JP4611822B2 - 絶縁被膜付きプローブ針及びその製造方法 - Google Patents

絶縁被膜付きプローブ針及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、絶縁被膜付きプローブ針及びその製造方法に関し、更に詳しくは、先端を被測定体の電極と接触させてその被測定体の電気的特性を長期間安定して測定するための絶縁被膜付きプローブ針及びその製造方法に関するものである。
近年では、携帯電話等に使用される高密度実装基板、又は、パソコン等に組み込まれるBGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size Package)等のICパッケージ基板等、様々な回路基板が多く用いられている。このような回路基板は、実装の前後の工程において、例えば直流抵抗値の測定や導通検査が行われ、その電気的特性の良否が検査されている。電気的特性の良否の検査は、電気的特性を測定する検査装置に接続された検査装置用治具(以下、「プローブユニット」という。)を用いて行われ、例えば、プローブユニットに装着されたプローブ針の先端を、その回路基板(以下、「被測定体」という。)の電極に接触させることにより行われている(例えば特許文献1を参照。)。
図9は、従来の絶縁被膜付きプローブ針の一例を示す模式断面図であり、図10は、従来の絶縁被膜付きプローブ針を備えるプローブユニットを用いて被測定体の電気的特性を検査する方法を説明するための模式断面図である。図9に示す絶縁被膜付きプローブ針101は、ばね性を有した直線状の金属導体102の両端(102a,102b)以外の領域に絶縁被膜103が被覆されており、被測定体111の電極112に接触する先端102aと、検査装置側のリード線150(図10参照)に接触する後端102bとからなる両端を有している。絶縁被膜103は、通常、絶縁塗料を噴霧する方法で形成されるが、噴霧した絶縁塗料は金属導体上で流動し易く、その結果、図9に示すように、先端102a側の絶縁被膜端部103aは、先端102a側から金属導体102の中央方向に向かって約3°程度のなだらかな傾斜角度で形成されている。
図10に示すプローブユニット110は、複数本から数千本の絶縁被膜付きプローブ針101と、そのプローブ針101の上部側を案内する上部案内穴付きのガイド板130と、プローブ針101の先端が被測定体111の電極112に接するようにプローブ101の下部側を案内する下部案内穴付きのガイド板120とを少なくとも備えている。電気的特性の検査は、プローブユニット110又は被測定体111を相対的に上下させ、プローブ針101の弾性力を利用して被測定体111の電極112にプローブ針101を所定の圧力で押し当てることにより行われる。このとき、電極112に押し当てられた力によって撓んだプローブ針101の後端102bはリード線150に強く接触し、被測定体112からの電気信号がそのリード線150を通って検査装置(図示しない。)に送られる。なお、被測定体111の電気的特性を検査する際の形態例として、予めプローブ針101とリード線150とが接触した状態を保持したまま、プローブユニット110と被測定体111とを位置決めする場合もある。図10(B)中、符号140はリード線用の保持板を示している。
ところで、上記のプローブユニット110を用いた電気的特性の検査において、プローブユニット110からのプローブ針101の脱落防止は、図10(B)に示すように、ガイド板120に設けられた案内穴にプローブ針101の絶縁被膜端部103aが当たることによって行われている。こうした手段でプローブ針101の脱落を防止するため、プローブ針101は、その金属導体102の直径がガイド板120の案内穴の直径よりも小さく、絶縁被膜で被覆されたプローブ針101の直径がガイド板120の案内穴の直径よりも大きく、さらに、絶縁被膜端部103aの部分で案内穴に引っ掛かるような厚さで被覆されている。
また、プローブユニット110へのプローブ針101のセッティングは、ガイド板130に設けられた案内穴からプローブ針101を挿入することにより行われる。したがって、その案内穴は絶縁被膜で被覆されたプローブ針101の直径よりも大きい直径で形成されている。
特開2002−131334号公報
上述したように、プローブユニット110からのプローブ針101の脱落防止は、ガイド板120に設けられた案内穴にプローブ針101の絶縁被膜端部103aが当たることによって行われているが、プローブユニット110を用いた電気的特性の検査は繰り返し行われるので、絶縁被膜端部103aが繰り返し案内穴に当たり、その結果、絶縁被膜端部103aが金属導体102から剥がれることがある。
こうした絶縁被膜端部103aの剥がれは、プローブ針101の先端102aがガイド板120から突き出す突出量にバラツキを生じさせるので、プローブ針101とリード線150との初期状態での接触を保持できない箇所を生じさせると共に、測定対象となる電極112を移動させる際にプローブ針101の先端102aが電極112の上面を引きずって損傷させるおそれがある。
