JP4610724B2 - インストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のインストルメントパネルと該インストルメントパネルに装着される各種の収納部品の取り付け構造に関し、インストルメントパネルと前記各種の収納部品のフラッシュサーフェス化を改善したインストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のインストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造は、例えば、図9に示すような構造になっている。図9に示すように、各種の収納部品53を収納する為の開口部67を有し、合成樹脂からなる芯材65、クッション層63及び表皮61の順に積層形成してなるインストルメントパネル51であって、各種の収納部品53が組み込まれたインストルメントパネル51において、外観品質が最も向上するのは、インストルメントパネル51の表面69と各種の収納部品53との表面71の段差が無く、面一になっていることである。この段差を無くそうとして限界設計を行なうと逆に収納部品53がインストルメントパネル51の表面69から飛び出してしまい不良品となる為、安全設計を行ない、収納部品53の表面をインストルメントパネル51の表面から2〜3mm内側に設けていた為、2〜3mmの段差t′が発生していた。
【0003】
また、従来の組み付け構造においては、収納部品53のフレーム57に装着した係止治具59を用いてインストルメントパネル51の芯材65に収納部品53を固定しているが、上記固定部からインストルメントパネル51の表面69迄の距離は、芯材65、クッション層63、及び表皮61の3つの部材が介在する為、それぞれの部材の厚みバラツキがあり、上記安全設計と併せてやはりインストルメントパネル51の表面69から2〜3mm内側に収納部品が入るように設計する必要があった。
この為、インストルメントパネル51と各種の収納部品53との間に面一感が無く、自動車内装品としての外観品質が低下していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
さらに、図9に示すように係止治具59にてインストルメントパネル51に各種の収納部品53を組み込んでいるが、該収納部品53のフレーム57の剛性が大きく、一度インストルメントパネル51に組み付けてしまうと修理時にインストルメントパネル51から取り出すことが困難となり、メンテナンス性に問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑み、自動車のインストルメントパネルと該インストルメントパネルに装着される各種の収納部品の取り付け構造に関し、インストルメントパネルと前記各種の収納部品のフラッシュサーフェス化を改善し、さらに各種の収納部品のメンテナンス性も改善したインストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
請求項1に記載のインストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造の製造方法は、各種の収納部品を収納する為の開口部を有し、合成樹脂からなる芯材、クッション層及び表皮の順に積層形成してなるインストルメントパネルに収納部品を組み付けるインストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造の製造方法において、開口部は、インストルメントパネルの表面から延在する表皮からなる側面壁と、この側面壁を形成する表皮に設けられた凹部と、を有し、収納部品は、側面壁内に収容され、その先端に形成される表面部と、この表面部の奥側に一体に形成された凸部と、を有し、凹部に凸部を嵌合した状態で、側面壁及び凹部の背後に発泡樹脂を注型し、クッション層を形成する工程と、発泡樹脂が固化することによって収納部品をインストルメントパネルに固定する工程と、前記側面壁の位置を決めるスライド型を引き抜き自在に配置する工程とを備えるものである。
凹部に凸部を嵌合した状態で、側面壁及び凹部の背後に発泡樹脂を注型することで、発泡樹脂層の発泡力によって、収納部品を一体に固定することができるため、収納部品のインストルメントパネルへの固定に係合部材が不要になるとともに、位置ズレすることなく確実に固定することができる。これによって、部品数を減らすことができ、製造コストの低減が可能となる。
