JP6470596B2 - スラリ液用メカニカルシール - Google Patents

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Description

本発明は、硬質個体粒子(セラミックス粒子、ガラス粒子、金属粒子等)を含有するスラリ液をシールするためのスラリ液用メカニカルシールに関するものである。
従来のスラリ液用メカニカルシールとしては、特許文献1の図1に開示される如く、シールケースに固定された炭化ケイ素等の硬質材製の固定密封環と、シールケースを洞貫する回転軸に軸線方向移動可能に保持された炭化ケイ素等の硬質材製の可動密封環と、可動密封環を固定密封環へと押圧接触させるべく附勢するスプリング部材とを具備して、両密封環の相対回転摺接作用により硬質個体粒子を含有するスラリ液をシールするように構成されたもの(以下「従来メカニカルシール」という)が周知である。
特開平11−230366号公報
しかし、従来メカニカルシールでは、各密封環におけるスラリ液と接触する表面部分(以下「接液面」という)にスラリ液に含有される硬質個体粒子が接触するため、各密封環を炭化ケイ素等の硬質材で構成しているに拘わらず、長期使用のうちには当該密封環の接液面が硬質個体粒子の衝突によって摩耗、損傷する虞れがあり、耐久性に問題があった。
しかも、硬質個体粒子を含有するスラリ液を扱うビーズミル等の回転機器においては、近時、大型化される傾向にあるため、上記問題はより顕著となっている。すなわち、回転機器が大型化つまり回転軸が大径化されると、これに伴って密封環径も大きくなるため、回転軸の回転数が同一であっても、回転軸側の密封環の回転速度(周速)も大きくなる。このため、回転機器が大型化ないし高速化されることにより硬質個体粒子の接液面への衝突力が増大して、硬質個体粒子の衝突による接液面の摩耗、損傷がより激しくなる。また、当該密封環の高速化により、両密封端面の相対回転摺接による発熱量も増大するため、密封端面にメカニカルシールによるシール機能(以下「メカニカルシール機能」という)に悪影響を及ぼすような熱歪が生じ易く、長期に亘って良好なメカニカルシール機能を発揮することができなくなる。
本発明は、このような問題を生じることなく回転機器を大型化ないし高速化でき、耐久性に優れる実用的なスラリ液用メカニカルシールを提供することを目的とするものである。
本発明は、シールケース及びこれを洞貫する回転軸の一方に固定された固定密封環と、その他方に軸線方向移動可能に保持された可動密封環と、可動密封環を固定密封環へと押圧接触させるべく附勢するスプリングとを具備して、両密封環の相対回転摺接作用により硬質個体粒子を含有するスラリ液をシールするように構成されたスラリ液用メカニカルシールにおいて、上記の目的を達成すべく、特に、前記スラリ液が接触する各密封環の表面部分である接液面に、当該密封環の構成材に比して熱伝導係数及び硬度が大きい材料からなるコーティング層を形成しておくことを提案するものである。
かかるスラリ液用メカニカルシールにあっては、前記接液面を含む各密封環の内外周面及び密封端面に、当該密封環の構成材に比して熱伝導係数及び硬度が大きい材料からなるコーティング層を一連に形成しておくことが好ましい。
本発明のスラリ液用メカニカルシールの好ましい実施の形態にあっては、前記コーティング層がダイヤモンドで構成される。
本発明のスラリ液用メカニカルシールにあっては、各密封環の接液面に当該密封環の構成材に比して熱伝導係数及び硬度が大きい材料からなるコーティング層(以下「接液面コーティング層」という)を形成してあるから、従来メカニカルシールのように接液面が露出している場合に比して、硬質個体粒子の接触、衝突による接液面の摩耗、損傷が可及的に防止される。
しかも、両密封環の接液面に当該密封環の構成材に比して熱伝導係数の大きな接液面コーティング層を形成したことによって、両密封環の相対回転摺接により密封端面に発生する熱は、接液面コーティング層に伝熱されて、接液面コーティング層に接触するスラリ液との熱交換により放熱、冷却されるから、接液面コーティング層を形成しない従来メカニカルシールに比して密封端面における熱歪の発生が可及的に抑制される。
したがって、本発明によれば、長期に亘って良好なメカニカルシール機能を発揮することができ、当該メカニカルシールが装備される回転機器の大型化ないし高速化を耐久性を損なうことなく実現できるスラリ液用メカニカルシールを提供することができる。かかる作用効果は、接液面コーティング層をセラミックス等のあらゆる密封環構成材に比して熱伝導係数及び硬度が大きいダイヤモンドで構成しておくことにより、より顕著に発揮される。