また、被測定体111の電極112が金電極やはんだバンプで形成されている場合、プローブユニット110が下がって電極112にプローブ針101が押し当たると、プローブ針101の先端と電極112とが貼り付くように一瞬接着する。その後、検査が終わってプローブユニット110が上がるとき、プローブ針101の先端が電極112に貼り付いたままになり、ガイド板120の案内穴がプローブ針101の絶縁被膜端部103aに強く押し当たってその絶縁被膜端部103aに大きな応力が加わる。こうした応力によって、絶縁被膜端部103aが剥離して、上記のようなプローブ針101の突出量のバラツキがより顕著になるという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、プローブユニットを用いた電気的特性の検査が繰り返し行われて絶縁被膜端部が繰り返し案内穴に当たる場合であっても、絶縁被膜端部が金属導体から剥がれるのを防ぐことができる絶縁被膜付きプローブ針を提供すること、及びその絶縁被膜付きプローブ針の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の絶縁被膜付きプローブ針は、金属導体と、該金属導体の少なくとも両端以外の領域に設けられた絶縁被膜とを有し、前記金属導体の被測定体側の先端を被測定体の電極に接触させて該被測定体の電気的特性を測定する絶縁被膜付きプローブ針において、前記絶縁被膜のうち被測定体側の絶縁被膜は、先端側が薄く中央側が厚い2段構造になっており、該2段構造の段差部が、前記電気的特性の測定時に用いられるガイド板の案内穴に当接する位置に形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、金属導体上に設けられた絶縁被膜のうち被測定体側の絶縁被膜が2段構造になっており、その2段構造の段差部が、電気的特性の測定時に用いられるガイド板の案内穴に当接する位置に形成されているので、プローブユニットを用いた電気的特性の検査が繰り返し行われてその段差部が繰り返し案内穴に当たる場合であっても、その段差部が金属導体から剥がれるのを防ぐことができる。段差部での剥離が生じ難いのは、従来はその段差部が絶縁被膜の端部となっており且つその端部が金属導体との境界部分となっているのに対し、この発明では、段差部よりも先端側に薄い絶縁被膜が一様に形成されており、剥離の基点となる境界部分が段差部近傍に存在していないことに基づいている。
また、本発明は、長期間繰り返し用いた場合や、検査終了時にガイド板の案内穴がプローブ針の段差部に強く押し当たってその段差部に大きな応力が加わった場合であっても、段差部での剥離が生じ難いので、その突出量をより均一に揃えることができる。その結果、プローブ針の先端がガイド板から突き出す突出量にバラツキが生じ難く、プローブ針とリード線との初期状態での接触を保持できない箇所を生じさせないと共に、測定対象となる電極を移動させる際にプローブ針の先端が電極の上面を引きずって損傷させるおそれもない。
この発明によれば、金属導体上に設けられた絶縁被膜のうち被測定体側の絶縁被膜が2段構造になっており、その2段構造の段差部が、電気的特性の測定時に用いられるガイド板の案内穴に当接する位置に形成されているので、プローブユニットを用いた電気的特性の検査が繰り返し行われてその段差部が繰り返し案内穴に当たる場合であっても、その段差部が金属導体から剥がれるのを防ぐことができる。段差部での剥離が生じ難いのは、従来はその段差部が絶縁被膜の端部となっており且つその端部が金属導体との境界部分となっているのに対し、この発明では、段差部よりも先端側に薄い絶縁被膜が一様に形成されており、剥離の基点となる境界部分が段差部近傍に存在していないことに基づいている。
また、本発明は、長期間繰り返し用いた場合や、検査終了時にガイド板の案内穴がプローブ針の段差部に強く押し当たってその段差部に大きな応力が加わった場合であっても、段差部での剥離が生じ難いので、その突出量をより均一に揃えることができる。その結果、プローブ針の先端がガイド板から突き出す突出量にバラツキが生じ難く、プローブ針とリード線との初期状態での接触を保持できない箇所を生じさせないと共に、測定対象となる電極を移動させる際にプローブ針の先端が電極の上面を引きずって損傷させるおそれもない。
本発明の絶縁被膜付きプローブ針は、上記本発明の絶縁被膜付きプローブ針において、前記2段構造の絶縁被膜は、先端側に設けられた絶縁被膜の厚さが0.1μm以上4μm以下の範囲内であり、前記先端側の絶縁被膜の厚さと前記中央側の絶縁被膜の厚さの差が3μm以上25μm以下の範囲内であることが好ましい。
この発明によれば、先端側に設けられた絶縁被膜の厚さが0.1μm以上4μm以下の範囲内であるので、その段差部が金属導体から剥がれるのを防ぐことができる。また、先端側の絶縁被膜の厚さと中央側の絶縁被膜の厚さの差が3μm以上25μm以下の範囲内であるので、その段差部がプローブユニットの案内穴に引っ掛かり、プローブ針が案内穴で保持される。
本発明の絶縁被膜付きプローブ針は、上記本発明の絶縁被膜付きプローブ針において、前記絶縁被膜が、焼付けによるエナメル被膜であることを特徴とする。
この発明によれば、絶縁被膜を焼付けエナメル被膜とすることによって、2段構造の絶縁被膜を金属導体上に強固に固着させることができる。その結果、任意箇所の検査終了時に被測定体側のガイド板の案内穴がその段差部に強く押し当たってその段差部に大きな応力が加わった場合であっても、その段差部の剥離を抑制できる。
本発明の絶縁被膜付きプローブ針は、上記本発明の絶縁被膜付きプローブ針において、被測定体側に露出する金属導体を、所定の試験用治具の案内穴から引き抜いて行う絶縁被膜ピール試験におけるピール強度が、1.2N以上であることを特徴とする。
