JP4611697B2 - 電磁波ノイズ抑制体およびその使用方法 - Google Patents
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(1)の方法は、電子機器外部への放射ノイズの漏洩には効果があるものの、電子機器内部には、このシールド材により反射、散乱した放射ノイズが充満して電磁波干渉を助長してしまう問題、電子機器内部に設置された複数のプリント配線基板間で電磁干渉が起こってしまう問題がある。
(2)の方法で用いられる電磁波干渉抑制体は、電子部品から発生する放射ノイズを抑制する効果は十分に備わっているが、伝導ノイズを十分に抑制できないという問題がある。
しかしながら、これら電磁波ノイズ抑制体は、伝導ノイズ抑制効果の指標である、1GHzにおけるロス電力比が0.2程度であり、実効的な周波数領域で電磁波ノイズ抑制効果があるとはいえない。また、放射ノイズを十分に吸収できないという問題も有している。
ここで、基体が、その表面に電磁波吸収材が存在しないスキン層を有し;複合層が、スキン層の表面に磁性体を物理的に蒸着させてなる層であることが望ましい。
結合剤は、樹脂またはゴムであることが望ましい。
また、1GHzにおける相互減結合率は、−1dB以上であり、かつ1GHzにおける内部減結合率が−1dB以上であることが望ましい。
ここで、電磁波ノイズ抑制体は、基体側を電磁波ノイズの発生源に向けて配設されることが望ましい。
ここで、基体が、その表面に電磁波吸収材を含有しないスキン層を有し、複合層がスキン層の表面に磁性体を物理的に蒸着させてなる層であれば、電磁波干渉を抑え、伝導ノイズ抑制効率がさらに向上し、薄型化、軽量化を図ることができる。
また、複合層の厚さが0.005〜0.3μmであるので、伝導ノイズ抑制効率がさらに向上し、薄型化、軽量化を図ることができる。
さらに、結合剤が、樹脂またはゴムであれば、可撓性があり、強度の高い電磁波ノイズ抑制体とすることができ、また、電子部品等への密着性、追従性に優れる。
さらに、基体側を電磁波ノイズ発生源上に向けることにより、磁性体と電磁波吸収材との相乗効果により内部減結合率が増大するため、放射ノイズ抑制機能に対しては効果的である。
<電磁波ノイズ抑制体>
本発明の電磁波ノイズ抑制体は、結合剤および電磁波吸収材を含有する基体と;基体の結合剤の一部と磁性体とが一体化してなる複合層とを有するものである。
ロス電力比は、伝導ノイズ抑制機能の反射・透過特性の総合的な指標であって、次式で求められ、0〜1の値をとる。ロス電力比は、伝送特性のS11(反射減衰量)とS21(透過減衰量)の変化から次式で求められる。
ロス電力比(Ploss/Pin)=1−(|Γ|2+|T|2)
ここで、S11=20log|Γ|であり、S21=20log|T|であり、Γは反射係数であり、Tは透過係数である。
この電磁波ノイズ抑制体のロス電力比を0.3〜0.95にするためには、電磁波ノイズ抑制体の作製にあたって、高エネルギーでの物理蒸着を行うことにより、ナノメーターレベルで結合剤と磁性体原子とを一体化させることを基本とし、物理的蒸着条件、磁性体蒸着量を適宜選択することにより達成できる。
相互減結合率とは、二つのプリント基板間もしくはデバイス間での結合が電磁波ノイズ抑制体を装着することによりどれくらい減衰するかという量であり、内部減結合率とは伝送ライン間や同じプリント回路基板内での結合が電磁波ノイズ抑制体を装着することによりどれくらい減衰するかという量である(武田茂、「ノイズ抑制シートのIEC規格化の現状」、第131回研究会資料、社団法人日本応用磁気学会、2003年7月4日、p.33−36)。
複合層6は、図4の高分解能透過型電子顕微鏡像、および電子顕微鏡像の模式図である図5に示すように、基体5表面のスキン層4に磁性体を物理的蒸着させてなる層であり、物理的に蒸着された磁性体が均質膜を形成することなく、原子状態で結合剤2中に分散一体化してなるものである。
本発明におけるスキン層4とは、電磁波吸収材3を含有した基体5において、基体5の表面に形成される、電磁波吸収材3が存在しない、結合剤2のみからなる層である。
結合剤2は、特に限定されないが、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリケトン、ポリイミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアクリレート、塩化ビニル系樹脂、塩素化ポリエチレンなどの樹脂や、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムなどのジエン系ゴム、ブチル系ゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの非ジエン系ゴム等の有機物が挙げられる。これらは熱可塑性であっても、熱硬化性であってもよく、その未硬化物であってもよい。また、上記の樹脂、ゴムなどの変性物、混合物、共重合体であってもよい。