さらに、本発明のスラリ液用メカニカルシールにあって、前記接液面を含む各密封環の内外周面及び密封端面に、当該密封環の構成材に比して熱伝導係数及び硬度が大きい材料からなるコーティング層を一連に形成しておく場合には、密封端面の相対回転摺接による発熱、摩耗が可及的に抑制されると共に、スラリ液との接触による密封端面の冷却、放熱がより効果的に行われ、メカニカルシールとしての耐久性、信頼性が更に向上する。
すなわち、各密封環の密封端面に形成されたコーティング層(以下「密封端面コーティング層」という)が当該密封環の構成材に比して硬度が大きい材料で構成されていることから、両密封環の相対回転摺接によって発生する摩耗量、発熱量が、密封端面にコーティング層を形成しない従来メカニカルシールに比して、大幅に減少する。しかも、各密封環の接液面を含む内外周面には、当該密封環の構成材に比して熱伝導係数が大きい材料からなるコーティング層が密封端面コーティング層に連なって形成されているから、密封端面コーティング層で発生した熱が、密封環の内周面に形成されたコーティング層及び外周面に形成されたコーティング層に伝熱、分散されることになる。その結果、密封端面温度が低下すると共に各密封環の密封端面及び内外周面が均一温度となるため、密封端面周辺に大きな温度差が生じず、内外周面の一方であって接液面を含む表面部分に形成されるコーティング層が前記接液面コーティング層と同様にスラリ液との熱交換により放熱、冷却されることとも相俟って、密封端面にメカニカルシール機能に悪影響を与えるような大きな熱歪が生じることがない。かかる効果は、特に、コーティング層を上記した如くダイヤモンドで構成しておくことによってより顕著に発揮される。
図1は本発明に係るスラリ液用メカニカルシールの一例を示す断面図である。 図2は図1の要部を拡大して示す詳細断面図である。 図3は本発明に係るスラリ液用メカニカルシールの変形例を示す断面図である。 図4は図3の要部を拡大して示す詳細断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明に係るスラリ液用メカニカルシールの第1の実施の形態を示すもので、当該メカニカルシールを一次シールとして使用する軸封装置の断面図であり、図2は図1の要部を拡大して示す詳細断面図である。また、図3は本発明に係るスラリ液用メカニカルシールの第2の実施の形態を示すもので、当該メカニカルシールを一次シールとして使用する軸封装置の断面図であり、図4は図3の要部を拡大して示す詳細断面図である。なお、以下の説明において、前後とは図1〜図4における左右をいうものとする。
第1の実施の形態における本発明に係るスラリ液用メカニカルシール(以下「第1メカニカルシール」という)は、硬質個体粒子(セラミックス粒子、ガラス粒子、金属粒子等)を含有するスラリ液を扱うビーズミル、ポンプ、攪拌機等の回転機器に装備された軸封装置の一次シールとして使用されたものである。すなわち、当該軸封装置は、図1に示す如く、回転機器のハウジング1に取り付けられた円筒状のシールケース2とこれを洞貫する当該回転機器の回転軸3との間に回転軸3の軸線方向(以下、単に「軸線方向」という)に縦列状に配置された一次シール4A及び二次シール5により、当該回転機器の機内領域であるスラリ液領域Aと機外領域たる大気領域Bとの間を両シール4,5間に形成された封液領域Cを介してシールするように構成されている。
シールケース2は、図1に示す如く、第1本体部2aとその基端部(後端部)に固着された第2本体部2bと第1本体部2aの内周側先端部(内周側前端部)に一体形成された密封環保持部2cとその内周側基端部に一体形成されたスプリング部材保持部2dとからなる円筒構造物であり、第1本体部2aの先端面(前端面)をハウジング1の基端面(後端面)に衝合させると共に密封環保持部2cをハウジング1の内周面に衝合(嵌合)させた状態で、ハウジング1に取り付けられている。なお、回転軸3は、シールケース2の各部2a,2b,2c,2dを同心状に貫通している。