さらに、側面壁の位置を決めるスライド型を設けることで、収納部品を位置ズレのない状態で容易にインストルメントパネルへ固定することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
本発明に係るインストルメントパネル1は、図2に示すように自動車のフロントガラス側に装備され、サイドベント吹出口3やセンタベント吹出口5を有する各種の収納部品15を収納している。
【0025】
図1は、図2のインストルメントパネル1のD−D線拡大断面図である。図1において、このインストルメントパネル1は、表皮7の裏面に発泡樹脂層9を重合すると共に、この発泡樹脂層9の裏面に、開口部10を有する芯材11とこの開口部10に各種の収納部品15を設置して組み付けるようにしている。
【0026】
図1に示すように、インストルメントパネル1の開口部10は、インストルメントパネル1の表面8から延在する表皮7からなる側面壁と、この側面壁を形成する表皮7に設けられた凹部23と、側面壁及び凹部23の背後に配設され、発泡樹脂からなる発泡樹脂層9とを有している。そして、各種の収納部品15のフレーム25は、側面壁内に収容され、その先端に形成される表面部と、この表面部の奥側に一体に形成された凸部21とを有している。収納部品15の組み付け時には、インストルメントパネル1の表皮7の凹部23と収納部品15の凸部21とが嵌合することで収納部品15とインストルメントパネル1とが固定される。
【0027】
また、凸部21のいずれか一方若しくは両方の根元に切り欠け19が形成されている。この切り欠け19によって収納部品15をインストルメントパネル1に脱着する際に、凸部21の剛性が減少し脱着が容易になる。さらに、インストルメントパネル1の凹部23と収納部品15の凸部21を嵌合させることによって収納部品15をインストルメントパネル1の表皮7に組み付けることで、寸法精度のバラツキが改善され、インストルメントパネル1の表面8と収納部品15の表面12が略同一に形成されたフラッシュサーフェス化できる。
【0028】
ここで、インストルメントパネル1における収納部品15を組み付けたときの目視可能な表皮の角部のRを1.0mmより小さくすることによりインストルメントパネル1と収納部品15とのフラッシュサーフェス化が促進できる。
【0029】
また、収納部品15を組み付けたときのインストルメントパネル1の表面12と収納部品15の表面12との段差tを1.0mmより小さくする。これによって、さらに一層フラッシュサーフェス化を促進することができる。
【0030】
なお、インストルメントパネル1の芯材11の材質としては、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、変性ポリフェニレンオキサイド、スチレン無水マレイン酸共重合体等の樹脂を用いることができる。好ましくは、オレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、TPOという。)を用いる。中でも、ポリプロピレン樹脂とエチレンプロピレンゴムが1対1の組成となるように配合したTPOが更に好ましい。これによって、TPOのガラス転移点を−50℃〜−60℃程度とすることができる。
【0031】
発泡樹脂層9の材質としては、塩化ビニール、TPO、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等に発泡剤を添加することで発泡する発泡剤を用いることが好ましい。
【0032】
表皮7の材質としては、塩化ビニール樹脂、塩化ビニールとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体の合成樹脂、TPOを用いることができる。そして、表皮7は、真空成形又はスラッシュ成形により所定のシート状に成形する。
【0033】
また、芯材11、クッション層9及び表皮7の全ての材質をTPOとすることが好ましい。インストルメントパネル1を構成する各部材の材質を、統一することで、リサイクル性を更に向上させることが可能となる。
【0034】
収納部品15の材質としては、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、変性ポリフェニレンオキサイド、スチレン無水マレイン酸共重合体等の樹脂を用いることができる。好ましくは、オレフイン系熱可塑性エラストマーを用いる。
【0035】
