JP4611081B2 - 高調波抑制回路及び信号増幅回路 - Google Patents
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SSPS計画とは、図5に示すように、巨大な太陽電池パネルを搭載した人口衛星を赤道上空に打ち上げ、太陽光によって発電した電力を太陽電池パネルの中の発信モジュールによりマイクロ波に変換する。そして、マイクロ波100をマイクロ波送電部101から地上に設けた地上受電基地102へ送電し、地上において再び電力に変換して利用するという計画である。
これにより太陽発電の欠点である天候や時間帯に左右されること無く、クリーンなエネルギーを安定して供給することができる。この計画の実現のためには、大電力送電、マイクロ波ビーム制御、運用コストの低減などが技術課題として挙げられ、それらを満足させるための様々な技術の一つとして、上記マイクロ波送電部101にマイクロ波を高効率で送電するために、プッシュプル増幅器やF級動作増幅器を採用することが提案、検討されている。
Yukiko Kobayashi他、「A Circuit Element Reduction Method forClass-F Ultra-High-Efficiency Amplifiers with Reactance-Compensation Circuits」、2002 Asia-Pacific Microwave ConferenceProceedings WEOF18、2002年11月、日本
しかしながら、上述したF級動作増幅器においては、高調波成分用スタブを各高調波成分に対応してそれぞれ設ける必要があるため、増幅回路が大型化し、アンテナサイズが全体として大きくなってしまう上、システム質量が増加するという問題があった。
また、アレイアンテナなどのように、半導体増幅器の調整スタブの取り付けサイズが制限される場合には、高調波成分を十分抑制することができず、システム効率が低下するとともに、アンテナから不要波が放射される可能性があった。
本発明は、第1の信号が入力される第1のポートと、第1の信号と逆位相の第2の信号が入力される第2のポートと、前記第1の信号と前記第2の信号との合成信号が出力される第3のポートと、前記第1の信号と前記第2の信号との合成信号が出力される第4のポートと、(n+1/2)λの長さ(nは0を含む整数であり、λは基本波の波長である。以下同様)を有するとともに、前記第1のポートと第2のポートとを接続する第1の伝送線路と、(n+1/4)λの長さを有するとともに、前記第1のポートと前記第3のポートとを接続する第2の伝送線路と、(n+1/4)λの長さを有するとともに、前記第2のポートと前記第4のポートとを接続する第3の伝送線路と、(n+1/2)λの長さを有するとともに、前記第3のポートと前記第4のポートとを接続する第4の伝送線路と、一端が前記第1の伝送線路の中間点に接続され、他端が接地されている終端抵抗とを具備する高調波抑制回路を提供する。
上記第1のポート及び第2のポートから入力された第1の信号及び第2の信号は、それぞれ右回りと左回りとに分割され、リング状に接続された第1乃至第4の伝送線路上を伝送して、第3のポート及び第4のポートへ到達する。
この場合において、上記第1及び第4の伝送線路は、(n+1/2)λの長さを有し、第2及び第3の伝送線路は、(n+1/4)λの長さを有し、また、第1の信号と第2の信号とは逆位相であるので、第1の信号の基本波及び第2の信号の基本波は、第3のポート及び第4のポートに到達するときには、互いに同位相となり、互いに強めあうこととなる。これに対し、第1の信号の2次高調波、及び、第2の信号の2次高調波は、第3のポート及び第4のポートに到達するときには、互いに逆位相となり、互いに弱めあうこととなる。そして、偶数次の高調波については、2次高調波と同様のことが言えるため、偶数次の高調波については、第3のポート及び第4のポートにおいて、弱めあうこととなる。
以上のことから、偶数次の高調波が抑制された信号を第3のポート及び第4のポートから出力することが可能となる。
また、第1のポートと第2のポートとからなる2つの入力端子を備えるとともに、上記伝送線路長を有する第1乃至第4の伝送線路を備えるリング状のループ回路である高調波抑制回路をプッシュプル回路の後段に接続することにより、プッシュプル回路から出力される信号に含まれている偶数次の高調波成分を小型な回路により、効率よく抑制することが可能となる。
図1は、本発明の一実施形態に係る信号増幅回路の概略構成を示したブロック図である。本実施形態に係る信号増幅回路は、図示しないマイクロ波発生器から出力されたマイクロ波を増幅するとともに、高調波成分を抑制して出力するものであり、図1に示すように、ラットレースリング(電力分配器)1と、プッシュプル回路2と、高調波抑制回路3とを備えて構成されている。
プッシュプル回路2は、2つの増幅器31及び32を備えている。増幅器31の入力端子41は、上述のラットレースリング1の出力ポート14に接続されている。一方、増幅器32の入力端子42は、ラットレースリング1の出力ポート12に接続されている。増幅器31は、入力端子41から入力された信号を増幅し、出力端子43から出力する。増幅器32は、入力端子42から入力された、入力端子41からの入力信号と逆位相の信号を増幅し、出力端子44から出力する。
高調波抑制回路3は、図3に示されるように、リング状のループ回路であり、第1のポート51、第2のポート52、第3のポート53、第4のポート54を備えている。第1のポート51は、図1に示されるように、上述のプッシュプル回路2が備える増幅器31の出力端子43に接続されている。第2のポート52は、上述のプッシュプル回路2が備える増幅器32の出力端子44に接続されている。また、第3のポート53及び第4のポート54は、それぞれ第1のポート及び第2のポートから入力された信号を合成した合成信号を、互いに逆位相で出力する出力端子として用いられる。
