JP4609173B2 - 容量式湿度センサおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、湿度によってその容量値が変化する湿度センサ素子を有する、容量式湿度センサおよびその製造方法に関するものである。
湿度によってその容量値が変化する湿度センサ素子を有する容量式湿度センサおよびその製造方法が、例えば、特開2002−243690公報(特許文献1)に開示されている。
図4は、特許文献1に開示された容量式湿度センサ90の模式的な断面図である。
図4の容量式湿度センサ90では、半導体基板1の一方の面側に、感湿部と回路素子部が形成されている。
感湿部では、半導体基板1上に形成されたシリコン酸化膜2上に、2個の電極91a,91bが、離間して対向するように形成されている。また、これら2個の電極91a,91bを覆うように、シリコン窒化膜3と感湿膜4が形成されている。感湿膜4は、周囲の雰囲気の湿度変化に応じて誘電率が変化する材料からなり、従って、雰囲気の湿度変化に伴って感湿部における電極91a,91b間の容量値も変化する。
感湿部における湿度センサ素子を駆動制御する回路素子部は、基準容量部(リファレンス容量部)と、CMOSトランジスタ等形成部とからなる。感湿部における電極91a,91b間の容量値変化は、基準容量部の容量値と比較され、CMOSトランジスタ等形成部で信号処理される。以上のようにして、図4の容量式湿度センサ90では、湿度変化に伴う電極91a,91b間の容量変化を測定し、雰囲気の湿度が測定される。
図5(a)〜(c)に、別の容量式湿度センサ100を示す。
図5(a)は、容量式湿度センサ100の要部を示す模式的な断面図である。図5(b)は、図5(a)に示す感湿部の模式的な上面図であり、図5(c)は、図5(b)のB−B断面における詳細図である。尚、図5(a)〜(c)に示す容量式湿度センサ100において、図4に示した容量式湿度センサ90と同様の部分については同じ符号を付け、その説明は省略する。
図5(a)に示す容量式湿度センサ100も、図4に示す容量式湿度センサ90と同様に、湿度センサ素子10が形成された感湿部と、回路素子部とからなる。感湿部と回路素子部は、シリコン(Si)からなる同じ半導体基板1の一方の面側に形成されている。また、湿度センサ素子10を駆動制御する回路素子部は、基準容量素子20が形成された基準容量部(リファレンス容量部)と、CMOSトランジスタ等形成部とからなる。図5(a)の容量式湿度センサ100と図4の容量式湿度センサ90は類似の構造を有しているが、感湿部における電極形状が、図5(a)〜(c)の容量式湿度センサ100と図4の容量式湿度センサ90とで異なっている。
図5(a)の容量式湿度センサ100における湿度センサ素子10は、図5(b)に示すように、半導体基板1上の同一平面に互いの櫛歯が噛み合って対向するように離間して配置された一対の櫛歯状電極11a,11bを備える、櫛歯電極型の容量素子である。櫛歯状電極11a,11bは、アルミニウム(Al)等の配線材料からなり、シリコン酸化膜2上に形成されている。図5(b)に示す櫛歯状電極11a,11bは、図4に示す離間して対向形成された2個の電極91a,91bに較べて、湿度センサ素子10の容量を大きく設定することができる。また、櫛歯電極型の湿度センサ素子10は、平行平板構造の電極を備える平行平板型の湿度センサ素子に較べて半導体工程での安定した製造が可能になり、安価な容量式湿度センサとすることができる。
櫛歯状電極11a,11b上には、絶縁保護膜であるシリコン窒化膜3を介して、一対の櫛歯状電極11a,11bを覆うように、湿度に応じて誘電率の変化する感湿膜4が形成されている。感湿膜4はポリイミド系樹脂からなり、3〜4の比誘電率を持っている。一方、水(HO)は比誘電率80の物質である。従って、ポリイミド系樹脂からなる感湿膜4に水分子が吸着されると、感湿膜4の誘電率が大きくなり、湿度センサ素子10の容量値が増大する。このようにして、感湿膜4は周囲の雰囲気の湿度変化に応じて誘電率が変化し、それに伴って、湿度センサ素子10の容量値も変化する。