また、結合剤2としては、伝導ノイズ抑制効果に影響する密着性の観点からは、柔軟性を有し、ゴム弾性率を有するシリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴムが好ましく、結合剤2の剪断弾性率は1×103 〜1×106 Paであることが好ましい。
(1)JIS K7113に規定されている引張応力と歪との関係から引張り弾性率を求め、これをもとに下記式から剪断弾性率を求める。
剪断弾性率=引張り弾性率/(2×(1+ポアソン比))
ここで2×(1+ポアソン比)の値は、剛直な高分子からゴム状の弾性体まで、おおよそ2.6〜3.0である。
(2)温度特性を把握できる粘弾性率測定装置を用い、試験モードを剪断モードにして剪断弾性率を測定する。
(3)粘弾性率測定装置を用い、試験モード引張りモードにして貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”を測定し、下記式から複素弾性率G* を求め、複素弾性率を引張り弾性率として、上記式から剪断弾性率を求める。
G* =√((G’)2 +(G”)2)
本発明における剪断弾性率は、粘弾性率測定装置として、レオメトリック・サイエンティフィック社製ソリッドアナライザーRSA−IIを用い、剪断モードにて、測定周波数1Hzの条件で測定した値とする。
本発明における電磁波吸収材3としては、カーボン、黒鉛等の粒子状または繊維状の導電性材料;金属系軟磁性体、酸化物系磁性体、窒化物系磁性体等の磁性体粒子が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。電磁波吸収材3としては、数百MHzから数GHzの高周波域で電気抵抗が高いため、渦電流による電磁波ノイズの反射が抑えられ、大きな磁気損失、すなわち虚数部透磁率μ”を有している点で、金属系軟磁性体、酸化物系磁性体、窒化物系磁性体などの磁性体粒子が好ましい。
扁平状の磁性体粒子の平均粒子径は、0.5〜100μmが好ましく、アスペクト比は2〜80が好ましい。平均粒子径が0.5μm未満の場合は、粒子の比表面積が大きくなりすぎて高充填化が困難となる場合がある。平均粒子径が100μmを超えると、電磁波ノイズ抑制体の表面から磁性体粒子の一部が露出してしまい、この結果、伝導ノイズ抑制効果が損なわれるおそれがある。
以下、電磁波ノイズ抑制体1の製造方法について説明する。
電磁波ノイズ抑制体1の製造方法は、結合剤2および電磁波吸収材3を含有する電磁波吸収性組成物を成形して、電磁波吸収材3が存在しないスキン層4を表面に有する基体5を製造する基体製造工程と;基体5のスキン層4に磁性体を物理的蒸着させて、基体5の表面に複合層6を形成する蒸着工程とを有する方法である。
電磁波吸収性組成物の調製には、一般的な混練方法を用いることができる。例えば、結合剤2に電磁波吸収材3を添加してミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー等で混合、分散させる方法;結合剤2が溶剤に可溶であれば、溶剤に溶解した結合剤2溶液中に電磁波吸収材3を添加して、プロペラ攪拌機にて混合、分散し、乾燥させる方法等がある。
まず、物理的蒸着法(PVD)の一般的な説明を行う。
物理的蒸着法は、一般に、真空にした容器の中で蒸発材料を何らかの方法で気化させ、気化した蒸発材料を近傍に置いた基板上に堆積させて薄膜を形成する方法であり、蒸発物質の気化方法の違いで、蒸発系とスパッタリング系に分けられる。蒸発系としては、EB蒸着、イオンプレーティングなどが挙げられ、スパッタリング系としては、高周波スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、対向ターゲット型マグネトロンスパッタリングなどが挙げられる。
なお、結合剤2に磁性体を蒸着させる際には、磁性体はプラズマあるいはイオン化された磁性体原子として結合剤2中に入り込むので、結合剤2中に微分散された磁性体の組成は、蒸着材料として用いた磁性体の組成比と必ずしも同一であるとは限らない。また、結合剤2の一部と反応し、強磁性体が常磁性体や反強磁性体になるなどの変化が生じる場合もある。
ここで、蒸着質量は、ガラス、シリコン等の硬質基板上に同条件で磁性体を蒸着し、堆積した厚さを測定することによって求められる。
蒸着工程において用いられる基体5の厚さは、特に限定しないが、コンパクトな電磁波ノイズ抑制体とするには薄いことが好ましい。
図6は、半導体パッケージ32、チップ部品33および配線回路34を搭載したプリント基板31に、電磁波ノイズ抑制体1を配設した一例を示す図である。電磁波ノイズ抑制体1を半導体パッケージ32、チップ部品33および配線回路34に密着させることにより、半導体パッケージ32、チップ部品33および配線回路34から発生する伝導ノイズおよび放射ノイズを抑制する。
