JP2008172352A - 高周波増幅回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】合成後の出力高周波信号の劣化を抑えることができる高周波増幅回路を提供する。
【解決手段】信号分離器12は、入力変調信号Sin(t)の位相変調成分を表す第1位相変調信号Sp(t)と、入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調を伴う第2位相変調信号Sa(t)(実数部Sai(t)及び虚数部Saq(t))と、を生成する。VCO26は、第1位相変調信号Sp(t)を用いて高周波信号SL(t)に入力変調信号Sin(t)の位相変調成分を与えて出力する。直交変調器27−1,27−2は、VCO26からの高周波信号SLp(t)を用いて第2位相変調信号Sa(t)をアップコンバートして、入力変調信号Sin(t)の振幅に応じた位相差を有する高周波信号対S1(t),S2(t)を生成して増幅器対14へ出力する。
【選択図】図1
【解決手段】信号分離器12は、入力変調信号Sin(t)の位相変調成分を表す第1位相変調信号Sp(t)と、入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調を伴う第2位相変調信号Sa(t)(実数部Sai(t)及び虚数部Saq(t))と、を生成する。VCO26は、第1位相変調信号Sp(t)を用いて高周波信号SL(t)に入力変調信号Sin(t)の位相変調成分を与えて出力する。直交変調器27−1,27−2は、VCO26からの高周波信号SLp(t)を用いて第2位相変調信号Sa(t)をアップコンバートして、入力変調信号Sin(t)の振幅に応じた位相差を有する高周波信号対S1(t),S2(t)を生成して増幅器対14へ出力する。
【選択図】図1
Description
本発明は、高周波増幅回路、特に高効率増幅を図った高周波増幅回路に関する。
高効率な線形増幅器を実現する手段の1つとして、LINC(Linear Amplification with Nonlinear Components)による飽和増幅器を用いた高周波増幅回路が知られている。以下、関連技術の高周波増幅回路について、図10を用いて説明する。
信号分離器(SCS:Signal Components Separator)62は、入力端子10に入力された包絡線変動を伴う入力変調信号Sin(t)をその振幅に応じた位相差を有する位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)に分離して出力する。例えば、入力変調信号Sin(t)は、振幅変調及び位相変調(角度変調)を伴う変調信号であり、位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)は、定包絡線となる定振幅位相変調信号である。ここでの入力変調信号Sin(t)及び位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)は、いずれもベースバンド信号であってもよいし、IF信号であってもよい。信号分離器62では、位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)がディジタル信号として生成される。
信号分離器62で生成された位相変調信号対の一方Sc1(t)は、D/Aコンバータ72−1でディジタル信号からアナログ信号へ変換され、さらに、フィルタ74−1を通過することで、位相変調信号対の一方Sc1(t)の周波数帯域に対応する成分が抽出されるとともにそれ以外の周波数成分が抑圧される。同様に、位相変調信号対の他方Sc2(t)は、D/Aコンバータ72−2でディジタル信号からアナログ信号へ変換され、さらに、フィルタ74−2を通過することで、位相変調信号対の他方Sc2(t)の周波数帯域に対応する成分が抽出されるとともにそれ以外の周波数成分が抑圧される。
ミキサ78−1は、発振器76から出力された高周波信号(発振信号)SL(t)を用いて、フィルタ74−1を通過した位相変調信号対の一方Sc1(t)を周波数変換(アップコンバート)することで、RF信号である高周波信号対の一方S1(t)を生成して出力する。ミキサ78−1から出力された高周波信号対の一方S1(t)は、フィルタ30−1を通過することで、高周波信号対の一方S1(t)の周波数帯域に対応する成分が抽出されるとともにそれ以外の周波数成分が抑圧される。同様に、ミキサ78−2は、発振器76から出力された高周波信号SL(t)を用いて、フィルタ74−2を通過した位相変調信号対の他方Sc2(t)を周波数変換(アップコンバート)することで、RF信号である高周波信号対の他方S2(t)を生成して出力する。ミキサ78−2から出力された高周波信号対の他方S2(t)は、フィルタ30−2を通過することで、高周波信号対の他方S2(t)の周波数帯域に対応する成分が抽出されるとともにそれ以外の周波数成分が抑圧される。
ここで、入力変調信号Sin(t)を以下の(1)式で表すものとすると、位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)及び高周波信号対S1(t),S2(t)については、以下の(2)〜(6)式で表すことができる。
Sin(t)=a(t)・cos[θ(t)] (1)
Sc1(t)=amax・cos[θ(t)+ψ(t)] (2)
Sc2(t)=amax・cos[θ(t)−ψ(t)] (3)
S1(t)=amax・cos[2・π・fc・t+θ(t)+ψ(t)] (4)
S2(t)=amax・cos[2・π・fc・t+θ(t)−ψ(t)] (5)
ψ(t)=cos-1[a(t)/(2・amax)] (6)
Sc1(t)=amax・cos[θ(t)+ψ(t)] (2)
Sc2(t)=amax・cos[θ(t)−ψ(t)] (3)
S1(t)=amax・cos[2・π・fc・t+θ(t)+ψ(t)] (4)
S2(t)=amax・cos[2・π・fc・t+θ(t)−ψ(t)] (5)
ψ(t)=cos-1[a(t)/(2・amax)] (6)