この発明によれば、絶縁被膜ピール試験におけるピール強度が1.2N以上であるので、検査終了時にガイド板の案内穴が段差部に強く押し当たってその段差部に大きな応力が加わった場合であっても、段差部が剥離するのを抑制できる。その結果、プローブ針の先端がガイド板から突き出す突出量に大きなバラツキが生じることがなく、その突出量をより均一に揃えることができるので、プローブ針と検査装置のリード線との初期状態での接触を保持できない箇所の発生をなくすことができる。また、この発明によれば、上記絶縁被膜ピール試験におけるピール強度が1.2N以上であるので、プローブユニットの待機状態時において、被測定体側のガイド板の案内穴に段差部を小さい応力で押し当てつつ、プローブ針の後端と検査装置側のリード線とを接触させておくことが可能となる。その結果、本発明のプローブ針とリード線との間の接触抵抗値を低く安定させることができ、被測定体の測定精度を向上させることができる。
上記課題を解決するための本発明の絶縁被膜付きプローブ針の製造方法は、金属導体と、該金属導体の少なくとも両端以外の領域に設けられた絶縁被膜とを有し、前記金属導体の被測定体側の先端を被測定体の電極に接触させて該被測定体の電気的特性を測定する絶縁被膜付きプローブ針の製造方法であって、金属導体の外周に所定厚さの絶縁被膜を形成する工程と、前記絶縁被膜のうち被測定体側の厚さを薄くして段差部を形成する工程と、を有することを特徴とする。
この発明によれば、絶縁被膜のうち被測定体側の厚さを薄くして段差部を形成する工程を含むので、得られた絶縁被膜付きプローブ針は、プローブユニットを用いた電気的特性の検査が繰り返し行われてその段差部が繰り返し案内穴に当たる場合であっても、その段差部が金属導体から剥がれるのを防ぐことができる。
本発明の絶縁被膜付きプローブ針の製造方法は、上記本発明の絶縁被膜付きプローブ針の製造方法において、前記段差部を形成する工程が、厚さを薄くする絶縁被膜領域にレーザー光を照射する工程であることを特徴とする。
この発明によれば、レーザー光の照射によって容易に厚さを薄くして段差部を形成することができる。
本発明の絶縁被膜付きプローブ針の製造方法は、上記本発明の絶縁被膜付きプローブ針の製造方法において、前記絶縁被膜を形成する工程が、長尺の金属導体の外周に絶縁被膜を焼付けにより連続して形成する工程、又は、予め所定長さに切断された金属導体に絶縁被膜を形成する工程であることが好ましい。このとき、前記絶縁被膜を形成する工程が長尺の金属導体の外周に絶縁被膜を連続して形成する工程である場合においては、前記絶縁被膜を連続して形成した後で前記段差部を形成する工程前に、長尺の金属導体を所定の長さに切断する工程を有することが好ましい。
本発明の絶縁被膜付きプローブ針によれば、プローブユニットを用いた電気的特性の検査が繰り返し行われてその段差部が繰り返し案内穴に当たる場合であっても、その段差部が金属導体から剥がれるのを防ぐことができる。また、長期間繰り返し用いた場合や、検査終了時にガイド板の案内穴がプローブ針の段差部に強く押し当たってその段差部に大きな応力が加わった場合であっても、段差部での剥離が生じ難いので、その突出量をより均一に揃えることができる。その結果、プローブ針の先端がガイド板から突き出す突出量にバラツキが生じ難く、プローブ針とリード線との初期状態での接触を保持できない箇所を生じさせないと共に、測定対象となる電極を移動させる際にプローブ針の先端が電極の上面を引きずって損傷させるおそれもない。
また、本発明の絶縁被膜付きプローブ針の製造方法によれば、上記本発明の絶縁被膜付きプローブ針を容易に製造することができる。
以下、本発明の絶縁被膜付きプローブ針及びその製造方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
(絶縁被膜付きプローブ針)
図1は、本発明の絶縁被膜付きプローブ針の一例を示す模式断面図である。また、図2及び図3は、本発明の絶縁被膜付きプローブ針を備えたプローブユニットを用いて被測定体の電気的特性を検査する方法を説明するための模式断面図である。なお、図2と図3の違いは、図2の形態では検査前の初期状態でプローブ針1の後端2bとリード線50とが接触しておらず、絶縁被膜3の段差部3aに負荷が加わっていない場合であるのに対し、図3の形態では検査前の初期状態でプローブ針1の後端2bをリード線50が押しており、絶縁被膜3の段差部3aに負荷が加わっている点で相違している。
本発明の絶縁被膜付きプローブ針1(以下、単に「プローブ針1」ということがある。)は、図2及び図3に示すように、金属導体2と、その金属導体2の少なくとも両端2a,2b以外の領域に設けられた絶縁被膜3とを有し、その金属導体2の被測定体11側の先端2aを被測定体11の電極12に接触させて被測定体11の電気的特性を測定する検査に用いられるものである。そして、このプローブ針1の特徴は、図1に示すように、絶縁被膜3のうち被測定体11側の絶縁被膜は、先端2a側が薄く中央側が厚い2段構造になっており、その2段構造の段差部3aが、電気的特性の測定時に用いられるガイド板20の案内穴に当接する位置に形成されていることにある。なお、図1において、符号2aは、被測定体側に配置されて被測定体11の電極12に接触する「先端」であり、符号2bは、検査装置側に配置されて検査装置(図示しない)のリード線50に接触する「後端」である。また、単に「絶縁被膜3」というときは、段差部3a、薄い部分3b及び厚い部分3cを含む意味で用いている。
