以下、本発明の実施形態にかかる電気光学装置について図面を参照して説明する。以下の説明においては、本発明の一実施形態として、携帯電話機などの電子機器に表示部として搭載される電気光学装置について説明する。
<全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。この図に示されるように、電気光学装置10は、制御回路20、電圧生成回路30および液晶パネル40を含む。このうち、液晶パネル40には、「240」本のデータ線(セグメント電極)seg1、seg2、…、seg240と、各データ線と交差する「320」本の走査線(コモン電極)com1、com2、…、com320と、データ線駆動回路50と、走査線駆動回路60とが設けられている。以降、データ線seg1、seg2、…、seg240のうち特定のデータ線に限定することなく、一般的に示す場合にはその符号を「seg」と記す。同様に、走査線com1、com2、…、com240を一般的に示す場合にはその符号を「com」と記す。
図2は、液晶パネル40のうちデータ線segおよび走査線comが交差する部分を示す斜視図である。この図に示すように、液晶パネル40は、隙間を隔てて対向する素子基板410および対向基板420と、両基板410および420の隙間に介在する液晶430とを有する。液晶パネル40は、液晶430からみて対向基板420側が観察側に相当する。データ線segは、素子基板410のうち対向基板420側の面において、列(Y)方向に延在するように形成されている。隣接するデータ線segの間には、矩形状の画素電極412が、データ線segに沿って列をなすように形成されている。つまり、画素電極412は、液晶パネル40においてマトリックス状に配置されている。TFD(Thin Film Diode)414は、能動素子の一種であり、画素電極412とそれに隣接するデータ線segとの導通状態を切り替える。
走査線comは、光透過性を有する帯状の電極であり、対向基板420のうち素子基板410側の面に形成されている。図3は、液晶パネル40における走査線comを、観察側からみた様子を示す図である。なお、図3においては、図面が煩雑になるのを防ぐため、データ線segやデータ線駆動回路50などの図示は省略されている。図2および3に示すように、走査線comは、データ線segの延在方向と、交差する行方向(X方向)に延在するように形成されており、上述した画素電極412と部分的に対向している。各走査線comには、選択電圧および非選択電圧のいずれかが印加される。このうち、選択電圧は、データ線segに印加され得るデータ電圧(後述する+VD/2から−VD/2までの範囲の電圧)に拘わらず、走査線comに対向する画素電極412に接続されたTFD414を導通状態にする電圧である。これとは逆に、非選択電圧は、データ線segに印加され得るデータ電圧に拘わらず、走査線comに対向する画素電極412に接続されたTFD414を非導通状態にする電圧である。
液晶パネル40においては、走査線comと画素電極412との間の電位差を変化させて、それらの間に介在する液晶430に作用する電界を変化させることにより液晶を駆動する。ここで、液晶430に作用する電界は、走査線comと、マトリックス状に配列された画素電極412とが対向する部分ごとに変化させることが可能であり、その部分が表示の最小単位となる画素(図1中符号「440」)に相当する。
図3に示すように、素子基板410は、その板面が対向基板420の板面より一回り大きく、観察側からみれば、その端部(図3の例では図中左端と下端)が対向基板420からはみ出している。素子基板410のうち図3中左側にはみ出した部分には、走査線駆動回路60と、走査線駆動回路60から引き出された配線406とが形成されている。この配線406は、走査線駆動回路60から出力された走査信号を走査線comに伝送するための配線であり、対向基板420の縁辺のうち図中左側の辺より、対向基板420のやや内側に至るように形成されている。素子基板410と対向基板420とは、対向基板420の縁辺の内側に沿って設けられたシール材(不図示)によって貼り合わされており、このシール材には、対向基板420に設けられた走査線comと、素子基板410に設けられた配線406とを1対1で導通させるための導通性粒子が混入されている。この構成により、対向基板420に設けられた各走査線comは、当該導通性粒子および配線を介して走査線駆動回路60と接続される。
後述するように、画素440の駆動時には、1行目から320行目までの走査線com1、com2、…com320が1本ずつ順次に選択されて垂直走査が行われる。これに対し、画素440の駆動を停止する場合には、その停止前に、1行目から320行目までの走査線com1、com2、…com320が区分化された複数のブロックのそれぞれから、走査線comが1本ずつ選択されてオフシーケンス処理が実行される。ここで、オフシーケンス処理とは、上述したように電気光学物質(この例では液晶430)の駆動の停止前に、全ての画素440に対して非点灯電圧を印加するための処理である。本実施形態においては、画素440の駆動の停止時には、図3に示すように、1行目から80行目までの走査線com1、com2、…、com80を含む第1ブロックAと、81行目から160行目までの走査線com81、com82、…、com160を含む第2ブロックBと、161行目から240行目までの走査線com161、com162、…、com240を含む第3ブロックCと、241行目から320行目までの走査線com241、com242、…、com320を含む第4ブロックDとの4つのブロックのそれぞれから1本ずつ走査線com1、com2、…、com320を選択して、オフシーケンス処理を実行するものとする。
なお、図2では省略したが、液晶パネル40には、液晶430の配向状態を規定するための配向膜と、偏光のための偏光板とが例えばノーマリーホワイトモードとなるように設けられている。また、本実施形態においては縦「320」行×横「240」列のマトリクス型の液晶パネル40を想定するが、走査線comおよびデータ線segの総数はそれぞれ適宜変更することが可能である。
再び説明を図1に戻す。制御回路20は、電気光学装置10が搭載される電気機器の制御部(不図示、以下「上位制御部」と称する。)から供給される映像信号VSや表示停止信号OFFに応じて、走査線駆動回路60やデータ線駆動回路50などの各部を制御する。このうち、映像信号VSは、液晶パネル40に表示させる画像の内容を示す信号であり、画素440毎の諧調を示す階調データGDを含む。
一方、表示停止信号OFFは、画素440の駆動を停止すべく、オフシーケンス処理の実行を指示する信号であり、図8に示すように、画素440の駆動中にその停止が指示されるとLレベルからHレベルに反転する。この表示停止信号OFFは、電子機器において、その表示部(電気光学装置10)を駆動状態(表示状態)からスタンバイ状態に移行させる場合や、電子機器本体の電源をオフする場合などに、上位制御部から制御回路20に供給される。制御回路20は、上位制御部から供給される各種の信号に応じて、走査線駆動回路60に対しては、液晶パネル40を垂直走査するための各種制御信号やクロック信号などを供給する。また、制御回路20は、データ線駆動回路50に対しては、液晶パネル40を水平走査するための各種制御信号や、各画素440の階調を3ビットにて示す階調データGDなどを供給する。なお、制御回路20は、上位制御部から供給される表示停止信号OFFを、データ線駆動回路50および走査線駆動回路60のそれぞれに供給する。
走査線駆動回路60は、制御回路20の制御のもと、走査信号Y1、Y2、…、Y320を、それぞれ1行目、2行目、…、320行目の走査線com1、com2、…、com320に供給する。さらに詳述すると、走査線駆動回路60は、画素440の駆動時には、1水平走査期間につき1本ずつ走査線comを選択して、選択した走査線comには選択電圧を、他の走査線comには非選択電圧をそれぞれ供給する。これに対し、画素440の駆動を停止する場合には、走査線駆動回路60は、1水平走査期間につき複数(この例では4本)の走査線comを選択し、選択した各走査線comには選択電圧を、他の走査線comには非選択電圧をそれぞれ供給する。なお、走査線駆動回路60による垂直走査期間は、画素440の駆動時とオフシーケンス時とにおいて異なるがこの点については後述する。
データ線駆動回路50は、画素440の駆動時には、階調データGDに応じたデータ信号X1、X2、X3、…、X240を、それぞれ1列目、2列目、3列目、…、240列目のデータ線segを介して供給する。これにより、画素電極412、走査線com、および、これらの間に介在する液晶430とからなる画素440に、選択電圧とデータ電圧との差に応じた電荷が蓄積される。この際、画素440に蓄積させる電荷量を段階的に変化させて、液晶430の配向状態を段階的に制御することにより、階調表示を実現することができる。なお、電荷の蓄積後、走査線comに非選択電圧を印加してTFD414をオフさせたとしても、一旦画素440に蓄積された電荷は保持される。
なお、画素440の駆動の停止時には、各走査線comには選択電圧が印加されないため、画素440の駆動の停止後には全てのTFD414がオフ状態となる。このため、画素440の駆動を停止する場合には、データ線駆動回路50は、直流電界成分を低減すべく、全ての画素電極412に対し、画素440を白色にするためのデータ信号X1、X2、…、X240を、データ線segを介して供給する。
電圧生成回路30は、画素440の駆動に用いられる電圧±VSと電圧±VD/2とをそれぞれ生成する。このうち、電圧+VSおよび−VSは、走査信号における選択電圧として用いられ、それぞれ走査線駆動回路60に供給される。一方、電圧+VD/2および−VD/2は、走査信号における非選択電圧と、データ信号におけるデータ電圧とで兼用される構成となっており、それぞれデータ線駆動回路50および走査線駆動回路60に供給される。
<駆動法>
本実施形態においては、4値駆動法(1/2Hセレクト、1H反転)により各画素440が駆動される。この駆動法は、大略すると、1水平走査期間を前半期間と後半期間とに2分割し、このうち例えば後半期間において1本の走査線comに選択電圧±VSを印加するとともに、当該走査線comに位置する画素の表示内容に応じたデータ電圧±VD/2を、対応するデータ線segに印加する一方、その前半期間では、後半期間に印加されるであろう電圧の逆極性の電圧を当該データ線segに予め印加する、という駆動法である。
かかる4値駆動法によれば、データ電圧の実効値が、表示パターンに係わりなく、データ線seg同士にわたって一定になるので、いわゆるクロストークの発生を防止することができる。以下、この4値駆動法を実行するために必要となる構成や信号などについて説明する。