一方、伝送線路64の中間点、つまり、第3のポート53及び第4のポート54からそれぞれ4分の1波長の距離、離れた位置には、ショートスタブ80が設けられている。このショートスタブ80は、偶数次の高調波を効率よく抑制するためのものである。
これらオープンスタブ群4の出力側には、例えば、アクティブ集積アンテナを構成する目的でアンテナアレイ5が設けられている。このアンテナアレイ5は、各オープンスタブ群4の出力端子91、92から出力される逆位相の信号を同位相に揃えるべく、E面逆相配列されている。
まず、図示しないマイクロ波発振器から出力されるマイクロ波は、図1に示すラットレースリング1のポート13に入力される。このマイクロ波は、右回りと左回りとに分割され、4分の3波長の長さの伝送路線を経由してポート14に到達するとともに、4分の1波長の長さの伝送路線を経由してポート12に到達する。これにより、ポート14に現れる信号と、ポート12に現れる信号とは、逆位相の信号となる。
同様に、ラットレースリング1のポート12から出力される信号は、プッシュプル回路2が備える増幅器32の入力端子42に入力され、増幅器32により増幅されて、出力端子44から後段の高調波抑制回路3へ出力される。
なお、上記第3のポート53及び第4のポート54からそれぞれ出力される合成信号の位相差は、依然として180°である。
この結果、偶数次及び奇数次の高調波成分が抑制された逆位相の信号が、各オープンスタブ群4の出力端子である91、92から出力され、これら信号が例えばアクティブ集積アンテナを構成する場合のアンテナアレイ5に入力される。アンテナアレイ5に入力された逆位相の信号は、E面逆相配列されたアンテナアレイ5によりその位相が同一位相に揃えられて、図5に示すように、このアンテナアレイ5から地上に設置された地上受電基地102に対して送電されることとなる。
また、ラットレースリング1から出力される信号を増幅する増幅回路として、プッシュプル回路を採用することにより、装置の更なる小型化及び高効率化を図ることが可能となる。
第1に、上述した伝送線路の線路長は、一例であり、2分の1波長の長さを有する伝送線路は、例えば、(n+1/2)λの長さ(nは0を含む整数であり、λは基本波の波長である。)であればよく、同様に、4分の1波長の長さを有する伝送線路は、例えば、(n+1/4)λの長さ(nは0を含む整数であり、λは基本波の波長である。)であれば良い。
2 プッシュプル回路
3 高調波抑制回路
4 オープンスタブ群
5 アレイアンテナ
51 第1のポート
52 第2のポート
53 第3のポート
54 第4のポート
61、62、63、64 伝送線路
31、32 増幅器
Claims (3)
- 第1の信号が入力される第1のポートと、
第1の信号と逆位相の第2の信号が入力される第2のポートと、
前記第1の信号と前記第2の信号との合成信号が出力される第3のポートと、
前記第1の信号と前記第2の信号との合成信号が出力される第4のポートと、
(n+1/2)λの長さ(nは0を含む整数であり、λは基本波の波長である。以下同様)を有するとともに、前記第1のポートと第2のポートとを接続する第1の伝送線路と、
(n+1/4)λの長さを有するとともに、前記第1のポートと前記第3のポートとを接続する第2の伝送線路と、
(n+1/4)λの長さを有するとともに、前記第2のポートと前記第4のポートとを接続する第3の伝送線路と、
(n+1/2)λの長さを有するとともに、前記第3のポートと前記第4のポートとを接続する第4の伝送線路と、
一端が前記第1の伝送線路の中間点に接続され、他端が接地されている終端抵抗と
を具備する高調波抑制回路。 - 前記第4の伝送線路の中間点に設けられたショートスタブを更に備える請求項1に記載の高調波抑制回路。
- 1つの入力端子及び2つの出力端子を備え、前記入力端子から入力された入力信号と同位相の第1の信号を一の前記出力端子から出力するとともに、前記第1の信号と逆位相の第2の信号を他の前記出力端子から出力する電力分配器と、
前記第1の信号が入力され、この信号を増幅した第3の信号を出力する第1の増幅手段及び、前記第2の信号が入力され、この信号を増幅した第4の信号を出力する第2の増幅手段を備えるプッシュプル回路と、
前記プッシュプル回路の出力側に設けられた高調波抑制回路と
を備え、
前記高調波抑制回路は、
前記第3の信号が入力される第1のポートと、
前記第4の信号が入力される第2のポートと、
前記第3の信号と前記第4の信号との合成信号が出力される第3のポートと、
前記第3の信号と前記第4の信号との合成信号が出力される第4のポートと、
(n+1/2)λの長さ(nは0を含む整数であり、λは基本波の波長である。以下同様)を有するとともに、前記第1のポートと第2のポートとを接続する第1の伝送線路と、
(n+1/4)λの長さを有するとともに、前記第1のポートと前記第3のポートとを接続する第2の伝送線路と、
(n+1/4)λの長さを有するとともに、前記第2のポートと前記第4のポートとを接続する第3の伝送線路と、
(n+1/2)λの長さを有するとともに、前記第3のポートと前記第4のポートとを接続する第4の伝送線路と、
一端が前記第1の伝送線路の中間点に接続され、他端が接地されている終端抵抗と
を具備する信号増幅回路。
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