一方、図5(a)の容量式湿度センサ100における基準容量素子20は、シリコン酸化膜2を誘電体とし、半導体基板1に形成されたN型拡散層21とポリシリコン層23を電極とする平行平板型の容量素子である。基準容量素子20は、感湿膜4が形成されていないため、周囲の雰囲気の湿度変化があっても容量値が変化しない。
周囲の雰囲気の湿度変化に伴う湿度センサ素子10の容量値変化は、基準容量素子20の容量と比較され、CMOSトランジスタ等形成部で信号処理される。以上のようにして、図5(a)〜(c)に示す容量式湿度センサ100では、湿度センサ素子10の周囲における雰囲気の湿度が測定される。
特開2002−243690公報
図5(a)〜(c)に示す容量式湿度センサ100の感湿膜4は、スクリーン印刷を用いて容易に形成することができ、安価な容量式湿度センサとすることができる。
一方、図6は、スクリーン印刷により形成した感湿膜4の問題点を説明する図で、スクリーン印刷により形成した感湿膜4の断面を模式的に示した図である。
感湿膜材料は、一般的に、50Pa・s程度の粘度を有するペースト状態に調整されて、スクリーン印刷に供される。しかしながら、スクリーン印刷により形成された感湿膜4では、ペースト状態に調整された感湿膜材料に粘度のばらつきやペースト刷り込み圧力等のばらつきによって、図6に示すように、所謂、『サドル現象(中央部と周辺部の膜厚が異なる現象)』が発生し易い。櫛歯電極型の湿度センサ素子10において、櫛歯状電極11a,11bを覆って形成された感湿膜4に、図6に示すサドル現象が発生すると、容量式湿度センサ100の特性が安定せず、正確な湿度測定ができなくなる。
そこで本発明は、櫛歯電極型の湿度センサ素子を有する容量式湿度センサおよびその製造方法であって、一対の櫛歯状電極を覆う感湿膜を一定膜厚で均一に形成することができ、安定した正確な湿度測定が可能で、製造コストを抑制した安価な容量式湿度センサおよびその製造方法を提供することを目的としている。
請求項1と2に記載の発明は、湿度によってその容量値が変化する湿度センサ素子を有する、容量式湿度センサに関する。
請求項1に記載の容量式湿度センサは、前記湿度センサ素子が、半導体基板上の同一平面に互いの櫛歯が噛み合って対向するように離間して配置された一対の櫛歯状電極と、絶縁膜を介して前記一対の櫛歯状電極を覆って形成され、湿度に応じて誘電率が変化する感湿膜とを有してなり、前記半導体基板における前記湿度センサ素子と別位置に、該湿度センサ素子を駆動制御する回路素子部が形成されてなり、前記一対の櫛歯状電極を取り囲む所定の閉じた経路上において、前記半導体基板上に形成された第1のシリコン酸化膜を介して、前記回路素子部における電極および/または配線と同じ材料層からなる第1のリングパターンが形成されてなり、前記第1のリングパターン上において、前記半導体基板上に形成された第2のシリコン酸化膜を介して、前記一対の櫛歯状電極と同じ材料層からなる第2のリングパターンが形成されてなり、前記閉じた経路上における前記絶縁膜の半導体基板からの表面高さが、前記一対の櫛歯状電極上における前記絶縁膜の半導体基板からの表面高さに較べて、高く設定されてなり、前記感湿膜が、前記閉じた経路上における前記絶縁膜の半導体基板からの表面高さ以下の高さで、前記閉じた経路の内側に形成されてなることを特徴としている。
