JP4609610B2 - 4−メチルピラゾール−5−カルボン酸化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1,3−ジアルキル−4−メチルピラゾール−5−カルボン酸化合物を製造する方法に関する。
【0002】
1,3−ジアルキル−4−メチルピラゾール−5−カルボン酸化合物は、医農薬等を始めとするファインケミカルズの中間体として有用な化合物である。例えば、後述するように、該化合物は殺ダニ活性を有するアクリロニトリル化合物の中間体として有用である。
【0003】
【従来の技術及び課題】
従来、1,3−ジアルキル−4−メチルピラゾール−5−カルボン酸化合物は、その効率的な合成法が知られておらず、1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸化合物を例にとると、以下に示す合成例が報告されているのみである。
(1)1,3,4,5−テトラメチルピラゾールを酢酸中塩素によりクロロ化して、1、3,4−トリメチル−5−トリクロロメチルピラゾールを得た後に、加水分解により1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸を得る方法(Ann.,598巻、186頁、1956年)。
(2)モノクロロ酢酸誘導体とヒドラジンより2−ヒドラジノ酢酸エステルを合成し、次いでジアセチルとの反応により対応するヒドラゾンを合成、このものを環化して3(5),4−ジメチルピラゾール−5(3)−カルボン酸エステルを合成し、最後に1位をメチル化して目的とする1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エステルを得る方法(Gazz.Chim.Ital.,93巻、748頁、1963年およびAgric.Biol.Chem.,48巻、45頁、1984年)。
【0004】
しかし、(1)の方法は、原料のテトラメチルピラゾールを大量の塩素ガスで処理するが、目的とする1,3,4−トリメチル−5−トリクロロメチルピラゾールの収率は61%と低く、1,4−ジメチル−3,5−ビス(トリクロロメチル)ピラゾールを始め種々のポリ塩素化化合物が副生する。これらの分離や副生する塩化水素の処理を含め、容易に実施可能な方法とは言えない。
【0005】
また、(2)の方法は、ヒドラジノ酢酸誘導体の収率が50%、続くジアセチルとのヒドラゾン合成が85%、最終のアルキル化工程が31%と低収率であり、また合成原料の一つであるジアセチルは、その安定性や臭気に問題があり、工程の長さを考えあわせると必ずしも実用性が高い方法とは言えない。
【0006】
なお、4−位が無置換のピラゾール−5−カルボン酸化合物はAnn.279,219頁(1894).に記載の方法に従い、2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−アルケン酸エステルとアルキルヒドラジンとの反応または2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−アルケン酸エステルにヒドラジンを反応させた後、アルキル化を行うことにより合成することができる。しかし、本合成の中間体である2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−アルケン酸エステルの3−位のメチル化による2−ヒドロキシ−3−メチル−4−オキソ−2−アルケン酸エステルの合成は極めて困難であり、現在まで有効な合成法が知られていないのが現状である。
【0007】
一方、ピラゾールのクロロメチル化については、特開平7−224041号公報、特開平7−258219および特開平11−5972号公報に、5−エトキシカルボニル−1,3−ジメチルピラゾールもしくは5−エトキシカルボニル−3−エチル−1−メチルピラゾールをリン酸、濃塩酸および酢酸の存在下、パラホルムアルデヒドを反応させることによる方法が記載されているが、クロロメチル化された生成物の収率が30〜40%と低く、ヒドロキシメチル体などの副生成物が生じるという点で改良の余地を残している。
【0008】
本発明の目的は、従来、有効な合成手段が知られていなかった1,3−ジアルキル−4−メチルピラゾール−5−カルボン酸化合物のより簡便でかつ優れた合成方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく本目的化合物の各種新規合成経路を徹底的に精査した。その結果、従来容易に得られることが知られている4−位無置換のピラゾールを原料とし、ピラゾール核のクロロメチル化を有機溶媒中で行い、さらに還元的脱クロロ化を行なうことで目的とする1,3−ジアルキル−4−メチルピラゾール−5−カルボン酸化合物が高収率で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は式(I):
【0011】
【化5】
【0012】
(式中、R1、R2およびR3は、各々独立して水素原子またはC1-4のアルキル基を表わす。)
で表わされるピラゾール−5−カルボン酸化合物を有機溶媒中、ホルムアルデヒドおよびその等価体から選ばれた1種以上、鉱酸およびルイス酸から選ばれた1種以上の酸触媒、並びに塩化水素の存在下に反応させて式(II):
【0013】
【化6】
【0014】
(式中、R1、R2およびR3は、前記と同様の意味を表わす。)