はじめに、制御回路20によって生成される制御信号やクロック信号などの各種信号について説明する。
まず、垂直走査に用いられる信号について図4を参照して説明する。この図において、第1に、垂直同期信号DYは、1垂直走査期間(1フレーム)の最初に出力されるパルスであり、走査線駆動回路60に垂直走査期間の開始を指示する信号である。第2に、クロック信号YCKは、Y側の基準信号であり、1水平走査期間(1H)の周期を有する。このクロック信号YCKは、前述した表示停止信号OFFがHレベルに反転し、かつ、それ以降に初めて垂直同期信号DYがHレベルに反転してから80周期(1H×80)だけ立ち上がるが、それ以降はLレベルを維持する。
第3に、極性指示信号FRは、走査線comが選択されたときに印加すべき選択電圧の極性を指定する信号であり、例えば、Hレベルであれば正極性の選択電圧+VSを、Lレベルであれば負極性の選択電圧−VSを、それぞれ指定する。この極性指示信号FRは、同一の垂直走査期間内では、1水平走査期間(1H)毎に論理レベルが反転し、連続する2つの垂直走査期間においても、同一走査線comに対する水平走査期間の論理レベルが反転する関係となっている。第4に、制御信号INHは、1水平走査期間(1H)における選択電圧の印加期間を規定するための信号である。後述するように、本実施形態では1水平走査期間(1H)の後半期間おいて選択電圧が印加されるので、制御信号INHは、当該後半期間のみHレベルとなる。
次に、水平走査に用いられる信号について、図5を参照して説明する。第1に、ラッチパルスLPは、1水平走査期間(1H)の最初に出力されるパルスである。第2に、リセット信号RESは、1水平走査期間(1H)の前半期間の最初および後半期間の最初にそれぞれ出力されるパルスである。第3に、交流駆動信号MXは、画素440が交流駆動されるようにデータ信号の極性を指示する信号である。この交流駆動信号MXは、ひとつの垂直走査期間に着目すると、水平走査期間(1H)の半周期分だけ極性指示信号FR(図4参照)の位相を進めた信号に相当する。このため、交流駆動信号MXは、選択電圧として正極性の電圧+VSが指定される水平走査期間(1H)では、その前半期間においてHレベルとなり、その後半期間においてLレベルとなる一方、選択電圧として負極性の電圧−VSが指定される1水平走査期間(1H)では、その前半期間においてLレベルとなり、その後半期間においてHレベルとなる。
第4に階調コードパルスGCPは、1水平走査期間の前半期間および後半期間の各々において、中間階調に応じた期間の位置でそれぞれHレベルからLレベルに反転するパルスである。さらに詳述すると、階調データGDが(000)であれば白色に相当する階調が指示される一方、階調データGDが(111)であれば黒色に相当する階調が指示されるものとすると、階調コードパルスGCPは、1水平走査期間の半分期間の各々において、白色および黒色を除く灰色の(110)、(101)、(100)、(011)、(010)、(001)の6個の階調データGDに対応したパルスが配列されている。なお、このような階調コードパルスGCPは、画素440における電圧−透過率(濃度)の特性を考慮して、それぞれの立ち下りのタイミングが選定される。
次に、走査線駆動回路60の構成について図6を参照して説明する。
この図に示すように走査線駆動回路60は、スイッチ回路602、シフトレジスタ604、電圧選択信号生成回路606、レベルシフタ608およびセレクタ609を含む。
図7はスイッチ回路602およびシフトレジスタ604の構成を示す図である。この図に示すように、シフトレジスタ604は、走査線comの総数に応じた320ビットの桁数のレジスタ(転送回路)605を有するシフトレジスタである。シフトレジスタ604のうち第1桁、第81桁、第161桁および第241桁のそれぞれのレジスタ605には入力端子が設けられている。これらの入力端子には、表示停止信号OFFに応じて、スイッチ回路602から垂直同期信号DYが供給される。各レジスタ605は、自身に入力あるいはシフトされた垂直同期信号DYを、クロック信号CLKの立ち上がりに応じたタイミングでそれぞれラッチする。
スイッチ回路602は、シフトレジスタ604のうち第81桁、第161桁および第241桁の各入力端子と1対1に対応した3つのスイッチ603を含む。各スイッチ603には2つの入力端子が設けられており、一方の入力端子からは垂直同期信号DYが入力され、他方の入力端子からは表示停止信号OFFが入力される。スイッチ603は、表示停止信号OFFがHレベルにある場合にのみ、垂直同期信号DYを、シフトレジスタ604の第81桁、第161桁および第241桁の入力端子に入力する。この結果、表示停止信号OFFがHレベルであれば、シフトレジスタ604には、全ての入力端子から垂直同期信号DYが入力されるが、表示停止信号OFFがLレベルであれば、第1桁の入力端子のみから垂直同期信号DYが入力される。
シフトレジスタ604は、第1桁の入力端子のみから垂直走査信号DYが入力される場合には、クロック信号YCKに従って、垂直走査信号DYを1桁から320桁まで順次にシフトして、転送信号Ys1、Ys2、…、Ys320として順次出力する。ここで、転送信号Ys1、Ys2、…、Ys320は、1行目、2行目、…、320行目の走査線com1、com2、…、com320にそれぞれ1対1に対応し、いずれかの転送信号がHレベルになると、それに対応する走査線comを選択すべき水平走査期間(1H)であることを示す信号である。
また、シフトレジスタ604は、表示停止信号OFFがHレベルに反転し、全ての入力端子から垂直走査信号DYが入力される場合には、第1桁の入力端子から入力した垂直走査信号DYを、クロック信号YCKに従って第1桁から第80桁まで順次シフトし、転送信号Ys1、Ys2、…、Ys80として順次出力し、第81桁の入力端子から入力した垂直走査信号DYを、クロック信号YCKに従って第81桁から第160桁まで順次シフトし、転送信号Ys81、Ys82、…、Ys160として順次出力し、第161桁の入力端子から入力した垂直走査信号DYをクロック信号YCKに従って第161桁から第240桁まで順次シフトし、転送信号Ys161、Ys162、…、Ys240として順次出力し、第241桁の入力端子から入力した垂直走査信号DYをクロック信号YCKに従って第241桁から第320桁まで順次シフトし、転送信号Ys241、Ys242、…、Ys320として順次出力する。なお、クロック信号YCKは、前述したように、表示停止信号OFFがLレベルからHレベルに反転すると、その直後に垂直同期信号DYが立ち上がってから、水平走査期間(1H)が80周期だけ経過するまでは周期的に立ち上がるが、それ以降はLレベルを維持する。
再び説明を図6に戻す。電圧選択信号生成回路606は、シフトレジスタ604により生成された転送信号Ys1、Ys2、…、Ys320の他、極性指示信号FR、制御信号INHに応じて電圧選択信号を生成する。この電圧選択信号は、選択電圧±VSおよび非選択電圧±VD/2の4値のうち、いずれの電圧が各走査線comに印加すべき電圧であるかを指示するための信号である。本実施形態においては、上述したように、選択電圧+VSまたは−VSが印加される期間は、1水平走査期間(1H)の後半期間である。また、非選択電圧は、選択電圧+VSが印加された後では正側の+VD/2であり、選択電圧−VSが印加された後では負側の−VD/2であって、直前の選択電圧により一義的に定まっている。このため、電圧選択信号生成回路606は、走査信号の電圧レベルが次の関係になるように、各走査線comに対応する電圧選択信号を出力する。すなわち、転送信号Ys1、Ys2、…、Ys320のいずれかがHレベルになって、それに対応する走査線comを選択すべき水平走査期間である旨が指定され、さらに、制御信号INHがHレベルとなって、当該水平走査期間の後半期間であることが通知されると、電圧選択信号生成回路606は、当該走査線comへの走査信号の電圧レベルを、第1に、極性指示信号FRの信号レベルに対応した極性の選択電圧とし、第2に、その後半期間が終了すると、当該選択電圧に対応する非選択電圧となるように電圧選択信号を生成する。
レベルシフタ608は、電圧選択信号生成回路606によって生成された電圧選択信号の信号レベルを増幅する。セレクタ609は、電圧±VSと電圧±VD/2の中から、増幅された電圧選択信号によって指示される電圧を選択して、対応する走査線comに印加する。
次に、以上説明した走査線駆動回路60の各構成により生成される各種信号の電圧波形について説明する。
以下の説明では、まず、表示停止信号OFFがLレベルである場合に、走査線駆動回路60により生成される信号の電圧波形について説明し、その後、表示停止信号OFFがHレベルである場合に、走査線駆動回路60により生成される信号の電圧波形について説明する。上述したように、表示停止信号OFFは、Lレベルであれば画素440の駆動時(表示中)である旨を示し、Hレベルに反転すると、画素440の駆動を停止し、オフシーケンス処理の実行開始を指示する。
まず、表示停止信号OFFがLレベルの場合、走査線駆動回路60に含まれるシフトレジスタ604には、第1桁の入力端子から垂直同期信号DYが入力される。図4に示すように、第1桁の入力端子に入力された垂直同期信号DYは、クロック信号YCKにしたがって、1水平走査期間(1H)毎に第320桁まで順次シフトされて、これが転送信号Ys1、Ys2、…、Ys320としてシフトレジスタ604から出力される。
ここで、ある1行の走査線comに対応する転送信号がHレベルになる1水平走査期間(1H)において、その後半期間(1/2H)に至ると、当該後半期間における極性指示信号FRの論理レベルに応じて、当該走査線comへの選択電圧が定められる。詳細には、ある1行の走査線comに供給される走査信号の電圧は、当該走査線comが選択される1水平走査期間の後半期間(1/2H)において、極性指示信号FRが例えばHレベルであれば正極性選択電圧+VSとなり、その後、正極性非選択電圧+VD/2を保持する。そして、1垂直走査期間が経過して、1水平走査期間の後半期間においては、極性指示信号FRが反転してLレベルになるので、当該走査線comに供給される走査信号の電圧は、負極性選択電圧−VSとなり、その後、負極性非選択電圧−VD/2を保持することになる。
このため、第1行目の走査線comへの走査信号Y1は、例えば図4に示されるように、転送信号Ys1がHレベルとなる水平走査期間における極性指示信号FRがHレベルであれば、当該水平走査期間の後半期間において正極性選択電圧+VSとなり、その後、正極性非選択電圧+VD/2を保持する。次の1水平走査期間の後半期間においては、極性指示信号FRのレベルが前回の選択とは論理反転したLレベルになるので、当該走査線comへの走査信号Y1は、負極性選択電圧−VSとなり、その後、負極性非選択電圧−VD/2を保持する。以下このサイクルの繰り返しとなる。