上記容量式湿度センサにおいては、櫛歯状電極を取り囲む所定の閉じた経路上の上記絶縁膜の表面高さが、櫛歯状電極上に較べて高く設定されている。従って、上記絶縁膜の構造により、所謂、『ダム構造』が形成される。このため、感湿膜の形成にあたっては、例えば後述する製造方法により、水平にセットされた基準台上において、低粘度に調整した感湿膜の材料を、所定の量だけ閉じた経路の内側に流し込むことにより、一定膜厚の感湿膜を形成することが可能である。これにより得られる感湿膜は、高粘度に調整されたペースト状の感湿膜材料を用いてスクリーン印刷により形成される感湿膜と異なり、所謂、『サドル現象(中央部と周辺部の膜厚が異なる現象)』の発生が抑制される。従って、一対の櫛歯状電極を覆う感湿膜を一定膜厚で均一に形成することができ、安定した正確な湿度測定が可能な容量式湿度センサとすることができる。
上記容量式湿度センサにおいては、前記閉じた経路上における前記絶縁膜の半導体基板からの表面高さを前記一対の櫛歯状電極上における前記絶縁膜の半導体基板からの表面高さに較べて高く設定するにあたって、前記半導体基板における前記湿度センサ素子と別位置に、該湿度センサ素子を駆動制御する回路素子部が形成されており、前記回路素子部における電極および/または配線と同じ材料層からなる第1のリングパターンが、前記閉じた経路上に形成されている。また、上記容量式湿度センサにおいては、前記第1のリングパターン上において、前記半導体基板上に形成された第2のシリコン酸化膜を介して、前記一対の櫛歯状電極と同じ材料層からなる第2のリングパターンが形成されている。
第1のリングパターンにより、新たな製造工程によらず、櫛歯状電極を取り囲む所定の閉じた経路上において、絶縁膜の表面高さを、回路素子部における電極および/または配線と同じ材料層の厚さだけ、高く設定することができる。また、第2のリングパターンにより、新たな製造工程によらず、櫛歯状電極を取り囲む所定の閉じた経路上と櫛歯状電極上において、絶縁膜の表面高さを同じに設定することができる。従って、これら第1のリングパターンと第2のリングパターンにより、閉じた経路上において絶縁膜の表面高さを櫛歯状電極上より高めるにあたって、新たな製造工程によらず閉じた経路上における高さの積み上げが容易になって、製造コストを抑制した安価な容量式湿度センサとすることができる。尚、閉じた経路上の前記絶縁膜の半導体基板からの表面高さを利用して、回路素子部を保護する保護用ゲルの閉じた経路上の内側に形成された感湿膜への流れ込みも防止することができる。
上記容量式湿度センサは、例えば、請求項に記載のように、前記回路素子部が、湿度による容量値の変化が前記湿度センサ素子よりも小さい基準容量素子を有してなり、前記基準容量素子の少なくとも一方の電極が、多結晶シリコン層を用いて形成されてなる場合には、前記第1のリングパターンが、前記多結晶シリコン層を用いて形成されてなるように構成することができる。
請求項に記載の発明は、請求項1と2に記載した容量式湿度センサの製造方法に関する。
請求項に記載の発明は、湿度によってその容量値が変化する湿度センサ素子を有する容量式湿度センサの製造方法であって、前記湿度センサ素子が、半導体基板上の同一平面に互いの櫛歯が噛み合って対向するように離間して配置された一対の櫛歯状電極と、絶縁膜を介して前記一対の櫛歯状電極を覆って形成され、湿度に応じて誘電率が変化する感湿膜とを有してなり、前記半導体基板における前記湿度センサ素子と別位置に、該湿度センサ素子を駆動制御する回路素子部が形成されてなり、前記一対の櫛歯状電極を取り囲む所定の閉じた経路上において、前記半導体基板上に形成された第1のシリコン酸化膜を介して、前記回路素子部における電極および/または配線の形成工程を用いて該電極および/または配線と同じ材料層からなる第1のリングパターンを形成し、前記第1のリングパターン上において、前記半導体基板上に形成された第2のシリコン酸化膜を介して、前記一対の櫛歯状電極の形成工程を用いて該一対の櫛歯状電極と同じ材料層からなる第2のリングパターンを形成し、前記閉じた経路上における前記絶縁膜の半導体基板からの表面高さが、前記一対の櫛歯状電極上における前記絶縁膜の半導体基板からの表面高さに較べて、高く設定されてなり、前記感湿膜の材料を、前記閉じた経路の内側に流し込むことにより、前記感湿膜を、前記閉じた経路上における前記絶縁膜の基板からの表面高さ以下の高さで形成することを特徴としている。