以上説明した電磁波ノイズ抑制体1にあっては、理論的には完全に明らかになっていないが、結合剤2と磁性体とが一体化された複合層6が形成されているので、少ない磁性体であっても、そのナノメーターレベルのヘテロ構造に由来する量子効果や、材料固有の磁気異方性、形状異方性、あるいは外部磁界による異方性などの影響で、高い共鳴周波数を持つ。これにより、優れた磁気特性を発揮し、少ない磁性体であっても、高い周波数帯域において、伝導ノイズ抑制効果を発揮することができる。
また、複合層6の磁性体と電磁波吸収材3との相乗効果により、内部減結合率が増大し、放射ノイズ抑制効果が向上する。
(評価)
断面観察:
(株)日立製作所製、透過型電子顕微鏡H9000NARを用いた。
剪断弾性率:
剪断弾性率は、粘弾性率測定装置として、レオメトリック・サイエンティフィック社製ソリッドアナライザーRSA−IIを用い、剪断モードにて、測定周波数1Hzの条件で測定した。
伝導ノイズ抑制効果:
キーコム(株)製、近傍界用電磁波吸収材料測定装置を用いて、Sパラメーター法によるS11(反射減衰量)およびS21(透過減衰量)を測定した。また、ロス電力比を評価した。ネットワークアナライザーとしては、アンリツ(株)製、ベクトルネットワークアナライザー37247Cを用い、50Ωのインピーダンスを持つマイクロストリップラインのテストフィクチャーとしては、キーコム(株)製、TF−3Aを用いた。
図7に示すように、電磁波発信用マイクロループアンテナ41(キーコム(株)製、直径5mmのマイクロループアンテナ)および電磁波受信用マイクロループアンテナ42(日本電気真空硝子社製、磁界プローブCP−2S)を、スペクトラムアナライザ43((株)アドバンテスト製、商品名:R3132)に接続し、電磁波ノイズ抑制体のテストシート44を挟むようにして、電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42をアンテナ間の最小間隔が2mmとなるように配置し、電磁波ノイズ抑制体の相互減結合率を測定した。
シリコーンゴム(ビニル基含有ジメチルポリシロキサン)100質量部に、扁平状のFe−Cr系軟磁性金属(平均粒子径:20μm、アスペクト比:19.6)300質量部、オルガノハイドロジェンポリシロキサン1.2質量部、白金族系触媒の2質量%アルコール溶液0.2質量部、アセチレンアルコール系反応制御剤0.1質量部を添加し、ミキシングロールで分散、混合し、電磁波吸収性組成物を得た。電磁波吸収性組成物を120℃で1時間、加熱圧縮成形し、表面に平均厚さ0.63μmのスキン層を有する厚さ500μmの基体(スキン層の結合剤の25℃における剪断弾性率:2.3×105 Pa)を得た。この基体のスキン層に膜厚換算値で20nmのNi系軟磁性体金属を、対向ターゲット型マグネトロンスパッタリング法により物理的蒸着させ複合層を形成し、電磁波ノイズ抑制体を得た。この際、基体の温度を25℃に保ち、蒸発粒子が8eVの粒子エネルギーを持つようにわずかに負の電圧を印加し、スパッタリングを行った。
また、0.05〜3.0GHzのS11(反射減衰量)およびS21(透過減衰量)の測定結果を図9に、0.05〜3.0GHzのロス電力比を図10に、100kHz〜2.0GHzの相互減結合率の測定結果を図11に、100kHz〜2.0GHzの内部減結合率の測定結果を図12に示す。
図10において、○は基体側から評価したロス電力比を、◇は複合層側から評価したロス電力比を示す。
図11において、○は基体側に電磁波発信用マイクロループアンテナ41を配置して測定した相互減結合率を、◇は複合層側に電磁波発信用マイクロループアンテナ41を配置して測定した相互減結合率を、□は銅箔を挟むようにして、電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42を配置して測定した相互減結合率を示す。
図12において、○は基体側に電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42を配置して測定した内部減結合率を、◇は複合層側に電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42を配置して測定した内部減結合率を、□は電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42を銅箔の表面の同じ側に配置して測定した内部減結合率を示す。
