JP4611135B2 - 膜処理装置の製造方法、メンテナンス方法、及び、保守方法 - Google Patents

膜処理装置の製造方法、メンテナンス方法、及び、保守方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体プロセスにおいて使用される膜処理装置、並びに、半導体プロセスにおいて使用される膜処理装置の製造方法、セルフクリーニング方法、及びメンテナンス方法に関する。
従来の半導体薄膜の加工をするスパッタ装置、CVD装置、エッチング装置等、加工装置反応室の内壁には加工処理に伴ってSi膜が付着し、これがある程度以上になると剥離して製品の半導体薄膜が汚染される。このため、一定量の処理ごとに反応室のクリーニングが必要となる。しかしながら、反応室から部品を取り外して洗浄し、組み立て、調整を行うには時間を要し、生産性を著しく損なうため、NF等のフッ素系ガスを用いたセルフクリーニングが導入されている。セルフクリーニングは、クリーニングガスであるフッ素系ガスを反応室内に供給してそのプラズマを形成し、これにより生成するFラジカルをSi膜に作用させてSiFのガスを生成し、これを排気するものである。
しかし、成膜−セルフクリーニングのサイクルを繰り返すと、反応室内の部品が腐食される。特に、ステンレス、窒化ケイ素、ジルコニアなどの材質からなる部品は腐食を受けやすい。
特許文献1には、プラズマCVD装置の反応室内に配設された部品であって、ステンレス、窒化ケイ素、ジルコニアまたは銅からなる部品の表面にアルミニウム被膜が設けられているプラズマCVD装置が開示されている。表面にアルミニウム被膜が施された部品は、フッ素系ガスを用いてセルフクリーニング処理をおこなっても殆ど腐食されない。
特許文献2には、反応室の内壁がアルミニウム層で覆われており、そのアルミニウム層表面の面粗さが10μm以上であることを特徴とするプラズマ処理装置が開示されている。反応室内壁が面粗さを具えているため、内壁に付着した生成物はアンカー効果のために脱落しにくい。そのため、製品の半導体薄膜の汚染が防がれる。特許文献2においては、生成物の脱落をより長時間防止するためには、面粗さは30〜50μmが望ましいとされている。
特許文献1及び特許文献2に記載されているアルミニウム被膜は、溶射法により形成される。溶射法以外のアルミニウムを用いる表面処理方法としては、溶融アルミニウムめっき処理及びカロライズ処理が知られている。溶融アルミニウムめっき処理においては、融けたAl浴の中に材料を浸漬することによって材料のFeとAlとの相互拡散によってFeAl合金を生成し、その上にAlが付着する。一方、カロライズ処理においては、FeAl合金粉及びNHCl粉からなる処理剤と材料とをケース内に埋め込み、加熱することにより、Alが材料中に拡散滲透し、耐熱性、耐酸化性、及び耐磨耗性を有するアルミニウム拡散滲透層が材料表面に形成される。
溶融アルミニウムめっき処理材及びカロライズ処理材のアルミニウム濃度の分布を図1(A)に示す。溶融アルミニウムめっき処理材においては、材料の表面にFeAl合金層が形成されており、その上に純アルミニウム層が形成されている。溶融アルミニウムめっき処理材におけるアルミニウム濃度の分布は不連続である。一方、カロライズ処理材においては、アルミニウム濃度が表面から奥に向かって滑らかに低下している。
溶融アルミニウムめっき処理材及びカロライズ処理材の硬さ分布を図1(B)に示す。溶融アルミニウムめっき処理材においては、材料の表面に材料より硬い層が形成されており、その上に材料より柔らかい層が形成されている。一方、カロライズ処理材においては、硬さが表面から奥に向かって滑らかに低下している。溶融アルミニウムめっき処理材の表面付近の硬さは、カロライズ処理材の表面付近の硬さよりも低い。
また、特許文献3には、セルフクリーニングにおけるクリーニングむらを防ぐためのプラズマ安定化方法及びプラズマ安定化方法に用いられるダミー基板が開示されている。
特開平6−151412 特開2000−124137 特開2003−229369
本発明の目的は、半導体プロセスにおいて使用される膜処理装置であって、耐腐食性が高く、メンテナンスコストが低く、稼働率が高い膜処理装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、半導体プロセスにおいて使用される膜処理装置の製造方法であって、耐腐食性が高く、メンテナンスコストが低く、稼働率が高い膜処理装置の製造方法を提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、半導体プロセスにおいて使用される膜処理装置のメンテナンス方法であって、部品の表面の付着物が容易に除去され、且つ、部品の母材が保護されるメンテナンス方法を提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、半導体プロセスにおいて使用される膜処理装置のセルフクリーニング方法であって、電極の損耗が抑制される膜処理装置のセルフクリーニング方法を提供することである。
以下に、(発明を実施するための最良の形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための最良の形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明による膜処理装置は、半導体薄膜の加工をするための反応室(1)と、高周波電源(2)と、前記高周波電源に接続され、前記反応室の内部に設置されている第1電極(5)と、前記反応室の内部に設置されている第2電極(7)と、前記反応室内にガスを供給するガス供給部(3)と、前記反応室からの排気をするための真空ポンプ(9)とを具備している。ここで、前記反応室の内部に設置されている部品(4、5、7)は、母材(5a)と、前記母材の表面に形成されている第1層(5x)と、前記第1層の外側に位置する第2層(5z)とを含む構造を有している。前記母材は鉄を含有する金属により形成されている。前記第1層においては、アルミニウムが前記母材中に拡散している。前記第2層はアルミニウムにより形成されている。