また、極性指示信号FRは、1水平走査期間(1H)毎に論理レベルが反転するので、各走査線comに供給される走査信号は、1水平走査期間(1H)毎に、すなわち、走査線comの1行毎に交互に極性が反転する関係となる。例えばある垂直走査期間において、1行目の走査信号Y1の選択電圧が正極性選択電圧+VSであれば、1水平走査期間経過後において、2行目の走査信号Y2の選択電圧は負極性選択電圧−VSとなる。
以上が、表示停止信号OFFがLレベルの場合に、走査線駆動回路60により生成される信号である。
続いて、表示停止信号OFFがHレベルに反転した場合に、走査線駆動回路60により生成される信号について説明する。
図7および図8に示すように、ある垂直走査期間(図中「第n垂直走査期間」)において、表示停止信号OFFがLレベルからHレベルに反転したとする。このように表示停止信号OFFがHレベルに反転すると、それ以降、垂直同期信号DYは、シフトレジスタ604の第1桁、第81桁、第161桁および241桁のレジスタの入力端子のそれぞれに入力される。一方、クロック信号YCKは、表示停止信号OFFがHレベルに反転し、かつ、それ以降に初めて垂直同期信号DYがHレベルに反転してから80周期(1H×80)だけ立ち上がるが、それ以降はLレベルを維持する。なお、本実施形態においては、第1ブロックA、第2ブロックB、第3ブロックCおよび第4ブロックDに属する走査線comの総数がそれぞれ「80」本のため、クロック信号がLレベルに固定されるまでの期間は80周期であるが、この周期は、各ブロックA、B、CおよびDに属する走査線comの総数の最大値に応じて決定される。
第1桁の入力端子に入力された垂直同期信号DYは、クロック信号YCKに従って1水平走査期間(1H)毎に順次シフトされて、転送信号Ys1、Ys2、…、Ys80として出力される。ここで、「n」を、第1ブロックAに属する走査線comの先頭の行に対応する「1」とすれば、図8における転送信号Ys(n)、Ys(n+1)、…、Ys(n+79)のそれぞれが、転送信号Ys1、Ys2、…、Ys80を表す。
また、第81桁の入力端子に入力された垂直同期信号DYは、クロック信号YCKに従って1水平走査期間(1H)毎に順次シフトされて、転送信号Ys81、Ys82、…、Ys160として出力される。ここで、「n」を第2ブロックBに属する走査線comの先頭の行に対応する「80」とすれば、図8における転送信号Ys(n)、Ys(n+1)、…、Ys(n+79)のそれぞれが、転送信号Ys81、Ys82、…、Ys160を表す。
同様に、第161桁の入力端子に入力された垂直同期信号DYは、クロック信号YCKに従って1水平走査期間(1H)毎に順次シフトされて、転送信号Ys161、Ys162、…、Ys240として出力される。ここで、「n」を、第3ブロックCに属する走査線comの先頭の行に対応する「160」とすれば、図8における転送信号Ys(n)、Ys(n+1)、…、Ys(n+79)のそれぞれが、転送信号Ys161、Ys162、…、Ys240を表す。
そして、第241桁の入力端子に入力された垂直同期信号DYは、クロック信号YCKに従って1水平走査期間(1H)毎に順次シフトされて、転送信号Ys241、Ys242、…、Ys320として出力される。ここで、「n」を、第4ブロックDに属する走査線comの先頭の行に対応する「240」とすれば、図8における転送信号Ys(n)、Ys(n+1)、…、Ys(n+79)のそれぞれが転送信号Ys241、Ys242…、Ys320を表す。
したがって、例えば、転送信号Ys(n)がHレベルとなる水平走査期間においては、図9に示されるように、第1ブロックAに属する走査線com1と、第2ブロックBに属する走査線com81と、第3ブロックCに属する走査線com161と、第4ブロックDに属する走査線com241との4本の走査線comに並行して選択電圧を印加する旨が、当該転送信号Ys(n)よって指示される。
つまり、転送信号Ys(n)、Ys(n+1)、…、Ys(n+79)は、第1ブロックAにおける先頭の行(1行)を基準に数えた相対的な行数と、第2ブロックBにおける先頭の行(81行)を基準に数えた相対的な行数と、第3ブロックCにおける先頭の行(161行)を基準に数えた相対的な行数と、第4ブロックDにおける先頭の行(241行)を基準に数えた相対的な行数とが一致する合計4本の走査線comを、同一水平走査期間に並行して選択せよ、という旨を指示する。
前掲図に8おいて、走査信号Y(n)、Y(n+1)、…、Y(n+79)のそれぞれは、転送信号Ys(n)、Ys(n+1)、…、Ys(n+79)のそれぞれに指定された選択期間に選択電圧となる信号であり、前掲図4に示す走査信号Y1、Y2、…、Y320と同様に極性指示信号FRなどにより規定される。
<データ線駆動回路50>
次に、データ線駆動回路50の詳細について説明する。図10は、データ線駆動回路50の構成を示すブロック図である。この図において、アドレス制御回路52は、階調データGDの読み出しに用いる行アドレスを生成するものであり、当該行アドレスを、1垂直走査期間の最初に供給される垂直同期信号DYによりリセットするとともに、各水平走査期間の最初に供給されるラッチパルスLPで歩進させる。
階調データRAM(Random Access Memory)54は、縦320行×横240列の画素440に対応した記憶領域を有するデュアルポートRAMである。さらに詳述すると、階調データRAM54の書き込み側では、制御回路20から供給される階調データGDが、当該各画素440に対応する番地に書き込まれる。一方、階調データRAM54の読み出し側では、1水平走査期間ごとに、行アドレスで指定された番地の階調データGDが1行分(240画素440分)ごとに一括して読み出されるようになっている。
デコーダ56は、階調データRAM54から読み出された階調データGDと、制御回路20から供給される交流駆動信号MXと、リセット信号RESと、階調制御信号GCPとに応じて、セレクタ58に電圧選択信号を出力する。この電圧選択信号は、+VD/2および−VD/2の2値のうち各データ線segに対して印加すべき電圧をセレクタ58に指示するための信号である。本実施形態において、階調データGDは、8階調を示す3ビットのデータであるので、読み出された1行分(240画素分)の階調データGDのうちひとつに着目すると、デコーダ56は、次のような電圧選択信号を生成する。
すなわち、デコーダ56は、階調データGDが白色(000)および黒色(111)以外の中間階調を指定するものであれば、第1に、1水平走査期間(1H)の前半期間の最初に供給されるリセット信号RESの立ち上がりを契機として、交流駆動信号MXのレベルとは反対側のレベルにリセットし、第2に、階調コードパルスGCPのうち、当該階調データGDに対応するものの立ち下がりにて、交流駆動信号MXと同一側のレベルにセットし、第3に、1水平走査期間の後半期間(1/2H)の最初に供給されるリセット信号RESを無視し、第4に、階調コードパルスGCPのうち、当該階調データGDに対応するものの立ち下がりにて、交流駆動信号MXと同一側のレベルに再セットを指示する電圧選択信号を生成する。
ただし、デコーダ56は、階調データGDが黒色を示す(111)であれば、1水平走査期間に渡り、交流駆動信号MXのレベルを、データ信号のレベルとして指示する電圧選択信号を生成する。一方、階調データGDが白色を示す(000)であれば、1水平走査期間に渡り、交流駆動信号MXの反転レベルを、データ信号のレベルとして指示する電圧選択信号を生成する。
デコーダ56は、以上のような電圧選択信号の生成を、読み出された240個の階調データGDの各々に対応して実行する。セレクタ58は、デコーダ56から出力される電圧選択信号に応じて電圧+VD/2および−VD/2のいずれかを選択するとともに、選択した電圧を各データ線segに印加する。
以上により、データ線駆動回路50により生成されるデータ信号Xi(iは、1≦i≦240を満たす整数)の電圧波形は、前掲図5に示されるような波形となる。ただし、同図においては、デコーダ56に入力される階調データGDの2進数表示と、それをデコードした結果たるデータ信号Xiとの対応関係が示されている。まず、階調データGDが白色を示す(000)の場合、データ信号Xiは、リセット信号RSが立ち上がる毎に、それ以降、次のリセット信号RSが立ち上がるまで、交流駆動信号MXと反転レベルに対応するデータ電圧となる。一方、階調データGDが白色(000)および黒色(111)以外の場合、データ信号Xiは、ひとつの水平走査期間に着目すると、各リセット信号RESの立ち上がり時点から、階調データGDに対応する階調コードパルスGCPの立ち下がりの時点に至るまでの期間において、交流駆動信号MXの反転レベルに対応するデータ電圧がデータ線segに印加されるが、階調コードパルスGCPの立ち下がりの時点から、次のリセット信号RESが立ち上がるまでの期間において交流駆動信号MXと同一レベルに対応するデータ電圧がデータ線segに印加される。また、階調データGDが黒色を示す(111)であれば、データ信号Xiは、リセット信号RSの立ち上がる毎に、それ以降、次のリセット信号RSが立ち上がるまで、交流駆動信号MXと同一レベルに対応するデータ電圧となる。
したがって、1水平走査期間において、前半期間におけるデータ信号Xiと、後半期間におけるデータ信号Xiとは論理レベルが反転したものとなり、データ信号Xiが+VD/2となる期間とおよび−VD/2となる期間とは、階調データGDにかかわらず相互に等しい時間長となる。なお、後述するオフシーケンス処理においては、階調データGDが(000)である場合のデータ信号Xiが全ての画素440(画素電極412)に供給される。
<画素への印加電圧波形>
次に、以上説明した走査信号Yj(jは、1≦j≦320を満たす整数)およびデータ信号Xiにより、画素440に実際に印加される電圧波形について図11を参照して説明する。上述したように1本の走査線comに対応する走査信号Yjは、1垂直走査期間毎に、正側のVSとなる期間と負側のVSとなる期間とが交互に繰り返される。一方、データ信号Xiは、交流駆動信号MX、リセット信号RESおよび階調コードパルスGCPが同一であれば、階調データGDのみに応じて変化する。例えば、階調データGDとして黒色(111)、中間調(100)、白色(000)のいずれかが与えられた場合を想定すると、それぞれ同図(a)、同図(b)、同図(c)に示す通りとなる。