シリコーンゴム(2液型)100質量部に、シラン系カップリング剤で表面処理を施した球状のFe−Cr系軟磁性体(平均粒子径:20μm)1000質量部を添加し、ミキシングロールで分散、混合し、電磁波吸収性組成物を得た。この電磁波吸収性組成物を圧縮成形により厚さ300μmとなるようにシート状に成形した後、150℃で1時間、シリコーンゴムを加硫させて、表面に平均厚さ0.67μmのスキン層を有する厚さ290μmの基体(スキン層の結合剤の25℃における剪断弾性率:1.0×104 Pa)を得た。この基体のスキン層に膜厚換算で50nmのFe−Ni系軟磁性体金属を、対向ターゲット型マグネトロンスパッタリング法により物理的蒸着させ複合層を形成し、電磁波ノイズ抑制体を得た。この際、基体の温度を25℃に保ち、蒸発粒子が8eVの粒子エネルギーを持つようにわずかに負の電圧を印加し、スパッタリングを行った。
また、0.05〜3.0GHzのS11(反射減衰量)およびS21(透過減衰量)の測定結果を図13に、0.05〜3.0GHzのロス電力比を図14に、100kHz〜2.0GHzの相互減結合率の測定結果を図15に、100kHz〜2.0GHzの内部減結合率の測定結果を図16に示す。
図14において、○は基体側から評価したロス電力比を、◇は複合層側から評価したロス電力比を示す。
図15において、○は基体側に電磁波発信用マイクロループアンテナ41を配置して測定した相互減結合率を、◇は複合層側に電磁波発信用マイクロループアンテナ41を配置して測定した相互減結合率を、□は銅箔を挟むようにして、電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42を配置して測定した相互減結合率を示す。
図16において、○は基体側に電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42を配置して測定した内部減結合率を、◇は複合層側に電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42を配置して測定した内部減結合率を、□は電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42を銅箔の表面の同じ側に配置して測定した内部減結合率を示す。
ウレタン樹脂100質量部および硬化剤としてイソシアネート化合物20質量部に、チタネート系カップリング剤で表面処理を施した扁平状のFe−Ni系軟磁性体1600質量部(平均粒子径:15μm、アスペクト比:65)、溶剤(シクロヘキサノンとトルエンの1:1混合物)700質量部を加えたぺーストを、乾燥後の厚さが1.1mmとなるように、バーコート法で塗工用支持体に塗布して膜を形成し、十分乾燥させた後、真空加熱プレスし、85℃、24時間キュアリングし、膜を塗工用支持体から剥がして、表面に平均厚さ0.74μmのスキン層を有する厚さ1.0mmの基体(スキン層の結合剤の25℃における剪断弾性率:1.7×106 Pa)を得た。この基体のスキン層に膜厚換算値で10nmのNi系軟磁性体金属を、対向ターゲット型マグネトロンスパッタリング法により物理的蒸着させ複合体層を形成し、電磁波ノイズ抑制体を得た。この際、基体の温度を25℃に保ち、蒸発粒子が8eVの粒子エネルギーを持つようにわずかに負の電圧を印加し、スパッタリングを行った。
また、0.05〜3.0GHzのS11(反射減衰量)およびS21(透過減衰量)の測定結果を図17に、0.05〜3.0GHzのロス電力比を図18に、100kHz〜2.0GHzの相互減結合率の測定結果を図19に、100kHz〜2.0GHzの内部減結合率の測定結果を図20に示す。
図18において、○は基体側から評価したロス電力比を、◇は複合層側から評価したロス電力比を示す。
図19において、○は基体側に電磁波発信用マイクロループアンテナ41を配置して測定した相互減結合率を、◇は複合層側に電磁波発信用マイクロループアンテナ41を配置して測定した相互減結合率を、□は銅箔を挟むようにして、電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42を配置して測定した相互減結合率を示す。
図20において、○は基体側に電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42を配置して測定した内部減結合率を、◇は複合層側に電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42を配置して測定した内部減結合率を、□は電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42を銅箔の表面の同じ側に配置して測定した内部減結合率を示す。
実施例1における、複合層を形成する前の基体について、伝導ノイズ抑制効果および放射ノイズ抑制効果を測定した。各測定は、実施例1と同様の方法により行った。1GHzにおける伝導ノイズ抑制効果および放射ノイズ抑制効果の評価結果を表2に示す。
また、0.05〜3.0GHzのS11(反射減衰量)およびS21(透過減衰量)の測定結果を図21に、0.05〜3.0GHzのロス電力比を図22に、100kHz〜2.0GHzの相互減結合率を測定結果を図23に、100kHz〜2.0GHzの内部減結合率の測定結果を図24に示す。