一次シールたる第1メカニカルシール4Aは、図1に示す如く、本発明に係るスラリ液用メカニカルシールであって、回転軸3に固定された固定密封環6と、シールケース2に軸線方向(前後方向)に移動可能に保持された可動密封環7と、可動密封環7を固定密封環6に押圧接触させるべく附勢するスプリング部材8とを具備し、両密封環6,7の対向端面たる密封端面6a,7aの相対回転摺接作用により、その相対回転摺接部分6a,7aの外周側領域である被密封流体領域Aとその内周側領域である非密封流体領域Cとを遮蔽シールするように構成された端面接触形メカニカルシールである。ここに、被密封流体領域Aは機内領域であって、その流体(被密封流体)は上記した硬質個体粒子を含有するスラリ液である。また、非密封流体領域Cは、後述する如く、被密封流体領域Aより高圧の封液Sが循環供給される封液領域である。
固定密封環6は、図1に示す如く、ハウジング1内に位置して回転軸3に挿通固定したスリーブ9に固定されており、スリーブ9の先端部(前端部)に一体形成された断面L字状の保持部9aにOリング10及びドライブピン11を介して内嵌固定されている。固定密封環6は、図2に示す如く、先端面(後端面)を回転軸3の軸線(以下、単に「軸線」という)に直交する平滑な環状平面である密封端面6aに構成すると共に内周面の先端部分を密封端面6aへと漸次拡径する截頭円錐状のテーパ面に構成した円環状体であって、炭化珪素等のセラミックスや超硬合金(タングステンカーバイド)等の硬質材で構成されている。なお、ドライブピン11はスリーブ9の保持部9aに突設されており、固定密封環6の基端内周部に形成した凹部6bに係合されている。
可動密封環7は、図1に示す如く、固定密封環6の先端面(密封端面)6aに対向してシールケース3の密封環保持部2cにOリング12を介して軸線方向移動可能に内嵌保持されている。可動密封環7は、図2に示す如く、先端面(前端面)を軸線に直交する平滑な環状平面である密封端面7aに構成すると共に内周面の先端部分を密封端面7aへと漸次拡径する截頭円錐状のテーパ面に構成した円環状体であって、固定密封環6と同質の硬質材で構成されている。可動密封環7は固定密封環6と同一形状をなすもので、密封端面7aの内外径は固定密封環6の密封端面6aの内外径と同一とされている。なお、可動密封環7は、その基端内周部に形成した凹部7bにシールケース3のスプリング部材保持部2dに突設したドライブピン13を係合させることにより、所定範囲での軸線方向移動を許容しつつシールケース2に対する相対回転を阻止されている。
スプリング部材8は、図1に示す如く、可動密封環7とシールケース2のスプリング部材保持部2dとの間に装填されたコイルバネで構成されており、可動密封環7を固定密封環6へと押圧接触させるべく前方へと附勢するものである。
二次シール5は、図1に示す如く、シールケース2のスプリング部材保持部2dより大気領域B側(後方側)に配してシールケース2と回転軸3との間に設けられており、スリーブ9にOリング14を介して軸線方向移動可能に嵌合保持された回転密封環15と、回転密封環15の先端面(後端面)に対向してシールケース2の第2本体部2bに嵌合固定された静止密封環16と、回転密封環15とスリーブ9にキー17を介して嵌合固定された保持環18との間に装填されて、回転密封環15を静止密封環16へと押圧接触させるべく後方に附勢するバネ部材19とを具備して、両密封環15,16の対向端面たる密封端面15a,16aの相対回転摺接作用により、その相対回転摺接部分15a,16aの外周側領域である封液領域Cとその内周側領域である機外領域(大気領域)Bとを遮蔽シールするように構成された端面接触形メカニカルシールである。回転密封環15は、その先端面を軸線に直交する平滑な環状平面である密封端面15aに構成した円環状体であり、外周部に形成した凹部に保持環18に突設した係合突起を係合させることにより、所定範囲での軸線方向移動を許容しつつスリーブ9(回転軸3)に対する相対回転を阻止されている。静止密封環16は、シールケース2の第2本体部2bにOリング20及びドライブピン21を介してシールケース2に固定されている。
封液領域Cには、図1に示す如く、シールケース2に形成した給排液路22,23により被密封流体領域Aの圧力より若干高圧の封液Sが循環供給されている。給液路22はシールケース2のスプリング部材保持部2dの内周面において一次シール(第1メカニカルシール)4Aの相対回転摺接部分6a,7aの内周側領域つまり封液領域Cの前部に開口されており、排液路23はシールケース2の第2本体部2bの内周面において二次シール5の相対回転摺接部分15a,16aの外周側領域つまり封液領域Cの後部に開口されている。給液路22から封液領域Cの前部に供給された封液Sは、シールケース2の第1本体部2aと保持環18との対向周面間に形成された連通路を経て封液領域Cの後部に流動し、排液路23から排出される。封液領域Cの前部から後部への封液Sの流動は、保持環18にその前端面から外周面へと貫通状に形成されたポンピング孔24によるポンピング作用によって円滑に行われる。なお、封液Sとしては、一般に、被密封流体領域Aのスラリ液との混入及び大気領域Bへの漏洩に支障のない常温水等が使用される。