画素440に印加される電圧波形は、走査信号Yjからデータ信号Xiを差し引いたものとなるから、階調データGDが黒色(111)、中間調(100)、白色(000)の場合には、それぞれ同図(d)、同図(e)、同図(f)に示す通りとなる。このうち、電圧波形(d)における電圧「|VS+VD/2|」が、画素440に黒色表示をさせるための「点灯電圧」に相当する一方、電圧波形(f)における電圧「|VS−VD/2|」が、画素440に白色表示をさせるためのの「非点灯電圧」に相当する。なお、電圧波形(f)に示すように、階調データGDが白色(000)の場合であっても、画素440には、選択期間中に電圧「|VS−VD/2|」が印加されるが、この電圧により液晶430に作用する電界は、液晶430の駆動に必要とされる閾値に達しない範囲にある。
<オフシーケンス処理>
次に、表示停止信号OFFがHレベルに反転した場合に実行されるオフシーケンス処理について前掲図8および図11を参照して説明する。
上述したように、ある垂直走査期間(図8中「第n垂直走査期間」)において、表示停止信号OFFがLレベルからHレベルに立ち上がると、クロック信号YCKは、垂直同期信号DYが立ち上がった時点以降において80周期分だけ立ち上がる。一方、シフトレジスタ604から出力される転送信号Ys1、Ys2、…、Ys320のうち、第1ブロックA、第2ブロックB、第3ブロックCおよび第4ブロックDに属する各走査線comに対応する計4つの転送信号は、ひとつの水平走査期間において並列して立ち上がる。
これにより、第1ブロックAと、第2ブロックBと、第3ブロックCと、第4ブロックDとのそれぞれに属する合計4本の走査線comには、1つの水平走査期間(1H)に、選択電圧が並列して印加される。さらに詳述すると、第1ブロックAに属する第1行から第80行目の走査線comには、1水平走査期間ごとに順次に選択電圧が印加され、これと並行して、第2ブロックBに属する第81行から第160行目の走査線comに順次に選択電圧が印加され、第3ブロックCに属する161行目から240行目の走査線comに順次に選択電圧が印加され、第4ブロックDに属する241行目から320行目の走査線comに順次に選択電圧が印加される。したがって、あるひとつの水平走査期間に着目すると、選択電圧が印加される4本の走査線com群は奇数行および偶数行のいずれか一方の走査線com群である。このため、4本の走査線comに並行して印加される選択電圧は同極性となる。
一方、データ線駆動回路50は、オフシーケンス期間に渡って、全てのデータ線segに対して、白色(000)の階調データGDに対応したデータ信号を供給する。具体的には、データ線駆動回路50は、走査信号として正側の選択電圧VSが印加される期間には、データ信号として正側のデータ電圧「VD/2」をデータ線segに印加し、走査信号として負側の選択電圧「−VS」が印加される期間には、データ信号として負側のデータ電圧「−VD/2」をデータ線segに印加する。つまり、選択期間において、データ線segには、選択電圧と同極性のデータ電圧が印加される。これにより、全ての画素440に対し、図11(f)に示すような電圧波形が印加される。
ここで、1水平走査期間(1H)に着目すると、上述したように、4つのブロックA、B、CおよびDに属する計4本の走査線comに印加される選択電圧は同一の極性となる。また、選択電圧が正極性の場合には、全てのデータ線segに正極性のデータ電圧「+VD/2」が印加される一方、選択電圧が負極性の場合には、全てのデータ線segに負極性のデータ電圧「−VD/2」が印加される。このため、選択電圧が正極側および負極側のいずれであっても、1回の水平走査期間につき、階調データGDが白色(000)に対応した非点灯電圧「|VS−VD/2|」が4行の全ての画素440に印加され、画素440の駆動時(表示時)に画素電極412に蓄積された電荷の一部が画素440から除去される。
このように、本実施形態によれば、1水平走査期間ごとに4本の走査線comを一括して選択してオフシーケンス処理を行う。これにより、走査線comを1本ずつ選択して画素440から電荷を除去する従来技術と比較して、オフシーケンス時に要する時間を1/4に抑えることができ、より速やかにオフシーケンス処理を実行することが可能となる。
ところで、4値駆動法により電気光学物質(液晶340)を駆動する場合には、ひとつの垂直走査期間において、奇数行目の走査線comと偶数行目の走査線comとに逆極性の選択電圧が印加される。一方、オフシーケンス処理においては、複数の走査線comを同一水平走査期間において選択するため、仮に奇数行目の走査線comと偶数行目の走査線comとを同一水平走査期間において選択したとすると、偶数行および奇数行の両方の走査線comに接続された全ての画素440に対して、白色表示をさせるための非点灯電圧を印加することができない。
例えば、奇数行目の走査線comに正極側の選択電圧「+VS」が印加される一方で、偶数行目の走査線comに負極側の選択電圧−VSが印加される場合に、データ信号として正極側のデータ電圧「+VD/2」を印加すると、奇数行目の走査線comと接続された画素440には白色表示のための非点灯電圧「VS−VD/2」が印加されるが、偶数行目の走査線comと接続された画素440には黒色表示のための点灯電圧「VS+VD/2」が印加されてしまう。逆に、データ信号として負極側のデータ電圧「−VD/2」を印加すると、偶数行目の走査線comと接続された画素440には非点灯電圧「VS−VD/2」が印加されるが、奇数行目の走査線comと接続された画素440には点灯電圧「VS+VD/2」が印加されてしまう。このように、奇数行の走査線comと偶数行の走査線comとの両方を選択すると、少なくとも一部の画素440に点灯電圧が印加されてしまう。したがって、選択された走査線comに対応する全ての画素440に対して一括して非点灯電圧を印加することができない。
これに対し、本実施形態においては、各ブロックに属する走査線comを選択する場合に、偶数行の走査線comと、奇数行の走査線comとのいずれか一方から、複数の走査線comを選択する。したがって、複数の走査線comに並行して印加される選択電圧は同極性となり、選択された走査線comと接続された全ての画素440から、一括して電荷を除去することができる。つまり、上記構成によれば、4値駆動法で用いられる構成を有効に用いてオフシーケンス処理を実行することができ、オフシーケンス処理を行うための構成を簡略化することができる、という効果を奏するのである。
なお、本実施形態においては、オフシーケンス処理において、1水平走査期間毎に4本の走査線comを並列して選択したが、並列して選択する走査線comの本数は、任意であり、走査線comの全てを選択しても良い。ここで、一括して選択する走査線comの本数が多い場合には、オフシーケンス処理の短時間化の点で有利である。一方、一括して選択する本数が少ない場合には、オフシーケンス処理時に必要とされる単位時間当たりの電圧の消費量を低減することが可能である。
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、垂直走査を単一の走査線駆動回路60により行う電気光学装置10について説明した。これに対し、第2実施形態においては、複数の走査線駆動回路により垂直走査を行う電気光学装置について説明する。以下の説明では、第2実施形態にかかる電気光学装置の構成のうち上記電気光学装置10と共通する構成には、同一の符号を用いて説明する。
図12は、走査線com、第1走査線駆動回路および第2走査線駆動回路の液晶パネル40における配置を示す図である。この図に示すように、素子基板410上には第1走査線駆動回路62aおよび第2走査線駆動回路62bが、走査線comの延在方向(X方向)について略対称となるように設けられている。全ての走査線comのうち奇数行目の走査線com1、com3、…、com(2m―1)、…、com319は第1走査線駆動回路62aと接続されている一方、偶数行目の走査線com2、com4、…、com(2m)、…、com320は、第2走査線駆動回路62bと接続されている。ここで、「m」は、「1≦m≦160」を満たす整数である。
第1走査線駆動回路62aは、奇数行目の走査線com(2m−1)に対して走査信号Y(2m−1)を供給し、第2走査線駆動回路62bは、偶数行目の走査線com(2m)に対して走査信号Y(2m)を供給する。このように、2つの走査線駆動回路62aおよび62bを用いることにより、走査線駆動回路や、走査信号を伝送するための配線をX方向について略対称に配置することができる。なお、この実施形態にかかる電気光学装置10のうち第1走査線駆動回路62aおよび第2走査線駆動回路62b以外の構成については、上述した第1実施形態における電気光学装置10と同様であるため、その説明については省略する。
図13は、第1走査線駆動回路62aの構成を示す図である。この第1走査線駆動回路62aは、奇数行目の走査線com1、com3、…、com(2m−1)、…、com319のそれぞれに対して、走査信号Y1、Y3、…、Y(2m−1)、…、Y319を供給する回路である。第1走査線駆動回路62aは、上述した走査線駆動回路60と同様にシフトレジスタ622a、電圧選択信号生成回路624a、レベルシフタ626aおよびセレクタ628aを含むが、このうちシフトレジスタ622aが第1実施形態に係るシフトレジスタの構成と異なる。
シフトレジスタ622aは、奇数行目の走査線com1、com3、…、com(2m−1)、…、com319に1対1に対応した転送信号Ys1、Ys3、…Ys(2m―1)、…、Ys319を生成する。図14は、シフトレジスタ622aの構成を示す図である。この図に示すようにシフトレジスタ622aは、走査線comの総数に対応した320ビットの桁数のレジスタ(転送回路)623を有するシフトレジスタである。各レジスタ623は、入力された垂直同期信号DYをクロック信号YCKの立ち上がりタイミングで順次にラッチする。上述したように垂直同期信号DYは、垂直走査の開始を指示する信号である。
また、シフトレジスタ622aは、3種類のスイッチS21、S22およびS23を含む。各スイッチS21、S22およびS23は、表示停止信号OFFがLレベルであれば図中実線で示すような状態となり、表示停止信号OFFがHレベルであれば図中破線で示す状態となる。なお、特に図示しないが、シフトレジスタ622aの全てのレジスタ623にはクロック信号YCKが供給される。
まず、スイッチS21は、表示停止信号OFFがLレベルであれば、制御回路20から出力された垂直同期信号DYをシフトレジスタ622aのうち第1桁のレジスタ623に伝送する。一方、表示停止信号OFFがHレベルであれば、スイッチS21は、同垂直同期信号DYを、第1桁、第3桁、第5桁および第7桁のレジスタ623のそれぞれに伝送する。
シフトレジスタ622aのうち各奇数桁にシフトされた垂直同期信号DYは、それより1桁だけ下位の偶数桁にシフトされる。スイッチS22は、この偶数桁からシフトされる垂直同期信号DYを、表示停止信号OFFがLレベルである場合にのみ、当該偶数桁より1桁だけ下位の奇数桁に伝送する。