で表わされる4−クロロメチルピラゾール−5−カルボン酸化合物を得て、続いて還元条件下に脱クロロ化を行なうことを特徴とする、式(III):
【0015】
【化7】
【0016】
(式中、R1、R2およびR3は、前記と同様の意味を表わす。)
で表わされる1,3−ジアルキル−4−メチルピラゾール−5−カルボン酸化合物の製造方法、特に、式(I)、(II)および(III)において、R1およびR3がメチル基を表わし、R2が水素原子またはC1-4のアルキル基を表わす製造方法に関するものである。
【0017】
また、本発明は式(III):
【0018】
【化8】
【0019】
(式中、R1およびR3はメチル基を表し、R2はエチル基を表わす。)で表される化合物に関するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明における1,3−ジアルキル−4−メチルピラゾール−5−カルボン酸化合物の製造経路は、式(I)で表わされるピラゾール−5−カルボン酸化合物を有機溶媒中、ホルムアルデヒドおよびその等価体から選ばれた1種以上、鉱酸およびルイス酸から選ばれた1種以上の酸触媒、並びに塩化水素の存在下に反応させて式(II)で表わされる4−クロロメチルピラゾール−5−カルボン酸化合物を得る段階と、先に得られた式(II)の4−クロロメチルピラゾール−5−カルボン酸化合物を、還元条件下に脱クロロ化を行ない式(III)で表わされる1,3−ジアルキル−4−メチルピラゾール−5−カルボン酸化合物を得る段階の2段階から構成される。
【0022】
この2段階の反応は、各々独立に行なっても良いが、前段の生成物を単離精製することなく連続的に行なうことも可能である。
【0023】
本発明の原料となる4−位が無置換のピラゾール−5−カルボン酸化合物は、前述の通りAnn.279,219頁(1894).に記載の方法に従い、下記に示す縮合、環化の2段階またはアルキル化を加えた3段階の反応により容易に得ることができる。
【0024】
【化9】
【0025】
(式中、R1、R2およびR3は前記と同様の意味を表わす)
第1段階の縮合段階はメチルケトン化合物とシュウ酸エステルを塩基の存在下に縮合させて2−ヒドロキシ−4−オキソ−2−アルケン酸エステルを得る反応であり、種々の条件下で収率良く進行する。
【0026】
第2段階の環化・アルキル化段階は、置換ヒドラジンを用いて一段階で、または無置換ヒドラジンにより、N−無置換のピラゾールを得て、次いでアルキル化により二段階で、本発明の原料となる1,3−ジアルキルピラゾール−5−カルボン酸化合物を合成する反応であり、いずれも高収率で目的物を得ることができる。
【0027】
特に、二段階反応で行なう場合でも、アルキル化反応はメチル化の場合、ジメチル硫酸を用いて、低温で行なうことで極めて高選択的に1,3−ジアルキルピラゾール−5−カルボン酸化合物を得ることができる。
【0028】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0029】
式(I)−(III)のピラゾール化合物において、置換基R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子またはC1-4のアルキル基を表わす。
【0030】
C1-4のアルキル基としては、通常、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。
【0031】
各置換基について原料事情や合成の簡便さを考慮した場合、R1としてはメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソブチル基等が好ましいが、特にメチル基が好ましい。R2としては水素原子、メチル基、エチル基、n−ブチル基が好ましく、特に水素原子、メチル基、エチル基が好ましい。R3としては、合成的には種々の化合物が得られるものの、実用上は水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0032】
次に、本発明の反応の各段階について詳細に述べる。
【0033】
本発明の第1段階は、ピラゾール−5−カルボン酸化合物を、ホルムアルデヒドおよびその等価体から選ばれた1種以上、鉱酸およびルイス酸から選ばれた1種以上の酸触媒、並びに塩化水素の存在下に反応させて4−クロロメチルピラゾール−5−カルボン酸化合物を得る段階である。
【0034】
反応に用いるホルムアルデヒドの等価体としては、ホルマリン水溶液、パラホルムアルデヒド、1,3,5−トリオキサン等が挙げられるが、パラホルムアルデヒドまたは1,3,5−トリオキサンが、取扱い、収率などの点から好ましい。
【0035】
これらホルムアルデヒド類の使用量は、基質のピラゾールに対して、0.5〜10当量が好ましく、特に0.8〜3当量を用いることが操作上も好ましい。
【0036】
反応に用いる塩化水素としては、塩化水素ガス、塩酸等を用いることができるが、生産性を考慮すると、反応系内の塩化水素が高濃度の方が好ましく、塩化水素ガスまたは通常入手可能な塩酸(35%濃度以上)を用いることがさらに好ましい。塩化水素の使用量は、基質のピラゾールに対して、0.5〜15当量が好ましく、特に0.8〜4当量が好ましい。但し塩化水素ガスとして系内に連続的に供給する場合は、さらに過剰量を供給し、過剰分を反応系外で処理することもできる。
【0037】