本発明による膜処理装置においては、前記第1層におけるアルミニウムの濃度は、前記母材の表面から前記母材の奥に向かって滑らかに減少している。
本発明による膜処理装置においては、前記部品の表面(5r)にはアンカー模様が形成されている。
本発明による膜処理装置の製造方法は、半導体薄膜の加工をするための反応室(1)と、高周波電源(2)と、前記高周波電源に接続され、前記反応室の内部に設置されている第1電極(5)と、前記反応室の内部に設置されている第2電極(7)と、前記反応室内にガスを供給するガス供給部(3)と、前記反応室からの排気をするための真空ポンプ(9)とを具備する膜処理装置の製造方法である。本発明による膜処理装置の製造方法は、鉄を含有する金属により形成されている母材(5a)にアルミニウムを拡散滲透することと、アルミニウムを前記拡散滲透させた前記母材にアルミニウムめっきをして部品(4、5、7)を製造することと、製造された前記部品を前記反応室内に設置することとを含んでいる。
本発明による膜処理装置の製造方法は、前記母材にアルミニウムを前記拡散滲透することの前に、前記母材にブラスト処理を行うことを含んでいる。
本発明による膜処理装置の製造方法は、前記母材にアルミニウムめっきをすることの後に、前記母材にフッ素ラジカル処理を行うことと、前記フッ素ラジカル処理を行った前記母材に加熱処理を行うこととを含んでいる。
本発明による膜処理装置の製造方法においては、前記母材にアルミニウムを前記拡散滲透することはカロライズ処理により行われる。
本発明による膜処理装置の製造方法においては、前記母材に前記アルミニウムめっきをすることは溶融アルミニウムめっき処理により行われる。
本発明による膜処理装置の製造方法においては、前記部品は前記第1電極のことである。前記第1電極は、空洞と、前記空洞内にガスを導入する導入口(11)と、前記導入された前記ガスが噴出される噴出口(8)とを有している。前記第1電極の前記溶融アルミニウムめっき処理においては、不活性ガスを前記導入口から前記空洞内に供給して前記噴出口から噴出する。
本発明による膜処理装置のメンテナンス方法は、半導体薄膜の加工をするための反応室(1)と、高周波電源(2)と、前記高周波電源に接続され、前記反応室の内部に設置されている第1電極(5)と、前記反応室の内部に設置されている第2電極(7)と、前記反応室内にガスを供給するガス供給部(3)と、前記反応室からの排気をするための真空ポンプ(9)とを具備する膜処理装置のメンテナンス方法である。本発明による膜処理装置のメンテナンス方法は、母材(5a)と、前記母材の表面に形成されている第1層(5x)と、前記第1層の外側に位置する第2層(5z)とから成る構造を有している部品(4、5、7)から前記第2層の全て又はその一部を除去することと、前記第2層が除去された前記部品に前記第2層を再形成することとを含んでいる。ここで、前記部品は前記反応室の内部に設置されている。前記母材は鉄を含有する金属により形成されている。前記第1層においては、アルミニウムが前記母材中に拡散している。前記第2層はアルミニウムにより形成されている。
本発明による膜処理装置のメンテナンス方法においては、前記第2層の全て又はその一部を除去することは、前記部品を洗浄液で洗浄することである。
本発明による膜処理装置のメンテナンス方法においては、前記第2層の全て又はその一部を除去することは、前記部品にブラスト処理を行うことである。
本発明による膜処理装置のメンテナンス方法においては、前記第2層を前記再形成することは、前記第2層が除去された前記部品に溶融アルミニウムめっき処理を行うことである。
本発明による膜処理装置のセルフクリーニング方法は、半導体薄膜の加工をするための反応室(1)と、高周波電源(2)と、前記高周波電源に接続され、前記反応室の内部に設置されている第1電極(5)と、前記反応室の内部に設置されている第2電極(7)と、前記反応室内にガスを供給するガス供給部(3)と、前記反応室からの排気をするための真空ポンプ(9)と、前記反応室の内部に設置されている温度センサ(10)とを具備する膜処理装置のセルフクリーニング方法である。本発明による膜処理装置のセルフクリーニング方法は、クリーニングガスを前記反応室内に前記ガス供給部による第1の供給により供給することと、前記反応室内に前記クリーニングガスが存在する条件下で前記反応室内にプラズマを発生させることと、前記温度センサが検出するセンサ検出温度から、予め取得されている前記センサ検出温度と前記第1電極の温度の実測値との対応関係データに基づいて、前記第1電極の温度の推定値である電極温度推定値をリアルタイムで推定することと、前記電極温度推定値が所定の第1温度を超えた場合には、プラズマを前記発生させることを停止することを含んでいる。
本発明による膜処理装置のセルフクリーニング方法は、プラズマを前記発生させることが前記停止されている場合において、前記電極温度推定値が所定の第2温度より低下したときには、前記反応室内にクリーニングガスが存在する条件下でプラズマを前記発生させることを含んでいる。ここで、前記第2温度は前記第1温度より低い。
本発明による膜処理装置のセルフクリーニング方法においては、プラズマを前記発生させることが前記停止されている場合において、前記第1の供給を停止し、冷却ガスを前記ガス供給部による第2の供給により前記反応室へ供給する。
本発明による膜処理装置のセルフクリーニング方法においては、前記温度センサは前記第1電極と接触させずに設置されている。