ただし、(1)〜(6)式において、a(t)は入力変調信号Sin(t)の振幅変調分、θ(t)は入力変調信号Sin(t)の位相変調分(角度変調分)である。fcは発振器76から出力される高周波信号SL(t)の周波数、つまり高周波信号対S1(t),S2(t)のキャリア周波数である。amaxは、後述する増幅器対14の飽和出力レベルから設定される定数である。このように、信号分離器62、発振器76、及びミキサ78−1,78−2を含む構成により、入力変調信号Sin(t)の振幅に応じた位相差2×ψ(t)が生じるように位相変調が与えられた高周波信号対S1(t),S2(t)が生成される。
増幅器対14は、互いに並列に設けられた増幅器14−1,14−2によって構成されており、増幅器14−1と増幅器14−2とで利得、位相特性は略同一である。増幅器14−1は、ミキサ78−1から出力された(フィルタ30−1を通過した)高周波信号対の一方S1(t)を増幅し、増幅器14−2は、ミキサ78−2から出力された(フィルタ30−2を通過した)高周波信号対の他方S2(t)を増幅する。また、ここでの増幅器14−1,14−2は飽和増幅器として用いられる。
合成器16は、増幅器対14により増幅された高周波信号対G×S1(t),G×S2(t)(Gは増幅器14−1,14−2の利得)の各々を合成し、合成後の信号を出力高周波信号Sout(t)として出力端子20から出力する。高周波信号対S1(t),S2(t)の通過位相をφとすると、出力高周波信号Sout(t)については以下の(7)式で表すことができる。
Sout(t)=G・amax・cos[2・π・fc・t+θ(t)+ψ(t)+φ]
+G・amax・cos[2・π・fc・t+θ(t)−ψ(t)+φ]
=2・G・amax・cos[2・π・fc・t+θ(t)+φ]・cos[ψ(t)]
=G・a(t)・cos[2・π・fc・t+θ(t)+φ] (7)
+G・amax・cos[2・π・fc・t+θ(t)−ψ(t)+φ]
=2・G・amax・cos[2・π・fc・t+θ(t)+φ]・cos[ψ(t)]
=G・a(t)・cos[2・π・fc・t+θ(t)+φ] (7)
(7)式に示すように、図10に示す高周波増幅回路によれば、入力変調信号Sin(t)を利得Gで増幅した出力高周波信号Sout(t)を得るとともに、高効率な線形増幅を図っている。なお、このような高周波増幅回路(LINC)は、下記特許文献1〜3にも開示されている。
図10に示す高周波増幅回路において、信号分離器62で生成される位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)の帯域幅は、入力変調信号Sin(t)の振幅変調分a(t)に応じた位相変調分(角度変調分)ψ(t)が与えられることで、元の入力変調信号Sin(t)の帯域幅よりも大幅に広くなる。そして、位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)の帯域幅が増大するほど、位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)の劣化が生じやすくなる。位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)に劣化が生じると、位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)をアップコンバートしたRF信号である高周波信号対S1(t),S2(t)を増幅器対14で増幅する際に、増幅器対14のAM/AM歪みやAM/PM歪みの影響を受けることで、合成後の出力高周波信号Sout(t)が劣化して歪みが発生することになる。
本発明は、合成後の出力高周波信号の劣化を抑えることができる高周波増幅回路を提供することを目的とする。
本発明に係る高周波増幅回路は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係る高周波増幅回路は、振幅変調及び角度変調を伴う入力変調信号を基に、入力変調信号の振幅に応じた位相差が生じるように角度変調が与えられた高周波信号対を生成して出力する高周波信号対生成器と、高周波信号対生成器から出力された高周波信号対を増幅する増幅器対と、増幅器対で増幅された高周波信号対の各々を合成して出力する合成器と、を備える高周波増幅回路であって、高周波信号対生成器は、入力変調信号を基に、入力変調信号の角度変調成分を表す第1角度変調信号と、入力変調信号の振幅変調成分に応じた角度変調を伴う第2角度変調信号と、を生成する変調信号生成手段と、第1角度変調信号を用いて高周波信号に入力変調信号の角度変調成分を与える変調手段と、変調手段からの高周波信号を用いて第2角度変調信号を周波数変換して、入力変調信号の振幅に応じた位相差を有する高周波信号対を生成する変換手段と、を有し、変換手段から出力された高周波信号対が増幅器対で増幅されることを要旨とする。ここでの角度変調については、位相変調を用いることもできるし、周波数変調を用いることもできる。
本発明の一態様では、変換手段は、高周波信号対の一方の位相が変調手段からの高周波信号の位相と第2角度変調信号の位相との和に基づいて決まり、高周波信号対の他方の位相が変調手段からの高周波信号の位相と第2角度変調信号の位相との差に基づいて決まるように、高周波信号対を生成することが好適である。
また、本発明に係る高周波増幅回路は、振幅変調及び角度変調を伴う入力変調信号を基に、入力変調信号の振幅に応じた位相差が生じるように角度変調が与えられた高周波信号対を生成して出力する高周波信号対生成器と、高周波信号対生成器から出力された高周波信号対を増幅する増幅器対と、増幅器対で増幅された高周波信号対の各々を合成して出力する合成器と、を備える高周波増幅回路であって、高周波信号対生成器は、入力変調信号を基に、入力変調信号の角度変調成分を表す第1角度変調信号と、入力変調信号の振幅変調成分に応じた角度変調を伴う第2角度変調信号と、を生成する変調信号生成手段と、第2角度変調信号を用いて高周波信号に入力変調信号の振幅変調成分に応じた角度変調を与えて、入力変調信号の振幅に応じた位相差を有する角度変調高周波信号対を生成する変調手段と、変調手段からの角度変調高周波信号対を用いて第1角度変調信号を周波数変換して、入力変調信号の振幅に応じた位相差を有する高周波信号対を生成する変換手段と、を有し、変換手段から出力された高周波信号対が増幅器対で増幅されることを要旨とする。ここでの角度変調についても、位相変調を用いることもできるし、周波数変調を用いることもできる。
