JP4610298B2 - 偏心管の製造方法 - Google Patents

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この発明は、自動車の排気管等に用いられる偏心管を製造するための製造方法に関する。
一般に、自動車の排気管として用いられる偏心管1は、図1に示すように、一端部(図1において左端部)に形成された小径管部2、他端部に形成された大径管部3、及び小径管部2と大径管部3との間に形成された徐変部4を有している。小径管部2、大径管部3及び徐変部4は、いずれも断面円形をなしている。小径管部2と大径管部3とは、互いに平行であり、それぞれの軸線が距離εだけ互いに離れている。つまり、小径管部2と大径管部3とは、偏心量εだけ偏心している。徐変部4は、小径管部2との交差部においては、その中心が小径管部2の中心と一致させられ、しかもその内外径が小径管部2の内外径と同一になっている。同様に、徐変部4は、大径管部3との交差部においては、その中心が大径管部3の中心と一致させられ、しかもその内外径が大径管部3の内外径と同一になっている。したがって、徐変部4の内外径は、小径管部2から大径管部3へ向かって徐々に拡径している。しかも、小径管部2と大径管部3との半径差が偏心量εより大きいので、徐変部4の内周面及び外周面は、周方向のいずれの箇所においても小径管部2から大径管部3へ向かうにしたがって径方向外側へ向かうように傾斜している。
上記構成の偏心管1を製造する方法としては、例えば下記特許文献1に記載の方法が知られている。この製造方法では、まず、小径管部2と同一の内外径を有する素管(図示せず)の一端部を固定する一方、他端部に拡径用のパポンチを1回又は複数回にわたって圧入する。これにより、素管の一端部がそのまま小径管部2となり、素管の他端部に大径管部4が形成される。しかも、ポンチの先端部にはテーパ部が形成されており、このテーパ部により小径管部2と大径管部3との間にテーパ管部が形成される。その後、小径管部2と大径管部3とをそれぞれ金型で挟持しつつ、一方の金型を他方の金型に対して素管の軸線と直交する方向へ移動させる。これにより、テーパ管部の両端部、つまりテーパ管部と小径管部2及び大径管部3との各交差部を折り曲げる。この折り曲げ加工により、テーパ管部が徐変部4になり、小径管部2と大径管部3とが所定の偏心量だけ偏心させられる。このようにして偏心管1が製造される。
特開2001−276942
この発明は、上記の問題を解決するために、小径管部、この小径管部に対して偏心した大径管部、及び上記小径管部と上記大径管部との間に形成され、上記小径管部から上記大径管部に向かって拡径する除変部を有する偏心管の製造方法において、上記小径管部と同一径を有する素管を、その長手方向において上記除変部の長さとほぼ同一距離だけ離れた2箇所で折り曲げ、それによって上記素管の一端部と他端部とを上記小径管部と上記大径管部との間の偏心量と同一量だけ偏心させるとともに、上記素管の一端部と他端部との間に上記除変部とほぼ同一長さを有する傾斜部を形成し、その後上記素管より大径で、一定の外径を有するストレート部と、このストレート部の先端部に上記除変部と同一の長さをもって連設され、後端及び先端の各外径が上記ストレート部の外径及び上記素管の内径とそれぞれ同一に設定された先細り部とを有する圧入パンチを用い、上記圧入パンチのストレート部及び上記先細り部を、上記素管の他端開口部から上記ストレート部の先端が上記他端部の上記一端部側の端縁に達するまで上記素管の他端部及び上記傾斜部にそれぞれ圧入することにより、上記素管の上記他端部を拡管して上記大径管部を形成するとともに、上記傾斜部を上記素管の一端側から他端側へ向かって拡径するように拡管して上記除変部を形成することを特徴としている。
この場合、上記ストレート部の外径が互いに異なる複数の圧入パンチを用い、上記素管の上記他端部及び上記傾斜部に上記ストレート部の外径が小さい圧入パンチから順次圧入することが望ましい。
上記圧入パンチの先細り部の先端面にガイド部が形成されており、上記ガイド部は、上記パンチを上記素管に圧入したときに、上記ガイド部の外周面の少なくとも一側部が上記素管の上記一端部内周面にほぼ接するように配置されていることが望ましい。