次に、本発明の第1参考例について図3及び図4を参照しつつ説明する。なお、図1及び図2と同一の部品については、同一の符号を記し、その詳細な説明は省略する。
【0036】
図3は、図2のインストルメントパネル1のA−A線拡大断面図である。図3に示すように、本参考例における収納部品15は、インストルメントパネル1の内側に向かって延在するフレーム25が形成されている。このフレーム25には、インストルメントパネル1の開口部10に形成されている凸状部8に係合する係合部となる爪状の突出部16が一体に形成されている。
【0037】
図3に示すように、インストルメントパネル1の開口部10には、収納部品15のフレーム25に形成されている突出部16と係合する凸状部8が形成されている。この凸状部8は、凸状の形状保持部材6が、表皮7内で、発泡樹脂層9内に埋設されて固定されている。
【0038】
図4は、図2のインストルメントパネル1のB−B線拡大断面図である。収納部品15は、インストルメントパネル1の表皮7の開口部10に設けられている爪部品13に係合してインストルメントパネル1に組み付けられている。
【0039】
爪部品13は、開口部10の表皮7に形成された凹部14に嵌合され、接着されている。そして、爪部品13は収納部品15のフレーム25に当接する面側に爪18が形成され、収納部品15のフレーム25に形成されている係合穴17と係合する。
【0040】
次に、これら凸状部8及び爪部品13を備えた開口部10を有する本実施形態例に係るインストルメントパネル1の製造方法について説明する。
【0041】
凸状部8(図3参照)は、次のような手順によって製造されている。予め凸状部8が形成される位置に凹状部が形成された表皮7を形成する。この表皮7の凹状部に向かって表皮7側より形状保持部材6を挿入する。この時、形状保持部材6と表皮7との間を接着剤によって仮止めしておくことが好ましい。これによって発泡樹脂注入時にこの形状保持部材6の位置ズレ等が発生しにくくなる。この後、芯材11と共に発泡樹脂成形型に設置し、発泡樹脂を注入し、固化して形状保持部材6を固定する。このように、形状保持部材6を、予めインストルメントパネル1の表面からの位置が一定になるように形成した表皮7の凸状部8内に挿入しておくことで、発泡樹脂層9を形成するときの、凸状部8の位置ズレを抑制できる。また、凸状部8内に形状保持部材6が埋設されているため、収納部品15を組付ける時の収納部品15の押し付け力によっても変形することがなくなる。
【0042】
爪部品13(図4参照)は、前述した凸状部8と同様に、予め、この爪部品13が嵌合されて接着される凹状部14が形成された表皮7を形成する。この表皮7の凹状部14に爪部品13を嵌合して、接着する。この後、芯材11とともに、爪部品13が接着された表皮7を発泡樹脂成形型内に設置して、発泡樹脂を注入して、固化する。これによって、爪部品13は、インストルメントパネル1の表面から一定の位置に固定され、位置ズレが抑制される。
【0043】
このように、インストルメントパネル1の表面から一定位置に凸状部8及び爪部品13を形成することができるため、収納部品15の所定位置にこれら凸状部8及び爪部品13への係合部を形成することで、インストルメントパネル1の表面側を基準として、収納部品15の組み付け時の位置決めが確実に行える。このため、インストルメントパネル1に収納部品15を組み付けた時の目視可能な表皮の角部のRを1.0mm以下とすることができる(図3、図4参照)。これによって、インストルメントパネル1と収納部品15とのフラッシュサーフェス化が促進できる。
【0044】
また、インストルメントパネル1において収納部品15をインストルメントパネル1に組み付けた時のインストルメントパネル1の表面12と収納部品15との段差tを1.5mm以下、さらには1.0mm以下とすることも可能となる。これによって、さらに一層フラッシュサーフェス化を促進することができる。
【0045】
また、収納部品15のインストルメントパネル1の内側に向かって延在するフレーム25の、一方側に突出部16を形成し、インストルメントパネル1の開口部10の表皮7に形成されている凸状部8と係合させ(図3参照)、他方側のフレーム25に係合穴17を形成し、インストルメントパネル1の開口部10に形成された凹部に嵌合、接着された爪部品13と係合させる(図4参照)ようにすることで、フレーム25の弾性変形を利用して組み付け作業を容易に行うことができる。このようにすることで、突出部16が抜け止めになるとともに、係合穴17によって、位置決めされるとともに、収納部品15が一定深さ以上に入り込まないようになる。また、修理時等には、従来のように締結部材を用いて組み付けていないため、収納部品15をインストルメントパネル1から取り外すことも容易に行うことができる。