本発明の一態様では、変調手段は、角度変調高周波信号対の一方の位相が高周波信号の位相と第2角度変調信号の位相との和に基づいて決まり、角度変調高周波信号対の他方の位相が高周波信号の位相と第2角度変調信号の位相との差に基づいて決まるように、角度変調高周波信号対を生成することが好適である。
本発明によれば、入力変調信号の角度変調成分を表す第1角度変調信号と、入力変調信号の振幅変調成分に応じた角度変調を伴う第2角度変調信号と、を分離して生成することで、第1角度変調信号及び第2角度変調信号の帯域幅が狭まり、第1角度変調信号及び第2角度変調信号の劣化を抑えることができる。その結果、第1角度変調信号及び第2角度変調信号を用いて生成した高周波信号対を増幅器対で増幅する際に、増幅器対のAM/AM歪みやAM/PM歪みの影響を受けるのを抑えることができ、合成後の出力高周波信号の劣化を抑えることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。ただし、図10に示した関連技術と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
「実施形態1」
図1は、本発明の実施形態1に係る高周波増幅回路の概略構成を示す図である。本実施形態に係る高周波増幅回路も、図10に示した関連技術と同様にLINCであり、入力変調信号Sin(t)の振幅に応じた位相差が生じるように位相変調(角度変調)が与えられた高周波信号対S1(t),S2(t)を増幅器対14(増幅器14−1,14−2)で増幅し、増幅後の高周波信号対G×S1(t),G×S2(t)(Gは増幅器14−1,14−2の利得)の各々を合成器16で合成して出力することで、線形増幅された出力高周波信号Sout(t)を得るものである。
図1は、本発明の実施形態1に係る高周波増幅回路の概略構成を示す図である。本実施形態に係る高周波増幅回路も、図10に示した関連技術と同様にLINCであり、入力変調信号Sin(t)の振幅に応じた位相差が生じるように位相変調(角度変調)が与えられた高周波信号対S1(t),S2(t)を増幅器対14(増幅器14−1,14−2)で増幅し、増幅後の高周波信号対G×S1(t),G×S2(t)(Gは増幅器14−1,14−2の利得)の各々を合成器16で合成して出力することで、線形増幅された出力高周波信号Sout(t)を得るものである。
変調信号生成手段として設けられた信号分離器12は、入力端子10に入力された振幅変調及び位相変調(角度変調)を伴う入力変調信号Sin(t)を基に、入力変調信号Sin(t)の位相変調成分(角度変調成分)を表す第1位相変調信号Sp(t)と、入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調(角度変調)を伴う第2位相変調信号Sa(t)と、を生成して出力する。信号分離器12では、第1位相変調信号Sp(t)及び第2位相変調信号Sa(t)がディジタル信号として生成される。
本実施形態では、入力変調信号Sin(t)をベースバンド信号として前述の(1)式、高周波信号対S1(t),S2(t)を前述の(4)〜(6)式、出力高周波信号Sout(t)を前述の(7)式で表すものとすると、信号分離器12から出力される第1位相変調信号Sp(t)及び第2位相変調信号Sa(t)は、ベースバンド信号として以下の(8)、(9)式で表される。
Sp(t)=θ(t) (8)
Sa(t)=exp[i・ψ(t)] (9)
Sa(t)=exp[i・ψ(t)] (9)
信号分離器12で生成された第1位相変調信号Sp(t)は、D/Aコンバータ22−1でディジタル信号からアナログ信号へ変換され、さらに、フィルタ24−1を通過することで、第1位相変調信号Sp(t)の周波数帯域に対応する成分が抽出されるとともにそれ以外の周波数成分が抑圧される。そして、第2位相変調信号Sa(t)の実数部Sai(t)は、D/Aコンバータ22−2でディジタル信号からアナログ信号へ変換され、さらに、フィルタ24−2を通過することで、第2位相変調信号Sa(t)の実数部Sai(t)の周波数帯域に対応する成分が抽出されるとともにそれ以外の周波数成分が抑圧される。同様に、第2位相変調信号Sa(t)の虚数部Saq(t)は、D/Aコンバータ22−3でディジタル信号からアナログ信号へ変換され、さらに、フィルタ24−3を通過することで、第2位相変調信号Sa(t)の虚数部Saq(t)の周波数帯域に対応する成分が抽出されるとともにそれ以外の周波数成分が抑圧される。
変調手段として設けられたVCO26は、高周波信号(発振信号)SL(t)を出力する発振器を含んでおり、第1位相変調信号Sp(t)を用いて、高周波信号SL(t)に入力変調信号Sin(t)の位相変調成分(角度変調成分)を与えて出力する。高周波信号SL(t)を以下の(10)式で表すものとすると、VCO26から出力される高周波信号SLp(t)、つまり入力変調信号Sin(t)の位相変調成分が与えられた高周波信号SLp(t)は、以下の(11)式で表される。つまり、高周波信号SLp(t)の位相は、高周波信号SL(t)の位相と第1位相変調信号Sp(t)の位相との和に基づいて決まる(和に等しくなる)。
SL(t)=amax・cos[2・π・fc・t] (10)
SLp(t)=amax・cos[2・π・fc・t+θ(t)] (11)
SLp(t)=amax・cos[2・π・fc・t+θ(t)] (11)
直交変調器27−1は、一対のミキサと加算器とを含んでおり、VCO26から出力された高周波信号SLp(t)を用いて、フィルタ24−2,24−3を通過した第2位相変調信号Sa(t)(実数部Sai(t)及び虚数部Saq(t))を周波数変換(アップコンバート)して合成することで、RF信号である高周波信号対の一方S1(t)を生成して出力する。直交変調器27−1から出力された高周波信号対の一方S1(t)は、フィルタ30−1を通過することで、高周波信号対の一方S1(t)の周波数帯域に対応する成分が抽出されるとともにそれ以外の周波数成分が抑圧される。増幅器14−1は、直交変調器27−1から出力された(フィルタ30−1を通過した)高周波信号対の一方S1(t)を増幅する。
