JP4609198B2 - フォールディング回路およびアナログ−デジタル変換器 - Google Patents
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このフォールディング回路100は、基準電圧を生成する抵抗ラダー101と、交互に電流出力端が接続された複数のアンプD1〜D5と、負荷抵抗Ra,Rbとを有する。
抵抗ラダー101は、最大の基準電圧Vrtの供給端子と最小の基準電圧Vrbの供給端子との間に縦続接続されている複数の抵抗R1〜R4を有する。各抵抗間のノードおよび上記2つの供給端子から、値が順次変化する複数の基準電圧Vrb,Vr1,Vr2,Vr3,Vrtが出力される。
複数のアンプD1〜D5は、入力電圧Vinを基準電圧Vr(最大の基準電圧Vrt、最小の基準電圧Vrb、または、基準電圧Vri(i=1,2,3))と比較し、入力電圧Vinと基準電圧Vrとの差に応じて電流を出力する(電流を出力端子から引き込む)。
アンプD1〜D5は、図示のように、差動ペアをなす2つのNMOSトランジスタ102aおよび102bと、1つの電流源103とからなる。NMOSトランジスタ102aのゲートに入力信号の電圧(入力電圧Vin)が印加され、他のMOSトランジスタ102bのゲートに基準電圧Vrが入力される。NMOSトランジスタ102aと102bはソース同士が接続され、電流源103を流れる電流によりバイアスされる。
図4の構成において、この入出力特性(図6)を考えると、それぞれのアンプが基準電圧Vrを超える度に差動ペア内で電流を引き込むトランジスタを、図5に示すように基準電圧Vrが印加されているNMOSトランジスタ102b側(以下、正相出力側という)から、入力電圧Vinが印加されているNMOSトランジスタ102a側(以下、逆相出力側)に切り替える。この出力電流の切り替え(ステアリング)により、順次異なる基準電圧Vrの値を各々閾値とするフォールディング波形が生成される。
まず、入力電圧Vinと最小の基準電圧Vrbとの関係が入力電圧Vin<Vrbの場合、全てのアンプD1〜D5の出力は正相出力側から出力電流Io(=Ib)を出力する。このため負荷抵抗R1に流れる電流(負荷電流)をIr1、負荷抵抗R2に流れる電流(負荷電流)をIr2とすると、次式(1-1),(1-2)が成り立つ。
Ir1=3Io…(1-1)
Ir2=2Io…(1-2)
Ir1=2Io…(2-1)
Ir2=3Io…(2-2)
Ir1=3Io…(3-1)
Ir2=2Io…(3-2)
図4に示すように、出力電流Ioは負過抵抗R1またはR2を流れ、その抵抗により降下した電圧が出力電圧Voa,Vobとなる。したがって、図7に示すように、ハイレベルの電圧(Vdd−2Io*R2)とローレベルの電圧(Vdd−3Io*R1)が、各基準電圧で折り返したフォールディング波形が生成される。
図8(A)に示すチョッパタイプのアンプ200は、アンプ201と、アンプ201の入出力間に接続され、クロックck1により制御されるスイッチ202と、アンプ201の入力に接続されているキャパシタ203と、キャパシタの入力ノードに並列に接続され、それぞれクロックck1,ck2により制御されるスイッチ204,205とを有する。
リセットモード(クロックck1がハイレベル時)において、スイッチ202がオンしてアンプ201の入出力はショートされ、このときに生成される電圧に対し、スイッチ204に入力される電圧Vbをサンプルする。
次のフェイズのアンプモード(クロックck2がハイレベル時)で、スイッチ202がオフしてアンプ201はオープンループのアンプとなり、かつ、スイッチ204がオフし、スイッチ205がオンする。これによりキャパシタ203の入力端に電圧Vaが印加され、この電圧Vaと、リセットモードでサンプルされた電圧Vbとの変化分がアンプ201の入力に伝達され増幅される。
一方、AD変換器のような変換クロックを有するアナログ回路にチョッパタイプのアンプ200を応用することは可能で、比較的クロック周波数が低い場合には極めて有効である。