金属導体2としては、高い導電性と高い弾性率を有する金属線(「金属ばね線」ともいう。)が用いられる。金属導体2に用いられる金属としては、広い弾性域を持つ金属を挙げることができ、例えばベリリウム銅等の銅合金、タングステン、レニウムタングステン、鋼(例えば高速度鋼:SKH)等を好ましく用いることができる。
金属導体2は、通常、上記の金属が所定の径の線状導体となるまで冷間又は熱間伸線等の塑性加工が施される。金属導体2の外径は、プローブユニット10(図2を参照。)において隣り合う各プローブ針1の間隔に応じて25〜500μmの範囲内から任意に選択することができる。また、プローブ針1をプローブユニット10に装着し易くし、且つ、プローブユニット10の使用時においてプローブ針1の先端2aがガイド板20の案内穴に引っかかることによりプローブ針1の動きが妨げられるのを防止する観点からは、金属導体2の真直度が高いことが好ましく、具体的には真直度が曲率半径Rで1000mm以上であることが好ましい。真直度の高い金属導体2は、絶縁被膜3が設けられる前に予め直線矯正処理しておくか、後述のように絶縁被膜3が設けられた長尺の金属導体2を直線矯正処理することにより得ることができる。
金属導体2の先端2a及び後端2bの形状としては、半球状、コーン状又はフラット状等が挙げられる。それらの端部においては、金属導体2と、被測定体11の電極12又は検査装置のリード線50との接触抵抗値の上昇を抑制するためのめっき層が金属導体2上に設けられていてもよい。めっき層を形成する金属としては、ニッケル、金、ロジウム等の金属や金合金等の合金を挙げることができる。めっき層は、単層であってもよいし複層であってもよい。複層のめっき層としては、ニッケルめっき層上に金めっき層が形成されたものを好ましく挙げることができる。
絶縁被膜3は、金属導体2に設けられて、被測定体11の電気的特性を検査する際のプローブ針同士の接触を防いで短絡を防止するように作用する。なお、絶縁被膜3は、金属導体2上、すなわち金属導体2の外周上に長手方向に亘って設けられていればよく、直接設けられていてもよいし、他の層を介して設けられていてもよい。
絶縁被膜3は、絶縁性を有する被膜であれば特に限定されないが、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選ばれた少なくとも一種の樹脂で形成されていることが好ましい。なお、通常は一種類の樹脂により形成される。これらの樹脂からなる絶縁被膜は耐熱性が異なるので、検査の際に発生する熱を考慮して任意に選択することができる。例えば、より耐熱性が要求される場合には、絶縁被膜3がポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂又はフッ素樹脂等で形成されることが好ましい。
本発明においては、焼付けエナメル被膜を絶縁被膜3として用いることが好ましい。焼付けエナメル被膜は、後述するように塗料の塗布と焼付けの繰り返しにより形成されるので、金属導体との間の密着性が高く且つ被膜強度をより高いものとすることができる。その結果、後述する絶縁被膜ピール試験において所望のピール強度が得やすいという利点がある。
本発明の特徴は、金属導体2の少なくとも両端(2a,2b)以外の領域に設けられた絶縁被膜3のうち、被測定体11側の絶縁被膜が、先端2a側が薄く中央側が厚い2段構造になっており、その2段構造の段差部3aが、電気的特性の測定時に用いられるガイド板20の案内穴に当接する位置に形成されていることにある。
2段構造の段差部3aを形成することによって、プローブユニットを用いた電気的特性の検査が繰り返し行われてその段差部3aが繰り返し案内穴に当たる場合であっても、その段差部3aが金属導体2から剥がれるのを防ぐことができる。段差部3aでの剥離が生じ難い理由は、従来においては段差部が絶縁被膜の端部となっており且つその端部が金属導体との境界部分となっているのに対し、本発明では、段差部3aよりも先端2a側に絶縁被膜の薄い部分3bが一様に形成されており、剥離の基点となる境界部分が段差部近傍に存在していないことに基づいている。
本発明のプローブ針1は、段差部3aの剥離が生じ難いので、長期間繰り返し用いた場合や、検査終了時にガイド板の案内穴がプローブ針の段差部に強く押し当たってその段差部に大きな応力が加わった場合であっても、(i)プローブユニット10が備えるガイド板20からのプローブ針1の抜け落ちをなくすことができると共に、(ii)被測定体側のガイド板20に設けられた案内穴にプローブ針1の段差部3aが当たる位置があまり変動しないという利点がある。その結果、プローブ針1先端2aの突出量をより均一に揃えることができ、プローブ針とリード線との初期状態での接触を保持できない箇所を生じさせないと共に、測定対象となる電極を移動させる際にプローブ針の先端が電極の上面を引きずって損傷させるおそれがない。
図4は、段差部3aの傾斜角度θの説明図である。段差部3aの形態は特に限定されず、例えば図1に示すように直線形状のテーパーであってもよいし、図4(A)に示すように凹形状のテーパーであってもよいし、図4(B)に示すように凸形状のテーパーであってもよい。段差部3aは所定の傾斜角度θで形成されていることが好ましく、例えば、傾斜角度θが10°以上70°以下の範囲内で形成されていることが好ましい。なお、図4に示すように、傾斜角度θは、段差部3a及び薄い部分3bの境界点Aと、段差部3a及び厚い部分3cの境界点Bとを結んだ直線Lと、金属導体面との角度で表される。一方、検査装置側の絶縁被膜には、段差部3aが形成されている必要はない。