ここでの直交変調器27−1は、高周波信号対の一方S1(t)の位相がVCO26からの高周波信号SLp(t)の位相と第2位相変調信号Sa(t)の位相との和に基づいて決まる(和に等しくなる)ように、高周波信号対の一方S1(t)を生成する。その結果、増幅器14−1へ入力される(フィルタ30−1を通過した)高周波信号対の一方S1(t)は、前述の(4)式に一致する。ここでは、高周波信号対の一方S1(t)に対応する信号成分を抽出するために、イメージリジェクトミキサを用いることもできる。
同様に、直交変調器27−2は、一対のミキサと加算器とを含んでおり、VCO26から出力された高周波信号SLp(t)を用いて、フィルタ24−2,24−3を通過した第2位相変調信号Sa(t)(実数部Sai(t)及び虚数部Saq(t))を周波数変換(アップコンバート)して合成することで、RF信号である高周波信号対の他方S2(t)を生成して出力する。直交変調器27−2から出力された高周波信号対の他方S2(t)は、フィルタ30−2を通過することで、高周波信号対の他方S2(t)の周波数帯域に対応する成分が抽出されるとともにそれ以外の周波数成分が抑圧される。増幅器14−2は、直交変調器27−2から出力された(フィルタ30−2を通過した)高周波信号対の他方S2(t)を増幅する。
ここでの直交変調器27−2は、高周波信号対の他方S2(t)の位相がVCO26からの高周波信号SLp(t)の位相と第2位相変調信号Sa(t)の位相との差に基づいて決まる(差に等しくなる)ように、高周波信号対の他方S2(t)を生成する。その結果、増幅器14−2へ入力される(フィルタ30−2を通過した)高周波信号対の他方S2(t)は、前述の(5)式に一致する。ここでは、高周波信号対の他方S2(t)に対応する信号成分を抽出するために、イメージリジェクトミキサを用いることもできる。このように、VCO26からの高周波信号SLp(t)を用いて、第2位相変調信号Sa(t)をアップコンバートすることで、入力変調信号Sin(t)の振幅に応じた位相差を有するように位相変調(角度変調)が与えられた高周波信号対S1(t),S2(t)が生成される。そして、信号分離器12、発振器26、及び直交変調器27−1,27−2を含む構成により、高周波信号対S1(t),S2(t)を生成して増幅器対14へ出力する高周波信号対生成器が実現される。
前述のように、図10に示す高周波増幅回路においては、信号分離器62で生成される位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)の帯域幅は、入力変調信号Sin(t)の振幅変調分a(t)に応じた位相変調分ψ(t)が与えられることで、元の入力変調信号Sin(t)の帯域幅よりも大幅に広くなる。図2のベクトル図に示すように、θ(t)の変化範囲は±πであり、ψ(t)の変化範囲は±π/2であるため、θ(t)±ψ(t)は±1.5×πの範囲で変化し、位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)は過度の角度変調状態となる。FM変調モデルで考えると、位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)の変調指数βはθ(t)±ψ(t)の最大値に相当し、98%電力の周波数帯域幅は、カーソンの法則より2×(1+β)=11.4倍に広がる。一例として、W−CDMA4波である場合の入力変調信号Sin(t)のスペクトラム(ベースバンド帯域)を図3に示し、この入力変調信号Sin(t)を信号分離器62で分離した場合の位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)のスペクトラム(ベースバンド帯域)を図4に示す。このような広帯域の位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)を劣化無く信号分離器62で生成するためには、信号分離器62に要求されるサンプリングレートは入力変調信号Sin(t)の帯域幅の約15〜20倍となる。ディジタル回路の消費電力はクロック周波数に概略比例するので、回路全体の消費電力に大きな影響を及ぼすことになる。
また、図10に示す高周波増幅回路においては、信号分離器62で生成される位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)の帯域幅が増大するほど、位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)の劣化が生じやすくなる。例えば、広帯域の位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)をフィルタ74−1,74−2に通すことで位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)に対応する周波数成分を抽出する際には、位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)の帯域幅が増大するほど、位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)の劣化が生じやすくなる。劣化が生じた位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)のI−Qコンスタレーションは、例えば図5に示すようになり、位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)が定振幅信号にならなくなる。このような劣化した位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)をアップコンバートしてRF信号である高周波信号対S1(t),S2(t)を生成し、この高周波信号対S1(t),S2(t)を増幅器対14で増幅すると、増幅器対14のAM/AM歪みやAM/PM歪みの影響を受けることで、例えば図6に示すように、合成後の出力高周波信号Sout(t)が劣化して歪みが発生することになる。ただし、図6では、ベースバンド帯域に換算したスペクトラムを図示している。