一方、スイッチS23は、表示停止信号OFFがLレベルであれば、第8p桁からシフトされた垂直同期信号DYを、当該第8p桁より1桁だけ下位の第(8p+1)桁に伝送する。これに対し、表示停止信号OFFがHレベルであれば、スイッチS23は、第8p桁からシフトされた垂直同期信号DYを、第(8p+1)桁、第(8p+2)桁、第(8p+3)桁および第(8p+4)桁のそれぞれに並列して伝送する。ここで、「p」は、「1≦p≦39」を満たす整数である。
シフトレジスタ622aにおいては、クロック信号YCKに従って、各桁に垂直同期信号DYが順次にシフトされる。シフトレジスタ622aのうち奇数桁にシフトされた垂直同期信号DYは、転送信号Y1、Y3、…、Y(2m−1)、…、Y319として出力される。
以上説明したスイッチS21、S22およびS23の動作により、第1走査線駆動回路62aは、表示停止信号OFFの論理レベルに応じて、以下のような走査信号Y(2m−1)を、奇数行目の走査線com(2m−1)に対して供給する。
まず、表示停止信号OFFがLレベルの場合、上述したようにスイッチS21、S22およびS23は図14中実線で示す状態となる。この結果、シフトレジスタ622aは、図15に示すように、直列に接続された320桁のシフトレジスタのうち奇数桁にシフトされた垂直同期信号DYを、転送信号Ys1、Ys3、…、Ys(2m―1)、…、Ys319として出力する回路と等価になる。図16に示すように、各転送信号Ys1、Ys3、…、Ys319は、垂直同期信号DYがHレベルになった時点から、クロック信号YCKが奇数回目に立ち上がる度に順次Hレベルとなることにより、対応する奇数行目の走査線com(2m−1)を選択する期間を指示する。
これにより、第1走査線駆動回路62aから出力される走査信号Y1、Y3、…、Y319は、図16に示す通りとなる。具体的には、走査信号Y1、Y3、…、Y319は、対応する転送信号Ys1、Ys3、…、Ys319がHレベルとなる1水平走査期間(1H)のうち後半期間(1/2)に選択電圧となる。なお、1垂直走査期間に着目すれば、走査信号Y1、Y2、…、Y319の選択電圧の極性は互いに等しくなる。
次に、表示停止信号OFFがLレベルからHレベルに反転した場合における走査信号Y1、Y3、…、Y319について説明する。
上述したように、表示停止信号OFFがHレベルに反転すると、スイッチS21、S22およびS23は図14中破線で示す状態となる。この結果、シフトレジスタ622aは、図17に示すように、垂直同期信号DYを独立してシフトする4つのシフトレジスタ群6222a、6224a、6226aおよび6228aを含む回路と等価になる。この構成において、シフトレジスタ群6222aに属する第1桁と、シフトレジスタ群6224aに属する第3桁と、シフトレジスタ群6226aに属する第5桁と、シフトレジスタ群6228aに属する第7桁とのそれぞれに、制御回路20から出力された垂直同期信号DYが並列して供給される。
このうち、シフトレジスタ群6222aに供給された垂直同期信号DYは、第1桁、第8桁、第9桁、第16桁、…、第8p桁、第(8p+1)桁、…、第312桁、第313桁に、この順でクロック信号YCKに従ってシフトされる。ただし、「p」は、「0≦p≦39」を満たす整数である。シフトレジスタ群6222aのうち「8p+1」桁にシフトされた垂直同期信号DYは、転送信号Ys1、Ys9、…、Ys(8p+1)、…、Ys313として、シフトレジスタ622aから出力される。
また、シフトレジスタ群6224aに供給された垂直同期信号DYは、第3桁、第8桁、…、第8p桁、第(8p+3)桁、…、第312桁、第315桁にこの順でシフトされる。このうち「8p+3」桁にシフトされた垂直同期信号DYは、転送信号Ys3、Ys11、…、Ys(8p+3)、…、Ys315としてシフトレジスタ622aから出力される。
同様に、シフトレジスタ群6226aに供給された垂直同期信号DYは、第5桁、第13桁、…、第8p桁、第(8p+5)桁、…、第312桁、第317桁にこの順でシフトされる。このうち「8p+5」桁にシフトされた垂直同期信号DYは、転送信号Ys5、Ys13、…、Ys(8p+5)、…Ys317としてシフトレジスタ622aから出力される。
そして、シフトレジスタ群6228aに供給された垂直同期信号DYは、第7桁、第15桁、…、第8p桁、第(8p+7)桁、…、第312桁、第319桁にこの順でシフトされる。このうち「8p+7」桁にシフトされた垂直同期信号DYは、転送信号Ys7、Ys15、…、Ys(8p+7)、…Ys319としてシフトレジスタ622aから出力される。
ここで、各シフトレジスタ群6222a、6224a、6226aおよび6228aに対して、動作の契機を与える垂直同期信号DY、および、シフトの周期を与えるクロック信号YCKはそれぞれ共通である。したがって、シフトレジスタ群6222aから出力される転送信号Ys(8p+1)と、シフトレジスタ群6224aから出力される転送信号Ys(8p+3)と、シフトレジスタ群6226aから出力される転送信号Ys(8p+5)と、シフトレジスタ群6228aから出力される転送信号Ys(8p+7)とは、図18に示すように、それぞれ同一の水平走査期間(1H)においてHレベルとなる。つまり、転送信号Ys(8p+1)、Ys(8p+3)、Ys(8p+5)およびYs(8p+7)は、それぞれに対応した4本の走査線com(8p+1)、com(8p+3)、com(8p+5)およびcom(8p+7)を、1水平走査期間(1H)において並行して選択する旨を指示する。
これにより、表示停止信号OFFがHレベルに反転して、オフシーケンス期間となった場合の走査信号Y1、Y3、…、Y319は、図18に示す通りとなる。具体的には、走査信号Y1、Y3、…、Y319のうち、走査信号Y(8p+1)、Y(8p+3)、Y(8p+5)およびY(8p+7)の組は、それぞれ同一の水平走査期間(1H)の後半期間(1/2)において、同極性の選択電圧となる。
次に、第2走査線駆動回路62bについて説明する。上述したように第2走査線駆動回路62bは、偶数行目の走査線com2、com4、…、com(2m)、…、com320のそれぞれに、走査信号Y2、Y4、…、Y(2m)、…、Y320を供給する。第2走査線駆動回路62bの構成は、前掲図13に示す第1走査線駆動回路62aの構成と略同様であるが、シフトレジスタの構成が第1走査線駆動回路62aのそれと異なる。上述したシフトレジスタ622aは、奇数行目の走査線com(2m―1)に対応した転送信号Ys(2m−1)を生成したが、第2走査線駆動回路62bに含まれるシフトレジスタは、偶数行目の走査線com2(2m)に対応した転送信号Ys(2m)を生成する。
図19は、第2走査線駆動回路62bに含まれるシフトレジスタの構成を示す図である。図19に示されるように、シフトレジスタ622bは、走査線comの総数に対応した320ビットの桁数を有するシフトレジスタであり、2種類のスイッチS24およびS25を含む。各スイッチS24およびS25は、表示停止信号OFFがLレベルであれば図中実線で示すような状態となり、表示停止信号OFFがHレベルであれば図中破線で示す状態となる。なお、特に図示しないが、シフトレジスタ622bの全ての桁にはクロック信号YCKが供給される。また、シフトレジスタ622bの第1桁には、制御回路20から出力された垂直同期信号DYが入力される。
まず、スイッチS24は、表示停止信号OFFがHレベルであれば、シフトレジスタ622bのうち第1桁および第(8p+1)桁からシフトされた垂直同期信号DYを、当該桁より1桁だけ下位の第2桁あるいは第(8p+2)桁に伝送する。これに対し、表示停止信号OFFがHレベルであれば、スイッチS24は、第1桁および第(8p+1)桁からシフトされた垂直同期信号DYを、それらより1桁だけ下位の第2桁あるいは第(8p+2)桁と、3桁だけ下位の第4桁あるいは第(8p+4)桁と、5桁だけ下位の第6桁あるいは第(8p+6)桁と、6桁だけ下位の第8桁あるいは第(8p+8)桁のそれぞれに並列して伝送する。なお、「p」は、「1≦p≦39」を満たす整数である。
シフトレジスタ622bのうち、第320桁を除く各偶数桁にシフトされた垂直同期信号DYは、それより1桁だけ下位の奇数桁にシフトされる。スイッチS25は、この奇数桁からシフトされる垂直同期信号DYを、表示停止信号OFFがLレベルである場合にのみ、当該奇数桁より1桁だけ下位の偶数桁に伝送する。
シフトレジスタ622bにおいては、クロック信号YCKに従って、各桁に垂直同期信号DYが順次にシフトされる。シフトレジスタ622bのうち偶数桁にシフトされた垂直同期信号DYは、転送信号Y2、Y4、…、Y(2m)、…、Y320として出力される。
以上説明したスイッチS24およびS25の動作により、第2走査線駆動回路62bは、表示停止信号OFFの論理レベルに応じて、以下のような走査信号Y(2m)を偶数行目の走査線com(2m)に対して供給する。
まず、表示停止信号OFFがLレベルの場合、上述したようにスイッチS24およびS25は、図19中実線で示す状態となる。この結果、シフトレジスタ622bは、図20に示すように、直列に接続された320桁のシフトレジスタのうち偶数桁にシフトされた垂直同期信号DYを、転送信号Ys2、Ys4、…、Ys(2m)、…、Ys320として出力する回路と等価になる。図21に示すように、各転送信号Ys2、Ys4、…、Ys320は、垂直同期信号DYがHレベルになった時点から、クロック信号YCKが偶数回目に立ち上がる度に順次Hレベルとなることにより、対応する奇数行目の走査線com(2m)を選択する期間を指示する。
これにより、第2走査線駆動回路62bから出力される走査信号Y2、Y4、…、Y320は、図21に示す通りとなる。さらに詳述すると、走査信号Y2、Y4、…、Y320は、対応する転送信号Ys2、Ys4、…、Ys320がHレベルとなる1水平走査期間(1H)のうち後半期間(1/2)に選択電圧となる。なお、1垂直走査期間に着目すれば、走査信号Y2、Y4、…、Y320の選択電圧の極性は互いに等しくなる。
次に、表示停止信号OFFがLレベルからHレベルに反転した場合における走査信号Y2、Y4、…、Y320について説明する。
上述したように、表示停止信号OFFがHレベルに反転すると、スイッチS24およびS25は図19中破線で示す状態となる。この結果、シフトレジスタ622bは、図22に示すように、垂直同期信号DYを独立してシフトする4つのシフトレジスタ群6222b、6224b、6226bおよび6228bを含む回路と等価になる。この構成において、制御回路20から出力された垂直同期信号DYは、シフトレジスタ群6222b、6224b、6226bおよび6228bに属する第1桁のそれぞれに、並列して供給される。