傾斜角度θが10°未満である場合には、ガイド板20の案内穴に段差部3aが突き当たる位置が変動し易く、プローブ針1の先端2aがガイド板20から突き出す突出量にバラツキが生じ易くなる。一方、傾斜角度θが70°を超えると、テーパー状の段差部3aがガイド板20の案内穴に適合(フィット)しないので、ガイド板20の案内穴でプローブ針1先端2aの金属導体の遊びが生じ、プローブ針1の軸心とガイド板20の案内穴の中心軸とが一致しない。その結果、検査時にガイド板20と電極12との位置決めを行ったとしても、プローブ針1と電極12との位置決めが適切に行われない場合が起こる。さらに、前記傾斜角度θが70°を超える場合には、検査装置側のガイド板30に設けられた案内穴にプローブ針1の段差部3aが引っ掛かって挿入し難くなることがあり、プローブユニットへのプローブ針1のセッティングが手間取ることがある。
絶縁被膜3のうち、先端2a側の薄い部分3bの厚さは、0.1μm以上4μm以下の範囲内で形成されていることが望ましい。薄い部分3bがこの範囲内で形成されていることにより、プローブユニットを用いた電気的特性の検査が繰り返し行われてその段差部3aが繰り返し案内穴に当たる場合であっても、段差部3aでの剥離を抑制することができる。薄い部分3bの厚さが0.1μm未満では、剥離抑制の効果が不十分となる。一方、薄い部分3bの厚さが4μmを超えると、剥離抑制効果が飽和すると共に、成膜コストが上昇してしまうという難点がある。
先端2a側の薄い部分3bの厚さと中央側の厚い部分3cの厚さの差は、段差部3aの高さで表されるが、3μm以上25μm以下の範囲内であることが望ましい。厚さの差をこの範囲内とすることにより、段差部3aが長期間安定して案内穴に当たるので、案内穴からプローブ針1が抜け落ちるのを防ぐことができる。その差が3μm未満では、その段差部3aが繰り返し案内穴に当たる場合、段差部3aが削れて案内穴から抜け落ちることがある。一方、その差が25μmを超えると、剥離抑制効果が飽和すると共に、成膜コストが上昇してしまうという難点がある。なお、薄い部分3bの厚さと厚い部分3cの厚さは、通常、金属導体2の直径が大きいときは厚めに設定され、金属導体2の直径が小さいときは薄めに設定される。
厚い部分3cの厚さは、6μm以上25μm以下の範囲内の平均膜厚で形成されていることが好ましい。この範囲内の平均膜厚とすることにより、プローブ針1の電気絶縁性を確保できる。実際には、プローブ針1と被測定体側のガイド板20に設けられた案内穴とのクリアランスや、薄い部分3bと厚い部分3cの厚さの差を考慮し、より確実にプローブユニットにセットすることができる厚さに設定される。厚い部分3cの平均膜厚が6μm未満の場合には、プローブ針1の電気絶縁性が不十分な場合があると共に、薄い部分3bとの厚さの差が小さくなってガイド板20の案内穴からプローブ針1が抜け落ちるおそれがある。一方、その平均膜厚が25μmを超えると、絶縁被膜形成のための生産性が劣ることがある。
図5は、金属導体の直径d(μm)と厚い部分3cの絶縁被膜の平均膜厚T(μm)との適切な範囲を示すグラフである。図5の関係からもわかるように、金属導体2の直径をd(μm)とし、厚い部分3cの平均膜厚をT(μm)としたとき、(0.07×d+3)≦T≦(0.12×d+10)、但しTは6μm以上25μm以下の関係を満たすことが好ましい。この関係式は、概ね、金属導体2の直径が大きくなるにしたがって厚い部分3cの平均膜厚が厚くなることを示している。
本発明のプローブ針1は、被測定体側に露出する金属導体2を所定の試験用治具の案内穴から引き抜いて行う絶縁被膜ピール試験におけるピール強度が、1.2N以上を示すものであることが好ましい。図6は、絶縁被膜ピール試験方法を示す概略図であり、図7は、絶縁被膜ピール試験方法により得られた荷重−歪み曲線の一例を示すグラフである。
絶縁被膜ピール試験を行うための装置としては、図6に示すように、プローブ針1の段差部3aよりも先端側(薄い部分3b及びさらにその先端側の金属導体2部分)を挿入する案内穴を有した試験治具63が固定治具61に取り付けられ、その固定治具61が荷重検出装置62に取り付けられた形態からなるものを例示できる。絶縁被膜ピール試験は、測定に供するプローブ針1の先端側を試験治具63の案内穴に挿入し、案内穴から突出したプローブ針1先端を掴持治具64でくわえて引っ張ることにより行われる。この場合において、試験治具63の案内穴の縁にプローブ針1の段差部3aが当たるので、掴持治具64を一定の速度で引っ張ることにより、金属導体2上に設けられた段差部3aを有する絶縁被膜3のピール強度(引き剥がし強度)を、荷重検出装置62で得られた荷重−歪み曲線のピーク強度71で表すことができる。本願においては、後述の実施例で示すように、例えば、10mm/分の速度で引き抜いたときの荷重−歪み曲線のピーク強度71で表すことができる。なお、図7において、符号72は絶縁被膜が剥がれていない領域を示す弾性変形領域であり、符号73は絶縁被膜が剥がれている領域を示す永久変形領域である。
