JP4608760B2 - 金属表面加工用ホイール型ブラシの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービンのコンプレッサやタービンのディスク等の耐熱合金加工後のバリ取りなどに使用する金属表面加工用ホイール型ブラシおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジェットエンジン等のガスタービンのタービンディスクやコンプレッサディスクは、種々の工作機械によって機械加工されて完成するが、これらの製品は、合金加工後、ブラシなどによってその表面のバリ取り加工が行われる。
【0003】
図5は従来のホイール型ブラシの図で、(A)は断面図、(B)は(A)の一部拡大図、(C)は(B)のA−A矢視図である。図において、aはホイール型ブラシである。bは鋼製の円環状の平板である。平板bは半径方向の内側に複数の大きな長円形の開孔cと外側に複数の小さな開孔dを設けている。小さな開孔dは各開孔cを挟んで2個ずつ設けられている。eは直径1mm程度で剛性があるナイロン製のフィラメントで、砥粒を含浸させてあり、中間をU字状に折り曲げて平板bの大きな開孔cを通し、各フィラメントeを半径方向に突出させ、外周端を所要の長さに揃えて外端が円環状を形成している。なお、ナイロン製のフィラメントは市販のものである。fは各フィラメントeを固縛している板状のワイヤで、平板bの2個の開孔dを通してからプレスで折り曲げてフィラメントeをワイヤfの剛性で固定している。gは円環状のホイールである。ホイールgはプレス加工により中央部に凹部を形成した2枚の鋼製の板h、iによって平板bを上下で挟持して中央部を密着してスポット溶接し、外側部で円環状のフィラメントeを圧縮して一体に固定している。jはホイールgの中心に設けたブラシaを機械にセットするための開口である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のホイール型ブラシでは、円環状の鋼製の平板に設けた内側の開孔にナイロン製のフィラメントをU字状に折り曲げて通し、この開孔よりも外側の開孔で板状のワイヤによりフィラメントを固縛し、中央部に凹部を形成した2枚の鋼製の板で平板を上下で挟持したホイールの外端側を圧縮して固定しているので、フィラメントを固縛している板状のワイヤ部分で、使用中にフィラメント同志がこすれ合って摩耗して歯抜け状態になり易い。また、フィラメントとホイールとは異質の材料で形成されているので、ブラシを交換して廃棄処分する際、フィラメントとホイールとを分解し、別々に処分しなければならず、処分にコストがかかる。
【0005】
本発明は、以上述べた従来技術の問題点に鑑み案出されたもので、フィラメントとホイールとを同様の材料で一体に形成して摩耗や折れなどの破損を防止し、かつ、ブラシの軽量化と製造コストの低減化を図るとともに、ブラシ交換後、フィラメントとホイールとを分解することなく一体で処分して廃棄処分コストの低減化を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願請求項1記載発明の金属表面加工用ホイール型ブラシは、金属表面のバリ取りなどに使用する金属表面加工用ホイール型ブラシであって、円環状のエポキシ樹脂製のホイールの外周面に砥粒を含浸した多数のナイロン製のフィラメントを、各フィラメントが半径方向に突出するように植設してなるものである。
【0007】
上記金属表面加工用ホイール型ブラシは、外周面に連続した溝部を有するものであってもよい。
【0008】
本願請求項3記載発明の金属表面加工用ホイール型ブラシの製造方法は、請求項1記載発明の金属表面加工用ホイール型ブラシの製造方法であって、上面の中央部に設けた円筒状の背の高い突起とそれを囲繞するように設けた背の低い円環状の突起によって中間に円環状の溝を形成した下部金型の背の低い突起上に、砥粒を含浸した多数のナイロン製のフィラメントを、内端を溝の中間に揃えて各フィラメントが半径方向を向くように並べて一層目のフィラメントを所要の高さに積層する工程と、溝の内側にエポキシ樹脂を、溝の外側に隙間を残すように注入してフィラメントの内端側を固定する工程と、一層目のフィラメントの上面に一層目と同様にして二層目のフィラメントを所要の高さに積層する工程と、溝内に一層目と同様にして二層目のエポキシ樹脂を注入する工程と、下面の中央部の円筒状の突起とそれを囲繞して設けた円環状の突起とによって上記下部金型の溝と対峙する円環状の溝を形成した上部金型を被せて固化する工程と、上部金型を一旦外して溝内の隙間とその外側にわずかにはみ出してエポキシ樹脂を注入する工程と、再び上部金型を被せて一体に固化する工程と、上部金型および下部金型を製品から外す工程とからなるものである。
【0009】
次に、本発明の作用を説明する。フィラメントとホイールとを同様の材料で一体に形成することによって、個々のフィラメントは独立して固定されているので、根元の部分で互いにこすれ合うことがなく、摩耗や折れなどの破損がしにくい。また、ブラシの軽量化と製造コストの低減化を図ることができる。さらに、ブラシ交換後、フィラメントとホイールとを分解しないで一体で処分するので、廃棄処分コストの低減化を図ることができる。
【0010】
【発明の実施の態様】
以下、本発明の1実施態様について図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の金属表面加工用ホイール型ブラシの正面図である。図2は図1のA−A矢視図である。図において、1は金属表面加工用ホイール型ブラシである。2は円環状のエポキシ樹脂製のホイールである。2aはホイール2の中心に設けたブラシ1を機械にセットするための開口である。3は砥粒を含浸した直径1mm程度のナイロン製のフィラメントで、ホイール2の外周面に各フィラメント3が半径方向に突出するように多数植設されている。
