JP4608972B2 - ポリイミド樹脂層の製造方法、及びポリイミド樹脂無端ベルト、感光体、及びそれを用いた電子写真装置。 - Google Patents
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Description
前記ポリイミド樹脂無端ベルトは、電子写真複写機やレーザープリンタ等の画像形成装置において、電子写真感光体電磁誘導発熱方式の定着ベルトとして供することができる。
以下、ポリイミドは適宜、PIと略すことがある。
一方、感光体は導電性基体の上に感光層を設けたものであり、導電性基体には一般にアルミニウム等の金属管が用いられている。ここにもやはり、機器の構成等のためにベルト体が望まれる場合があるが、従来はプラスチック製フィルムに、蒸着等の方法で金属層を設けて、導電性を付与していた。
プラスチック製フィルムをベルト体とした場合、ベルトに継ぎ目(シーム)があると、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じるので、継ぎ目がない無端ベルトであることが好ましい。また、前記金属層を金属箔の貼り付けにより形成した場合、継ぎ目が生じる。そのため、継ぎ目が生じないようにメッキを施すことが必要である。
<1> ポリイミド前駆体含有液を、円筒状又は円柱状の基体の表面に塗布し、乾燥してポリイミド前駆体層を形成する工程と、
該ポリイミド前駆体層上に、1nm以上100nm以下の粒径であって金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、インジウム、白金、亜鉛、及び錫から選択される少なくとも1種の金属超微粒子を塗布した後、該ポリイミド前駆体を半硬化させるために加熱し、更に該ポリイミド前駆体がイミド化する温度で加熱して、ポリイミド樹脂層と、前記金属超微粒子が互いに融着し連続してなる金属融解層とを同時に形成する工程と、
を有することを特徴とするポリイミド樹脂層の製造方法、
<2> 前記金属超微粒子は、粒径が5nm以上10nm以下であることを特徴とする前記<1>に記載のポリイミド樹脂層の製造方法、
<3> ポリイミド樹脂層上に、金属超微粒子が互いに融着し連続してなる金属融解層が設けられてなり、該ポリイミド樹脂層と該金属融解層とが、前記<1>又は<2>に記載のポリイミド樹脂層の製造方法で形成されてなるポリイミド樹脂無端ベルト、
<4> 非粘着性層が、表面に設けられてなることを特徴とする前記<3>に記載のポリイミド樹脂無端ベルト、
<5> ポリイミド樹脂層と、金属超微粒子が互いに融着し連続してなる金属融解層と、感光層とを有してなり、該ポリイミド樹脂層と該金属融解層とが、前記<1>に記載のポリイミド樹脂層の製造方法で形成されてなることを特徴とする感光体、
<6> 前記<5>に記載の感光体と、前記感光体を張架し回転駆動する直径15mm以下5mm以上のロールとを有することを特徴とする電子写真装置、
<7> 張架された前記感光体の内部に、電気回路基板を配置した<6>に記載の電子写真装置、である。
本発明のポリイミド樹脂層の製造方法は、ポリイミド前駆体含有液を基体の表面に塗布し、乾燥してポリイミド前駆体層を形成する工程と、該ポリイミド前駆体層上に1nm以上100nm以下の粒径であって金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、インジウム、白金、亜鉛、及び錫から選択される少なくとも1種の金属超微粒子を塗布した後、該ポリイミド前駆体を半硬化させるために加熱し、更に該ポリイミド前駆体がイミド化する温度で加熱して、ポリイミド樹脂層と金属融解層とを同時に形成する工程と、を有する方法である。ここで金属融解層とは、前記金属超微粒子が互いに融着し連続して形成された層である。乾燥されたポリイミド前駆体層の加熱は、金属層の融解と同時に行う。
このように、ポリイミド前駆体層上に金属融解層を形成するのと同時に、ポリイミド前駆体を加熱することで、ポリイミド樹脂と金属との密着性を向上させることができる。
まず、PI前駆体溶液を基体表面に塗布する方法を説明する。図1(a)に示すように、基体1表面に、PI前駆体溶液を塗布し、当該溶液からなる塗膜2を形成する。