これにより、請求項1に記載の容量式湿度センサを製造することができる。
上記容量式湿度センサの製造方法においては、前記回路素子部における電極および/または配線の形成工程を用いて、該回路素子部における電極および/または配線と同じ材料層からなる第1のリングパターンを、前記閉じた経路上に形成している。また、前記一対の櫛歯状電極の形成工程を用いて、前記一対の櫛歯状電極と同じ材料層からなる第2のリングパターンを、前記閉じた経路上に形成している。
例えば請求項4に記載の発明は、前記回路素子部が、湿度による容量値の変化が前記湿度センサ素子よりも小さい基準容量素子を有してなる場合において、前記基準容量素子の少なくとも一方の電極を、多結晶シリコン層を用いて形成し、前記基準容量素子における少なくとも一方の電極の形成工程を用いて、前記多結晶シリコン層からなる第1のリングパターンを、前記閉じた経路上に形成することを特徴としている。
これにより、請求項2に記載の容量式湿度センサを製造することができる。
尚、上記した請求項3,4に記載の製造方法により製造される容量式湿度センサの効果については、前述したとおりであり、その説明は省略する。
請求項に記載のように、上記容量式湿度センサの製造方法においては、前記閉じた経路の内側に流し込む感湿膜の材料の粘度を、10Pa・s以下に調整することが好ましい。
感湿膜の材料を上記のように低粘度に調整することにより、閉じた経路の内側に上記感湿膜の材料を流し込んだ後、水平にセットされた基準台上において溶媒を除去することで、一定膜厚の感湿膜が得られやすくなる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図に基づいて説明する。
図1は、本発明による容量式湿度センサの一例で、図1(a)は、容量式湿度センサ101の要部を示す模式的な断面図である。図1(b)は、図1(a)に示す感湿部の模式的な上面図であり、図1(c)は、図1(a)において点線で囲った部分を拡大して示した詳細図である。尚、図1(a)〜(c)に示す容量式湿度センサ101において、図5(a)〜(c)に示した容量式湿度センサ100と同様の部分については、同じ符号を付けた。
図1(a)に示す容量式湿度センサ101は、湿度によってその容量値が変化する湿度センサ素子11を有する容量式湿度センサである。図1(a)の容量式湿度センサ101は、図5(a)の容量式湿度センサ100と同様に、湿度センサ素子11が形成された感湿部と、湿度センサ素子11を駆動制御する回路素子部とを有している。感湿部と回路素子部は、シリコン(Si)からなる同じ半導体基板1の一方の面側に形成されている。図1(a)の容量式湿度センサ101における回路素子部は、図5(a)の容量式湿度センサ100における回路素子部と同じ構造で、基準容量素子20が形成された基準容量部(リファレンス容量部)と、CMOSトランジスタ等形成部とからなる。
一方、図1(a)の容量式湿度センサ101における感湿部は、図5(a)の容量式湿度センサ100における感湿部と異なる構造を有している。
図1(a)の容量式湿度センサ101における湿度センサ素子11も、図5(a)の容量式湿度センサ100における湿度センサ素子10と同様に、櫛歯電極型の容量素子である。すなわち、湿度センサ素子11は、図1(a)〜(c)に示すように、半導体基板1上の同一平面に互いの櫛歯が噛み合って対向するように離間して配置された一対の櫛歯状電極11a,11bと、絶縁膜3を介して一対の櫛歯状電極11a,11bを覆って形成され、湿度に応じて誘電率が変化する感湿膜4rとを有している。櫛歯状電極11a,11bは、アルミニウム(Al)等の配線材料からなり、シリコン酸化膜2上に形成されている。絶縁膜3は、シリコン窒化膜からなり、感湿膜4rは、ポリイミド系樹脂からなる。