図23において、○は比較例1の相互減結合率を、□は銅箔の相互減結合率を示す。
図24において、○は比較例1の内部減結合率を、□は銅箔の内部減結合率を示す。
シリコーンゴム(ビニル基含有ジメチルポリシロキサン)100質量部に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン1.2質量部、白金族系触媒の2%アルコール溶液0.2質量部、アセチレンアルコール系反応制御剤0.1質量部を添加し、ミキシングロールで分散、混合し、シリコーン組成物を得た。このシリコーン組成物をトルエン溶液(濃度:20質量%)とし、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:50μm)上に加熱乾燥・加硫後のシリコーンゴムの厚さが20μmとなるように塗布した。120℃で、1時間加熱し、硬化させて、シリコーンゴム−ポリエチレンテレフタレート複層フィルム(シリコーンゴムのスキン層の平均厚さ0.63μm、シリコーンゴムの25℃における剪断弾性率:20×105 Pa)を得た。得られた複層フィルムのシリコーンゴム上に、膜厚換算値で20nmのNi系軟磁性体金属を、対向ターゲット型マグネトロンスパッタリング法により物理的蒸着させ複合層を形成し、電磁波ノイズ抑制体を得た。この際、シリコーンゴムの温度を25℃に保ち、8eVのエネルギーを持つようわずかに負の電圧を印加し、スパッタリングを行った。
また、0.05〜3.0GHzのS11(反射減衰量)およびS21(透過減衰量)の測定結果を図25に、0.05〜3.0GHzの複合層側のロス電力比を図26に、100kHz〜2.0GHzの相互減結合率の測定結果を図27に、100kHz〜2.0GHz内部減結合率の測定結果を図28に示す。
図27において、○は比較例2の複合層側に電磁波発信用マイクロループアンテナ41を配置して測定した相互減結合率を、□は銅箔を挟むようにして、電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42を配置して測定した相互減結合率を示す。
図28において、○は比較例2の複合層側に電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42を配置して測定した内部減結合率を示し、□は電磁波発信用マイクロループアンテナ41および電磁波受信用マイクロループアンテナ42を銅箔の表面の同じ側に配置して測定した内部減結合率を示す。
銅箔(厚さ:15μm)について、放射ノイズ抑制効果の評価を行った。各測定は、実施例1と同様の方法により行った。1GHzにおける放射ノイズ抑制効果の評価結果を表2に示す。
また、比較例2は、結合剤上に対向ターゲット型マグネトロンスパッタリング法でNi系軟磁性体金属を蒸着して複合層を形成したものであり、1GHzにおけるロス電力比は0.3以上であり、良好な伝導ノイズ抑制効果を有していたが、相互減結合率が−1dB以下であり、内部減結合率は、銅箔と同様にプラス側であり二次放射ノイズが発生した。
2 結合剤
3 電磁波吸収材
4 スキン層
5 基体
6 複合層
10 電磁波ノイズ抑制体
20 電磁波ノイズ抑制体
Claims (7)
- 結合剤および電磁波吸収材を含有する基体と、
基体の結合剤中に磁性体が分散することによって基体の結合剤の一部と磁性体とが一体化してなる複合層と
を有し、複合層の厚さが、0.005〜0.3μmであることを特徴とする電磁波ノイズ抑制体。 - 基体が、その表面に電磁波吸収材が存在しないスキン層を有し、
複合層が、スキン層の表面に磁性体を物理的に蒸着させてなる層であることを特徴とする請求項1記載の電磁波ノイズ抑制体。 - 結合剤が、樹脂またはゴムであることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波ノイズ抑制体。
- 1GHzにおけるロス電力比が、0.3〜0.95であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載の電磁波ノイズ抑制体。
- 1GHzにおける相互減結合率が−1dB以上であり、かつ1GHzにおける内部減結合率が−1dB以上であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一項に記載の電磁波ノイズ抑制体。
- 請求項1ないし5いずれか一項に記載の電磁波ノイズ抑制体を電磁波ノイズの発生源上に配設することを特徴とする電磁波ノイズ抑制体の使用方法。
- 基体側を電磁波ノイズの発生源に向けて電磁波ノイズ抑制体を配設することを特徴とする請求項6記載の電磁波ノイズ抑制体の使用方法。
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