JP2006250240A

JP2006250240A - 密封型転がり軸受

Info

Publication number: JP2006250240A
Application number: JP2005067518A
Authority: JP
Inventors: Takashi Tsujimoto; 崇辻本
Original assignee: NTN Corp; NTN Toyo Bearing Co Ltd
Current assignee: NTN Corp
Priority date: 2005-03-10
Filing date: 2005-03-10
Publication date: 2006-09-21

Abstract

【課題】泥水の付着によるシール性の低下を防止した上で、外側の接触シールの摺接に伴う軸受トルクを低く安定させることができるとともに、軸受空間への水分の浸入を防止することができ、かつ、グリース漏れが発生しない密封型転がり軸受を提供することである。
【解決手段】内輪１と外輪２の間の軸受空間を内外２枚の接触シール５、６で密封し、これらの内外２枚の接触シール５、６間の空間に、空間容積比で４０〜７０％のグリースＡを封入することにより、泥水の付着によるシール性の低下を防止した上で、外側の接触シール６の摺接に伴う軸受トルクを低く安定させることができるとともに、軸受空間への水分の浸入を防止することができ、かつ、グリース漏れが発生しないようにした。
【選択図】図２

Description

本発明は、内輪と外輪の間の軸受空間を接触シールで密封した密封型転がり軸受に関する。

ダストや水等が飛散する環境で使用される転がり軸受には、これらが内輪と外輪の間の軸受空間へ浸入するのを防止するために、接触シールで軸受空間を密封した密封型転がり軸受が用いられている。接触シールは、ゴム等の弾性部材で形成されたリップを内輪や外輪のシール摺接面と接触させて、軸受空間を密封するものである。

この種の密封型転がり軸受には、軸受空間の両側に１枚ずつの接触シールを装着したものや（例えば、特許文献１参照）、これらの１枚ずつ装着した接触シールの外側に、さらに非接触のシールドを装着したものがある（例えば、特許文献２、３参照）。特許文献２に記載されたものでは、シールド（遮蔽板）を内輪に取り付けたものと外輪に取り付けたものとに分割し、これらの分割したシールド間にラビリンス隙間を形成している。また、特許文献３に記載されたものでは、シールド（カバー）と内側の接触シールの間にラビリンス隙間を形成している。

一方、自動車のプロペラシャフトのセンター軸支持部や、ドライブシャフトのジョイント軸支持部等に使用される転がり軸受は、車両の床下部位に配設されるので、泥水の飛散を受ける。

実開平７−１０５５５号公報（第１図）実公平８−３７１０号公報（第１、２図）特開２００１−５０２８８号公報（第１、３〜１０図）

上述したような泥水の飛散を受ける部位に、特許文献１に記載されたような密封型転がり軸受を使用すると、飛散する泥水が接触シールの摺接部に付着し、泥水中の泥によってリップやシール摺接面が摩耗して、シール性が著しく低下する問題がある。

特許文献２および特許文献３に記載された密封型転がり軸受は、シールドによって泥水が接触シールの摺接部へ直接付着するのは防止できるが、シールドは非接触の隙間部を有するので、泥水がこの隙間部からラビリンス隙間を通って、シールドと接触シールの間に浸入する。このようにシールドと接触シールの間に浸入した泥水は、水分の蒸発によって泥分の濃度が増大するので、この泥分の濃度が増大した泥水が接触シールの摺接部に付着すると、リップやシール摺接面の摩耗が促進される。このため、シール性の低下を十分に防止することはできない。

このような問題に対して、本発明者は、軸受空間を内外２枚の接触シールで密封し、飛散する泥水を外側の接触シールで遮断して、内側の接触シールの摺接部に泥水が付着しないようにした密封型転がり軸受を先に提案し（特願２００５−２９１１６）、さらに、これらの内外２枚の接触シール間にグリースを封入して、軸受空間に封入された潤滑剤の油分が供給され難い外側の接触シールの摺接部に十分なグリースを供給して、外側の接触シールの摺接に伴う軸受トルクを低く安定させるとともに、このグリースをグリースシールとして、軸受空間への水分の浸入を防止することを提案している（特願２００５−３０１４３）。

このように軸受空間を内外２枚の接触シールで密封し、内外２枚の接触シール間にグリースを封入した密封型転がり軸受では、泥水の付着によるシール性の低下は防止した上で、外側の接触シールの摺接に伴う軸受トルクを低く安定させることができ、かつ、軸受空間への水分の浸入を防止することができるが、この内外２枚の接触シール間に封入するグリース量をあまり多くすると、グリース漏れが発生する問題がある。

そこで、本発明の課題は、泥水の付着によるシール性の低下を防止した上で、外側の接触シールの摺接に伴う軸受トルクを低く安定させることができるとともに、軸受空間への水分の浸入を防止することができ、かつ、グリース漏れが発生しない密封型転がり軸受を提供することである。

上記の課題を解決するために、本発明は、内輪と外輪の間の軸受空間を、弾性部材で形成したリップを内輪または外輪に設けたシール摺接面に接触させる接触シールで密封した密封型転がり軸受において、前記軸受空間を内外２枚の接触シールで密封し、これらの内外２枚の接触シール間の空間に、空間容積比で４０〜７０％のグリースを封入した構成を採用した。

すなわち、軸受空間を内外２枚の接触シールで密封し、これらの内外２枚の接触シール間の空間に、空間容積比で４０〜７０％のグリースを封入することにより、泥水の付着によるシール性の低下を防止した上で、外側の接触シールの摺接に伴う軸受トルクを低く安定させることができるとともに、軸受空間への水分の浸入を防止することができ、かつ、グリース漏れが発生しないようにした。なお、この接触シール間に封入したグリースは、外側の接触シールの摺接部での摩耗を低減する効果もある。