【0046】
なお、形状保持部材6及び爪部品13の材質としては、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリカーボネイト、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体とポリカーボネイトの混合体、ポリアセタール、アクリロニトリル・スチレン共重合体、変性ポリフェニレンオキサイド、スチレン無水マレイン酸共重合体、ノリル、ナイロン等を用いることができる。
【0047】
なお、本実施形態に係るインストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造は、例えば、図3において、凸状部8が形状保持部材6が、表皮7内に埋設されたものでなく、図4に示すように爪部品13が嵌合、接着されたものであってもよい。もちろん、図4における爪部品13が、図3に示す表皮7内に埋設された形状保持部材6からなる凸状部8であってもよい。
【0048】
また、収納部品15のフレーム25に形成される係合部を両側に爪状の突出部16(図3参照)を形成し、この突出部16に係合するように、インストルメントパネル1の開口部10には、凸状部8若しくは爪部品13を形成したものであってもよい。なお、この場合、収納部品15の端面にリブ等を形成することで、一定以上の深さに収納部品15が落ち込まないようにする。また、フレーム25の両側に係合部として係合穴を形成することもできる。
【0049】
次に、本発明の第2参考例について図5及び図6を参照しつつ説明する。なお、図1乃至図4と同一の部品については、同一の符号を記し、その詳細な説明は省略する。
【0050】
図5は、図2のインストルメントパネル1のセンタベント吹出口5部分のB−B線拡大断面図である。
【0051】
図5に示すように、収納部品15は、インストルメントパネル1の表面から垂直にインストルメントパネル1の内側に向かって延在するフレーム25が形成されている。このフレーム25のインストルメントパネル1の芯材11の端面33との当接面には、端面33と係合する複数の凹凸形状を有する係合部材31が接着、固定されている。そして、収納部品15は、この凹凸形状を有する係合部材31と、インストルメントパネル1の芯材11の端面33と係合位置が可変に係合されている。この凹凸形状は、各凹凸間のピッチが0.5〜2.0mmが好ましく、取付力が100N以下で、引抜力が50〜200Nとなるものが好ましい。これによって、取付時の位置決めが容易となるが、簡単に引き抜けにくくなり、確実に収納部品をインストルメントパネルに固定することができる。
【0052】
また、収納部品15の、インストルメントパネル1の表面の裏面側にはリブ35が形成されている。このリブ35は、インストルメントパネル1の開口部10に形成されている段付部34と当接して、収納部品15のインストルメントパネル1の内側への入り込みを規制している。
【0053】
図5に示すように、インストルメントパネル1の開口部10には、収納部品15を載置する段付部34が形成されている。この段付部34の直下部分には、芯材11のリブ32が形成されている。このリブ32によって、段付部34に形成される発泡樹脂層9の層厚さが薄くなり、収納部品15が押さえつけられた場合であっても、変形することがなく、収納部品15がインストルメントパネル1の内側へ入りこむことを規制している。
【0054】
ここで、これら収納部品15に設けられたリブ35と、芯材11に設けられたリブ32とは、収納部品15を組み付けた時、即ち、各々が対峙したときの隙間が1〜4mm程度になるように形成することが好ましい。これによって、この間に形成される発泡樹脂層9の厚みを薄くすることができ、収納部品15のインストルメントパネル1内への落ち込みを規制し、端面33と係合部材31との係合位置を所定位置で係合することができる。そして、インストルメントパネル1の表面と収納部品15の表面との段差を1mm以内とできる。
【0055】
