端面
6 回転密封環
6a 回転密封環の密封端面
7 静止密封環
7a 静止密封環の密封端面
7b 静止密封環の外周面
8 スプリング部材
16 Oリング
17 Oリング溝(Oリングの配設空間)
19 リップシール
19a 取付部(リップシールの外周側端部)
19b リップ部(リップシールの内周側端部)
19c 連結部
21 凹部
A スラリ液領域
B 大気領域
C 封液領域

Claims (3)

  1. 硬質固形粒子を含有するスラリ液を扱う回転機器のハウジング(1)に密封環保持部(5b)がスラリ液領域(A)に露出する状態で取付けられた円筒構造のシールケース(5)と、密封環保持部(5b)よりスラリ液領域(A)側に配して、シールケース(5)を洞貫する回転軸(2)に固定された回転密封環(6)と、密封環保持部(5b)の内周部にOリング(16)を介して軸線方向移動可能に嵌合保持された静止密封環(7)と、静止密封環(7)を回転密封環(6)へと押圧接触させるべく附勢するスプリング部材(8)とを具備するスラリ液用メカニカルシールにおいて、
    外周側端部(19a)を密封環保持部(5b)とハウジング(1)との間に挟圧固定すると共に内周側端部(19b)を静止密封環(7)の外周面(7b)に圧接させた環状のリップシール(19)を密封環保持部(5b)の先端面(5e)に接触する状態で配設して、外周側端部(19a)によりシールケース(5)とハウジング(1)との間をシールすると共に内周側端部(19b)及び内外周端部(19a,19b)間の連結部(19c)により前記Oリング(16)の配設空間(17)へのスラリ液の侵入及び密封環保持部(5b)とスラリ液との接触を阻止するように構成したことを特徴とするスラリ液用メカニカルシール。
  2. 密封環保持部(5b)の先端面(5e)には、リップシール(19)と同心の環状をなして断続又は連続する凹部(21)が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載するスラリ液用メカニカルシール。
  3. シールケース(5)が金属製のものであり、各密封環(6,7)が超硬合金又はセラミックス製のものであり、スラリ液に含有される硬質固形粒子が超硬合金又はセラミックスであることを特徴する、請求項1又は請求項2に記載するスラリ液用メカニカルシール。
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