反応に用いる酸触媒としては、上記塩化水素も当然触媒作用を有するが、その他各種の酸を単独にまたは組み合せて使用することで、さらに良好な結果を得ることができる。例えば、硫酸、リン酸、酢酸、クロロスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のプロトン酸、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、三フッ化ホウ素、塩化第一スズ、塩化第二スズ等のルイス酸等を用いることができるが、鉱酸またはルイス酸が好ましく、その中では硫酸、リン酸、塩化亜鉛、塩化アルミニウムが一般的であり、特に、硫酸、リン酸が好ましい。
【0038】
酸触媒の使用量としては、基質のピラゾールに対して、0.001〜1.0当量が好ましく、特に0.01〜0.5当量を用いることが収率の点また後処理の操作上からも好ましい。
【0039】
反応に用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に制限は無く、例えば、ジエチルエ−テル、メチル−t−ブチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジエチルエ−テル、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エチレングリコ−ルジメチルエ−テル、エチレングリコ−ルジエチルエ−テル、エチレングリコ−ルジブチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジブチルエ−テル、トリエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、1,4−ジオキサン等のエ−テル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロナフタリン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素等の尿素類および水が挙げられる。これらは単独または組合せて使用できる。
【0040】
上述のように、本反応は水を含む系でも実施が可能であるが、反応条件によっては、生成物中にヒドロキシメチル体やその類縁体のように、本反応の目的に好ましくない副生物を大量に副生する場合がある。従って、本反応を目的にあった結果を与えるようにするには、反応に用いる酸、溶媒等に由来する水分を、反応系内濃度として20%以下に制御することが好ましい。
【0041】
本反応は、通常、室温から高温で行なうことができる。しかし、反応試剤の使用量を含めて経済的な製造を考慮した場合の温度範囲としては、30〜200℃が好ましく、特に50〜150℃または用いる溶媒の沸点の範囲で行なうことが好ましい。
【0042】
反応時間は、用いる試剤の量、濃度、反応温度等により一定しないが、通常は0.5〜20時間、好ましくは1〜10時間の範囲で終了するように、条件を設定することが好ましい。
【0043】
反応終了後は、必要により溶媒を留去し、粗反応物に水および水と混合しない溶媒を加えて充分に洗浄後、有機層より蒸留、カラムクロマトグラフィ−等の常法により目的とする4−クロロメチルピラゾール−5−カルボン酸化合物を高収率で単離することが可能であるが、本発明の目的をより合理的に達成するためには、第1段階で得られた抽出液をそのまま次の第2段階に使用することが好ましい。
【0044】
本発明の第2段階は、4−クロロメチルピラゾール−5−カルボン酸化合物を、還元的に脱クロロ化して4−メチルピラゾール−5−カルボン酸化合物を得る段階である。
【0045】
本反応の還元反応条件としては、遷移金属触媒を用いた接触還元方法または金属水素化物あるいは金属水素錯化合物を用いた還元方法が好ましい。
【0046】
遷移金属触媒を用いた接触還元方法としてはパラジウム、ロジウム、白金、ルテニウム、ニッケル等の各種遷移金属を触媒として用いることができるが、生産性、経済性等からパラジウムまたはニッケルを含む触媒が最も一般的であり好ましい。
【0047】
触媒の形態としては、遷移金属錯体、金属化合物、担持固体触媒等の形態が好ましいが、パラジウム担持シリカ触媒、パラジウム担持アルミナ触媒、パラジウム担持炭素触媒、パラジウム担持硫酸バリウム触媒、パラジウム担持ゼオライト触媒、パラジウム担持シリカ・アルミナ触媒、ラネ−ニッケル等の担持または固体触媒が操作性、経済性を考慮して特に好ましい。
【0048】
触媒の使用量は、触媒上の金属担持量、比表面積等により一定しないが、使用する基質のピラゾール1モルあたり、触媒金属として0.00001〜0.1グラム原子が好ましく、0.0001〜0.05グラム原子がさらに好ましい。
【0049】
反応には水素を共存させることが一般的である。使用する水素としては、純水素ガスでも、反応に不活性な窒素、アルゴン等のガスにより希釈された水素ガスを用いてもよい。
【0050】
反応系内の水素分圧は、通常0.005〜10MPaの範囲から選択することが好ましく、また水素分圧の高い方が反応そのものは短時間で進行するが、操作性や設備の点から0.01〜5MPaの範囲で反応を行なうことが特に好ましい。また希釈水素ガスを使用する場合の全圧も0.01〜5MPaに準じた圧力範囲に設定することが好ましい。
【0051】
何れの圧力においても、量論量以上の水素が反応系内に共存するように制御することが必要である。
【0052】
本反応では水素ガスを使用せずに、水素源として以下の化合物を共存させて、接触的加水分解により目的物を得ることもできる。
【0053】