また、第2の実施の形態における本発明に係るスラリ液用メカニカルシール(以下「第2メカニカルシール」という)は、第1メカニカルシール4Aと同様、硬質個体粒子(セラミックス粒子、ガラス粒子、金属粒子等)を含有するスラリ液を扱うビーズミル、ポンプ、攪拌機等の回転機器に装備された軸封装置の一次シールとして使用されたものである。すなわち、当該軸封装置は、図3に示す如く、回転機器のハウジング1に取り付けられた円筒状のシールケース2とこれを洞貫する当該回転機器の回転軸3との間に回転軸3の軸線方向(以下、単に「軸線方向」という)に縦列状に配置された第2メカニカルシールである一次シール4B及び二次シール5により、当該回転機器の機内領域であるスラリ液領域Aと機外領域たる大気領域Bとの間を両シール4B,5間に形成された封液領域Cを介してシールするように構成されたものであり、第2メカニカルシール4B及びこれを一次シールとして使用する軸封装置は、以下に述べる点を除いて、図1及び図2に示す第1メカニカルシール4A及び軸封装置と同一構造をなすものであるから、図3及び図4において同一の構成部材については図1及び図2に使用した符号と同一符号を付することによってその詳細な説明は省略する。
而して、第1メカニカルシール4Aにあっては、図1及び図2に示す如く、各密封環6,7におけるスラリ液に接触する表面部分(接液面)6c,7cに当該密封環6,7の構成材(密封環母材の構成材)に比して熱伝導係数及び硬度が大きく且つ摩擦係数が小さな材料からなるコーティング層(接液面コーティング層)25a,26aを形成してある。接液面6c,7cは、密封環6,7の外周面におけるOリング10,12との接触箇所から密封端面6a,7aの外周縁に至る部分であり、この例では、図2に示す如く、接液面6c,7cを含む密封環6,7の外周面全体に接液面コーティング層25a,26aを被覆形成してある。
また、第2メカニカルシール4Bにあっては、図3及び図4に示す如く、各密封環6,7における接液面6c,7cを含む内外周面及び密封端面6a,7aに当該密封環6,7の構成材に比して熱伝導係数及び硬度が大きく且つ摩擦係数が小さな材料からなるコーティング層25b,25c,25d及び,26b,26c,26dを一連に形成してある。すなわち、図4に示す如く、各密封端面6a,7aにコーティング層(密封端面コーティング層)25b,26bを形成し、さらに各密封環6,7の内周面全体に密封端面コーティング層25b,26bに連なるコーティング層(以下「内周面コーティング層」という)25c,26cを形成すると共に各密封環6,7の接液面6c,7cを含む外周面全体に密封端面コーティング層25b,26bに連なるコーティング層(以下「外周面コーティング層」という)25d,26dを形成してある。この例では、図3に示す如く、各密封環6,7におけるドライブピン係合用の凹部6b,7bの内面にも内周面コーティング層25c,26cが形成されている。
この例では、上記コーティング層25a,25b,25c,25d及び26a,26b,26c,26dの構成材として、各密封環6,7の構成材が炭化ケイ素等のセラミックスや超硬合金等の如何なる密封環構成材であっても、これらより熱伝導係数及び硬度が大きく且つ摩擦係数が小さなダイヤモンドを使用している。ダイヤモンドコーティング層25a,25b,25c,25d及び26a,26b,26c,26dの形成は、熱フィラメント化学蒸着法、マイクロ波プラズマ化学蒸着法、高周波プラズマ法、直流放電プラズマ法、アーク放電プラズマジェット法、燃焼炎法等のコーティング方法によって行われる。なお、以下の説明において、密封環とこれに被覆形成されたコーティング層とを区別する必要があるときは、前者を密封環母材という。