一方、図1(a)〜(c)に示す湿度センサ素子11は、図5(a)〜(c)に示す湿度センサ素子10と、以下の点で異なっている。すなわち、一対の櫛歯状電極11a,11bを取り囲む、図1(b)において二点鎖線で示した閉じた経路A上における絶縁膜3の基板1からの表面高さh2が、一対の櫛歯状電極11a,11b上における絶縁膜3の基板1からの表面高さh1に較べて、高く設定されている。また、感湿膜4rは、閉じた経路A上における絶縁膜3の基板1からの表面高さh2以下の高さで、閉じた経路Aの内側に形成されている。
図1(a)〜(c)に示す容量式湿度センサ101においては、櫛歯状電極11a,11bを取り囲む所定の閉じた経路A上の絶縁膜3の表面高さh2が、櫛歯状電極11a,11b上の表面高さh1に較べて高く設定されている。従って、この絶縁膜3の構造により、所謂、『ダム構造』が形成される。このため、感湿膜4rの形成にあたっては、例えば、水平にセットされた基準台上において、低粘度に調整した感湿膜4rの材料を、所定の量だけ閉じた経路Aの内側に流し込むことにより、一定膜厚の感湿膜4rを、閉じた経路A上における絶縁膜3の表面高さh2以下の高さで形成することが可能である。
上記感湿膜4rの形成方法においては、閉じた経路Aの内側に流し込む感湿膜4rの材料の粘度を、10Pa・s以下に調整することが好ましい。感湿膜4rの材料を10Pa・s以下の低粘度に調整することにより、閉じた経路Aの内側に感湿膜4rの材料を流し込んだ後、水平にセットされた基準台上において溶媒を除去することで、一定膜厚の感湿膜4rが得られやすくなる。
上記材料の流し込み形成により得られる図1(a)〜(c)の感湿膜4rは、高粘度に調整されたペースト状の感湿膜材料を用いてスクリーン印刷により形成される図5(a)〜(c)および図6の感湿膜4と異なり、所謂、『サドル現象(中央部と周辺部の膜厚が異なる現象)』の発生が抑制される。従って、一対の櫛歯状電極11a,11bを覆う感湿膜4rを一定膜厚で均一に形成することができ、安定した正確な湿度測定が可能な容量式湿度センサとすることができる。
容量式湿度センサ101においては、閉じた経路A上の絶縁膜3の表面高さh2を、櫛歯状電極11a,11b上の表面高さh1に較べて高く設定するにあたって、図1(c)に示すように、2つのリングパターン22rと11rが、閉じた経路A上に形成されている。リングパターン22rは、図1(a)おける基準容量素子20の一方の電極22と同じ多結晶シリコン層からなり、電極22の形成工程を用いて同時に形成される。リングパターン11rは、櫛歯状電極11a,11bと同じアルミニウム(Al)等の材料層からなり、櫛歯状電極11a,11bの形成工程を用いて同時に形成される。
リングパターン11rを形成することにより、閉じた経路A上と櫛歯状電極11a,11b上において、絶縁膜3の表面高さを同じに設定することができる。このため、櫛歯状電極11a,11bと同じ材料層からなるリングパターン11rを形成しない場合に較べて、閉じた経路A上において絶縁膜3の表面高さを櫛歯状電極11a,11b上より高めるにあたって、閉じた経路A上における高さの積み上げが容易になる。容量式湿度センサ101においては、図1(c)に示すように、リングパターン22rを形成することにより、閉じた経路A上の絶縁膜3の表面高さh2を櫛歯状電極11a,11b上の表面高さh1に較べて、電極22と同じ多結晶シリコン層の厚さだけ高く設定している。これらは、いずれも新たな製造工程を必要とせず、パターン変更のみで可能である。従って、これにより、製造コストを抑制した安価な容量式湿度センサとすることができる。