ところが、クロック周波数が数百MHzといった高速タイプの場合、十分なリセット時間がとれず、図8に示すチョッパタイプのアンプ200のオフセットキャンセルが十分に機能しない傾向がある。また、クロック周波数の増加に伴ってキックバックノイズが生じ、このキックバックノイズにより基準電圧が変動し、これが新たなオフセット発生の要因となるケースがある。
好適に、前記アンプは、チョッパタイプのアンプで構成されている。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返し説明は省略する。また、前述した図5〜図8は、当該実施形態の説明に用いる。ただし、詳細は後述するが、本実施形態では図8(A)のクロックck1により制御されるスイッチ204に相当する部分が並列する2つのスイッチで構成され、その何れか一方のみがオンするものである。
フォールディング回路1は、基準電圧を生成する抵抗ラダー2と、交互に電流出力端が接続される複数(N+1)個のアンプ3と、(N+1)個のアンプ3の出力のうち、N個のアンプの出力を制御するN個の4入力2出力タイプのセレクタSEL1〜SEL5と、2つ負荷抵抗Ra,Rbとを有する。
(N+1)個のアンプ3は、それぞれ、チョッパタイプの1stアンプA(A0〜A5の何れか)と、チョッパタイプの1stアンプAの出力に接続された、正相出力端と逆相出力端とを有する2ndアンプB(B0〜B5の何れか)とから構成される。
すなわち、2ndアンプBは、図5を参照すると、差動ペアをなす2つのNMOSトランジスタ102aおよび102bと、1つの電流源103とからなる。NMOSトランジスタ102aのゲートに入力信号の電圧(入力電圧Vin)が印加され、他のMOSトランジスタ102bのゲートに基準電圧Vrが入力される。NMOSトランジスタ102aと102bはソース同士が接続され、電流源103を流れる電流によりバイアスされる。
このセレクタは、2つの入力の一方を選択して出力する2つの単位スイッチ41と42とを備える。単位スイッチ41の一方の入力端子を「第1入力端子TI1」と称し、他方の入力端子を「第2入力端子TI2」と称する。同様に、単位スイッチ42の一方の入力端子を「第3入力端子TI3」と称し、他方の入力端子を「第4入力端子TI4」と称する。単位スイッチ41の出力端子を「第1出力端子TO1」と称し、単位スイッチ42の出力端子を「第2出力端子TO2」と称する。
同様に、アンプB0を除く5つのアンプBiの正相出力端子(白丸表記でない出力端子)がSELiの第3入力端子TI3に接続されている。また、アンプB5を除く5つのアンプBiの正相出力端子は、セレクタSEL(i+1)の第4入力端子TI4に接続されている。
図3において、図3(A)に示すフェイズφ0〜φ16の各フェイズでリセットモードとアンプモードの組み合わせが制御される。
図3(C0)〜図3(C5)は、図8に示すクロックck1とck2とにより制御されるリセットモードとアンプモードを示すものであり、そのハイレベルはクロックck1がオン(ハイレベルに遷移)したリセットモード、そのローレベルはクロックck2がオンしたアンプモードを示す。
図3(B)は、クロックck1がオンしているときに、図1に示す上向き表記のスイッチ35uが選択されてオンするか、下向き表記のスイッチ35dが選択されてオンするかを制御するAZ制御信号を示している。AZ制御信号がハイレベル「H」のときに下向き表記のスイッチ35dが選択されてオンし、AZ制御信号がローレベル「L」のときに上向き表記のスイッチ35uが選択されてオンする。言い換えると、AZ制御信号はリセット時に、最大の基準電圧Vrt、最小の基準電圧Vrb、基準電圧Vri(i=1,2,3)の中から、どの基準電圧を選択するかを制御する。選択された基準電圧が基準電圧Vrである。