上記ガイド部の外周面がその全周にわたって上記素管の上記一端部内周面にほぼ接触するよう、上記ガイド部の外径が上記素管の内径とほぼ同一に設定されていることが望ましい。
この発明は、上記の問題を解決するために、小径管部、この上記小径管部に対して偏心した大径管部、及び上記小径管部と上記大径部との間に形成され、上記小径部から上記大径部に向かって拡径する徐変部を有する偏心管の製造方法において、上記小径管部と同一径を有する素管を、その長手方向において上記徐変部の長さとほぼ同一距離だけ離れた2箇所で折り曲げ、それによって上記素管の一端部と他端部とを上記小径管部と上記大径管部との間の偏心量と同一量だけ偏心させるとともに、上記素管の一端部と他端部との間に上記徐変部とほぼ同一長さを有する傾斜部を形成し、その後上記素管の上記他端部を拡管して上記大径管部を形成するとともに、上記傾斜部を上記素管の一端側から他端側へ向かって拡径するように拡管して上記徐変部を形成することを特徴としている。
この場合、上記素管より大径で、一定の外径を有するストレート部と、このストレート部の先端部に上記徐変部と同一の長さをもって連設され、後端及び先端の各外径が上記ストレート部の外径及び上記素管の内径とそれぞれ同一に設定された先細り部とを有する圧入パンチを用い、上記圧入パンチのストレート部及び上記先細り部を、上記素管の他端開口部から上記ストレート部の先端が上記他端部の上記一端部側の端縁に達するまで上記素管の他端部及び上記傾斜部にそれぞれ圧入することにより、上記素管の他端部を拡管するとともに、上記傾斜部を拡管することが望ましい。
上記ストレート部の外径が互いに異なる複数の圧入パンチを用い、上記素管の上記他端部及び上記傾斜部に上記ストレート部の外径が小さい圧入パンチから順次圧入することが望ましい。
上記圧入パンチの先細り部の先端面にガイド部が形成されており、上記ガイド部は、上記パンチを上記素管に圧入したときに、上記ガイド部の外周面の少なくとも一側部が上記素管の上記一端部内周面にほぼ接するように配置されていることが望ましい。
上記ガイド部の外周面がその全周にわたって上記素管の上記一端部内周面にほぼ接触するよう、上記ガイド部の外径が上記素管の内径とほぼ同一に設定されていることが望ましい。
上記特徴構成を有するこの発明によれば、素管を曲げ加工してその中間部に傾斜部を形成した後、素管の他端部及び傾斜部を大径管部及び徐変部にそれぞれ拡管加工するので、徐変部を所望の形状に形成することができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。なお、この実施の形態は、図1に示す偏心管1を製造するものである。
偏心管1を製造するに際しては、偏心管1の素材として断面円形であるストレートな素管10が用いられる。素管10は、偏心管1の小径管部2の内外径と同一の内外径を有し、偏心管1とほぼ同一の厚さ及び長さを有している。素管10は、次に述べる曲げ加工及び拡管加工を行った後には、それらの加工に伴って厚さ及び長さが若干変化することがある。そのような場合には、素管10の厚さ及び長さを加工に伴う変化を考慮して決定するのがよい。また、素管10としては、偏心管1と同一の長さのものを用いることなく、偏心管1より長いものを用いてもよい。そのような場合には、素管10の一端部(図2において左側の端部)11及び他端部12の各長さを小径管部2及び大径管部3の各長さよりそれぞれ長くしておき、曲げ及び拡管加工後における素管10の各端部11,12の外側の端部を小径管部2及び大径管部3より長い分だけ切り落とすようにしてもよい。また、偏心管1より長い素管10を用いる場合において、素管10の一端部11の長さを小径管部2の長さと同一にし、他端部12だけを大径管部3より長くするときには、加工後の素管10の拡管された他端部12の外側の端部を大径管部3より長い分だけ切り落とすようにすればよい。