以上のように構成された第1メカニカルシール4Aにあっては、各密封環6,7の接液面6c,7cに当該密封環6,7の構成材に比して熱伝導係数及び硬度が大きく且つ摩擦係数が小さな材料の接液面コーティング層25a,26aが形成されているから、従来メカニカルシールのように接液面が露出している場合つまり密封環母材がスラリ液に接触している場合に比して、硬質個体粒子の接触、衝突による接液面6c,7cの摩耗、損傷が可及的に防止される。特に、接液面コーティング層25a,26aを上記した如くダイヤモンドで構成する場合には、ダイヤモンドが自然界に存在する固体物質で最も硬質のものであり、耐摩耗性に極めて優れたものであるから、第1メカニカルシール4Aが装備される回転機器の大型化ないし高速化により密封端面6a,7aの相対回転速度が高くなったときにも、硬質個体粒子による接液面6c,7cの摩耗、損傷が効果的に防止される。
しかも、各密封環6,7の接液面6c,7cに当該密封環6,7の構成材に比して熱伝導係数の大きな接液面コーティング層25a,26aを形成したことによって、両密封環6,7の相対回転摺接により密封端面6a,7aに発生する熱は、接液面コーティング層25a,26aに伝熱されて、接液面コーティング層25a,26aに接触するスラリ液との熱交換により放熱、冷却されるから、接液面コーティング層を形成しない従来メカニカルシールに比して密封端面における熱歪の発生が可及的に抑制される。特に、接液面コーティング層25a,26aが上記した如くダイヤモンドで構成される場合には、ダイヤモンドが全ての固体物質で最も熱伝導率が高く、炭化ケイ素等のセラミックスや超硬合金等のあらゆる密封環構成材に比して熱伝導率が極めて高いものである(例えば、炭化ケイ素の熱伝導率が70〜120W/mKであるのに対し、ダイヤモンドの熱伝導率は1000〜2000W/mKである)から、スラリ液との熱交換による放熱、冷却効果は、接液面コーティング層を形成しない場合に比して大幅に向上する。
したがって、第1メカニカルシール4Aによれば、硬質個体粒子による摩耗、損傷や密封環6,7の相対回転摺接による密封端面6a,7aの熱歪を可及的に防止して、長期に亘って良好なメカニカルシール機能を発揮することができ、回転機器の大型化ないし高速化を実現できる耐久性、信頼性に富むスラリ液用メカニカルシールを提供することができる。
また、第2メカニカルシール4Bにあっては、両密封環6,7の密封端面6a,7aに当該密封環6,7の構成材に比して硬度が大きく且つ摩擦係数が小さな材料の密封端面コーティング層25b,26bが形成されているから、従来メカニカルシールのように両密封環の密封端面が直接に相対回転摺接する場合つまり密封環母材同士が直接相対回転摺接する場合に比して、密封端面コーティング層25b,26bで被覆された両密封端面5a,6aの相対回転摺接部分で発生する摩耗量や発熱量は少なくなる。特に、密封端面コーティング層25b,26bをダイヤモンドで構成する場合には、ダイヤモンドが上記した如く自然界に存在する固体物質で最も硬質のものであり、しかも摩擦係数が炭化ケイ素等のセラミックスや超硬合金等のあらゆる密封環構成材に比して極めて低い(一般に、ダイヤモンドの摩擦係数は0.03(μ)であり、あらゆる密封環構成材に比して遥かに低摩擦係数のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)よりも更に10%以上低い)ものであることから、密封端面コーティング層25b,26bで被覆された密封端面6a,7aの相対回転摺接によって生じる摩耗や発熱は極めて少なくなる。
さらに、各密封環6,7の密封端面6a,7a並びに内外周面に当該密封環6,7の構成材より熱伝導係数の大きな密封端面コーティング層25b,26b並びに内周面コーティング層25c,26c及び外周面コーティング層25d,26dが一連に形成されているから、両密封環6,7の相対回転摺接により密封端面コーティング層25b,26bで発生した熱は、内周面コーティング層25c,26c及び外周面コーティング層25d,26dに伝熱、分散されて、密封端面コーティング層25b,26bの温度が低下すると共に、密封端面コーティング層25b,26b並びに内周面コーティング層25c,26c及び外周面コーティング層25d,26dの温度が均一化されることになる。すなわち、各密封環6,7における密封端面6a,7aの温度とその両側(内外周面)の温度とが同一となり、密封端面6a,7a及びその周辺部分が温度差を生じない均一温度となり、温度差による熱歪の発生が可及的に防止される。しかも、外周面コーティング層25d,26dはスラリ液に接触しており、前記接液面コーティング層25a,26aと同様にスラリ液との熱交換により冷却、放熱され、その冷却熱が密封端面コーティング層25b,26bに伝播して、密封端面6a,7aの温度が更に低減されることになる。