この図5に示すインストルメントパネル1は、予め段付部34が形成された表皮7と、この段付部34の直下部分にリブ32が一体に形成された芯材11を発泡成形型に設置し、発泡樹脂を注入、固化することで形成されている。このように、段付部34部分が発泡樹脂層9のみでなく、芯材11と一体に形成されたリブ32が設けられているため、段付部34自身の変形が規制され、段付部34のインストルメントパネル1の表面からの深さが常に一定となる。そして、収納部品15を所定形状に形成することで、インストルメントパネル1のフラッシュサーフェス化が可能となる。
【0056】
収納部品15をインストルメントパネル1に組み付けるときは、インストルメントパネル1の開口部10に収納部品15を挿入し、収納部品15の表面を押し込んでいく。すると、収納部品15のフレーム25に設けられた係合部材31の凹凸形状部が、芯材11の端面33によって、付勢されて収納部品15はインストルメントパネル1に係合する。そして、押し込みつづけて、収納部品15と芯材11との係合位置を変化させながら、インストルメントパネル1との表面との段差が1mm以内となるように調整する。この時、収納部品15に形成されたリブ35と、芯材11に形成されたリブ32とによって、収納部品15のインストルメントパネル1内への落ち込みが規制され、インストルメントパネル1との表面との段差を1mm以内とできる。
【0057】
図6は、図2のインストルメントパネル1の上部サイドベンド吹出口4部分のC−C線拡大断面図である。収納部品15は、収納部品15に形成された突出片36を介してインストルメントパネル1の芯材11に形成された係合穴38に係合してインストルメントパネル1に組み付けられている。
【0058】
図6に示すように、収納部品15は、端部で、インスルメントパネル1の内側に向かって折り曲げられ、インストルメントパネル1に形成された段付部34と当接する。また、収納部品15の裏面側には、突出片36が一体に形成されている。この突出片36は、収納部品15成形時に同時に形成されることが好ましいが、別途突出片36のみを形成し、収納部品15の裏面の所定位置に接着固定されていても良い。
【0059】
図6に示すように、突出片36は収納部品15の裏面側より垂直に延びて、途中で、芯材11と平行になるように曲折している。そして、曲折した部分に、軸上に複数の凹凸形状を有するツリークリップ37が通る孔が形成されている。そして、ツリークリップ37は、芯材11に形成された係合穴38と係合して、収納部品15をインストルメントパネル1に固定する。ここで、ツリークリップ37は前述の係合部材31(図5参照)と同様に、各凹凸間のピッチが0.5〜2.0mmが好ましく、取付力が100N以下で、引抜力が50〜200Nとなるものが好ましい。これによって、取付時の位置決めが容易となるが、簡単に引き抜けにくくなり、確実に収納部品をインストルメントパネルに固定することができる。
【0060】
また、図6に示すように、インストルメントパネル1の開口部10には、収納部品15の端部に形成されているリブ35と当接し、収納部品15を載置する段付部34が形成されている。この段付部34の直下部分には、芯材11にリブ32が形成され、この段付部34の収納部品15のリブ35との当接部分の発泡樹脂層9の層厚が薄くなり、段付部34の変形を規制している。
【0061】
この図6に示すインストルメントパネル1も、前述の図5に示すインストルメントパネル1と同様の方法で形成される。すなわち、予め段付部34が形成された表皮7と、この段付部34の直下部分にリブ32が一体に形成された芯材11を発泡成形型に設置し、発泡樹脂を注入、固化することで形成されている。
【0062】
また、この図6に示すインストルメントパネル1も、前述の図5に示すインストルメントパネル1と同様にして、収納部品15の位置調整を行うことができる。即ち、先ず、収納部品15の突出片36に形成された孔にツリークリップ37を通し、このツリークリップ37が芯材11に形成された係合穴38に係合するように、収納部品15をインストルメントパネル1の内側に向かって押し込んでいく。これによって、係合穴38によって、ツリークリップ37の凹凸形状部が付勢されて、収納部品15は係合される。そして、インストルメントパネル1の表面との段差が1.5mm以下、さらには1mm以下になるように徐々に押し込んでいく。この時、リブ35とリブ32が干渉しあって、収納部品15のインストルメントパネル1内への落ち込みを規制しているため、収納部品15の表面とインストルメントパネル1の表面との段差が大きくなることを防止している。
【0063】