この場合に用いることのできる水素源としては、ギ酸アンモニウム、ギ酸トリメチルアンモニウム、ギ酸トリエチルアンモニウム、亜リン酸ニ水素ナトリウム等が挙げられる。
【0054】
水素源の使用量としては、基質のピラゾールに対して0.8〜10当量が好ましく、特に0.9〜3当量を用いることが操作上も好ましい。
【0055】
本反応では、脱クロロ化反応に伴い、量論量の塩化水素が生成する。この塩化水素は、反応系に存在していても特に問題はないが、系内に塩基を存在させて中和を行ないながら反応を行なうこともできる。
【0056】
反応に用いることのできる塩基類としては、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、メチルエチルピリジン、N,N−ジメチルアニリン等の有機塩基類、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類等が使用可能である。
【0057】
上記塩基の使用量は基質のピラゾールに対して、0.5〜5当量が好ましく、特に0.9〜3当量を用いることが操作上も好ましい。
【0058】
本発明のもう一つの脱クロロ化方法として金属水素化物または金属水素錯化合物を用いる方法が挙げられる。
【0059】
反応に用いることのできる金属水素化物または金属水素錯化合物としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化銅リチウム等が挙げられる。
【0060】
上記金属水素化物または金属水素錯化合物の使用量は基質のピラゾールに対して、ハイドライド基準で0.8〜5当量が好ましく、特に0.9〜3当量を用いることが操作上も好ましい。
【0061】
本発明の第2段階は、通常、基質のピラゾール化合物を有機溶媒中に溶解して反応を行なうことが好ましい。
【0062】
反応に用いることのできる溶媒としては、反応に直接関与しないものであれば各種のものを用いることが可能であり、上記何れかの還元方法に使用可能なものを列挙すれば、メタノ−ル、エタノ−ル、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ル、1−ブタノ−ル、2−ブタノ−ル、イソブタノ−ル、2−メチル−2−プロパノ−ル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、i−プロピルセロソルブ、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、シクロヘキサノ−ル、ベンジルアルコ−ル等のアルコ−ル類、ジエチルエ−テル、メチル−t−ブチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジエチルエ−テル、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エチレングリコ−ルジメチルエ−テル、エチレングリコ−ルジエチルエ−テル、エチレングリコ−ルジブチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジブチルエ−テル、トリエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、1,4−ジオキサン等のエ−テル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロナフタリン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素等の尿素類および水が挙げられる。これらは単独または組合せて使用することができる。
【0063】
本反応は、反応試剤、方法等にもよるが、通常、−50℃以上の温度範囲で行なうことができる。但し、操作性や生産性の点から、0〜120℃の温度範囲が好ましく、20〜100℃または用いる溶媒の沸点の範囲で行なうことが特に好ましい。
【0064】
反応時間は、用いる試剤の量、濃度、反応温度等により一定しないが、0.5〜20時間で反応が終了するように条件を設定することが好ましく、1〜10時間で終了するように条件を設定することがさらに好ましい。
【0065】
本発明における反応の終了後は、触媒の分離、溶媒の留去、有機溶媒による抽出、洗浄等の常法による後処理の後、目的化合物である1,3−ジアルキル−4−メチルピラゾール−5−カルボン酸化合物を蒸留、結晶化等の方法により、純粋な形で高収率で単離することができる。
【0066】
【実施例】
以下、実施例をあげ本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
〔実施例1〕4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルの合成
1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル16.9g(0.1モル)を、塩化水素7.30g(0.2モル)および98%硫酸1.00g(0.01モル)を含む1,4−ジオキサン100mlに室温で添加した。続いてパラホルムアルデヒド6.00g(0.2モル)を添加した後に、撹拌しながら温度を上昇させ、温度約90℃において5時間反応させた。同温にて減圧とし、溶媒を留去した後に冷却し、反応液を氷水200ml中に注ぎ、次いで生成物をトルエン150mlで2回抽出した。トルエン層をあわせて水洗した後の有機層中の成分を、内部標準物質を用いた高速液体クロマトグラフィ−により分析した結果、目的の4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルが、91.5%の収率で得られていた。さらにトルエンを減圧下に留去したところ目的物が純度95%の油状物として20.7g得られた。単離収率は95%であった。