本発明による膜処理装置のセルフクリーニング方法においては、前記反応室の内部に前記第1電極と対向して遮蔽板(4)が設置されており、前記温度センサは前記遮蔽板に取り付けられている。
本発明による膜処理装置の保守方法は、半導体薄膜の加工をするための反応室(1)と、高周波電源(2)と、前記高周波電源に接続され、前記反応室の内部に設置されている第1電極(5)と、前記反応室の内部に設置されている第2電極(7)と、前記反応室内にガスを供給するガス供給部(3)と、前記反応室からの排気をするための真空ポンプ(9)とを具備する膜処理装置の保守方法である。本発明による膜処理装置の保守方法は、セルフクリーニングを行うことと、前記セルフクリーニングを所定の回数行うごとにメンテナンスを行うこととを含んでいる。ここで、前記反応室の内部に設置されている部品(4、5、7)の表面には、耐酸性が相対的に高い内側の第1層(5x)と、耐酸性が相対的に低い外側の第2層(5z)とが形成されている。前記セルフクリーニングは、クリーニングガスを前記反応室内に前記ガス供給部による第1の供給により供給することと、前記反応室内に前記クリーニングガスが存在する条件下で前記反応室内にプラズマを発生させることとを含んでいる。前記メンテナンスは、酸性洗浄液を用いて前記部品から前記第2層の全て又はその一部を除去することと、前記第2層が除去された前記部品に前記第2層を再形成することとを含んでいる。
本発明による膜処理装置の保守方法は、半導体薄膜の加工をするための反応室(1)と、高周波電源(2)と、前記高周波電源に接続され、前記反応室の内部に設置されている第1電極(5)と、前記反応室の内部に設置されている第2電極(7)と、前記反応室内にガスを供給するガス供給部(3)と、前記反応室からの排気をするための真空ポンプ(9)とを具備する膜処理装置の保守方法である。本発明による膜処理装置の保守方法は、セルフクリーニングを行うことと、前記セルフクリーニングを所定の回数行うごとにメンテナンスを行うこととを含んでいる。ここで、前記反応室の内部に設置されている部品(4、5、7)の表面には、耐磨耗性が相対的に高い内側の第1層(5x)と、耐磨耗性が相対的に低い外側の第2層(5z)とが形成されている。前記セルフクリーニングは、クリーニングガスを前記反応室内に前記ガス供給部による第1の供給により供給することと、前記反応室内に前記クリーニングガスが存在する条件下で前記反応室内にプラズマを発生させることとを含んでいる。前記メンテナンスは、ブラスト処理により前記部品から前記第2層の全て又はその一部を除去することと、前記第2層が除去された前記部品に前記第2層を再形成することとを含んでいる。
本発明により、半導体プロセスにおいて使用される膜処理装置であって、耐腐食性が高く、メンテナンスコストが低く、稼働率が高い膜処理装置が提供される。
また、本発明により、半導体プロセスにおいて使用される膜処理装置の製造方法であって、耐腐食性が高く、メンテナンスコストが低く、稼働率が高い膜処理装置の製造方法が提供される。
さらに、本発明により、半導体プロセスにおいて使用される膜処理装置のメンテナンス方法であって、部品の表面の付着物が容易に除去され、且つ、部品の母材が保護されるメンテナンス方法が提供される。
さらに、本発明により、半導体プロセスにおいて使用される膜処理装置のセルフクリーニング方法であって、電極の損耗が抑制される膜処理装置のセルフクリーニング方法が提供される。
添付図面を参照して、本発明による膜処理装置、並びに、膜処理装置の製造方法、セルフクリーニング方法、及びメンテナンス方法を実施するための最良の形態を以下に説明する。
本発明の実施形態に係る膜処理装置を図2に示す。膜処理装置は、反応室1と、電極5と、基板ホルダ7と、遮蔽板4と、ガス供給部3と、真空ポンプ9とを備えている。基板ホルダ7上には基板6が載置されている。電極5は、基板6の基板ホルダ7とは反対側に、基板6と対向して設置されている。基板ホルダ7は接地されて接地電極を形成している。電極5は高周波電源2に接続されている。電極5は、内部が中空となされており、ガスの導入口11と噴出口8とを有している。電極5は、ガス供給部3から導入口11を介して電極5の内部に導入されたガスを噴出口8から反応室1内に噴出する。噴出口8は、電極5の基板6と対向している側に複数形成されている。電極5としては、シャワーヘッド型平板電極とラダー型ガスパイプ電極とが例示される。真空ポンプ9は反応室1からの排気をおこなう。遮蔽板4は、電極5の基板6とは反対側に、電極5に対向して設置されている。遮蔽板4の電極5と対向している面には温度センサ10が取り付けられている。膜処理装置としては、プラズマCVD装置及びスパッタリング装置のような成膜装置、並びにプラズマエッチング装置のようなドライエッチング装置が例示される。
つぎに図3及び図4を参照して、電極5の断面構造について説明する。
電極5の拡大断面図を図3に示す。電極5においては、電極の表面5rから奥に向かって、純アルミニウム層5zと、FeAl合金層5yと、アルミニウム拡散滲透層5xとが順に形成されている。アルミニウム拡散滲透層5xは、アルミニウムが母材の表面5sから母材5a中に拡散滲透して形成されたものである。FeAl合金層5yと純アルミニウム層5zとは、表面にアルミニウム拡散滲透層5xが形成されている母材5aにアルミニウムめっきを施すことにより形成されたアルミニウムめっき層5bである。本実施形態においては、母材5aはSUS304である。