なお、両密封環6,7の相対回転摺接部分6a,7aの内周側領域が前記した如く封液領域Cとなっている場合には、内周面コーティング層25c,26cにおいても封液Sとの熱交換による冷却、放熱が行われるから、密封端面6a,7aの温度低減が更に期待される。したがって、各密封環6,7の密封端面6a,7aにメカニカルシール機能に悪影響を及ぼすような熱歪の発生はこれが効果的に防止される。かかる作用効果は、特に、コーティング層25b,25c,25d及び26b,26c,26dを上記した如く炭化ケイ素等のセラミックスや超硬合金等のあらゆる密封環構成材に比して熱伝導率が極めて高いダイヤモンドで構成しておくことにより、より顕著に発揮される。
したがって、第2メカニカルシール4Bによれば、硬質個体粒子による摩耗、損傷や密封環6,7の相対回転摺接による密封端面6a,7aの熱歪を第1メカニカルシール4A以上に効果的に防止することができ、長期に亘って良好なメカニカルシール機能を発揮することができ、回転機器の大型化ないし高速化を実現できる耐久性、信頼性に極めて富むスラリ液用メカニカルシールを提供することができる。
なお、本発明の構成は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲で適宜に改良、変更することができる。
例えば、本発明は、二次シール5を設けず、第1又は第2メカニカルシール4A,4Bをシングルシールとして使用する軸封装置にも適用することができ、また第1又は第2メカニカルシール4A,4Bをシールケースに固定密封環を固定すると共に回転軸に可動密封環を軸線方向移動可能に保持させるように構成した場合にも適用できる。また、一方の密封環の密封端面を径方向面幅の微小なナイフエッジシールに構成した端面接触形のスラリ液用メカニカルシール、両密封環の密封端面を内外径が異なるものとした端面接触形のスラリ液用メカニカルシールや各密封環6,7の内周面が接液面となるアウトサイド型のスラリ液用メカニカルシールにも適用することができ、本発明が適用されるスラリ液用メカニカルシールにあってはその構造、形式や密封環の形状、材質に限定されず、任意である。
1 回転機器のハウジング
2 シールケース
2a 第1本体部
2b 第2本体部
2c 密封環保持部
2d スプリング部材保持部
3 回転軸
4A 一次シール(第1メカニカルシール)
4B 一次シール(第2メカニカルシール)
5 二次シール
6 固定密封環
6a 固定密封環の密封端面
6b 凹部
6c 接液面
7 可動密封環
7a 可動密封環の密封端面
7b 凹部
7c 接液面
8 スプリング部材
9 スリーブ
9a 保持部
10 Oリング
11 ドライブピン
12 Oリング
13 ドライブピン
14 Oリング
15 回転密封環
15a 回転密封環の密封端面
16 静止密封環
16a 静止密封環の密封端面
17 キー
18 保持環
18a ポンピング孔
19 バネ部材
20 Oリング
21 ドライブピン
22 給液路
23 排液路
24 ポンピング孔
25a 接液面コーティング層
25b 密封端面コーティング層
25c 内周面コーティング層
25d 外周面コーティング層
26a 接液面コーティング層
26b 密封端面コーティング層
26c 内周面コーティング層
26d 外周面コーティング層
A 被密封流体領域(機内領域)
B 非密封流体領域(封液領域)
C 機外領域(大気領域)
S 封液

Claims (2)

  1. シールケース及びこれを洞貫する回転軸の一方に固定された固定密封環とその他方に軸線方向移動可能に保持された可動密封環と可動密封環を固定密封環へと押圧接触させるべく附勢するスプリングとを具備して、両密封環の相対回転摺接作用により被密封流体領域と非密封流体領域とを遮蔽シールするように構成されたスラリ液用メカニカルシールであって、
    被密封流体領域の流体が硬質個体粒子を含有するスラリ液であり、非密封流体領域の流体が被密封流体領域の流体より高圧の封液であり、
    前記スラリ液が接触する密封環の表面部分である接液面を含む各密封環の内外周面及び密封端面に、当該密封環の構成材に比して熱伝導係数及び硬度が大きい材料からなるコーティング層を形成してあることを特徴とするスラリ液用メカニカルシール。
  2. 前記コーティング層がダイヤモンドで構成されていることを特徴とする、請求項1に記載するスラリ液用メカニカルシール。
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