【0068】
得られた4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルの1H−NMRを以下に示す。
【0069】
1H−NMRδ(ppm):1.43(3H,t,J=7.1HZ)、2.30(3H,s)、4.10(3H,s)、4.40(2H,q,J=7.1HZ)、4.80(2H,s)
〔実施例2〕4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルの合成
1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル16.9g(0.1モル)を、35%塩酸10.43g(0.1モル)、95%硫酸1.00g(0.01モル)およびトルエン100mlの混合物に室温で添加した。続いてパラホルムアルデヒド6.00g(0.2モル)を添加した後に、撹拌しながら温度を上昇させ、温度90〜100℃において5時間反応させた。冷却後、反応液に氷水150ml中に注ぎ、有機層を分離し、引き続き水層にトルエン100mlを加え抽出した。トルエン層をあわせて水洗した後の有機層中の成分を、内部標準物質を用いた高速液体クロマトグラフィ−により分析した結果、目的の4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルが、69.0%の収率で得られていた。
【0070】
〔実施例3〕4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルの合成
1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル16.9g(0.1モル)を、95%硫酸1.00g(0.01モル)および1,4−ジオキサン50mlの混合物に室温で添加した。続いてパラホルムアルデヒド6.00g(0.2モル)を添加した後に、撹拌しながら温度を上昇させ、温度約90℃において塩化水素ガスを50ml/minの速度で吹き込みながら5時間反応させた。同温にて減圧とし、溶媒を留去した後に冷却し、反応液を氷水100ml中に注ぎ、次いで生成物をトルエン60mlで2回抽出し、水50mlにて2回洗浄を行なった。得られた有機層中の成分を、内部標準物質を用いた高速液体クロマトグラフィ−により分析した結果、目的の4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルが、96.5%の収率で得られていた。さらにトルエンを減圧下に留去したところ目的物が純度97%の油状物として21.10g得られた。単離収率は97%であった。
【0071】
〔実施例4〕4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルの合成
1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル16.9g(0.1モル)を、塩化水素7.30g(0.2モル)、85%リン酸1.16g(0.01モル)および1,4−ジオキサン50mlの混合物に室温で添加した。続いてパラホルムアルデヒド6.00g(0.2モル)を添加した後に、撹拌しながら温度を上昇させ、温度約90℃において5時間反応させた。同温にて減圧とし、溶媒を留去した後に冷却し、反応液を氷水100ml中に注ぎ、次いで生成物をトルエン60mlで2回抽出し、水50mlにて2回洗浄を行なった。得られた有機層中の成分を、内部標準物質を用いた高速液体クロマトグラフィ−により分析した結果、目的の4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルが、93.1%の収率で得られていた。さらにトルエンを減圧下に留去したところ目的物が純度95%の油状物として19.80g得られた。単離収率は91%であった。
【0072】
〔実施例5〕4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルの合成
1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル16.9g(0.1モル)を、塩化アルミニウム1.33g(0.01モル)、塩化水素9.1g(0.25モル)および1,4−ジオキサン200mlの混合溶液に室温で添加した。続いてパラホルムアルデヒド6.00g(0.2モル)を添加した後に、撹拌しながら温度を上昇させ、温度約90℃において5時間反応させた。同温にて減圧とし、溶媒を留去した後に冷却し、反応液を氷水100ml中に注ぎ、次いで生成物をトルエン100mlで2回抽出し、水50mlにて2回洗浄を行なった。得られた有機層中の成分を、内部標準物質を用いた高速液体クロマトグラフィ−により分析した結果、目的の4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルが、87.5%の収率で得られていた。
【0073】
〔実施例6〕4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルの合成