電極5の断面におけるAl濃度分布を図4(A)に示す。アルミニウム拡散滲透層5xは、厚さが400μmあり、母材の表面5sから母材5aの奥に向かってAl濃度が滑らかに減少している。アルミニウム拡散滲透層5xにおけるAl濃度は、FeAl合金層5yとの境界付近において約30wt%である。純アルミニウム層5zの厚さは100μmである。FeAl合金層5yは、Al濃度が50〜60wt%のFeAl合金により形成されており、厚さが50μmである。純アルミニウム層5zとFeAl合金層5yとを合わせた厚さは、50〜500μmの範囲の厚さであって、後述するブラスト処理又は洗浄液による洗浄処理により電極5に付着したSi膜が除去され、かつ、アルミニウム拡散滲透層5xが露出しない厚さであることが望ましい。
図4(A)と図1(A)との比較から明らかなように、電極5においては、母材にアルミニウムめっきのみが施されている場合と比較して、アルミニウム濃度の深さ方向の変化が緩やかである。特に、母材5aとアルミニウムめっき層5bとの境界面におけるアルミニウム濃度の変化が緩和されている。このため、母材5aとアルミニウムめっき層5bとの境界面における熱膨張係数の不連続な変化が緩和され、熱膨張によりアルミニウムめっき層5bが母材5aから剥離することが防がれる。
また、電極5においては、母材5aの表面にアルミニウム拡散滲透層5xが形成されているため、アルミニウムめっき層5bと母材5aとの濡れ性が高い。このため、アルミニウムめっき層5bにピンホールができにくく、ピンホールから母材5aが腐食されてアルミニウムめっき層5bが剥離することが防がれる。
また、アルミニウム拡散滲透層5xは、純アルミニウム層5zに比較して耐酸性が高い。そのため、電極5をフッ硝酸等の酸性洗浄液を用いて洗浄する場合においては、表面に堆積したSi膜が純アルミニウム層5zごと除去される。このとき、母材5aはアルミニウム拡散滲透層5xにより保護される。
電極5の断面における硬さ分布を図4(B)に示す。母材5aの硬さは200mHvである。純アルミニウム層5zは、硬さが100mHvであり、母材5aよりも柔らかい。FeAl合金層5yは、硬さが900mHvであり、母材5aよりも硬い。また、アルミニウム拡散滲透層5xの硬さは、FeAl合金層5yとの境界では400〜500mHvの間であり、そこから奥へ向かって滑らかに低下し、最深部では母材5aの硬さと等しい200mHvとなっている。
純アルミニウム層5zの硬さは、FeAl合金層5yの硬さ及びアルミニウム拡散滲透層5xの硬さより低い。すなわち、FeAl合金層5y及びアルミニウム拡散滲透層5xは、純アルミニウム層5zよりも耐磨耗性が高い。そして、FeAl合金層5yの硬さ及びアルミニウム拡散滲透層5xの硬さは、母材5aの硬さより高い。すなわち、FeAl合金層5y及びアルミニウム拡散滲透層5xは、母材5aよりも耐磨耗性が高い。このため、サンドブラスト処理等の機械的処理を用いて電極5の表面に堆積したSi膜を除去する場合には、Si膜は比較的柔らかい純アルミニウム層5zごと除去される。このとき、母材5aは比較的硬いFeAl合金層5y及びアルミニウム拡散滲透層5xにより保護される。なお、FeAl合金層5yが機械的処理によって全て削られた場合であっても、母材5aはアルミニウム拡散滲透層5xにより保護される。
また、図3に示すように、電極の表面5rには凹凸によるアンカー模様が形成されている。電極の表面5rのアンカー模様は、母材の表面5sにブラスト処理のような機械的処理により凹凸を付与し、その上にアルミニウムめっきを施すことで形成されている。アンカー模様により電極5に付着したSi膜が剥離しにくくなるため、剥離したSi膜により製品の半導体薄膜が汚染されることが防がれる。このため、本発明に係る電極5においては、洗浄又は機械的処理により、電極5に付着したSi膜を除去することを頻繁におこなわずに済む。なお、溶射法により純アルミニウム層5zを形成する場合においては、予め母材の表面5sに凹凸を付与しなくても電極の表面5rにアンカー模様を形成することが可能である。
電極5に限らず、反応室1内に設置されている部品と、反応室1の内壁とは、上述した表面構造を有していることが望ましい。反応室1内に設置されている部品には、少なくとも、遮蔽板4と、電極5と、基板ホルダ7とが含まれる。
図5はいくつかの材料について、膜処理装置のセルフクリーニングにおいて発生するFラジカルに対する耐腐食性を示している。図5の縦軸は同一条件における腐食量である。図5によれば各材料の腐食量は、無酸素銅で2.5μm、SUS304で1.5μm、インコネル600で0.5μm、純Ni、純Al、Al、及びカロライズ処理を施したSUS304で0.25μmである。したがって、SUS304にカロライズ処理を施すことにより耐腐食性がインコネル600よりも向上する。また、純Alの耐腐食性はインコネル600よりも高い。本発明に係る電極5は、純アルミニウム層5zによって被覆されているため、セルフクリーニングにおいて腐食されにくい。
図5に示すように、アルミニウム材はFラジカルに対する耐腐食性が優れている。しかし、アルミニウム材は高温強度が低いために200℃以下でないと構造部材として使用できない。アモルファスシリコンなどの太陽電池成膜では電極温度は200℃を超えるため、アルミニウム材は使用できない。また、ニッケル材もFラジカルに対する耐腐食性が優れているが、磁性があるためにプラズマCVD装置には適用できない。本発明に係る電極5は、非磁性のステンレス鋼部材の表面がアルミニウムで被覆された構造を有しているために、太陽電池製造用のプラズマCVD装置に好適である。また、SUS304等のステンレス鋼に換えてインコネル600等のニッケル合金を母材5aとして用いれば、耐久性が更に向上する。なお、インコネル600はFeを含有している。