上記素管10を用いて偏心管1を製造する場合には、まず、素管10を曲げ加工してその一端部(以下、非加工部という。)11と他端部(以下、拡管加工部という。)12とを所定の量だけ偏心させるとともに、非加工部11と拡管加工部12との間に位置する素管10の中間部に傾斜部13を形成する。このような曲げ加工は、図2において想像線で示す二対の金型K1A,K1B;K2A,K2Bを用いて行うことができる。一方の金型K1A,K1Bは、素管10の非加工部11を挟持固定し、他方の金型K2A,K2Bは、素管10の拡管加工部12を挟持固定する。金型K1A,K1Bと金型K2A,K2Bとは、徐変部4の長さとほぼ等しい距離だけ離間させておく。素管10の非加工部11及び拡管加工部12を金型K1A,K1B;K2A,K2Bbによってそれぞれ挟持固定したら、金型K1A,K1Bと金型K2A,K2Bとの少なくとも一方を、素管10の軸線と直交する方向へ偏心量εとほぼ同一距離だけ移動させる(実際には、曲げ加工後における素管10のスプリングバックを加味して若干大きめに移動させる)。これにより、素管10が、金型K1A,K1Bの内側の端面(金型K2側の端面)との接触部及び金型K2A,K2Bの内側の端面(金型K1側の端面)との接触部の2箇所において折り曲げられ、非加工部11と拡管加工部12とが、偏心量εだけ偏心させられる。しかも、この曲げ加工により、非加工部11と拡管加工部12との間に位置する素管10の中間部に、非加工部11及び拡管加工部12に対し偏心量εの分だけ傾斜した傾斜部13が形成される。この傾斜部13の長さは、金型K1A,KIBと金型K2A,K2Bとが徐変部4の長さと同一距離だけ離間させられているので、徐変部4と同一になっている。実際には、傾斜部13がその拡管加工に伴って長さが変化することがあるので、徐変部4と若干異なることもなる。そのような場合、傾斜部13の長さは、加工データに基づいて適宜に定める。
曲げ加工された素管10は、その後、の拡管加工部12及び傾斜部13が拡管加工され、それによって大径管部3及び徐変部4が形成される。このような拡管加工は、小径管部2と大径管部3との直径差及び偏心量εが小さい場合には、単一の工程で行うことも可能であるが、通常は複数の工程を経て行われる。この実施の形態では、拡管加工が第1〜第5拡管工程を経て完了するようになっている。
第1拡管工程では、図4に示す圧入パンチP1及び一対の金型K3A,K3Bが用いられる。パンチP1は、その基端側(図4において右端側)から先端側に向かって順次形成されたストレート部P1a、テーパ部(先細り部)P1b、及びガイド部P1cを有している。ストレート部P1a、テーパ部P1b、及びガイド部P1cは、いずれも断面円形をなしており、互いの軸線を一致させて形成されている。ストレート部P1aは、全長にわたって一定の外径を有している。ストレート部P1aの外径は、第1拡管工程で素管10の拡管加工部12を拡径しようとする分だけ素管10の内径より大径に設定されている。ただし、ストレート部P1aの外径は、素管10の内径との差の半分が偏心量εより小さくなる範囲において素管10の内径より大径に設定されている。テーパ部P1bは、傾斜部13の長さ(=徐変部4の長さ)と同一の長さを有している。テーパ部P1bの基端部の外径は、ストレート部P1aの外径と同一になっており、先端部の外径はガイド部P1cの基端部の外径と同一になっている。ガイド部P1cの基端部の半径は、素管10の非加工部11の内径の半分から偏心量εを差し引いた値に設定されている。ガイド部P1cの先端部は先細りのテーパ状に形成されている。
一対の金型K3A,K3Bの突合せ面間には、一端部(図4において左端部)に挟持孔部K3aが形成され、他端部に規制孔部K3bが形成され、挟持孔部K3aと規制孔部K3bとの間に変化孔部K3cが形成されている。挟持孔部K3aは、素管10の非加工部11を挟持固定するためのものである。そのために挟持孔部K3aの内径は、金型K3A、K3Bを型締めしたときに挟持孔部K3aの内周面によって素管10の非加工部11の外周面を挟持固定することができるよう、非加工部11の外径とほぼ同一か、僅かに小径に設定されている。挟持孔部K3aの長さは、非加工部11より長くなっているが、非加工部11の長さと同一にしてもよく、短くしてもよい。