1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル16.9g(0.1モル)を、塩化亜鉛4.09g(0.03モル)、塩化水素9.1g(0.25モル)および1,4−ジオキサン100mlの混合溶液に室温で添加した。続いてパラホルムアルデヒド6.00g(0.2モル)を添加した後に、撹拌しながら温度を上昇させ、温度約90℃において8時間反応させた。同温にて減圧とし、溶媒を留去した後に冷却し、反応液を氷水100ml中に注ぎ、次いで生成物をトルエン100mlで2回抽出し、水100mlにて2回洗浄を行なった。得られた有機層中の成分を、内部標準物質を用いた高速液体クロマトグラフィ−により分析した結果、目的の4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルが、81.3%の収率で得られていた。
【0074】
〔実施例7〕4−クロロメチル−3−エチル−1−メチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルの合成
3−エチル−1−メチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル18.3g(0.1モル)を、95%硫酸1.00g(0.01モル)および1,4−ジオキサン50mlの混合物に室温で添加した。続いてパラホルムアルデヒド6.00g(0.2モル)を添加した後に、撹拌しながら温度を上昇させ、温度約90℃において塩化水素ガスを50ml/minの速度で吹き込みながら5時間反応させた。以下,実施例3と同様の処理と分析を行ない目的の4−クロロメチル−3−エチル−1−メチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルが、92.5%の収率で得られていた。
【0075】
〔実施例8〕1,3,4-トリメチルピラゾール-5-カルボン酸エチルエステルの合成
窒素雰囲気下にて、4-クロルメチル-1,3-ジメチルピラゾール-5-カルボン酸エチルエステル21.7g(0.1モル)、5%活性炭担持パラジウム触媒(50%含水品)1.09g(5wt%)、メタノール50mL、水10mLを混合した後、ガスビュレットを装着し、水素ガスを充填して反応器内を撹拌しながら常圧の水素ガスで5回置換した。 その後、反応温度を25℃に保ち、水素ガスの供給を8時間続けた。
【0076】
反応後、触媒を濾過してメタノール溶媒を減圧にて留去した後、水80mL、ヘプタン100mLを加えて抽出を行なった。有機層を分液後、引き続き水層にヘプタン50mLを加え抽出した。ヘプタン層をあわせて水洗した後の有機層中の成分を内部標準法による分析の結果、目的の1,3,4-トリメチルピラゾール-5-カルボン酸エチルエステルが、93.0%の収率で得られていた。その抽出液より溶媒を減圧下に留去し、続けて減圧蒸留を行なって目的の1,3,5-トリメチルピラゾール-5-カルボン酸エチルエステルを油状物として16.4g得た(沸点:102?103℃/1mmHg、単離収率:90%)。
【0077】
得られた1,3,4-トリメチルピラゾール-5-カルボン酸エチルエステルの1H-NMRを以下に示す。
【0078】
1H-NMRδ(ppm):1.39(3H,t,J=7.1Hz)、2.18(3H,s)、2.19(3H,s)、4.07(3H,s)、4.36(2H,q,J=7.1Hz)
〔実施例9〕1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルの合成
内容量200mlのステンレス製オ−トクレ−ブに窒素雰囲気下にて、4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル21.7g(0.1モル)、ラネ−ニッケル触媒(50%含水スラリ−品)1.09g(5重量%)、メタノ−ル50mlおよび水10mlを混合した後、内部を0.5MPaの水素ガスで5回置換した。 その後、1.0MPaの水素圧をかけ、反応温度を25〜30℃に保ち、水素ガスの吸収がなくなるまで水素ガスの供給を続けた。反応終了後、触媒を濾過してメタノ−ル溶媒を減圧にて留去した後、水80ml、ヘプタン100mlを加えて抽出を行なった。有機層を分液後、引き続き水層にヘプタン50mlを加え抽出した。ヘプタン層をあわせて水洗した後の有機層中の成分を、内部標準物質を用いた高速液体クロマトグラフィ−により分析した結果、目的の1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルが、95.0%の収率で得られていた。
【0079】
〔実施例10〕1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルの合成
4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル21.7g(0.1モル)のメタノ−ル200ml溶液に、水素化ホウ素ナトリウム7.57g(0.2モル)を室温にて1時間かけて分割投入した。その後、1時間撹拌した後、加熱還流を2時間行なった。ヨウ化メチルで過剰の水素化ホウ素ナトリウムを分解し、溶媒を減圧にて留去した後、水80mlおよびヘプタン100mlを加えて抽出を行なった。有機層を分液後、引き続き水層にヘプタン50mlを加え抽出した。ヘプタン層より溶媒を減圧下に留去し、続けて減圧蒸留を行なって目的の1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルを油状物として17.5g得た。単離収率は96%であった。