図6は、図2に示す膜処理装置を製造する場合における電極5の製造方法を示すフローチャートである。図6に示すステップS1において、母材5aにサンドブラスト処理等のブラスト処理を施す。ブラスト処理により母材表面5sに凹凸形状(アンカー模様)が付与される。さらにステップS2において、母材5aにカロライズ処理を施す。カロライズ処理は、非処理物である母材5aを、FeAl合金粉及びNHCl粉よりなる処理剤とともに鋼製ケースに埋め込み、ケースを密閉し、それを炉内にて900〜1050℃で加熱することでおこなう。カロライズ処理により、処理剤に含まれるAlが母材5a中のFeと置換反応し、表面にFeAl合金層が生成し、時間とともにAlが母材5a中に拡散滲透してアルミニウム拡散滲透層5xが形成される。さらにステップS3において、カロライズ処理が施された母材5aに溶融アルミニウムめっき処理を施す。溶融アルミニウムめっき処理は、非処理物である母材5aを融けたAl浴中に浸漬することでおこなう。Al浴の温度は680〜710℃である。溶融アルミニウムめっき処理においては、窒素ガスに例示される不活性ガスを電極5の導入口11から供給し、噴出口8から噴出させることにより、噴出口8がアルミニウムめっきにより閉塞されることが防がれる。溶融アルミニウムめっき処理により、アルミニウム拡散滲透層5x中のFeとAlとの相互拡散がおこなわてFeAl合金層5yが形成され、その上に純アルミニウム層5zが形成される。図6に示す製造方法においては、溶融アルミニウムめっき処理はアルミニウム拡散滲透層5xの上に施されているため、母材5aに直接めっきを施す場合と比較して、アルミニウムめっき層5bとめっきの下地である母材5aとの濡れ性が高まり、アルミニウムめっき層5bにピンホールができにくい。
ステップS1において母材の表面5sにアンカー模様を付与しているために、アルミニウムめっき層5bの表面、すなわち電極の表面5rにアンカー模様が形成される(図3参照)。
図6に示す製造方法においては、ステップ2として溶射法によるアルミニウムめっき処理を施すことにより、電極5の表面をアルミニウム被膜で覆うとともに、表面に凹凸形状(アンカー模様)を付与することが可能である。また、ステップ2においては、溶射法により電極5にアルミニウム被膜を形成し、さらにその上に、溶射法によりAl被膜を形成してもよい。
図6に示す製造方法においては、ステップS3の溶融アルミニウムめっき処理の後に、電極5を反応室1内に設置して膜処理装置を製造することも可能である。しかし、このままでは後述するセルフクリーニングにおいて、純アルミニウム層5zの残留不純物がフッ素ラジカルと反応する。残留不純物とフッ素ラジカルとの反応生成物により、純アルミニウム層5zの表面に残留応力が発生し、純アルミニウム層5zは残留酸素などと反応しやすくなる。そこで、予め、ステップ4において電極5にフッ素ラジカル処理を施して残留不純物をフッ素ラジカルと反応させておき、ステップS5において熱処理を施して反応生成物により生じた残留応力を緩和することで、アルミニウムめっき層5bの耐食性を向上させることができる。
ステップS4においては、溶融アルミニウムめっき処理が施された母材5aにフッ素ラジカル処理を施す。フッ素ラジカル処理は、F又はNFに例示されるフッ素系ガスの雰囲気中でプラズマを発生させ、あるいは雰囲気の温度を150℃以上とすることで行う。フッ素系ガスがプラズマ分解し、あるいは熱分解することによりフッ素ラジカルが生成する。純アルミニウム層5zの残留不純物は、フッ素ラジカルと反応して反応生成物となる。したがって、後述するセルフクリーニングにおいてアルミニウムめっき層5bの耐食性が低下することが防がれる。
つぎのステップS5においては、フッ素ラジカル処理が施された母材5aに加熱処理を施す。加熱処理は、母材5aを真空中又は不活性ガス中において400℃で30分間加熱することで行う。加熱処理により残留応力が緩和されるため、アルミニウムめっき層5bの耐食性が向上する。
図6に示す製造方法は、電極5に限らず、反応室1内に設置されている部品及び反応室1の内壁に対しても適用可能である。図6に示す方法で製造した電極5等を反応室1に設置して膜処理装置を製造する。
図7は、図2に示す膜処理装置の保守手順を示すフローチャートである。ステップS11においては、膜処理を行う。ここで、膜処理とは、成膜装置においては成膜であり、ドライエッチング装置においては膜のエッチングである。ステップS12においては、膜処理を行った回数である膜処理回数と所定の回数Lとを比較する。膜処理回数が所定の回数Lより大きい場合にはステップS13に進み、そうでない場合にはステップS11に戻る。ステップS13においては、膜処理装置のセルフクリーニングを行った回数であるセルフクリーニング回数と所定の回数Mとを比較する。セルフクリーニング回数が所定の回数Mより大きい場合にはステップS15に進み、そうでない場合にはステップS14に進む。ステップS14においては、セルフクリーニングをおこなう。セルフクリーニングの詳細は後述する。ステップS14においてセルフクリーニングが終了したらステップS11に戻る。ステップS15においては、膜処理装置のメンテナンスを行った回数であるメンテナンス回数と所定の回数Nとを比較する。メンテナンス回数が所定の回数Nより大きい場合には図7に示す保守手順を終了し、そうでない場合にはステップS16に進む。ステップS16においては、メンテナンスを行う。メンテナンスの詳細は後述する。ステップS16においてメンテナンスが終了したらステップS11に戻る。
図7に示す膜処理装置の保守手順においては、所定の回数の膜処理をおこなうごとにセルフクリーニングをおこなう。セルフクリーニングにおいては、反応室1内にFラジカルを生成して電極5の表面に付着したSi膜をエッチングにより除去する。しかし、成膜−セルフクリーニングのサイクルを繰り返すと、セルフクリーニングによって電極5の表面が腐食される。そこで、所定回数のセルフクリーニングを行うごとに電極5を反応室1から取り外してメンテナンスをおこなう。メンテナンスにおいては、洗浄液による洗浄又はブラスト処理により、純アルミニウム層5zを電極5の表面に付着したSi膜とともに除去し、その後、純アルミニウム層5zを再形成する。メンテナンス終了後、電極5は反応室1内に再び設置される。図7に示す膜処理装置の保守手順は、電極5に限らず、反応室1内に設置されている部品及び反応室1の内壁に適用可能である。