また、図3(D1)〜図3(D5)は、セレクタSEL1〜SEL5の制御信号(セレクタ制御信号)を示すものであり、これらの図において「B1」〜「B5」の表記は、セレクタの入力側の選択状態を示す。そして、図3(D1)〜図3(D5)に示すセレクタ制御信号は、そのレベルが「H」のとき上側の第1入力端子TI1と第3入力端子TI3を選択し、それぞれ第1出力端子TO1と第2出力端子TO2に接続する。また、セレクタ制御信号のレベルが「L」のとき下側の第2入力端子TI2と第4入力端子TI4を選択し、それぞれ第1出力端子TO1と第2出力端子TO2に接続する。
より詳細には、このフェイズφ2では、図3(D1)〜図3(D5)に示すセレクタ制御信号のレベルが「H」のときに図2に示すスイッチ41,42は上側の入力(第1および第3入力端子TI1,TI3)を選択していることから、2ndアンプB1〜B5については、図4に示すアンプD1〜D5と同じ接続状態(アンプ状態)となり、前述した式(1-1)および(1-2)の状態と、前述した式(2-1)および(2-2)の状態とが、入力電圧Vinが大きくなるにつれて交互に現れフォールディング波形が出力される。一方、2ndアンプB0の出力がオープンとなるため、この2ndアンプB0はアンプ動作に寄与しない「アンプ休止状態」となる。
本実施形態では、このアンプ休止状態を利用してリセット動作を行う。このときの基準電圧Vrの選択はAZ制御信号が「L」であることから、上向き表記のスイッチ35uが選択される。この場合プリアンプA0はスイッチ35u,35dが共に最小の基準電圧最小の基準電圧Vrbに接続されているため、この最小の基準電圧Vrbがサンプルされ、リセット動作が行われる。
このように、セレクタの制御により、たとえプリアンプA0がリセット動作していても、その出力側の2ndアンプB0の出力がオープンとなっており、このリセット動作がフォールディング波形の生成に影響を与えることはない。
また、AD変換器のような要素回路に応用する際、本発明はバックグランドでリセットすることからAD変換器のクロック周波数とは全く異なる周期で独立にリセット周期を選択することができるため、クロック周波数が高くてもアンプには十分なリセット期間を与えることができる。
Claims (4)
- 折り返し数N(奇数)のフォールディング波形を生成するフォールディング回路であって、
複数の異なる電圧を基準電圧として発生させる基準電圧発生回路と、
前記基準電圧とアナログ入力電圧との差電圧を増幅する少なくとも(N+1)個のアンプと、
前記少なくとも(N+1)個のアンプの中からN個のアンプを選択し、非選択のアンプの出力をオープンにする少なくともN個のセレクタと、
前記セレクタが選択したアンプの出力に接続される2つの負荷抵抗と、
少なくとも1個の非選択のアンプがつぎにアンプ動作するときのリセット電圧レベルを設定するリセット動作と、他の選択されたアンプが行うアンプ動作とが周期的に繰り返されるように、前記アンプおよび前記セレクタを制御する制御部と、
を有するフォールディング回路。 - 前記アンプは、チョッパタイプのアンプで構成されている
請求項1に記載のフォールディング回路。 - 折り返し数N(奇数)のフォールディング波形を生成するフォールディング回路を有するアナログ−デジタル変換器であって、
前記フォールディング回路が、
複数の異なる電圧を基準電圧として発生させる基準電圧発生回路と、
前記基準電圧とアナログ入力電圧との差電圧を増幅する少なくとも(N+1)個のアンプと、
前記少なくとも(N+1)個のアンプの中からN個のアンプを選択し、非選択のアンプの出力をオープンにする少なくともN個のセレクタと、
前記セレクタが選択したアンプの出力に接続される2つの負荷抵抗と、
少なくとも1個の非選択のアンプがつぎにアンプ動作するときのリセット電圧レベルを設定するリセット動作と、他の選択されたアンプが行うアンプ動作とが周期的に繰り返されるように、前記アンプおよび前記セレクタを制御する制御部と、
を有するアナログ−デジタル変換器。 - 前記アンプは、チョッパタイプのアンプで構成されている
請求項3に記載のアナログ−デジタル変換器。
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