前記２枚の接触シール間の空間に封入するグリース量を、空間容積比で４０〜７０％としたのは、４０％未満では前記グリースシールとしての効果が十分に得られずに軸受空間への水分の浸入を防止できず、７０％を超えるとグリース漏れが発生するからである。

前記内外２枚の接触シールのうち、外側の接触シールのリップを前記外輪の内周面に設けたシール摺接面に接触させることにより、２枚の接触シール間に封入したグリースは、軸受の回転に伴う遠心力で外輪の内周面側に多く移動するので、外側の接触シールの摺接部にグリースをより十分に供給することができる。

本発明の密封型転がり軸受は、軸受空間を内外２枚の接触シールで密封し、これらの内外２枚の接触シール間の空間に、空間容積比で４０〜７０％のグリースを封入したので、泥水の付着によるシール性の低下を防止した上で、外側の接触シールの摺接に伴う軸受トルクを低く安定させることができるとともに、軸受空間への水分の浸入を防止することができ、かつ、グリース漏れが発生しないようにすることができる。なお、この接触シール間に封入したグリースは、外側の接触シールの摺接部での摩耗を低減する効果もある。

以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。この密封型転がり軸受は、図１に示すように、内輪１と外輪２の間でボール３が保持器４に保持された軸受空間を、内外２枚の接触シール５、６で密封した玉軸受である。

図２に示すように、前記各接触シール５、６は、それぞれ芯金５ａ、６ａと、弾性部材５ｂ、６ｂとから成る。内側の接触シール５は、外輪２の内周面に設けられた係止溝２ｂに弾性部材５ｂで固定され、そのリップ５ｃが内輪１の外周面に設けられたシール摺接面１ａと接触しており、外側の接触シール６は、内輪１の外周面に設けられた段差部１ｂに芯金６ａを嵌合して固定され、そのリップ６ｃが外輪２の内周面に設けられたシール摺接面２ａと接触している。この外側の接触シール６は、泥水の付着によりその摺接部に摩耗が生じても隙間が開かないように、十分に大きなリップ締め代が設定されている。したがって、周囲に飛散する泥水が内側の接触シール５まで到達することはなく、そのリップ５ｃの摺接部への泥水の付着による摩耗が防止される。

前記内外２枚の接触シール５、６の間の空間には、空間容積比で４０〜７０％のグリースＡが封入され、軸受空間にも潤滑剤としてのグリースＢが封入されている。２枚の接触シール５、６の間に封入されたグリースＡは、軸受の回転に伴う遠心力で外輪２の内周面側に多く移動し、軸受空間のグリースＢが供給され難い外側の接触シール６のリップ６ｃと外輪２の内周面のシール摺接面２ａとの摺接部に十分なグリースＡが供給される。したがって、外側の接触シール６のシール摺接面２ａとの摺接に伴う軸受トルクを低く安定させることができるとともに、このグリースＡがグリースシールとなって、軸受空間への水分の浸入が防止される。

上述した２枚の接触シール５、６間の空間に封入したグリースＡ量を空間容積比で４０〜７０％とした密封型転がり軸受（実施例１〜３）と、グリースＡ量を空間容積比で１５％、３０％および８０％とした密封型転がり軸受（比較例１〜３）とを用意した。これらの各実施例と比較例の密封型転がり軸受を、泥水が飛散する環境下で回転させる耐泥水試験を行い、軸受トルクの変化、軸受空間への水分の浸入の有無、およびグリース漏れの発生の有無を調査した。試験条件は以下の通りである。
・回転速度：１０００ｒｐｍ
・試験時間：１６０時間

上記耐泥水試験の結果を表１に示す。グリースＡ量を空間容積比で４０〜７０％とした実施例１〜３のものは、いずれも軸受トルクの変化および軸受空間への水分の浸入がなく、グリース漏れについても、グリースＡ量を７０％とした実施例３のものでわずかにグリース漏れが認められたのみで、実施例１および２のものはグリース漏れも発生しなかった。これに対して、グリースＡ量を１５％と少なくした比較例１のものは、軸受トルクの変化と軸受空間への水分の浸入があり、グリースＡ量を３０％とした比較例２のものは、軸受空間への水分の浸入があった。また、グリースＡ量を８０％と多くした比較例３のものは、軸受トルクの変化と軸受空間への水分の浸入はなかったが、顕著なグリース漏れが発生した。

上述した実施形態では、密封型転がり軸受を玉軸受としたが、本発明に係る密封型転がり軸受は、ころ軸受等の他の種類の転がり軸受にも採用することができる。また、内側と外側の各接触シールの形態も実施形態のものに限定されることはない。

密封型転がり軸受の実施形態を示す縦断面図図１の要部を拡大して示す断面図

符号の説明

Ａ、Ｂグリース
１内輪
１ａシール摺接面
１ｂ段差部
２外輪
２ａシール摺接面
２ｂ溝
３ボール
４保持器
５、６接触シール
５ａ、６ａ芯金
５ｂ、６ｂ弾性部材
５ｃ、６ｃリップ

Claims

内輪と外輪の間の軸受空間を、弾性部材で形成したリップを内輪または外輪に設けたシール摺接面に接触させる接触シールで密封した密封型転がり軸受において、前記軸受空間を内外２枚の接触シールで密封し、これらの内外２枚の接触シール間の空間に、空間容積比で４０〜７０％のグリースを封入したことを特徴とする密封型転がり軸受。
前記内外２枚の接触シールのうち、外側の接触シールのリップを前記外輪の内周面に設けたシール摺接面に接触させた請求項１に記載の密封型転がり軸受。