このうち、シフトレジスタ群6222bに供給された垂直同期信号DYは、第1桁、第2桁、第9桁、第10桁、第17桁、…、第(8p+1)桁、第(8p+2)桁、…、第313桁、第314桁に、この順でクロック信号YCKに従ってシフトされる。ただし、「p」は、「0≦p≦39」を満たす整数である。シフトレジスタ群6222bのうち「8p+2」桁にシフトされた垂直同期信号DYは、転送信号Ys2、Ys10、…、Ys(8p+2)、…、Ys314として、シフトレジスタ622bから出力される。
また、シフトレジスタ群6224bに供給された垂直同期信号DYは、第1桁、第4桁、…、第(8p+1)桁、第(8p+4)桁、…、第312桁、第316桁にこの順でシフトされる。このうち「8p+4」桁にシフトされた垂直同期信号DYは、転送信号Ys4、Ys12、…、Ys(8p+4)、…、Ys316としてシフトレジスタ622bから出力される。
同様に、シフトレジスタ群6226bに供給された垂直同期信号DYは、第6桁、第14桁、…、第(8p+1)桁、第(8p+6)桁、…、第313桁、第318桁にこの順でシフトされる。このうち「8p+6」桁にシフトされた垂直同期信号DYは、転送信号Ys6、Ys14、…、Ys(8p+6)、…Ys318としてシフトレジスタ622bから出力される。
そして、シフトレジスタ群6228bに供給された垂直同期信号DYは、第1桁、第8桁、…、第(8p+1)桁、第(8p+8)桁、…、第313桁、第320桁にこの順でシフトされる。このうち「8p+8」桁にシフトされた垂直同期信号DYは、転送信号Ys8、Ys16、…、Ys(8p+8)、…Ys320としてシフトレジスタ622bから出力される。
ここで、各シフトレジスタ群6222b、6224b、6226bおよび6228bに対して、動作の契機を与える垂直同期信号DY、および、シフトの周期を与えるクロック信号YCKはそれぞれ共通である。したがって、シフトレジスタ群6222bから出力される転送信号Ys(8p+2)と、シフトレジスタ群6224bから出力される転送信号Ys(8p+4)と、シフトレジスタ群6226bから出力される転送信号Ys(8p+6)と、シフトレジスタ群6228bから出力される転送信号Ys(8p+8)とは、図23に示すように、それぞれ同一の水平走査期間(1H)においてHレベルとなる。つまり、転送信号Ys(8p+2)、Ys(8p+4)、Ys(8p+6)およびYs(8p+8)は、それぞれに対応した4本の走査線com(8p+2)、com(8p+4)、com(8p+6)およびcom(8p+8)を、1水平走査期間(1H)において並行して選択する旨を指示する。
これにより、表示停止信号OFFがLレベルからHレベルに反転した場合における走査信号Y2、Y4、…、Y320は、同図23に示す通りとなる。具体的には、走査信号Y2、Y4、…、Y320のうち、走査信号Y(8p+2)、Y(8p+4)、Y(8p+6)およびY(8p+8)の組は、それぞれ同一の水平走査期間(1H)の後半期間(1/2)において、同極性の選択電圧となる。
以上説明した第1走査線駆動回路62aおよび第2走査線駆動回路62bを有する電気光学装置10においては、表示停止信号OFFに応じて、以下の2種類の処理が実行される。
まず、表示停止信号OFFがLレベルの場合には、第1走査線駆動回路62aからは、奇数行目の走査線com(2m−1)に対して、前掲図16に示すような走査信号Y1、Y3、…、Y(2m―1)、…、Y319が供給される。一方、第2走査線駆動回路62bからは、偶数行目の走査線com(2m)に対して、前掲図23に示すような走査信号Y2、Y4、…、Y(2m)、…、Y320が供給される。これらの走査信号Y(2m―1)および走査信号Y(2m)は、それぞれが選択電圧となる水平走査期間(1H)が交互に連なっており、走査信号Y(2m―1)および走査信号Y(2m)を含む信号群は、結果的に、前掲図4(第1実施形態)に示す走査信号Y1、Y2、…、Y320と同様な信号群となる。
一方、データ線駆動回路50は、上述したように階調データGDに応じてデータ信号を生成して、生成したデータ信号を各データ線segに供給する。これにより、上記第1実施形態と同様に、例えば前掲図11(d)、図11(e)および図11(f)に示すような電圧が各画素440に印加されて液晶430(画素440)が駆動される。
次に、表示停止信号OFFがHレベルに反転した場合に実行されるオフシーケンス処理について説明する。
ある垂直走査期間において表示停止信号OFFがHレベルに反転すると、奇数行目の走査線com(2m−1)に対応する走査信号Y(8p+1)、走査信号Y(8p+3)、走査信号Y(8p+5)および走査信号Y(8p+7)の組は、図18に示すように、垂直同期信号DYが立ち上がってから、奇数回目のクロック信号YCKの立ち上がりを契機とする水平走査期間(1H)に並行して選択電圧となる。このため、奇数回目のクロック信号YCKの立ち上がりを契機とする各水平走査期間(1H)において、走査線com(8p+1)、com(8p+3)、com(8p+5)およびcom(8p+7)の組が並行して選択される。
また、偶数行目の走査線com(2m)に対応する走査信号Y(8p+2)、走査信号Y(8p+4)、走査信号Y(8p+6)および走査信号Y(8p+8)の組は、図23に示すように、垂直同期信号DYが立ち上がってから、偶数回目のクロック信号YCKの立ち上がりを契機とする水平走査期間(1H)に並行して選択電圧となる。この結果、偶数回目のクロック信号YCKの立ち上がりを契機とする各水平走査期間(1H)において、走査線com(8p+2)、com(8p+4)、com(8p+6)およびcom(8p+8)の組が並行して選択される。
以上から走査線com(8p+1)、com(8p+3)、com(8p+5)およびcom(8p+7)の組と、走査線com(8p+2)、com(8p+4)、com(8p+6)およびcom(8p+8)の組とは、時系列的に交互に選択される。
一方、データ線駆動回路50は、白色表示のためのデータ信号を全てのデータ線segに対して供給する。これにより、ひとつの水平走査期間(1H)において、4行の画素440に対して、前掲図11(f)に示すような白色表示のための非点灯電圧「|VS−VD/2|」が一括して印加され、それぞれの画素440から電荷が除去される。
このように第2実施形態においても、ひとつの水平走査期間(1H)において、複数の走査線comに並行して選択電圧が印加されるため、オフシーケンス処理を速やかに実行することができる。
<第3実施形態>
上述した第2実施形態においては、2つの走査線駆動回路のうち一方(第1走査線駆動回路62a)が、奇数行目の走査線com(2m−1)に走査信号Y(2m−1)を供給し、他方(第2走査線駆動回路62b)が、偶数行目の走査線com(2m)に走査信号Y(2m)を供給する構成の電気光学装置10について説明した。これに対し、第3実施形態においては、320本の走査線comを、第1行から第160行目まで前半ブロックと、第161行から第320行目までの後半ブロックとに分け、2つの走査線駆動回路のうち一方が、前半ブロックに属する走査線com1、com2、…、com160に走査信号Y1、Y2、…、Y160を供給し、他方の走査線駆動回路が、後半ブロックに属する走査線com161、com162、…、com320に走査信号Y161、Y162、…、Y320を供給する構成の電気光学装置10について説明する。
図24は、第3実施形態にかかる第1走査線駆動回路、第2走査線駆動回路および走査線comの配置を示す図である。この図において、第1走査線駆動回路64aは、走査線com1、com2、…、com160と接続されており、各走査線com1、com2、…、com160に走査信号Y1、Y2、…、Y160を供給する。一方、第2走査線駆動回路64bは、走査線com161、com162、…、com320と接続されており、各走査線com161、com162、…、com320に走査信号Y161、Y162、…、Y320をそれぞれ供給する。上述した第2実施形態では、制御回路20は、第1走査線駆動回路62aおよび第2走査線駆動回路62bのそれぞれに垂直同期信号DYを垂直走査の基準信号として供給した。これに対し、本実施形態に係る制御回路20は、第1走査線駆動回路64aには垂直同期信号DYを供給するが、第2走査線駆動回路64bに対しては垂直走査の基準信号として垂直同期補助信号DY’を供給する。
垂直同期補助信号DY’は、表示停止信号OFFに応じてその周期が変化するパルス波である。具体的には、表示停止信号OFFがLレベルの場合には、垂直同補助信号DY’は、図28に示すように、垂直同期信号DYの立ち上がりタイミングから「1H×160」だけ遅れた周期でLレベルからHレベルに立ち上がる。一方、表示停止信号OFFがHレベルに反転し、オフシーケンス期間になると、垂直同期補助信号DY’は、図30に示すように、垂直同期信号DYの立ち上がりタイミングから「1H×40(オフシーケンス期間の半分)」だけ遅れたタイミングでLレベルからHレベルに立ち上がる。
なお、以下の説明においては、第1走査線駆動回路64aおよび第2走査線駆動回路64b以外の構成については、上述した第2実施形態に係る電気光学装置10と略同様であるため説明を省略する。
図25は、第1走査線駆動回路64aの構成を示す図である。第1走査線駆動回路64aは、上述した走査線駆動回路60と同様にシフトレジスタ642a、電圧選択信号生成回路644a、レベルシフタ646aおよびセレクタ648aを含むが、このうちシフトレジスタ642aの構成に特徴を有する。図26は、シフトレジスタ642aの構成を示す図である。この図に示すようにシフトレジスタ642aは、1行目から160行目の走査線comに1対1に対応した160桁のレジスタ(転送回路)643を有するシフトレジスタであり、3種類のスイッチS31、S32、S33およびS34を含む。各スイッチS31、S32、S33およびS34は、表示停止信号OFFがLレベルであれば図中実線で示すような状態となり、表示停止信号OFFがHレベルであれば図中破線で示す状態となる。なお、特に図示しないが、シフトレジスタ642aの全ての桁にはクロック信号YCKが供給される。
まず、スイッチS31は、表示停止信号OFFがLレベルであれば、制御回路20から出力された垂直同期信号DYを、シフトレジスタ622aのうち第1桁のみに伝送するが、表示停止信号OFFがHレベルであれば、同垂直同期信号DYを第1桁、第3桁、第5桁および第7桁のそれぞれに伝送する。
また、スイッチS32は、表示停止信号OFFがLレベルであれば、第(8q+1)桁からシフトされた垂直同期信号DYを、それより1桁だけ下位の第(8p+2)桁に伝送する。これに対し、表示停止信号OFFがHレベルであれば、スイッチS32は、第(8q+1)桁からシフトされた垂直同期信号DYを、第(8q+2)桁、第(8q+4)桁、第(8q+6)桁および第(8q+8)桁のそれぞれに伝送する。ここで、「q」は、「0≦q≦19」を満たす整数である。