これに対して本実施形態では、信号分離器12が、振幅変調及び位相変調を伴う入力変調信号Sin(t)を基に、入力変調信号Sin(t)の位相変調成分を表す第1位相変調信号Sp(t)と、入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調を伴う第2位相変調信号Sa(t)と、を分離して生成する。図2に示すように、第1位相変調信号Sp(t)の位相θ(t)の変化範囲は±πであり、第2位相変調信号Sa(t)の位相ψ(t)の変化範囲は±π/2である。そして、カーソンの法則より、第1位相変調信号Sp(t)の周波数帯域幅は2×(1+β)=8.3倍程度であり、第2位相変調信号Sa(t)の周波数帯域幅は2×(1+β)=5.1倍程度である。そのため、信号分離器12で生成される第1位相変調信号Sp(t)及び第2位相変調信号Sa(t)の帯域幅は、いずれも信号分離器62で生成される位相変調信号対Sc1(t),Sc2(t)の帯域幅より狭くなる。その結果、信号分離器12に要求されるサンプリングレートを低くすることができ、回路全体の消費電力を低減することができる。そして、例えば第1位相変調信号Sp(t)及び第2位相変調信号Sa(t)(実数部Sai(t)及び虚数部Saq(t))をフィルタ24−1〜24−3に通す際に、第1位相変調信号Sp(t)及び第2位相変調信号Sa(t)の劣化を抑えることができる。そして、第1位相変調信号Sp(t)を用いて高周波信号SL(t)に入力変調信号Sin(t)の位相変調成分を与え、入力変調信号Sin(t)の位相変調成分が与えられた高周波信号SLp(t)を用いて第2位相変調信号Sa(t)をアップコンバートして高周波信号対S1(t),S2(t)を生成することで、高周波信号対S1(t),S2(t)を生成する際に発生する劣化を抑えることができる。その結果、高周波信号対S1(t),S2(t)を増幅器対14で増幅する際に、増幅器対14のAM/AM歪みやAM/PM歪みの影響を受けるのを抑えることができ、合成後の出力高周波信号Sout(t)の劣化を抑えることができる。したがって、本実施形態によれば、高効率な線形増幅を実現することができる。
なお、本実施形態において入力変調信号Sin(t)がIF信号である場合は、信号分離器12は、図7に示すように、入力変調信号Sin(t)の位相変調成分を表す第1位相変調信号Sp(t)と、入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調を伴う第2位相変調信号対Sa1(t),Sa2(t)と、を生成して出力する。信号分離器12で生成された第2位相変調信号対Sa1(t),Sa2(t)は、D/Aコンバータ22−2,22−3でそれぞれディジタル信号からアナログ信号へ変換され、さらに、フィルタ24−2,24−3をそれぞれ通過することで、第2位相変調信号対Sa1(t),Sa2(t)の周波数帯域に対応する成分が抽出されるとともにそれ以外の周波数成分が抑圧される。
IF信号である入力変調信号Sin(t)を以下の(12)式で表すものとすると、信号分離器12から出力される第1位相変調信号Sp(t)及び第2位相変調信号対Sa1(t),Sa2(t)は、IF信号として以下の(13)〜(15)式で表される。そのため、第2位相変調信号対Sa1(t),Sa2(t)は、2×ψ(t)の位相差を有する。そして、VCO26から出力される(入力変調信号Sin(t)の位相変調成分が与えられた)高周波信号SLp(t)は、以下の(16)式で表される。ただし、(12)〜(16)式において、fIFはIF周波数である。
Sin(t)=a(t)・cos[2・π・fIF・t+θ(t)] (12)
Sp(t)=cos[2・π・fIF・t+θ(t)] (13)
Sa1(t)=cos[2・π・fIF・t+ψ(t)] (14)
Sa2(t)=cos[2・π・fIF・t−ψ(t)] (15)
SLp(t)=amax・cos[2・π・(fc+fIF)・t+θ(t)] (16)
Sp(t)=cos[2・π・fIF・t+θ(t)] (13)
Sa1(t)=cos[2・π・fIF・t+ψ(t)] (14)
Sa2(t)=cos[2・π・fIF・t−ψ(t)] (15)
SLp(t)=amax・cos[2・π・(fc+fIF)・t+θ(t)] (16)
ミキサ28−1は、VCO26から出力された高周波信号SLp(t)を用いて、フィルタ24−2を通過した第2位相変調信号対の一方Sa1(t)を周波数変換(アップコンバート)することで、RF信号である高周波信号対の一方S1(t)を生成して出力する。ここでのミキサ28−1は、高周波信号対の一方S1(t)の位相がVCO26からの高周波信号SLp(t)の位相と第2位相変調信号対の一方Sa1(t)の位相との和に基づいて決まる(和に等しくなる)ように、高周波信号対の一方S1(t)を生成する。同様に、ミキサ28−2は、VCO26から出力された高周波信号SLp(t)を用いて、フィルタ24−3を通過した第2位相変調信号の他方Sa2(t)を周波数変換(アップコンバート)することで、RF信号である高周波信号対の他方S2(t)を生成して出力する。ここでのミキサ28−2は、高周波信号対の他方S2(t)の位相がVCO26からの高周波信号SLp(t)の位相と第2位相変調信号対の他方Sa2(t)の位相との和に基づいて決まる(和に等しくなる)ように、高周波信号対の他方S2(t)を生成する。その結果、増幅器対14へ入力される高周波信号対S1(t),S2(t)は以下の(17)、(18)式で表され、出力高周波信号Sout(t)は以下の(19)式で表される。
S1(t)=amax・cos[2・π・(fc+2・fIF)・t+θ(t)+ψ(t)] (17)
S2(t)=amax・cos[2・π・(fc+2・fIF)・t+θ(t)−ψ(t)] (18)
Sout(t)=G・a(t)
・cos[2・π・(fc+2・fIF)・t+θ(t)+φ] (19)
S2(t)=amax・cos[2・π・(fc+2・fIF)・t+θ(t)−ψ(t)] (18)
Sout(t)=G・a(t)