【0080】
〔実施例11〕1,3,4-トリメチルピラゾール-5-カルボン酸エチルエステルの合成
200mL容積のステンレス製オートクレーブに、窒素雰囲気下にて、4-クロルメチル-1,3-ジメチルピラゾール-5-カルボン酸エチルエステル21.7g(0.1モル)、5%活性炭担持パラジウム触媒(50%含水品)1.09g(5wt%)、トルエン100mLを混合した後、系内を水素ガスにて5 kg/cm2の圧力にて3回置換した。その後を水素ガスを5kg/cm2にて充填して、反応温度を30℃に保ち、水素ガスの吸収がなくなるまで圧力を保つように水素ガスを供給した。
【0081】
反応後、系内を脱圧後、系内を窒素ガスにて充分に置換した後に、内容物を取り出し、触媒を濾過した。得られたトルエン相を高速液体クロマトグラフィーによる定量分析に供したところ、目的の1,3,4-トリメチルピラゾール-5-カルボン酸エチルエステルが収率98.5%で得られていた。
【0082】
トルエン相に水80mLを加えて2回洗浄後、溶媒を減圧下に留去し、続けて減圧蒸留を行なって目的の1,3,5-トリメチルピラゾール-5-カルボン酸エチルエステルを油状物として16.8g得た(単離収率:92%)。
【0083】
〔実施例12〕1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルの合成(連続的方法による合成)
1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル16.9g(0.1モル)を、95%硫酸1.00g(0.01モル)および1,4−ジオキサン50mlの混合物に室温で添加した。続いてパラホルムアルデヒド6.00g(0.2モル)を添加した後に、撹拌しながら温度を上昇させ、温度約90℃において塩化水素ガスを50ml/minの速度で吹き込みながら5時間反応させた。同温にて減圧とし、溶媒を留去した後に冷却し、反応液を氷水100ml中に注ぎ、次いで生成物をトルエン60mlで2回抽出し、水50mlにて2回洗浄を行なった。得られたトルエン層を反応フラスコに移し、内部を窒素で充分に置換した後に、5%活性炭担持パラジウム触媒(50%含水品)1.09g(5重量%)を加え、ガスビュレットを装着し、水素ガスを充填して反応器内を撹拌しながら常圧の水素ガスで5回置換した。その後、反応温度を40℃に保ち、水素ガスを吸収が認められなくなるまで続けた。冷却後、金属触媒を濾過して得られた有機層を水50mlで2回洗浄し、溶媒を減圧下に留去し、続けて減圧蒸留を行なって目的の1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルを油状物として15.9g得た。1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルからの単離収率は87%であった。
【0084】
〔比較例〕4−クロロメチル−1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルの合成
1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル16.9g(0.1モル)を、塩化水素7.30g(0.2モル)および1,4−ジオキサン50mlの混合物に室温で添加した。続いてパラホルムアルデヒド6.00g(0.2モル)を添加した後に、撹拌しながら温度を上昇させ、温度約90℃において3時間反応させた。この時、高速液体クロマトグラフィ−で分析した結果、原料が83%残存しており、目的物は5%程度生成しているにすぎなかった。続いて反応系内に塩化水素ガスをさらに7.30g(0.2モル)添加して、加熱撹拌を行なったが、同様の高速液体クロマトグラフィ−での分析の結果、原料が77%残存しており、目的物は8%程度生成しているにすぎなかった。
【0085】
〔参考例1〕1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルの合成
3(5)−メチルピラゾール−5(3)−カルボン酸エチルエステル30.8g(融点:83.0℃、0.2モル)を結晶のまま100mlの反応フラスコに加え、撹拌しながら、ジメチル硫酸26.5g(0.21モル)をフラスコ内の温度が30℃を越えないようにして加えた。その後、2時間撹拌して得られた均一の反応物をトルエン150ml中に溶解し、水100mlで3回洗浄した。得られた有機層から溶媒を減圧下に留去し、さらに減圧蒸留(117℃/25mmHg)を行なうことにより目的の1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルが30.6g得られた。単離収率は91%であった。
【0086】
得られた1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステルの1H−NMRを以下に示す。
【0087】
1H−NMRδ(ppm):1.36(3H,t,J=7.1HZ)、2.26(3H,s)、4.10(3H,s)、4.32(2H,q,J=7.1HZ)、6.60(1H,s)
〔参考例2〕(1Z)−2−シアノ−2−(5−エチル−2−フェニル( 1,2,3−トリアゾ−ル−4−イル))−1−(1,3,4−トリメチルピラゾール−4−イル)ビニル2,2−ジメチルプロパノエ−トおよび(1E)−2−シアノ−2−(5−エチル−2−フェニル( 1,2,3−トリアゾ−ル−4−イル))−1−(1,3,4−トリメチルピラゾール−4−イル)ビニル2,2−ジメチルプロパノエ−トの合成