尚、図1(a)の容量式湿度センサ101のように、回路素子部を有する容量式湿度センサにおいては、一般的に、回路素子部上に回路素子部を保護する保護用ゲル(図示省略)が塗布される。図1(a)の容量式湿度センサ101においては、閉じた経路A上の絶縁膜3の基板1からの表面高さを利用して、上記保護用ゲルの閉じた経路A上の内側に形成された感湿膜4rへの流れ込みを防止することができる。
図2は、別の容量式湿度センサの例である。図2(a)は、容量式湿度センサ102の要部を示す模式的な断面図であり、図2(b)は、図2(a)において点線で囲った部分を拡大して示した詳細図である。尚、図2(a),(b)に示す容量式湿度センサ102において、図1(a)〜(c)に示した容量式湿度センサ101と同様の部分については、同じ符号を付けた。
図2(a)に示す容量式湿度センサ102も、湿度によってその容量値が変化する湿度センサ素子12を有する容量式湿度センサで、湿度センサ素子12が形成された感湿部と、湿度センサ素子12を駆動制御する回路素子部とを有している。感湿部と回路素子部は、シリコン(Si)からなる同じ半導体基板1の一方の面側に形成されている。図2(a)の容量式湿度センサ102における回路素子部は、基準容量素子23が形成された基準容量部(リファレンス容量部)と、CMOSトランジスタ等形成部とからなる。
図1(a)の容量式湿度センサ101における基準容量素子20は、下部電極21がN型不純物層からなり、上部電極22が多結晶シリコン層からなっていた。これに対して、図2(a)の容量式湿度センサ102における基準容量素子23は、下部電極24と上部電極25が、どちらも多結晶シリコン層からなる。これを利用して、容量式湿度センサ102においては、図2(b)に示すように、2つの多結晶シリコン層からなるリングパターン24r,25rと櫛歯状電極11a,11bと同じ材料層からなる11rが、閉じた経路A上に形成されている。2つの多結晶シリコン層からなるリングパターン24r,25rは、図2(a)おける基準容量素子23の両電極24,25の形成工程を用いて同時に形成されることはいうまでもない。
2つの多結晶シリコン層からなるリングパターン24r,25rを形成することにより、図2(b)の閉じた経路A上における絶縁膜3の表面高さh3を、図1(c)の表面高さh2に較べて、高く設定することができる。これにより、閉じた経路Aの内側に流し込み形成する感湿膜4rの膜厚の設定自由度を高めることができる。尚、図2の容量式湿度センサ102の製造においても、新たな製造工程を必要とせず、製造コストを抑制した安価な容量式湿度センサとすることができる。
また、図1(a)や図2(a)に示す容量式湿度センサ101,102のように、基板1が半導体基板であり、湿度センサ素子11,12と別位置にそれらを駆動制御する回路素子部が形成される場合には、基準容量素子20,23の電極に限らず、回路素子部における電極および/または配線と同じ材料層からなるリングパターンを、閉じた経路A上に形成することができる。これらは、回路素子部における電極および/または配線の形成工程を用いて、回路素子部における電極および/または配線と同時に形成することができる。これにより、新たな製造工程によらず、櫛歯状電極11a,11bを取り囲む閉じた経路A上において、絶縁膜3の表面高さを、回路素子部における電極および/または配線と同じ材料層の厚さだけ、高く設定することができる。従って、これにより、製造コストを抑制した安価な容量式湿度センサとすることができる。
図3は、本発明ではないが参考とする別の容量式湿度センサにおける、湿度センサ素子13の断面を拡大して示した詳細図である。尚、湿度センサ素子13が形成された容量式湿度センサの全体構造は、図1(a)もしくは図2(a)と同様であり、図示を省略した。また、図3に示す湿度センサ素子13において、図1(c)もしくは図2(b)に示した湿度センサ素子11,12と同様の部分については、同じ符号を付けた。