規制孔部K3bは、拡管加工部12を収容するものであるが、単に収容するのみならず、拡管加工部12が拡管加工時に座屈したりするのを防止するためのものでもある。そこで、規制孔部K3bは、挟持孔部K3aに対して偏心量εだけ偏心させられている。しかも、規制孔部K3bの内径は、ストレート部P1aが圧入されることによって拡径された後の拡管加工部12の外径とほぼ同一か、若干大径に設定されている。規制孔部K3bの長さは、拡管加工部12の長さより短く設定されているが、拡管加工部12の長さと同一にしてもよく、拡管加工部12より若干長くしてもよい。変化孔部K3cは、傾斜部13を収容するとともに、圧入パンチと協働して傾斜部13を拡管加工するためのものである。そこで、変化孔部K3cは、傾斜部13と同一の長さを有している。しかも、変化孔部K3cの一端縁(左端縁)は、挟持孔部K3aの右端縁と同一の中心を有し、挟持孔部K3aの内径と同一の内径を有している。変化孔部K3cの他端縁は、規制孔部K3bの左端縁と同一の中心を有し、規制孔部K3bの内径と同一の内径を有している。したがって、変化孔部K3cは、傾斜部13と同一方向に傾斜しながらも挟持孔部K3aから規制孔部K3bに向かうにしたがって漸次大径になっている。
上記一対の金型K3A,K3B及び圧入パンチP1を用いて素管10の拡管加工部12及び傾斜部13を拡管加工する場合には、図4に示すように、一対の金型K3A,K3Bを型締めすることにより、素管10の非加工部11を挟持孔部K3aによって挟持固定するとともに、傾斜部13全体を変化孔部K3cに挿入し、拡管加工部12の外側の端部を除く大部分を規制孔部K3bに挿入する。つまり、素管10の非加工部11と傾斜部13との交差部が挟持孔部K3aと変化孔部K3cとの交差部と一致するとともに、拡管加工部12と傾斜部13との交差部が規制孔部K3bと変化孔部K3cとの交差部と一致するようにして、非加工部11、拡管加工部12及び傾斜部13を挟持孔部K3a、規制孔部K3及び変化孔部K3cにそれぞれ挿入する。
一方、圧入パンチP1については、そのガイド部P1cを拡管加工部12側に向けた状態で圧入パンチP1の軸線が拡管加工部12の軸線と一致するように配置する。その後、図5に示すように、圧入パンチP1を拡管加工部12の開口部から圧入する。圧入パンチP1は、ストレート部P1aの先端が拡管加工部12と傾斜部13との交差部に達するまで圧入する。これにより、拡管加工部12が拡径される。また、ストレート部P1aの先端が拡管加工部12と傾斜部13との交差部に達するまで圧入すると、テーパ部P1bが傾斜部13に圧入される。これにより、傾斜部13が拡管加工される。ただし、テーパ部P1bの最大外径(=ストレート部P1aの外径)と非加工部11の内径との差の半分が偏心量εより小さくなっているので、図5及び図6に示すように、傾斜部13のうち、軸線L1から軸線L2へ向かう方向における一側部は、全長にわたって拡管加工されるが、当該一側部から逆側の一側部側へ向かうにしたがってテーパ部P1bによる傾斜部13に対する加工範囲が減少し、軸線L2から軸線L1へ向かう方向における他側部では、拡管加工部12側の長さが短い端部だけが拡管加工される。
ストレート部P1aを拡管加工部12に圧入するときには、テーパ部P1bがストレート部P1aを先導するとともに、楔作用によって拡管加工部12を拡管する。したがって、ストレート部P1aを拡管加工部12に比較的小さい力で圧入することができる。また、規制孔部K3aの内径が拡管された後の拡管加工部12の外径より僅かに大径であるので、規制孔部K3aの内周面が拡管加工部12の拡径を阻害することがない。しかも、規制孔部K3aは、その内径が拡管加工部12の拡管後の外径より僅かに大きいだけであるから、拡管加工部12がストレート部P1aの圧入に伴って座屈したり、大きく波打ったりするのを防止するとともに、圧入パンチP1の軸線が軸線L1からずれるのを防止する。また、ガイド部P1cの基端部の半径を非加工部11の半径から偏心量εを差し引いた値と同一にしているので、ガイド部P1cの基端部外周面の一側部は、非加工部11の内周面の傾斜部13側端部における一側部、つまり軸線L1から軸線L2へ向かう方向における一側部に接触する。したがって、圧入パンチP1の軸線と直交する方向への位置ずれをより一層確実に防止することができる。