・cos[2・π・(fc+2・fIF)・t+θ(t)+φ] (19)
信号分離器12で生成される信号がベースバンド信号である場合に限らず、IF信号である場合においても、第1位相変調信号Sp(t)及び第2位相変調信号対Sa1(t),Sa2(t)の帯域幅を狭めることができる。その結果、信号分離器12に要求されるサンプリングレートを低くすることができ、回路全体の消費電力を低減することができる。そして、高周波信号対S1(t),S2(t)を生成する際に発生する劣化を抑えることができる。
以上の実施形態1の説明では、VCO26を用いて高周波信号SL(t)に入力変調信号Sin(t)の位相変調成分を与えるものとした。ただし、本実施形態では、高周波信号SL(t)に入力変調信号Sin(t)の位相変調成分を与える変調手段としてミキサを用いることもできる。
以上の実施形態1の説明では、入力変調信号Sin(t)が振幅変調及び位相変調を伴う変調信号であるものとした。ただし、本実施形態では、入力変調信号Sin(t)が振幅変調及び周波数変調を伴う変調信号であってもよい。その場合は、信号分離器12は、入力変調信号Sin(t)の周波数変調成分を表す周波数変調信号Sf(t)と、入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調を伴う位相変調信号Sa(t)(あるいは位相変調信号対Sa1(t),Sa2(t))と、を生成して出力する。VCO26は、周波数変調信号Sf(t)を用いて、高周波信号SL(t)に入力変調信号Sin(t)の周波数変調成分を与えて出力する。直交変調器27−1,27−2(あるいはミキサ28−1,28−2)は、VCO26からの高周波信号SLf(t)を用いて、位相変調信号Sa(t)(あるいは位相変調信号対Sa1(t),Sa2(t))を周波数変換(アップコンバート)することで、高周波信号対S1(t),S2(t)を生成して出力する。入力変調信号Sin(t)を以下の(20)式、高周波信号SL(t)を前述の(10)式で表すものとすると、周波数変調信号Sf(t)、位相変調信号Sa(t)、VCO26からの高周波信号SLf(t)(入力変調信号Sin(t)の周波数変調成分が与えられた高周波信号SLf(t))、及び高周波信号対S1(t),S2(t)は、以下の(21)〜(25)式で表される。このように、本実施形態では、角度変調として、位相変調を用いることもできるし、周波数変調を用いることもできる。
Sin(t)=a(t)・cos[2・π・f(t)・t] (20)
Sf(t)=cos[2・π・f(t)・t] (21)
Sa(t)=ψ(t) (22)
SLf(t)=amax・cos[2・π・(fc+f(t))・t] (23)
S1(t)=amax・cos[2・π・(fc+f(t))・t+ψ(t)] (24)
S2(t)=amax・cos[2・π・(fc+f(t))・t−ψ(t)] (25)
Sf(t)=cos[2・π・f(t)・t] (21)
Sa(t)=ψ(t) (22)
SLf(t)=amax・cos[2・π・(fc+f(t))・t] (23)
S1(t)=amax・cos[2・π・(fc+f(t))・t+ψ(t)] (24)
S2(t)=amax・cos[2・π・(fc+f(t))・t−ψ(t)] (25)
「実施形態2」
図8は、本発明の実施形態2に係る高周波増幅回路の概略構成を示す図である。以下の実施形態2の説明では、実施形態1と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図8は、本発明の実施形態2に係る高周波増幅回路の概略構成を示す図である。以下の実施形態2の説明では、実施形態1と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
直交変調器37−1は、第2位相変調信号Sa(t)(実数部Sai(t)及び虚数部Saq(t))を用いて発振器35からの高周波信号SL(t)に入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調(角度変調)を与えて、位相変調高周波信号対の一方SLp1(t)を生成して出力する。直交変調器37−2は、第2位相変調信号Sa(t)(実数部Sai(t)及び虚数部Saq(t))を用いて発振器35からの高周波信号SL(t)に入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調(角度変調)を与えて、位相変調高周波信号対の他方SLp2(t)を生成して出力する。ここでは、位相変調高周波信号対SLp1(t),SLp2(t)が入力変調信号Sin(t)の振幅に応じた位相差を有するように生成される。入力変調信号Sin(t)をベースバンド信号として前述の(1)式で表すものとすると、信号分離器12から出力される第1位相変調信号Sp(t)及び第2位相変調信号Sa(t)は、以下の(26)式及び前述した(9)式で表される。
Sp(t)=cos[θ(t)] (26)
また、高周波信号SL(t)を前述の(10)式で表すものとすると、直交変調器37−1,37−2から出力される位相変調高周波信号対SLp1(t),SLp2(t)、つまり入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調が与えられた位相変調高周波信号対SLp1(t),SLp2(t)は、以下の(27)、(28)式で表される。つまり、位相変調高周波信号対の一方SLp1(t)の位相は高周波信号SL(t)の位相と第2位相変調信号Sa(t)の位相との和に基づいて決まり(和に等しくなり)、位相変調高周波信号対の他方SLp2(t)の位相は高周波信号SL(t)の位相と第2位相変調信号Sa(t)の位相との差に基づいて決まる(差に等しくなる)。
SLp1(t)=amax・cos[2・π・fc・t+ψ(t)] (27)
SLp2(t)=amax・cos[2・π・fc・t−ψ(t)] (28)
SLp2(t)=amax・cos[2・π・fc・t−ψ(t)] (28)