図3に示す湿度センサ素子13は、『ダム構造』が形成されてなる、より一般的な湿度センサ素子となっている。
すなわち、図3に示す湿度センサ素子13は、基板1上の同一平面に互いの櫛歯が噛み合って対向するように離間して配置された一対の櫛歯状電極11a,11bと、絶縁膜3を介して一対の櫛歯状電極11a,11bを覆って形成され、湿度に応じて誘電率が変化する感湿膜4rとを有している。一対の櫛歯状電極11a,11bを取り囲む閉じた経路A上における基板1からの表面高さh4は、閉じた経路A上に形成されたリングパターン5を用いて、一対の櫛歯状電極11a,11b上における絶縁膜3の基板からの表面高さh1に較べて、高く設定されている。また、感湿膜4rは、閉じた経路A上における基板1からの表面高さh4以下の高さで、閉じた経路Aの内側に形成されている。
このように、任意の材料からなるリングパターン5を用いて、一対の櫛歯状電極11a,11bを取り囲む所定の閉じた経路A上における基板1からの表面高さh4を、一対の櫛歯状電極11a,11b上における絶縁膜3の基板1からの表面高さh1に較べて高く設定し、『ダム構造』を形成することが可能である。このため、図3に示す湿度センサ素子13が形成された容量式湿度センサは、図1(a)もしくは図2(a)の容量式湿度センサ101,102と同様に、低粘度に調整した感湿膜4rの材料を、所定の量だけ閉じた経路Aの内側に流し込むことにより、一定膜厚の感湿膜4rを形成することが可能である。これにより得られる感湿膜4rは、スクリーン印刷により形成される図5(a)〜(c)および図6の感湿膜4と異なり、サドル現象の発生が抑制される。従って、上記容量式湿度センサにおいても、一対の櫛歯状電極11a,11bを覆う感湿膜4rを一定膜厚で均一に形成することができ、安定した正確な湿度測定が可能な容量式湿度センサとすることができる。
以上のようにして、図1,2に示した容量式湿度センサおよびその製造方法は、櫛歯電極型の湿度センサ素子を有する容量式湿度センサおよびその製造方法であって、一対の櫛歯状電極を覆う感湿膜を一定膜厚で均一に形成することができ、安定した正確な湿度測定が可能で、製造コストを抑制した安価な容量式湿度センサおよびその製造方法となっている
本発明による容量式湿度センサの一例で、(a)は、容量式湿度センサ101の要部を示す模式的な断面図である。(b)は、(a)に示す感湿部の模式的な上面図であり、(c)は、(a)において点線で囲った部分を拡大して示した詳細図である。 別の容量式湿度センサの例で、(a)は、容量式湿度センサ102の要部を示す模式的な断面図であり、(b)は、(a)において点線で囲った部分を拡大して示した詳細図である。 本発明ではないが参考とする別の容量式湿度センサにおける、湿度センサ素子13の断面を拡大して示した詳細図である。 特許文献1に開示された従来の容量式湿度センサ90の模式的な断面図である。 従来の別の容量式湿度センサで、(a)は、容量式湿度センサ100の要部を示す模式的な断面図である。(b)は、(a)に示す感湿部の模式的な上面図であり、(c)は、(b)のB−B断面における詳細図である。 スクリーン印刷により形成した感湿膜4の問題点を説明する図で、スクリーン印刷により形成した感湿膜4の断面を模式的に示した図である。
符号の説明
90,100〜102 容量式湿度センサ
10〜13 湿度センサ素子
20,23 基準容量素子
1 (半導体)基板
2 シリコン酸化膜
3 絶縁膜(シリコン窒化膜)
11a,11b 櫛歯状電極
4,4r 感湿膜
A 閉じた経路
11r,22r,24r,25r,5 リングパターン

Claims (5)

  1. 湿度によってその容量値が変化する湿度センサ素子を有する容量式湿度センサであって、