このように、係合部材31、38が、係合位置を可変に調整でき、また、インストルメントパネル1の表面から常に一定の深さであり、収納部品15の組み付けによっても変形しない段付部34が形成されているため、収納部品15を所定形状に形成することで、インストルメントパネル1の表面側を基準として、収納部品15の組み付け時の位置決めが確実に行える。このため、インストルメントパネル1に収納部品15を組み付けた時の目視可能な表皮の角部のRを1.0mm以下とすることができる(図5、図6参照)。これによって、インストルメントパネル1と収納部品15とのフラッシュサーフェス化が促進できる。
【0064】
また、インストルメントパネル1において収納部品15をインストルメントパネル1に組み付けた時のインストルメントパネル1の表面12と収納部品15との段差tを1.5mm以下、さらには1.0mm以下とすることも可能となる(図5、図6参照)。これによって、さらに一層フラッシュサーフェス化を促進することができる。
【0065】
また、収納部品15とインストルメントパネル1との係合に、係合位置を可変に調整できる複数の凹凸形状を有する係合部材31や、ツリークリップ37を使用しているため、収納部品15の組み付け時に、その係合位置を微調整することができるとともに、インストルメントパネル1の開口部10に収納部品15を嵌合して、押さえ付けるだけで、固定することが可能となり、組み付け工程が容易になる。これに対して、係合部材31や、ツリークリップ37は、組み付け時に、押さえ付けられることによって、それぞれの係合する相手材である芯材11の端部33(図5参照)や、芯材11の係合穴38(図6参照)によって、凹凸部分が付勢されるため、容易に抜けなくなり、確実に固定された状態を維持することができる。
【0066】
次に、本発明の第2の実施形態例について図7及び図8を参照しつつ説明する。なお、図1乃至図6と同一の部品については、同一の符号を記し、その詳細な説明は省略する。
【0067】
図7は、図2のインストルメントパネル1のサイドベント吹出口3部分のD−D線拡大断面図である。
【0068】
図7に示すように、収納部品15は、インストルメントパネル1の表面から垂直にインストルメントパネル1の内側に向かって延在するフレーム25と、このフレーム25に対して略垂直外向きにインストルメントパネル1に係合する凸部41がフレーム20に一体に形成されている。
【0069】
図7に示すように、インストルメントパネル1の開口部10には、収納部品15のフレーム25に形成されている凸部41が係合する凹部42が形成されている。
【0070】
図7に示すように、収納部品15は、凸部41が、インストルメントパネル1の開口部10の表皮7に形成された凹部42に嵌合することで、インストルメントパネル1に一体に組み付けられている。図8にその組み付け時の型構成図を示す。
【0071】
図8に示すように、本実施形態例にかかるインストルメントパネル1は、先ず、予め、収納部材15の凸部41が嵌合する凹部42が形成された表皮7を発泡成形用の下型45に設置する。この時、スライド刃47a,47bを有するスライド型46を上方に位置させ、表皮7の位置決めを行っておくことが好ましい。次いで、収納部品15を下型45に設置するとともに、表皮7に形成されている凹部42に、凸部41を挿入する。図示しない上型にインストルメントパネル1の芯材11を設置し、この上型と下型45を合わせて、発泡樹脂層9となる発泡樹脂をキャビティ40に注入する。そして、発泡樹脂を注入し、固化させて、発泡樹脂層9の発泡力によって、凹部42で凸部41を挟み付けることで、収納部品15をインストルメントパネル1に固定する。なお、スライド刃47a、47bは、発泡樹脂を注入し、この発泡樹脂が固化する前に引き抜いておくことが好ましい。これによって、型抜き時に発生しやすい脱型変形を抑制することが可能となる。
【0072】
なお、凹部42内への凸部41の挿入深さを浅くすることで、収納部品15を脱着することが可能となり、修理の時などのメンテナンス性を向上させることができる。
【0073】
このように、収納部品15がインストルメントパネル1の表皮7に一体に固定されるため、収納部品15をインストルメントパネル1に組み付ける時に、締結用の締結部材を用いる必要がなく、部品数を低減することが可能となる。さらに、インストルメントパネル1の表面側を基準として、収納部品15の組み付け時の位置決めが確実に行える。このため、インストルメントパネル1に収納部品15を組み付けた時の目視可能な表皮の角部のRを1.0mm以下にすることができる(図7参照)。これによって、インストルメントパネル1と収納部品15とのフラッシュサーフェス化が促進できる。