第2拡管工程においては、図7に示す圧入パンチP2及び一対の金型K4A,K4Bが用いられる。圧入パンチP2は、その基端側から先端側へ向かって順次形成されたストレート部P2a、変形テーパ部(先細り部)P2b及びガイド部P2cを有している。ストレート部P2aの外径は、当該外径と非加工部11の内径との差の半分が偏心量εより小さくなる範囲において、上記圧入パンチP1のストレート部P1aの外径より所定量だけ大径に設定されている。ガイド部P2cは、ストレート部P2aに対し軸線L2の軸線L1に対する偏心方向と同一方向に偏心させられており、その偏心量は偏心量εより小さく設定されている。しかも、ガイド部P2cの外径は、その外周面の一側部が非加工部11の内周面の一側部に接することができるように、その大きさが設定されている。ストレート部P2aとガイド部P2cとの間には、テーパ部P1bに変わる変形テーパ部P2bが形成されている。この変形テーパ部P2bの基端は、ストレート部P2aの先端と同一中心、同一外径を有している。変形テーパ部P2bの先端は、ガイド部P2cの基端と同一中心、同一外径を有している。したがって、変形テーパ部P2bは、断面円形であり、しかもその外径が、先端から基端へ向かって大径になっているが、先端と基端とが偏心しているので、変形テーパ部P2bの外周面はテーパ面にはなっていない。
一方、金型K4A,K4Bは、それらの突合せ面間に挟持孔部K4a、規制孔部K4b及び変形孔部K4cが形成されている。挟持孔部K4aは、上記挟持孔K3aと同一寸法を有している。規制孔部K4bは、ストレート部P2aがストレート部P1aより大径になった分だけ規制孔部K3bの内径より大径に設定されている。変形孔部K4cは、変形孔部K3cが挟持孔部K3a及び規制孔部K3bに連なっている態様と同様の態様で挟持孔部K4aと規制孔部K4bとに連なっている。圧入パンチP2及び金型K4A,K4Bについての上記構成以外の各構成は、圧入パンチP1及び金型K3A,K3Bの各構成とそれぞれ同様になっている。
金型K4A,K4Bは、上記金型K3A,K3Bと同様にして素管10を挟持固定する。一方、圧入パンチP2は、図7及び図8に示すように、そのストレート部P2aの軸線が軸線L2と一致するように配置される。そして、圧入パンチP1と同様にして拡管加工部12及び傾斜部13に圧入される。その結果、図8及び図9に示すように、拡管加工部12全体がストレート部P2aによって拡管加工され、傾斜部13の一側部側の全体から他側部の拡管加工部12側の略半分にわたる範囲が変形テーパ部P2bによって拡管加工される。これらの拡管加工の最終段階では、ガイド部P2cの外周面の一側が非加工部11の内周面の一側部に接触している。
第3拡管工程においては、図10に示す圧入パンチP3及び一対の金型K5A,K5Bが用いられる。圧入パンチP3は、その基端側から先端側へ向かって順次形成されたストレート部P3a、変形テーパ部(先細り部)P3b及びガイド部P3cを有している。ストレート部P3aの外径は、当該外径と非加工部11の内径との差の半分が偏心量εと同一になるように、その大きさが設定されている。したがって、ストレート部P3aの外径は、上記圧入パンチP2のストレート部P2aの外径より大径になっている。ガイド部P3cは、ストレート部P3aに対し軸線L2の軸線L1に対する偏心方向と同一方向に偏心させられており、その偏心量は偏心量εと同一に設定されている。しかも、ガイド部P3cの外径は、その基端側の外周面全体が非加工部11の内周面全体に接するよう、非加工部11の内径とほぼ同一に設定されている。ストレート部P3aとガイド部P3cとの間には、変形テーパ部P3bが形成されている。この変形テーパ部P3bの基端は、ストレート部P3aの先端と同一中心、同一外径を有している。変形テーパ部P3bの先端は、ガイド部P3cの基端と同一中心、同一外径を有している。したがって、変形テーパ部P3bは、その長手方向いずれの箇所においても断面円形に形成されており、その外径は先端から基端へ向かって大径になっている。ただし、変形テーパ部P3bの先端と基端とが偏心しているので、変形テーパ部P3bの外周面はテーパ面にはなっていない。なお、ストレート部P3a、変形テーパ部P3b及びガイド部P3cの各外径及び偏心量が上記のように設定されている結果、ストレート部P3a、変形テーパ部P3b及びガイド部P3cの各外周面の他側部(図10において上側の側部)が一直線上に並んでいる。