絶縁被膜ピール試験で測定されたピール強度が1.2N以上であることにより、任意箇所の検査終了時にガイド板20の案内穴がプローブ針1の段差部3aに押し当たってその段差部3aに大きな応力が加わった場合であっても、段差部3aが剥離するのを抑制できる。その結果、プローブ針1の先端2aがガイド板20から突き出す突出量に大きなバラツキが生じることがなく、その突出量をより均一に揃えることができるので、プローブ針1と検査装置のリード線50との初期状態での接触を保持できない箇所の発生をなくすことができる。また、絶縁被膜ピール試験で測定されたピール強度が1.2N以上であることにより、図3に示すように、プローブユニット10の待機状態時において、被測定体側のガイド板20の案内穴にプローブ針1の段差部3aを小さい応力で押し当てつつ、プローブ針1の後端2bと検査装置側のリード線50とを接触させておくことが可能となる。その結果、本発明のプローブ針とリード線との間の接触抵抗値を低く安定させることができ、被測定体の測定精度を向上させることができる。
なお、絶縁被膜ピール試験で測定されたピール強度が1.2N未満であっても少なくとも0.7N以上であれば上記の効果を奏するが、長期間安定した測定を行うためには1.2N以上であることが望ましい。なお、ピール強度の上限は特に限定されないが、樹脂材料からなる絶縁被膜であれば例えば3N程度とすることができる。
(プローブ針の製造方法)
次に、本発明のプローブ針の製造方法について説明する。本発明のプローブ針の製造方法は、上述した本発明のプローブ針を製造する方法であって、金属導体2の外周に所定の厚さの絶縁被膜3を形成する工程と、絶縁被膜3のうち被測定体側の厚さを薄くして段差部3aを形成する工程と、を少なくとも有する方法である。
絶縁被膜を形成する工程は、金属導体2の外周に所定の厚さ(厚い部分3cに相当する厚さ)の絶縁被膜を形成する工程であり、具体的には、長尺の金属導体2の外周に連続して絶縁被膜を形成する工程と、予め所定の長さに切断された金属導体に絶縁被膜を形成する工程とを挙げることができる。
上記のうち、連続して絶縁被膜を形成する工程は、通常のエナメル線の製造装置(製造ライン)を用いることができる。すなわち、ボビン等の線材供線装置から繰出された線状の金属導体(以下、線材ともいう。)に、塗料槽にてエナメル塗料を塗布した後、その直後に設けたダイスやフェルト等の塗料絞り具で線材表面の塗布塗料を略均一厚さに扱き、その後その線材を電熱炉や熱風循環炉等の高温の焼付炉に導入し、炉内で線材上に塗布された塗料中の溶剤を揮発除去して塗料を反応硬化させ、硬化塗膜層を線材表面に形成して焼付炉から導出し、導出された線材を再び塗料槽、塗料絞り具及び焼付炉を通過させる工程を複数回繰り返し、線材表面に所望の厚さの硬化塗膜層を形成した後、キャプスタン等の引取装置により引取りボビン等の巻取装置に巻き取ることによって、連続して絶縁被膜を形成する。
なお、連続して絶縁被膜を形成する工程においては、絶縁被膜を連続して形成した後で前記段差部を形成する工程前に、長尺の金属導体を所定の長さに切断する工程が設けられる。このときの切断には、例えば、市販の定尺切断機が用いられる。
また、上記のうち、予め所定の長さに切断された金属導体に絶縁被膜を形成する工程においては、所定の長さに切断された金属導体に絶縁塗料を噴霧し、又は、所定の長さに切断された金属導体を絶縁塗料に浸漬して、金属導体上に所定の厚さの絶縁被膜を形成する。
以上のようにして金属導体上に所定の厚さの絶縁被膜を形成した後、絶縁被膜のうち被測定体側の厚さを薄くして段差部3aを形成する。段差部3aの形成は、レーザー光を照射して行うことが好ましい。
図8は、レーザー光を照射して段差部を形成する方法の説明図である。図8では、所定の厚さで形成された絶縁被膜3の被測定体側をレーザー光81で照射する方法を示している。レーザー光81としては、炭酸ガスレーザーが好ましく用いられる。段差部3aの形成は、先端2aからガイド板の案内穴に当接する位置までの領域(すなわち、薄い部分3bになる領域)以外の領域を、レーザー光81が遮蔽されるマスク82でマスキングし、その後にマスキングされていない先端側の領域にレーザー光を照射して、照射領域の絶縁被膜の厚さを減厚化することにより行われる。なお、絶縁被膜を所望の厚さまで減厚化するためには、レーザー出力や照射時間等の照射条件を最適条件に設定することが望ましい。レーザー光照射中は、図8に示すように、金属導体2を軸回転させて絶縁被膜を均一な薄さに減厚化することが好ましい。
また、段差部3aの傾斜角度θの調整は、レーザー光の照射強度の調整と、絶縁被膜3とマスク82間の距離の調整とにより制御することができる。すなわち、レーザー光81が照射された部分とマスク82によりマスキングされた部分との境界部分では、レーザー光照射時の熱により絶縁被膜に溶融が生じたり、マスク82と絶縁被膜3との僅かな隙間からレーザー光81がマスク82の下に回り込むことにより、その境界部分の形状を変化させることができる。例えば、傾斜角度θを小さめにするためには、レーザー光の照射強度を高めて溶融の程度を増したり、マスク82と絶縁被膜3との隙間を大きめにしてレーザー光の回り込みを多くしたりすることにより実現できる。また、傾斜角度θを大きめにするためには、レーザー光の照射強度を低くして溶融の程度を少なくしたり、マスク82と絶縁被膜3との隙間を小さめにしてレーザー光の回り込みを少なくしたりすることにより実現できる。こうして、傾斜角度θを10°〜70°の範囲内に調整することができる。