つぎにセルフクリーニング方法について説明する。セルフクリーニングにおいては、クリーニングガスであるNF等のF系ガスをガス供給部3により反応室1内に供給し、電極5及び基板ホルダ7の間にクリーニングガスのプラズマを発生させる。これにより生成するFラジカルが電極5に例示される反応室1内の部品に付着しているSi膜と作用し、Si膜がエッチングされる。FラジカルとSiとの反応により生じるSiFガスは、真空ポンプ9により排気される。セルフクリーニングは、反応室1を真空状態から開放してクリーニング対象部品を予備部品と交換等する必要がないため、短時間でおこなうことができる。
このセルフクリーニングにおいては、部品に付着しているSi膜のみならず、部品自体もFラジカルによって腐食されて減肉する。この減肉量の温度依存性を図8に示す。図8においては、縦軸は年間減肉量を示し、横軸は1000/Tを示している。ここでTは電極5に例示される部品のセルフクリーニング中の絶対温度である。図8には、部品の材質がSUS304の場合とインコネル600の場合とについて年間減肉量の温度依存性が示されている。なお、温度以外のセルフクリーニングの条件は同一である。SUS304とインコネル600とは、両者とも部品の温度が高いほど年間減肉量が増加している。また、同一の温度条件で比較すると、インコネル600はSUS304に比較して年間減肉量が少ない。年間減肉量が0.03mmとなるのは、SUS304については部品の温度が200℃のときであり、インコネル600については部品の温度が300℃のときである。図8から、セルフクリーニング時の部品の温度上昇を抑制すれば、減肉が防がれることがわかる。
図9は、図2に示す膜処理装置のセルフクリーニング方法を示すフローチャートである。セルフクリーニングをおこなっている間は、真空ポンプ9により反応室1から排気をおこない、温度センサ10が検出する検出温度をモニタする。また、この検出温度から、予め取得しておいた温度センサ10の検出温度と電極5の温度の実測値との対応データを用いて、電極5の温度の推定値をリアルタイムで推定する。ステップS21においては、クリーニングガスをガス供給部3により供給し、電極5の噴出口8から噴出させる。ここで、クリーニングガスとしてNF等のF系ガスが用いられる。ステップS22においては、電極5及び基板ホルダ7の間にプラズマを発生させる。これにより生成するFラジカルが電極5に例示される反応室1内の部品に付着しているSi膜と作用し、Si膜がエッチングされる。FラジカルとSiとの反応により生じるSiFガスは、真空ポンプ9により排気される。ステップS23においては、電極5の温度の推定値と所定の温度T1とを比較する。ここで、所定の温度T1を、電極5の年間減肉量が一定値以下となるように図8に示すような年間減肉量の温度依存性のデータから予め定めておく。すなわち、所定の温度T1は電極5の材質に応じて予め定めておく。ステップS23において、電極5の温度の推定値が所定の温度T1より高い場合には、ステップS24に進んでプラズマの発生を停止し、そうでない場合にはプラズマの発生を継続する。プラズマの発生を停止すると、電極5の温度はそれ以上は上昇しなくなる。ステップS24においてプラズマの発生を停止した場合は、ステップS25において、クリーニングガスの供給を停止する。ステップS26においては、冷却ガスをガス供給部3により供給し、冷却ガスと電極5との熱交換により電極5を冷却する。冷却ガスとしては、窒素ガスや水素ガス等が例示される。このとき、反応室1内の圧力を100Pa以上に高めると、電極5の冷却が促進される。ステップS27においては、電極5の温度の推定値と所定の温度T2とを比較する。ここで温度T2は温度T1よりも低い温度となされている。電極5の温度の推定値が温度T2より低い場合にはステップS28に進み、そうでない場合には電極5の冷却を継続する。ステップS28においては、冷却ガスの供給を停止する。ステップS29においては、プラズマを発生してセルフクリーニングをおこなっていた累積の時間である累積クリーニング時間を所定の時間t1と比較する。所定の時間t1は、予め定めておいたSi膜が除去されるために要する時間である。累積クリーニング時間が所定の時間t1よりも長い場合には、セルフクリーニングを終了し、そうでない場合にはステップS21に戻ってセルフクリーニングを継続する。
図9に示すセルフクリーニング方法により、電極5の温度が一定温度以上に上昇することが防がれるため、電極5の減肉が抑制される。また、図2に示す膜処理装置においては、温度センサ10を電極5と接触させずに配設し、温度センサ10の検出温度から電極5の温度を推定して、推定した温度に基づいてセルフクリーニングがおこなわれる。電極5が温度センサ10と接触していないために、プラズマが安定し、この膜処理装置で製造される製品の半導体薄膜の品質が向上する。図2に示す膜処理装置においては、温度センサ10が電極5と対向して設置されている遮蔽板4に設置されているため、電極5の温度が精度良く推定される。なお、温度センサ10の検出温度と電極5の温度の実測値との対応関係が得られるのであれば、温度センサ10は反応室1内の任意の場所に設置してもよい。また、ステップS27においては、ステップS26において冷却ガスの供給を開始してから一定時間経過後にステップS28に進むこととしてもよい。ここで一定時間は、電極を冷却するために必要な時間である。