金型K5A,K5Bは、それらの突合せ面間に挟持孔部K5a、規制孔部K5b及び変形孔部K5cが形成されている。挟持孔部K5aは、上記挟持孔K3aと同一寸法を有している。規制孔部K5bは、ストレート部P3aがストレート部P2aより大径になった分だけ規制孔部K4bの内径より大径に設定されている。変形孔部K5cは、上記変形孔部K4cが挟持孔部K4a及び規制孔部K4bに連なっている態様と同様の態様で挟持孔部K45及び規制孔部K5bに連なっている。圧入パンチP3及び金型K5A,K5Bについての上記構成以外の各構成は、圧入パンチP2及び金型K4A,K4Bの各構成とそれぞれ同様になっている。
金型K5A,K5Bは、上記金型K4A,K4Bと同様にして素管10を挟持固定する。圧入パンチP3は、図10及び図11に示すように、圧入パンチP2と同様にして拡管加工部12及び傾斜部13に圧入される。その結果、図11及び図12に示すように、拡管加工部12全体がストレート部P3aによって拡管加工され、傾斜部13全体が変形テーパ部P3bによって拡管加工される。これらの拡管加工の最終段階では、ガイド部P3cが非加工部11に嵌合し、ガイド部P3cの基端部外周面全体が非加工部11の内周面全体に接触している。
第4拡管工程においては、図13及び図14に示す圧入パンチP4及び一対の金型K6A,K6Bが用いられる。圧入パンチP4は、その基端側から先端側へ向かって順次形成されたストレート部P4a、変形テーパ部(先細り部)P4b及びガイド部P4cを有している。ストレート部P4aの外径は、当該外径と非加工部11の内径との差の半分が偏心量εより大きくなる範囲において、偏心管1の大径部3の内径より小径になるように、その大きさが設定されている。したがって、ストレート部P4aの外径は、上記圧入パンチP3のストレート部P3aの外径より大径になっている。ガイド部P4cは、ガイド部P3cと同様に構成されている。つまり、ガイド部P4cは、ストレート部P4aに対し軸線L2の軸線L1に対する偏心方向と同一方向に偏心させられており、その偏心量は偏心量εと同一に設定されている。しかも、ガイド部P4cの外径は、非加工部11の内径とほぼ同一に設定されている。ストレート部P4aとガイド部P4cとの間に、変形テーパ部P4bが形成されている。この変形テーパ部P4bの基端は、ストレート部P4aの先端と同一中心、同一外径を有している。変形テーパ部P4bの先端は、ガイド部P4cの基端と同一中心、同一外径を有している。したがって、変形テーパ部P4bは、断面円形であり、しかもその外径が、先端から基端へ向かって大径になっている。しかし、変形テーパ部P4bの先端と基端とが偏心しているので、変形テーパ部P2bの外周面はテーパ面にはなっていない。なお、ストレート部P3a、変形テーパ部P3b及びガイド部P3cの各外径及び偏心量が上記のように設定されている結果、変形テーパ部P3bの外周面の他側部(図13において上側の側部)は、ガイド部P4cからストレート部P4aへ向かうにしたがって径方向外側へ向かうように傾斜している。
金型K6A,K6Bは、それらの突合せ面間に挟持孔部K6a、規制孔部K6b及び変形孔部K6cが形成されている。挟持孔部K6aは、上記挟持孔K3aと同一寸法を有している。規制孔部K6bは、ストレート部P4aがストレート部P3aより大径になった分だけ規制孔部K5bの内径より大径になっている。変形孔部K6cは、上記変形孔部K5cが挟持孔部K5a及び規制孔部K5bに連なっている態様と同様の態様で挟持孔部K6a及び規制孔部K6bに連なっている。圧入パンチP4及び金型K6A,K6Bについての上記構成以外の各構成は、圧入パンチP3及び金型K5A,K5Bの各構成とそれぞれ同様になっている。