なお、段差部3aの形成後又は形成前であってもよいが、必要に応じて、金属導体2の後端2b側の絶縁被膜を剥離する。また、金属導体2の先端2a又は後端2bの形状は、金属導体2を所定の長さに切断した後であれば、段差部3aの形成前又は形成後のいずれかのタイミングで端部加工される。この端部加工としては、例えば精密旋盤による加工や研磨加工等が挙げられ、半球状、コーン状又はフラット状等の形状に加工される。また、めっき皮膜が形成されていない金属導体を用いた場合には、必要に応じてめっき皮膜を形成する工程を加えてもよい。めっき皮膜形成工程は、絶縁被膜を形成する前、又は、金属導体の端部の絶縁被膜を剥離した後、に行うことが好ましい。
以上説明したように、本発明のプローブ針の製造方法によれば、段差部を有した本発明の絶縁被膜付きプローブ針を容易に製造することができる。
(プローブ針を用いた電気的特性の検査方法)
次に、上述した本発明のプローブ針を用いた電気的特性の検査方法について説明する。
本発明のプローブ針1は、プローブユニットに装着されて回路基板等の被測定体の電気的特性の良否の検査に利用される。プローブユニット10は、図2及び図3に示すように、複数本から数千本のプローブ針1と、プローブ針1を被測定体11の電極12にガイドするガイド板20と、プローブ針1を検査装置のリード線50にガイドするガイド板30とを備えている。被測定体側のガイド板20は金属導体2の直径よりも若干大きい案内穴を有し、その案内穴は一本一本のプローブ針1の金属導体2を電極21にガイドする。一方、検査装置側のガイド板30はプローブ針1の外径よりも若干大きい案内穴を有し、その案内穴は一本一本のプローブ針1の金属導体2をリード線50にガイドする。
プローブユニット10と被測定体11は、被測定体11の電気的特性を検査する際、プローブ針1と電極12とが対応するように位置制御される。電気的特性の検査は、プローブユニット10を上下させ、プローブ針1の弾性力を利用して被測定体11の電極12にプローブ針1の先端2aを所定の圧力で押し当てることにより行われる。このとき、プローブ針1の後端2bはリード線50に接触し、被測定体11からの電気信号がそのリード線50を通って検査装置(図示しない。)に送られる。なお、図2及び図3中、符号40はリード線用の保持板を示している。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
金属導体として、予め真直度が曲率半径Rで1500mmに直線矯正された長尺の真直ベリリウム銅線(外径0.09mm)を用いた。また、絶縁被膜用の塗料として、ポリウレタン樹脂系のエナメル塗料(東特塗料株式会社製、商品名;TPU5100)を用いた。先ず、ボビン等の線材供線装置から繰出された金属導体上に、上記エナメル塗料を焼き付けて、平均膜厚10μmの絶縁被膜を形成した。次に、絶縁被膜が形成された長尺の金属導体を切断して長さ30mmの絶縁被膜付き金属導体を切り出し、その絶縁被膜付き金属導体の両端部を研削加工することにより半球状に加工した。次に、アルミニウムからなるマスクを絶縁被膜に接した状態で配置し、炭酸ガスレーザー(キーエンス社製、型番;ML−9110)を照射して、プローブ針の先端から3mmまでの絶縁被膜の厚さを厚さ1.5μmとなるように薄くした。そうした減厚化は、絶縁被膜付き金属導体を回転させながら、レーザー照射強度:10mJ/cm、レーザー照射時間:1秒の条件で行った。こうして実施例1のプローブ針(長さ30mm)を作製した。なお、得られたプローブ針の段差部3aの傾斜角度θを顕微鏡写真から測定したところ、約40°であった。
(実施例2)
金属導体として、予め真直度が曲率半径Rで1500mmに直線矯正された長尺の真直ベリリウム銅線(外径0.09mm)を用い、その金属導体を切断して長さ30mmに切り出した。こうして得られた金属導体に、絶縁被膜用のフッ素樹脂系のエナメル塗料(デュポン社製、商品名:954−100)を噴霧塗布し、平均膜厚10μmの絶縁被膜を形成し、さらにその後、金属導体の両端部を研削加工することにより半球状に加工した。次に、実施例1と同じ炭酸ガスレーザーと条件で減厚化加工を行い、プローブ針の先端から3mmまでの絶縁被膜の厚さを厚さ1.5μmとなるように薄くした。こうして実施例2のプローブ針(長さ30mm)を作製した。なお、得られたプローブ針の段差部3aの傾斜角度θを顕微鏡写真から測定したところ、約40°であった。
(比較例1)
実施例2において、炭酸ガスレーザーでマスクで遮蔽した以外の先端側領域の絶縁被膜を全て除去した以外は、実施例2と同様にして、比較例1のプローブ針(長さ30mm)を作製した。
(ピール試験結果)
実施例1,2及び比較例1のプローブ針を用いて絶縁被膜ピール試験を行った。絶縁被膜ピール試験は、図6に示した測定装置を用い、図7に示した評価方法により評価した。具体的には、荷重検出装置として引張試験機を用い、試験治具として直径0.095mmの案内穴を有した治具を用いた。試験治具の案内穴に絶縁被膜を剥離した側の金属導体を挿入し、突き出た金属導体を掴持治具でくわえ、10mm/分の速度で引っ張ることにより測定した。荷重−歪み曲線のピーク強度から、表1の結果が得られた。
Figure 0004611822
(実施例3〜10及び比較例2〜10)