1)1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸の合成
先の実施例で得た1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル118.2g(0.1モル)を、水酸化カリウム8.42g(0.15モル)の水−エタノ−ル(1:1)溶液100ml中に加え、30℃で3時間反応させた。その後、減圧下に溶媒を約半量まで留去した粗反応液を、15%塩酸120ml中に温度50℃で加えて酸性とし、室温まで冷却した。得られた結晶を濾過、水洗後、減圧下に乾燥することで、目的の1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸(融点:182℃)を14.2g得た(収率:92%)
2)1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸クロライドの合成
上記の1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸12.33g(0.08モル)を触媒量のN,N−ジメチルホルムアミド(0.03g)を含む塩化チオニル14.28g(0.12モル)中に、温度50℃を越えないように徐々に添加した。そのまま3時間反応を行なった後に、トルエン50mlを加え過剰の塩化チオニルを減圧にて留去した。残査にヘプタン30mlを加えてスラリ−化させ、さらに5℃まで冷却して結晶を濾取し、温度25℃で減圧下に乾燥することで、目的の1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸クロライドを13.0g得た(融点:41℃、収率:94%)。
3)2−シアノ−2−(5−エチル−2−フェニル( 1,2,3−トリアゾ−ル−4−イル))−1−(1,3,4−トリメチルピラゾール−4−イル)ビニル2,2−ジメチルプロパノエ−トの合成
カリウム−t−ブトキシド12.90g(0.115モル)の1,4−ジオキサン350ml溶液を窒素気流下に2時間撹拌後、1,3,4−トリメチルピラゾール−5−カルボン酸クロライド9.49g(0.055モル)および4−シアノメチル−5−エチル−2−フェニル−1,2,3−トリアゾ−ル10.61g(0.05モル)の1,4−ジオキサン50ml溶液を、温度を25〜30℃に保ちながら2時間かけて滴下した。その後、同温にて2時間撹拌後、ピバロイルクロライド8.14g(0.0675モル)の1,4−ジオキサン10ml溶液を、温度を25〜30℃に保ちながら1時間かけて滴下した。さらに5時間撹拌を続けた後に、溶媒を減圧下、50℃にて留去した。残査にトルエン150mlを加えて得た溶液を水100mlで2回洗浄した。このトルエン層をHPLCの内部標準法により定量分析した結果、この溶液には、(1Z)−2−シアノ−2−(5−エチル−2−フェニル( 1,2,3−トリアゾ−ル−4−イル))−1−(1,3,4−トリメチルピラゾール−4−イル)ビニル2,2−ジメチルプロパノエ−トが13.41g(収率:62%)および(1E)−2−シアノ−2−(5−エチル−2−フェニル( 1,2,3−トリアゾ−ル−4−イル))−1−(1,3,4−トリメチルピラゾール−4−イル)ビニル2,2−ジメチルプロパノエ−トが6.06g(収率:28%)が含まれていた。
【0088】
トルエン層より溶媒を減圧下、50℃にて留去して得られた粗生成物をアセトニトリル80mlにより再結晶したところ、一方の立体である(1Z)−2−シアノ−2−(5−エチル−2−フェニル( 1,2,3−トリアゾ−ル−4−イル))−1−(1,3,4−トリメチルピラゾール−4−イル)ビニル2,2−ジメチルプロパノエ−ト(以下、化合物Aと称する。)を純粋な形で11.89g(融点:143℃、収率:55%)得ることができた。
【0089】
〔参考例3〕化合物Aのミカンハダニに対する残効試験
参考例2で製造した化合物Aの5%乳剤を展着剤の入った水で希釈して、所定濃度に調整し、この液をミカン鉢植え1ポット当たり250mlづつ、回転式散布塔を用いて散布した。その後、野外に放置し、所定日数後に葉をリーフパンチを用いて径3.0cmの円形に切り取り、径7cmのスチロールカップ上の湿った濾紙上に置いた。これにミカンハダニ雌成虫を1葉当たり10頭接種した。25℃の恒温室に収容し、48時間後の死虫率を以下の計算式から求めた。試験は4区制で行った。結果を第1表に示す。
【0090】
【数1】
死虫率(%)={死虫数/(死虫数+生存虫数)}×100
【0091】
なお、比較化合物として、WO97/40009に記載された以下の化合物Bを用いた。
【0092】
【化10】
【0093】
【表1】
【0094】
【発明の効果】
本発明の方法により、従来、その合成が困難であった1,3−ジアルキル−4−メチルピラゾール−5−カルボン酸化合物が、比較的穏和な反応条件で、しかも高収率で得られる。本目的化合物群は、医農薬等のファインケミカルズ中間体として重要であり、今後その利用がさらに期待できる。
Claims (3)
- 式(I)および(II)において、R1およびR3がメチル基を表わし、R2が水素原子またはC1−4のアルキル基を表わす、請求項1記載の製造方法。
- 酸触媒が、硫酸およびリン酸から選ばれる1種以上である、請求項1または2記載の製造方法。
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