基体の形状としては、円筒状或いは円柱状のものを用い、層形成後、取り外すことにより、無端ベルトを得ることができる。
なお、基体の表面形状がPI樹脂層の裏面(内面)に転写されるので、特定の形状が必要であれば、あらかじめ基体表面にその形状の加工をすればよい。例えば、無端ベルトの回転駆動のために摩擦を大きくしたい場合は、基体表面をブラスト等によって粗面化することが有効である。
芳香族テトラカルボン酸の代表例としては、次のようなものが挙げられ、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、あるいはこれらのテトラカルボン酸エステル、又は上記各テトラカルボン酸類の混合物等が挙げられる。
一方、芳香族ジアミン成分としては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジメトキシベンチジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
また、金属層との密着性を向上させるために、特開2003−136632号公報に記載の如く、PIにアルコキシシラン化合物を結合させたPI−シリカハイブリッド体を用いることもできる。
図2において、塗布槽13にはポリイミド前駆体溶液12が入れられており、環状体15がその上部に浮遊している。環状体には上部に、基体11の浸漬方向側の孔径よりも引上げ方向側の孔径が小さい円孔16が設けられている。該円孔の大きさ(直径)は所望の膜厚により適宜調整される。塗布される濡れ膜厚は、円孔と基体の間隙によって規制され、乾燥膜厚は濡れ膜厚と塗布液の濃度との積になるが、上記間隙は所望の濡れ膜厚の1倍〜3倍であるのがよい。
円孔16の内壁は、傾斜したテーパー状の形状が好ましく、傾斜角度は、基体に対して、1°〜20°程度が好ましい。該傾斜角は、小さいほど下記摩擦抵抗が強くなり、基体1との間隙が均一になる作用が働くが、塗布速度(基体の相対的移動速度)が遅くなるので、両者の兼ね合いで調整される。
浸漬塗布法では、塗布槽に入れる溶液が多く必要であるが、少量の溶液でも塗布できる方法として、図3の断面図に示すような環状塗布方法も適用できる。浸漬塗布法との相違は、溶液12は環状シール材18を有する環状塗布層17に入れられる。環状シール材18には、基体1の外径よりわずかに小さい内径の穴があけられ、液漏れを防いでいる。環状体15の機能は浸漬塗布法の場合と同じであり、溶液上に浮遊状態に設置される。基体1の上下には中間体19が取り付けられるが、基体同士を積み重ねてもよい。
この塗布法に好ましいPI前駆体溶液の固形分濃度は10質量%以上50質量%以下、より好ましくは、15質量%以上40質量%以下である。PI前駆体溶液の粘度は、0.2Pa・s以上1000Pa・s以下が好ましく、より好ましくは、1Pa・s以上100Pa・s以下である。塗布時の引き上げ速度は、0.2m/min以上2m/min以下が好ましく、より好ましくは、0.4m/min以上1.5m/min以下である。
また、「半硬化」とは、PI前駆体のイミド化反応が完全に進行しない程度で、一部がイミド化した状態をいう。実際的には、200℃前後(好ましくは、120℃〜250℃)で適宜時間を設定すると、PI前駆体層が半硬化状態となり、乾燥状態よりやや強度が増す。
これら、乾燥もしくは半硬化は、PI前駆体や溶剤種によって適宜温度及び時間等を設定して行われるが、PI前駆体層から溶剤が完全に蒸発すると、該層に割れが生じやすくなることがあるので、ある程度(例えば、当初の5質量%〜40質量%程度)の溶剤は残留させておくのが好ましい。
金属層として、本発明では金属の超微粒子を塗布し、融解して、金属融解層を形成する。本発明において金属の超微粒子とは、粒径が1nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下の大きさの金属粒子を指す。金属をこのような微細の大きさにすると融点が低下する。これは、粒径が小さくなるに従って、表面エネルギーが飛躍的に増大し、相互に結合(焼結)しようとするためである。用いられる金属として、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、インジウム、白金、亜鉛、錫、等がある。超微粒子の形状は、球状、又は球に類した楕円体状が好ましい。