金型K6A,K6Bは、上記金型K5A,K5Bと同様にして素管10を挟持固定する。圧入パンチP4は、図13及び図14に示すように、圧入パンチP3と同様にして拡管加工部12及び傾斜部13に圧入される。その結果、図14及び図15に示すように、拡管加工部12全体がストレート部P4aによって拡管加工され、傾斜部13全体が変形テーパ部P4bによって拡管加工される。これらの拡管加工の最終段階では、ガイド部P4cが非加工部11に嵌合している。
第5拡管工程(最終拡管工程)においては、図13及び図14に示す圧入パンチP5及び一対の金型K7A,K7Bが用いられる。圧入パンチP5は、その基端側から先端側へ向かって順次形成されたストレート部P5a、変形テーパ部(先細り部)P5b及びガイド部P5cを有している。ストレート部P5aの外径は、偏心管1の大径部3の内径と同一に設定されている。したがって、ストレート部P5aの外径は、上記圧入パンチP4のストレート部P4aの外径より大径になっているが、その差は非常に小さい。ガイド部P5cは、ガイド部P4cと同様に構成されている。ストレート部P5aとガイド部P5cとの間には、変形テーパ部P5bが形成されている。この変形テーパ部P5bの基端は、ストレート部P5aの先端と同一中心、同一外径を有している。変形テーパ部P5bの先端は、ガイド部P5cの基端と同一中心、同一外径を有している。したがって、変形テーパ部P5bは、偏心管1の徐変部4と同一形状、同一寸法を有している。
金型K7A,K7Bは、それらの突合せ面間に挟持孔部K7a、規制孔部K7b及び変形孔部K7cが形成されている。挟持孔部K7aは、上記挟持孔K3aと同一寸法を有している。規制孔部K7bは、偏心管1の大径部4の外径と同一か、僅かに大きい内径を有している。変形孔部K7cは、上記変形孔部K6cが挟持孔部K6a及び規制孔部K6bに連なっている態様と同様の態様で挟持孔部K7a及び規制孔部K7bに連なっている。したがって、変形孔部K7cの内周面の形状及び寸法は、偏心管1の徐変部4の外周面の形状及び寸法とほぼ同一になっている。圧入パンチP4及び金型K6A,K6Bについての上記構成以外の各構成は、圧入パンチP4及び金型K6A,K6Bの各構成とそれぞれ同様になっている。
金型K7A,K7Bは、上記金型K6A,K6Bと同様にして素管10を挟持固定する。圧入パンチP5は、図16及び図17に示すように、圧入パンチP3と同様にして拡管加工部12及び傾斜部13に圧入される。その結果、図17に示すように、拡管加工部12全体がストレート部P5aによって拡管加工され、傾斜部13全体が変形テーパ部P5bによって拡管加工される。ここで、ストレート部P5aの外径が偏心管1の大径部4内径と同一寸法に設定されるとともに、変形テーパ部P5bの形状及び寸法が偏心管1の徐変部4の内周面の形状及び寸法と同一に設定されている。したがって、第5拡管加工完了後には、素管10が図1に示す偏心管1になる。
このように、この発明に係る偏心管の製造方法においては、10素管を段曲げ加工した後に10素管の他端部(拡管加工部)11及び傾斜部13を拡管加工しているので、徐変部4を所望の形状に形成することができる。
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、素管10の拡管加工部12及び傾斜部13の拡管加工を5つのパンチP1〜P5を用い、5工程で行っているが、1回の工程で行ってもよく、5回以外の複数工程で行ってもよい。1回の工程で行う場合には、圧入パンチとして、外周面が偏心管1の大径管部3及び徐変部4の各内周面とそれぞれ同一形状、同一寸法であるストレート部及び変形テーパ部を有する圧入パンチが用いられる。つまり、上記の実施の形態の最終工程たる第5工程において用いられている圧入パンチP5が用いられるのである。これは、複数工程で拡管を行う場合も同様であり、複数の拡管工程のうちの最終工程では圧入パンチ5と同一形状、同一寸法を有する圧入パンチが用いられる。