【0011】
図4は本発明の金属表面加工用ホイール型ブラシの製造方法を示す概念図である。金属表面加工用ホイール型ブラシ1は、上面の中央部に設けた円筒状の背の高い突起5aとそれを囲繞するように設けた背の低い円環状の突起5bによって中間に円環状の溝5cを形成した下部金型5と、下面の中央部の円筒状の突起6aとそれを囲繞して設けた円環状の突起6bとによって下部金型5の溝5cと対峙する円環状の溝6cを形成した上部金型6とを使用し、次のように製造する。
まず、下部金型の背の低い突起5b上に、砥粒を含浸した多数のナイロン製のフィラメント3を、内端を溝3cの中間の円周上に揃えて各フィラメント3が半径方向を向くように並べて一層目のフィラメント3Aを所要の高さh1に積層する工程と、溝5cの内側にエポキシ樹脂2Aを、溝5cの外側に隙間5dを残すように注入してフィラメント3Aの内端側を固定する工程と、一層目のフィラメント3Aの上面に一層目と同様にして二層目のフィラメント3Bを所要の高さh2に積層する工程と、溝5c内に一層目と同様にして二層目のエポキシ樹脂2Bを注入する工程と、上部金型6を被せて固化する工程と、上部金型6を一旦外して溝5c、6c内の隙間5d、6dとその外側にわずかにはみ出してエポキシ樹脂2Cを注入する工程と、再び上部金型6を被せて一体に固化する工程と、上部金型6および下部金型5を製品から外す工程とによって製造する。エポキシ樹脂2A、2B、2Cは、いずれも液状の2液性の樹脂を混ぜて使用し、放置すると常温で固化する。なお、hはフィラメント3の全高(厚み)である。
【0012】
次に、本実施形態の作用を説明する。フィラメント3とホイール2とを同様の材料で一体に形成することによって、個々のフィラメント3は独立して固定されているので、根元の部分で互いにこすれ合うことがなく、摩耗や折れなどの破損がしにくい。また、ブラシの軽量化と製造コストの低減化を図ることができる。さらに、ブラシ交換後、フィラメント3とホイール2とを分解しないで一体で処分するので、廃棄処分コストの低減化を図ることができる。
【0013】
図3は本願請求項2記載発明の金属表面加工用ホイール型ブラシの断面図である。図において、金属表面加工用ホイール型ブラシ1は、図1、図2で説明した金属表面加工用ホイール型ブラシ1の外周面に連続した溝部3aを設けたもので、他の部分は図1、図2で説明した金属表面加工用ホイール型ブラシ1と同じであり、重複する説明は省略する。
【0014】
本発明は、以上述べた実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の金属表面加工用ホイール型ブラシおよびその製造方法は、フィラメントとホイールとを同様の材料で一体に形成して摩耗や折れなどの破損を防止し、かつ、ブラシの軽量化と製造コストの低減化を図るとともに、ブラシ交換後、フィラメントとホイールとを分解することなく一体で処分して廃棄処分コストの低減化を図ることができるなどの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1記載の金属表面加工用ホイール型ブラシの正面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】本発明の請求項3記載の金属表面加工用ホイール型ブラシの断面図である。
【図4】本発明の金属表面加工用ホイール型ブラシの製造方法を示す概念図で、(A)は下部金型の上に一層目のフィラメントを積層してエポキシ樹脂で固定した図、(B)は一層目のフィラメントの上に二層目のフィラメントを積層してエポキシ樹脂で固化した図、(C)は下部金型の上に上部金型を被せて一層目と二層目のフィラメントをエポキシ樹脂で固定した図、(D)は上部金型と下部金型を外して金属表面加工用ホイール型ブラシを取り出した図である。
【図5】従来のホイール型ブラシの図で、(A)は断面図、(B)は(A)の一部拡大図、(C)は(B)のA−A矢視図である。
【符号の説明】
1 金属表面加工用ホイール型ブラシ
2 ホイール
2a 開穴
3 フィラメント
3a 溝
5 下部金型
6 上部金型
7 テーブル
8 ワーク

Claims (2)

  1. 金属表面のバリ取りなどに使用する金属表面加工用ホイール型ブラシであって、円環状のエポキシ樹脂製のホイールの外周面に砥粒を含浸した多数のナイロン製フィラメントを、各フィラメントが半径方向に突出するように植設してなる金属表面加工用ホイール型ブラシの製造方法であって、上面の中央部に設けた円筒状の背の高い突起とそれを囲繞するように設けた背の低い円環状の突起によって中間に円環状の溝を形成した下部金型の背の低い突起上に、砥粒を含浸した多数のナイロン製フィラメントを、内端を溝の中間に揃えて各フィラメントが半径方向を向くように並べて一層目のフィラメントを所要の高さに積層する工程と、溝の内側にエポキシ樹脂を、溝の外側に隙間を残すように注入してフィラメントの内端側を固定する工程と、一層目のフィラメントの上面に一層目と同様にして二層目のフィラメントを所要の高さに積層する工程と、溝内に一層目と同様にして二層目のエポキシ樹脂を注入する工程と、下面の中央部の円筒状の突起とそれを囲繞して設けた円環状の突起とによって上記下部金型の溝と対峙する円環状の溝を形成した上部金型を被せて固化する工程と、上部金型を一旦外して溝内の隙間とその外側にわずかにはみ出してエポキシ樹脂を注入する工程と、再び上部金型を被せて一体に固化する工程と、上部金型および下部金型を製品から外す工程とからなることを特徴とする金属表面加工用ホイール型ブラシの製造方法。
  2. 上記金属表面加工用ホイール型ブラシは、外周面に連続した溝部を有する請求項1記載の金属表面加工用ホイール型ブラシの製造方法。
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