図9に示すセルフクリーニング方法においては、冷却ガスを供給して電極5を冷却しているため、真空条件下で冷却する方法に比較してセルフクリーニング時間が短縮されている。また、反応室1に供給するガスをクリーニングガスから冷却ガスに切替えて冷却をおこなっている。したがって、冷却ガスとしてクリーニングガスよりも環境への負荷が小さいガスを用いることで環境への負荷が低減され、冷却ガスとして安価なガスを用いることでセルフクリーニングのコストが抑制される。また、冷却ガスを供給している間の反応室1内の圧力を所定の値以下、一例としては1300Pa以下、とすることにより、ガスの切替えによる時間のロスを抑えることができる。
図9に示すセルフクリーニング方法は、電極5のように表面がアルミニウムで被覆されている電極に対しても、表面がアルミニウムで被覆されていないSUS304やインコネル600等により形成されている電極に対しても適用可能である。図9に示すセルフクリーニング方法により、電極に表面処理を施さなくてもセルフクリーニングによる減肉を抑制することができる。なお、電極に図6に示すような表面処理を施し、さらに、セルフクリーニングを図9の方法でおこなえば、セルフクリーニングによる減肉が更に抑制されることは明らかである。
図10に、電極5を反応室1から取り外して行うメンテナンス方法のフローチャートを示す。ステップS31においては、電極5に洗浄処理又はブラスト処理を行い、純アルミニウム層5zを電極5の表面に堆積したSi層ごと除去する。洗浄処理においてはフッ硝酸等の酸性洗浄液を使用する。洗浄又はブラスト処理により、Si層は純アルミニウム層5zの全て又はその一部とともに除去されるが、母材5aはアルミニウム拡散滲透層5xにより保護される。ステップS32においては、純アルミニウム層5zをめっき処理により再形成する。このとき、電極5の製造方法に応じて溶融アルミニウムめっき処理又は溶射法によるめっき処理をおこなう。
図11に、本発明に係る電極と従来技術に係る電極とについて経済性を比較して示す。図11においては、費用は相対値で示されている。従来技術に係る電極は、インコネル材により形成されており、表面処理は施されていない。これに対し、本発明に係る電極は母材であるSUS304にカロライズ処理と溶融アルミニウムめっき処理とが施されている。従来技術に係る電極の初期費用が4であるのに対し、本発明に係る電極の初期費用は3.1である。したがって、本発明に係る電極においては、従来技術に係る電極に比べて初期費用が削減されている。また、従来技術に係る電極のメンテナンスの費用は、洗浄液による洗浄1回当り0.2である。従来技術に係る電極においては、メンテナンス周期が2ヶ月であるため、メンテナンス費用の年間合計は1.2である。一方、本発明に係る電極のメンテナンス費用は、洗浄液による洗浄1回当り0.2であり、再めっき処理1回当り0.1である。本発明に係る電極においては、メンテナンス周期が6ヶ月であるため、メンテナンス費用の年間合計は0.6である。したがって、本発明に係る電極においては、従来技術に係る電極に比べて年間のメンテナンス費用が削減されている。ここで、従来技術に係る電極と本発明に係る電極とでメンテナンス周期が異なっている。これは、本発明に係る電極においては、表面にカロライズ処理と溶融アルミニウムめっき処理とが施されているため、セルフクリーニングによる腐食が防がれており、したがって、メンテナンスを頻繁に行う必要がないからである。電極はメンテナンスを繰り返すことにより徐々に変形するため、電極の耐用年数は年間のメンテナンス回数に依存すると考えられる。本発明に係る電極の耐用年数は、メンテナンス周期が従来技術に係る電極よりも長いために、従来技術に係る電極の耐用年数よりも長いと考えられる。以上より明らかなように、本発明により電極の費用が大きく削減される。
また、本発明に係る膜処理装置においては、部品からSi膜およびアルミニウムめっき層5bが剥離しにくいために反応室1内の部品を取り外さなければならない洗浄等を頻繁に行わなくて済む。したがって、本発明に係る膜処理装置の稼働率は高い。
上述の説明においては、アルミニウムを金属表面に拡散滲透する方法としてカロライズ処理を用いているが、アルミナイズ処理(アルミナイジング)を用いることが可能である。
図1(A)は、従来技術による溶融アルミニウムめっき処理材とカロライズ処理材におけるアルミニウム濃度分布を示す図である。図1(B)は、従来技術による溶融アルミニウムめっき処理材とカロライズ処理材における硬さ分布を示す図である。 図2は、本発明に係る膜処理装置を示す図である。 図3は、本発明に係る電極の拡大断面図である。 図4(A)は、本発明に係る電極におけるアルミニウム濃度分布を示す図である。図4(B)は、本発明に係る電極における硬さ分布を示す図である。 図5は、金属材料のFラジカルに対する耐腐食性を示す図である。 図6は、本発明に係る電極の製造方法を示すフローチャートである。 図7は、本発明に係る膜処理装置の保守手順を示すフローチャートである。 図8は、SUS304材とインコネル600材とについて、セルフクリーニングによる年間減肉量の温度依存性を示す図である。 図9は、本発明に係る膜処理装置のセルフクリーニング方法を示すフローチャートである。 図10は、本発明に係る膜処理装置のメンテナンス方法を示すフローチャートである。 図11は、本発明に係る電極と従来技術に係る電極とについて経済性を比較して示す図である。
符号の説明
1…反応室
2…高周波電源
3…ガス供給部
4…遮蔽板
5…電極
5a…母材
5b…アルミニウムめっき層
5r…電極の表面
5s…母材の表面
5x…アルミニウム拡散滲透層
5y…FeAl合金層
5z…純アルミニウム層
6…基板
7…基板ホルダ(接地電極)
8…噴出口
9…真空ポンプ
10…温度センサ
11…導入口

Claims (9)