この発明に係る偏心管の製造方法の製造対称たる偏心管の一例を示す断面図である。 この発明に係る偏心管の製造方法によって図1に示す偏心管を製造する際に用いられる素管の一例を示す断面図である。 この発明に係る偏心管の製造方法の曲げ加工が施された後の素管を示す断面図である。 この発明に係る偏心管の製造方法の第1拡管工程において用いられる金型及び圧入パンチを示す図である。 図4に示す金型及び圧入パンチを用いて素管を拡管加工している状態を示す断面図である。 図5に示す拡管加工が行われた後の素管を示す図である。 この発明に係る偏心管の製造方法の第2拡管工程において用いられる金型及び圧入パンチを示す図である。 図7に示す金型及び圧入パンチを用いて素管を拡管加工している状態を示す断面図である。 図8に示す拡管加工が行われた後の素管を示す図である。 この発明に係る偏心管の製造方法の第3拡管工程において用いられる金型及び圧入パンチを示す図である。 図10に示す金型及び圧入パンチを用いて素管を拡管加工している状態を示す断面図である。 図11に示す拡管加工が行われた後の素管を示す図である。 この発明に係る偏心管の製造方法の第4拡管工程において用いられる金型及び圧入パンチを示す図である。 図13に示す金型及び圧入パンチを用いて素管を拡管加工している状態を示す断面図である。 図14に示す拡管加工が行われた後の素管を示す図である。 この発明に係る偏心管の製造方法の第4拡管工程において用いられる金型及び圧入パンチを示す図である。 図16に示す金型及び圧入パンチを用いて素管を拡管加工している状態を示す断面図である。
符号の説明
P1〜P5 圧入パンチ
P1a〜P5a ストレート部
P1b テーパ部(先細り部)
P2b〜P5b 変形テーパ部(先細り部)
P1c〜P5c ガイド部
1 偏心管
2 小径管部
3 大径管部
4 徐変部
10 素管
11 一端部
12 他端部
13 傾斜部

Claims (4)

  1. 小径管部、この小径管部に対して偏心した大径管部、及び上記小径管部と上記大径管部との間に形成され、上記小径管部から上記大径管部に向かって拡径する除変部を有する偏心管の製造方法において、
    上記小径管部と同一径を有する素管を、その長手方向において上記除変部の長さとほぼ同一距離だけ離れた2箇所で折り曲げ、それによって上記素管の一端部と他端部とを上記小径管部と上記大径管部との間の偏心量と同一量だけ偏心させるとともに、上記素管の一端部と他端部との間に上記除変部とほぼ同一長さを有する傾斜部を形成し、その後上記素管より大径で、一定の外径を有するストレート部と、このストレート部の先端部に上記除変部と同一の長さをもって連設され、後端及び先端の各外径が上記ストレート部の外径及び上記素管の内径とそれぞれ同一に設定された先細り部とを有する圧入パンチを用い、上記圧入パンチのストレート部及び上記先細り部を、上記素管の他端開口部から上記ストレート部の先端が上記他端部の上記一端部側の端縁に達するまで上記素管の他端部及び上記傾斜部にそれぞれ圧入することにより、上記素管の上記他端部を拡管して上記大径管部を形成するとともに、上記傾斜部を上記素管の一端側から他端側へ向かって拡径するように拡管して上記除変部を形成することを特徴とする偏心管の製造方法。
  2. 上記ストレート部の外径が互いに異なる複数の圧入パンチを用い、上記素管の上記他端部及び上記傾斜部に上記ストレート部の外径が小さい圧入パンチから順次圧入することを特徴とする請求項1に記載の偏心管の製造方法。
  3. 上記圧入パンチの先細り部の先端面にガイド部が形成されており、上記ガイド部は、上記パンチを上記素管に圧入したときに、上記ガイド部の外周面の少なくとも一側部が上記素管の上記一端部内周面にほぼ接するように配置されていることを特徴とする請求項又はに記載の偏心管の製造方法。
  4. 上記ガイド部の外周面がその全周にわたって上記素管の上記一端部内周面にほぼ接触するよう、上記ガイド部の外径が上記素管の内径とほぼ同一に設定されていることを特徴とする請求項に記載の偏心管の製造方法。
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