スイッチS33は、第8q桁および第(8q+1)桁を除く全ての桁によってシフトされた垂直同期信号DYを、それよりも1桁だけ下位の桁に伝送する。
一方、スイッチS34は、表示停止信号OFFがLレベルであれば、第8q桁からシフトされた垂直同期信号DYを、それより1桁だけ下位の第(8q+1)桁に伝送する。これに対し、表示停止信号OFFがHレベルであれば、スイッチS34は、第8q桁からシフトされた垂直同期信号DYを、第(8q+1)桁、第(8q+3)桁、第(8q+5)桁および第(8q+7)桁のそれぞれに伝送する。
シフトレジスタ642aにおいては、クロック信号YCKに従って、各桁に垂直同期信号DYが順次にシフトされる。シフトレジスタ642aの各桁にシフトされた垂直同期信号DYは、転送信号Y1、Y2、…、Y160として出力される。
以上の各スイッチS31、S32、S33およびS34の動作により、シフトレジスタ642aは、表示停止信号OFFの論理レベルに応じて、以下のような走査信号Y1、Y2、…、Y160を、1行から160行目の各走査線comに対して供給する。
まず、表示停止信号OFFがLレベルの場合、上述したようにスイッチS31、S32、S33およびS34は図26中実線で示す状態となる。この結果、シフトレジスタ642aは、図27に示すように、直列に接続された160桁のシフトレジスタの各桁にシフトされた垂直同期信号DYを、転送信号Ys1、Ys2、…、Ys160として出力する回路と等価になる。
図28に示すように、転送信号Ys1、Ys2、…、Ys160は、1つの垂直走査期間(1H×320)のうち前半期間(1H×160)のみにおいて、1水平走査期間(1H)毎に、それぞれ順次に立ち上がる。この結果、表示停止信号OFFがLレベルの場合においては、走査信号Y1、Y2、…、Y160は、同図に示すように、垂直走査期間(1H×320)の前半期間(1H×160)のうち、水平走査期間(1H)の後半期間(1/2H)毎に順次に選択電圧となる。
次に、表示停止信号OFFがLレベルからHレベルに反転した場合における走査信号Y1、Y2、…、Y160について説明する。
上述したように、表示停止信号OFFがHレベルに反転すると、スイッチS31、S32、S33およびS34は図26中破線で示す状態となる。この結果、シフトレジスタ642aは、転送信号の立ち上がりタイミングという観点からいえば、図29に示すように、それぞれ並行して垂直同期信号DYをシフトする4つのシフトレジスタ群6422a、6424a、6426aおよび6428aを含む回路と等価になる。この構成において、シフトレジスタ群6422aに属する第1桁と、シフトレジスタ群6424aに属する第3桁と、シフトレジスタ群6426aに属する第5桁と、シフトレジスタ群6428aに属する第7桁とのそれぞれに、制御回路20から出力された垂直同期信号DYが並列して入力される。
まず、シフトレジスタ群6422aに供給された垂直同期信号DYは、第1桁、第2桁、…、第(8q+1)桁、第(8q+2)桁、…、第153桁および第154桁の各々にこの順でシフトされ、転送信号Ys1、Ys2、…、Ys(8q+1)、Ys(8q+2)、…、Ys153およびYs154として各桁から出力される。ここで、「q」は、「0≦q≦19」を満たす整数である。
また、シフトレジスタ群6424aに供給された垂直同期信号DYは、第3桁、第4桁、…、第(8q+3)桁、第(8q+4)桁、…、第155桁および第156桁の各々にこの順でシフトされ、転送信号Ys3、Ys4、…、Ys(8q+3)、Ys(8q+4)、…、Ys155およびYs156として各桁から出力される。
同様に、シフトレジスタ群6426aに供給された垂直同期信号DYは、第5桁、第6桁、…、第(8q+5)桁、第(8q+6)桁、…、第157桁および第158桁の各々にこの順でシフトされ、転送信号Ys5、Ys6、…、Ys(8q+5)、Ys(8q+6)、…、Ys157およびYs158として各桁から出力される。
そして、シフトレジスタ群6428aに供給された垂直同期信号DYは、第7桁、第8桁、…、第(8q+7)桁、第(8q+8)桁、…、第159桁および第160桁の各々にこの順でシフトされ、転送信号Ys7、Ys8、…、Ys(8q+7)、Ys(8q+8)、…、Ys159およびYs160として各桁から出力される。なお、これらの各シフトレジスタ群6422a、6424a、6426aおよび6428aの桁の総数は「40桁」である。したがって、各シフトレジスタ群6422a、6424a、6426aおよび6428aは、垂直同期信号DYが立ち上がってから、第40回目のクロック信号CLKの立ち上がりタイミングを迎えるまでの期間に渡り順次にHレベルとなる転送信号を出力する。
ここで、各シフトレジスタ群6422a、6424a、6426aおよび6428aに対して、動作の契機を与える垂直同期信号DY、および、シフトの周期を与えるクロック信号YCKは共通である。このため、シフトレジスタ群6422aから出力される転送信号Ys1、Ys2、…、Ys(8q+1)、Ys(8q+2)、…、Ys154と、シフトレジスタ群6424aから出力される転送信号Ys3、Ys4、…、Ys(8q+3)、Ys(8q+4)、…、Ys156と、シフトレジスタ群6426aから出力される転送信号Ys5、Ys6、…、Ys(8q+5)、Ys(8q+6)、…、Ys158と、シフトレジスタ群6428aから出力される転送信号Ys7、Ys8、…、Ys(8q+7)、Ys(8q+8)、…、Ys160とは、図30に示すように、それぞれ同一の水平走査期間においてHレベルとなる。
この結果、表示停止信号OFFがHレベルに反転すると、図30に示す走査信号Y1、Y2、…、Y160が、第1行から第160行目の各走査線comに供給される。さらに詳述すると、走査信号Y1、Y2、…、Y160のうち、4つの走査信号Ys(8q+1)、Ys(8q+3)、Ys(8q+5)およびYs(8q+7)の組と、4つの走査信号Ys(8q+2)、Ys(8q+4)、Ys(8q+6)、Ys(8q+8)の組とのそれぞれが同一の信号波形となり、垂直同期信号DYが立ち上がってから、第40回目に至るまでの各水平走査期間(1H)において、それぞれ並行して選択電圧となる。なお、上述したように「q」は、「0≦q≦19」を満たす整数である。
次に、第2走査線駆動回路64bの詳細について説明する。上述したように第2走査線駆動回路64bは、第161行から第320行目の走査線comのそれぞれに、走査信号com161、com162、…、com320を供給する回路である。第2走査線駆動回路64bの構成は、前掲図25に示す第1走査線駆動回路64aの構成と略同様であるが、シフトレジスタの構成が第1走査線駆動回路64aのそれと異なる。
図31は、第2走査線駆動回路64bに含まれるシフトレジスタの構成を示す図である。この図に示すようにシフトレジスタ642bは、161行から320行目までの走査線comに1対1で対応した160桁のレジスタ(転送回路)643を有するシフトレジスタであり、4種類のスイッチS35、S36、S37およびS38を含む。各スイッチS35、S36、S36およびS37は、表示停止信号OFFがLレベルであれば図中実線で示すような状態となり、表示停止信号OFFがHレベルであれば図中破線で示す状態となる。なお、上述したシフトレジスタ642aは、垂直同期信号DYをクロック信号YCKに従ってシフトしたが、このシフトレジスタ642bは、クロック信号YCKに従って垂直同期補助信号DY’をシフトする。
まず、スイッチS35は、表示停止信号OFFがLレベルであれば、制御回路20から出力された垂直同期補助信号DY’を第1桁のみに伝送するが、表示停止信号OFFがHレベルであれば、垂直同期補助信号DY’を第1桁、第3桁、第5桁および第7桁のそれぞれに伝送する。
また、スイッチS37は、第156桁(不図示)から第159桁を除く各桁によりシフトされた垂直同期補助信号DY’を、表示停止信号OFFがLレベルであれば、当該桁より1桁だけ下位の桁に供給し、表示停止信号OFFがHレベルであれば、当該桁より3桁だけ下位の桁に供給する。一方、スイッチS36は、第156桁から第159桁の各桁によりシフトされた垂直同期補助信号DY’を、当該桁より1桁だけ下位の桁に供給する。
また、スイッチS36は、表示停止信号OFFがLレベルであれば、第(8r+1)桁からシフトされた垂直同期補助信号DY’を、それより1桁だけ下位の第(8r+2)桁に伝送する。これに対し、表示停止信号OFFがHレベルであれば、スイッチS36は、第(8r+1)桁からシフトされた垂直同期補助信号DY’を、第(8r+2)桁、第(8r+4)桁、第(8r+6)桁および第(8r+8)桁のそれぞれに伝送する。ここで、「r」は、「0≦r≦19」を満たす整数である。
スイッチS37は、第8r桁および第(8r+1)桁を除く全ての桁によってシフトされた垂直同期信号DYを、それよりも1桁だけ下位の桁に伝送する。
一方、スイッチS38は、表示停止信号OFFがLレベルであれば、第8r桁からシフトされた垂直同期補助信号DY’を、それより1桁だけ下位の第(8r+1)桁に伝送する。これに対し、表示停止信号OFFがHレベルであれば、スイッチS38は、第8r桁からシフトされた垂直同期補助信号DY’を、第(8r+1)桁、第(8r+3)桁、第(8r+5)桁および第(8s+7)桁のそれぞれに伝送する。
シフトレジスタ642bにおいては、クロック信号YCKに従って、各桁に垂直同期補助信号DY’が順次にシフトされる。シフトレジスタ642bの各桁にシフトされた垂直同期補助信号DY’は、転送信号Y161、Y161、…、Y320として出力される。
以上の各スイッチS35、S36、S37およびS38の動作により、シフトレジスタ642bは、表示停止信号OFFの論理レベルに応じて、以下に説明する走査信号Y161、Y162、…、Y320を、第161行から第320行目の各走査線comに対して供給する。
まず、表示停止信号OFFがLレベルの場合、上述したようにスイッチS35、S36、S37およびS38は図31中実線で示す状態となる。この結果、シフトレジスタ642bは、図32に示すように、直列に接続された160桁のシフトレジスタの各桁にシフトされた垂直同期補助信号DY’を、転送信号Ys161、Ys162、…、Ys320として出力する回路と等価になる。
ここで、転送信号Ys161、Ys162、…、Ys320の契機となる垂直同期補助信号DY’は、表示停止信号OFFがLレベルの場合には、垂直同期信号DYより「1H×160」だけ遅れたタイミングにて立ち上がる。したがって、転送信号Ys161、Ys162、…、Ys320は、前掲図28に示すように、1つの垂直走査期間(1H×320)のうち後半期間(1H×160)のみにおいて、1水平走査期間(1H)毎に、それぞれ順次に立ち上がる。この結果、表示停止信号OFFがLレベルの場合においては、走査信号Y1、Y2、…、Y160は、同図に示されるように、垂直走査期間(1H×320)の後半期間(1H×160)のうち、各水平走査期間(1H)の後半期間(1/2H)毎に順次に選択電圧となる。