金属の超微粒子を作成するには、霧状に金属を蒸発させるアトマイザー法、水溶液中で銀イオンを凝集させ加熱生成する方法、酸化銀薄膜を真空水素雰囲気で還元する方法、レーザー融解法、気相成長法、ゾルゲル法、等がある。
融点は粒径によって上下するが、分散媒への分散濃度、分散剤の種類や濃度、等によっても変化する。金属融解層の作製に好ましい融点は、PI前駆体層の乾燥温度以上で、イミド化の加熱温度以下である。
超微粒子の表面は、樹脂や添加剤で被覆されていてもよい。かかる樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、等が挙げられる。また、かかる添加剤としては、アミン化合物、シリコーン化合物、カップリング剤、有機酸、等が挙げられる。
また、少量のバインダー樹脂を用いても良い。バインダー樹脂は、金属の超微粒子が融解する際、分離するか分解して、金属層中に残存しにくいものが好ましく、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等が挙げられる。
金属の超微粒子分散液の固形分濃度は、10質量%以上60質量%以下が好ましく、より好ましくは、12質量%以上55質量%以下であり、さらに好ましくは、15質量%以上50質量%以下である。金属の超微粒子分散液の粘度は、1mPa・s以上1000mPa・s以下が好ましく、2mPa・s以上900mPa・s以下がより好ましく、2.5mPa・s以上800mPa・s以下が更に好ましい。金属の超微粒子を塗布して形成される金属融解層の厚さは、0.01μm以上10μm以下が好ましく、より好ましくは、0.05μm以上6μm以下、更に好ましくは0.1μm以上5μm以下である。
塗布方法は任意であるが、膜厚の均一性を重視する場合には、図2記載の浸漬塗布法や図3記載の環状塗布方法が好ましい。但し、分散液の粘度が低い場合は、環状体15は不要である。また、微細形状に塗布するには、インクジェット法が好ましい。
塗布後、融点以上の温度で加熱することにより、超微粒子が焼結して金属融解層が形成される。一旦、焼結した金属層は、もはやその温度では融解しなくなる(融解温度は金属本来の融点になる)。
但し、PI前駆体層の両端を機械的に引っ張るとか、PI前駆体層の両端を基体に貼り付ける等の方法により、層が収縮しないようにすると、層は面方向に収縮せず、膜厚方向のみに収縮して、膜厚が薄くなるようにすることもできる。このようにすると、金属層の厚さは10μmを超えてもよい。
一方、加熱を加熱炉中にて行う場合、加熱炉の室内全体を高温度に維持しなければならず、熱効率が低い。それに対し、電磁誘導発熱装置を用いて加熱する方法では、発熱は金属基体で起こるので、熱効率が高い。その際、表面温度をセンサー等で検知し、所定温度になるよう、発熱量を制御すればよい。電磁誘導発熱方式では、基体を入れる加熱容器は小さくてよいので、上記不活性ガスを投入する場合でも、不活性ガス投入量は少なく済む利点もある。この電磁誘導発熱装置を用いての加熱の際には、例えば、図4に示すように、加熱容器20内で、上記各層が形成された基体1と、電磁誘導発熱装置21とを平行に接近させ、基体1を回転(例えば軸方向[矢印方向])させながら電磁誘導発熱装置21により加熱させる。
本発明の感光体は、少なくとも金属融解層と感光層とをポリイミド樹脂層上に有し、金属融解層とポリイミド樹脂層とが、前述の方法、即ち、乾燥してポリイミド前駆体層を形成し、該ポリイミド前駆体層上に1nm以上100nm以下の粒径であって金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、インジウム、白金、亜鉛、及び錫から選択される少なくとも1種の金属の超微粒子を塗布した後、該ポリイミド前駆体を半硬化させるために加熱し、更に該ポリイミド前駆体がイミド化する温度で加熱して、ポリイミド樹脂層と、金属超微粒子が互いに融着し連続してなる金属融解層とを同時に形成する方法、により形成されてなる。
感光体における金属融解層の厚さは、0.01μm以上5μm以下が好ましく、より好ましくは、0.05μm以上2μm以下である。感光体では、金属融解層を設けることのみでも電気的導通が良好となるため、金属メッキ層は不要である。