  1. 半導体薄膜の加工をするための反応室と、高周波電源と、前記高周波電源に接続され、前記反応室の内部に設置されている第1電極と、前記反応室の内部に設置されている第2電極と、前記反応室内にガスを供給するガス供給部と、前記反応室からの排気をするための真空ポンプとを具備する膜処理装置の製造方法であって、
    前記第1電極、前記反応室の内部に設置される部品又は前記反応室の内壁の少なくとも一つは、
    鉄を含有する金属により形成されている母材にアルミニウムを拡散滲透させ、且つ、アルミニウムめっきをすることにより形成される膜処理装置の製造方法であって、
    前記母材にアルミニウムめっきをした後に、
    前記母材にフッ素ラジカル処理を行うことと、
    前記フッ素ラジカル処理を行った前記母材に加熱処理を行うことを含む膜処理装置の製造方法。
  2. 請求項に記載の膜処理装置の製造方法であって、
    前記母材にアルミニウムを前記拡散滲透させることはカロライズ処理により行われる膜処理装置の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の膜処理装置の製造方法であって、
    前記母材に前記アルミニウムめっきをすることは溶融アルミニウムめっき処理により行われる膜処理装置の製造方法。
  4. 請求項に記載の膜処理装置の製造方法であって、
    前記第1電極は、空洞と、前記空洞内にガスを導入する導入口と、前記導入された前記ガスが噴出される噴出口とを有しており、
    前記第1電極の前記溶融アルミニウムめっき処理においては、不活性ガスを前記導入口から前記空洞内に供給して前記噴出口から噴出する膜処理装置の製造方法。
  5. 半導体薄膜の加工をするための反応室と、高周波電源と、前記高周波電源に接続され、前記反応室の内部に設置されている第1電極と、前記反応室の内部に設置されている第2電極と、前記反応室内にガスを供給するガス供給部と、前記反応室からの排気をするための真空ポンプとを具備する膜処理装置のメンテナンス方法であって、
    前記第1電極、前記反応室の内部に設置されている部品又は前記反応室の内壁の少なくとも一つは、鉄を含有する金属により形成されている母材と、前記母材の表面に形成されアルミニウムが前記母材中に拡散して形成されている第1層と、前記第1層の外側に位置しアルミニウムにより形成されている第2層とを含む構造を有し、
    前記第1電極、前記部品又は前記内壁から前記第2層の全て又はその一部を洗浄液を使用した洗浄により除去することと、
    前記第2層が除去された前記第1電極、前記部品又は前記内壁に前記第2層を再形成することを含む膜処理装置のメンテナンス方法。
  6. 請求項に記載の膜処理装置のメンテナンス方法であって、
    前記第2層を再形成することは、アルミニウムめっきにより行われる膜処理装置のメンテナンス方法。
  7. 半導体薄膜の加工をするための反応室と、高周波電源と、前記高周波電源に接続され、前記反応室の内部に設置されている第1電極と、前記反応室の内部に設置されている第2電極と、前記反応室内にガスを供給するガス供給部と、前記反応室からの排気をするための真空ポンプとを具備する膜処理装置の保守方法であって、
    セルフクリーニングを行うことと、
    前記セルフクリーニングを所定の回数行うごとにメンテナンスを行うこととを含み、
    前記第1電極、前記反応室の内部に設置されている部品又は前記反応室の内壁の少なくとも一つの表面には、純アルミニウムより耐酸性が高い内側の第1層と、前記第1層より耐酸性が低い外側の第2層とが形成されており、
    前記セルフクリーニングは、クリーニングガスを前記反応室内に前記ガス供給部による第1の供給により供給することと、前記反応室内に前記クリーニングガスが存在する条件下で前記反応室内にプラズマを発生させることとを含み、
    前記メンテナンスは、酸性洗浄液を用いて前記表面から前記第2層の全て又はその一部を除去することと、前記第2層が除去された前記表面に前記第2層を再形成することとを含む膜処理装置の保守方法。
  8. 半導体薄膜の加工をするための反応室と、高周波電源と、前記高周波電源に接続され、前記反応室の内部に設置されている第1電極と、前記反応室の内部に設置されている第2電極と、前記反応室内にガスを供給するガス供給部と、前記反応室からの排気をするための真空ポンプとを具備する膜処理装置の保守方法であって、
    セルフクリーニングを行うことと、
    前記セルフクリーニングを所定の回数行うごとにメンテナンスを行うこととを含み、
    前記第1電極、前記反応室の内部に設置されている部品又は前記反応室の内壁の少なくとも一つの表面には、純アルミニウムより耐磨耗性が高い内側の第1層と、前記第1層より耐磨耗性が低い外側の第2層とが形成されており、
    前記セルフクリーニングは、クリーニングガスを前記反応室内に前記ガス供給部による第1の供給により供給することと、前記反応室内に前記クリーニングガスが存在する条件下で前記反応室内にプラズマを発生させることとを含み、
    前記メンテナンスは、ブラスト処理により前記表面から前記第2層の全て又はその一部を除去することと、前記第2層が除去された前記表面に前記第2層を再形成することとを含む膜処理装置の保守方法。
  9. 請求項又はに記載の膜処理装置の保守方法であって、
    前記反応室の内部に温度センサを具備し、
    前記温度センサが検出するセンサ検出温度から、予め取得されている前記センサ検出温度と前記第1電極の温度の実測値との対応関係データに基づいて、前記第1電極の温度の推定値である電極温度推定値をリアルタイムで推定することと、
    前記電極温度推定値が所定の第1温度を超えた場合には、プラズマを発生させることを停止することを含む膜処理装置の保守方法。
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