JP4611123B2 - 廃棄物処分場 - Google Patents

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Description

本発明は、造船ドッグを利用した廃棄物処分場に関するものである。
廃棄物最終処分場の建設には、地元住民の同意を得ることの難しさのため、新規な廃棄物最終処分場の建設は伸び悩み、年々増加傾向にある廃棄物量により既存の廃棄物最終処分場は逼迫状態にある。さらに、廃棄物最終処分場適地の減少、用地取得費用の増大、事業の停滞等の原因により、建設コスト及び廃棄物の処理費は高騰し続けている。
また、海外造船業の発展と国内造船業の施設老朽化などの影響を受け、国内には遊休または休止の造船ドックが数多く存在する。これらの造船ドックを廃止・撤去する場合、多大なコストが掛かり、現状のままでは適切な転用も見つからず、有効利用が模索されている。
そこで、本発明は、これらの社会的背景を考慮し、造船ドック特有の高い耐久性及び重厚な構造を活かした安全性の高い廃棄物処分場を提供することにある。
本発明は、底面と側壁と水門用ゲートとを有する造船ドッグと、水門用ゲートの外壁側に形成された消波構造体を備え、底面と側壁と水門用ゲートで形成される空間内に廃棄物を貯蔵する、造船ドッグを利用した廃棄物処分場にある。
また、本発明は、上記廃棄物処分場において、底面と水門用ゲートとの接合部、及び側壁と水門用ゲートとの接合部に止水材を配置してある、廃棄物処分場にある。
また、本発明は、上記廃棄物処分場において、底面と側壁はコンクリート構造物で、水門用ゲートは、鋼製ゲートであり、消波構造体は、鋼製ゲートの外壁側に捨石を配置して形成されている、廃棄物処分場にある。
また、本発明は、上記廃棄物処分場において、底面と側壁はコンクリート構造物で、水門用ゲートは、鋼製ゲートであり、鋼製ゲートの内壁側に補強壁を形成し、底面と側壁面と補強壁面で構成される空間内に遮水材を敷設してある、廃棄物処分場にある。
(1)本発明は、造船ドック特有の高い耐久性及び重厚な溝造を活用することにより、強固で安全性の高い構造の廃棄物処分場を得ることができる。
(2)また、本発明は、従来工法で一般的な貯留構造である土羽構造に比べ、外部からの圧力の影響を受けない堅固な貯留構造物となることから、遮水シートの破損に対し優れた安全な廃棄物処分場を得ることができる。
(廃棄物処分場)
廃棄物処分場は、廃棄物を収容する構造体であり、例えば、安定型廃棄物処分場、管理型廃棄物処分場、遮断型廃棄物処分場、これらの最終処分場や仮置き処分場などがある。本発明の廃棄物処分場は、造船ドッグを有効に利用するものである。造船ドッグは、底版1などで形成された底面と、コンクリートなどで形成される側壁2と、造船ドッグの開口部に設けられた水門用ゲート3とを備えている。底面と側壁2と水門用ゲート3で形成される空間に廃棄物を収納する。底面と側壁2の造船ドッグ本体は、高い耐久性をもつ重厚なコンクリート構造物で構成されており、長期間使用する貯留構造物として適している。
(水門用ゲート)
水門用ゲート3は、造船ドック開口部に配置され、造船ドック内部に空間を形成するものであり、例えば鋼製で形成された鋼製ゲートがある。鋼製ゲートは、通常、自重(充填水等を含む)及び外方向からの海水圧により安定した構造物として機能する構造となっている。
水門用ゲートの遮水性を高めるために、必要に応じて造船ドッグ本体と水門用ゲート3の接合部に止水材31を配置する。止水材は、遮水できるものであればよく、例えば、粘性土、モルタル、コンクリート、アスファルト、ゴムなど、又はこれらを組み合わせて用いることができる。また、止水材31は、水膨張性が好ましい。止水方法として、例えば、硬質ゴム等をクサビ形状に加工し、水門用ゲート3と底面、及び、水門用ゲート3と側壁2の間の隙間に配置するとよい。
(消波構造体)
水門ゲートの外壁側(海などの水に面する側)に消波構造体5を設ける。消波構造体5は、例えば、捨石51からなる浅岸を水門ゲート3の外壁側に築造する。この構成により、消波構造体5は、波浪による洗掘を防止でき、また、波の消波を行うことができる。水門ゲート3は、護岸の一部となる。更に、水門ゲート3は、造船ドック内に廃棄物が埋め立てられ、内側方向からの水平土圧が海水圧よりも大きくなった場合でも、消波構造体5と共に安定した構造となる。