これらの各層には公知の構成を用いることができる。
まず、下引き層用の塗布液を調製する。調製した塗液に本発明の無端ベルトを浸漬し、50℃〜150℃で5〜20分間乾燥して下引き層を形成する。下引き層の厚さは、0.1μm〜5μmとすることが好ましい。
CGLの形成は、まず、CGL用塗布液を調製し、該塗布液を上記下引き層上に浸漬塗布し、20℃〜150℃で5〜20分間乾燥して形成する。CGLの厚さは、0.01μm以上1μm以下とすることが好ましい。
CTLの形成は、まず、CTL用の塗布液を調製し、該塗布液を上記CGL上に浸漬塗布し、50℃〜150℃で10〜60分間乾燥して形成する。CTLの厚さは、10μm以上50μm以下とすることが好ましい。
本発明による感光体は、金属層の密着性が良いので、感光体を屈曲させても金属層が剥離しにくい特徴を有する。そのため、小径のロールでも張架できる利点があり、本発明は直径15mm以下5mm以上のロールに張架して回転駆動させることができる。また、直径15mm以下10mm以上の場合がより好ましい。
ロールの直径が5mmより小さくなると、感光体を張架した際に張力でたわみを生じやすくなり、駆動力を得られなくなる傾向がある、また、直径が15mmを超えると装置全体が大型になり、特に装置の薄型化の障害となる傾向がある。
また、感光層が厚い感光体を屈曲させると、感光層にクラック(割れ)を生ずることがある。その場合、感光層の合計の膜厚は、PI樹脂層の膜厚以下、好ましくはPI樹脂層の膜厚の半分以下であることが好ましい。
図5は本発明の電子写真装置の実施形態を示す小型のカラープリンターの概略断面図である。図5中、22は本発明の感光体であり、これは少なくとも2本のロール29、29’により張架され、いずれか1本は回転駆動し、感光体を回転させる。感光体は帯電器24で帯電され、露光器25で画像露光され、現像器26でトナー現像される。帯電器24、露光器25、現像器26は一体的にプロセスユニット23に収容され、装置本体から着脱自在に設けられていてもよい。プリンターがモノクロの場合には、プロセスユニット23は1個でよいが、カラープリンターにおいては色が異なるトナー毎に色の数だけ有する。図5においてはイエロー(23Y)、マゼンタ(23M)、シアン(23C)、黒(23K)の4色のプロセスユニットを有している。なお、各色プロセスユニットの配置は図5の順番に限られるものではない。
帯電器24は接触型または非接触型のものが用いられ、接触型には帯電ロール、非接触型にはコロトロン、スコロトロン等がある。露光器25としては、小型化のためにLEDアレイが好ましい。現像器26には一成分型と二成分型があるが、いずれでもよい。
本発明の感光体は直径15mm以下5mm以上の小径ロールに張架して回転駆動させることができるので、カラープリンターの小型化、特に高さを低くするのに有用である。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンから得られるポリイミド前駆体のN−メチルピロリドン溶液(商品名:UワニスS、宇部興産社製、固形分濃度18質量%、粘度約50Pa・s)を塗液とした。
基体として、外径84mm、長さ400mmのアルミニウム製円筒を用意し、球形アルミナ粒子(不二製作所社製、粒径105〜125μm)によるブラスト処理により、表面をRa1.0μmに粗面化した後、表面にシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学工業社製)を塗布して、300℃で30分間焼き付け処理した。
環状体として、最小内径84.8mm、最大内径96mm、傾斜角10°の円孔を設けた外径110mm、高さ30mmのステンレス製リングを作製した。
その後、その長手方向を水平にして基体を15rpmで回転しながら、100℃で60分間乾燥し、PI前駆体層3を形成した。
得られたPI樹脂無端ベルトを150℃の温度で一定の力を加えながら、1000回繰り返し屈曲試験を行っても、銀の層は剥離することがなかった。また、銀の層の体積抵抗率は、4μΩcmであり、導電性を有していた。
実施例1において、PI前駆体層3を形成後、銀の超微粒子を塗布する前に、200℃で1時間、340℃で30分間加熱し、厚さ45μmのPI樹脂層を形成した。