    前記湿度センサ素子が、半導体基板上の同一平面に互いの櫛歯が噛み合って対向するように離間して配置された一対の櫛歯状電極と、絶縁膜を介して前記一対の櫛歯状電極を覆って形成され、湿度に応じて誘電率が変化する感湿膜とを有してなり、
    前記半導体基板における前記湿度センサ素子と別位置に、該湿度センサ素子を駆動制御する回路素子部が形成されてなり、
    前記一対の櫛歯状電極を取り囲む所定の閉じた経路上において、前記半導体基板上に形成された第1のシリコン酸化膜を介して、前記回路素子部における電極および/または配線と同じ材料層からなる第1のリングパターンが形成されてなり、
    前記第1のリングパターン上において、前記半導体基板上に形成された第2のシリコン酸化膜を介して、前記一対の櫛歯状電極と同じ材料層からなる第2のリングパターンが形成されてなり、
    前記閉じた経路上における前記絶縁膜の半導体基板からの表面高さが、前記一対の櫛歯状電極上における前記絶縁膜の半導体基板からの表面高さに較べて、高く設定されてなり、
    前記感湿膜が、前記閉じた経路上における前記絶縁膜の半導体基板からの表面高さ以下の高さで、前記閉じた経路の内側に形成されてなることを特徴とする容量式湿度センサ。
  2. 前記回路素子部が、湿度による容量値の変化が前記湿度センサ素子よりも小さい基準容量素子を有してなり、
    前記基準容量素子の少なくとも一方の電極が、多結晶シリコン層を用いて形成され、
    前記第1のリングパターンが、前記多結晶シリコン層を用いて形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の容量式湿度センサ。
  3. 湿度によってその容量値が変化する湿度センサ素子を有する容量式湿度センサの製造方法であって、
    前記湿度センサ素子が、半導体基板上の同一平面に互いの櫛歯が噛み合って対向するように離間して配置された一対の櫛歯状電極と、絶縁膜を介して前記一対の櫛歯状電極を覆って形成され、湿度に応じて誘電率が変化する感湿膜とを有してなり、
    前記半導体基板における前記湿度センサ素子と別位置に、該湿度センサ素子を駆動制御する回路素子部が形成されてなり、
    前記一対の櫛歯状電極を取り囲む所定の閉じた経路上において、前記半導体基板上に形成された第1のシリコン酸化膜を介して、前記回路素子部における電極および/または配線の形成工程を用いて該電極および/または配線と同じ材料層からなる第1のリングパターンを形成し、
    前記第1のリングパターン上において、前記半導体基板上に形成された第2のシリコン酸化膜を介して、前記一対の櫛歯状電極の形成工程を用いて該一対の櫛歯状電極と同じ材料層からなる第2のリングパターンを形成し、
    前記閉じた経路上における前記絶縁膜の半導体基板からの表面高さが、前記一対の櫛歯状電極上における前記絶縁膜の半導体基板からの表面高さに較べて、高く設定されてなり、
    前記感湿膜の材料を、前記閉じた経路の内側に流し込むことにより、
    前記感湿膜を、前記閉じた経路上における前記絶縁膜の基板からの表面高さ以下の高さで形成することを特徴とする容量式湿度センサの製造方法
  4. 前記回路素子部が、湿度による容量値の変化が前記湿度センサ素子よりも小さい基準容量素子を有してなり、
    前記基準容量素子の少なくとも一方の電極を、多結晶シリコン層を用いて形成し、
    前記基準容量素子における少なくとも一方の電極の形成工程を用いて、
    前記多結晶シリコン層からなる前記第1のリングパターンを、前記閉じた経路上に形成することを特徴とする請求項3に記載の容量式湿度センサの製造方法
  5. 前記閉じた経路の内側に流し込む感湿膜の材料の粘度を、10Pa・s以下に調整することを特徴とする請求項3または4に記載の容量式湿度センサの製造方法
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