ミキサ38−1は、直交変調器37−1から出力された位相変調高周波信号対の一方SLp1(t)を用いて、フィルタ24−1を通過した第1位相変調信号Sp(t)を周波数変換(アップコンバート)することで、RF信号である高周波信号対の一方S1(t)を生成して出力する。増幅器14−1は、ミキサ38−1から出力された(フィルタ30−1を通過した)高周波信号対の一方S1(t)を増幅する。ここでのミキサ38−1は、高周波信号対の一方S1(t)の位相が直交変調器37−1からの位相変調高周波信号対の一方SLp1(t)の位相と第1位相変調信号Sp(t)の位相との和に基づいて決まる(和に等しくなる)ように、高周波信号対の一方S1(t)を生成する。その結果、増幅器14−1へ入力される(フィルタ30−1を通過した)高周波信号対の一方S1(t)は、前述の(4)式に一致する。そして、ここでのミキサ38−1としては、高周波信号対の一方S1(t)に対応する信号成分を抽出するために、イメージリジェクトミキサを用いることもできる。
同様に、ミキサ38−2は、直交変調器37−2から出力された位相変調高周波信号対の他方SLp2(t)を用いて、フィルタ24−1を通過した第1位相変調信号Sp(t)を周波数変換(アップコンバート)することで、RF信号である高周波信号対の他方S2(t)を生成して出力する。増幅器14−2は、ミキサ38−2から出力された(フィルタ30−2を通過した)高周波信号対の他方S2(t)を増幅する。ここでのミキサ38−2は、高周波信号対の他方S2(t)の位相が直交変調器37−2からの位相変調高周波信号対の他方SLp2(t)の位相と第1位相変調信号Sp(t)の位相との和に基づいて決まる(和に等しくなる)ように、高周波信号対の他方S2(t)を生成する。その結果、増幅器14−2へ入力される(フィルタ30−2を通過した)高周波信号対の他方S2(t)は、前述の(5)式に一致する。そして、ここでのミキサ38−2としては、高周波信号対の他方S2(t)に対応する信号成分を抽出するために、イメージリジェクトミキサを用いることもできる。
以上説明した本実施形態でも、信号分離器12に要求されるサンプリングレートを低くすることができ、回路全体の消費電力を低減することができる。そして、例えば第1位相変調信号Sp(t)及び第2位相変調信号Sa(t)(実数部Sai(t)及び虚数部Saq(t))をフィルタ24−1〜24−3に通す際に、第1位相変調信号Sp(t)及び第2位相変調信号Sa(t)の劣化を抑えることができる。そして、第2位相変調信号Sa(t)を用いて高周波信号SL(t)に入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調を与え、この位相変調が与えられた位相変調高周波信号対SLp1(t),SLp2(t)を用いて第1位相変調信号Sp(t)をアップコンバートして高周波信号対S1(t),S2(t)を生成することで、高周波信号対S1(t),S2(t)を生成する際に発生する劣化を抑えることができる。その結果、高周波信号対S1(t),S2(t)を増幅器対14で増幅する際に、増幅器対14のAM/AM歪みやAM/PM歪みの影響を受けるのを抑えることができ、合成後の出力高周波信号Sout(t)の劣化を抑えることができる。
なお、本実施形態において入力変調信号Sin(t)がIF信号である場合は、図9に示すように、VCO36−1は、第2位相変調信号対の一方Sa1(t)を用いて高周波信号SL(t)に入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調を与えて、位相変調高周波信号対の一方SLp1(t)を生成して出力する。同様に、VCO36−2は、第2位相変調信号対の他方Sa2(t)を用いて高周波信号SL(t)に入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調を与えて、位相変調高周波信号対の他方SLp2(t)を生成して出力する。入力変調信号Sin(t)をIF信号として前述の(12)式、高周波信号SL(t)を前述の(10)式で表すものとすると、VCO36−1,36−2から出力される位相変調高周波信号対SLp1(t),SLp2(t)は、以下の(29)、(30)式で表される。つまり、位相変調高周波信号対の一方SLp1(t)の位相は高周波信号SL(t)の位相と第2位相変調信号対の一方Sa1(t)の位相との和に基づいて決まり(和に等しくなり)、位相変調高周波信号対の他方SLp2(t)の位相は高周波信号SL(t)の位相と第2位相変調信号対の他方Sa2(t)の位相との和に基づいて決まる(和に等しくなる)。
SLp1(t)=amax・cos[2・π・(fc+fIF)・t+ψ(t)] (29)
SLp2(t)=amax・cos[2・π・(fc+fIF)・t−ψ(t)] (30)
SLp2(t)=amax・cos[2・π・(fc+fIF)・t−ψ(t)] (30)
ミキサ38−1は、VCO36−1から出力された位相変調高周波信号対の一方SLp1(t)を用いて、フィルタ24−1を通過した第1位相変調信号Sp(t)を周波数変換(アップコンバート)することで、RF信号である高周波信号対の一方S1(t)を生成して出力する。ここでのミキサ38−1は、高周波信号対の一方S1(t)の位相がVCO36−1からの位相変調高周波信号対の一方SLp1(t)の位相と第1位相変調信号Sp(t)の位相との和に基づいて決まる(和に等しくなる)ように、高周波信号対の一方S1(t)を生成する。その結果、増幅器14−1へ入力される高周波信号対の一方S1(t)は、前述の(17)式に一致する。同様に、ミキサ38−2は、VCO36−2から出力された位相変調高周波信号対の他方SLp2(t)を用いて、フィルタ24−1を通過した第1位相変調信号Sp(t)を周波数変換(アップコンバート)することで、RF信号である高周波信号対の他方S2(t)を生成して出力する。ここでのミキサ38−2は、高周波信号対の他方S2(t)の位相がVCO36−2からの位相変調高周波信号対の他方SLp2(t)の位相と第1位相変調信号Sp(t)の位相との和に基づいて決まる(和に等しくなる)ように、高周波信号対の他方S2(t)を生成する。その結果、増幅器14−2へ入力される高周波信号対の他方S2(t)は、前述の(18)式に一致する。このように、本実施形態においても、実施形態1と同様に、信号分離器12で生成される信号がベースバンド信号であってもよいし、IF信号であってもよい。なお、上記の説明では、VCO36−1,36−2を用いて高周波信号SL(t)に入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調を与えるものとしたが、高周波信号SL(t)に入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調を与えて位相変調高周波信号対SLp1(t),SLp2(t)を生成する変調手段としてミキサを用いることもできる。