(補強壁)
水門用ゲート3の内壁側(ドッグ内側)に補強壁4を形成し、水門用ゲート3を補強する。補強壁4は、例えば鉄筋コンクリートで構成される。補強壁4と水門用ゲート3により、内外からの水圧や土圧力などの圧力に対抗することができる。補強壁4と水門用ゲート3と共に消波構造体5を一体化すると、水門用ゲート3は、内部にコンクリートを注入することにより、造船ドック開口部における永久構造物となり、更に補強される。水門用ゲート3上に上部工43を構築する。
補強壁4の構築にあたっては、造船ドックの側壁2や底版1である既存鉄筋コンクリートと新設の補強壁4が一体構造となるように、既存鉄筋コンクリートにはケミカルアンカーなどのアンカー鉄筋42を所定のピッチにて設置する。これにより、造船ドック開口部における遮水機能を完全なものとすることができる。また、鋼製ゲート本体からも溶接接合にて鉄筋41を所定のピッチにて配置して、補強壁4を構築して、構造物としての安定性を確保することができる。
(遮水層)
造船ドッグ本体の底版と側壁面と水門用ゲートで構成された造船ドッグ空間内に遮水材を形成する。遮水材は、ゴムアスファルト61、遮水シート62、遮水層などを含んでいる。側壁面と補強壁面には、ゴムアスファルト61の吹き付けによる遮水を行う。底面は、遮水シート62で遮水する。遮水シート62上に保護土で覆い、遮水シート62を保護する。遮水シート62は、例えば、ポリエチレン、ポリウレタン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂シートを使用できる。このように、造船ドッグの構造と内部の遮水層とで2重の遮水構造が構成される。
(浸出水集排水管、ガス抜き管)
遮水材の上方に浸出水集排水管7を配置し、降雨により廃棄物処分場内に生じた浸出水をすみやかに集めて排水する。また、廃棄物から発生するガスを排出するガス抜き管8を側壁面及び補強壁面付近に設置する。
上記のような実施例では、矢板等を使用しないので、矢板等の打設・引き抜きによる振動や土砂の海中への投入等による汚濁物質の周辺海域への拡散がないため、工事中の周辺への環境負荷を少なくできる。また、仮設工事が少なく、建設コスト及び工期の縮減、施設の早期供用開始が図れ、結果として廃棄物処理費の低廉化を図ることができる。また、鋼製ゲート自体を有効利用することで、鋼製ゲートを廃棄処分あるいは撤去スクラップし再利用する場合と比較して環境への負荷並びにエネルギー消費を抑制することができる。
廃棄物処分場の説明図
符号の説明
1・・・底版
2・・・側壁
3・・・水門用ゲート
31・・止水材
4・・・補強壁
41・・鉄筋
42・・アンカー鉄筋
43・・上部工
5・・・消波構造体
51・・捨石
61・・ゴムアスファルト
62・・遮水シート
7・・・浸出水集排水管
8・・・ガス抜き管

Claims (4)

  1. 底面と側壁と水門用ゲートとを有する造船ドッグと、
    水門用ゲートの外壁側に形成された消波構造体を備え、
    底面と側壁と水門用ゲートで形成される空間内に廃棄物を貯蔵する、造船ドッグを利用した廃棄物処分場。
  2. 請求項1に記載の廃棄物処分場において、
    底面と水門用ゲートとの接合部、及び側壁と水門用ゲートとの接合部に止水材を配置してある、廃棄物処分場。
  3. 請求項1に記載の廃棄物処分場において、
    底面と側壁は、コンクリート構造物で、水門用ゲートは、鋼製ゲートであり、
    消波構造体は、鋼製ゲートの外壁側に捨石を配置して形成されている、廃棄物処分場。
  4. 請求項1に記載の廃棄物処分場において、
    底面と側壁は、コンクリート構造物で、水門用ゲートは、鋼製ゲートであり、
    鋼製ゲートの内壁側に補強壁を形成し、
    底面と側壁面と補強壁面で構成される空間内に遮水材を敷設してある、廃棄物処分場。

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