その後、その表面に銀の超微粒子(粒径5〜10nmの球状粒子、融点250℃)の水分散液(固形分濃度40質量%、粘度3mPa・s)を環状塗布方法で塗布し、銀の超微粒子を塗布した。次いで、255℃で30分間加熱して銀の超微粒子を融解して焼結させ、厚さ2μmの銀の層を形成した。この方法では、加熱操作は2回必要で、エネルギーが多く必要であった。また、屈曲試験を行ったところ、銀の層は約500回で剥離した。
実施例1の金属融解層を形成するのに代え、金属分散層を形成した。
体積平均粒径3μmの不定形状銅粉(商品名:TypeE、ジャパンエナジー製)の5部(質量部、以下同じ)を、ポリイミド前駆体のN−メチルピロリドン溶液(商品名:UワニスA、宇部興産社製、固形分濃度18質量%、粘度:約5Pa・s)11部とアセトン4部とからなる溶液にボールミルで分散し、金属を分散したポリイミド前駆体含有液(ポリイミド前駆体含有液(B))を調製した。質量比(金属粉:ポリイミド前駆体含有液(B))は5:2とした。
実施例1で作製した無端ベルトから、以下に説明するようにして柔軟性感光体を作製した。
続いて、電荷輸送剤であるN,N’−ジフェニル −N,N’−(m−トリル)ベンジジン40部と重量平均分子量が6万のポリカーボネートZ樹脂(ユーピロンZ600、三菱ガス化学社製)60部をモノクロロベンゼン60部とテトラヒドロフラン150部とからなる混合溶剤に溶解した。この塗布液をCGL上に浸漬塗布し、135℃で40分間の乾燥をして、厚さ25μmのCTLを形成し、感光体を作製した。
ポリイミド樹脂層の上に金属融解層を形成し、更に金属融解層の上に、メッキ層を形成した。
実施例1と同じポリイミド前駆体溶液を塗布液として用いた。基体は、外径29.8mm、長さ400mmのアルミニウム製円筒を用意し、実施例1と同じ表面処理を施した。環状体として、最小内径31mm、最大内径46mm、傾斜角7°の円孔を形成した外径60mm、高さ20mmのアルミニウム製リングを作製した。
・CuSO4・5H2O:120g/リットル、
・H2SO4:150g/リットル、
<電解メッキ条件>
・メッキ浴温度:25℃、
・撹拌方法:空気撹拌、
・メッキ時間:5分、
実施例3において、銀の超微粒子分散液を塗布して金属融解層を形成するに代わり、無電解メッキによって金属層を形成した。
まず、PI前駆体層の表面を水洗後、触媒金属層を形成するための触媒金属の原料として、OPC−80キャタリスト(奥野製薬株式会社製)を使用し、25℃で5分間の触媒付与を行って、十分に洗浄し、OPC−555アクセレーター(奥野製薬株式会社製)を使用して25℃で7分間の促進処理(アクチベーション)を行った。
・CuSO4・5H2O:10g/リットル、
・EDTA・2Na:30g/リットル、
・HCHO(37質量%)溶液:5g/リットル、
・PEG#1000:0.5g/リットル
<メッキ条件>
・メッキ浴温度:65℃、
・撹拌方法:空気撹拌、
・メッキ時間:8分、
・メッキ浴pH:12.5
なお、無電解メッキ層を電極とすれば、実施例3と同様に、その上に電解メッキ層を形成することはできる。
実施例3において、基体から剥離していないPI樹脂層の表面に、シリコーン系プライマー(商品名:ケムロック607、ロード・ファーイースト・インコーポレイテッド社製)を浸漬塗布し、厚さ1μmのプライマー層を形成した。
一方、加硫成分および金属酸化物として酸化マグネシウムと水酸化カルシウムを含むVdF−HFP−TFEの3元系ポリオール加硫型フッ素ゴム(商品名:G−621、ダイキン工業社(株)製)を、重量比8:2のMIBK+MEK混合溶剤中に溶解させ、濃度10質量%のフッ素ゴム溶液を作製し、塗布液とした。これをプライマー層上に浸漬塗布し、100℃で30分間加熱して溶剤を乾燥させ、さらに220℃で3時間の加硫処理を行って、厚さ10μmのフッ素ゴム弾性層を形成した。加熱の際は、塗布を終えた基体を、内寸0.6×0.6×0.6mの加熱炉に入れ、窒素ガスを充填して行った。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンから得られたPI前駆体溶液(実施例1と同じ)に、アルコキシシラン化合物7モル%を結合させてシラン変性PI前駆体溶液を得た。これを実施例1のPI前駆体溶液に、固形分質量比で15%添加した。他は実施例1と同様に塗布して、PI−シリカハイブリッド体を形成した。この場合も実施例1と同様に、銀の層との密着性は強固であった。