金属導体の直径、厚い部分の厚さ、及び薄い部分の厚さを表2のようにした他は、実施例1と同様にして、実施例3〜10及び比較例2〜10のプローブ針を作製した。各プローブ針を用いて絶縁被膜ピール試験を行った。ピール試験は、実施例1等と同じ方法で行い、その結果を表2に示した。この結果より、2段構造の絶縁被膜を有するプローブ針は、2段構造を持たないプローブ針に比べて約0.5N程度高いピーク強度を示していた。
Figure 0004611822
(実施例11〜20)
金属導体の直径、厚い部分の厚さ、及び薄い部分の厚さを表2のようにした他は、実施例1と同様にして、実施例11〜20のプローブ針を作製した。各プローブ針を用いて絶縁被膜ピール試験を行った。ピール試験は、実施例1等と同じ方法で行い、その結果を表2に示した。この結果より、先端側に設けられた薄い部分の厚さが0.1μm以上4μm以下の範囲内であり、薄い部分と厚い部分との厚さの差が3μm以上25μm以下の範囲内である場合には、いずれも2.3N以上の高いピーク強度を示していた。
Figure 0004611822
本発明の絶縁被膜付きプローブ針の一例を示す模式断面図である。 本発明の絶縁被膜付きプローブ針を備えたプローブユニットを用いて被測定体の電気的特性を検査する方法を説明するための模式断面図である。 本発明の絶縁被膜付きプローブ針を備えたプローブユニットを用いて被測定体の電気的特性を検査する方法を説明するための他の模式断面図である。 段差部の傾斜角度θの説明図である。 金属導体の直径d(μm)と絶縁被膜の平均膜厚T(μm)との適切な範囲を示すグラフである。 絶縁被膜ピール試験方法を示す概略図である。 絶縁被膜ピール試験方法により得られた荷重−歪み曲線の一例を示すグラフである。 レーザー光を照射して絶縁被膜を剥離する方法の説明図である。 従来の絶縁被膜付きプローブ針の一例を示す模式断面図である。 従来の絶縁被膜付きプローブ針を備えるプローブユニットを用いて被測定体の電気的特性を検査する方法を説明するための模式断面図である。
符号の説明
1 絶縁被膜付きプローブ針
2 金属導体
2a 先端
2b 後端
3 絶縁被膜
3a 段差部
3b 薄い部分
3c 厚い部分
10 プローブユニット
11 被測定体
12 電極
20 被測定体側のガイド板
30 検査装置側のガイド板
40 リード線用の保持板
50 リード線
61 固定治具
62 荷重検出装置
63 試験治具
64 掴持治具
71 ピーク強度
81 レーザー光
82 マスク
θ 傾斜角度
A 絶縁被膜と金属導体とがプローブ針の先端側で接する点
B 段差部の厚さが段差部以外の絶縁被膜の厚さと同じ又は実質的に同じになる点
L 点Aと点Bを結んだ直線

Claims (8)

  1. 金属導体と、該金属導体の少なくとも両端以外の領域に設けられた絶縁被膜とを有し、前記金属導体の被測定体側の先端を被測定体の電極に接触させて該被測定体の電気的特性を測定する絶縁被膜付きプローブ針において、
    前記絶縁被膜のうち被測定体側の絶縁被膜は、先端側が薄く中央側が厚い2段構造になっており、該2段構造の段差部が、前記電気的特性の測定時に用いられるガイド板の案内穴に当接する位置に形成されていることを特徴とする絶縁被膜付きプローブ針。
  2. 前記2段構造の絶縁被膜は、先端側に設けられた絶縁被膜の厚さが0.1μm以上4μm以下の範囲内であり、前記先端側の絶縁被膜の厚さと前記中央側の絶縁被膜の厚さの差が3μm以上25μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁被膜付きプローブ針。
  3. 前記絶縁被膜が、焼付けによるエナメル被膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁被膜付きプローブ針。
  4. 被測定体側に露出する金属導体を、所定の試験用治具の案内穴から引き抜いて行う絶縁被膜ピール試験におけるピール強度が、1.2N以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁被膜付きプローブ針。
  5. 金属導体と、該金属導体の少なくとも両端以外の領域に設けられた絶縁被膜とを有し、前記金属導体の被測定体側の先端を被測定体の電極に接触させて該被測定体の電気的特性を測定する絶縁被膜付きプローブ針の製造方法であって、
    金属導体の外周に所定厚さの絶縁被膜を形成する工程と、前記絶縁被膜のうち被測定体側の厚さを薄くして段差部を形成する工程と、を有することを特徴とする絶縁被膜付きプローブ針の製造方法。
  6. 前記段差部を形成する工程が、厚さを薄くする絶縁被膜領域にレーザー光を照射する工程であることを特徴とする請求項5に記載の絶縁被膜付きプローブ針の製造方法。
  7. 前記絶縁被膜を形成する工程が、長尺の金属導体の外周に絶縁被膜を焼付けにより連続して形成する工程、又は、予め所定長さに切断された金属導体に絶縁被膜を形成する工程であることを特徴とする請求項5又は6に記載の絶縁被膜付きプローブ針の製造方法。
  8. 前記絶縁被膜を形成する工程が長尺の金属導体の外周に絶縁被膜を連続して形成する工程である場合において、前記絶縁被膜を連続して形成した後で前記段差部を形成する工程前に、長尺の金属導体を所定の長さに切断する工程を有することを特徴とする請求項7に記載の絶縁被膜付きプローブ針の製造方法。
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