【0074】
また、インストルメントパネル1において収納部品15をインストルメントパネル1に組み付けた時のインストルメントパネル1の表面12と収納部品15との段差tを1.5mm以内、好ましくは1.0mm以内にすることも可能となる。これによって、さらに一層フラッシュサーフェス化を促進することができる。
【0075】
また、例えば、本実施形態例では、インストルメントパネル1のサイドベンド吹出口3の取付構造を例にとって示したが、センタベント吹出口5の取付構造に適用することもできる。
【0079】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、凹部に凸部を嵌合した状態で、側面壁及び凹部の背後に発泡樹脂を注型することで、発泡樹脂層の発泡力によって、収納部品を一体に固定することができるため、収納部品のインストルメントパネルへの固定に係合部材が不要になるとともに、位置ズレすることなく確実に固定することができる。これによって、部品数を減らすことができ、製造コストの低減が可能となる。
さらに、側面壁の位置を決めるスライド型を設けることで、収納部品を位置ズレのない状態で容易にインストルメントパネルへ固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例を示すに係るインストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造であり、図2のA−A線断面図である。
【図2】本発明に係るインストルメントパネルの斜視図である。
【図3】本発明の第1参考例を示すインストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造であり、図2のA−A線断面図である。
【図4】本発明の第1参考例を示すインストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造であり、図2のB−B線断面図である。
【図5】本発明の第2参考例を示すインストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造であり、図2のB−B線断面図である。
【図6】本発明の第2参考例を示すインストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造であり、図2のC−C線断面図である。
【図7】本発明の実施の形態の一例を示すインストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造であり、図2のD−D線断面図である。
【図8】本発明の実施の形態の一例を示すインストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造の製造時の型構成図を示す図である。
【図9】従来のインストルメントパネルと収納部品との組み立て構造を示した断面図である。
【符号の説明】
1 インストルメントパネル
3 サイドベント吹出口
5 センタベント吹出口
6 形状保持部材
7 表皮
8 表面
9 発泡樹脂(クッション)層
10 開口部
11 芯材
12 表面
13 爪部品
14 凹部
15 収納部品
16 突出部
17 係合穴
25 フレーム
t 段差
R 角部
Claims (1)
- 各種の収納部品を収納する為の開口部を有し、合成樹脂からなる芯材、クッション層及び表皮の順に積層形成してなるインストルメントパネルに収納部品を組み付けるインストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造の製造方法において、
前記開口部は、インストルメントパネルの表面から延在する表皮からなる側面壁と、この側面壁を形成する表皮に設けられた凹部と、を有し、
前記収納部品は、前記側面壁内に収容され、その先端に形成される表面部と、この表面部の奥側に一体に形成された凸部と、を有し、
前記凹部に前記凸部を嵌合した状態で、前記側面壁及び前記凹部の背後に発泡樹脂を注型し、クッション層を形成する工程と、
前記発泡樹脂が固化することによって前記収納部品を前記インストルメントパネルに固定する工程と、
前記側面壁の位置を決めるスライド型を引き抜き自在に配置する工程と、
を備えるインストルメントパネルと収納部品とのフラッシュサーフェス構造の製造方法。
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