以上の実施形態2の説明では、入力変調信号Sin(t)が振幅変調及び位相変調を伴う変調信号であるものとした。ただし、本実施形態でも、入力変調信号Sin(t)が振幅変調及び周波数変調を伴う変調信号であってもよい。その場合は、信号分離器12は、入力変調信号Sin(t)の周波数変調成分を表す周波数変調信号Sf(t)と、入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調を伴う位相変調信号Sa(t)と、を生成して出力する。直交変調器37−1,37−2は、位相変調信号Sa(t)を用いて高周波信号SL(t)に入力変調信号Sin(t)の振幅変調成分に応じた位相変調を与えて、入力変調信号Sin(t)の振幅に応じた位相差を有する位相変調高周波信号対SLp1(t),SLp2(t)を生成して出力する。ミキサ38−1,38−2は、直交変調器37−1,37−2からの位相変調高周波信号対SLp1(t),SLp2(t)を用いて、周波数変調信号Sf(t)を周波数変換(アップコンバート)することで、高周波信号対S1(t),S2(t)を生成して出力する。入力変調信号Sin(t)を前述の(20)式、高周波信号SL(t)を前述の(10)式で表すものとすると、周波数変調信号Sf(t)は前述の(21)式、位相変調信号Sa(t)は前述の(22)式、位相変調高周波信号対SLp1(t),SLp2(t)は前述の(27)、(28)式、高周波信号対S1(t),S2(t)は前述の(24)、(25)式で表される。このように、本実施形態でも、角度変調として、位相変調を用いることもできるし、周波数変調を用いることもできる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
10 入力端子、12 信号分離器、14 増幅器対、16 合成器、20 出力端子、22−1,22−2,22−3 D/Aコンバータ、24−1,24−2,24−3,30−1,30−2 フィルタ、26,36−1,36−2 VCO、27−1,27−2,37−1,37−2 直交変調器、28−1,28−2,38−1,38−2 ミキサ。
Claims (4)
- 振幅変調及び角度変調を伴う入力変調信号を基に、入力変調信号の振幅に応じた位相差が生じるように角度変調が与えられた高周波信号対を生成して出力する高周波信号対生成器と、高周波信号対生成器から出力された高周波信号対を増幅する増幅器対と、増幅器対で増幅された高周波信号対の各々を合成して出力する合成器と、を備える高周波増幅回路であって、
高周波信号対生成器は、
入力変調信号を基に、入力変調信号の角度変調成分を表す第1角度変調信号と、入力変調信号の振幅変調成分に応じた角度変調を伴う第2角度変調信号と、を生成する変調信号生成手段と、
第1角度変調信号を用いて高周波信号に入力変調信号の角度変調成分を与える変調手段と、
変調手段からの高周波信号を用いて第2角度変調信号を周波数変換して、入力変調信号の振幅に応じた位相差を有する高周波信号対を生成する変換手段と、
を有し、
変換手段から出力された高周波信号対が増幅器対で増幅される、高周波増幅回路。 - 請求項1に記載の高周波増幅回路であって、
変換手段は、高周波信号対の一方の位相が変調手段からの高周波信号の位相と第2角度変調信号の位相との和に基づいて決まり、高周波信号対の他方の位相が変調手段からの高周波信号の位相と第2角度変調信号の位相との差に基づいて決まるように、高周波信号対を生成する、高周波増幅回路。 - 振幅変調及び角度変調を伴う入力変調信号を基に、入力変調信号の振幅に応じた位相差が生じるように角度変調が与えられた高周波信号対を生成して出力する高周波信号対生成器と、高周波信号対生成器から出力された高周波信号対を増幅する増幅器対と、増幅器対で増幅された高周波信号対の各々を合成して出力する合成器と、を備える高周波増幅回路であって、
高周波信号対生成器は、
入力変調信号を基に、入力変調信号の角度変調成分を表す第1角度変調信号と、入力変調信号の振幅変調成分に応じた角度変調を伴う第2角度変調信号と、を生成する変調信号生成手段と、
第2角度変調信号を用いて高周波信号に入力変調信号の振幅変調成分に応じた角度変調を与えて、入力変調信号の振幅に応じた位相差を有する角度変調高周波信号対を生成する変調手段と、
変調手段からの角度変調高周波信号対を用いて第1角度変調信号を周波数変換して、入力変調信号の振幅に応じた位相差を有する高周波信号対を生成する変換手段と、
を有し、
変換手段から出力された高周波信号対が増幅器対で増幅される、高周波増幅回路。 - 請求項3に記載の高周波増幅回路であって、
変調手段は、角度変調高周波信号対の一方の位相が高周波信号の位相と第2角度変調信号の位相との和に基づいて決まり、角度変調高周波信号対の他方の位相が高周波信号の位相と第2角度変調信号の位相との差に基づいて決まるように、角度変調高周波信号対を生成する、高周波増幅回路。
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JP2012142770A (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-26 | Fujitsu Ltd | 増幅装置及び増幅方法 |
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- 2007-01-09 JP JP2007001697A patent/JP2008172352A/ja active Pending
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