実施例1において、基体として外径250mm、長さ400mmのアルミニウム製円筒を用い、同様の表面処理を施した。環状体としては、最小内径250.8mmで、傾斜角7°の円孔を設けた外径270mm、高さ30mmのステンレス製リングを用いた。また、環状塗布槽のシール材の内径は246mmとし、他は実施例1と同様にして、PI前駆体層を作製した。次に実施例1と同様にして銀の層を形成し、加熱してPI樹脂無端ベルトを得た。
続いて、下引き層は設けず、他は実施例2と同様にして、CGLとCTLを形成し、周長が約785mmで、幅は260mmに切断した感光体を作製した。この感光体を、直径12mmの2本のロールに張架して回転駆動させる電子写真装置(図5参照)に使用した。感光体の内面はRa1.0μmの粗面であったため、小径のロールで駆動しても滑りはなかった。2本のロールの間隔は約374mmであり、感光体の1回転にて2枚のA4用紙をプリントすることができる。この装置にて、感光体のみ5万回転させたが、感光層に剥離やクラックを生じることはなかった。
実施例6において、感光体の内部に図6に示すように、電子写真装置を制御する回路を組み込んだ基板31を配置した。この基板が発する熱により、感光体22は約45℃に暖められた。これにより、電子写真装置を30℃90%RHの高温高湿環境下で使用しても、感光体の表面抵抗の低下による画像ぼけを生ずる事がなかった。
通常、5万回転も使用された感光体は表面抵抗が低下して、高温高湿環境下で使用すると画像がぼけることが知られており、対策として、例えばドラムヒーターと称する発熱体を取り付ける方法が講じられる。本発明の如く、感光体内部に電気回路基板を配置することで、その熱を利用することができ、画像ボケを防止することができた。
2…塗膜
3…PI前駆体層
4…金属融解層
5…PI樹脂層
12…塗液(溶液)
13…塗布槽
14…塗膜
15…環状体
16…円孔
17…環状塗布槽
18…環状シール材
19…中間体
20…加熱容器
21…電磁誘導発熱装置
22…感光体
23…プロセスユニット
24…帯電器
25…露光器
26…現像器
27…転写体
28…定着器
29、29’…ロール
30…用紙
31…電気回路基板
Claims (6)
- ポリイミド前駆体含有液を、円筒状又は円柱状の基体の表面に塗布し、乾燥してポリイミド前駆体層を形成する工程と、
該ポリイミド前駆体層上に、1nm以上100nm以下の粒径であって金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、インジウム、白金、亜鉛、及び錫から選択される少なくとも1種の金属超微粒子を塗布した後、該ポリイミド前駆体を半硬化させるために加熱し、更に該ポリイミド前駆体がイミド化する温度で加熱して、ポリイミド樹脂層と、前記金属超微粒子が互いに融着し連続してなる金属融解層とを同時に形成する工程と、
を有することを特徴とするポリイミド樹脂層の製造方法。 - 前記金属超微粒子は、粒径が5nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド樹脂層の製造方法。
- ポリイミド樹脂層上に、金属超微粒子が互いに融着し連続してなる金属融解層が設けられてなり、該ポリイミド樹脂層と該金属融解層とが、請求項1又は2に記載のポリイミド樹脂層の製造方法で形成されてなるポリイミド樹脂無端ベルト。
- 非粘着性層が、表面に設けられてなることを特徴とする請求項3に記載のポリイミド樹脂無端ベルト。
- ポリイミド樹脂層と、金属超微粒子が互いに融着し連続してなる金属融解層と、感光層とを有してなり、該ポリイミド樹脂層と該金属融解層とが、請求項1に記載のポリイミド樹脂層の製造方法で形成されてなることを特徴とする感光体。
- 請求項5に記載の感光体と、該感光体を張架し回転駆動する直径15mm以下5mm以上のロールと、を有することを特徴とする電子写真装置。
Priority Applications (1)
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