次に、表示停止信号OFFがLレベルからHレベルに反転した場合における走査信号Y160、Y162、…、Y320について説明する。
上述したように、表示停止信号OFFがHレベルに反転すると、スイッチS35、S36、S37およびS38は図31中破線で示す状態となる。この結果、シフトレジスタ642bは、転送信号の立ち上がりタイミングという観点からいえば、図33に示すように、それぞれ並行して垂直同期補助信号DY’をシフトする4つのシフトレジスタ群6422b、6424b、6426bおよび6428bを含む回路と等価になる。この構成において、シフトレジスタ群6422bに属する第1桁と、シフトレジスタ群6424bに属する第3桁と、シフトレジスタ群6426bに属する第5桁と、シフトレジスタ群6428bに属する第7桁とのそれぞれに、制御回路20から出力された垂直同期補助信号DY’が並列して入力される。
まず、シフトレジスタ群6422bに供給された垂直同期補助信号DY’は、第1桁、第2桁、…、第(8r+1)桁、第(8r+2)桁、…、第153桁および第154桁の各々にこの順でシフトされ、転送信号Ys161、Ys162、…、Ys(8r+161)、Ys(8r+162)、…、Ys313およびYs314として各桁から出力される。ここで、「r」は、「0≦r≦19」を満たす整数である。
また、シフトレジスタ群6424bに供給された垂直補助同期信号DY’は、第3桁、第4桁、…、第(8r+3)桁、第(8r+4)桁、…、第155桁および第156桁の各々にこの順でシフトされ、転送信号Ys163、Ys164、…、Ys(8r+163)、Ys(8r+164)、…、Ys315およびYs316として各桁から出力される。
同様に、シフトレジスタ群6426bに供給された垂直補助同期信号DY’は、第5桁、第6桁、…、第(8r+5)桁、第(8r+6)桁、…、第157桁および第158桁の各々にこの順でシフトされ、転送信号Ys165、Ys166、…、Ys(8r+165)、Ys(8r+166)、…、Ys317およびYs318として各桁から出力される。
そして、シフトレジスタ群6428bに供給された垂直補助同期信号DY’は、第7桁、第8桁、…、第(8r+7)桁、第(8r+8)桁、…、第159桁および第160桁の各々にこの順でシフトされ、転送信号Ys167、Ys168、…、Ys(8r+167)、Ys(8r+168)、…、Ys319およびYs320として各桁から出力される。なお、これらの各シフトレジスタ群6422b、6424b、6426bおよび6428bの桁の総数は「40桁」である。したがって、各シフトレジスタ群6422b、6424b、6426bおよび6428bは、垂直補助同期信号DY’が立ち上がってから、第40回目のクロック信号CLKの立ち上がりタイミングを迎えるまでの期間に順次にHレベルとなる転送信号を出力する。
ここで、各シフトレジスタ群6422b、6424b、6426bおよび6428bに対して、動作の契機を与える垂直同期補助信号DY’、および、シフトの周期を与えるクロック信号YCKは共通である。このため、シフトレジスタ群6422bから出力される転送信号Ys161、Ys162、…、Ys(8r+161)、Ys(8r+162)、…、Ys314と、シフトレジスタ群6424bから出力される転送信号Ys163、Ys164、…、Ys(8r+163)、Ys(8r+164)、…、Ys316と、シフトレジスタ群6426bから出力される転送信号Ys165、Ys166、…、Ys(8r+165)、Ys(8r+166)、…、Ys318と、シフトレジスタ群6428bから出力される転送信号Ys167、Ys168、…、Ys(8r+167)、Ys(8r+168)、…、Ys320とは、図30に示すように、それぞれ同一の水平走査期間においてHレベルとなる。
この結果、表示停止信号OFFがHレベルに反転すると、図30に示す走査信号Y161、Y162、…、Y320が、第160行から第320行目の各走査線comに供給される。さらに詳述すると、走査信号Y161、Y162、…、Y320のうち、4つの走査信号Y(8r+161)、Y(8r+163)、Y(8r+165)およびY(8r+167)の組と、4つの走査信号Y(8r+162)、Y(8r+164)、Y(8r+166)、Y(8r+168)の組とのそれぞれが同一の信号波形となり、垂直同期補助信号DY’が立ち上がってから、第40回目に至るまでの各水平走査期間(1H)において、それぞれ並行して選択電圧となる。なお、上述したように「r」は、「0≦r≦19」を満たす整数である。
以上説明した第1走査線駆動回路64aおよび第2走査線駆動回路64bを有する電気光学装置10においては、表示停止信号OFFに応じて、以下の2種類の処理が実行される。
まず、表示停止信号OFFがLレベルの場合には、第1走査線駆動回路64aからは、第1行から第160行目の走査線com1、com2、…、com160のぞれぞれに対して、前掲図28に示すような走査信号Y1、Y3、…、Y160が供給される。一方、第2走査線駆動回路64bからは、第161行から第320行目の走査線com161、com162、…、com320に対して、同図に示すような走査信号Y161、Y162、…、Y320が供給される。これらの走査信号Y1、Y2、…、Y320は、結果的に、前掲図4(第1実施形態)に示す走査信号Y1、Y2、…、Y320と同様な信号となる。
一方、データ線駆動回路50は、上述したように階調データGDに応じてデータ信号を生成して、生成したデータ信号を各データ線segに供給する。これにより、上記第1実施形態と同様に、例えば前掲図11(d)、図11(e)および図11(f)に示すような電圧が各画素440に印加されて画素440が駆動される。
次に、表示停止信号OFFがHレベルに反転した場合に実行されるオフシーケンス処理について図30を参照して説明する。
図30に示すように、ある垂直走査期間において表示停止信号OFFがHレベルに反転すると、その直後に垂直同期信号DYが立ち上がってから垂直同期補助信号DY’が立ち上がるまでの「1H×40」の期間においては、第1行から第160行目の走査線comに対応した走査信号Y1、Y2、…、Y160が順次に選択電圧となる。さらに詳述すると、走査信号Y1、Y2、…、Y160のうち、奇数行に対応した4つの走査信号Y(8r+1)、Y(8r+3)、Y(8r+5)およびY(8r+7)の組と、奇数行に対応した4つの走査信号Y(8r+2)、Y(8r+4)、Ys(8r+6)、Y(8r+8)の組とは、それぞれの組において同一の水平走査期間中に選択電圧となる。
同様に、オフシーケンス期間(1H×80)のうち、垂直同期補助信号DY’が立ち上がってから「1H×40」の期間においては、第161行から第320行目の走査線comに対応した走査信号Y161、Y162、…、Y320が順次に選択電圧となる。さらに詳述すると、このうち、奇数行に対応した4つの走査信号Y(8r+161)、Y(8r+163)、Y(8r+165)およびY(8r+167)の組と、奇数行に対応した4つの走査信号Y(8r+162)、Y(8r+164)、Ys(8r+166)、Y(8r+168)の組とは、それぞれの組において同一の水平走査期間中に選択電圧となる。
一方、データ線駆動回路50は、白色表示のためのデータ信号を全てのデータ線segに対して供給する。これにより、ひとつの水平走査期間(1H)において、4行の画素440に対して、前掲図11(f)に示すような白色表示のための電圧「VS−VD/2」あるいは「−VS+VD/2」が一括して印加され、それぞれの画素440から電荷が除去される。
このように第3実施形態においても、ひとつの水平走査期間(1H)において、複数の走査線comに並行して選択電圧が印加されるため、オフシーケンス処理を速やかに実行することができる。
<変形例>
なお、本発明にかかる電気光学装置10は、上述した構成の電気光学装置10のみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることが可能である。
まず上述した電気光学装置10にかかる細部は、種々の周知技術と代替することが可能である。例えば、電気光学装置10の走査線comやデータ線segの本数に変更しても良いし、ノーマリーホワイトモードでなく、電圧の無印加状態において黒色表示となるノーマリーブラックモードとしても良い。このようにノーマリーブラックモードとする場合、制御回路20は、オフシーケンス期間において、全画素440について黒色表示となるように走査線駆動回路60およびデータ線駆動回路50をそれぞれ制御する。また、アクティブ素子(能動素子)として、TFDの代わりにTFT(薄膜トランジスタ)を用いても良く、さらにはアクティブ素子を用いないパッシブマトリックスの液晶装置であっても、本発明を適用することができる。要は、画素440の駆動の停止時に、全ての画素440に対して非点灯電圧を印加する必要のある電気光学装置であれば任意に本発明を適用することができる。
さらに、上記実施形態では液晶装置を例として本発明の実施形態にかかる電気光学装置10を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限らず、例えば有機エレクトロルミネッセンス装置、無機エレクトロルミネッセンス装置、プラズマディスプレイ装置、FED(フィールドエミッションディスプレイ)パネル、電気泳動表示装置、電界放出表示装置、LED(ライトエミッティングダイオード)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いた装置など液晶430以外の電気光学物質を有する電気光学装置10であっても、電気光学物質に作用する直流電界あるいは直流電圧に起因して電気光学物質の劣化が発生し得る電気光学装置であれば、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
最後に、以上説明した電気光学装置10を搭載した電子機器について説明する。
例えば、図34は、上述した電気光学装置10を表示部として有する携帯電話機800の外観図である。この図において、携帯電話機800は、複数の操作ボタン810の他、受話口820、送話口830と共に、電話番号などの各種情報を表示する表示部として、上記電気光学装置10を備えている。
また、携帯電話機800以外にも、電気光学装置10は、コンピュータや、デジタルカメラ、ムービーカメラ、車載機器、複写機、オーディオ機器などの各種電子機器の表示部の他、プロジェクタにおける光変調手段としても用いることができる。
10…電気光学装置、20…制御回路、30…電圧生成回路、40…液晶パネル、50…データ線駆動回路、60…走査線駆動回路、414…TFD、430…液晶、com…走査線、seg…データ線